七つの大罪 真実の冤罪

【ななつのたいざい あんじゃすと・しん】

ジャンル 大罪アクションADV
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DSカード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 セブンスコード
発売日 2015年2月11日
定価 5,690円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
セーブデータ 3つ
判定 なし
ポイント 局所的だが高い再現度
単調なゲーム構造が人を選ぶ
少年マガジンシリーズリンク


概要

『週刊少年マガジン』に連載されているファンタジーバトル漫画『七つの大罪』は人と人ならざる者が分かたれていなかった古代を舞台とし、王国転覆の濡れ衣を着せられ追われる身となった7人の元王国聖騎士「七つの大罪」と、彼らをめぐる陰謀を描いている。
本作はこの『七つの大罪』のアニメ化に合わせて、制作されたアクションアドベンチャーゲームである。
前半は原作アニメ通りのシナリオ展開だが、ゴウセルとの邂逅以降はオリジナル展開が繰り広げられる。

システム

ゲームの流れ

  • クエスト
    • クエストによって一区切りされているステージをクリアしていくのが大まかな流れ。
      • 本編に沿ったメインクエスト、および本編とは関連が薄いシナリオ展開のあるサブクエストにて、横スクロールアクションを攻略していくことになる。
      • クエストの開始終了時や、マップチェンジ時などにストーリーがテキストとキャラの挿絵でストーリーが繰り広げられる。
    • 最初はメリオダスしか使用できないが、シナリオ(クエスト)を進めることで仲間のバトルメンバーも次第に増えていく。
  • マップ構造
    • クエストで攻略することになるマップは、時折寄り道ができる程度の一本道構造。
    • 所々にエリアチェンジする場所があるが後戻りはできない。また、道中に出る敵は全滅させないと先に進めない。
    • 端的に表現するなら、奥行きのある横スクロールアクションといったところ。

操作方法

  • クエスト受諾から完了まで
    • クエストは基本的にバトルメンバーを2人選んで挑戦することになる。
    • 操作できるのは1人だけ。交代することは可能。
    • 2人とも戦闘不能になるとクエスト失敗。失敗や途中リタイアすると経験値とアイテムはもらうことができる。
    • サブクエストはクリアの義務はないが、原作を補完するシナリオを閲覧できたり、新しい衣装コンテンツの特典がついていたりする。
    • 受けたダメージの大小といった要素からクリア時の評価がつけられる。この評価が高いほど、取得できる経験値、金貨、ボーナスにプラス補正がかかる。
      • 最高の評価Sに続いてA、B、C、さらにリタイアおよび失敗したときに与えられるD評価がある。
  • アクション
    • 方向キーorスライドパッドで移動、ジャンプができる。
    • 攻撃手段は基本的に、弱攻撃(作中ではアタック/ブロウ)、強攻撃(作中ではアーツ)、特殊動作の3種類。また弱攻撃はため打ちが可能。
      • 方向キーorスライドパッドで攻撃の向きや種類を決定できる。基本的には↑方向と攻撃アクションを組み合わせることで打ち上げ攻撃となり、逆に↓方向と組み合わせることでたたきつけ攻撃となる。
    • 防御にはダメージを軽減効果がある。防御成功直後に弱攻撃するとカウンター攻撃となり、のけぞらずに攻撃を出すことが可能。
    • アクション実行中および攻撃を受けている途中以外であれば、対応したボタンの短押しで控えのキャラといつでも交代できる。長押しすると操作キャラを交代したのちに、先ほど操作していたキャラと一定時間共闘することになる。
    • 攻撃の強弱、防御、交代のボタンはプレイヤー好みに配置しなおすことが可能。
+ プレイヤブルキャラの性能
  • メリオダス
    • 攻撃の速度・威力・ノックバックが揃って高いため使いやすい。
    • 敵の魔法による必殺技を完全に打ち返す「 全反撃 (フルカウンター)」が強力。一部のボスはこのフルカウンターの有無で難易度が大きく変動してしまう。
  • ディアンヌ
    • 攻撃ペースは遅いが高火力で広範囲の攻撃と強いノックバック性が魅力。背が高いため飛行する敵もたやすく攻撃に巻き込むことができる。
    • 固有技は目の前に巨大なアリ地獄を生成する「 砂の渦 (サンドワール)」。
  • バン
    • 攻撃速度は高いが威力とノックバック性は弱い。
    • 防御ができないかわりにバックステップによる回避を使える。また時間経過で体力が自動的に回復する。非戦闘時ほど回復が早い。
    • 固有技は「 身体狩り (フィジカル・ハント)」。敵の能力を一時的に奪って自身を強化できるが、時間がたつと反動で弱くなってしまう。なお、敵から継続的に奪い続けることで強化状態を半永久的に維持はできる。
  • キング
    • 強攻撃は↑or↓の入力と組み合わせて切り替えることができる。武器は切り替えに応じて、近接特化でノックバックさせやすいクマのぬいぐるみ型の「 守護者 (ガーディアン)」、射程と威力に特化した槍型の「 霊槍 (ジャスティフォル)」に変化。
    • 弱攻撃も武器の形状に依存し、最後に使用した強攻撃に応じて技の出方が変化する。
    • 固有技は空中浮遊。一定時間空中に避難することができる。
  • ゴウセル
    • 神器「双弓リーハット」を得物としており、射程はキャラクター中最長。
    • 固有技は特にない。固有技に該当するコマンドを入力すると、弱攻撃のスタイルを近接格闘か射撃に切り替えることが可能。
    • ゲームバランスを考慮してか、敵の心を操作して行動を制限するといった芸当は本作では使えない。
  • ホーク&エリザベス
    • 固有技としてエリザベスを載せる・降ろすというアクションができる。この間ホークは一部の強攻撃が使えなくなるが、代わりにダッシュ移動に攻撃判定が生まれる。
    • エリザベスはホークに乗っている間は自動回復するほか、案外打たれ強いので囮としての利用も可能。
    • エリザベスは控えに戻すことはできず、彼女が倒れると残りのキャラの安否に関係なく即ミッション失敗となる。
  • パラメータ
    • 体力、攻撃力、魔力、防御力のパラメータが存在する。
    • レベルアップのほか、装備による補強が可能。強攻撃は使い込むことで性能が向上していく。
  • その他アイテムによる補助
    • 宝箱がマップに設置してある場合と、敵が落としていく場合がある。宝箱からはジェムや登場したクエスト内のみで効果がある、もしくは即時性の回復アイテムが手に入る。
    • ジェムは大まかには装備品およびキャラのパラメータを上げる効果があり、敵や物がドロップする素材、金銭によって強化することも可能。
    • クエスト外の戦闘準備では、1クエストにつき回復アイテムを4種類まで、かつ1種類につき5個まで持たせることができる。こちらは金銭を支払って仕入れてくる必要がある。
    • また次に行うクエストのみで効果が発揮される「料理」というドーピング手段もある。こちらはデメリットもあるので利用は計画的に。
  • 難易度調整
    • 「カジュアル」「ノーマル」「ハード」の3種類。
    • 難易度を上げると敵の体力と攻撃ペースが上昇し、道中で拾える回復アイテムが減少する。
  • クリア後
    • メインクエスト「真実の冤罪」でボスを倒すとゲームを一通りクリアしたことになる。
    • クリア前には存在しなかった高難易度ver.が追加されるほか、本編に未登場だった七つの大罪の一人「マーリン」がサブクエストのシナリオに登場するようになる。

