戦国無双 ~真田丸~

【せんごくむそう さなだまる】

ジャンル タクティカルアクション



対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
メディア 【PS4/PS3】BD-ROM
【PSV】PlayStation Vitaカード
【Switch】ゲームカード 各1枚
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(オメガフォース)
発売日 【PS4/PS3/PSV】2016年11月23日
【Switch】2017年11月9日
定価 【PS4/PS3】7,800円
【PSV/Switch】6,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 暴力・セクシャル
備考 【PSV】PlayStation Vita TV対応
【Switch】全てDLCが予め収録済み
判定 良作
ポイント 大河ドラマ『真田丸』とのタイアップ
旧『戦国無双』シリーズの集大成
無双シリーズ



真田一族、熱き戦いの物語。



概要

コーエーテクモ自身も技術提供、監修を行っている*1NHK大河ドラマ『真田丸』とのタイアップ作品。
戦国無双4』『戦国無双4-II』『戦国無双4 Empires』をベースに、真田昌幸・幸村の2人を主人公に据え、真田家を中心に昌幸の初陣とされる「第四次川中島の戦い」から幸村最後の戦いである「大坂夏の陣」までを描く。
『4 Empires』までに登場する無双武将はすべて続投している他、真田昌幸、武田勝頼、徳川秀忠等の新たな無双武将も参戦している。
システム面では戦場おける「昼夜の概念」と「長期合戦」に加え、敵の策を封じて戦況を有利に持っていく「次の一手」や、「城下町」での情報集めや武将との交流、「探索マップ」による素材集めなど、様々な新要素も追加されている。


『4』シリーズからの変更点

本作のベースは『4』『4-II』『4 Empires』であるため、基本的なシステムや用語に関してはそちらを参照されたい。

新規キャラクター

  • プレイアブルキャラに真田昌幸・武田勝頼・徳川秀忠・佐助・茶々*2、NPCとして村松殿が新登場。
    • 村松殿(信之、幸村の姉)はNPCであり、主な登場場面は城下町における会話となるため、戦場で戦うことは無いという*3、無双シリーズの女性としては珍しく史実に近い立ち位置で登場している。
      • 本作の戦場に登場する場面でも、戦闘能力の無い護衛対象という扱い。
    • 佐助は服部半蔵を師に持ち、諜報のために真田家に入り込むという経緯を持つ。講談本で有名な猿飛佐助と、そのモデルとされる上月佐助の特徴を統合しているという、くのいちと同じく無双シリーズでしばしば見られる手法の半オリジナルキャラ。

戦場における変更点

昼夜の概念

  • 戦闘中の時間の経過により昼夜が切り替わり、戦況が変わるようになった。夜になるとマップ表示が拡大マップ限定になり全体を確認できなくなる他、夜襲部隊が絶えず襲撃してくるといったことが起こる。
    そのかわり、「士気による強化エリア」が一時的に解除されるという大きなメリットもある。これにより、夜の間に敵陣を殲滅しておきつつ、本陣近くまで斬り込みをかけるといった戦い方ができるようになった。
    もちろん、朝になると「士気による強化エリア」が復活するため、一気に周辺の敵が強くなって窮地に陥る場合も。
    • 時間は十二辰刻(子の刻、丑の刻、寅の刻…の表記)で表現されており、常時画面上に表示されるので状況を把握しやすい、加えてその戦闘の制限時間も一目で把握できるようになっている。
      • なお、2分ごとに刻が1つ進む。すなわち現実世界での1分=ゲーム内での1時間。

長期合戦

  • それまでのシリーズでは「川中島の戦い」「大坂の陣」などは1つの戦場で表現されていたが細分化され、前哨戦などを含む複数の戦場で表現されるようになった。
    例えば「川中島の戦い」は「妻女山突破戦」「八幡原の戦い」「善光寺追撃戦」と3つの戦いで構成されており、戦いによっては追撃戦や退却戦といった特色がある。
    長期合戦内の戦いには繋がりがあり、前の戦で起こったことが次の戦に影響を与えることも多々ある。
    • 加えて、真田家が直接参戦しないが、事象的に重要である戦いに関しては「副戦場」という形でプレイすることが可能。
      これら「関ヶ原の戦い」「小牧長久手の戦い」などを副戦場として収録することで、それまでのシリーズにおける無双武将の活躍の場はその半数を保っているものの、「本能寺の変」「三成襲撃」など一部カットされた戦いも存在する。
      一応、三成襲撃事件に関しては十一章の大阪城において、「襲撃準備をする清正らをかわしつつ三成を護衛して家康の屋敷に送り届け、家康に調停してもらう」といった史実をダイジェストにまとめたイベントとして実装されており、完全に無視されたわけではない。
    • 本能寺の変はイベントも無く突然信長が死んだ事が大河ドラマのナレ死の如く語られるが、その混乱中の安土から脱出するという形で新たなステージになっている。
      • カットされた戦いは戦というよりは真田家に関係しない事件という面が強いため、戦場として採用されなかったと思われる。

次の一手

  • 「敵が策を仕掛けてきた」「特定の武将と交戦に入った」など、ステージ事に特定の状況になった場合に操作武将のカットインが入る。 そこから一定時間以内に専用のボタンを押すことで「真田の六文銭」を消費し、その状況に対応するギミックを発動させることができる。
    • 「本陣への奇襲に対して護衛を出す」「退却する武将を足止めする」「策そのものを無効化させる」「味方の体力回復/敵の体力減少」など、いずれもその状況に対応して戦況を有利にする効果ばかりであり、使えば使うほど戦いが楽になる。
    • ただし、実行に消費する「真田の六文銭」は主に戦場戦闘の成績に応じて最大6回までしかストックできないため、みだりに使うことはできない。使用するかどうかは任意なので状況に応じた使い分けが大事。

