ペーパーマリオ カラースプラッシュ

【ぺーぱーまりお からーすぷらっしゅ】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 Wii U
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
発売日 2016年10月13日
定価 6,156円
プレイ人数 1人
レーティング CERO: A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 前作と同様のアクションアドベンチャー路線
前作の問題点をある程度解消
バトルのシステムやキャラの使い回しには不満が残る
マリオシリーズ


概要

ペーパーマリオ スーパーシール』に続くペーパーマリオシリーズ第5作。携帯機だった前作から久々の据置機へと戻った。
初報では評判の悪かった前作を想起させるような要素*1が多く、シリーズファンからの印象は悪かったのだが、それなりにまとまりを見せた作風となっている。

ストーリー

ある嵐の夜、マリオの元へ深刻な表情のピーチ姫が訪れた。
ピーチ姫は手にしていた手紙をマリオに差し出すが、それは手紙ではなく真っ白に色ヌケして折りたたまれたキノピオだった。
マリオたちは手紙キノピオについていた消印を頼りに、原因を探るためイロドリアイランドへと旅立つ。
そこでマリオたちを待っていたのは、いたるところが真っ白に色ヌケしたイロドリタウンだった。
マリオはタウンの中央のイロドリの泉から現れた「ペンキー」と共に、何者かによって各地に飛ばされたペンキスターを集め、奪われた色を取り戻す旅に出ることとなる。

システム

  • 基本的には前作『スーパーシール』と同じで、用意されたコースを順にクリアする、アクションゲームのような構造になっている。
    • ワールドマップも続投しており、広大なイロドリアイランドを旅している気分が味わえる。
    • 世界観は前作までの雰囲気を踏襲しており、ステージのネーミングなどは「色」にまつわるものが多くなっている。やたらリアルな「モノ」も続投。

新要素

ペンキと色ヌケ

  • 本作のメインカラーと言える新要素で、フィールドの様々なところが真っ白に色ヌケしている。色ヌケした扉は開かなくなり、色を吸われたキノピオは意識を失ってしまう。
    • これらの色ヌケしたオブジェクトをペンキの力を得たマリオの「ペンキハンマー」でペンキを塗り、元の働きを取り戻させる。
      コース上の色ヌケを修復した割合はメニューやマップに表示され、達成率の一つにもなっている。
      • ペンキは際限なく使えるわけではなく、減ったペンキは落ちていたり木やお花を叩くと出てくるペンキ玉を取ると回復する。ペンキの上限は敵を倒す事で手に入るペンキプレートを取ると増える。

テンカイハンマー

  • コース上にある「!?」と書かれたピンク色の「テンカイブロック」を叩くとマリオのハンマーにテンカイの力が与えられ、テンカイブロックと同じマークが書かれたオブジェクトをテンカイハンマーで叩くと、まるでペーパークラフトのように本来のすがたに組み変わる。
    • テンカイパワーには時間制限があり、テンカイブロックを叩いてから一定時間内にテンカイマークが書かれたオブジェクトにたどり着かなくてはならない。テンカイブロックは何度でも叩き直せる。

キリトリ

  • 前作の「ペパライズ」に当たる能力。
    • 使用するとマリオとペンキーが次元を超え、画面上のコースが一枚の紙になりWiiUGamePad上に表示される
      • 紙に点線が表示されているところをタッチでなぞって切り取ることで隠れていた物が見えたり、行けなかった場所に進めるようになる。

カード

  • 前作のバトルシールに当たるシステム。バトルシーンではこのカードを消費してジャンプやハンマーなどの攻撃を行う。
    • カードには色が塗られていないものがあり、マリオのペンキで色を塗ると威力が上がる。色が予め塗られているカードもある。
      • 種類は前作のバトルシールに対応する「ノーマルカード」、モノシールに対応する「モノカード」と新たに敵キャラを倒すとたまにドロップする「敵カード」が登場。「敵カード」は、使うと敵キャラを味方として呼び出して、敵が攻撃してくれたりダメージを肩代わりしてくれたりする。

ラッキースロット

  • 今作のサポートキャラ「ペンキー」の能力の一つ。
    • コインを支払って使用すると新たなカードがシャッフルされ、その中の一枚をタッチで選んで獲得することが出来る。
      • スロット回転中に更にコインを消費することで、回転が遅くなったり、カードを表にすることも出来、好みのカードを引きやすくなる。

