ワールドヒーローズパーフェクト

【わーるどひーろーずぱーふぇくと】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード(MVS)
販売・開発元 ADK
稼働開始日 1995年5月25日
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2011年1月11日/926ポイント
アーケードアーカイブス
【Switch】2017年3月3日/823円(税8%込)
【PS4】2019年1月31日/823円(税8%込)
【One】2019年1月31日/840円(税8%込)
判定 なし
ポイント シリーズ最終作
操作性を一新、新システムも数多く導入
ボスキャラクター使用可能で寿命を縮めた
ワールドヒーローズシリーズ


概要

ADKの対戦格闘ゲーム『ワールドヒーローズ』シリーズ4作目にして、実質的なシリーズ最終作。

ストーリー

暗黒超武会から一年…。
全世界に平和が戻り、自らの時の流れに帰っていった英雄たちのもとに、またしてもブラウン・シュガー博士からの手紙「第三回世界英雄大会」の招待状が届いた。
修行の成果を試す者、ライバルとの決着をつけようとする者、それぞれの決意を胸に英雄たちが集結する。
それを聞きつけたゼウス達も前回の雪辱を果たすべく乱入をたくらむ。
すでに波乱含みの大会…。
だが、真の恐怖はそれだけではなかった!


登場キャラクター

基本的に前作『ワールドヒーローズ2JET』(以下『2JET』)にまで登場したプレイアブルキャラクターは全員登場。ただし、本作ではキャラクター名がフルネームに変更されたキャラクターも多い*1

+ 通常キャラクター(カッコ内は前作までの名前)
  • 服部半蔵(ハンゾウ)
  • 風魔小太郎(フウマ)
  • ジャンヌ・ダルク(ジャンヌ)
  • ジンギスカン(J・カーン)
  • 金龍(ドラゴン)
  • マッスル・パワー
  • ラスプーチン
  • ブロッケン
  • 出雲良子(リョウコ)
  • キャプテン・キッド
  • エリック・ザ・バイキング(エリック)
  • シュラ・ナイ・カノム・トム(シュラ)
  • ジョニー・マキシマム
  • マッドマン
  • ジャック・ザ・リッパー(ジャック)
  • 呂布奉先(リョフ)
+ 隠しキャラクター
  • 孫悟空*2
  • ゼウス(ネオジオCD版・セガサターン版以外はCPU専用)
  • NEO-DIO*3

