戦国BASARA 真田幸村伝

【せんごくばさら さなだゆきむらでん】

ジャンル スタイリッシュ英雄(HERO)アクション

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
発売元 カプコン
発売日 2016年8月25日
定価 パッケージ版:6,990円
ダウンロード版:6,472円(全て税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン 犯罪、セクシャル、暴力
判定 シリーズファンから不評
ポイント 「列伝シリーズ」の第1弾
同時に事実上のシリーズ最終作
真田幸村にスポットを当てた単発作品
有料DLCレベルの内容でフルプライス
戦国BASARAシリーズ



紅く燃えた、日ノ本一の生涯。



概要

『戦国BASARA』の新シリーズ「列伝シリーズ」の第1弾。タイトルの示す通り、真田幸村を主役にしている。
2016年は大河ドラマ「真田丸」の人気に便乗して真田家や幸村公を扱ったコンテンツが各方面からリリースされており、本作もそのうちの1つである*1


特徴

  • 本作はストーリーモード「真田幸村の生涯」と、サイドストーリー「前談秘話」に加え、サバイバルモード「真田の試練」の3つからなる。
    • 「前談秘話」はストーリーを進めていくとシナリオが追加され、真田の試練はストーリーモードクリアで解禁される。
  • 新武将には幸村の父の真田昌幸と幸村の兄の真田信之、さらに幸村と伊達政宗の子供時代、弁丸と梵天丸の2人が参戦する。
    • 幸村と政宗はバトルスタイルを一新しての参戦となる。
  • プレイアブル武将はシリーズ最高の46人となり、真田幸村と伊達政宗は『』のバージョンも使える。

問題点

あまりにも定価に見合わないボリューム

  • 真田の生涯についてはステージ数は10個、全10章構成。ムービー等によるストーリー描写は圧倒的に濃くなってはいるが、ステージ数の少なさを補うほどではない。ステージの長さや密度もそこまで濃くは無い。
    • 4』を「量は多いが水増しし過ぎて味がほとんどないスープ」とするなら、今作は「味は普通の濃さだが量が少なすぎるスープ」である。
    • 普通に一周クリアするだけならば約2~3時間ほどでクリア可能。ボリューム的にはとても「長編」と呼べるのもではない。『2』や『』の物語が各武将ごとに3~5章の構成であったことを踏まえると、「真田幸村の物語として"長編"」という意味ならば間違いではないのだろうが、その他の部分のボリュームがあまりに少なすぎる。
    • クリア後、「真田幸村の生涯」は好きな武将で楽しめるがムービーや台詞はそのままで固定される。加えて勝利演出も無い。
  • 参考までに、同時期の『戦国無双 ~真田丸~』は全16章で1章毎に複数の合戦*2がある。
    • それ以外にも探索やキャラの育成、サブイベントと言ったRPG的要素も多数盛り込まれていた。同コンセプトの作品としてはあまりに差があり過ぎることが分かるだろう。

流用と手抜きが目立つ

  • マップについては完全新規アセットのステージがほぼないといってよい。
    • ストーリーモードに登場するマップは一応完全な使い回しでこそないものの、マップの一部構成などを『3』及び『宴』や『4』及び『皇』から一目で分かるレベルで流用しており、新鮮味に欠ける。
      • 第8章の最終盤に登場する空中回廊が『3』及び『宴』の帰雲城ステージほぼそのままであるのが最たる例。
    • その他多数において手抜きと流用が目立つが、下記参照。

前談秘話

  • 本編の合間の出来事を描く物だが、内容は会話が終わるまで敵兵を倒し続けるか、敵武将を倒すだけの物がほとんど。会話と言っても多くのステージは操作キャラクターの独り言を聴くだけであるため、『4』の一騎討ち程度の薄い内容となっている。
    • 元々はドラマCDのように台詞だけを収録する予定だった要素を、急遽ステージとして仕立て上げた経緯を持つ。そのため突貫工事で作られた感が目立つ。
      • 会話15個に対し、ステージは12個しかない。元々想定されていた「台詞のみを聴くモード」もあるが、一部の会話はそのモード専用となっている。
  • このモードだけは自由にキャラを選択することができない。台詞が固定されているためならば「真田幸村の生涯」も同じなのだが。
  • 「真田幸村の生涯」と違って全体的に難易度が高め。にもかかわらず難易度調整が出来ない。
    • 型をフル強化しても敵武将が妙に固く、特に弁丸対昌幸の場合、弁丸の弱さに対して昌幸が固すぎるのが指摘される*3