ドロボーヘイホー

  • ワールドマップを移動中にたまに現れる仮面のブラックヘイホー。
    • 現れるとワールドマップの何処かに予告状を出し、そのステージまで向かうドロボーヘイホーより先に着かなくてはならない。
      • 目的地に先にドロボーヘイホーがたどり着くとステージの色を吸い始め、バトルで倒さないとそのステージの色ヌケ修復率が戻ってしまうが、勝つと大量のコインが貰える。

ジャンケンしんでん

  • ジャンケン大会が行われる神殿で、勝つと大量のコインが貰える。
    • ゲームが進むとチャンピオンのジャンケン仮面が現れ、勝つと特別なカードが手に入る。

評価点

前作の問題点を殆ど解消するべく、ゲームの細部に工夫が盛り込まれている

バトルシステム、カード関連

  • アクションコマンドが初心者にもわかりやすくなった。
    • ノーヒントだった前作と異なり、初回からしばらくの間の戦闘ではタイミングを示すボタンマークが表示される。
    • さらに拠点となるイロドリタウンには「アクションコマンド道場」という新施設があり、ここでカードを消費せずに何度でもジャンプ、ハンマー、ファイアフラワー、ガードのアクションコマンドの練習ができるようになった。
      • とは言ってもバネジャンプやピコピコハンマーなどタイミングが通常と異なるカードは練習できないし、POWブロックなど練習できない系統のカードも存在する。
    • モノカードも後述の博物館に寄付さえすればいつでも無料で練習ができる。
    • 忘れてしまってもいつでも電子説明書の動画でアクションコマンドのタイミングを見直せる。
    • ハンマーのエフェクトも改善され、タイミングがわかりやすくなった。
  • 前作のシールに当たるカード関連はだいぶ洗練された。
    • シールの種類が無駄に多かった前作と比べて、カードの種類が減ったことによって管理がしやすくなった。
    • ゲームの進行に合わせてカードの使用可能枚数が増え、常に1ターンに2回以上行動できるようになる。
      • 序盤から早くも1枚から2枚に増え、最終的には4枚まで増える。
      • これで、前作ではいちいちスロットを回さないとできなかった「敵を攻撃して同じターンで回復する」ことがいつでも出来るようになり、戦闘が楽になった。
  • 一般的なRPGの経験値に変わる要素として、ペンキの上限を増やせるハンマープレートが登場。雑魚戦を行う意味が(一応)出来た。
    • コース上の色ヌケや高威力のカードに色付けすると、ペンキがすぐ足りなくなってしまうため、増やしておいて損はない。
  • モノ関連も改善がなされた。
    • 前作ではコースで手に入れた「モノ」をいちいち「モノなげや」に持っていかないとモノシールに出来なかったが、今作はモノをその場で「しぼる」事によって即座にカードにできるようになった。
    • 新たに「サンプルモノカード」が登場、コース上の謎解きには使えないがバトルで気軽に使うことが出来る。
    • 今後のストーリーで必要になるモノカードを教えてくれる「モノ知り」キノピオが登場。モノカードを購入できる「しぼらせ屋」の近くにいるので次のコースに進む前に下準備を確実にできるようになり、特定のモノカードがなくて詰むことが少なくなった。
  • やりこみ要素のカード博物館も改善された。
    • 前作ではいちいち該当する場所にまでシールを貼りに行かなければならなかったが、本作では該当するカードのジャンルの展示室の受付一箇所ですべて寄付できるようになった。
    • カードを一定数寄付するごとにご褒美として開発時の設定画を見られるようになる。マリオシリーズでは珍しい試みで、ここでしか見られないため達成感がある。
    • また、コースの色ヌケ修復率を100%にすると該当するコースのサウンドテストが追加され、好きな曲を無料で聞けるようになった(前々作『スーパーペーパーマリオ』の時は有料で流れる曲もランダム)。
      • 不完全だった前作『スーパーシール』の時とは違い、一度しか聞けないボス戦の曲などもしっかりと収録しているので、ようやくまともなサウンドテストが実装された形となる。