評価点

  • 部分的ではあるが、原作に対する忠実性が高い
    • 原作の七つの大罪の構成メンバーの能力やその名称が、アクションの技名やスキル名として効果的に登場している。
    • 戦闘準備における料理の担当はバン、アイテムの仕入れ係はキングといったところも再現されている。またゴウセルの能力で今まで倒した敵や手に入るアイテムが閲覧できるというシステムもある。
    • 途中からオリジナル展開になるが、原作であった出来事は取り漏らすことなくテキストできちんと回収しており、食い違いもあまり起こらない。
    • ミッションの関係でオリジナルストーリーも登場するが、きちんとキャラの設定や印象を守っている。
  • キャラゲーとして
    • 立ち絵はアニメ版準拠となっており非常に表情豊か。ボイスに合わせて口が動いたり、不定期にまばたきもするので自然に仕上がっている。
    • 会話劇・ナレーションの全てにボイスが当てられている。原作アニメ通りのキャストのまま、原作にはない場面やセリフも新規でアフレコされている。クエストで戦闘に登場していないお供のキャラも細かく喋ってくれる。
    • 途中からオリジナルストーリーとなるが、そこに登場するオリジナルキャラやカットもきちんと用意されている。
    • 特典衣装といったファンサービスも欠かかさない。
  • アクションの基本的な部分
    • キャラの動きに原作の個性がきっちりと反映されており、キャラごとで全く別の立ち回りを求められるようにはなっている。
    • ボタンの対応を自由にカスタマイズできるので、他の対戦格闘ゲームと同じような感覚でプレイするのも不可能ではない。

