本ページでは『√letter』と完全版『√letter Last Answer』について紹介しています。判定は『√letter』が怪作、『Last Answer』がバカゲーとしています。



√letter

【るーとれたー】

ジャンル ミステリーアドベンチャー

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Windows7(DMM.com・Steam)
iOS
Android(4.4以上)
発売元 角川ゲームス
開発元 ハイド
発売日 【PS4/PSV】2016年6月16日
【Win・DMM】2017年3月31日
【Win・Steam】2017年7月7日
【iOS/Android】2017年8月25日*1
定価 【PS4/PSV】
 パッケージ版:4,800円/ダウンロード版:4,300円
 限定版*2:7,800円(各税別)
【Win・DMM】
 限定版*3:2,980円/通常版:2,480円(各税8%込)*4
【Win・Steam】
 Deluxe Pack*5:2,478円/通常版:1,980円(各税8%込)
【iOS/Android】
 1,400円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 怪作
ポイント サイコパスにしか見えない主人公
恫喝で人を脅し怒らせ情報を引き出す斬新(?)な追究
一部に超展開ルートあり
BGMや情景描写など全体的な雰囲気は悪くはない
角川ゲームミステリー
√letter(Last Answer) / Root Film

概要

角川ゲームミステリー第1弾。 島根が舞台だけあって、島根県の都市の情景描写がふんだんに取り入れられているなど、期待の新作として注目を浴びていたのだが、発売後は主人公のキャラに悪い方向で注目が集まってしまった。


ストーリー

15年前の高校時代のペンフレンド「文野亜弥」からの開封されなかった11通目の手紙を見つけた主人公・中村貴之(あだ名はマックス)*6は、その不穏な内容を見て今更ながらにペンフレンドの安否を探るために休暇を利用して島根へと向かう。
手がかりを握るのはペンフレンドの級友たち。しかし彼らは亜弥のことをタブーとして語ろうとしない。主人公は彼らが隠している15年前の過去を暴くために島根を奔走することとなる。


特徴

  • コマンド選択型アドベンチャーゲームとしてはオーソドックスな作り。
    • 各章の冒頭で文野亜弥からの手紙を読み返し、場所を移動して通行人から話を聞き出し、証拠品を集め、時には考えつつ話を進めていく…の繰り返しとなる。
    • 「手紙パート」では手紙の最後に亜弥へどのような返信を送ったか選択肢が発生し、どの選択肢を選んだかで終盤のシナリオが分岐していく。
      • かまいたちの夜』の「〇〇編」と同じく物語そのものが全く異なるものにがらりと変わるタイプ。
    • 亜弥の友人らしき人物に会った時は、相手が隠している過去を暴く「追求パート」が発生し、集めた証拠品を次々と突き付けていく。このパートでのみライフが発生し、コマンド選択でミスすると一つずつ減っていく。
    • 追及を重ねていくと相手は秘密を守るために口をつぐむ状況になる。そうなると理屈ではなく感情を相手に大声でぶつける「マックスモード」へと移行。特定のリズムと共に変わる発言をタイミングをみてボタンを押す。その場にふさわしい発言を選べば相手は観念して話をつづけてくれる。
  • 島根県協力という事もあり、実在する地名が多く登場する。
  • スターシステム*7として、角川ゲームミステリー女優「AYA」「YUKARI」「SHIORI」の3人がゲーム中の登場人物を演じている。

評価点

ひきこまれるシナリオ

  • 本作の肝であるペンフレンド「文野亜弥」とクラスメイト達のストーリーであるが、進めていいく内に続きが知りたくなる吸引力のあるシナリオ構成を持っている。
  • 何故クラスメイトは「文野亜弥」を隠すのか?「文野亜弥」は誰なのか?「文野亜弥」は本当に存在するのか……それらの秘密を好奇心を刺激してくれる。
  • 背景などCGのクオリティが高く、島根の情景描写を美しく感じさせてくれる。
    • こちらの聖地巡礼レポートを見ると、写真と見間違うほどに再現度が非常に高いことが分かる。ちょっとした島根観光気分にもひたらしてくれる
    • 食事シーンも適度に取り入れられ、プレイヤーの食欲をも刺激する。
  • BGMも穏やかな曲調が多く、情景描写と相まって癒し効果がある。
  • 箕星太朗氏によるキャラクターデザインも魅力的。多くのサブキャラも濃い人物が揃っている。
  • 島根県が舞台なので出雲弁を喋るキャラが多く、地方感をよく演出している。
  • オーソドックスながらゲームのテンポは良く、サクサクと快適に進んでいく。
  • 詰まっても「考える」コマンドで簡単にヒントが出てきてくれる。
  • 主人公以外はフルボイスで、声優陣の演技も良い。
    • 女優である「AYA」「SHIORI」「YUKARI」はそれぞれ日高のり子氏・皆口裕子氏・井上喜久子氏といったベテラン勢が演じており、しっとりとした声で演じてくれる。
      • 特にヒロイン「文野亜弥」を演じた日高氏にとってはベテラン声優で久しぶりのヒロイン役である。
  • 2周目以降は章ごとにその章を丸ごとスキップする機能が付く。
    • マルチエンディングということもあり、周回がしやすい。
  • 2010年代のゲームにしては珍しく、簡易的ながら紙の説明書が付属している。
    • 電子説明書もこれに倣った作りとなっている。
  • バックログ、スキップといったシステムが搭載している