真田の試練

  • 連続して60戦戦うルールで、1階層進むごとにプレイヤーはステージ開始状態に戻される。強化技が永続しないキャラは強化技をいちいちかけ直さなければならないが、敵が目の前にいるために容易ではない。
  • 追加目標
    • 階層ごとに定められたミッションをクリアすることで文銭が手に入るが、真田の試練の文銭獲得量は60連勝したことに対しての割合が大きく、僅かしか手に入らない追加目標は存在意義が薄い。
      • また、ヒット数を稼ぐ試練でこちらの攻撃力を上げ過ぎるとヒット数が稼げず達成不可能になってしまう場合もある。
  • 全体的に少ない雑魚か、1vs2の敵配置ばかりなため、『2』の大武闘会などと比較すると面白みに欠ける。

アクション面の不満

  • 新武将は技の数が『宴』手抜きキャラと同じで少ない。固有奥義が1つしかない上に、固有技・改もない。それに加え弁丸と梵天丸には固有奥義が無いどころか移動キー+△すらない。
    • ただ本作の場合は技の少なさよりも、それ以前に完成度の低さや粗が目立つことが指摘される。
  • 政宗と幸村に関しては、全体的に火力が低く高火力技がない*4。旧キャラとの差別化の可能性もあるが、武将戦や厄介な兵種に対してはこれがかなり響いてくる。
    • 固有奥義も攻撃判定発生までの隙がやけに多く、何とも使い勝手が悪い。動きと演出は格好良いのだが…。
    • また、無理に差別化しようとして待機やダッシュ、空中通常や空中特殊のモーションに違和感が出ている。
    • 新バージョンのキャラに対して旧バージョンの衣装や武器を使用することはできない。逆もまた然り。スタッフ曰く「新キャラとして作っている」という発言から流用するのが難しいのだろう。
  • 特に、やり込んでいくと肝心の主人公である幸村の練りこみ不足が目立つ。
    • 天羽という敵に飛び回って追撃するという点が三成と被る。被るだけならいいが、問題は天羽を使わない方が安定する場面が多く、存在意義が薄い。
      • 特に天羽から攻撃に移る点においてあまりテンポが良くなく、その間に被弾するといった場面が少なくない。天羽から派生する技にはヒット数が稼げる技が多く、まったく存在意義がないというわけではないが、高難易度では常に被弾しやすいというリスクが付いてくる。
      • また、天羽に派生するのは容易だが派生を流れ良く解除することは難しい。これが改善されていればあるいは…。
    • 派手に飛び回ることは出来るが、アクションの幅が狭く他キャラと比べ手数はそう多くない。かと言って突出した強みがあるわけでも無いので、動きの派手さに反して地味なプレイになってしまう。
  • 常時六爪で暴れられる政宗は幸村と比較すると有用な技が多く、長押し派生で暴れれば暴れるほど手が付けられなくなるコンセプトを体現して爽快感はある。
    • しかし、新モーションには政宗に合っているかと言われると微妙なものもあり、特性が宗茂と被るという意見もある。
      • 違う技で同じモーションを流用していたり、他キャラのモーションを流用している、単調になりやすいなど完成度が高いとも言えない。
    • バサラ技は待望のHELL END DRAGON(『戦国BASARA X』の一撃BASARA技)だったのだが、足利義輝の旋盤之極の青龍をほぼそのまま流用している。
      • 性能面にも問題があり〆のホワイトアウト中に無敵が切れる為、その間に被弾するということがあり得る。
  • 当然といえば当然だが、技が少ないのもあって幼少キャラは弱く、かなりの苦戦を強いられる。梵天丸はまだしも弁丸はかなり弱い。
  • 旧キャラの性能調整はほぼ行われていない。一部のキャラが微修正を受けた程度。
    • 粋ゲージと小判と経験値に関わる技の効果を持つ武将が変更され、何故か半兵衛が下方修正された。上方修正については下記参照。
  • 下記の評価点の通り、一部の武将の専用型が変更されたが相変わらず信玄の専用型で風林火山が永続しない。
    • 一応、固有奥義では解除されなくなったが根本的な問題の解決とはなってない。奥義で解除されなくなったのも専用型による効果でありデフォルトではない。信玄の素の性能を考えるとデフォルトで解除されなくて当たり前だというのに。

