現在はPSV版のみ記載されていますが、PS4版も執筆可能です。


イースVIII -Lacrimosa of DANA-

【いーすえいと -らくりもさ おぶ だーな-】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 2016年7月21日
定価 通常版:7,344円
数量限定プレミアムBOX:9,504円
ダウンロード版:6,200円(各税8%込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 暴力・セクシャル
判定 良作
ポイント 大幅増のボリューム
ストーリーがかなり丁寧に
アクション性は二長二短
イースシリーズリンク


概要

  • イースシリーズのナンバリング第8作目。時系列としてはVとVIの間に位置する。
    • 船が沈没し呪われた島と呼ばれるセイレン島へ流れ着いたアドルの冒険が描かれる。
    • シリーズ主人公アドルと彼の夢に現れる少女ダーナのダブル主人公でストーリーが進められる。

あらすじ

+  公式サイトより引用

システム

イースSEVEN』『セルセタの樹海』から続く、三人パーティ制のアクションRPG。
本作の特徴やセルセタの樹海との相違点を挙げる。

  • フリーカメラになり視点が自由に動かせるようになった。
    • この影響か、操作キャラクターを変更した際にキャラの位置ごと入れ替わるようになった。
      (=自分で操作するキャラの位置や向きはそのままで、カメラがぶれたりしない)
  • ジャンプが復活した。
  • アドルの見るダーナの夢。
    • 夢の中ではダーナを操作することができ、そこで起こした行動でアドル側の世界に影響を与えることができる。
  • 通常ガードの廃止
    • スキル発動とフラッシュガード発動が同じボタンになったため。
  • 「ブレイク」の追加
    • 弱点属性で攻撃すると敵のブレイク値が溜まり、いっぱいになるとブレイク状態にできる。
    • ブレイクされた敵は追加ダメージが入りアイテムを落とすほか、防御力が減少したうえ弱点属性以外でも弱点属性並のダメージになる。
  • 「迎撃戦」の追加
    • 拠点となる漂流村を守るべく次々と襲い来るモンスターを迎え撃つ。
    • 迎撃戦中は戦況によってはスキルポイントが自動回復し、漂流村の仲間の援護を受けることができる。
  • 「好感度」の追加
    • 漂流村の仲間の依頼やこなしたりプレゼントを上げることで好感度を上げることができる。
      • 分かりやすく言えば、『軌跡シリーズ』や『東亰ザナドゥ』の絆、縁イベントのようなもので、特別なイベントが見られてキャラクターの掘り下げになる上、迎撃戦のサポートの能力が上がったり、特別なアイテムを入手するチャンスなどが生まれる。
  • 料理・釣り・ロケーションポイント *1 の追加。
    通貨は無く、素材のみのやり取り。
    • これらは無人島の冒険に合わせた要素。
  • パーソナルアクションの廃止。
  • イベントスキップが実装された。初見イベントすらスキップ可。

