本ページでは極魔界村と、そのマイナーチェンジ版である「極魔界村 改」を紹介します。判定は無印版が「なし」、改が「良作」です。



極魔界村

【ごくまかいむら】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 カプコン
開発元 カプコン
トーセ
発売日 2006年8月3日
定価 5,229円
判定 なし
ポイント さらに難しくなりました
リング集めゲー
魔界村シリーズ

概要

高難易度で有名な人気2Dアクションシリーズ第四弾。前作『超魔界村』から15年ぶりの新作である。
本作は横スクロール2Dアクションという根幹は継承しつつ、恒例となった過去作のシステムを根本的に大きく改変しており、結果的に従来作とは大きく異なるゲーム性となっている。
本シリーズ生みの親である藤原得郎がディレクターとして本作の制作に参加している。

システムの変更点及び新システム

基本システム及びアクション

  • ゲームモード選択。
    • ゲーム開始時に難易度を選択できる。初心者向けの「ビギナーモード」、標準難度の「オリジナルモード」、上級者向けの「アーケードモード」の三種類が用意されている。
    • ミスした場合、従来は「戻り復活」だったが、本作では「その場復活」となっている(アーケードモードは戻り復活)。
  • シリーズ過去作同様、即死制横視点2Dアクション。鎧を取る事でダメージを無効化する事が出来るが、落とし穴で即死する。
    • 武器は全て飛び道具で、壷を持った敵を倒した時に出現するか、特定条件で出現する宝箱から入手する交換式。
    • ジャンプ中の空中制御は効かず、足場から落下すると真下に落ちると言った動作も旧作同様。
  • 本作におけるアーサーのアクション
    • 『大魔界村』の上方向攻撃と『超魔界村』の二段ジャンプが使えるいいとこ取り仕様となっている他、地形へのつかまりやダッシュ移動も新規に追加された。
      • ただし、二段ジャンプはアイテムを入手しないと出来ない(と言っても1面目で入手できるので、すぐに使える様になる)。また、二段ジャンプ中の攻撃強化はなくなっている。
  • ステージワープアイテムである「ワープスピア」と、石をアイテムや敵に変える魔法「石化の魔法」、飛行が可能になる「飛行の盾」「堕天使の鎧」を駆使したアイテム探しが追加され、探索要素が増している。
    • ステージの脇道も増えている。各種ステージで集めた特定アイテムを脇道にいる魔女に渡すと攻略が楽になる永久効果のアイテムがもらえたりする。
  • 通称「魔界村システム」とも呼ばれる二周攻略は勿論健在。ただし、周回の仕様に大幅な変更が加えられている。
    • 従来のシリーズではゲーム二周目に専用の武器を取らないとラスボスと戦えなかったが、本作では「光のリング」というアイテムを33個集めるのがラスボスとの交戦条件となっている。
      リングは一周目の段階ですべて集める事が出来るため、従来の様に二周しなくてもゲームクリアが可能となった。
      • ただし、リングを集めるために各ステージを行ったり来たりする事になるので、一周クリアを目指すにしても従来の二周クリア分以上の時間はかかる。
      • また、二周目にしか手に入らないアイテムも存在する。三段ジャンプするアーサーは必見。

アイテム・装備類

  • 鎧の種類も増加した。
    • 騎士の鎧(鉄)→勇者の鎧(青銅)→覇王の鎧(黄金)のパワーアップの他に、以下の鎧が追加。
      • 魔の鎧: 正と負の属性がランダムで付与される。正は移動が常時ダッシュとなり、魔力の消費量が半分になる。負は耐久力が高い反面、移動が極端に遅く魔力の消費量が倍増。
      • 暗黒の鎧: 魔法と盾が使えなくなるが武器が常時パワーアップする
      • 堕天使の鎧: 自由に空中移動できる
    • 前作までは特定の鎧を装備中に溜め撃ちで使えた魔法が、上述の特殊な物を除き鎧を装備していればいつでも使える燃料制になった。更に、武器依存ではなく任意装備制になった。
      • 魔力の元を消費する事で即時発動が可能。より攻撃的に扱えるようになった反面、計算して使う必要がでてきた。
    • 本作では鎧に耐久がつき、一撃で鎧が剥がれなくなった。
      • 更に壷を持った敵が鎧を落すようになった。
  • 武器をパワーアップするアイテム「POW」。
    • 青色のPOWを取ると連射速度や射程が、赤色のPOWを取ると威力が強化される。
  • 『超魔界村』で登場した黄金の鎧の付随アイテム『盾』が、別個のアイテムとして登場した。
    • しゃがむ事で構え、相手の飛び道具を一定回数防ぐ事が出来る。
    • 盾には様々な種類があり、任意のタイミングで付け替え可能。種類によって防げる回数が異なる。