  • 新システム「型」「武心システム」が使いづらい
    • 「型」は前作の銘と武器強化を1つにしたものに相当し、様々な用途に分けられ、それを必要に応じて装備する事が出来る。
      「文銭」を払うことで新しい型を手に入れたり強化する事が出来る。そのため今作も常に金欠になりやすい。
    • 何より、今回は武将が46人もいるため、全ての型を手に入れ、各武将の主力になる型を最大まで強化するには相当な額が必要になる。
      • 型のコンプリートがトロフィー所得条件にあるので、トロフィー狙いなら無視も出来ない。
      • 一応、稼ぎ場所として真田の試練が用意されているため、腕のあるプレイヤーならばそれほど苦労はしない。この点は、バサラでは珍しく初心者プレイヤーに厳しい仕様になっている。
  • 『4』及び『皇』の銘システムは手間がかかり過ぎてはいたが、型システムは逆に自由度が圧倒的に足りない。
    • パラメータはレベルのみに依存し、型の効果を自由に組み替えるといったことはできない。
      • これにより過去作で可能だった専用効果と属性効果の同時発動は不可能になっている。また、型レベルを最大まで上げてもほとんどの型はパラメーターが1500まで到達しない。
    • 打札複数がゲームバランスを壊していたため、制限して逆にバランスを整えようとしたのだろうか。
      • しかし本作で有用な型は属性型、専用型とその他ごく僅かであり、それ以外の型を選ぶ意味が薄いという点ではバランスが取れているとも言い難い。
    • また、強化することはできるが弱体化させることはできない。

武心

  • 「武心」は青ゲージ(体力ゲージ)のある敵兵を倒す事で溜まって行き、溜めた量に応じて型に付けられたスキルが発動する。
    • つまり型の効果が発揮できるのはステージ終盤くらい、ということになる。これでは型の本領を全く発揮できない。
    • また、一部を除き効果自体も銘や装具の発動に枷をかけられているだけであり、武心を溜めて強くなるというよりは武心を溜めてようやく本来の力を出せるといった面が強い。
      • 全ての敵を青ゲージにする武心伝心を発動させるには、ステージ中にある青い箱から伝心玉を取得するしか方法がない。粋の至りのようにゲージを溜めるといったことはできない。
      • 武心伝心自体の効果も粋の至りから攻撃面の強化を取り除いた性能となっており、発動頻度を考慮すると実質下位互換といってよい。

キャラクターの扱いにおける明確な格差と過去作品との矛盾

  • 今作はプレイアブル武将が46になったがストーリーに出てくる武将は20名程度。
  • ストーリーに出てきても大体、1回くらいでフェードアウトしてしまう。扱いも「ただ出てきただけ」程度の物ばかりであまり良くない。
    • 前田利家と柴田勝家は織田軍の武将として登場する程度。
      • 勝家は怪王の頃のように野心をたぎらせているためギャップが非常に激しく『4』の暗いネガティブな性格を感じさせないキャラに違和感を覚える事もある。
    • 史実では幸村と共に戦った後藤又兵衛は相変わらず黒田官兵衛を完全に見下している上、ストーリー上の扱いも乱入してくる小物扱いになってしまった。
      • ただし、「政宗に引導を渡されるも最後に名前を呼ばれ、彼が自分のことを覚えていたという事実に対する歓喜の声を上げて息絶える」という結末は、『4』で描かれた政宗との因縁に一応の決着を付けるものであり、『4』のエンディングとは別の形で彼の抱える承認欲求が満たされ報われたとも言える。
    • 北条氏政が今作で復活、織田の恐怖に怯えながら、過去の栄光を棄ててでも北条家を守ろうと奮闘する。風魔小太郎との掛け合いも健在。
    • 戦闘でも北条家の歴代当主の顔出しパネルの裏で腰にお灸を当てるというコミカルな演出が目立つ。
      • だが、敵武将でありプレイアブル化は無かった。本作の手抜きぶりからすれば技の追加や汎用台詞の新規収録の必要性がほとんど無いにもかかわらず。
    • これまで幸村を支えていた猿飛佐助は出番が激減、黒田官兵衛は史実要素がほとんど無いギャグキャラクターのような存在になっているなどキャラクターの扱いに大きな格差がある。
      • 登場しない武将は台詞でフォローされる場合があるが武田軍のライバルで関ヶ原の戦いにも関わる上杉軍は全くストーリーに絡まず台詞でもフォローされない。
    • 武田勝頼が専用キャラでゲーム中に出るが台詞も無くほとんど映らないために存在感が全くない。
    • 新キャラクターである真田昌幸に至っては参戦そのものが古参のファンから困惑されている。
      • と言うのも、過去にドラマCDにて「真田昌幸は幸村が幼少期に戦死している」という史実を無視した設定が明かされている。
      • スタッフの間で整合性が取れていない、これまで作中にて史実の流れを公然と無視してきたこととの矛盾が、顕著に表れたとも言える*5

