リアルパンチャー
【りあるぱんちゃー】
ジャンル
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パンチングマシーン
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対応機種
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アーケード(Taito B-System)
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発売・開発元
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タイトー
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稼働開始日
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1994年
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判定
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バカゲー
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ポイント
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顔を撮影してボコボコに殴る バカバカしさもパワーアップ 再び私のパンチを受けてみろ!
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私の概要を受けてみろ!
パンチングマシーンを彩るコミカルな演出で話題になった『ソニックブラストマン』の続編。
タイトルにソニックブラストマンの名が冠されてはいないものの、正義のヒーロー「ソニックブラストマン」となって悪を殴ると言うゲーム性に変化は無い。しかし安全性の向上と新たなモードを搭載した正統続編となっている。
今回は筐体にCCDカメラが搭載されており、プレイヤーの顔を取り込んでそれを殴る事が出来るという前代未聞のシステムを採用している。
私のシステムを受けてみろ!
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基本的なシステムは前作と同じ。
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全5ステージからプレイするステージを一つ選択し、専用のグローブを付けて画面の合図と共にサンドバッグを殴る。そしてパンチ力が測定され、それに応じて敵の様子が変化していく。
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三回のパンチの合計値がノルマに達するか否かで成否が判定されるのも同様。
私のモードを受けてみろ!
前述のCCDカメラの撮影機能により、遊べるモードが増えている。
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悪い奴を倒すゲーム
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基本モード。ソニックブラストマンとなって様々な悪を殴り倒していく。下記「顔を撮影~」にも対応させる為か、前作と違って敵は全て人型に近い造形となっている。
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顔を撮影するゲーム
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遊び方は「悪い奴を倒すゲーム」と同じだが、こちらはCCDカメラを使って顔を撮影し、その顔が悪役の顔などにはめ込まれて使用される。
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そして殴るとその顔が変形する。自分や友人の顔を殴って遊ぶモードである。
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プレイ中だけではなく、ステージ開始前や終了時のイベント画面にも反映される。また、「悪い奴を倒すゲーム」とは一部演出が異なる。
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二人で対戦するゲーム
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2P対戦モード。こちらでは各プレイヤーが顔を撮影し、相手の顔を交互に殴る事で対戦する。怪我をする事なくボコボコに殴り合えるモードである。
私のステージ紹介を受けてみろ!
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第1ステージ(270t) 成金野郎が商談に来た!3発殴って倒せ!
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ソニックブラストマンのコスチュームを金で買おうとする成金野郎を撃退する。のっけからツッコミ所満載である。
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まずブラストマンが変身した状態でバーで飲んでいる時点で既にツッコミ所。完全に不審者である。前作だと普段はサラリーマンなのだが…。
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この成金野郎もどんなにボコボコにされ壁が壊れるほど叩きつけられても商談を諦めようとしない。根性があると言うかしつこいと言うか…。そして
どう見ても単なる着飾った肥満体の中年オヤジなのに既に前作の第2ステージのトレーラーの耐久力を超えている。
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成功すると成金野郎はついに倒れ「交渉は決裂した。」 しかし店内はメチャクチャに壊れてしまっており、店主は明らかに御立腹。
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失敗すると「ブラストマンは 身ぐるみ はがされた。」パンツ一丁にされてしまった彼は情け無く退散し、成金野郎は明らかに体型が合っていないコスチュームを無理矢理着るのだった。そしてギャラリーからは笑い声が…。
ただし店に被害は無いが、ブラストマンにとっては5つのステージの敗北の中で最も屈辱的なオチになっている。
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第2ステージ(310t) 暴走族が女性を襲っている!3発殴って倒せ!
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鉄棒を振り回すモヒカン頭の暴走族を倒す。
しかも前作の第1ステージの暴漢と似たような風貌の人間なのに、前作の第3ステージの要塞ビル以上の耐久力を誇る。
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前作でステージ開始時に毎回流れていた「キャー助けてー」の叫び声は、実際に女性が襲われているこのステージでのみ流れる。
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殴るとパンチ力しだいで吹っ飛ばされ、暴走族は通りかかった自動車やトラックにはね飛ばされる。
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耐久力が減るとふらついて倒れるがその都度、舎弟が「兄貴…しっかり…!」と助け起こす。それでもなおブラストマンは容赦しない…。
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成功すると、ふっ飛んだ暴走族は画面奥のガソリンスタンドに突っ込み、周辺を巻きこみながら大爆発。
幸い生きていた暴走族とその一味は、女性を救ったブラストマンによって頭を丸刈りにされ「暴走族は教育的指導を受けた。」 …ガソリンスタンドは犠牲になったのだ…。
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失敗すると鉄棒で殴られ、「暴走族にフクロ叩きにされた。」演出が妙にあっさりなのが残念。
でもガソリンスタンドは同じく無事。
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第3ステージ(360t) 奇怪なロボットが街で暴れている!3発殴って倒せ!
