牧場物語2

【ぼくじょうものがたりつー】

ジャンル ほのぼの生活シミュレーション
対応機種 ニンテンドウ64
メディア 128Mバックアップカートリッジ
発売・開発元 ビクターインタラクティブソフトウェア
発売日 1999年2月5日
定価 6,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2017年7月5日/1,028円(税込)
判定 良作
ポイント 箱庭系ゲームの続編
前作から圧倒的に増したボリューム
牧場物語シリーズリンク


概要

  • 2017年現在、20作以上発売されている人気牧場シミュレーションゲーム『牧場物語』シリーズの第二作目。
  • 荒れ果てた牧場を開墾し、発展させることが目的。
  • 『「荒地を開拓し作物を育て動物達と触れ合う」「自然と親しみ街で人々との交流を楽しむ」「牧場を中心とした箱庭世界でほのぼのとした生活を送る」という3つの要素を軸にした新感覚のアクション+シミュレーションゲーム』(メーカー公式ページより引用)

システム

  • ゲーム期間
    • 春・夏・秋・冬それぞれ30日ずつある4つの月からなる、1年目の春から3年目の春までの2年と1シーズン。
    • 牧場の状況がどうなっていようと、3年目夏の月になった時点で一旦エンディングとなり、それまでの行動によりエンディングの内容が変化する。
    • エンディングには様々な要素が関わっており、ハッピーエンディングからバッドエンディングまできっちり用意されている。
    • エンディング後も、隠しパラメータのしあわせ指数が一定以上であれば期間を越えて遊び続けることが可能。
  • ゲームの流れ
    • 朝6:00に起床し、農作業や植物採取、町での買い物などを時間が流れる中でこなし、夜6:00までにベッドに入って就寝するor眠らずに朝6:00を迎えることで一日が終わる。
    • セーブ(ゲーム中では「日記」と表現される)は就寝時にしか行えない。なおロードすると翌朝目覚めた時点から始まる。
    • 基本的には種を植えて作物を育て、得た収入でまた作物を作ったり、農具を強化したり、牧場を改築して大きくしていく。
    • 上記は一般的な流れであり、別に畑を作らずに進めたり、一切仕事をしなくても問題ない。エンディングは非常に寂しい物になるが。
    • 収穫祭などを初めとした季節のイベントがあったり、季節によりできる行動が変化(作物の種類が変わるなど)することもあるが、基本の一日の流れは最初から最後まで同じである。

特徴&評価点

  • 「荒地を開拓し作物を育て動物達と触れ合う」要素
    • 牧場を耕して作物を育て、毎日決まった時間(夕方)までに出荷することで収入を得る。
  • 「オノ」や「カマ」などの農具を使用する際には1回ごとに体力を消費し、体力を使い切ると使えなくなる
    (寝て翌日を迎えるか、温泉にある程度の回数入ることで回復する。また、入手数は限定されているが体力を増やせるアイテムが存在する)。
  • 育てられる作物は季節により異なり、次の月になると前の月の作物は枯れてしまう。
  • また秋冬は出荷できる作物がないため、代わりに鶏や牛を育て、卵や牛乳を出荷することになる。
  • 牛には名前をつけられ、ブラッシングなどで愛情度を深めるとランクの高い牛乳を収穫できるようになる。
  • 家畜のほかに、ペット兼番犬としての犬、ペット兼乗り物としての馬も登場する。
  • 動物はどれも可愛らしくデフォルメされており、うっかり病気や野犬の犠牲になったりして本気で落ち込むプレイヤーも多い。
  • 「自然と親しみ街で人々との交流を楽しむ」要素
    • 牧場の隣に街があり、種や農具などのアイテムは全て町で購入することで手に入れる。家畜も同様。
    • さらに街には5人の嫁候補の女の子がおり、恋愛イベントをこなしてアイテムを使ってプロポーズすることで結婚できる*1
      • 結婚後は牧場に移住し、一定の条件をクリアすれば子どもも産まれる。
    • 裏山の木こりや街の人々、怪しげな行商人など、ヒロイン以外にも個性的なキャラクターが登場し、より魅力的な世界観を演出している。
      • 恋人候補以外にもほぼ全員にそれぞれ友好度があり、会話中のハートの大きさや色で大まかな友好度を知ることができる。それぞれ好物や嫌いな物があり、更には同じプレゼントでも誕生日には違うセリフになっていたりと、全てをノーヒントで発見するのは並大抵の苦労ではない。
      • 仲良くなった人は牧場を訪ねて見学や差し入れをしてくれたり、酒場やお祭りなどのイベントに誘ってくれたり、悩みを相談しにきたりもする。
    • 裏山には花や野草、キノコなどが豊富に自生しており、これらを採取して出荷したりプレゼントしたり出来る。川での釣りや鉱山の採掘なども可能。
    • 裏山にはランダムで昆虫や野生動物が出現し、捕まえることも出来る*2
  • 「牧場を中心とした箱庭世界でほのぼのとした生活を送る」要素
    • 全体的にデフォルメされたキャラクター達の中で自身がその一員となって牧場経営から人々の交流まで存分に満喫する事が出来る。
      • 自らの手で動かすことで、実際にその世界に住んでいる感覚を得られる。
    • 台風で作物が荒らされる、家畜が野犬に襲われる、などポジティブな面ばかりでない牧場らしさも表現されている。
    • 温かみのある絵が世界観と非常によくマッチしている。

