ザ・スクリーマー
【ざ・すくりーまー】
ジャンル
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ロールプレイング
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対応機種
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PC-8801/mkII/SR PC-9801 X1/Turbo
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メディア
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5インチフロッピーディスク
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発売・開発元
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マジカル・ズゥ (ストラットフォード・コンピューターセンター)
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発売日
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1985年5月25日
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定価
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7,200円(税抜)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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配信
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Project EGG: 2006年12月26日/700円(税抜)
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判定
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なし
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ポイント
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世紀末感あふれるサイバーパンク&バイオホラー 戦闘シーンの完成度はいまいち 衝撃のラスト
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概要
『北斗の拳』を彷彿とさせる世界大戦後の世界で、大戦後の狂った生物研究所の機能を止めるために集められたスクリーマーと呼ばれる賞金稼ぎたちの活躍を描くRPG。
ストーリー
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... |
199X年。世界は地球規模の異常気象にみまわれ、空前の食糧危機が全人類を襲った。
そんな中、日本政府は総力を結集し、富士山麓に「遺伝子工学研究所BIAS」を設立。
遺伝子工学によって、従来の農業に頼らない、人工的な食料の増産を行おうとしたのである。
だが、そのようなテクノロジーを持ってしても、世界的な食料争いを止める術はなく、
遂に食料を巡って第3次世界大戦が勃発した……
世界が滅びるかと思われた大戦だったが、意外な事に約二年で大戦は終結。
皮肉な事に、戦争で多数の人間が死んでくれたお陰で、食糧問題も解決したのである。
しかし、戦争によって地球上の多くの都市が破壊され、無惨な傷跡を残した。
特に問題となったのは、遺伝子工学研究所であったBIASだ。
大戦の影響で、この施設は破棄されていたのだが、敵国の爆撃により、システムが故障。
BIAS内部では、勝手に中枢システムが起動し、意図しない実験が延々と行われ続けていた……
結果、漏れだした放射能や、狂った遺伝子操作により、得体の知れない化け物が増殖。
人類の力と科学の象徴であったBIASが、大戦の影響によって悪魔の住む塔と化していたのである。
かつて、日本の希望として設立されたBIASが、
今や復興のガン細胞として、日本を蝕んでいるのは皮肉としか言いようがない。
BIASに対する外部からの物理的な攻撃は不可能である。
何故なら、現在BIAS内部にどのような物質や細菌・ウィルス、生物が存在しているか不明であり、
外部からの攻撃で、それらが漏れだす事だけは避けねばならない為である。
その上、BIAS内部では、狂ったセキュリティシステムが、侵入者を見境無しに排除しようとしている。
外部からの破壊は不可能。さりとて、内部は狂ったガードシステムと、未知の化け物が侵入者を狙っている。
……打つ手がなかった。
復興に忙しい現在の政府には、BIASの機能を停止させ、全施設を安全に解体する金も人手もない。
そこで、政府は一つのプロジェクトを計画する。
差し当たって、BIASを外部から「封印」してしまい、外部へ生物が漏れ出さぬよう監視。
その上で、BIAS内部の化け物共に賞金をかけたのだ。
しかも、「BIAS再深部に進入し、見事BIASの機能を停止させた者には、
一生かかっても使い切れない程の報奨金を出す」と確約した。
こうやってお膳立てをしておけば、あとは勝手に、賞金稼ぎどもがBIASに進入し、化け物共を掃討してくれるだろう。
……そう言う思惑だった。仮に失敗しても、政府は何も損はしない。まさに妙案だった。
そして程なく、政府の思惑通り、復員してきた元軍人や、戦争で職にあぶれたならず者共が富士山麓に集まった。
かつて「富士山麓科学都市」と呼ばれた街は、かくして、命知らずの賞金稼ぎのたまり場、「ビーストシティ」として生まれ変わり、
彼ら、賞金稼ぎ達は金のために、あるいは己の力を試すために、今日も今日とて、BIASの闇へ挑んで行く……
モンスターの餌食となる者。防御システムに阻まれる者。
得体の知れない生物を目の当たりにして発狂する者……闇の中で彼らの絶叫が木霊する。
BIASへと挑む世紀末のハンター達……彼らはいつしかこう呼ばれた。
ザ・スクリーマー …… 叫ぶ者共、と。
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特徴
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本作はBIASと呼ばれるダンジョンを探索するアクションRPG。ウィザードリィ型3Dダンジョン形式だが戦闘は2Dアクションになっている。近くにはビーストシティと呼ばれるスクリーマー達相手に商売をしている街があり、スクリーマー達がいる酒場や治療を行う病院、武器やアイテムを購入できる店などがある。
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BIAS内部は22×22で構成されており全6層。
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内部には落とし穴などのトラップが存在している上、流れ弾などのアクシデントも起きる。探索は一筋縄にはいかない。
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また構造も複雑になっており、6F構成の割にはかなりボリューム感がある。
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戦闘はサイドビューのアクションになっており移動、攻撃、ジャンプ、しゃがむ、シールド、アイテム、逃げる、の行動ができる。