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ビルを上回るほど巨大なロボが相手。ここに来て敵のスケールが飛躍的に大きくなる。
というか既に耐久力が前作の隕石を超えている。
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このロボットも妙に個性的なキャラ付けがされており、「お前をkill you」と馬から落馬したような重言を用いる。
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ダメージを受けると、外装が破壊されると同時に中から全く別のデザインのロボットがマトリョーシカ式に現れる。
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第一形態は巨体だが、最後の第三形態になるとかなり細身に。しかも形態毎に台詞が違う。
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成功するとロボットは吹っ飛ばされ、その大爆発で街は瓦礫と化してしまうにもかかわらず…「街に平和な朝が訪れた。」…それはひょっとしてギャグで言っているのか…?
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顔を撮影していると上記の演出は無いものの、結局街は瓦礫に。そして成功画面ではなぜか、スクラップと化したロボットではなく、テレビに映っている泣く市民の方に顔がはめ込まれている。なぜなんだ。
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失敗すると無残にも踏み潰され「ブラストマンは 再び立ち上がる事は無かった。」どちらが勝っても街は救われない…。
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第4ステージ(410t) 大怪獣ガメゴン現る!3発殴って倒せ!
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鋭い爪を持つ巨大な怪獣をパンチ三発で沈める。
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ダメージを与えるとガメゴンの爪や牙が次々に折れていく。
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成功するとガメゴンは甲羅まで砕かれ、倒れたガメゴンの側で「う~ん デリシャス。」と肉を食らうブラストマン。彼の食事としてバーベキューとなった様子。
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顔を撮影していると自分の顔をした生物が喰われている様を見る事になる。
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失敗すると「ブラストマンは おちょくられた。」ガメゴンに両の拳で挟み潰され続けるハメになるのであった…
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第5ステージ(430t) アンドロイドが侵略して来た!3発殴って倒せ!
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地球侵略を目論むアンドロイドをパンチ三発で撃退する。
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敵は巨大な宇宙船で無数に現れたアンドロイド軍団だが、殴るのはあくまでそのうちの一体(リーダー機なのかは定かではない)。しかし相手は本作最強の敵ゆえ、心して挑むべし。
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ちなみに顔を撮影していると左右にいるアンドロイドまで自分の顔になる。不気味と言うレベルではない。
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成功すると殴られたアンドロイドは母船まで吹っ飛んで行き、他のアンドロイドも母船へと逃げ出し、地球から飛び去り退却していく。「ブラストマンは人類を救った!」
本作唯一のまともなオチ。
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ちなみに顔を撮影していると、なぜか打ち上がる花火に顔が反映される。
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失敗すると地球は侵略され、ブラストマンは不安定な細い岩の上から必死に抵抗を続けるも、岩は崩れアンドロイド軍団の真っ只中に落ちていく…「ブラストマンは使命を果たせなかった!」 そして何故か岩の背後からはムンクの「叫び」、もとい撮影した顔が…。
私の評価点を受けてみろ!
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前作の評価点は据え置き。
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殴るだけという単純明快なゲーム性で、ゲームに慣れていない人でもすぐにプレイできる点も同じ。
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上記の通り演出のバカバカしさがパワーアップしており、前作以上に面白可笑しくプレイできる。
ソニックブラストマンが全然平和を守っていないとか言わないように。
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対物ステージが多かった前作に対して、前述の通り本作の敵は人間や人型ロボットが主である。その為、敵もよく喋るようになり、個性が付いた。
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前作ではステージクリア時に毎回流れていた「ありがとう。スーパーソニックブラストマン」の音声はコイン投入時のみになっている(今回は「スーパー」は付かない)。本作の彼の姿を見ればそれも止む無しである事が分かるだろう…。
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バカバカしさだけではなく派手さ、スピード感も向上している。
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前作では「SMASH!」と表示された後に段階的に対象が変形していったが、本作の「悪い奴を倒すゲーム」では殴った瞬間にアクションが起こる。強いパンチを打てば即座に吹っ飛ぶ・砕けるのダメージモーションが入り、より爽快感が得られるようになった。
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「顔を撮影するゲーム」では前作同様「SMASH」→「変形」の流れとなる。
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ノルマが全体的に引き上げられ、前作を制覇したプレイヤーでも新たな強敵と戦う事が出来る。
私の欠点を受けてみろ!