ストーリー面での問題

  • シリアス一辺倒になったストーリー。
    • 第1章の弁丸と梵天丸の出会いは比較的軽い作風で描いているがそれ以降は非常にシリアスな作風になっている。シリーズ恒例のパロディ台詞もすっかり無くなってしまった。
      • そのため随所に入る『戦国BASARA』らしい吹っ飛んだ演出がどうしても浮いてしまう結果になってしまった。
  • 今回は「史実重視」を謳っているが、所々に『戦国BASARA』独自の設定が入る為、どうしても史実とかけ離れているイメージしかない。
    • 話の流れも10章しかないせいか、2章でいきなり信玄が死んで武田が壊滅しているという急なストーリー展開になっている。
    • また、ストーリーも全体的に見ると、つじつま合わせの無理な展開が見受けられる。 中でも5章の流れが明らかに浮いている。幸村と政宗が再び邂逅する故に必要なシーンではあるが…。
+ ネタバレ注意

真田が豊臣に服属し、幸村は豊臣方として小田原攻めに参陣。政宗は豊臣の天下統一に待ったをかけるべく決死の覚悟で出陣した。
幸村は幼少期の縁がある政宗を助命するために彼のいる秀吉のもとへ向かう…という筋書きなのだが、竹中半兵衛から何故か豊臣に従わなければ政宗は助けないという条件を出され、半ば強制される形で幸村はそれを飲んでしまう。
配下に対して配下になれってどういうことなの…。
一応、小田原攻め当時の真田家は昌幸が亡き信玄との友誼から武田家滅亡後も武田への忠義を捨てていないという設定である。
そのため、「家を守るために従っているに過ぎない真田家にはっきりと豊臣への忠誠を誓わせるため」と取れなくもないのだが、当の幸村本人が当初から豊臣に協力的な態度を取っているため、威してまで忠誠を誓わせる必要性がいまいち見えない。
せめて、真田軍の一般兵士が豊臣への従属に抵抗を覚えている描写や、半兵衛が昌幸ではなく幸村を追い詰めた理由*6について説明があれば流れの不自然さはかなり軽減されるのだが…。
幸村が豊臣への忠義を誓ったという出来事は終盤にも影響を及ぼすのだが、その起点となる小田原攻めの流れがこの通り明らかに不自然であり、プレイヤーの感情移入を阻害してしまっている。
このあたりの話は「前談秘話」で語れる要素であるにもかかわらず、そういったフォローも一切ない。

  • 本作のストーリーの骨格はシリーズディレクターの山本真氏が担当している。
    後にディレクターの野中大三氏は「真田十勇士が出て来るハチャメチャなストーリー」を考えていたがシリアス路線のシナリオを見た時「裏切られた」と発言している。もちろん「いい意味」でだろうが。
  • また、ストーリーの結末は…。
    + ネタバレ注意
    • 兄・信之との対決を経て、乱世を生きた者達の魂と真田の六文銭を彼に託した幸村は、「ただ1人の武人として戦ってみたい」と告げて徳川の大軍勢に飛び込んでいく。
      そこで主題歌「Committed RED」とスタッフロールをバックに最後の戦闘が始まる。
      そしてスタッフロールが終わると、徳川の兵に囲まれた幸村は膝を付きつつも叫びながら再び立ち上がり、「完」の文字が出て終わる。
    • ラストシーンの様子から遅かれ早かれ斃れる事は窺えるが、「真田幸村の生涯」と謳いつつその最期までは描かれていないのは些か疑問を禁じえない。プレイヤーのカタルシスに配慮した面もあると思われるが…。

DLCの品ぞろえ

  • 前作は20着近くあったDLC衣装だが今作の新規衣装はわずか6着。
    • しかも真田家の衣装は誰をターゲットにしたのかわからない鬼のような禍々しい物。
      公式は「ドリフの雷様」のコントをモチーフにしたと語っているが、お笑い要素は皆無でネタも古い。配色もドリフは「赤・黒・緑」なのに本作の方は「赤・青・緑」になっているため元ネタに忠実とも言えない。
    • 前作に引き続き新日本プロレスとのコラボ衣装もあるが本作は政宗の1着のみ。
  • 他にもシリーズ主題歌やT.M.Revolutionの楽曲を購入してゲーム中に流す事も出来るが、過去作の武将のテーマソングやステージ等のBGMは用意されていない。