その他、冒険具 *2 の複数装備や素材辞典からの落とす敵の逆引き、周回時の引継ぎ要素の細分化など、細かい快適さが増している。

評価点

  • 島を丸ごと使い大幅に増した探索要素とボリューム
    • 舞台となるセイレン島を隅々まで探索でき、仲間が増えてから行けるところが増えたとか、
      強くなったから高レベルの雑魚を敵を倒しに行こうとか、一度通ったフィールドでも後々再探索する楽しみがある。
      • シナリオ進行に必須でないダンジョンが大幅に増え、ストーリーを優先するか探索を優先するかで迷いがいがある。
      • 公称のプレイ時間は50~60時間で、セルセタの20~30時間に比べてほぼ倍になっている。
    • 地図に何かありそうな地点やクエストポイントなども記され、ファストトラベルも使いやすくて非常に親切。
    • マップはエリアごとに別れているものの遠景まで表示されており、山から下を見下ろしても浅瀬の方まで見通せる。プレイヤー自身の視覚でも絶海の孤島と探索を実感できる。
    • 漂流村の設定を崩さないシステム
      • 本作は漂流者同士でやりとりするため、お金の概念がなく全て物々交換である。
      • 追加された釣りや料理も無人島で生活するというコンセプトに合っている。
    • 前作セルセタでも好評だった「探索」をより広く深くし、サポート面も進化しており更に楽しめる。
  • 丁寧なストーリー進行・キャラクター描写
    • 基本的にアドルたちは漂流者を集め、セイレン島からの脱出を目指すことを目的としている。
      • 後半からはアドルが夢で見るダーナが関わって来て、彼女の背負う過去やセイレン島に隠された秘密が明らかになっていく。
      • 島から脱出する術を探すことにダーナの行動や知識が関わっており、彼女の「自分の過去に何が起こったのか知る」という目的と脱出とが乖離せず進んでいく。
    • ダブル主人公に違わず、中盤開始時辺りからダーナの掘り下げが行われる。彼女は明るく前向きな性格で、感情移入、および共感しやすいキャラになっている。
      • 巧みなのは、「既に滅んでいる」現代の都市が舞台となりつつ、平和に栄えている都市におけるダーナと国民たちの交流が描かれていること。近いうちに滅んでしまうことを知らずに、日々を生きる人々の描写は、その後の崩壊を考えると涙を禁じ得ないものになっている。
    • ドギはセルセタでほとんど出番がなかったが、本作では漂流村のまとめ役として存在感が大きい。
    • 漂流村の仲間も子供から老人まで揃い、彼らが何かしらの役割を得たりクエストをこなすことで悩みが解消されたり、
      会話やプレゼントで意外な一面が見えたりで全てのキャラがきちんとキャラ立ちしており、空気キャラ化している者はいない。
      • 好感度を上げると迎撃戦で有利に戦えるため、積極的に仲を深めようという気になる。
      • サブキャラにも全てボイスがついており、キャラの印象を強めるのに一役買っている。
      • プレイアブルキャラも戦闘以外でいろいろ喋る。中小のイベントも多く、セルセタ等であった参入以降ほぼ会話がないキャラは居ない。勿論キャラ描写という点でも大幅アップしている。
    • 世界の危機という演出でも、前作ではロクに描写がなく実感が持てなかった(広くは無い地域 *3 で毎年天変地異を連発させる訳にも行かないのだろうが)。しかし本作では「それによって滅んだ世界」が中盤からの核となることもあり、世界の危機が実感できる。
    • このあたりはSEVENやセルセタではあっさりしすぎと評する声が多かった点であり、大幅な改善が成されている。どうせイースでしょ、と思っていると良い意味で裏切られるだろう。
  • 軽快さが増したアクション
    • スキルフィニッシュ時の演出がセルセタに比べて大幅に短くなり、イチイチ止まることなく非常にスピーディに。
    • ジャンプが追加されアクションのバリエーションも増えた(フェルガナほどには性能が高くなく、相応に重要性は低めだが)。
    • ガードとスキル発動が同じボタンになったことで、フラッシュガード→スキル発動の流れが手軽にスムーズに行えるように。
    • ブレイクが追加されたことで、スキル性能がより差別化されるようになった。
    • フラッシュガードやフラッシュムーブの効果時間が表示されるようになり、攻めと回避の選択がしやすくなった。
    • ボスのバリエーションも多く、ほぼ全てのボスで残り体力で攻撃パターンが変化するなど最後まで飽きにくい。
    • 新しく追加された迎撃戦は、戦況や仲間のサポートによってはスキルやEXTRAスキルを連発でき、気持ちが良い。
      • 迎撃戦は防衛&濃密となっており、普段の探索とは対照的。バトルという点でも良いアクセントになっている。
  • 熱く疾走感のあるBGM
    • 最初のフィールドで流れる「SUNSHINE COASTLINE」や中盤の文字通りの山場となる「GENS D'ARMES」など、フィールド曲はどれも疾走感と熱さが非常に高く探索意欲の向上に一役買っている。
    • 汎用ボス戦はこれまでのイースらしい激しいメタル調ではあるが、本編のラスボス戦やエピローグのラスボス戦は、これまでのイースらしさから脱却したドラマチックなBGMとなっている。これはサウンドチームの言う「新しいイースミュージック」を体現しているといえよう。
  • 更に良くなったグラフィック
    • 島の風景は美しく、冒険する楽しみを増やしてくれる。水場や日差しの強さなどもしっかり表現。視線を上に向ければ山がそびえ、鳥が見えることもある。
      • 高いところから遠くが見え、先を見たり村を見たりもでき、それが実際のマップとしっかり合致している。この点でも探索を実感できる。
    • OPアニメが前作の一部のみ動くアニメから全編アニメになり、かなり良くなった(他の良いものと比較して特に優れるという訳ではないが、イースシリーズとしてはという意味で)。またOP以外でも2,3の重要なポイントでアニメが使われている。
    • セルセタではアップにすると一部の動作に不自然な点があった(倒れたのに浮いているアドル、物の受け渡しで至近距離ワープ、など)が、本作ではそれが無い。また会話時のバストアップが無くなっていることに気づけない程、モデルはよく動き表情が変わる。
  • 別バージョンを発売時に既に発表
    • この機種でしか出しません!といって移植したり、G級商法という定価でアップデートさせる商法を常用するメーカーもある中、本作VITA版のような他で出しますというのを予め周知するのはかなり珍しい。
    • PS4版はグラフィックだけでなくシナリオやキャラなどがかなり追加されており、VITA版プレイヤーでも購入を検討するに値するだろう。
      • もっとも追加要素について当初は発表されていなかったのだが。