手柄

  • 隠されたものもいくつか存在する「ミッション」とは別に、各戦場で予め明示された複数の目標*4が存在する。
    • これを達成することで「六文銭ゲージ」が大きく溜まり、ゲージが満タンになることで「真田の六文銭」が最大6枚まで増え、先述の「次の一手」が使用できるようになる。
    • 「六文銭ゲージ」は主に高い戦評ランク(クリア時間、撃破数など)や多くの手柄を立てるほど増加する。特にSランク及び初めて達成した手柄によって大きく増加するので、手際よく攻略していれば戻りプレイを行わずとも次の一手を次々と使用しきれる程度には回収できる。
    • ただし、「次の一手」の中には直前の戦闘ステージで特定の手柄を達成しなければ出現しないものがある。「妻女山突破戦」で村上義清を無双奥義で倒すことで、「八幡原の戦い」に登場する村上義清の体力を減らす「次の一手」が解放されるなど。

無双極意の仕様変更

  • 「練技ゲージ」が満タンの時に使用可能だった「無双極意」は「練技ゲージ」が1つでも溜まっていれば使用可能となった。
    • 無双極意はレベルに関わらず攻撃を受けたり神速攻撃を武将に当てても怯まなくなる上に、無双奥義が単発必殺技式の「無双奥義・皆伝」になる。
    • 残り時間が無くなるまでに敵に対して攻撃を重ねることでゲージが伸びていき、満タンになると極意のレベルが上昇して継続時間を延長できる、『ゼルダ無双』などの任天堂コラボ無双に近い仕様が導入。
    • しかし「練技ゲージ」が1の場合では、属性が発動しなくなる、無敵状態にならないがハイパーアーマーであるがゆえに連続で攻撃を受けやすいなどリスクも存在する。
    • 極意のレベルが上昇するにつれて「影技が無制限に使用可能」「攻撃力が上昇し属性が発動」「無敵状態になり敵がスロー化する」など、これまでの本来の性能が戻ってくる形になっている。特に無双奥義・皆伝の威力は極意レベルに比例する形で、前作と比べても大幅に倍増していく。
    • 状況が許せば練技ゲージ1本からでも極意レベル5最大の状態に持っていくことは可能だが、今作は練技ゲージも上限が1からスタートする上、極意レベルも最大5になるまでは練技ゲージ+1が上限となるので、プレイ初期から最大状態に持っていけるわけではない。

その他の仕様変更

  • 「アクション」「無双ゲージ」「無双極意の最大レベル」が自動的には拡張されなくなり、それぞれ規定のレベルに達した後に「城下町」にある「道場」を使う事で上昇させることができる。
    • つまり、本作では階級が上がっても自動的に増えるのは練技ゲージのみ。また「階級」自体も最大99に達するまでは、特定の階級に到達する度に徐々に上限を上げることになる。

ゲームの流れ

  • 本作にはゲームモード分けの概念が一切存在せず、これまでの「無双演武」モードに集約された形で、真田家を中心としたストーリーを追うようになっている。
    • おおまかなゲームの流れとしては「城下町」や「探索マップ」で下準備をし、「長期合戦」(一部は「お役目」含む)をすべてクリアすることで章が完了し、次の章へとストーリーが進む。

城下町

  • 「真田本城」「上田城」などの拠点が存在し、特定の武将を操作して以下の様々な施設を利用したり、城下にいる人物と交流を深めることができる。施設は拠点によって内容が変わり、場所によっては存在しない施設もある。
    • よろず屋:今までに手に入れたことのある素材を購入したり、素材を使って「携帯道具」を調合することできる。
    • 茶屋:特定の無双武将を呼び出すことができる。呼び出した無双武将には素材を贈って「絆」を深めることができる。
    • 鍛冶屋:素材を使用して装備武器の強化を図れる。特定の属性や特性を付加(強化)したり複製したりなど、本作では戦場から武器を入手することは無くなり、手持ちの武器を強化することで自由に武器の効果を組んでいくことになる*5
    • 釣り堀:無料の「釣り団子」か、手持の「素材(虫)」を使って「素材(魚)」を釣り上げる。釣り糸を垂らした後、アタリが来た際にタイミングよくボタンを押すことで魚を釣ることが可能。ギリギリまで引き付ければ爆釣りも可能だが、それ以上遅れると逃げられる。
    • :手持の「素材(種)」を植えることで様々な「素材(果物、野菜)」を得ることが可能。植える種のグレードに応じた作業時間(連打速度)によって収穫できる素材の質が変動する。植えた種は「探索」か「長期合戦」を一度挟むことによって収穫できる。
    • 地蔵:任意の素材を供えた後に、合戦(探索)を行うと別の素材に変わるという効果を持つ。ただし、その際には備えたものを含めて入手できる素材がシャッフルされるのでよく見ることで好きな素材を手に入れることができる。
    • 宝物庫:音楽やイベント鑑賞やミッション一覧など、いわゆるギャラリーモードに入ることが可能。
    • 書物庫:「長期合戦回想」と用語辞典である「真田丸戦記」を閲覧可能。「長期合戦回想」はいわゆる「模擬演武(フリーモード)」であり、クリアした長期合戦を解放済みの武将でプレイすることが可能。
    • 来福寺宅:探索で手に入れたほら貝を渡す事で「長期合戦回想」で使用できる無双武将を増やしたり、ストック経験値である「真田の勲功」を得ることができる。
    • 道場:特定の階級に到達した武将を訓練することで「アクションレベル」や「練技ゲージ」「無双ゲージ」などを上昇させることができる。また、長期合戦やほら貝で得た「真田の勲功」を他の武将の勲功=レベル経験値として割り振ることもできる。
    • ストーリー進行に応じて、拠点には様々な武将が登場し、手持の素材を送ることでその人物との「絆」を深めることができる。絆を深めることで別の素材を貰ったり、無双武将の場合は探索に連れていくことが可能となる。
      • 武将には好みが存在し、好物である種類を渡すことで一気に絆が深まる他、友好度が最大に達すると別の素材をお礼にもらえる。
        大好物の素材を渡すと専用の会話イベントが挟まり、大幅に絆が深まる。
    • 人物と会話をする事によって策に必要な情報を手に入れたということで「六文銭ゲージ」が少し溜まることもある。