その他

  • 戦闘中の撃破数の表示が無くなり、これまでの小判に当たる「文銭」が大きく表示されるようになった。
    • 撃破数自体はメニューを開けばいつでも確認可能で50人撃破ごとのテロップは通常通り出現するため、何の為にこのような変更を行ったのかは不明である。
  • 本編ステージ中の汎用台詞が無くなった。プレイヤー武将どころか一般兵の汎用台詞すら無い。
    真田の試練も武将の台詞はほぼ『皇』からの流用である。
  • OPムービーは大半がゲーム中のムービーを編集した物の為に出来は今一つである。
  • 地味な点だが、本作では2人プレイはできない。ステージ構成上仕方がないか。
    • 戦友システムも廃止された。一応、合戦中に操作キャラを切り替える事が出来るステージは存在する。

賛否両論点

新武将のデザイン

  • 真田昌幸は「奇術師」の異名を持つだけあってシルクハットを思わせる帽子をかぶっているため、手品師っぽさとしてはまだ雰囲気が出ている。
  • 問題は真田信之。
    なんとツインテールのような髪型になっている。しかも筋肉質な肉体で非常にゴツいキャラとなっているためギャップが激しく、「単純に気持ち悪い」と拒否反応を示す声も聞かれた。
    • それだけにボスとして出てきた際の迫力はそっちの意味で十分あるのだが。
    • ちなみにこのデザインについては「真田と徳川という"2つの家"に仕えることを示す"2つの髷"」「"信濃の獅子"のイメージ」と語られている。
  • また、幸村の新しいデザインの上着(最終決戦用衣装)の背中には十字架状に並び替えられた六文銭が描かれている。
    • この衣装、最終章でライバルである政宗から譲られた白装束が変化したものであることが明かされるため、その背中の金の十字架に合わせたと思われるが、普通に六文銭を上から重ねるだけでも良かったのではという声が多い*7

NPCの強化

  • 全体的に思考ルーチンが強化され、さらに仲間と連携して色んな技を連携して多用してくるようになった。
    • 特に秀吉あたりが分かりやすいか*8
    • 皇では直虎や風魔などがまれに行うだけだった固有技・改をコンボ中に使用してくる上、今までNPCが使用してこなかった光秀の絶頂といった強化技も当たり前のように使用してくる。
      それに加えて一部のNPC武将はNPC専用技*9まで使用してくる。
    • 敵武将の体力がストック制になった。一本削る度に強制ダウンし復活してくるため、一気に倒す事は出来ない。
    • ストックが減ると強化状態になったり、敵専用技を使うようになる武将もいる*10。これらの仕様により武将戦の手応えが増した。
    • その為か、攻撃力や防御力が低い武将を使っている場合はストレスがたまりがちである
  • その一方で、鬱陶しくなったという意見もある。
    • 例えば武将復活だが、いちいち敵武将にアップが入るためテンポが悪く、また相手が有利な状態で強制的にコンボを抜けられる。
    • 硬直が長い技によってはカットイン→復活→被弾確定もあり得る。せめて3本能寺信長のように復活中もプレイヤーが動ければ軽減されたはず。
    • バサラ技は低難度でも撃ってくるようになったが、体力ストックがあるとバサラゲージが溜まらないのが救い。
    • 本作は全体的に1vs2~3の敵武将戦が多い。
      これが復活とも敵武将のルーチン強化とも噛み合っておらず、かなり鬱陶しい。

BGM

  • 本作のシリアスな作風に合わせた為、オーケストラ調のBGMが全体を占めている。ロックや和風やコミカルなど多種多様なBGMがあった過去作に比べるとやや大人しくなってしまった。
    • それでも曲自体は評価されている。特に中盤で流れる昌幸の心中をイメージした「心」や真田幸村のテーマをアレンジした「真田丸」など聴く価値のある曲は多い。
  • 『4』のBGMは一曲も続投していない。『4』の武将が全員参戦しているのだから欲しかったところ。

その他

  • UIのデザインが全体的に地味になっている。
    体力表示などは見やすくなっているが、ヒット数表示は地味になりすぎている上、色が薄いので見やすいとは言えない。
    • アイテムを取得した際の表示が中央からわずかに画面下に逸れて見やすくなったが、相変わらず表示時間は長すぎるままで改善したとは言い難い。
  • ナレーションはシリーズでお馴染みの渡辺英雄氏から武田信玄役の玄田哲章氏になった。
  • 一部キャラクターの固有奥義の並び順が変更されている。何故変更したのかは不明。
    • 固有奥義の並び順は自由に設定できるため、気に入らなければ元に戻せるのが救いか。