賛否両論点

  • ヒロインが主人公以外の男と結婚することがある
    • 各ヒロインには関係の深い男性キャラクターが存在し、愛情度が低いまま一定の期間が過ぎるとそちらと結婚してしまう。
    • 一つ目の条件は「ヒロイン側の主人公への愛情度が伸びてない」と割と妥当だが、もう一つが「相手の男キャラと主人公が仲良くなる」なので、人によっては外堀から埋めようとして失敗する人もいるかもしれない*3
    • また、主人公が誰か1人と結婚した場合、どんなに愛情度が高くなっていても他のヒロインはあきらめるので男側の条件が成立していれば結婚する。
    • 一応、「全ヒロインの愛情度を高く保ち、誰とも結婚しない」という回避手段もある。
      • この方法でヒロイン達を終盤までキープし続けてから誰か1人と結婚すると、その翌日から他のヒロイン達の結婚イベントが一斉に始まり、5日連続で結婚式が行われるというシュールな光景が見られる。
  • いなくなる住人
    • 今作は一定の条件で街から一部の住人がいなくなってしまう。
    • その内一人はなんと攻略可能なヒロイン。
    • いなくなる条件が複数あるキャラクターもおり、気を付けないとあっさりといなくなってしまう。
    • 1名のみ、死亡してしまうキャラクターも存在する*4

問題点

  • 一日の時間の流れがかなりスピーディ
    • 6:00になると強制的に家に戻され、体力は最低限になって次の日を迎える事になる。
    • デメリットがキツイので何かやり残したとしても必ず眠るか、面倒でも一日をやり直した方がいい。
    • 時間の流れが非常に速い為、慣れない内は何をするでもなくどんどん時間が過ぎてしまう為、どうしても作業の効率化が必要になってしまう。
    • それにより、ああしたい、こうしたいといったプレイヤーの意思を反映しづらくなってしまった。
  • 詰め込まれたイベント要素
    • 今作は非常にイベント類が多く、取り返しのつかない要素も少なからず存在するためイベントの見逃しや取り逃しが起こりやすい。
    • 上述した様に時間の流れは非常に速く、特にやり込み要素のひとつであるアルバムを全て埋めようと思えばエンディングのある3年目までにヒロインとの各イベントをこなしつつ、結婚・出産イベントをこなし、牧場を発展させ、街の住人とも仲良くならなければならない。
      事前に手順を用意していたとしても再現するのは簡単にはいかず、すべての要素を楽しもうとすると人によっては別のデータで何度も同じ事を繰り返すハメになる。
    • イベントをしっかりと遊びきりたいと思うプレイヤー程遊ぶ余裕が無くなるとは皮肉である。
  • イベントにより畑や家畜の世話が出来なくなることがある
    • 季節行事などのイベントに参加すると一定の時刻まで強制的に時間が進んでしまう。
      • 殆どの場合はイベント参加前か終了後に急いで仕事をすれば済むのだが、結婚式*5は1日が丸ごとイベントで潰れるため、その日は一切の仕事が出来ない。
      • 家畜の餌やりや作物に水をあげるのをサボった扱いになるため少々理不尽。
  • 難しい釣り
    • 釣竿を入手する事で釣りができるようになるのだが、これが異様に厳しい作りになっている。
    • ボタンを押しっぱなしで釣り糸を垂らす→食いついた瞬間離す、というのが一連の動作なのだが、「食いついたら離す」の受付時間が非常に短い。
      • なんと猶予は0.06秒。余程集中していないと普通に見逃してしまう。
    • 魚が食いつくタイミングは完全にランダムで、釣りを開始した瞬間hitする事もあれば、殆どhitしない事も。
      • この手のゲームにありがちな魚影や音等のヒントは一切なく、あるのは食いついた瞬間のウキとプレイヤーの動きのみで、頼れるのは己の反射神経だけである。
      • しかし反応が遅れて釣りに失敗した時は「ちゃぽん」という魚に逃げられる寂しい音が鳴る。何故そこで…
    • 厄介な事にこの釣りにおいて「プレイヤーの体力上限を上げるアイテム」がランダムで手に入るのだが、上述したように釣りは難しく中々手に入らない事も。
      • そして時間の流れの速さもあってゆっくり釣りを粘るのもできないという問題がある。
  • 力の木の実の入手方法
    • プレイヤーの体力を上げるアイテムで、プレイする上でほぼ必須なのだが何と取得に関してゲーム内ではノーヒント。
    • 地面から掘り返す、釣りあげる、等ランダムで入手出来る場合や購入する場合は自然と手に入れる事もあるが、条件付きの物は本当にわからない。
    • また、運任せで手に入る物に関しても確率は高くなく、上記した様に時間の流れの速さも相まって狙って手に入れようとするとリセット&ロードをひたすら繰り返す事になる。
  • 動物の愛情度
    • 雨の日に外に出しっぱなしにする、農具(斧や鎌など)が動物に当たる等で愛情度が下がってしまう。
    • 放牧しておけば餌が必要ないという利点もあるのだが、上記のデメリットに加え、一定のスペースに閉じ込めておかないと気づいたらあちらこちらに散らばってしまう。上述の時間の経過が早いこともあって、次の日が雨なので放牧していた動物たちを戻そうとしても手間取るとそれだけで一日が終わってしまう事もあり得る。室内ならば時間の経過もないのでブラッシングや乳しぼりもノーリスクで行える。
    • その為、外に出しておくよりも小屋の中に入れっぱなしにしておく方が安全かつ便利で、放牧の利点が薄くなっている。
  • バグ
    • 上記した様に動物に農具が当たると愛情度が下がってしまうのだが、周囲には居ないのに、農具を振ると全く離れた位置の動物に当たってしまうバグが存在している。
    • 詳細は不明だが、小屋から近い畑で起こりやすく、隅っこの方で作業していても何故か当たってしまう事もある。
    • 愛情度は動物達から得られるアイテムの品質にも関わるので愛情度が下がってしまうのは致命的。

