ドラゴンボールZ バーストリミット
【どらごんぼーるぜっと ばーすとりみっと】
ジャンル |
3D対戦アクション |
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対応機種 |
プレイステーション3 Xbox 360 |
発売元 |
バンダイナムコゲームス |
開発元 |
ディンプス |
発売日 |
2008年6月5日 |
定価 |
7,800円(税5%込) |
プレイ人数 |
1~2人 |
レーティング |
CERO:A(全年齢対象) |
判定 |
クソゲー
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ポイント |
少なすぎるキャラ数 ブウ編すらない浅いストーリーモード 大味な対戦バランス |
ドラゴンボールゲームリンク
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概要
ドラゴンボールシリーズ初の、PS3・Xbox360専用ソフト。
広いフィールドを動き回りながら戦う『
Sparking!』シリーズとは異なり、『
ドラゴンボールZ3』の様に狭いフィールドの中で地上戦・空中戦の応酬を行うシステムとなっている。
開発スタッフの
インタビュー
によると、「ゲームとアニメの融合」を開発のミッションとして掲げ、開発中も原作やアニメを見ながら製作が進められた作品とのことであったのだが…。
問題点
- キャラ数の少なさ。
- 全21人と、セガサターンの『ドラゴンボールZ 真武闘伝』やPS2の『ドラゴンボールZ』(第1作)をも下回る。
- ストーリー自体が収録されていない魔人ブウ編のキャラは当然いない。
- その他、フリーザ編ではドドリアとザーボンがいない、ギニュー特戦隊はギニューとリクームのみ、セル編はドクター・ゲロと19号がいない、アニオリキャラはバーダックとブロリーのみと、中途半端な人選が目立つ。
- 本作同様の問題点を指摘されていたPS2版第1作では、NPCキャラも音声付きでムービーに登場していたりと、原作再現に力が入れられていた。しかし、本作ではプレイヤーが操作できるキャラのみで物語を進行させており、未登場キャラの存在自体がほぼ抹消されている。
- ストーリーモード「Zクロニクル」の問題点
- 原作準拠のストーリーはサイヤ人編からセル編までしかなく、なぜか魔人ブウ編が収録されていない。
- PS2版でも1作目はセル編まで収録で2作目からブウ編のキャラを小出しに追加していたので、今回もシリーズ化されれば同じ事をするつもりだったのだろうが結局続編は発売されなかった。
- 当のサイヤ人編からセル編までのストーリーも、前述のキャラ数の少なさからかなり端折られていたりと手抜きな点が目立つ。
- キャラの衣装は1種類しかなく、悟空の衣装が「亀」の胴着しかなかったり、戦闘服のトランクスが剣を装備しているなど、原作の各場面に衣装が合わないということも多い。
- CEROの問題により出血描写が無いとはいえ、細かい傷や服が破れる描写すらないというのはいかがなものか。
- 条件を満たすとブロリーのオリジナルストーリーをプレイできるが、ただ戦い続けるだけでストーリーはほぼ皆無であり、ブロリー人気に便乗して申し訳程度に入れたとしか思えない。
- 対戦の問題点
- 必殺技が無制限に撃てるため、CPUのレベルが低ければ離れて必殺技を撃っているだけで勝ててしまう。
- CPUのレベルを上げると防御や回避行動ばかりを行うようになるため、単調な対戦になりがち。
- 対戦中に様々な効果をもたらす新要素「ドラマピース」にも問題点が多い。
- 対戦中、使用する度にムービーが挿入され、必殺技・究極技の発動をキャンセルされるため、非常に鬱陶しい。
- ボタンを押してスキップすることもできないため、テンポの悪さも目立ち、かつ発生条件が面倒なものが多いわりに、セリフこそバリエーションがあるもののモーションは全キャラ共通で使い回しである。
- XBOX360版では実績システムに各ドラマピースをコンプするというものがあるため気にしだすとかなりの労力を要する。