これらの一部アイテムや装備・魔法は、スタートボタンで開けるメニュー画面から任意のタイミングで変更できるようになった。


評価点

  • 2Dアクションゲームをグラフィックのみ3D化した場合、グラフィックが立体化されている分動きがモッサリとしやすく2D時代とのプレイ感覚の違いが如実に表れてしまい易いが、本作では動きに制約があるというシリーズ全体の特徴を踏襲しつつ、モーション自体はキビキビと小気味よくテンポの悪さを感じさせない。
    • 前作『』は動き自体が重たくモッサリ気味だったためその観点からも改善に繋がっている。
  • 前作までは伝統として「斧」「たいまつ」と言う使えない武器筆頭が登場していたが、本作では斧の削除やたいまつの大幅な威力向上等により、全武器が何かしらの強さを持つように調整されている。
    • 勿論、使い勝手の良し悪しは存在する。場面によってはたいまつを入手して絶望的になる事も。
  • BGMは前作のオーケストラ路線を継承。「魔界」らしい不気味さと荘厳さを兼ね備えた楽曲が揃っている。
  • グラフィックは当時の3Dとしてはなかなか頑張っており、魔界村らしい不気味でグロテスクながらもポップな雰囲気がうまく表現出来ている。

問題点

  • 難易度が更に上昇。総合的にみると初代・大・超の過去3作よりも難しいと言われる。
    • 鎧に耐久がつき、盾で弾を防ぐ事ができるものの、ソレを前提にバランス調整したためか、敵の猛攻が従来以上に激しい。
      • 最初の墓場ステージの時点で難易度の違いは実感できる。雑魚敵でも過去作と比較すると、魔界村では「地面から出現してただ歩くだけ」のゾンビ。大魔界村では「高台から飛び降りたりするものの基本前進しか出来ない」死神、超魔界村では「無敵効果のある棺から出現するようになったが、基本性能は前進するだけ」のゾンビだったが、本作では「空中の瘴気が集まって突如出現し、自由に空中移動して時折弾を撃ってくる」レイス。性能が段違いに高い。
        また、従来の作品ではこの手の無限に湧くタイプのザコは、出現してからダメージ判定が発生するまでに若干の余裕があり、見てから避けたり走り抜けてスルーする事も可能だったが、本作のザコは出現するのとほぼ同時にダメージ判定が発生するため、気付いた時には既にダメージを受けていた、という事がよくある。
      • 2面以降、空から髑髏が降ってくるようになる。この髑髏は地面に落ちた後暫くすると体が生えて襲い掛かってくる、という敵なのだが、空から降ってきている段階でダメージ判定があり、非常に厄介。5面冒頭では上へ上へと昇っていく場面でこいつらが降りしきってきたりする。
      • シリーズ恒例のレッドアリーマーも魔法をガードしたり、追尾型の武器を完全に避けきったりと大幅に強化されている。動きを遅くする「時の魔法」が有効なのが救い。…だが、それすら効かない上位版「レッドアリーマー・ダーク」もいたりする。
      • 加えて本作ではランク制度が導入されており、生存時間に応じてどんどん難易度が上昇する様になっている。
    • シリーズ恒例の状態変化の時間がかなり長くなっていたり、食らってしまうと長時間痺れて動けなくなってしまう4面の地震等、トラップも厳しさを増している。
    • 武器の使い勝手にムラがあるのも相変わらず高難易度に拍車をかけている。たいまつは前作までと比べると飛距離が伸びて使いやすくなったが、槍の上位武器である大槍が威力こそ高い物の連射が効かず弱い。誘導するスワローブレードも誘導性能が弱いため、強化すれば強力だが単品だと敵の周囲をぐるぐる回って当らない事が多い。
      • 敵に向かって投げたスワローブレードが地面の髑髏に飛んでいったりもする。
    • 緊急回避として役立てたい魔法も、従来の作品ではあった発動後の無敵時間が殆ど無いので、一部を除いて全く頼れない。また、ジャンプ中でも使える様になったのだが、発動後は真下に落ちてしまうため、うっかり穴の上で使ってしまうとそのまま死ぬ羽目になる。
