スーパーマリオメーカー for ニンテンドー3DS

【すーぱーまりおめーかー ふぉー にんてんどーすりーでぃーえす】

ジャンル 作って、遊ぶ
対応機種 ニンテンドー3DS
発売・開発元 任天堂
発売日 2016年12月1日
定価 4,700円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 劣化ゲー
ポイント 作ったコースをオンラインに投稿できない
まさかのコース検索機能無し
作るにも遊ぶにも大きな制限が立ちはだかる
需要ゆえに一応のミリオン達成
マリオシリーズ


概要

『スーパーマリオブラザーズ』のコースを自分で作って遊ぶことができる『スーパーマリオメーカー』の3DS移植版。
しかしWiiU版から削除された要素が多く、機能面では目劣りしてしまう。 「任天堂公式の紹介映像

システム・主な変更点

  • 「つくる」モード
    • WiiU版と同じく自由にコースを作成することができる(ただし「ハテナキノコ」と「キャラマリオ」は削除されている)。操作は下画面のタッチで行う。
    • 作ったコースは、3DSのローカル通信かすれちがい通信で送信することができる。だが、オンラインを通じて投稿することはできない(後述)。
    • チュートリアルモード「ヤマムラレッスン」の追加。WiiU版にも登場するハトの「ヤマムラ」と女性の「ましこ」の掛け合いと共に、コースの作り方やパーツの使い方を教えてもらえる。
  • 「あそぶ」モード
    • スーパーマリオチャレンジ」は3DS版で追加されたモード。任天堂作成の全100コースをクリアしていくことで、「つくる」モードで使えるパーツが解禁されていく。
      • コースは本家のマリオには無いような『マリオメーカー』ならではの配置やギミックで構成されており、このモードを遊んでいくことで自然にコース作りのアイデアが学べるという仕組みになっている。
      • 各コースには2つずつお題(コインをすべて取る、隠し部屋に入る等)が設定されており、それを達成すると「メダル」がもらえるというやりこみ要素が存在する(『ファミコンリミックス』と似た形式)。
    • 世界のコース」はオンラインに(WiiU版から)投稿されたコースを遊ぶことができるモード。「100人マリオ」と「おすすめコース」の2種類から選べる。
      • 100人マリオ」はWiiU版と同じく、ランダムに選ばれたコースを100人の残機でクリアを目指すモード。難易度も同じく「かんたん」「ふつう」「むずかしい」「とてもむずかしい」の4段階。ただしキャラマリオが無いためクリア時の報酬は存在しない。
      • おすすめコース」は、自動で選出されたコース*1の候補(30コース)から好きなコースを選んでプレイする。
        候補に上がるコースは「読み直す」を選ぶと変化する。また4段階の難易度でフィルターをかけることもできるが、それ以外の検索はできない。なお、WiiU版にあった「クリア率」「いいね率」は表示されない。
      • コースロボット」では、自作のコースや「スーパーマリオチャレンジ」モードのコースを選び、プレイしたり編集したりできる。

評価点

  • 携帯機で気軽に『マリオメーカー』を遊べる。
    • 要素が減ってシンプルになっているので、とりあえず『マリオメーカー』を試しにプレイしてみたい、というライトユーザーにとってはとっつきやすい。
    • 特に「作る」方より「遊ぶ」方に興味が有る場合は、前述の通りコース検索はできないものの、「おすすめコース」をリロードして面白そうなのが出たら遊ぶという形で手軽に楽しめる。
  • 「ヤマムラレッスン」や「スーパーマリオチャレンジ」では、ヤマムラとましこの新たな掛け合いが見られる。2人のファンであれば嬉しい要素。
    • 解説も分かり易く、実際に操作しながら学ぶことができる。

賛否両論点

「スーパーマリオチャレンジ」によるやりこみ要素と、それに絡むコース作りの制限

  • コースのチュートリアルだけでなく、豊富な公式作成コースとお題によるやりこみ要素があるため、単体のマリオアクション作品として見ると結構なボリュームがある。
    • お題は2種類あり、それぞれ別のルートでコースを攻略しなければならないものもあるため、コースの謎を解く楽しさもある。
    • WiiU版の「10人マリオチャレンジ」はあくまでランダム選出だったが、本作は従来のマリオのように順番にじっくり攻略していける。
  • 一方で、「スーパーマリオチャレンジ」をクリアしないとコース作りのパーツが解禁されないという大きな欠点がある。
    • 初期セットでも一通りのパーツが揃っているのでそれなりのコースは作れるものの、完成度の高い・複雑なテクニックが要求されるコースを作りたい場合はどうしてもこのモードをクリアする必要が出てくる。
    • チャレンジモードをプレイするモチベーションになる一方で、コース作りをメインに遊びたいと思っていたプレイヤーにとっては興味のないモードを強制させられることになった。WiiU版のように時間でパーツが解禁されるわけでもないので尚更。
    • 通常コースだけでも88コースと量が多いが、さらに最後のワールド19(12コース)を解禁するには前述のお題達成メダルを40枚以上集めなければならないという条件がある。
      • お題は難易度の高いものも多いため、さらに手間と時間がかかる。このワールド19をクリアしないと最後のパーツ(ピンクコイン、クッパJr.)は使えない。
  • マリオのアクションゲームとして見た場合のやりこみ要素としては濃厚だが、それをパーツ解禁に直接絡めてしまったがために、コース制作目当てのプレイヤーにとってはひたすら面倒なものとなっているのが難点と言える。
    • 当然ながら本作を購入するユーザーは主に「マリオのコースを作りたい」層であるはずなので、アクションマリオとしてのやり込み要素のボリュームがあったとしても、それが制作の足を引っ張ってしまうのなら元も子もない。