- 雰囲気に合わないBGM。
- 使用されているBGMはドラゴンボールの雰囲気に合わないロック調のオリジナルのBGMばかりで、アニメのBGMは全く使用されていない。
- BGMは山本健司が担当しており、翌年放送されたアニメ『ドラゴンボール改』と同じく楽曲盗用の疑いがある。
- オンラインモードの問題点
- 外国人相手になると非常にラグが多くなり、まともに対戦できない。
- 日本人限定で対戦相手を探すことも可能だが、発売からすぐにやめたプレイヤーも多く、見つからないことがほとんどだった。
- 切断した時のペナルティは全くないため、負けると切断するプレイヤーも多かった。
評価点
- 美しいグラフィック。
- 通常攻撃のモーション
- Z3まではパンチやキックのモーションの使い回しが多かったが、本作ではかなり差別化が図られている。ラッシュ攻撃がマシンガン突きになっている天津飯、逆立ちしながらキックするヤムチャなど。
- 一定の条件を満たすとプレイできるバーダックのオリジナルストーリーの出来が良い。
- しかし、ここに時間を掛けるなら、ブウ編を作るべきだったのでは…?という声も多い。
- 特定の組み合わせで発生するドラマピースの掛け合いが豊富。
- 過去作からの流用はなく、いずれも録りおろしのボイスである。
- 「仙豆だぞ!やさしい兄だろ!」と悟空に仙豆を投げ渡すラディッツ、「おや、フリーザさん!そんなものですか…?」と話すセルに対して「モノマネはやめろ!」と返すフリーザなど、ネタも多い。
- 『ドラゴンボール改』の放送前に発売されたため、担当声優の逝去していた天津飯を除いて『Z』に準拠したキャストであるため、ファンには嬉しい。
- なお、本作の天津飯は『改』以降の緑川光氏ではなく、真殿光昭氏が担当。『ドラゴンボールヒーローズ』などのデータカードダスシリーズでは、一部を除いて現在も『Z』準拠の声優による音声が流用されている関係上、天津飯には真殿氏が収録した音声が採用されている。
- 主題歌の「奇跡の炎よ 燃え上がれ」が非常に良曲である。
総評
発売当時こそ次世代機で発売されるドラゴンボールのゲームということで期待されていた。
しかし蓋を開けてみれば、キャラ数の少なさ、細かい演出が全くない浅いストーリーモード、対戦バランスの悪さ、まともに遊べないオンラインモードなど、キャラゲーとして見ても対戦ツールとして見ても駄作であり、多くのプレイヤーを落胆させることになった。
グラフィックだけに力を入れすぎた結果、重要なシステムがおろそかになってしまったと言える。
ディンプス開発のPS2版3部作が、発売当初から概ね好評を得ていたのとは全く正反対の結果となった。
もし本作も好評を得ていたら、PS2版3部作と同様にシリーズ化され、魔人ブウ編のキャラクターも登場していたであろうが、結局本作の続編は開発されず、当時の新世代機におけるドラゴンボールのゲームは『RAGING BLAST』シリーズを中心に展開する事となった。
余談
- ファミ通クロスレビューの評価では、PS3版・Xbox360版とも40点中33点でゴールド殿堂入りしており、非常に疑わしいものであった。
- 「イベントなども忠実に再現されている」「戦闘もかなりスピーディー」「『ドラゴンボール』作品のひとつの完成形と言える完成度だ」と的外れなレビューが多い一方、ででおだけは「"ドラマピース"システムによるカットインはキャンセルできないため、少々うるさく感じた」「いちばんの大技である"アルティメットムーヴアタック"は、もっとキャラクターごとの違いを出してほしかった」など、的確なレビューを述べている。
- 同年12月4日に、同じくディンプス開発のドラゴンボールのゲーム『ドラゴンボールZ インフィニットワールド』が発売された。対戦画面の文字などは本作を踏襲している。ただし、こちらの評価もいまひとつである。
- 本作がPS3・Xbox360のソフトだったのに対し、『インフィニットワールド』は前世代機のPS2で発売された。
最終更新:2024年03月21日 19:40