謎解き関連

  • ジャンプ・ハンマー・キリトリ(前作のペパライズに相当)に加え、新たにペンキやテンカイハンマーを使った謎解きが用意された。
    • ペンキの使い方もシャッフルされるものに目印をつける、見えないものや道を塗って見えるようにするなど「ペンキならでは」の使い方が多い。
  • キリトリも前作のペパライズから大幅に洗練され、テンポが良くなった。
    • 何をするにもいちいちマリオをちまちまと動かさなければならなかった前作と違い、本作はほとんどタッチペンで完結する場面が多い。頻度も前作よりだいぶ減った。
  • 仕掛けやシチュエーション自体もバラエティに富んでおり、飽きが来なくなった。
  • テンカイハンマーはまるでペーパークラフトのようにオブジェクトが組み変わる演出が見ていて楽しい。中には意外性があるものも。

キャラクター関連

  • 今回のサポートキャラの「ペンキー」は、前作の「ルーシー」と比べて優秀なサポートキャラになっている。
    • 機能としては前作のルーシーと同様で、フィールドで呼び出すとヒントをくれる。
      • ルーシーとは違い、呼び出したら即座にヒントを言ってくれる。ヒントの内容も的確で、困ったときに呼び出せば何らかしらの助けになってくれる。
      • 解くべき謎が発生していないときは雑談をするのだが、その雑談もパターンが多くギャグが含まれていたり、状況が変わるとセリフも随一変わるなど凝っている。
    • キャラクター的にも、トゲがあり感情移入しづらかったルーシーとは異なり、ペンキーは素直でちょっと天然、マリオを気遣う場面やユーモアのあるセリフも多く、プレイ後には愛着が湧いたという声も多い。
  • テキストや会話の多さ、多彩さ。
    • とにかく敵味方問わずキャラクターがよく喋る。
      • 戦闘中でも敵キャラが喋る。中にはパロディネタや意外な事実だったり、自分の弱点をうっかり喋ってしまったりと戦闘のヒントにもなる。
    • 大ペンキスターを手に入れる前に戦うことになるボスのクッパ七人衆たち(旧名:コクッパ)もそれぞれ個性的。余談だが『マリオ&ルイージRPG ペーパーマリオMIX』内で七人衆の一人、ロイが「ペラペラの俺たちはいないのかな?」という趣旨の発言をしていた。
      • 7人衆は『ペーパーマリオMIX』と同様に個性的な口調の台詞が付いており、さらに今作では7人全員に個別の専用BGMがある。
      • 戦闘中に長台詞を言うが、そこには「どのタイミングでどのモノカードを使えばいいか」のヒントが隠されており、セリフから推理する楽しさがある。
  • モブキャラのセリフも状況が変わると変化し、言葉遊びや今後の展開への伏線がふんだんに用いられているため、読んでいて楽しい。
  • レギュラーキャラの扱いも概ね改善。
    • 前作では今までとは違い終始敬語でよそよそしい素振りだったピーチ姫は、今作では序盤からおてんばで行動的な一面を見せる。
    • 序盤はマリオの謎解きに同行し、ヒントを言ったりするなどセリフも大幅に増加。
  • 前作では無言でSE(ボイス)のみだったクッパやルイージも、ちゃんとしたセリフを話すようになった。
    • クッパは今作ではいつもと違う、黒く染まった姿でマリオの前に現れ、シリアスな一面を見せる。
    • ルイージも前作と同様にキリトリでどこかに現れる他、マリオにアドバイスの手紙をよこしてくれるようになった。更に終盤では…
      + 終盤の展開についてネタバレ注意
    • 物語の終盤、最後の緑の大ペンキスターを取り戻したマリオたちはイロドリの泉に戻り、上空のクロクッパ城までのレインボーロードを大ペンキスターたちが作り上げるが、そのレインボーロードの角度が急すぎてマリオは滑り落ちてしまう。
      • そこで現れるのはカートに乗ったルイージ。ルイージはマリオをカートに乗せ、レインボーロードを走りマリオをクロクッパ城まで送り届けるという大事な役割を果たす。
        • この時『マリオカート8』のメインテーマや『マリオカート64』のレインボーロードのアレンジが流れ、ファンならニヤリとすること必須。
    • 今回もラスボスはクッパではあるが、実際はクッパ本人のイタズラによって生まれた「黒ペンキ」に取り憑かれ、意識を失い体を支配された状態。
      • その為マリオが攻撃で黒ペンキを落とし、その黒ペンキをイロドリアイランドから守るために生まれたガーディアンであるペンキーが吸収する、という展開になる。
      • ペンキー自体のキャラクターの掘り下げが今までのイベントでしっかりと行われていたこともあり、そのペンキーが自分を犠牲にしてマリオと共闘するシチュエーションはなかなかに熱い。
      • クッパ本人が正気を取り戻す場面もあり、黒ペンキがクッパ自身ではないことを表している。