    • 実は残機を30まで溜めると残機が無限になるという裏技があるため、頑張って残機を貯めまくればゴリ押しクリア可能。
      初心者救済策にしても思い切りが良すぎる気はするが…。
  • ゲームクリアに必須な「光のリング」は各ステージに隠されているのだが、これが全くのノーヒントな上に、「ステージ内に何個あるか、その内何個集めたか」といった情報も一切表示されない。攻略情報一切抜きで全て探すのはかなり骨が折れる。
    • 発売前の段階ではこのリング集めの存在は、公式サイトなどでも一切公表されておらず、多くのユーザーが突然の過酷なおつかいに面食らう形になった。
    • 一応雑誌付録の体験版でリングも登場していたが、その時点では効果不明の謎アイテム扱いだった。
  • 難易度調整も付いているが、これも色々と問題。
    • アーケードモードは従来通りに鎧が一撃で剥がされる仕様で、鎧に耐久力があるオリジナルモードがヌルゲーに感じられるレベルに難易度が跳ね上がる。
      • 一番厳しいのが、その場復活から戻り復活になる事。その上、従来の作品では設けられていた「中間地点」が無く、一部のステージを除きどれだけ先に進んでいても必ず「ステージ最初」に戻される仕様のため、一つ一つのステージが長めに作られている本作ではやり直しがかなりきつい。
        更に、そのステージ中で集めていたアイテムもミスした時点で全て没収され、一から集め直す必要がある。ただでさえ大変なリング集めがより過酷な物になってしまっている。
      • 一応ランクの上昇がオリジナルモードに比べて緩やかだったり、ボスの耐久力が少し低かったりといったバランス調整はされているが、焼け石に水状態。「シリーズで一番難しい(理不尽)」との声も多く聞かれた。
    • 初心者向けとされているビギナーモードでも『超魔界村』に匹敵する難しさで、正直「本当のビギナー」にはお奨めできない。
    • 難易度設定を下げても「理不尽な攻撃を残機や鎧の耐久力でゴリ押しする」というプレイになりがちで、過去作のようなパターンを憶えて攻略する快感に乏しいのが根本的な問題と言える。
  • PSPのモニターのサイズ上、3Dで背景がしっかり書き込まれているゆえに少々ゴチャゴチャしており見づらい。
  • 難点というほどではないが、従来の作品と比べてキャラクターデザインのタッチがややリアル調になり、マンガチックなタッチだったモンスターもリアルで少々グロテスク風味のデザインや名前のものが増えた(それほど気持ち悪いわけではないが)。

総評

アクションゲームとしての基本的な挙動やグラフィック等、素材自体の完成度は十分に高い。

しかし、更に上昇した難易度(特にアーケードモード)はともかく、リング集めに関しては事前情報が無かった事もあってかなりの不評を買ってしまい、本作の評価を大きく落としてしまった。スタッフとしては「探索要素を追加する事で長く遊んでもらえる様に」という意図があった様だが、実際に出来上がったものを見る限りは「アクションに集中したくても探索しないとクリア出来ない、探索したくても難易度が高過ぎて全然捗らない」という、中途半端で方向性の見えない物になってしまった感が否めない。

とは言え、その文字通りに「極」まった感のある凄まじい難易度は、シリーズファンのみならずアクションゲーム好きであれば一見の価値はあると言える。現在は後述する『改』が安価で入手でき、本作もそのままの形で収録されているため、チャレンジ精神溢れる人は挑んでみるのもいいだろう。


余談

  • 本作の発売に合わせ、「アーサーの決意」というタイトルでCMが作られている。主演は黒田 アーサー
    • 勇退して隠居生活を営んでいたアーサー(姫はどうした)が、姫の拉致を知り、再び魔界に赴くべくトレーニングに励むというコミカルなもの。作中に登場するアーサーの鎧は ダンボール製であり 、防具装備にもかかわらず、1度のダメージで剥ぎ取られてしまう貧弱さをコミカルに表現していた。