評価点

アクション面の改善

  • 秀吉にダッシュ通常技が追加された(モーションは通常技4の流用)。どう考えてもNPC強化目的です本当にありがとうございました。
  • 一部キャラクターの攻撃を当てた際のヒットストップが緩くなった(特に信長あたりが顕著)。
  • 技カメラをオフにすることで、鬱陶しい〆のカメラ移動も無くすことができるようになった。
  • バサラ技中にヒット数が途切れなくなった。
  • 一部専用型の効果が変更され、改善された。
    • 天海は『宴』の体力減少無し絶頂が復活し、さらに『皇』の効果も併せ持つようになった。
    • 直虎は武心の取得量上昇の効果が追加された。ちなみに真田の生涯では男性武将しか出ないためデメリットが無いに等しい。

新武将のアクション

  • 幸村に比べると昌幸、信之はそれぞれ設定を生かした技や性能となっている。
    • 昌幸は瞬間移動が可能な技や多数の敵を巻き込む技などトリッキーな物が多く多彩な戦い方が可能。
      バサラ技は信玄の石像を召喚するというド派手な物。
    • 信之はパワーファイターの如く動きは遅いがその分、高い攻撃力を持ち敵を梯子に引っ掛けて拘束できる。
      • 固有技はボタン長押しによる派生が可能であり、それを繋げて行く事で強化固有技が発動する。
    • 一度巻き込めば拘束したまま追撃できるため、対複数武将戦でも意外と優位に戦える。
      キャラ特性が秀吉と被り気味なところはあるが。
  • 上記の幸村と政宗も、一新されて雑魚戦自体はかなりこなせるようにはなっており、決して全部駄目というわけではない。
    技が追加され練りこみ不足が解消されれば良キャラになれる可能性はあり、土台はできている。
    • マンネリ化や新規武将とのアクション格差からアクションの一新を望んでいたプレイヤーの声に応えようとした姿勢自体は評価できるだろう。
    • 一新したという割には旧バージョンのモーションが流用されている部分があるが、それに関してはあまり否定的な意見はない。

ステージ面

  • 全体的に直線的な構成に見直され、ある程度進むと後戻りができなくなるなど一般的なアクションゲームに近くなった。
    • シリーズ中では『2』までのステージ構成に近い。
  • 『4』と比較すると雑兵の湧きが多くなった。
    • 『4』が少なすぎただけとも言える。無双ゲーとしては平均的なレベル。
  • 陣大将が全く登場しないため、陣取りによるストレスはない。
  • 使い回しであるが小田原城もステージとして登場。
    豊臣に支配されている設定だがボスの居る場所には北条の家紋が飾ってある。
  • 真田の生涯は単独で出陣できる。
    意外なことだが、ステージやプレイヤー武将、アイテムやタッグ、戦友といったものに一切制約なく単独で出陣できるのは何気にシリーズで初だったりする。

真田の試練について

  • 問題点はあるが連勝すればするほど報酬が高くなっていく。内容は単調だが簡単にこなしていけるのは救い。
    • 30連勝で50000文、60連勝で666666文も獲得できる。これだけでもすごい金額になるため十分に金策になる。
    • 時間制限があったり60戦連続で戦わなければならない上、30戦以降は敵武将が2人出て来るため勝ち進むのは厳しいため、しっかりとした準備をしなければならないという欠点もある。
    • 目玉要素である武将復活とバサラ技を使用してこないため、強キャラで挑むと少々物足りない。それでも弱キャラだとしっかり歯応えがあるため妥当なところといえる。
      • なお、この真田の試練の終盤では作中で唯一となる信玄と昌幸のやり取りを見ることが出来る。

その他

  • 声優も真田昌幸には大塚芳忠氏、真田信之には細谷佳正氏とキャラのイメージにピッタリ合っている。
    • 幸村と政宗については、担当声優の保志氏・中井氏が幼少期(弁丸・梵天丸)の声も演じている。
      かといって無理に演技しているような印象はなく、きっちり演じ分けがされている。
  • お世辞にもPS4レベルとは言えないが、グラフィックは一応向上している。
  • BGMは上記の通り旧作と雰囲気が変わっているが、OP主題歌『Committed RED』はお馴染みのT.M.RevolutionによるBASARAらしい楽曲で安心感がある。
    • ただ、今回は『1』同様にED主題歌が無く、EDでも『Committed RED』が流れる。この辺りも本作の突貫工事感を助長してしまっている。
    • なお、EDのシチュエーションにはよく合ってはいる。
  • 武器と衣装が成長システムと独立して装備可能になり、手軽に選択できるようになった。
    • 衣装を変更することで第1武器が変化する場合は、新たに衣装合わせという項目が追加され、第1武器と両立できるようになった。
    • 前作までのDLC衣装は『テイルズ オブ ゼスティリア』と「新日本プロレス」以外はゲーム中で全て手に入る。
    • 天海の衣装に完全な明智光秀の衣装がようやく追加。「明智光秀」の衣装を着た「天海」の衣装も続投している。
    • シリーズお馴染みのネタ武器も、本編クリアと同時に全員分解禁されるのですぐに入手できる。
  • ボリュームのなさ故かトロフィー制覇は短い時間で可能。「愛MAX」や「Thank you for playing」といった面倒な条件*11もない。