とにかくバラエティに富んだコースの展開

  • 本作はコース選択制であることを活かし、バリエーション豊かな展開のコースが沢山用意されている。
    + 例えば紹介映像にもあった「ひっくり返し」のシーン(ネタバレ注意)
  • 物語の最序盤、ベニーロードで小ペンキスターを見つけたマリオだったが、そのペンキスターは色が奪われていた。
  • ペンキスターから奪った色をバケツに入れて逃げたヘイホーをマリオは追いかけ、看板に隠れていたヘイホーを捕まえる。
  • マリオに見つかったヘイホーは「ながいものには まかれろって まさに このことですねー。」とあまり反省していない態度でペンキをペンキスターまで返しに行くという。
  • 他の赤ヘイホーがくつろいでいるカフェを通り、長いベニーロードを歩いてペンキスターの所まで戻り、ヘイホーは一人でペンキスターの色をもとに戻した。
  • そして長いベニーロードの上で待っているマリオに対して「ここはひとつ、マリオさんも ながいものに まかれてみては?」とのたまった次の瞬間、カフェにいた赤ヘイホー達が地面の下から現れ、長いベニーロードの地面をひっくり返してしまい、マリオは文字通り長いものに巻かれることとなる。
  • マリオがまるごと丸まったベニーロードを元に戻そうとハンマーで伸ばすと、もとに戻るベニーロードの下にいた赤ヘイホーたちは下敷きになりそうになり、地面の端を持ち上げて耐える。この時、赤ヘイホーたちはショックのあまり青ヘイホーに変色してしまった。
  • 青ヘイホーたちが下にいる地面の端に向かうと、そこには先にカフェの店主のキノピオがいた。キノピオは悪さをしたヘイホーたちを懲らしめようと、マリオと一緒にジャンプで重さをかける。すると地面の下の青ヘイホーは潰れ、大量の青ペンキが吹き出した。もし赤ヘイホーのままだったら洒落にならない絵面になってたんだろうな。
  • 物語の終盤までこんなノリである。このような言葉遊びやカオスで妙に黒い展開が多く、最後まで笑えるものになっている。ある意味今までのペーパーマリオの伝統を受け継いでいるとも取れる。
  • コースのシチュエーションも今までのペーパーマリオよりはるかにバラエティ豊か。笑えるものからしんみりするもの、ホラーテイストだったりカオスだったりと最後まで飽きさせない。
    + ネタバレ注意
  • 「マッキーコロシアム」では賞品の大ペンキスターを目当てにマリオがバトル大会に出場。大量の敵と戦うことになるが、普通に戦っていたらキリがない。そこでコロシアムの端においてあった木箱からスターをゲットし、大量の敵を蹴散らしていく。実況「これが主人公のやることかーっ!?」
  • 「ホテル オーシャンブルー」ではキノピオの幽霊により怪奇現象が起こっており、その謎をマリオが調査していく。キノピオの幽霊たちが困っていることを解消して怪奇現象をなくしていくのだが、途中やさぐれたメガブロスから「アレ」を取り返したり、キノピオの幽霊がパリッとしたシーツに「スリスリ」したりとただホラーテイストなだけではなくカオスなイベントも多い。
  • 「バイオ列島」地帯では伝説の船長になりたい船長キノピオとともに「おたから島」目指して出発。途中で立ち寄る島々では「オモテ」と「ウラ」2つの連動する世界を行き来して進むという『スーパーペーパーマリオ』のハザマタウンを彷彿とさせるシステムが登場し、なかなか歯ごたえのある謎解きが楽しめる。
  • 「レストラン オレンジーノ」ではペーパーマリオおなじみの料理が復活。マリオがシェフとなり、ピザを作る。最後にはオーブンで時間を測って焼くなど『マリオストーリー』を彷彿とさせる場面も。残念ながら洗剤は入れられない。また、ステージの最後には巨大な生肉と文字通り格闘してステーキを料理することになる。
  • 「グリングリンパワーラボ」では不思議なモニターの中の『スーパーマリオブラザーズ3』のような世界を探検。普通は2Dの世界だが、ペンキを少し使うと『スーパーペーパーマリオ』の次元ワザのように3Dの世界に変化。これを利用してペンキスターを探していく。戦闘BGMも『マリオ3』風の8ビット音源でアレンジされ ている。