問題点

  • とにかく主人公の性格が悪い。一言でいえばまるでヤクザである。
    • 「20代のころは建築デザインの会社で働き腕を磨き、30代になってついに独立して自分の事務所をたちあげることができた」という社会的立場の高い大人の設定*8なのに、言動が誰に対しても馴れ馴れしくとても年相応には見えない。
    • 設定上は熱血漢とされており、「熱い気持ちが止まらなくなると、どんな相手にも遠慮せずに本気でぶつかっていく」ということになっているのだが、実際のところは遠慮しないを通り越して侮辱的な言動になってしまっている。
      • 例えば、見当違いの人物に対して「ビッチ*9なんだろ」と言って、当然のように怒らせてしまうシーンでも「なんで怒ったんだろう」と人の気持ちを理解しようとしない言動も目立つ*10
    • そもそも、熱血漢の人間が15年前とはいえ、文通というインドアな趣味を行うというのも設定として合ってない。
      • 文野亜弥を探すためとはいえ、ためらいなく職業など経歴を詐称するシーンも見られる。
    • 亜弥の友人達に対しても、正体が誰なのかが解った途端に馴れ馴れしくあだ名で呼んでいく。
      • ちなみに、あだ名はかなりストレートでそれぞれ「メガネ」「サル」「ビッチ」「デブ」「ガリ」「チビ」「親友」である。あだ名というよりは身体的特徴から出た悪口に近い。というかイジメ。
    • 追究に関しても言動が非常に高圧的かつ、証拠品を見せつつ「お前が〇〇なんだろ」と決めつけるような態度を取ることも相まって、どう見ても恫喝になっている。
    • マックスモードに至ってはゲージの上昇と共に発言がどんどん攻撃的になっていく、というより九割方、暴言しか出てこない。
      • ただ、マックスモードは「理屈で相手を説得するのではなく、感情をぶつけるための会話」というモードなので、攻撃的な発言になること自体は意図通りの演出である。仕様からしてどうなのかと言わざるを得ないが。
      • さすがに毎回暴言を浴びせていけば追究完了になるわけでは無く、度の過ぎた暴言を選ぶと相手が怒って話を聞いてくれなくなる。かといって相手になめられそうな甘い態度をとっても話を聞いてくれないので、ネチネチと相手の心をえぐる言葉をうまく選ぶ必要がある。つまりマックスモードは冗談抜きで上手に恫喝することをゲーム性に昇華した(?)ものとなっている。
    • シナリオライターも主人公をひどい性格だと客観的に理解しているらしく、追及される側の人たちからは最低のクズと常に罵られる。
      • 最低主人公作品にありがちな「なぜか作中人物からはモテる」みたいな自己満足な描かれ方が全くされていないのはある意味で特徴的。プレイヤーは目の前にいる人物が主人公にイラついている空気を常に感じ続けることになる。
      • しかし、言われる主人公本人は一切気にしない。というより、自分が嫌われていることを気づいておらず、他人からどんな暴言を受けてもなぜか肯定的に解釈する。そして周囲の人物たちは呆れて物が言えなくなってしまい、イライラしながらも主人公に折れてしまうことになる。これがサイコパス主人公などと言われる所以。
    • 公式サイトのお便り紹介ページにおいても主人公の言動を疑問視する意見が掲載されている。
  • 級友たち
    • 追及される側の級友たちも級友たちで、意固地になって秘密を隠そうとするなど第一印象は悪め。
    • 基本的に秘密を共有する仲間同士以外を信用せず、性格が悪い人しかいない。恫喝でもしないとちゃんと話してくれない連中というのはプレイヤーにもわかるため、主人公がこいつらを追い詰めていくのもそれなりにスカッとするというのは否定できないという声も。
    • 主人公にも共通しているのだが、人物の描写が全体的に足りておらず行動がかなり突拍子も無く見える。
    • 最も描写不足なのがメインヒロインであるはずの文野亜弥であり、ルートによってキャラクター性がまるっきり変わることも相まって、謎めいたヒロインというより電波系のヤバい人みたいな描写になってしまっている。
      • そもそも主人公の手紙の中で級友たちを名前でなく「ビッチ」とか「デブ」とかのあだ名で紹介している時点で、この子も相当なものである。
    • 最終的にも何故このあだ名なのか?何故級友たちはこの悪口地味たあだ名を受け入れるのか?判明しておらず、シナリオの完成度の低さの一因となっている。
    • 結局の所、本作でまともな人物は旅先で出会う赤の他人であるサブキャラクターばかりと言っても過言ではない。特に主人公の宿泊する旅館の仲居である智子ちゃんは「可愛い、働き者、性格良し」と非の打ち所が無いキャラになっており、どう考えてもヒロインを間違っているとしか思えない。
  • シナリオのボリュームは控えめ
    • 各章は1時間弱程で終わり、1周ごとのプレイは約9~10時間程度とボリュームは控えめ。