探索・お役目

  • 「真田の郷」「浅間山麓」等、戦場とは異なるマップを探索して落ちている素材を収集するのが目的のマップ。物語を進めることで探索できるマップは増えていく。
    • 通常の戦場マップとは異なり、エリア制となっている。探索マップ全体が短いエリアで構成されており、エリアを歩くことで少しずつマップの全貌が明らかになる。エリアの端に到達することで別のエリアに切り替わって進行する。
    • 探索に使用できる武将は主人公の昌幸または幸村の他は友好度が最大になった無双武将となる。2人で探索するか1人で探索するかは自由。ストーリー上に登場しなくなった武将も選択できる。
    • 探索中は山賊や兵士などの敵が現れることもあるため、戦いながら素材を集めることになる。長期合戦と違ってミッションや戦評は無いため「六文銭ゲージ」や「装飾品」は手に入らないが、「素材」を収集しやすい。
    • 戦場では時間切れになると敗北になるが、探索では出口まで生き残った場合と同様、手に入れた素材などはすべて持ち帰れる。また、ポーズメニューや出口への移動で任意に探索を終了することも可能。
      • マップ毎に目標があり、「全てのエリアを踏破する」「特定の敵を○○人倒す」「レア素材を○○個集める」といったミッションが存在する。これらのミッションをこなすことで大量の素材やお金を得ることができ、特別なミッションが起こることも。
    • ストーリーの進行に関わる重要なミッションの舞台として使われることもあり、この場合は探索時間内に「とある探索マップにいる要人を暗殺する」「招き寄せた武将の調略」といったお役目をこなすことになる。

戦闘の仕様

  • 『4』シリーズの仕様だった敵武将のスーパーアーマーが本作では強力になっている。ガードも硬め。
    • よってこれまで以上にゴリ押しが通用しにくくなり、ガード&アーマー無効の影技や無双極意・無双奥義、またはジャストガードやL1+前+×のステップ弾きからの通常コンボもしくは殺陣攻撃を仕掛けて対応することが高難易度・低レベル時ではより重要になる。
    • これと練技ゲージの成長対象化に伴ってか、影技の練技ゲージ消費が食らい抜け共々0.4本に軽減されている。

その他の仕様

  • ストーリーの進行によって一部の無双武将の外見が変わるようになった。真田昌幸・村松殿・信之・幸村・徳川家康・秀忠・茶々が該当。
    • 主に幼年期・青年期・壮年期の三段階があり、それぞれ容姿や一人称などのセリフが変わる*6。従来の容姿は「青年期」にあたる。
    • 幸村のみ、幼年期・青年期・壮年期のそれぞれでアクションが変わる。幼年期の頃はアクションも少なく未熟であるが*7、壮年期になると専用の「チャージ攻撃改」となり、従来のチャージ攻撃タイプよりもさらにチャージアクションが増えて強化される。
      • C5までだった攻撃にC6が追加され、C5までのチャージ攻撃にもさらに1段階の強力な追撃が増えることで、本多忠勝などの最強格にあたるアクションを有するようになり、爽快感が格段に増す。

評価点

真田昌幸の登場

  • 古くは『戦国無双』から一般武将として登場しながらも「上田城の戦い」等で大いに見せ場を用意され、いい加減に無双武将にしてほしいという要望が強かった真田昌幸が満を持して登場。ゲーム前半における主人公という破格の待遇を持って迎え入れられた。
    • 昌幸の登場によって幸村と信之が吸収していた設定が返還され、川中島の戦いや三方ヶ原の戦いで既に真田兄弟がいる*8といった歴史的に不自然な部分が解消された。
      • 信玄に付き従う役も昌幸となり、幸村が信玄に面識を持つことはなく、この点においても史実に近くなった。代わりに幸村達には新たに登場した武田勝頼との親交が描かれるようになっている。
    • ストーリー上でも「天正壬午の乱」における立ち回りや「上田城の合戦」が詳細に描かれ、昌幸の表裏比興ぶりを窺い知れる。
    • 新システムの「次の一手」にもしっくりとハマっており、お役目や前バトルなどでの事前な下拵えによって、ことごとく敵の裏をかき計略に嵌めるという昌幸の謀将らしい一面が表現されている。

史実を基にした要素によるストーリー面の豊かさの拡充

  • 真田昌幸の登場によって修正された部分の他、後述の固有武将を活用することで北条氏康が小田原征伐まで生きているといった無理な延命もなくなり、概ねは史実に近い展開に近づいた。
    • 小田原征伐では小田原城を直接攻めるのではなく、周囲の城を攻撃して徐々に圧力をかけ、降伏させるといった従来のシナリオでは見られなかった展開もみられる。
    • 一方で、大谷吉継が浅井家臣であったり*9、甲斐姫が氏康存命時に登場して戦に出ている*10など、無双武将関連についてはオリジナルの設定もまだ存在する。
  • 昌幸・幸村2代の人生とその周辺人物に絞ったことで特定キャラへの感情移入もしやすくなっている。
    • 特に第十一章の犬伏の別れで真田家が東軍側と西軍側に割れてしまった以降は、序盤から友好度対象として登場してきた出浦昌相や横谷幸重、矢沢頼幸らが容赦なく敵として襲ってくるため、それまでの流れもありかなり辛いものがある。