総評

タイトル通り、のどかな自然に囲まれた「牧場」を舞台に、人々や動物とのふれあいの中で生まれる「物語」を表現した箱庭系シミュレーションゲームの二作目。
前作に引き続き、作業の繰り返しで単調になりがちな経営シミュレーション部分も苦にならずに進められる。
恋愛要素もあり、結婚、さらに子どもの誕生まで描写されるため本当に牧場で暮らしている感覚を味わえる。
劇的なイベントや派手なアクションは存在しないが、気がつけば何時間もプレイしてしまう、独特の魅力のある作品である。


余談

  • 前作以上にボリュームが増し、更にはフラグや条件の細分化によってやり込みを始めるとスローライフは何処へ行ったのかと思うほど目まぐるしい日々を送る事になる。ハイスピードスローライフと言った所だろうか。
  • 本作に登場したキャラクター達は、後にPS『ハーベストムーン』にも出演する事になる。
    • ただし、こちら側では設定や家族構成等が異なる言わば「パラレルワールド」的な存在*6であるが、以降のシリーズでの本作のキャラクターは『ハーベストムーン』設定での出演が殆どになっている事から、本作の存在は若干黒歴史に寄ってしまっているのが否めないだろう。
+ タグ編集
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最終更新:2023年12月10日 15:27

*1 彼女たちは全員前作のヒロインの孫で、よく見なくても前作ヒロインをアレンジした造形になっている。なお、前作ヒロインの内一人だけ続投者がいるが当然攻略対象外である。

*2 アイテム扱いではないのでリュックには入らず、出荷したり牧場で育てたりも出来ない。持った状態で街の住人達話すことで見せることは可能。ただし「大半の女の子キャラは虫が苦手」などキャラによって嫌がるものもあるので注意。

*3 特にカレンやエリィなどは恋のライバルが彼女の身近な人間なので、そいつの機嫌を取ろうとすると先を越されることがある。

*4 死因は老衰であり、特に悪事や失敗が原因となる訳ではない。友好度が高いときに発生するイベントであることも考慮すると「最期を看取ることが出来た」という好意的な解釈も可能。また、前作から続投しているキャラなので前作をやったうえでこれを見ると印象がだいぶ変わる。

*5 主人公のものだけでなく、主人公以外の男と結婚する場合も該当

*6 例としてハーベストムーン基準で見ると「リックとポプリ」は兄妹にしては似てないが、これは元々今作で他人であったため。逆に今作でリックのおじと従兄妹である「ダッド」と「グレイ&ラン」はリックと髪の色が同じという共通点がある。