クロストレジャーズ
【くろすとれじゃーず】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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シンソフィア
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発売日
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2009年12月3日
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定価
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5,040円(税5%込)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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Vジャンプとスクエニのコラボ企画で作られたゲーム
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概要
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Vジャンプ(集英社)とスクウェア・エニックスとのコラボレーション企画により製作されたゲーム。
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Vジャンプ読者たちが投稿した、モンスター、武器、アイテム等のアイデアを基にゲームデザインがなされている。
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そのため、本作では音符の形をした剣など、ユニークなアイテムが多数登場する。
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物語は、「魔王」にさらわれたサーシャ姫を助けるため、地下世界「ダークダンジョン」を探索するというもの。
特徴
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見下ろし型のアクションRPGで、地下50階にいる魔王を目指してダンジョンを潜っていく。
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ダンジョンは自動生成方式であり、固定の形状をしたダンジョンではない。
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ただし、『トルネコシリーズ』のようにダンジョンに入る度に形が変わるわけではなく、後述のワールドチェンジを行うまでダンジョンの形状は保たれる。
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ダンジョン内にはモンスターが徘徊しており、プレイヤーを見つけると攻撃してくる。
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モンスターを倒すと、何かしらアイテムを得ることができ、後に装備作りや料理の素材として使える。
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モンスターに倒されてしまった場合、ダンジョンの外に追い出されてしまうが、それ以外にペナルティはない。
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洞窟の最中には、特殊効果を一定時間得られる「温泉」「ラーメン屋」や、クエストを依頼してくる人物などが登場する。
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これらの寄り道スポットは各階に1つずつ存在するが、これらのうち何が出てくるかは完全にランダム。
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5階潜るごとにボスが登場し、ボスを倒すとそれ以降その階までワープできるようになる。
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洞窟の入り口にいる妖精に話しかけると、「ワールドチェンジ」を行うことができる。
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これは5階単位で洞窟の形状を丸々作り変えてしまうというもの。
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これを実行すると、選択したフロアのダンジョンの形、出現するモンスター、出現する寄り道スポットが完全に変わってしまう。
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どのように変わるのかは、こちらも完全にランダム。
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50階にいる魔王を倒すと、難度の高い「じげんのめいきゅう」を探索できるようになる。
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プレイヤーの職業(ゲーム内表記はスタイル)は「ファイター」「シーフ」「メイジ」「プリースト」の4種から一つを選べる。
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職業によって戦闘能力や使える技、装備できるアイテムが異なる。
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例えば「ファイター」はHPが高く、近接攻撃が得意。「メイジ」は打たれ弱いが攻撃範囲の広い魔法を使える…といった具合。
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職業は自分の家でいつでも変更可能。
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集めたアイテムで新たな装備品を作ったり、すでに所持している装備品を強化することができる。
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装備品を作成・強化する際にランダムで1つ特殊効果が付与される。敵を倒してHP・MPを回復可能な「ジワジワ」「キラキラ」、ダメージをたまに無効化する「ナシナシ」等は特に強烈。
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装備品を作成・強化する度にセーブされてしまうので、自分の狙った特殊効果だけを装備品に付与させるのは不可能に近い。
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しかし、ここだけの話だが…実はどの特殊効果が付与されるのかについてはある程度の法則性が存在している。プレイの楽しみを削ぐ可能性もあるので、知りたい方は自己責任で検索してみて欲しい。