賛否両論点

  • ストーリーについて
    • アドルとダーナの意識共有はラストで理由が明かされるが、ご都合主義的ではある。
      • これに限らず、大穴に落ち続ける海水、経た年月から考えると異常なほど残っている遺跡 *4 、とある苗木について等々、全般的に裏打ちとなる理屈・理由付けがかなり弱いか無いため、考えると不自然すぎるのに気づいてしまう。
    • ダブル主人公と言いつつも終盤からラストにかけてダーナにシナリオの比重が置かれている。
      • ストーリーの核心を握っているのは彼女である以上、仕方のない部分もあるが。
      • またゲーム冒頭のアドルの著書『ゲーテ海案内記』の記述を見ると、アドルから見たダーナの物語と取ることもできる。
  • 結末について
    +  ネタバレ注意
    • ちなみに本作のエンディングにはEND1(バッドエンド)・END2(ノーマルエンド)・真ENDがあるのだが、真相がわからないEND1を見ようとするとイベントをほぼ無視することになる。
      むしろ真ENDのほうがよほど見やすい。というより普通に依頼をこなそうとすれば、かなり取り逃しがあっても達成できるので、他エンドがあると気づかない人も少なくないだろう。
  • ボイスについて
    • サブキャラにもほぼボイスがついているが、登場シーンと重要なイベントぐらいでボイスの量自体は多くない。
    • イースでは初めて紹介シーンで名前と声優名を併記しているが、サブキャラは兼役が多くメタな部分を見せつけられ萎えることも。
      • 兼役の声優も演じ分けはきっちりしているので、気にならない人にとっては問題ない。
  • 素材の集めづらさ
    • SEVENからと同様に特定のポイントで素材を収集するのだが、本作のAIは採取行動を行わず(ドロップアイテムは拾う)入手する際には自分で一度攻撃する必要があり、放置採取が出来なくなった。また採取ポイントの復活条件がはっきりせず、ポイントが復活するまで延々とマップ移動(またはセーブ&ロード)をする必要がある。
      それでいてレア素材は中々出にくく、交換のラインナップに挙がりきる終盤までは作業感が強い。ズルが出来なくなったという点ではやりこみ度が改善されたともいえるが…。
    • 素材の系統とランクが判りやすくなり、上位のものを下位のものに交換することもできるようになったため、交換所自体は便利になった。
    • 戦闘の直後にイベント(下記のギミック含む)が起きると、その敵がアイテムをドロップしていても消滅してしまう事がある。イベント敵は基本的にその時点では貴重な素材を落とすため非常に勿体ない事になってしまう。
  • 周回要素が薄い。
    • クリアすると追加されるのはボスラッシュのみ。
    • 一周目をナイトメアで始めれば取り逃しなくプレイするだけでトロコンできてしまう。ただし一周目でナイトメアはかなり難しい。
    • セルセタなどであった究極の武器などの要素も薄い(今回は防具だが、普通に買えるものと同等程度)。
      • 何周もやらないプレイヤーにとっては何も問題はない。特に今作は一周クリアするだけでもかなり労力を要する。