    • 聞き込みや物品を調べた際の反応などが単調で、アドベンチャーゲームとしての楽しみに総じて欠ける。
      • 「調べる」コマンドで調べられる箇所は多いものの反応は事務的なものばかり。テキストも1行で終わることがほとんど。
  • 追究パートで追及に失敗しても特にペナルティも無く最初からやり直しとなる。
    • マックスモードでミスしてもライフが減る事は一切無い。
    • 発言も同じような内容が多く、特定の発言を選ぶ必然性が無い。
  • シナリオは中の下程度。
    • ストーリーは全10章となっているがルート分岐制のシステムを持つ。各章の冒頭の「手紙パート」で選んだ選択肢によって終盤の9・10章の内容がガラリと変わるというもの。
    • トゥルーエンディング扱いとなる本筋のルートはそこそこ評価されているが、それ以外についてはかなり無茶苦茶な内容も見られている。場面の唐突な挿入も多い。
      + 以下、各ルート紹介。ネタバレ注意。
    • ルートは全部で5種類。ルートのうち、2つは2周目から解放される。
      • すれ違いルート。文通相手の正体を知り、所在地を突き止めるものの一足遅く彼女は外国へと旅立っていた。
        • 謎の多くは明かされないままとなるが、後味はそんなに悪くなく、他のルートと比べて地に足がついた現実的な終わり方をするので、ノーマルEDといった所。
      • 縁結びルート。基本的な流れはすれ違いルートと同じだが、こちらは無事文通相手と再会を果たす。2周目から解放されるルート。
        • 内容からしてもトゥルーEDといった位置づけ。エンディング曲もこのルートのみ特別なものが流れる。
      • 呪いの手紙ルート。9通目から手紙の雰囲気が異様になり、やがて級友たちも次々と不審な死を遂げる。そして主人公も…。
      • 姫が森の姫ルート。文通相手は精神を病んでしまっており、結局所在地も突き止められなかった。そして街へ帰ってきた主人公を待っていたのは12通目の手紙だった。
      • 政府の陰謀ルート。実は文通相手の正体は政府のエージェントの1人であり、級友たちは政府がUFOを回収するのを見ていたため記憶を消されていたという超展開を見せる。最後は政府のエージェントたちに拉致され精神病院らしき場所へと入れられてしまう。2周目から解放されるルート。
      • 基本的に「縁結びルート」が本筋となっており、それ以外のルートははっきりいってオマケ扱い。
        • これらのサブルートのうち、ノーマルED扱いの「すれ違いルート」はそんなにおかしくないのだが、それ以外の3ルートはいきなりホラー展開になって唐突感がすごい。結末もかなり強引に締められ、急にエンディングに入るため置いてけぼり感がある。初見時は唖然とさせられるだろう。
        • 端的に言えば、これらのホラー系ルートは、9章と10章だけで独立した内容となっていてそれまでの8章までの展開とほとんどつながっていない。そして9章と10章だけでは物語の全貌を語りきれずに尻切れトンボになって終わってしまっているのだ。
          • 一応、共通ルートではサブルートのホラー要素に関する伏線も出ているものの首を傾げる描写も多い。
          • 確かに過去作のアドベンチャーにも雰囲気が大きく変わるルートもあったが、それらは大抵序・中盤からルートが変わっており、本作のように終盤だけ変わるのは稀であろう。
          • 一応スタッフロール後にエピローグも付けられてはいるが、ほとんどが取って付けた感が拭えない。
        • 一方でサブルートのプロットには光るところも無いわけでは無く、きちんと作り込んでいればホラー作品として面白いものとなっていたのではという意見も少なからず見られている。
    • ちなみに、本作のシナリオライターは作家の藤ダリオ氏。角川ゲームズの安田社長が「しっかりしたミステリーを書ける方」として自ら抜擢されたそうなのだが…。
      • さすがにプロ作家だけあって日本語の文章としておかしいとかそういう問題はなく、むしろライトノベル感覚でさくさく読めるのでそこは評価できるところ。
  • 一度クリアした章は手紙パート以外はスキップが可能なのだが、何故か第8章のスキップが出来ない。
    • おかげで周回するときは何度も同じ手順とマックスモードをやらされる羽目になる。
    • 移植のWin版などでは普通にスキップできる。バグだったのだろうか?
  • 1周目クリア後はギャラリーモードが解放され、台本・観光ガイド・楽曲などが閲覧出来るが、それらは最初はロックがかかっているため解放するために周回してさらなるイベントをこなす必要がある。
    • ギャラリー自体は魅力的だが、基本的に特定の順序を移動するだけで終わるため、作業感が強く必要性に欠ける。