個性的な特殊モブ

  • 『戦国無双』シリーズには『4 Empires』に至るまで100人を超える固有の外見を持つ特殊モブ「固有武将」が登場しており、彼らはときには「真の主役」とも言われるほどに各々個性を放つ。
    • だが、本作でもさらに新たな固有武将が追加され、真田一族の幸隆・信綱・昌輝や家臣たちである高梨内記や堀田作兵衛、大坂浪人衆など、主人公たちと関わる顔ぶれがより豪華になった。
    • とりわけ真田家臣はそれぞれ性格もしっかり立っており、城下街のセリフ・贈り物を受け取った時の反応や真田丸軍記の記述などでいつものシリーズ以上に感情移入ができるうえ、上述のようにストーリー終盤で敵味方に分かれる様まで描かれるなど、もはや脇役とは言わせないほどの出番を誇る。
      • 大河ドラマの『真田丸』でレギュラーキャラだった高梨内記、堀田作兵衛、出浦昌相に関しては顔のモデリング・髪型・性格やセリフの口調も大河版にかなり寄せているため、大河視聴者はニヤリとさせられること請け合い。
    • それとは別に長宗我部盛親が無双武将である父の元親に似せて作られているなど、真田家臣以外にも殊更印象に残るNPCがおり、近年の『三國』側でのモブ武将の扱いとは一線を画している。
    • また、贈り物を送れるキャラのうち、NPCすべてに大好物の素材(2個で好感度が最大になる)と、それを送った際の固有の会話が存在する。
    • 逆に無双武将(プレイアブルキャラ)の大半には大好物の素材が設定されておらず、当然ながら送れる機会も「◯章クリア後に茶屋で呼び出す」といった何かしらの条件付き。

洗練されたアクション

  • 『4 Empires』に至るまでの変更を引き継いでおり、『4』初期で問題視されていた「神速アクションが強すぎる」「特定の技能が強すぎてヌルゲー」といった点はすでに解消され完成度の高いアクションとなっている。
    • 神速アクションは槍衾や騎兵などの特殊兵にぶつかると弾かれて隙ができたり、一方的にやられる。それらの兵の数も比較的多いため、強力だが単に繰り出すだけでは太刀打ちできなくなっている。
    • 家宝や克己など、バランスを破壊するほどに強力すぎる要素も無くなっている。
      • 『4 Empires』を踏襲する形で、これまで運要素が極度に強かった属性などの武器能力が「素材を消費して対応した能力を追加・強化する」形式になり、完全にプレイヤーの任意に委ねられた。
  • 無双極意の仕様変更や「昼夜の概念」「次の一手」システムはプレイヤーを適度に有利するものの邪魔にはならず、戦略の幅を広めてくれる。
    • 先述の通り、戦で高い評価を得つつ手柄を達成していけば「次の一手」を使いまくっていても、ある程度は六文銭を回収する事が可能であり、テンポよく進めることができる。

長期合戦

  • 歴史上の戦いがモチーフである以上、シリーズを通して同じ戦場ばかりになってしまうという問題点が、長期合戦による分割という新しい形式の採用でほぼ一新され、マンネリ打破に繋がっている。
    • 「八王子城の戦い」など、本作で初めて実装されたステージも多く、この点においても新鮮である。
    • 加えて、様々なエピソードを1つの戦場に詰め込んでいたためにミッションで忙しかったり、展開に無理があったりする部分も解消されており、前哨戦などがしっかり描かれるようになった。
    • 複数ステージでの戦績のつながりも従来のIFルートの概念以上に濃くなる。特に前の戦の手柄が直接次の戦の一手に繋がるという点が目新しい。

真田丸戦記

  • 物語上の「出来事」「人物」「地名」等の辞典だが、会話中の単語とリンクしており、ワンボタンで呼び出すことができる。セリフを発している本人についての辞典も同様。
    • 調べることができる単語は青色で表記されており、既読の場合は紫色になる。全て既読にすることで取得できるトロフィーも。
    • 日本史に詳しくないプレイヤーに配慮されており、即座に言葉の意味が分かるので物語に入りやすい、また、やや砕けた文体*11で簡潔に書かれていることがあるため、文章を読むのが苦手な人でも安心。
    • 武将の紹介文には好みをほのめかす文章もあるため、贈り物へのヒントにもなっている。

会話シーンの演出の強化

  • 『4-II』から引き継いでおり、『4』に比べて細かくアングルが変更されたり、特殊なポーズをとることが増えたため、棒立ちの会話ではなく臨場感が出ている。

BGM

  • 新曲が追加されており、特にメインテーマである「真田丸」が非常に燃える良曲であると評判。

トロフィー

  • 歴代の無双シリーズと比較して、プラチナトロフィーの取得難易度はかなり簡単。
    • 腕前による難易度は大して変わらないが、ステージクリアランクや高難易度設定時の恒例であるレア武器が一切関わらないため、作業量に関しては過去作と比較にならないレベルで少なくなっている。

問題点

セーブが遅い

  • 『4』や『4-II』と比べると格段に遅く、2秒程度かかる。
    • 城下町の出入りなどでオートセーブが入る箇所がそこそこ多いので、地味に厄介。
    • 合戦中の途中セーブも同様に遅く、手柄やミッションを失敗しないようセーブを繰り返していると人によってはイラつかされる。

新武将専用モーション

  • 武田勝頼と徳川秀忠のモーションはそれぞれ「槍モブ」と「刀モブ」の使いまわしである。
    • 今作は『4』においてモブ用武器をプレイアブルとして起用できた新武将(エディットキャラ)が廃止された*12ため、この割当自体は不自然ではない。
      が、武田勝頼は顔立ちや声が新武将に比較的近いので無双武将らしさが薄い。徳川秀忠も物語上でキャラが立っているだけにもったいない。
    • 2人とも物語上の描写に関しては申し分ないため、肝心なところが使いまわされているのが残念な所。
      • とは言え、重要人物とは言えど本作では両者共に実質「プレイアブルな固有武将」「モブ武器使いの代表格」のような扱いと考えられる。