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攻撃は武器によって攻撃できる距離が違う。近接武器は近づかなければ当たらない。
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ジャンプ、しゃがむで敵の攻撃を避けることができる。シールドは敵の攻撃を防御することでダメージを0にすることが可能。
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経験値・資金を得るためにはビーストシティ内の首屋と呼ばれる施設で戦闘記録装置を装備してビーストと戦闘を行い、帰還後に首屋で戦闘記録に応じて経験値と報奨金を得るという手続きが必要。
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一見面倒にも思えるが、実はエンディングの伏線にもなっている。
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H.P.が0になると死亡、データは消滅してしまう、かなりシビア。
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一応データディスクを書き込み禁止状態にしておけば回避可能。
評価点
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世界観の構築が見事。『マッドマックス』『北斗の拳』を彷彿とさせる世界観で、登場人物のセリフもよい意味でかなりイカレている。
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ゲーム中に出てくる同業者のスクリーマーは8人いるが、どいつもこいつも一癖も二癖もあるメンバーばかり。
ゲーム中に彼らから情報を聞き出したり、武器やアイテムの取引をすることも可能である。取引では非売品を入手することも可能。
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また、ゲーム中ドライブのディスクを入れ替える操作の際にはIDカードの提示という形で行っているため、プレイヤーの没入度も高い。
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独特のタッチで描かれるグラフィックもかなりの高水準。
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ショッキングなエンディングは今でも語り草。
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詳細は伏せるがかなり救いのないバッドエンディングである。それであるが故に世界観ともマッチしている。
問題点
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戦闘システムが全体的にしょぼい。
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戦闘はサイドビューのアクションだが、通常画面に比べるとグラフィックもしょぼいうえに単調で戦略性も乏しい。
また、武器はムーバーと呼ばれる射撃武器とジョイントと呼ばれる近接武器の2系統に分かれているものの、どちらも火の玉を発射するだけ。
さらに近接武器の有用性が射撃武器に比べ低く、これのおかげで最強武器の「サムライソード」の立場がない。
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死亡した場合はキャラクターデータも削除される容赦のない仕様。
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全体的にゲームバランスは厳しめで、攻略時に一定の確率で装備が壊れる仕様も相まってかなり難しい。
総評
『S.T.A.L.K.E.R.』などの世紀末的な世界観で展開されるバイオホラーの先駆けともいうべき作品で、はまる人には強烈なインパクトを残し、エンディングの強烈さも相まって人気も高い。
それ故に戦闘システムの稚拙さが目立つのが残念。
その後の展開
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本作のゲームブックがJICC出版局とMIAの2社からそれぞれ発売されている。
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JICC出版局から出ているものについては原作にある程度準拠しているが、原作プロローグ漫画で死亡した女性・セイヤが生き残って主人公に同行しているなどのアレンジも加えられている。イラストは駄場寛氏が担当。こちらは比較的入手しやすい。
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MIAから出ているものについては発売元が直接監修している作品でゲーム展開はおおよそ原作に準拠。イラストも東本昌平氏が担当しており、原作のプロローグ漫画も新たに書き直されて収録されている。こちらはかなり入手困難。
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ProjectEGGにてPC88版が配信されている。
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本作のリメイクを望むファンも多く、『ザ・スクリーマー リボーンズ』としてリメイクの企画はあったものの、残念ながら頓挫してしまった模様。
余談
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発売元のストラットフォード・コンピューターセンターについて
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本作の発売元のストラットフォード・コンピューターセンターは主に教育ソフトを扱っていた会社であり、マジカル・ズゥはそのホビー事業部のブランドである。
本作以前に発売したゲームは発売元の取り扱っているソフトの影響もあってか、考古学や歴史をテーマとしたどちらかというとかなり生真面目なソフトが多かったため、いろいろな意味で本作は異端児ともいえる。
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尤も売上自体は同社発売のソフトの中ではかなり優秀であった。
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本作のパッケージは冊子形式になっており、本の後半部分にディスクが入っているという一風変わったパッケージになっている。
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本作のパッケージイラスト及び冊子前半の漫画部分は『キリン』などで有名な東本昌平氏が手掛けている。
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本作には没となったCGのデータがディスク上に数点残っており、その中にはいわゆるアダルトCGも紛れ込んでいたりする。
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上記のCGの件については当時の雑誌でも存在を示唆しているものがあった。
最終更新:2022年07月22日 23:21