総評

美麗なCGやBGM、情景描写など雰囲気ゲームとしてはかなりの高クオリティを誇っている。
しかし、多くの人物の内面描写が足りていない上に、主人公の言動の悪さが多くのユーザーから問題視され「サイコパス」と評する声も多く出てしまっている。
肝心のシナリオもミステリーとしてみてもホラーとしてみても整合性が取れているとは言い難く、アドベンチャーゲームとしては難がある出来と言わざるを得ない。

幸か不幸か(?)、あまりのぶっ飛び具合に一周回って笑える要素に昇華されていると言ってもいいレベルではあるので、主人公の言動やストーリーの破綻した部分にツッコミを入れながら進めていくのが最適な楽しみ方…かもしれない。


余談

  • こんな内容ながら欧州・北米・アジア地域へもローカライズ展開されており、全世界累計で60万本以上とそこそこの売り上げを記録している(参照)。
    • 発売からしばらくしてPC・スマホへの移植もされた。内容は全く同じであり、安価で買えることくらいしかメリットは無い。
    • 2021年現在、スマホ版は後述の完全版の影響もあるのか配信を停止している。
  • 初期案なのか、台本モード閲覧時での一部ルートの第9章時の台本には第10章の分まで入っている。
    • 相違点もあり本編と比べてみるのも一考。
  • 書籍サービスサイト「BCCKS(ブックス)」とのコラボにより、プレイヤーからのオリジナルエンドルートの募集も行っていた。
    • 優秀作品はこちらから閲覧可能。
    • 「七人の影武者ルート」はある意味このゲームのツボを押さえた良作品であり必見。なお作者はプロの小説家だが、そのことを知らなかった藤ダリオ氏からは好意的な意味で「小説なども書いてみてください」と評されている。
  • 定額サービス「DMM GAMES 遊び放題」に収録されている。
  • Akatsuki Entertainment USA, Inc.によるハリウッド映画化、映像制作会社パーフェクトワールド・ピクチャーズによる中国でのドラマ化が決定している。
    • 映画版はプロジェクトをAMMO Entertainmentに委託した後、2022年9月1日にアメリカのiTunes、Amazon Primeで公開された。現在のところ、日本から購入・視聴することはできない。

その後の展開

  • 2018年12月20日に完全版『√letter Last Answer』がSwitch/PS4/PSVで発売された。
    • 既存の4ルートに後日談を加え、システムの改善、主人公のパートボイス追加、実写モードへの切り替え機能が実装される。いや、実写は追加しなくてもいいだろ!!