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撮影した顔が画面にはめ込まれたり変形する事自体はシュールで笑えるのだが、「自分の顔を殴る」と言う特異過ぎるプレイを積極的にやりたがるプレイヤーはそうそうおらず、逆に敬遠されてしまった節がある。
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顔の撮影はあくまで任意なのだが、本作の売りとして押し出した事と、そのインパクトの強さ、『ソニックブラストマン2』ではなく『リアルパンチャー』というタイトルである事などから、本作は「撮影した顔を殴って変形させる悪趣味なパンチングゲーム」と言う偏見を抱かれる事が多かった。
ある意味間違いではないが…。
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撮影した顔のハメコミが結構いい加減で、ズレていたり首と離れていたりする事もしばしば。
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ステージ選択後に注意事項を示すテロップが流れる。これが詳細で結構長めで、スキップも出来ない。
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前作でマナーの悪い利用者が多かった為で、安全に配慮する以上仕方ない点ではある。
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これも前作と同じ点だが、「パンチ三発で1クレジット」は高いと思う人には高い。
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前作以上にレアゲーで、今となっては国内では殆ど見かけない。前作と同様、補修用部品が枯渇したという理由で2008年にメーカーの修理サポートは終了している。
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前作や、後作の「はじめの一歩」でもあった事だが、ゲーム機を固定する為の脚が通常の大型筐体の物と同じ物を使っていた為に、パンチを受ける威力を殺せずに背面の壁を破壊する等二次被害が多く見られた。
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壁破壊だけでなく、筐体を固定する脚(アジャスター)が折れる等、耐久性に問題があった。
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これはプレイヤーの問題だが、「助走をつける為にグローブを目一杯引っ張る」等、思春期真っ盛りの少年達の「いいトコ魅せたい欲」のために色々な箇所が悲鳴を上げていった。
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「助走をつけて殴るのはやめて下さい」等を注意するアナウンス画面が出るのだが、そんな迷惑なプレイヤーには全く響かず、お構いなしに助走をつけて殴り、当然のごとく手首を捻挫・骨折をする
自業自得な中高生が後を絶たなかった。
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後期のパーツ改善により、危険プレイ予防目的でグローブと筐体を繋ぐロープが「伸縮性」から「非伸縮性」に変更されたが、「スコアが(助走をつけにくくなって)下がった」とクレームを入れる中高生、いい歳をした大人が多くなった。PL法関連での仕様変更と、実際に危険である為の処置だが、「いいトコ魅せたい欲」とは平行線であった。
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また、そもそもの「グローブをつけずに殴る」等、危険プレイも後を絶たなかった。それだけ、「いいトコ魅せたい欲」は開発者や設置店の上を行っていた模様。これも次回作以降で修正されていった。
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本機の発売後にPL法が施行された影響で、急激に市場から消えていった。
私の総評を受けてみろ!
演出とバカバカしさの強化、ノルマの引き上げ、新モードの搭載と、前作の正統進化と呼べる『ブラストマンリターンズ』こと『リアルパンチャー』。
しかし、殴る為に顔を撮影するという斜め上の試みが仇になり、前作ほどの評判は得られなかったのが残念な所。
私の余談を受けてみろ!
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当時、タイトーはこの様なテレビゲーム+アナログ装置のバカゲーを多数発売している。野球盤+テレビゲームの「クラッチヒッター」等。
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顔を変形させて遊ぶというのは当時Macintosh専用のソフトウェアで取り込んだ写真をいじって遊ぶパーティ向けソフトがあった。それを応用したものと思われる。
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当時のMac雑誌では頻繁に紹介されており、これを応用した遊びのものがリアルパンチャーと同時期にいくつか販売・発売された。
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本シリーズに限らず多くのパンチングマシーンに当てはまるが、スコアはkg(t)単位で表示しているものの実はバッドを殴って倒れる「速さ」で算出されている。
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よく故障するバッドを支えるアームの、筐体内部の見えない所でセンサーが3箇所あり、それを通過する速度を測っている。
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よって、まっすぐ殴るよりパッドのスイングする弧に沿う様に叩きつける様に打つと効率が良い。助走をつけても力のベクトルが違う方向へ向かうので、良い記録は出にくい。ただ筐体と自分の腕を傷めるだけである。筐体の破壊にも繋がるので助走はしてはいけない。
最終更新:2023年09月04日 01:57