様々なところに見られるファンサービス

  • オープニングの船旅に出発した後にタイトルロゴが表示され、怪しげな港町にたどり着く展開は『ペーパーマリオRPG』を彷彿とされる。
  • 敵カードは昔の仲間キャラを彷彿とさせる要素。勝利時に呼び出した敵の体力が残っていれば一緒に喜んでくれる。
  • 前述のマリオカート8のBGMアレンジを始め、BGMも過去のマリオシリーズの曲がアレンジされ使用されている。
    • 特に大ペンキスターを取得した際のジングルには『マリオストーリー』のタイトル画面の印象的なイントロがアレンジされて使われている。
  • 「グリングリンパワーラボ」はコンセプトからしてファンサービスの宝庫。「スーパーマリオブラザーズ3」が初登場のブーメランブロスやメガブロス(旧名ヒマンブロス)がいたり、白いすり抜け床の先にはモノの「フエ」「ハンマー」が置いてあったりと細かい部分まで凝っている。
  • 「フカミドゥーリシアター」でもマリオ3のフーフーパックンやマリオワールドのライタといった懐かしの敵キャラがいたりする。

グラフィックの向上

  • HD機に移行したことによって、シリーズの特徴でもあった「紙らしさ」はより進化。まるで紙細工のようなリアルさのあるグラフィックになっている。
    • 質感もクラフト紙だけでなく銀紙の洞窟やザラザラとしたボール紙の岩肌、ジグソーパズルのピースで出来た生け垣など、様々な質感で出来ており工夫が感じられる。

電子説明書

  • 本作の電子説明書は『スーパーマリオメーカー』と同じ、アニメーションや動画を含んだフォーマットで作られている。
    • ペンキーがQ&A仕立てでプレイ中の疑問に答えてくれるが、途中に別のキャラがゲームと全く関係のない質問に答えていたりする、笑える要素もある。
    • 前述の通り、アクションコマンドのタイミングを見直せる動画もある。
    • さらにはネタバレを含むヒミツのページもあり、世界観の補完に一役買っている。

問題点

バトル関連

  • バトル時の操作テンポやUIの悪さ。本作の問題点の中で特にユーザーからの指摘が多い。
    • デフォルトでは「タッチペンでカードを選ぶ→「セットOK?」ボタンをタッチ→カードをタッチして色付け→「ペンキOK?」ボタンをタッチ→カードを上に弾いて行動開始」と多くの工程を挟まなければならない。デフォルトではタッチ操作オンリーで、設定を変えないとボタンも使えない。
    • フィールド画面ではボタンで操作のみするのに対して、バトル画面ではタッチ操作メインで操作することになり、操作系が統一されていない。
      そのため、ボタン操作でフィールドを探索→敵と遭遇したのでタッチペンを取り出す→バトルが終了したのでタッチペンをしまう、というDS初期のソフトのような流れで進行することになる。
    • カードは最大99枚のカードが全て横一列で表示される仕様で、スクロールバー等のスクロール補助機能が一切無いため、カードリストを何度も横にスライドして目的のカード探す必要があり、とても面倒。
    • 申し訳程度にカードの順番を整理する機能はあるものの、本作では同じカードでも色付き・色無しの2種類が存在し、それぞれが別の位置に整理されるため、特定のカードを探すためにわざわざ2ヶ所を確認する必要があり、操作は快適にならない
    • 一応オプションで「じょうきゅうタッチそうさ」にすれば殆どの工程が簡略化され、「きほんそうさ+ボタン」はボタン操作のカーソルの動き自体が早いため幾らかは快適になる。
    • 必要な情報がテレビ画面とゲームパッド画面に分散していて、いちいち両方とも確認しなければならないため、面倒。
  • 戦闘に勝利してもコインとペンキ最大量用の経験値がもらえるだけ。
    • 経験値の概念が導入されたとは言え、最大HPとハンマーの強さは物語の進行に応じて自動で上がっていくため、育成の自由度には欠ける。
    • 戦闘自体が前述のように面倒くさいこともあり、戦闘は逃げがちになる。
  • 戦闘は『スーパーシール』同様マリオのみ操作し、仲間キャラはいない。このシリーズの魅力の一つとして個性的な仲間キャラが挙げられるが、それがいないのはやはりシリーズ経験者から不満があがってしまうのも止む無しだろう。
  • 敵のHP残量やカードの攻撃力が分かりづらい。
    • 敵のHPが数値ではなくHPの残量に応じて色が抜けていくというゲージ式であらわされているのが原因。
      • 1ターンで敵を倒すとボーナスがもらえるシステムがあるのだが、それを狙うにはどのカードで敵を倒すか考えなくてはならない。しかも、使わなかったカードは無駄になる。