外見の変更について

  • くのいちや佐助は幸村の幼年期から既存の姿であり、幸村が壮年期を迎えても一切変化がないために気になる所。2人とも幸村や信之よりも年上になり、実年齢は50歳を軽く超えるトンデモなことに…。
    • 2~3戦ほどのステージしか登場しない武将やモブ敵将ならそこまで気にならないが、全編を通してのメインなので尚更気にかかる。
    • 余談だがくのいちは2015年に放送されたアニメでは、幼少期から真田兄弟と共に育ったという設定である。同じ様に出来なかったのだろうか…。
    • ただし、佐助に関して言えば大河ドラマでも幸村より年上という設定であり、最終話では55歳だと明かされるので、ここだけドラマに近い設定ともいえる。
    • なお、外見(年齢)が変化するのは真田昌幸・真田幸村・真田信之・徳川家康・徳川秀忠・茶々・村松殿の7人。
      • 真田信之・茶々は幼年期のみNPCであり、村松殿は最後まで非戦闘キャラ。
  • 「そこまで気にならない」とはいえ、中途半端に上記7名のみ外見年齢が変化する都合上近い年齢のキャラが並び立ったり、ムービーで同じ画面内に入るとその差がありすぎるのは事実である。
    • 特に初登場から大坂の陣まで約40年近く経っているのに見た目の一切変化しないくのいち、早川殿や甲斐姫、幸村が壮年期になっても青年期と見た目が同じ茶々、終章で壮年になった信之と会話する若いままの稲姫や村松殿などはやはり目に付く。
    • 本作でも中盤~終盤にかけて生き残る無双武将は割合として男性より女性のほうが多いのが原因。とはいえ史実に沿った年齢のまま女性武将を全員を老けさせる需要があるかと言われれば…。

トーンダウンするストーリー

  • 序盤は昌幸を主人公とした史実に近い展開のストーリーであり、武将の心理描写なども丁寧なのだが、肝心の幸村が主人公になるあたりから史実の改変、描写不足が目立つようになり、トーンダウンしてしまう。
    • 特に石田三成の描写が甘い。無双としてのキャラに引きずられすぎている形で、馬鹿だからと決めつけて清正・正則の話を一切聞かずに離反されて関ヶ原の戦いが起ったようにしか映らない。
      • これまでのシリーズでは幸村は三成の良き理解者として描写されてきたが、本作では近年の研究に沿って豊臣家の馬廻衆としての立場が強調されており、立場の近い清正や正則については歩み寄った描写となっている一方、三成についてはやや横暴が目立つ描かれ方となっている*13
      • 関ヶ原までの流れについては近作共通の問題でもある。キャラ性により大真面目に史実を再現できない理由があるのかもしれないが*14
    • 史実における幸村の正室である竹林院(大谷吉継の娘)が登場せず幸村が妻帯しないため、嫡男の真田大助が登場しない。大坂の陣の際には10代前半と若年ながらも父と共に参戦していたと言われており、登場しなかったことを惜しむ声がある。
      • 妻と息子たちが登場しないので真田家と伊達家の関係*15に繋がる描写も無く、大坂の陣では伊達家はただの敵武将としてしか登場しない。
      • ちなみに真田幸村の関ヶ原終結後の蟄居先は九度山だが、当初は高野山に行く予定だった。しかし、高野山や女人禁制のため真田一家丸ごとの移住は不可能なので、最終的に九度山に変わったという史実上の経緯がある。本作の幸村は妻子持ちではないため、この理由が通用しなくなってしまう。
    • 今までのシリーズでは秀吉死亡後に、忍者だけに不自然に消えていたおねね様だが、本作で初めて隠居するまでの過程が描写されているが、やや強引気味。
      • 本作のみで見ればそれほどおかしな描写でもないが、今までのシリーズと比較すると秀吉死後にも乱入するほど気力満々なキャラクターだっただけに、若干違和感がある。
    • 史実と比べて延命されている武将は少なくなったが*16、ガラシャが不自然に延命されている。
      • それまでのシリーズでも細川屋敷の襲撃が描かれながらも生き延びることはあったが、本作ではガラシャに関しても史実に近い描写が多いためにやや気になる所ではある。もっとも、史実通りにするとそれまでの展開も相まって鬱すぎることになりかねないが…。
    • 新しく登場した無双武将を目立たせるために、史実のエピソードにも改変が加えられている部分もある。例えば関ヶ原の戦いの後に真田親子を処断しようとする家康に戦を覚悟で本多忠勝が助命嘆願することで認めさせるというエピソードがある*17が、本作では忠勝の助命でも家康は聞き入れずに秀忠が自らを廃嫡するように進言することで折れて助命を認めるといったエピソードに改変されている。
      • 一般武将のエピソードを無双武将が代わりに行うといったことは以前からも見られたのだが、無双武将のエピソードを別の無双武将や固有武将が乗っ取ってしまうというのは例がない。
  • 大坂の陣のシナリオも後述するように茶々や秀頼関連に関する改変により、様々なエピソードが改変および削除され、それまでのシリーズに比べてもうまく描き切れていないものとなっている。
    • 特に幸村と茶々が大半の武将の出番を吸い上げてしまっており、実質この2人対徳川軍の決戦として描かれ*18、せっかく特殊モブになった大坂浪人衆の活躍がほとんど描かれていない。
+ 茶々の扱いについて(ネタバレ注意)
  • 父を信長に、母を秀吉に滅ぼされたために、豊臣にかくまわれた後も秀吉の側室ではなく保護という形になり、秀吉達には心を開いておらず冷たい態度をとりつづけている。
    • しかし、この変更によって息子の秀頼の存在が抹消されてしまい、秀吉の死後も茶々が豊臣家に居続ける理由があいまいになってしまっている。
    • 当然ながら史実では大坂の陣の豊臣方の総大将の豊臣秀頼は何よりも重要であるのに、本編では秀頼という言葉が一切出てこないので徳川が大坂城を攻める理由も希薄である。それなのに敵味方双方戦国乱世最後の戦だと覚悟を決めている。
    • 今までマイナーな戦も史実再現していてここに来て秀頼がいない大坂の陣というそもそも起こる必要がない戦がラストを飾る展開が一層違和感を際立たせている。
      • 古くは『戦国無双』から秀頼を出馬させようと奮戦する幸村や、出馬が叶わずに落胆するといったシーンが非常に印象に残るため、そういった部分が描かれなくなったのが残念な点である。
      • 一応、本編終了後の終章でのわらべ歌の中で初めて名前が登場するので、秀頼自体は存在しているのかもしれない。
    • 茶々は大坂方の登場人物の設定を吸い上げているため、大野治長も一応は登場はするものの空気であり、結果的にストーリーの描写不足に繋がることになってしまった。
    • また、終始、他の人物から持ち上げられており、幸村自身も終始、「茶々様は大丈夫だろうか?」というシーンが目立ち、茶々に何かをするためのおつかいが増えるといった章前半の濃厚なストーリーとはかけ離れたものになってしまう。