極魔界村 改

【ごくまかいむら かい】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 カプコン
開発元 カプコン
トーセ
発売日 UMD版:2007年8月2日
DL版:2010年3月18日
定価 UMD版:3,140円
DL版:1,500円
判定 良作
ポイント 探索型から単純な面クリア型への回帰
理不尽な部分が修正されてプレイし易くなった
反面、若干調整が大雑把な側面も

概要(改)

発売から1年後の2007年、システムや難易度を見直した「改モード」を追加し価格も下げた『極魔界村 改』が登場した。翌2008年にはBest Price!版も発売された他、2010年からはプレイステーションストアでも配信中。

前述通り、通常の極魔界村(ファンの間では改と区別するために「無印」と呼ばれている)もそのまま収録されている。尚、無印版ディレクターの藤原氏は、改モードに関してはノータッチの模様。

無印からの変更点

  • 「改モード」は従来と同じシンプルなステージクリア型となっており、当然2周制。探索要素は隠し部屋という形で少し残っている。
    • シリーズ内で見ると難易度は低い部類とされる(それでもアクションとみれば難易度は高いが)。
    • 鎧が一撃で剥がされる、魔法や盾はストック出来ず今持っている物と交換される等、基本的なシステムも従来通りに改められた。
      • 2段ジャンプも最初から可能だが、ダッシュ移動は一部の鎧専用のアクションとなってしまった。
      • ミスした際は戻り復活だが、無印アーケードモードと違ってステージ中に中間地点が設けられている。
    • 魔法は魔力を消費するタイプから『大』や『超』と同じチャージ制になっている。鎧の種類により、魔法のチャージ速度と範囲等が変わる。
    • 最終ボスと戦うために必要なアイテム「リング」はコンティニュー回数を増やすためのものとなり、完全に無視して進める様になった。
      • 代わりに、「波動の魔法」を装備していないと最終ボスと戦えない様に変更されている。チャージが鉄の鎧でも早いことと、威力が高いことでボスが楽に倒せる。
    • 魔の鎧の性能が変更され、より博打性が上昇した。
      • 正は魔法チャージ速度が上がり、移動がダッシュ移動になりジャンプ距離が長くなる。
      • 一方の負は魔法使用不可で、移動速度が下がりジャンプ距離も短くなるという完全な「ハズレ」扱い。

評価点(改)

  • 無印で不評だった点が概ね改善された。
    • 苛烈な難易度の中で行う必要があった探索要素が廃止された事もあり、ゲームとしてのテンポは大きく向上している。
    • ステージ道中もザコ敵の耐久力や敵配置が見直され、無印よりも快適に進める作りに。
      • 無限に湧くタイプの敵の出現してからダメージ判定が発生するまでの猶予が長くなった、空から降ってくる骸骨の当り判定の削除、4面の地震をレバガチャで素早く抜けられる様になっている等、無印にあった理不尽感はかなり薄まっている。

問題点(改)

  • 魔法がチャージ制になった事で、一部の強力な魔法が出し放題になってしまった。
    • 特にバリアが付く「無敵の魔法」は有用。チャージ時間こそ長いものの、バリアが剥がれたら安全な場所で再チャージする様に心掛ければ、落下以外では基本的に死ぬことがなくなる。
  • 空中を自由に移動できる「堕天使の鎧」も性能が無印からそのまま。容易にステージのショートカットが出来てしまい、あまりにも便利過ぎる。
    • これだけ破格な性能であるにもかかわらず、序盤で手に入れる事が可能。これと無敵の魔法を組み合わせれば文字通り無敵と化す。

総評(改)

魔界村シリーズとして見た場合、バランスブレイカー気味の魔法や鎧が使い放題な事もあってややヌルい印象もあるが、シリーズの基本はしっかりと引き継がれており、面クリア型の高難易度アクションゲームとしては十分な出来である。
無印極が合わなかったというプレイヤーも本作であれば楽しめるだろう。

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最終更新:2021年04月24日 23:14