シナリオ・ステージ攻略関連

  • キノピオとヘイホーの使い回しがどうしても目立つ。
    • 住民に関しては前作同様に殆どがキノピオである。色や服装が違うだけで、教授や仙人の肩書をもつキノピオも固有のグラフィックがない等、バリエーションも少ない。
    • 敵に関しても全体の内多くをヘイホーとムーチョのバリエーションや色違いが占めている。
    • オリジナルキャラや仲間も「ペンキー」のみ。
  • 本筋のストーリーは相変わらず紙のように薄い。
    + ネタバレ注意
  • 結局はいつもの「クッパがさらったピーチ姫を救う」というパターンである。厳密には今回はクッパが黒幕ではないが…
    • ペーパーマリオではよくあったピーチ姫操作パートがないため、黒幕側がこちらに絡んでくる機会が少ないため掘り下げ不足に感じられる。
  • 道中の展開はカオスでおちゃらけている分、シリアスな要素が最終盤までは少なめ。
  • ボス戦時に必要なモノカードを用意しないと死にイベントと化す点、初見殺しの多さ。
    • ボス戦は「そのボス戦で必要なモノカードを持ち込んでいること」が前提となっているため、もしモノカードを忘れたまま戦闘に入ったりカードを使うタイミングを間違えると強制的に敗北する展開になってしまう。
      • そのために「モノ知り」キノピオがいるのだが、毎回ヒントを確認しなければならないのは煩わしい、作業感が拭えないという意見もある。
    • 「ダイダイ谷」のワンワンから逃げるイベントや「コシンボクのはやし」のちびクリボーの大群など、失敗したら確実にゲームオーバーになってしまう初見殺しのイベントも多い。一応近くにセーブブロックはあるが…
  • 「ジャンケンしんでん」のステージが長すぎる。
    • 文字通りジャンケンをして進めて行く訳だが、1ステージにつき3試合のジャンケンが8ステージも存在する。
      • じゃんけんで相手が出す手の傾向(最初の手、あいこになった後の手 等)は事前調査が出来るが、それでも運に頼らなくてはならない敵が多い。
  • 負けた後の再チャレンジには、「600コインを払う」「どこかのステージをクリアする」のどちらかを満たせば可能であるが、テンポがかなり悪い。

総評

評価の低かった『スーパーシール』に比べ相応の改善がなされている。
初心者にもとっつきやすいようにヒントが増え、相棒である「ペンキー」も万人にとって望ましいような好感度が高いキャラとなっている。ユーモアのスパイスが聞いたシナリオ、HD化されたグラフィックによる世界観も見るべきポイントの一つであろう。
その反面、メインシナリオの印象が薄い点、戦闘の作業感がぬぐえない点、物語を構成する主要人物がキノピオとヘイホーに集中している点やはりどうしても無視できない。人によってはプレイしたくなる意欲を減退させるかもしれない。

個性的な新キャラクターが少ないと感じる等、今までの『ペーパーマリオ』シリーズを求めている層からは不満が出るのも致し方無い面もあるが、単品のゲームとしては決して駄作ではなく、むしろ見るべき点も多数ある。評価点と問題点両方を相応に併せ持つゲームといったところだろう。


余談

  • 前作はシリーズファンからの評価が芳しくなかった上、本作発表時の前情報の時点では前作と同様のシステムや世界観を彷彿とさせるものだったため、発売前から特に海外ファンからの批判を大きく受け、当時公開された英語版公式トレーラーでは半数を超えるほどの圧倒的BAD評価が付けられてしまう事態を引き起こし、さらに「R.I.P. Paper Mario」などシリーズの終焉を悼む動画が次々とアップされるなど、最悪の出だしとなってしまっていた。
    • その上、Wii U自体が半年後にSwitchの発売を控えた状態で既に末期となっていたこともあり、悪印象となってしまった前評判と重なり、実際のゲーム自体はそこまで悪くなくむしろ前作から大きく改善されているにもかかわらず、売上を大きく落としてしまうことになった。

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最終更新:2023年12月13日 16:09

*1 同じ顔のキノピオが大量に出てくる、モノのセンプウキが登場するなど