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やり込み派ユーザーの中にはこの法則性を完全に解明し、狙った特殊効果のみを付与した装備を完成させてしまった強者も居るとか…。
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集めたアイテムで料理を作ることができる。
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料理を作って食べると、プレイヤーのステータスが上昇する。
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料理には多数のレシピがあり、レシピによって必要な素材や上昇するステータスが異なる。
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通信プレイにより、他人のダンジョンに潜入できる。
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このゲームはダンジョンが自動生成されるので、自分のダンジョンにはない要素が他人のダンジョンにあったりする。
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ただ、通信プレイをしなくとも先述のワールドチェンジを行えば(運任せではあるが)自分のダンジョンに狙った要素を出現させることはできる。
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他にも自分の拠点の島をアレンジしたり、モンスター図鑑を埋めたりと、お楽しみ要素も多数存在。
評価点
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アイテム収集の楽しさ。
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本作には膨大な種類のアイテムが存在し、そのほとんどは装備作成や料理の材料になる。
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『モンスターハンターシリーズ』のように「あと〇〇を集めれば××が作れるぞ!」という楽しみを味わえる人なら本作も十分楽しめるだろう。
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プレイヤー育成の楽しさ。
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プレイヤーを育成する要素はレベルアップの他に、装備、スキルの成長といったものがある。
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アクション要素の大きい本作だが、それでも装備やスキルを調整すると「今まで苦労していたボスを楽に倒せるようになった」というような事が起こりうる。
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ゲームのボリュームが大きい。
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やりこみ要素は多く、あらゆる要素を楽しみ尽くそうとすると膨大な時間がかかる。
賛否両論点
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職業によって使いやすさが大きく異なる。
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「ファイター」は体力も多く、攻撃モーションの短い技が多いのでとても使いやすい。
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主力の「かいてんぎり」や、部屋の端に追い詰められた際の脱出手段にもなる「とつげき」が非常に便利。
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成長させれば様々な攻撃を防げるようになる「ガード」、回復アイテム消費の隙を極端に減らす「ガブのみ」を覚えればかなりの生存能力を発揮可能。
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「シーフ」は手数のスペシャリスト。但しスキルには癖がある。
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命綱は攻撃モーション中でも、モーションをキャンセルして敵の攻撃を避けられる「クイックアクト」。これを使いこなせるか否かで生存能力が大幅に変わる。物理攻撃なら確率で受け流せるスキルもあるが過信は禁物。
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広範囲にダメージを与える飛び道具、怒涛の連続攻撃など攻め手は豊富。また移動速度アップ・スキル再使用までの時間短縮といった補助スキルも便利。
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「プリースト」はとにかく生存能力に特化した職業。その代償として、攻撃はかなり苦手。
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攻撃モーションがかなり長く、必然的に「肉を切らせて骨を絶ち、切られた肉はスキルで回復」というプレイングとなりがち。
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その代わりMPさえあれば幾らでも体力を回復可能。即死級の攻撃を貰っても稀に持ちこたえるスキルなども、過信はできないがあれば便利。
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「メイジ」は体力が極端に少ない上に、攻撃モーションの長い技が多く使いにくい。
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各種攻撃技の攻撃範囲は最も広いが、それでも上述した大きすぎる欠点をカバーしきれていない。
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通常攻撃でもMPを消費してしまう代わりに遠距離攻撃が可能。またボス敵は炎・氷魔法の内どちらか必ず効くようになっているので、これで「近付かれるor即死級の攻撃を貰う前に倒す」のが基本的なスタイルとなる。流石に初心者お断りとまではいかないが、それでもまともに戦えるようになるまでには慣れを要する。
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50階の魔王を倒した後の展開。