PSV版における問題

  • PSV版では兵の出現数が減っているためにミッションなどの目標撃破数が減らされているのだが、手柄に関しては未修正なため、撃破数が必要となる手柄を達成しづらくなっている。

ナンバリングに比べてカットされた部分

  • 流浪演武やエディット武将等のおまけ的な要素は存在せず、本作にはモードセレクトすら存在しない。
    • その無双演武も一本道のシナリオであるため、一度エンディングまで遊び切ってしまうと燃え尽きてしまい、プレイのモチベーションを保ちにくい。
  • ソロプレイ専用となっている。2人プレイすることも多いシリーズなのでマルチプレイがカットされたのは残念。
  • ギャラリーにおける無双武将のモデルやセリフなどを自由に閲覧する武将閲覧が無くなってしまった。近年の作品では半ば恒例となっていたために惜しまれる。

クリア後

+ ネタバレ
  • 一度クリアすると、全ての無双武将を茶屋に呼べるといった特典、副戦場をすべてクリアしていた場合は加えて信之視点の終章を見ることができる。時系列としては信之の松代藩転封直前の1622年頃と思われる。
    • ちなみにこの終章、モードとして独立しているためかカメラ操作の上下・左右などが固定されており、変更ができない。細かいところだが、気になる人は気になるだろう。
  • 城下町のイベントなどは最終章の状態で固定されたままとなり、以後の進展はない。特定の章をイベントも含めてもう一度プレイすることなどはできず、絆を上げそびれて二度と会えなくなった一般武将に対しては諦めるしかない。
  • また、「長期合戦回想」で選択できるのは直前の章(大坂冬の陣)までとなっており、大坂夏の陣における戦場は一部の武将でしかプレイできない。
    • 強くてニューゲームや、完全なフリーモードが欲しいといった声が聞かれる。1本のゲームとしてはややボリュームが少ないため尚更。
  • 本作に登場する史実の没年に関する資料が無い武将たちのうち、出浦昌相・横谷幸重・明石全登・甲斐姫は「乱世を生き抜いて太平の世まで生存した」という設定で終章にも登場する。

城下町における不満点

  • いわゆるファストトラベルが存在せず、施設を利用したり出陣する際には実際にその場所まで歩かなければならない。
    • 「長期合戦回想」をしたければ適当な拠点に入って「書物庫」まで移動するといった手間がかかるため、テンポが悪い。
    • 単純にフリーモードやイベント回想をするのにもマップを歩き回らなければならないのは煩わしい。また、拠点のマップはかなり広めである。
    • また、進行中に「警備兵に見つからないように町から脱出する」という内容のミニイベントがあるが、警備が厳重で見つかりやすく、さらには見つかるたびに何度もやり直しをさせられるという煩わしい物となっている。

テンポを阻害する要素

  • 道場における項目が無駄に多く、階級が上がって解禁されるたびに通う必要がある。
    • 従来では自動で解放されていた要素にわざわざ制限をかけたようにしか見えず、解放に資金も必要となる。
  • 難易度の選択は拠点内のメニュー → 設定画面から選択するという、旧作に近い方式に退化しており、戦場毎に決めることができなくなった。

探索マップにおける不満点

  • パートナーに指示を出すことができず、自分が攻撃している敵を馬に乗りつつ横からさらうという邪魔になるような動きをする。
  • エリア制のため、若干テンポが悪い。特にエリアの端で戦う時は神速攻撃などでエリア外にはみ出しやすく、切り替わりによるストレスを感じやすい。

戦闘の制限時間について

  • 前述の通り、現実世界での1分=ゲーム内での1時間なのだが、今作では制限時間が24時間より長い戦闘が存在しない。すなわち、実際の制限時間は最大でも24分である。
    • 前作までは制限時間60分がザラだったため、その感覚でプレイしていると時間切れの危機に陥ることもしばしば。戦場の分割のおかげで1ステージごとの時間は確かにそう長くはないのだが。

その他の問題点

  • 無双極意時のBGMの強制変更は相変わらずそのまま。
    • どういうわけか無双極意中は『3』並に強いヒットストップが発生するようになり、爽快感の著しい阻害になっている。
  • オープニングムービーが存在しない。