問題点

  • グラフィック
    • モデリングの出来は従来と比べて向上しているもののあと一歩の出来。
      戦闘のアクションは申し分ないが、イベント時のそれは種類が多くなく *5 もっさり感は払拭できない。
  • カメラワーク
    • カメラが壁際ではその隙間に割り込む&アップになるという仕様のため、一部のボス戦で巨体によって画面が覆われるなど、壁際に擦り寄られると非常に見づらくなる。立ち回りでフォローはできるが、ボスの行動パターンによってはどうしようもない時もある。
      • 位置次第では強ザコクラスですら発生する。しかも対象が近すぎると透明になるという仕様のため、かなりアップになり視野を狭くさせられた上に透明な攻撃で透明な自分がダメージを食らう、という非常にわけがわからない状態にもなりえる。
    • 普段では程よく自動で動き良好なだけに、非常にもったいない。カメラは変更させないという仕様が明確に支障になっている。
  • 変わらない戦闘
    • 戦闘システム自体は悪くないものの、基本はSEVEN・セルセタと変わりないためマンネリ感も。
    • アクションは増えたが、操作性・自由度が下がった(後述)ことやスキルの性能が低下したこともあって、前作より単純に優れるとはいいがたい。
  • テンポの悪いギミック
    • ダンジョンのギミックを作動させたときに一々止まって映し出されるのも相変わらず。
    • 迷わないようにとの配慮かもしれないが、作用する場所はすぐ近くばかりなので、分かりきっているものをわざわざ映す必要性も薄いだろう。
      • 早送りはできるがスキップはできない。前作セルセタでもかなり不評だったのだが、何故修正しなかったのだろう。量自体は大幅に削減されているが。
  • カメラの自由度で悪化した点がある
    • 倍率や視点がある程度変更できるが、動くと勝手に倍率と上下角がデフォルトに戻される。セルセタのようにアクションをよく見たいと思ってもできない。また倍率に関しては標準からズームインはできるがズームアウトはできない。
  • 爽快さの低下
    • ザコの察知能力がかなり高く、近づいたら確実に気づきしっかり迎撃してくる。更には攻撃を当ててもあまり怯まないので、やたらと細かいダメージを食らう。連続技やスキルを当てている最中にその敵からチマチマとダメージを食らう、なんてことが多々有り、セルセタで好評だった「サクサク進むザコ戦」はかなり弱くなっている。
    • キャンセルが全面的に不可に。キャラの位置ごと入れ替わるようになったためか、EXスキル発動中やダウン中などでのキャラ変更ができず、キャラチェンジキャンセルという応用性や、EXスキル中に被せて叩き込む爽快感が失われた。またダッシュや必殺技などでのキャンセルもできなくなったため、動作が重く感じる。慎重に動けということかもしれないが、この面での軽快さは大きく落ちた。
    • ザコの属性持ちがSEVEN並かそれ以上に増え、セルセタでの改善が戻ってしまった。ブレイクというシステムはあるが、特段ブレイク狙いの技などが無いため、結局粗方ダメージを与え終えた敵のトドメが少し早くなる程度のシステムにしかなっていない。
    • 回避の性能が弱く、フラッシュムーブのタイミングもわかりにくくなり、回避したのに食らうということが多々。回避移動距離の悪化もあってか広範囲攻撃では特に多い。
    • 加えて固定ガードの廃止・ジャンプの性能の悪さもあって防御行動の安定度が低下。そのくせキャンセル不可なのでキャラが反応しない状況が多々ある。これらの結果、セルセタでの「下手or難しいなら早めガードで確実に(削られるけど)、普通なら回避、慣れたならフラッシュムーブ、見切ったならフラッシュガード」という綺麗な仕分けが「フラッシュガード・フラッシュムーブを成功させなければダメージ」になってしまい、初心者に悪く上級者にもイマイチな仕様に。
    • 万全な迎撃体制を取る全てのザコの他にも、高いホーミング性能の攻撃や広範囲攻撃が多く、巨体で高誘導突進をやってくる輩まで居る始末。そうしてプレイヤーにフラッシュガード・フラッシュムーブしろと強要してくる。
    • 仲間のAIはセルセタ並に攻撃を食らうくせに採取をせずドロップ回収も消極的なため、より悪化した感がある。SEVEN並に回避しても何の問題もないはずなのだが…
    • これらもあって、アクション性がセルセタより単純に優れるとは言い難くなっているのが非常に残念。特に防御回避面の弱体化やザコの強化は、体力回復が容易になったとはいえ初心者への優しさが低下、セルセタ経験者にはストレスになる所。セルセタでの「できる」感覚が「やらされ」感になったのも惜しい。
  • セルセタより更に悪化したロード時間
    • 気になる程度の長さであることが多く、イベント前などはそこそこ長い。問題となるレベルかはギリギリというところだが。
    • 拠点の村は4つのエリアに分かれており、村の中を行き来するだけでロードを挟むのもわずらわしく感じる。
  • 唐突なマスコットキャラ
    • セルセタに続いて”みっしぃ”が登場するのだが、何故か遭遇は必須イベント *6 。その後の関連サブイベントは任意。 
    • セルセタの時点でもデザインは浮いていたが、本作では3Dモデルの精緻化とイラストが鮮やかで濃淡ある色調になったことによる雰囲気の変化(セルセタではアニメ調だった)のため、ゲーム内での異物感も増している。
    • 会社のマスコットをゲームに出すことがおかしいわけではないが、サブクエなりクリア後のオマケなり、ゲームとキャラに合わせた出番や設定ではダメだったのか?

総評

定評のあるアクションをさらに軽快にし、探索とストーリーにも重きを置いた本作。
探索では自発的にあそこに行ってみよう、何があるだろうかと思わず冒険したくなるようにできており、
ストーリーは仲間を集めて漂流村を発展させ、ダーナの人となりや悲劇を知り逆境に立ち向かっていく様にのめり込める。
まさにイースシリーズの一つの完成形とも言える仕上がりとなっている。
SEVEN,セルセタと受け継がれ改善されてきた流れの一部がオミットしてしまったのは残念だが、ストーリーやボリューム等々違う部分での楽しみが多々あり、十分に名作といえるだろう。