総評

『3』での不謹慎な設定や『4』以降の作品の出来、留まることなく悪化していく小林Pの横暴な振る舞いに対してファンの不満が募る中で発売された本作。
だが、大河ドラマへの便乗でしかなくクオリティも突貫、というより作りかけのような出来栄えになってしまった。
ストーリーの描写不足に加えアクション面にも手抜きが見受けられる部分があり、加えて育成システムやボリュームも全く満足できるような物ではない。
ただし、アクションの骨格自体はしっかりしており大きなバグが無い等、フルプライスだからこそ評価が落ち、ミドルプライスならば値段相応程度の評価に落ち着いていたと思われる。

だが、『戦国BASARA』シリーズへの不信感が高まる中で失敗は到底許されるものではなく、本作は公式に対するさらなる失望を生み、益々ファン離れを加速させることになってしまった。
結局本作を最後にゲーム製作もシリーズも途絶え、『戦国BASARA』シリーズは完全に終焉を迎えたと言わざるを得ないだろう。


余談

  • 売り上げは初回出荷分だけで2万7千本(PS4/PS3版の合計)。消化率30%程度というデータも話題となった。
    • 公式が「買ってくれないとシリーズが続きません」とネット上で発言していたが、Amazonなどの本作のユーザーレビューでは公式のこの発言に対しては、「この程度ならもうシリーズを終わらせてくれて構わない」「むしろもう出さないでほしい」と否定的な意見が多く見られた。
  • 幸村と政宗の新アクションがお披露目されたPV第1弾では、非常に多くの敵兵が湧いておりファンを歓喜させたが、製品版では悲しいぐらいに少なくなっている。
  • 攻略本は全46キャラクターのキャラクター性能を水増し気味に紹介したり、今までなら個別の書籍として発売されていた「オフィシャルコンプリートワークス(設定原画集)」及び「台本全集(台詞集)」と纏めて一冊にすることで定価相応のボリュームになっており、なかなか見応えがある。
    • 特に『皇』の攻略本でぼかし気味だった技の細かい性能(主に数値面)が一部記載されているなどなかなか有用な面もある。
    • 余談だが真田信之の衣装の初期案は、製品版よりも遥かに一般受けしそうなものになっており、どうしてこうならなかったと嘆かれている。
  • 本作でもタイアップ宣伝を大々的に行っており、映画『真田十勇士』とのタイアップ*12や初音ミクとのコラボレーション企画*13を行った。
    • 長野県上田市と行ったイベントやグッズ販売は好評で、地元の上田商工会議所はカプコンに感謝状を贈った。
  • 発売後、ネット番組である出演者が「大河ドラマ『真田丸』主演の堺雅人氏が『戦国BASARA』の真田幸村を役作りの参考にしている」という発言があり話題になっていたが、後に本人がこれを否定していたことが伝えられている。
    • 実際に参考にしていたのは『戦国無双』の幸村であるとのこと。
      なお、同シリーズは大河ドラマと正式にコラボした『戦国無双 ~真田丸~』という作品を開発・発売している。
      • こちらは本作と対照的に評判は良い。
    • その『戦国無双 ~真田丸~』の発売日前日の11月22日にカプコンは本作の大盤振る舞いセールを行った。発売して3か月も経たないのにセールを行うのは異例である。
  • 本作のメディアミックス作品はほぼ無く、アンソロジーやコミカライズも無い。舞台版も2016年から『斬劇』というアクション面に主眼を置いた独自路線に進んだ。
    • ただし、2018年12月に行われた『斬劇』の公演は一部設定が本作に準拠しており*14本作と同じデザインの梵天丸と弁丸が回想シーンに登場するなど、なかったことにされているというわけでもない