賛否両論点

既存の無双武将の扱い

  • 全武将61名中、約1/3の21名が探索や長期合戦回想限定となる。
  • 模擬演武限定キャラの常連である五右衛門・阿国・義元・武蔵・小次郎に、織田の面々や立花家・伊達家など*19も今作ではまずプレイアブルにならない。
    • しかし、タイトル通り真田家に重点を置いたストーリーであり、絡みようがないのは致し方ない所か。
    • そうでなくても新録台詞がない無双武将もおり、特に「大坂夏の陣」に登場する立花宗茂は、モブ武将と幸村が熱いやり取りをする最中に使いまわしセリフによる適当なやり取りをかわすのでネタにされてしまった。
      • 立花宗茂や柳生宗矩など、新キャラの徳川秀忠に関わりの深い武将もいるのだが新録が無いために関わるシーンがないのを残念がる声もある。
      • ただし、新録ボイスがないだけで釣りや一部のイベントでボイスのない固有セリフを喋ることはある。
+ 登場武将と出撃可能回数

☆=主戦場・副戦場において十回以上出撃可能な武将
◎=主戦場・副戦場において五回以上出撃可能な武将
〇=主戦場・副戦場において三回以上出撃可能な武将
△=主戦場・副戦場において一回以上出撃可能な武将
x=主戦場・副戦場において一度も出撃できない武将(いわゆる模擬専用)

☆真田幸村 〇前田慶次 x織田信長 x明智光秀 x石川五右衛門 △上杉謙信 △お市 x阿国
☆くのいち △雑賀孫市 ◎武田信玄 x伊達政宗 x濃姫 〇服部半蔵 x森蘭丸 〇豊臣秀吉
x今川義元 〇本多忠勝 〇稲姫 △徳川家康 ◎石田三成 △浅井長政 ☆島左近 △島津義弘
x立花誾千代 〇直江兼続 〇ねね 〇風魔小太郎 x宮本武蔵 〇前田利家 △長宗我部元親 xガラシャ
x佐々木小次郎 x柴田勝家 〇加藤清正 〇黒田官兵衛 x立花宗茂 〇甲斐姫 x北条氏康 x竹中半兵衛
x毛利元就 ◎綾御前 〇福島正則 〇藤堂高虎 x井伊直虎 x柳生宗矩 ◎真田信之 ◎大谷吉継
△松永久秀 x片倉小十郎 ◎上杉景勝 〇小早川隆景 △小少将 △島津豊久 △早川殿 〇井伊直政
☆真田昌幸 ◎茶々 ☆佐助 〇武田勝頼 x徳川秀忠

処理落ちやフレームレートの低下が発生しやすくなった

  • 『4』に比べ、処理落ちが発生しやすくなった。PS3ではともかく、PS4でも若干気になる、一応、PS4 Proなら大分解消される。
  • Win版*20は日本語文章が存在しない上に『4-II』より負荷が重く、ミドルレンジレベルで30fpsがなんとか保てるレベル。解像度の設定を少し下げればミドルハイ~ハイエンドレベルでなんとか60fpsは出せるというのが当時の見解。
    • ただし、兵士のワラワラ感はすさまじく、グラフィックやエフェクトも派手であるために爽快感は非常に高い。また、戦闘前のブリーフィング中の裏読みなど、ロードの短さは健在であるため、戦場におけるテンポはそこまで落ちてはいない。

ストーリーの結末について

+ ネタバレ
  • 幸村の人生を扱う以上、大坂夏の陣で奮戦して最期を遂げるという展開を変えることはできない。
    • それまでのシリーズでは豊臣方が勝利するIFストーリーや、徳川方のストーリーをプレイできるといったフォローがあったが、本作はどうあがいても幸村と茶々の最期で物語が終わってしまう。
    • 従来よりも史実寄りな展開であるため、そこは徹底したともいえるが、DLCでIFシナリオをプレイしたいという声も聞かれる。
      • また、最終ボスは家康ではなく秀忠となっており、馬印を踏み倒して家康をあと一歩まで追い詰めるシーンが存在せず、秀頼の存在の総カットと相まって、大坂の陣のシナリオとしては物足りなく感じやすい。

キャラチェンジ

  • 『4』や『Chronicle』シリーズと比較して、キャラチェンジに若干間を置くようになった。
    • これを、初心者向けに間を置いて心の準備を持たせるようにした改良と見るか、テンポを悪くした改悪と見るかは意見が分かれるだろう。
    • ちなみに、キャラクターが近くにいる際は間を置かず即切り替えるようになっている。

DLCが少ない

  • 近年の作品にしてはDLCの数がかなり少なく、特定の武将の大河ドラマ衣装、アイテム、各武将の新武器程度にとどまっており、追加シナリオはおろかBGMもない。
    • DLCが多すぎて不満点になるというのはよく見られるが、逆に少なくて味気ないという珍しい感覚に陥る。もっとも、DLCなしでも十分な完成度ではあるのだが。
    • DLCで恒例なギャグシナリオが存在しないため、終始シリアスな雰囲気を保っている。
    • 『4』ベースの作品によるDLCの引き継ぎもなく、その点でもボリュームは物足りないと言える。

総評

大河ドラマ便乗のスピンオフ企画かと思われたが、内容面の充実により安易な企画との印象を覆した良作。
真田家に集中してスポットを当てたことにより、扱う戦場の範囲自体は狭まったが、それまでのシリーズよりも描写が増え一戦場あたりのドラマ性が充実。重厚なストーリーを演出することに成功したといえる。
また、長期合戦や戦場の昼夜の概念、武器鍛工等、今後のシリーズ作品にも採用してほしい良要素も備えており、アクション面に関してもそれまでの『戦国無双』シリーズの良点を引き継いでいるため完成度は高い。
『4-II』で見られた合戦の使いまわしといった要素もなく、全てが新規に作り込まれているため、スピンオフ作品と言えど侮れない。
次回作『5』ではシリーズがリブートされたため、本作こそが旧『戦国無双』シリーズの集大成といって差し支えないだろう。


