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【るーとれたー】

ジャンル ミステリーアドベンチャー

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Windows(DMM.com・Steam)
発売元 角川ゲームス
開発元 ハイド
発売日 【PS4/PSV】2016年6月16日
【Win・DMM】2017年3月31日
【Win・Steam】2017年7月7日
定価 【PS4/PSV】
 パッケージ版:4,800円/ダウンロード版:4,300円
 限定版*1:7,800円(各税別)
【Win・DMM】限定版*2:2,980円/通常版:2,480円(各税8%込)*3
【Win・Steam】Deluxe Pack*4:2,478円/通常版:1,980円(各税8%込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 怪作
ポイント ミストさんもびっくりのサイコパス主人公
恫喝で人を脅し怒らせ情報を引き出す斬新(?)な追究
一部に超展開ルートあり
BGMや情景描写など全体的な雰囲気は悪くはない


概要

角川ゲームミステリー第1弾。15年前の高校時代のペンフレンド「文野亜弥」からの開封されなかった11通目の手紙を見つけた主人公・中村貴之*5は、その不穏な内容を見て今更ながらにペンフレンドの安否を探るために休暇を利用して島根へと向かう。
手がかりを握るのはペンフレンドの級友たち。しかし彼らは亜弥のことをタブーとして語ろうとしない。主人公は彼らが隠している15年前の過去を暴くために島根を奔走することとなる。
島根が舞台だけあって、島根県の都市の情景描写がふんだんに取り入れられているなど、期待の新作として注目を浴びていたのだが、発売後は主人公のキャラに悪い方向で注目が集まってしまった。


特徴

  • コマンド選択型アドベンチャーゲームとしてはオーソドックスな作り。
    • 各章の冒頭で文野亜弥からの手紙を読み返し、場所を移動して通行人から話を聞き出し、証拠品を集め、時には考えつつ話を進めていく…の繰り返しとなる。
    • 「手紙パート」では手紙の最後に亜弥へどのような返信を送ったか選択肢が発生し、どの選択肢を選んだかで終盤のシナリオが分岐していく。
      • かまいたちの夜の「〇〇編」と同じく物語そのものが全く異なるものにがらりと変わるタイプ。
    • 亜弥の友人らしき人物に会った時は、相手が隠している過去を暴く「追求パート」が発生し、集めた証拠品を次々と突き付けていく。このパートでのみライフが発生し、コマンド選択でミスすると一つずつ減っていく。
    • 追及を重ねていくと相手は秘密を守るために口をつぐむ状況になる。そうなると理屈ではなく感情を相手に大声でぶつける「マックスモード」へと移行。特定のリズムと共に変わる発言をタイミングをみてボタンを押す。その場にふさわしい発言を選べば相手は観念して話をつづけてくれる。
  • 島根県協力という事もあり、実在する地名が多く登場する。
  • スターシステム*6として、角川ゲームミステリー女優「AYA」「YUKARI」「SHIORI」の三人がゲーム中の登場人物を演じている。

評価点

  • 背景などCGのクオリティが高く、島根の情景描写を美しく感じさせてくれる。
    • こちらの聖地巡礼レポートを見ると、写真と見間違うほどに再現度が非常に高い事が分かる。
    • 食事シーンも適度に取り入れられ、プレイヤーの食欲をも刺激する。
  • BGMも穏やかな曲調が多く、情景描写と相まって癒し効果がある。
  • 蓑星太朗によるキャラクターデザインも魅力的。多くのサブキャラも濃い人物が揃っている。
  • オーソドックスながらゲームのテンポは良く、サクサクと快適に進んでいく。
  • 主人公以外はフルボイスで、声優陣の演技も良い。
    • 女優である「AYA」「SHIORI」「YUKARI」はそれぞれ日高のり子・皆口裕子・井上喜久子といったベテラン勢が演じており、しっとりとした声で演じてくれる。
      • とくにヒロイン「文野亜弥」を演じた日高のり子にとってはベテラン声優で久しぶりのヒロイン役である。
  • 二周目以降は章ごとにその章を丸ごとスキップする機能が付く。
    • マルチエンディングという事もあり、周回がしやすい。
  • 2010年代のゲームにしては珍しく、簡易的ながら紙の説明書が付属している。
    • 電子説明書もこれに倣った作りとなっている。