その後の展開

  • 2017年に『戦国BASARA』シリーズ公式LINEの開設や『電撃マ王』にて山本真氏が監修した漫画が連載されたりコラボイベントを多数開催した。
    • 2018年には公式アンソロジー『学園BASARA』がアニメ化。あくまでアンソロジー作品で原作とは一切繋がっておらず、前に放送した『戦国BASARA Judge End』からの評判の悪さと完全に戦国モノで無くなったことにファンは失望。再び酷評を受けてしまった。
      • 評価が芳しくなかったためか『学園BASARA』を最後にアニメ展開は途絶えた。
  • 2019年6月24日には新作スマートフォンアプリ『戦国BASARA バトルパーティ』の配信がスタート
    • しかし致命的なバグや不具合で評価を下げ続けた結果、2020年12月21日に1年半という短期間でサービス終了。『戦国BASARA』シリーズのゲームはこれが最後となった。
    • 本作の新武将の昌幸、信之、弁丸、梵天丸も登場している。
  • 2020年には舞台版が新型感染症の影響で3月公演予定の新作公演が中止。以後新作の発表は無く事実上の終了となってしまった。
  • 2021年以降はカプコンもシリーズ展開に限界を感じたのか外部作品や観光名所とのコラボ、漫画・企画展・グッズ中心の活動のみで2022年5月31日には公式ファンクラブが閉会したことでメディア展開が縮小。
    • シリーズのプロデューサーである小林Pは『ファミ通』にて「15周年記念に向けて温めているネタがある」といつかは発表するような宣言をしていたが、観光名所やコラボカフェなどといった小規模な発表のみで新作ゲームについては一度も触れなかった。
      • 個人のTwitterでも別作品の宣伝ツイートを拡散やプライベートでの投稿が中心に活動していたことに一部ユーザー達の間で「開発から退いたのでは?」との噂があった。
      • そして、その大方予想通りに2022年8月12日で小林Pが同年3月にカプコンを退社。そして中国のゲーム会社であるNetEaseに移籍したことを公表。
      • クビを宣告されたか見切りを付けたのかは本人のみぞ知るが、事実上シリーズを支えた責任者が消えたことで今後の展開は絶望的になった。
    • なお、本作のラストは「幸村の最後の戦いを以って戦国乱世は終焉を迎えた」という形で終わる。
      真田幸村の生涯を描くストーリーならこの結末を迎えるのも必然なのだが、結果として「シリーズ最終作」に説得力が出てしまう状態になってしまった*15
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最終更新:2024年02月10日 10:03

*1 タイトルが似ているので紛らわしいが、同時期の『戦国無双 真田丸』が大河ドラマとの公式タイアップ作品であるのに対し、本作は大河ドラマとの直接の関連性はない。

*2 メディアなどでは一括りにされているが、実際では4度にも渡って合戦が行われていた武田軍と上杉軍との合戦「川中島の戦い」など。

*3 ただし昌幸が固すぎるのは真田の生涯も同様ではある。弁丸が弱いのもあるが昌幸自体の基準体力が高いと思われる。

*4 ただし、旧バージョンの火力の高さは幸村の場合虎炎3と熱血大噴火によるパラメータのゴリ押し、政宗の場合火力は高いがデメリットも凄まじい六爪という状態だったので、新バージョンがバランス的に劣っているとも言い切れない。

*5 実際に真田幸村が幼少期に戦死しているのは昌幸の兄である真田信綱と真田昌輝である。両名とも長篠の戦いで鉄砲隊の銃撃で死亡している。

*6 「性格が直情的で昌幸よりも利用しやすい」「政宗との関係が威しの材料になる」など理由として提示できそうな要素は複数ある。

*7 戦国時代及び戦国武将を舞台、モデルにしたメディア作品は数有れど、家紋を改造したのは今作ぐらいである。

*8 空中に飛び上がった瞬間に超反応で天地葬送を繰り出す。空中にいることが超反応の発生条件である為、共闘相手である三成の攻撃で打ち上げられたプレイヤーにスクリューパイルドライバーで追撃することも。

*9 忠勝、家康、信長、秀吉、小十郎の5人が該当。風魔は専用型でPCでも使用可能。

*10 信長なら「破滅の焦土」を発動する等。

*11 前者は「全武将LVをMAXにした状態でステージクリア」後者は「プレイ時間が100時間を越えた」)

*12 同じ2016年公開の映画、舞台作品が原作で監督は堤幸彦。

*13 おそらく真田信之の髪型がミクと同じツインテールだったため、ツインテール繋がりでコラボした。

*14 政宗と幸村が梵天丸と弁丸であった頃に出会っていること、台詞で存在が触れられる昌幸と信之、折れた稽古用槍を使った二槍と戦場跡に放置された刀を使った六爪流など。

*15 もっとも、本作のストーリーではシリーズ第1作から続く真田幸村と伊達政宗のライバル関係に決着が付くため、最終作でも問題は無いのだが…。