問題点

システム面

  • 敵の能力値
    • 対峙する雑魚敵がもれなくやたらと硬い。これは「アクションが苦手な人向け」という触れ込みの難易度「カジュアル」でも該当する。
    • 具体的には、20発攻撃をあてないと倒せないことがザラであり、最序盤ですら10発前後殴りつける必要がある。強敵格になると100発前後は必要になってくる。
    • このため爽快な無双といったことができず敵に囲まれやすい。ジャンプで的確に抜け出す方法を身に着けないと、囲まれてハメられることもよくある。
      • よってマップの端に陣取り、リーチ・攻撃範囲に優れノックバック性能の高い技で連発・ゴリ押しするスタイルが安全策として落ち着いてしまう。
    • (ある意味原作再現ではあるが)聖騎士関連のボスの火力が異様に高くまたこちらの攻撃にひるみにくい。
      • よほどか読みを交えたアクションが得意でない限り、回復アイテム等でゴリ押しがなしでは敵の攻撃力に押し負けてしまう。
      • カウンターができるメリオダス以外は、とれる行動が攻撃と防御の2種類しか用意されておらず、掴み技のような防御をくずす手段に乏しいのもバトルが停滞しやすい原因。
  • システムの説明がやや難解
    • 最初のミッション中にアクション操作説明がなされる。しかし一部の成長システムについてもここでさらっと説明してしまう。
    • 装備やパラメータ強化に関しては、準備画面で説明されることになるが、有効なチュートリアルといったものも存在しない。物理攻撃力や魔法力というパラメータが存在するのだが、正直どの攻撃が物理でどの攻撃が魔法なのかが直感的にわかりにくい。
    • こういった操作説明に関して、コンフィグで再閲覧可能なことが明言されていないのでやや不便。
  • 固有技の優遇・不遇
    • メリオダスの固有技「全反撃」の効果がかなり優秀なので、その他のキャラの固有技が見劣りしがち。
    • キングの「浮遊」は彼自身の斜め下に攻撃する手段の乏しさからあまり役に立たず、ゴウセルに至っては弱攻撃の仕様の切り替えをするだけなので、事実上存在しないに等しい。
  • 単調なゲーム設計
    • マップの構造が時々分岐を挟む一本道といった非常に単純な構造のため、原作のストーリーを抜きでゲーム性だけ見るとかなり変わり映えに欠ける内容である。
    • またこの一本道ゲーム内でやることの8割近くは、危険な動物や幽霊といった原作にはほとんど登場しないキャラを蹴散らすというもの。
    • ザコ戦でも上記のように固くさらには大勢現れるために長期戦は避けられない。ミッションにはリスタート地点が一切ないので、途中でミッション失敗になることも考えるとテンポも悪い。
    • ザコ敵との戦闘の持つ体感的なボリュームが高く、シナリオにあまり集中できない。
  • 宝箱の仕様
    • なぜかトラップ(毒ガス、爆弾)がしかけられているものがある。見分ける手段は無い。すばやく走り抜けながら開くことで発動したトラップによる被害を回避する事はできるが、ゲームに登場させる必要があったのかが正直なところ疑問。
    • 強敵のミミックに変化するパターンもある。この敵は多彩な状態異常攻撃を仕掛けてくるうえに時間をかけすぎると自爆して大ダメージを与えてくる。
      • もちろんミミックもモンスターとしてカウントされているので、ミミックを一度開こうものなら退治するか自爆するまでは別の場所に行けなくなる。ここまでくるともはや嫌がらせの域。

シナリオ面

  • 演出の物足りなさ
    • 物語の忠実性は高いが演出面での再現度はあまり芳しくない。アニメーションといったものは挟まれず、ナレーションが簡潔な文章で説明しきってしまうので臨場感が非常に弱い。
      • 体感的には原作を知っている人にとっての物語のおさらいといったところであり、知らない人からすればサイドストーリーが十分に再現されていない、もしくはナレーションなどで後から補足的に説明されるため、唐突な展開に感じられたりする場合も。
      • 原作本編で堂々と登場したシナリオにもかかわらず、尺の都合なのかメインクエストではなくサブクエストで補完されるものもある。
    • 原作(とくにアニメの序盤)では、主要キャラの名称付きの技が一旦発動してしまえば即戦闘終了することも多く強力な印象があるのだが、ゲームではそれをザコ敵に何十発も叩き込むことになる。
    • モーションとエフェクトで、キャラのアクションや動きを再現しにかかっているところは十分見受けられるが、性能面の再現度はほぼ皆無。
    • マップの狭さも手伝って、アニメではあれだけ迫力のあった戦闘シーンも本作では非常にこぢんまりしている。
    • ゲーム内に登場する聖騎士もシナリオ同様にナレーションで存在を説明されるだけで済まされるキャラも多い。聖騎士といった中ボス格とのタイマンも少ないわけではないが、原作特有のスケールの大きな対戦格闘を期待すると物足りない。
  • オリジナル展開の弊害
    • 本作の後半からオリジナル展開になるのだが、いままでの原作の流れと接合が若干うまくいっていない。
    • 特に途中で聖騎士の一人ギルサンダーが、メリオダス達と敵対しなくてはならない理由についての描写が不足している。
    • また、本作のラスボスは原作の後の話に登場するキャラであり、原作における動向と本作の描写と食い違いが起きている。

総評

キャラゲーとして凝っている部分はいくつかあり、昨今の作品のなかでは比較的しっかり作りこまれている部類といえるだろう。
しかしアクションゲーとしてみると、偏ったゲームバランスのために決して気楽にできるゲームではなく、原作のファンに薦められるゲームかどうかは微妙なところ。
努力はかなり認められるのだが独特の戦闘スタイルをもつ原作は、3DSでのゲーム化には向かなかった感が否めない。

+ タグ編集
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  • バンダイビジュアル
  • 2015年
  • 3DS

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最終更新:2024年03月23日 15:56