問題点

  • とにかく主人公の性格が悪い。一言でいえばまるでヤクザである。
    • 「20代のころは建築デザインの会社で働き腕を磨き、30代になってついに独立して自分の事務所をたちあげることができた」という社会的立場の高い大人の設定*7なのに、言動が誰に対しても馴れ馴れしくとても年相応には見えない。
      • 見当違いの人物に対して「ビッチ*8なんだろ」と言って、当然のように怒らせてしまうシーンでも「なんで怒ったんだろう」と人の気持ちを理解しようとしない言動も目立つ。
      • 文野亜弥を探すためとはいえ、ためらいなく職業など経歴を詐称するシーンも見られる。
    • 亜弥の友人達に対しても、正体が誰なのかが解った途端に馴れ馴れしくあだ名で呼んでいく。
      • ちなみに、あだ名はかなりストレートでそれぞれ「メガネ」「サル」「ビッチ」「デブ」「ガリ」「チビ」「親友」。あだ名というよりは身体的特徴から出た悪口に近い。
    • 追究に関しても言動が非常に高圧的かつ、証拠品を見せつつ「お前が〇〇なんだろ」と決めつけるような態度を取ることも相まって、どう見ても恫喝になっている
    • マックスモードに至ってはゲージの上昇と共に発言がどんどん攻撃的になっていく、というより九割方、暴言しか出てこない
      • ただ、マックスモードは「理屈で相手を説得するのではなく、感情をぶつけるための会話」というモードなので、攻撃的な発言になること自体は意図通りの演出である。仕様からしてどうなのか…。
      • さすがに毎回暴言を浴びせていけば追究完了という事になるわけでは無く、度の過ぎた暴言を選ぶと相手が怒って話を聞いてくれなくなる。かといって相手になめられそうな甘い態度をとっても話を聞いてくれないので、ネチネチと相手の心をえぐる言葉をうまく選ぶ必要がある。つまりマックスモードは冗談抜きで上手に恫喝することをゲーム性に昇華した(?)ものとなっている。
    • 基本的な常識を弁えている分、問題のある言動が多いとはいえ冗談抜きでミストさんがマシに見えるレベルと言っても過言ではない。
    • シナリオライターも主人公をひどい性格だと客観的に理解しているらしく、追及される側の人たちからは最低のクズと常に罵られる。
      • 最低主人公作品にありがちな「なぜか作中人物からはモテる」みたいな自己満足な描かれ方が全くされていないのはある意味で特徴的。プレイヤーは目の前にいる人物が主人公にイラついている空気を常に感じ続けることになる。
      • しかし言われる主人公本人は一切気にしない。というより、自分が嫌われていることを気づいておらず、他人からどんな暴言を受けてもなぜか肯定的に解釈する。そして周囲の人物たちは呆れて物が言えなくなってしまい、イライラしながらも主人公に折れてしまうことになる。これがサイコパス主人公などと言われる所以。
    • 公式サイトのお便り紹介ページにおいても主人公の言動を疑問視する意見が掲載されている。
  • 追及される側の級友たちも級友たちで、意固地になって秘密を隠そうとするなど第一印象は悪め。
    • 基本的に秘密を共有する仲間同士以外を信用せず、性格が悪い人しかいない。恫喝でもしないとちゃんと話してくれない連中というのはプレイヤーにもわかるため、主人公がこいつらを追い詰めていくのもそれなりにスカッとするというのは否定できないという声も。
    • 主人公にも共通しているのだが、人物の描写が全体的に足りておらず行動がかなり突拍子も無く見える。
    • 最も描写不足なのがメインヒロインであるはずの文野亜弥であり、ルートによってキャラクター性がまるっきり変わることも相まって、謎めいたヒロインというより電波系のヤバい人みたいな描写になってしまっている。
      • そもそも主人公の手紙の中で級友たちを名前でなく「ビッチ」とか「デブ」とかのあだ名で紹介してる時点で、この子も相当なものである。
    • 結局の所、本作でまともな人物は旅先で出会う赤の他人であるサブキャラクターばかりと言っても過言ではない。特に主人公の宿泊する旅館の仲居である智子ちゃんは『可愛い、働き者、性格良し』と非の打ち所が無いキャラになっており、どう考えてもヒロインを間違っているとしか思えない。
  • シナリオのボリュームは控えめ
    • 各章は1時間弱程で終わり、1周ごとのプレイは約9~10時間程度とボリュームは控えめ。
    • 聞き込みや物品を調べた際の反応などが単調で、アドベンチャーゲームとしての楽しみに総じて欠ける。
      • 「調べる」コマンドで調べられる箇所は多いものの反応は事務的なものばかり。テキストも1行で終わる事がほとんど。
  • 追究パートで追及に失敗しても特にペナルティも無く最初からやり直しとなる。
    • マックスモードでミスしてもライフが減る事は一切無い。
    • 発言も同じような内容が多く、特定の発言を選ぶ必然性が無い。
  • シナリオは中の下程度。
    • ストーリーは全10章となっているが、分岐するのが9・10章のみと大半が共通ルートとなっており描写の整合性に欠けている。
    • エンディングも1ルートごとに1つだけ。要は真相とエンディングだけが変化するようなものである。
    • 一部のルートはそこそこ評価されているが、かなり無茶苦茶な内容のルートも見られている。場面の唐突な挿入も多い。
+ 以下、各ルート紹介。ネタバレ注意。
  • 分岐ルート・エンディングは全部で5種類。うち、2つは2周目から解放される。
    • すれ違いルート。文通相手の正体を知り、所在地を突き止めるものの一足遅く彼女は外国へと旅立っていた。
      • 内容的にノーマルEDといった所。
    • 縁結びルート。基本的な流れはすれ違いルートと同じだが、こちらは無事文通相手と再会を果たす。
      • 内容からしてもトゥルーEDといった位置づけ。
    • 呪いの手紙ルート。9通目から手紙の雰囲気が異様になり、やがて級友たちも次々と不審な死を遂げる。そして主人公も…。
    • 姫が森の姫ルート。文通相手は精神を病んでしまっており、結局所在地も突き止められなかった。そして街へ帰ってきた主人公を待っていたのは12通目の手紙だった。
    • 政府の陰謀ルート。実は文通相手の正体は政府のエージェントの一人であり、級友たちは政府がUFOを回収するのを見ていたため記憶を消されていたという超展開を見せる。最後は政府のエージェントたちに拉致され精神病院らしき場所へと入れられてしまう。
  • このように5分の2ほどかなり突拍子も無いものとなっている。一応、共通ルートにて伏線も出ているものの首を傾げる描写も多い。
    • 確かに過去作のアドベンチャーにも雰囲気が大きく変わるルートもあったが、それらは大抵序・中盤からルートが変わっており、本作のように終盤だけ変わるのは稀であろう。
      • 結末もかなり唐突に締められ、急にエンディングに入るため置いてけぼり感も強い。初見時は唖然とさせられるだろう。
      • 一応スタッフロール後にエピローグも付けられてはいるが、ほとんどが取って付けた感が拭えない。
    • 一方で光るところも無いわけでは無く、きちんと作り込んでいればホラーとしても面白いものとなっていたのではという意見も少なからず見られている。
  • 何故か8章目のみスキップが出来ない。おかげで何度も同じ手順とマックスモードをやらされる羽目になる。
    • 移植のPC版などでは普通にスキップできる。バグだったのだろうか?
  • 1周目クリア後はギャラリーモードが解放され、台本・観光ガイド・楽曲などが閲覧出来るが、それらは最初はロックがかかっているため解放するために周回してさらなるイベントをこなす必要がある。
    • ギャラリー自体は魅力的だが、基本的に特定の順序を移動するだけで終わるため、作業感が強く必要性に欠ける。