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何回か選択肢を選ぶ事になるのだが、ここで1回でも選択肢を間違うとまさかのラストバトルやり直し。
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一応、ダンジョン内で手に入るメモ「ふるびたにっき」に目を通し、且つ捻った考え方をしなければ事前情報無しでも一発正解できる内容ではあるが。
問題点
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狙い通りのアイテムを手に入れたり、イベントを発生させたりするのが面倒。
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ほしいアイテムを手に入れる為には、そのアイテムを落とすモンスターを倒す必要があるが、そのモンスターが自分のダンジョンにいるかどうかはランダム。
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いない場合は通信で他人のダンジョンに潜るか、そのモンスターが登場する世界になるまで何度もワールドチェンジを繰り返す必要がある。
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寄り道スポットも内容が完全ランダムの為、狙った内容のイベントを発生させたい場合はこちらもワールドチェンジを繰り返す必要がある。
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クエストでアイテムを要求されたが、そのアイテムを手に入れるには依頼人の居た階を巻き込む形でワールドチェンジを行う必要があり…という事態も、稀にではあるが発生しうる。
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「新スキルの習得・習得済スキルの強化」「上位クラスへの転職」等も、ランダムで決定される寄り道スポットの内容の中から引き当てないといけない。
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寄り道スポットでも特に有用なのは「アイテムを預け、一定数のモンスターを倒すと別のアイテムに変化させる」というもの。何回でも利用可能な上、これでしか手に入らないアイテムも複数存在している。もう一度出現させるまでの手間を考えれば、このイベントが発生した階層はどうしてもワールドチェンジを渋ってしまいがち。
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通信を行わない限り装備品をコンプリートできない。
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ある程度装備品を作ってゆくと、武器・防具・アクセサリーのうち、どの分野の専門家になるかという選択を迫られる。
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専門家になった分野の装備品は全て作れるようになるのだが、そうでない分野の装備品は中くらいの強さのものまでしか作成できない。
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一度どの分野の専門家になるかを決めたら、後からは一切変更できない。
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クリア後に行ける「じげんのめいきゅう」では強力な武具を装備していないと厳しい程に難度が上がる。しかし一人プレイのみだとこのシステムのせいで装備品を満足に整えられず、突破は非常に苦しい。
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ダメージを受けた後の無敵時間が皆無。
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この仕様のせいで、一部ボスの難易度が理不尽に高い。
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サソリ系のボスは爪ひっかき攻撃を喰らうと、一気に何ヒットもくらってしまい、HP満タンの状態でも即死級のダメージになる。
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ナイト系のボスもこちらに接近しながらの回転切りが非常に厄介。端に追い詰められるとメイジなら死兆星が見える。しかもこのボスはその性質上、常に1対2の不利な戦いを強いられるので…。
総評
一般人から意見を採用し、ゲームを作っていくという企画で生まれた本作。結果として細かな粗はあるものの、全体的にまとまった作風となった。
ゲームのグラフィックは子供向けであるものの、ゲームの奥深さはそこらのマニア向けゲームに負けずとも劣らない。
ただ、深くやりこもうとすればするほど先述の粗が目立ってしまい、良作と呼ぶには一歩足りない出来となってしまっている。個人差もあるが「良作に近い凡作」という評価が妥当か。
余談
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本作のプロデューサー・ディレクターは『ドラゴンクエストX』にも関わっている。
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それだけなら何の問題もないのだが、同作ではインスタンスダンジョンや職人システム等において、本作との類似が指摘されている。この為同作を「クロストレジャーズオンライン」と揶揄するプレイヤーも見られるという。
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本作はそのタイトルや「少年誌とのタイアップ・アイディアを読者に公募」「携帯機RPG」という様々な点でかの冥作『クロスハンター』と微妙に被ってしまっており、未だに風評被害を受けることがあるという。
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実は明星食品株式会社ともコラボを行っており、ダンジョン後半の寄り道スポットでは稀にゲストキャラと遭遇する事がある。
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キャラクターデザインは『Mr.FULLSWING』で知られる鈴木信也氏。Vジャンプ本誌では、氏による本作とのタイアップ漫画が連載されていた事もある。
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公式攻略本でのコメントに曰く、本作プレイヤーキャラのデザインは「男女で同じもの」という縛りがあったとのこと。男性メイジはビジュアル系で露出度高めのデザイン、男性シーフは探索用ズボンに上半身はベストだけというデザインなのだが「流石に女性キャラでも同様のデザインはアウトだろう」という事で、これらの職業の女性版デザインには急遽胸当てが追加されたらしい。
実にけしからん、ありがとうございます。
最終更新:2019年05月04日 11:44