√letter Last Answer

【るーとれたー らすとあんさー】

ジャンル ミステリーアドベンチャー


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
Windows 7/8/10(Steam)
発売元 角川ゲームス
開発元 ハイド
発売日 【Switch/PS4/PSV】2018年12月20日
【Win】2019年9月3日
定価 パッケージ版:5,480円(税抜)
ダウンロード版:4,980円(税込)
【Win】3,490円(税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 バカゲー
ポイント まさかの実写モード追加
主人公に音声追加で印象が大きく改善

概要(Last Answer)

追加要素を交えた移植作品で実質完全版に当たる。大きな追加要素は以下の3つ。

ドラマモード

  • グラフィックにCGではなく実写を使った「ドラマモード」を選択できるようになった。
    • 山本あこ氏、吉崎綾氏、月野もあ氏が演じるヒロインを始めとする実写キャストは総計で90人に及ぶ。
    • 実写での衣装監修はデザイナーのコシノジュンコ氏が担当。
    • ドラマモードでは背景グラフィックも島根県で新撮した実写となる。

主人公に声が追加

  • 主人公にも声がついた。声優はベテランとして知られる山寺宏一氏。

後日談の追加

  • 各ルートに「解明編」と呼ばれる後日談が追加されている。
    • 解明編はタイトルの「エクストラ」から入ることができる。コマンド選択のない一本道のノベル形式だが、マックスモード時の演出なども再現されている。
    • 解明編もドラマモードによる実写か、従来のCGかを選択可能

これより以下、もともとの作品である『√letter』については「無印」と称する。


評価点(Last Answer)

  • 声がついたことによる主人公の印象の変化。
    • 山寺氏の熱演のおかげで、主人公の設定上の性格である「熱血漢」のイメージがわかりやすく押し出され、サイコパス感はかなり薄れた。
      • しかし、実際のところは主人公の言動自体は無印と全く変わってない。
    • だが、文章だけだと上から目線の恫喝にしか思えない言動も、声の演技が加わると「熱い思いがあふれ出て、真正面から相手にぶつかろうとしている」という感じに聞こえてしまうのである。声がない時とは印象はまるで別人。
      • まあ、要するに熱血演技の勢いに騙されてしまっているとも言えるが。
  • 島根の美しい情景がよりリアルに
    • 実写背景を使ったドラマモードで描かれる、島根の映像美は圧巻。
    • 背景画像は8Kカメラで撮影されており、PS4 Proだと4K/HDRで島根を堪能できる。
  • 周回がしやすくなった
    • 無印の問題点にもあげられていた、8章のスキップができない問題だが、『Last Answer』ではスキップ可能に。
    • 他にも3章の冒頭がスキップ可能になり、2周目以降はすぐに手紙の選択肢に入れるようになった。
  • UIの改良
    • 無印では順・逆順送りしか出来なかったアイテム選択が、『Last Answer』ではマス目区切り形式になっており煩わしさが軽減している。

賛否両論点(Last Answer)

  • 実写のドラマモードの演技がかなりのオーバーリアクション。わかりやすくいうと吉本新喜劇レベル。
    • 実写といっても動きのない写真なので、感情表現をわかりやすくするためには仕方ないところ。
    • 1つ確かなのは、この過剰なリアクションのせいでどの場面もギャグっぽくみえてしまうところである。
    • シリアスなシーンであるほどに俳優たちの変顔にどうにも笑えてしまう。
    • だが、これはこれで一周廻ってバカゲーとして味が出てるとの評価もある。
  • 解明編は人によっては蛇足感を感じるところも。
    • 無印で明かされなかった謎が解けはするのだが、新たな謎や矛盾が出てきてしまっている話も多い。

問題点(Last Answer)

  • 実写のドラマモードについて、いくつか実写の魅力を生かし切れてないところがある
    • 声優が元のまま。このせいで強い違和感を感じる人は多い。
    • 構図の問題。CGでのキャラの「立ち絵」の構図を実写でもそのまま再現しているので、みんな不自然に棒立ちに見える。
      • また、文章と印象が異なっている演技や役者も見られている。
    • 15年前との差別化が弱い。無印では「15年前の学生時代と現在とでは外見のイメージが一致しない」ことが作品の重要な点となっていたが、実写では一部を除き同じ俳優が15年前を再現しているので、そこまで大きく変わった感じに見えない。
      • ハリウッド映画くらいの予算があれば、特殊メイクをしたり、俳優の顔をCG加工して若いころや加齢の状態を作り出すのだろうが、残念ながら本作ではそこまではやれていない。
      • 一応、メイクの工夫で年齢変化が感じられるようにはしている。
  • 主人公の声がパートボイス
    • ゲームのキモであるマックスモードにあたる場面ではちゃんと声がついているが、それ以外の場面では声があったりなかったりと統一感が無い。
    • もともと、主人公のセリフが心中の一人言なのかちゃんと声でしゃべっているかの区別があまりできていないテキストだったので、そこがよくわからない部分は声を入れなかったのだと思われる。
    • 例えば日常会話の受け答えをシリアスな場面でも利用することがあり違和感がある。