総評

美麗なCGやBGM、情景描写など雰囲気ゲームとしてはかなりの高クオリティを誇っている。
しかし、多くの人物の内面描写が足りておらず、特に主人公の言動の悪さは多くのユーザーから問題視され「サイコパス」と評する声も多く出てしまっている。
肝心のシナリオもミステリーとしてみてもホラーとしてみても整合性が取れているとは言い難く、アドベンチャーゲームとしては難がある出来と言わざるを得ない。
主人公の言動やストーリーの破綻した部分にツッコミを入れながら進めていくのが最適な楽しみ方…かもしれない。あまりのぶっ飛び具合に一周回って笑える部分になっているのは確かである。
事実、このゲームのプレイレビューをしているサイトを覗くと、ほとんど(というかほぼ全部)本作のおかしな所に対するツッコミだけで記事が埋まっている。
なお、後述にあるように続編が予定されている。ブラッシュアップすれば化ける可能性も秘めているので期待したいところだ。


余談

  • こんな内容ながら欧州・北米・アジア地域へもローカライズ展開されており、全世界累計で30万本以上とそこそこの売り上げを記録している。(2017年7月13日付プレスリリースより)
    • 発売からしばらくしてPC・スマートフォンへの移植もされた。内容は全く同じであり、安価で買える事くらいしかメリットは無い。
  • 初期案なのか、台本モード閲覧時での一部ルートの第9章時の台本には第10章の分まで入っている。
    • 相違点もあり本編と比べてみるのも一考。
  • 書籍サービスサイト「BCCKS(ブックス)」とのコラボにより、プレイヤーからのオリジナルエンドルートの募集も行っていた。
    • 優秀作品はこちらから閲覧可能。
    • 「七人の影武者ルート」はある意味このゲームのツボを押さえた良作品であり必見。
  • 定額サービス「DMM GAMES 遊び放題」に収録されている。
  • 2018年12月20日に完全版『√letter Last Answer』が発売された。
    • 既存の4ルートに後日談を加え、システムの改善、主人公のパートボイス追加、実写モードへの切り替え機能が実装される。いや、実写は追加しなくてもいいだろ!!
      • ハードには新たにNintendo Switchを加えている。
  • さらに『√letter 2』の制作も『Last Answer』と同時発表された。
  • Akatsuki Entertainment USA, Inc.によるハリウッド映画化、映像制作会社パーフェクトワールド・ピクチャーズによる中国でのドラマ化が決定している。