問題点

自作コースのオンライン投稿ができない。

  • せっかくコースを作っても、それを遊んでもらえる機会が大幅に減ってしまっている。
    • すれちがい通信によるコースの交換も、すれちがい通信自体が下火なためあまり機能していない。
      • 大勢の人で賑わう場所でならある程度の成果も見込めると思われるが、本作発売直後の秋葉原でも2人すれ違えれば良いというレベルであった。
      • また、せっかくすれ違えても明らかに下記のチャレンジを諦めて初期パーツで適当に作ったようなコースを受け取った時はショックも大きい。
    • なお、現在ではWiiU版のコース投稿自体が終了している。

コースの検索ができない。

  • WiiU版からオンラインに投稿されたコースを遊ぶ方法は「100人マリオ」と「おすすめコース」しかなく、いずれもコースはランダムに選出されるのみ。ランキングからプレイすることはできない。
    • たまたま良いコースに出会えたとしても、WiiU版と違ってコースロボットに保存することはできない
    • コースIDの検索も出来ないので、自作コースのIDを交換したり、ネットの動画で見たり有名人が作成したコースを指定してプレイするという遊び方ができなくなってしまっている。

「いいね!」をする事もできない

  • コースのクリア率やいいね率が表示されず、他のプレイヤーがミスした場所が×印で示される機能もないため、製作者や他のプレイヤーとつながっている感覚が乏しい。
    • 自分がクリアしたコースの数なども記録されないので、他人のコースをプレイするモチベーションも薄い。

処理速度の限界による動作の遅さ

  • コース作成時には「あそぶ」と「つくる」を頻繁に切り替えて試行錯誤する必要があるが、(特にWiiUスキンで)切り替え時に多少待たされる。また、コース作成時以外にもマリオの操作開始前には少し読み込みが入る。元々据え置きのゲームを移植しているので流石に仕方のない事だが、コース作成ではコースの出来栄えを確認するたびに待つ必要があり、多少ストレスになる。

その他

  • セーブデータが3DS本体と紐付けされているため、別の3DSでプレイするには セーブデータを消去する必要がある。
    • 「自作のコースを遊んでもらうために友達にソフトだけ貸す」といった方法がとれない。本作最大の問題点である。
      • 一応、そのためのすれちがい通信なのだろうが……
  • ほとんどのシステム画面でボタン操作が効かない。
    • まるで初期のDSソフトのようにタッチ操作を強要する不可解なUIになっている。「タッチしてください」とは表示されないが……。
    • コース作成はともかく、プレイは当然ボタン操作で行うため、タッチ操作とボタンの切り替えが煩わしい。
  • ハテナキノコとキャラマリオが廃止された。
    • WiiU版では一種の収集要素であり「100人マリオ」モードへのモチベーションにもつながっていたため、この廃止は痛い。
  • 「スーパーマリオチャレンジ」には各コースに「お題」が設定されているが、自作コースにお題を付けることはできない。
    • お題自体はWiiU版には存在しなかった要素だが、いずれも条件が個性的で、ただコースをクリアするだけでなくより難しい条件を満たしつつクリアという目標ができるため、自作コースに付けられないのは惜しい。

総評

3DSの主要ユーザーである低年齢層への配慮か、はたまたハードの性能の限界の為か、様々な点が簡略化・省略され削られている。
しかしあまりにも削りすぎたために、WiiU版の肝であったコースのオンライン投稿ができなくなり、何より重要なコース制作の意義とモチベーションまで削がれてしまう残念な結果となってしまった。
またコース検索ができないため、玉石混淆のコースをランダムでプレイするしかなく、さらに記録もないのでプレイしてもデータとしては何も残らない。
さまざまなパーツを使ったコースを作るにも「スーパーマリオチャレンジ」モードのクリアを強いられる……と「作る」「遊ぶ」「公開する」という重要な要素のいずれにも小さくない障害が存在するため、劣化移植と言わざるをえない内容である。
なまじ、コース制作やプレイ自体の機能はWiiU版と変わらないがゆえに、コースを共有するインフラ面の重要性が浮き彫りになったと言える。
「スーパーマリオチャレンジ」自体は一人用ゲームとしてやり甲斐があるのだが、それをパーツ制作に深く絡めてしまったのが大きな問題である。
本作の魅力を余すこと無く味わいたいのなら素直にWiiU版か、Switchで発売の次作『2』をプレイすべきだろう。
WiiUの本体が生産終了で入手困難になっている他、次世代機のNintendo SwitchはWiiUソフトとの互換性がない点には注意。


余談

  • 3DSとWiiUとの販売台数に大きく差がある事と、WiiUの本体が生産終了となった影響で代替品としての需要があるのか、本作はWiiU版よりも売れておりミリオンヒットを記録している。
  • 2019年6月に続編の『スーパーマリオメーカー 2』がNintendo Switchで発売された。
    • WiiU版に存在したキャラマリオ等の要素は一部廃止されているが、多数の新規パーツやクリア条件設定などの新要素が増え、3DS版から見れば十分な進化となっている。

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最終更新:2023年08月09日 21:48

*1 公式サイトなどでは「選りすぐりのコース」が選ばれると説明されているが、具体的にどのような基準で選出されているのかは不明。