総評(Last Answer)

中の下あたりなシナリオ自体は変わってないが、物議をかもした主人公のサイコパスなイメージを、声優の演技だけで覆そうという奇策は功をなしたと言えるだろう。
「変人ではあるが、どこか憎めない奴」とは思えるようなコミカルな熱血キャラへと印象は様変わりしている。
かなりの予算をかけて実写モードを追加するなどは誰得と言われるかも知れないが、実写モードの島根の情景美は本当に素晴らしい出来である。
理解不能なサイコパス感が薄れたことと、オーバーリアクションが笑いを醸し出す実写モードの存在などから、怪作というよりバカゲーにシフトした本作だが、これから触れるならばこちらの方が快適にプレイできるだろう。


余談(Last Answer)

  • シシララTVにて発売前の先行プレイとしてネット番組「『√Letter ルートレター』を作った人と実況」が配信されていた。
    • その際に、ゲストとしてゲームブロガー兼ライターとして知られるDAIKAI-6ことラー油氏が呼ばれていた。
    • 氏は無印について辛口レビューをネタ混じりで書いており、このレビューを踏まえた上で呼ばれたことに大変驚いたらしい(参照)。
      • 実際の番組内でも主人公のぶっ飛んだ言動へのツッコミが上がっており、メーカー自ら「『√letter』は怪作」と認めているのかもしれない。
  • AYAの実写版を演じたアイドルの山本あこ氏が2021年に「未成年飲酒・キャバクラ勤務が発覚・新型コロナウイルス濃厚接触者にもかかわらず頻繁に無断外出」という度重なる素行不良で所属事務所から契約を解除されている*11
    • ゲーム自体とは無関係であり、収録した時点でも素行に問題があったという証拠はないのだが「もしかして本当にビッチだったのか?」とネタにされる始末となった。
  • 政府の陰謀ルート解明編のあるマックスモードを3段階目で発動した時に、山寺氏の「必殺!ザンネ・アクーテ!」のアツい叫び声と共に突然流れる謎の美少女のカットインは、角川ゲームスが2016年から本作の発売直前の2018年7月にかけて運営していたソーシャルゲーム『スターリーガールズ』のメインキャラ「シリウス」の必殺技を流用したネタである。
    • 本作のハリウッド映画版が発表された際のイベントで、スターリーガールズの後継作品として『PROJECT STELLA』と『プロジェクト・エウロパ』という2つの作品が発表されたのだが、未だに音沙汰無しとなっている。角川ゲームスが消滅した現在、配信は絶望的だろう。

その後の展開(Last Answer)

  • 角川ゲームミステリー第2弾『Root Film』がSwitch/PS4で2020年7月30日に発売された。
    • 「『√Letter』の流れを汲む角川ゲームミステリー最新作」とのことで直接的な続編ではない模様。
      • もともとは「√letter 2(仮称)」というタイトルで、『Last Answer』と同時に制作発表されていた。
    • シナリオは『クロックタワー』や『御神楽少女探偵団』などで知られる河野一二三氏に交代。キャラクターデザインの箕星太朗氏やヒロインを演じる声優の日高のり子氏と皆口裕子氏(及びキャラクター)は続投は決定している。
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最終更新:2023年11月11日 21:57

*1 現在は配信停止。

*2 特製ケース・サウンドトラック・便箋セット・アートブック付き。

*3 次回作キャラクターオーディション投票権・アートブックPDFファイル付き。

*4 初回キャンペーン時でのみ1,000円引きで販売。

*5 アートワーク付き。498円でバラ売りもされている。

*6 名前は変更可能だが、どんな名前にしても「マックス」というペンネームで文通していたという設定がつき、作中ではだいたいそのあだ名で呼ばれる。

*7 登場人物を役者として見立て様々な作品に出演させる手法。漫画家・手塚治虫が自身の作品に頻繁に使っていた事で有名。

*8 現在の年齢ははっきりとは描写されてないが、15年前に高校生だったので最低でも31歳である。

*9 文野亜弥の友人である女子生徒のあだ名。

*10 「ビッチ」はスラング英語で「あばずれ」「売女」という意味で、英語圏では放送禁止用語となっているほど侮辱的な汚い言葉である。

*11 当作発売時点で14歳、契約解除された時点で18歳である。