余談

  • 本作の城外における3Dマップは大河ドラマ『真田丸』でおなじみの3Dマップであるが、このマップは元々『信長の野望 創造』から提供されたという経緯を持つ。
  • 本作では近年ナレーションを担当していた石塚運昇氏ではなく、鈴木麻里子氏が新たにナレーションを担当している*21
    • 同じく大河ドラマにおいて、有働由美子アナウンサーがナレーションを担当していたため、それを意識しての起用であると思われる。本作においても、テロップでナレ死する武将もちらほら。
  • 本作より少し前に、ライバルとも言うべき『戦国BASARA』シリーズを擁するカプコンが『戦国BASARA 真田幸村伝』を発売しているが、その出来はシリーズ終焉を決定づけたものだった…。
  • Win(Steam)版はあるが日本語字幕非対応(英語・繁体中文のみ)。
  • 約1年後の2017年11月9日にNintendo Switch版が発売。
    • 同時発売の『無双OROCHI2 Ultimate』『真・三國無双7 Empires』とは相互にプレイ特典が存在する。
    • DLCが同梱されているが、NHKの版権に関わるDLCに関しては未収録。
    • また、武器DLCに関してはゲーム後半になるまで入手できず、さらに金5000での購入式になっているというバランス調整が施されている。
    • グラフィックは多少落ちているものの敵の出現数、処理落ち度合いともにPS4版とほぼ同等であり、良質な移植となっている。
  • 本作のプレイデータがあると、2018年にSwitch/PS4で発売された『戦国無双4 DX』にて特典を受け取ることができる。
+ タグ編集
  • タグ:
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  • 戦国無双

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最終更新:2024年03月17日 17:00

*1 具体的にはドラマ本編に登場する劇中の背景や大名勢力図などのCGパートである。

*2 史実における後の淀殿。「淀君」の呼称については「悪女」「淫婦」というイメージと共に、「遊君」「辻君」と言った当時の売春婦の呼称に由来するとして、現在ではあまり使用されない。

*3 無双シリーズの女性は史実を拡大解釈したり、実は忍術の心得があったなどの史実と異なるオリジナル設定を付加してプレイアブル登場させることが多いため、彼女のように「戦わない固有モデルのNPC」というのは非常に珍しい。

*4 「特定の武将を無双奥義で倒す」「味方の体力を維持したままクリア」など。

*5 秘蔵武器も存在するが条件を満たした後に鍛冶屋から入手する形となる。

*6 昌幸の場合、青年期は武田家に仕える若武者としての面が強く、一人称は「私」で丁寧な言葉遣いで喋ることも多いが、壮年期になると独立を果たした大名となるため、一人称は「わし」となり、誰に対しても尊大な言葉遣いで接するようになるといった描写の変化がみられる。

*7 幼年期では無双奥義の〆に浮かび上がる「勇」の文字のフォントが丸み帯びており、幼さを表現するという拘がある。

*8 史実では川中島の戦いの時には2人とも生まれておらず、三方ヶ原の戦いでは元服前である。

*9 近年では浅井家家臣の大谷吉房を大谷吉継の父とする学説が有力だが、吉継本人は浅井家滅亡の時点で8歳または14歳であり、大谷吉継を浅井家家臣とするのは史実ではない。

*10 甲斐姫の生年はおおむね氏康の没年と重なるため、氏康存命中に武将として戦っているというのは史実ではない。

*11 「カリスマ」「プロフェッショナル」などの横文字をまれに使用、トリビア的な余談、他のキャラによる言及など。基本的にコーエーの歴史ゲームシリーズでは操作説明以外では横文字を出さないようにしているが、本作の辞典はそれをあえて緩和している。

*12 「薙刀」「太刀+火縄銃」「双剣」の新武将専用モーションは削除されている。

*13 この傾向は本作がタイアップしている大河ドラマ『真田丸』においても同様で、近年の研究の発展によって幸村は単なる真田家から豊臣家への「人質」ではなく、豊臣政権内において真田家から独立した豊臣側の独立大名としての待遇を受けていたことが分かったため。

*14 秀吉が晩年豹変すること、朝鮮出兵の存在などが原因と噂されている。なお、前者については本作においても八王子城の戦いで敵兵の根絶やしを親友の利家に命じるといった部分や、初代や『2』で秀吉が裏のある人物として描かれていたり、『4』で流浪演舞で一部晩年の描写があったりと、シリーズにおいて完全にスルーされてきたわけではない。

*15 次男の大八は大阪の陣のあとに伊達政宗に召し抱えられ、片倉小十郎の養子になったため現代に至るまで幸村由来の血縁が宮城で続いている。

*16 服部半蔵・風魔小太郎・雑賀孫市といった世襲制の人物は除く、ただし、本作でも風魔小太郎が大坂の陣に登場するといった史実と異なる点も存在する。

*17 このエピソード自体は『3』や『Chronicle』シリーズでも取り上げられており、いずれも史実通りに忠勝の啖呵に肝を冷やした家康が助命を認める展開になる。

*18 真田丸の戦いなど、幸村単騎で徳川全軍を相手にするような戦いもある。

*19 探索は贈り物、長期合戦回想は上田城にて来福寺左京にほら貝を渡す必要あり。

*20 Steamでは海外版タイトルの『SAMURAI WARRIORS: Spirit of Sanada』のタイトルで「音声:日本語 UI/字幕:英語」といういわば「おま語」状態で配信されているのみで、これは『SAMURAI WARRIORS 4-II』も同様、『4』に至っては配信すらされていない。

*21 ちなみに、無双シリーズにおいて女性がナレーションを担当するのは非常に珍しいケースである。