システム

  • 操作は前作『2JET』から大幅に変更された。
    • 前作までは技の強弱はボタンを押した長さで判定していたが、本作では「A-弱パンチ、B-中パンチ、AB-強パンチ、C-弱キック、D-中キック、CD-強キック」という、SNKの『サムライスピリッツ』同様の疑似6ボタン構成となった。
    • 投げ技も、「相手に近づいてレバー前or後ろ+ABorCD」で出すように変更された。
    • 挑発はBC同時押しに変更。レバーニュートラル・←・↓・→でそれぞれ異なった挑発になる。その中には気絶ポーズや、ブロッケンの首を伸ばす挑発のように攻撃判定を持ったものまである*4
  • 全キャラクターに「エキストラアタック」と呼ばれる個別の特殊技が追加された。基本的にABC同時押しで使用可能で、中には複数のエキストラアタックを持つキャラもいる。
    • ハンゾウの「全ての通常技にキャンセルをかける」、ラスプーチンの「相手を押しつぶして小さくする」、呂布の「酒を飲んで攻撃力を上げる」「空中で天井(?)に槍を突き刺し滞空する」等、キャラクターの個性を象徴する効果が付与されたものとなっている。
  • 一部の通常技は、「打撃防御攻撃」と呼ばれるガードポイントを持った攻撃となっている。各キャラクターにいくつか用意されている。
    • 飛び道具を潰したりは出来ず、どちらかというと攻撃相殺のイメージに近い。
    • ちなみに通常技やエキストラアタックの中には、飛び道具を破壊できる技も存在する(ジャンヌのエキストラアタック等)。
  • また全キャラウターに「ガードはじき攻撃」として、相手のガードを崩す効果が付与された通常技が存在する。
    • はじかれた方は一度レバーをニュートラルに戻さないとガードし直せない。ガードはじき攻撃にはキャンセルがかからない(ハンゾウのエキストラアタックをもってしても)ため、きちんとニュートラルに戻せれば状態は五分なので、はじかれても反応さえ出来れば次の攻撃をガードすることは可能。
  • 一部の通常技は、ジャンプでモーションをキャンセル可能。
    • これを利用した連続技も存在する。
  • 空中ガードが採用された。
    • 攻撃判定が空中になる技は全て空中ガード可能。例を挙げると、ハンゾウの対空必殺技「光龍破」は飛び上がった後は空中ガード可能となるが、出掛かりの「地上に足がついている」間は空中ガード不可能となる。
    • ジャンヌの「ジャスティスソード」、ドラゴンの「龍牙脚」*5は完全に飛び上がるため空中ガードされる。ブロッケンの「ハリケーンアーム」は完全に地上に足がついているため空中ガードは出来ない。
  • 「HEROゲージ」と呼ばれる、基本的に攻撃を当てることで増加するゲージが追加された*6
    • HEROゲージがMAXになると、強脚払いなど通常ならダウンしてしまう攻撃を受けても、着地で受け身を取ってすぐに体勢を立て直すようになる。
      • さらにHEROゲージがMAXまで溜まった時に、対応している必殺技や究極奥義(後述)を出すと強化版になる。ただしゲージは1本しか無く、通常版と強化版を任意に使い分けることは不可能。
  • 当時の流行の波に乗って、他作品の「超必殺技」「スーパーコンボ」などに該当する「究極奥義」も追加された。
    • 使用条件は体力が50%以下になることだけ。前述のようにHEROゲージがMAXだと強化版になる。
    • なお、HEROゲージMAXでも体力が50%以上だと究極奥義は使えない。
    • キャラクターにより差はあるが、どれもかなりの威力を誇る。中には強化版をフルヒットさせると体力満タンから即死するなんて技も……。
  • 前作『2JET』では体力減少による攻撃力補正がかなり極端だったのだが、今作では攻撃力そのものより「技の気絶値」がかなり増加するようになった。
    • 全体的に攻撃力が高め、体力ゲージが短め、かつゲームスピードの高速化傾向も相まって、勝負がつくまで油断はできない作りになっている。
  • 残り体力が僅かの相手に、多段ヒットする技で止めを刺すとKO時ボイスが追加ヒットするごとに再生されるオーバーキル上等仕様となっている。
    • 主にマッスル・パワーやマキシマムの究極奥義で止めを刺すと起こりやすい。
    • 決められる側は、「負けたッス~!!」というひときわ情けない断末魔を持つシュラが印象に残ると評されている。
  • 飛び道具の跳ね返しは廃止された*7。ただし、エリックやマキシマムはエキストラアタックで相手の飛び道具を跳ね返すことが可能。
  • 多段ヒットする必殺技をガードした際、レバーをガード方向から離すとガードを止めて技がヒットする。
    • 地味なことではあるが、それまでの格闘ゲームのほぼすべてが多段ヒット技は最初の一撃をガードすれば、たとえレバーから手を離しても技の当たり判定から外れるまでは自動でガードしつづけるものばかりであり、またそれを利用してのガードキャンセル必殺技がシステムに組み込まれている作品も多い。しかし本作では最後までしっかりとガードする必要がある。
  • 前作までのような開始時のモード選択は廃止された。
  • 『2JET』から字幕スーパーが引き継がれたが、本作では連続技を決めた際に「○段」とコンボ数が表示されるようになった。
    • また、キャラクターごとの掛け合いのバリエーションも増えている。
  • キャラクターごとのステージはボスキャラクターを除いて設定されておらず、地球創世紀・ジュラ紀・氷河期・石器時代・巨石文明・中世暗黒時代・元禄時代・産業革命・世界大戦・現代までの10ステージで戦う。
  • CPU戦は上記の10ステージクリア後にゼウスと戦うが、このゼウス戦は勝っても負けても次のラウンドでNEO-DIOが乱入してゼウスを倒してしまい、そのままNEO-DIOとのラスボス戦に突入する。
    • ゼウスはパーフェクトで倒すと凄まじいボーナス得点が入るため、事実上のボーナスステージであるといえる。
  • CPU戦で特殊な条件を満たすと、乱入キャラクターとして孫悟空が登場する。
  • 本作ではCPU戦で同キャラクター対戦は起こらない*8

評価点

  • そこそこ安定したゲームバランス。
    • やや大味な面も否めず、全キャラクターがアッパー調整気味・かつ高火力傾向のゲームになっているが、バランス的にはなかなか取れていると評されている。ただ一点を除けば(後述)。
    • 本作が稼働した95年は即死連続技が当たり前の『KOF95』『斬紅郎無双剣』『MSH』など、本作のみならず格闘ゲーム界全体が高火力化傾向にあった。前作『2JET』とは逆に、そういった時代のニーズには合っていたといえる。
  • キャラクターの個性がより前面に押し出された。
    • 今作ではキャラクターごとの攻撃力・防御力にかなりの差が出ており、少なくとも『2JET』までとは比べ物にならない。
      • リョフやマキシマムなどのパワーキャラの強攻撃は一撃で物凄く減る。逆に、ブロッケンなどは明らかに通常技一撃の威力が低い*9
    • 変態度に磨きのかかったラスプーチン*10、「ポチッとな」と渋い声で自爆ボタンを押すブロッケン、地味であることが逆に個性になったシュラなど*11
  • CPU戦の難易度がマイルドに調整された。
    • これまでのWHシリーズはCPU戦の難易度が高いことに定評があったが、本作では比較的易しめの難易度に調整され、パターン化も容易。
    • ボスキャラクターもこれまでと比べれば理不尽な難易度ではなく、少しやりこめば全キャラクターでクリアすることは十分可能。

問題点

  • ラスボスおよび隠しキャラクターのNEO-DIOがとにかく極悪。
    • CPU専用キャラクターならまだいいのだが、本作では隠しコマンドを入力することでアーケードでも使用可能になる。
    • しかも『スーパーストリートファイターIIX』の豪鬼とは違い、ボス性能のまま使用可能*12
    • とにかく通常技・必殺技どれをとっても高性能で、特にエキストラアタックのショートジャンプから繰り出すジャンプ強キックは判定激強かつ多段ヒットという狂った性能。しかもヒット後に連続技に移行できるどころかこの技を連発するだけで永久連続技になる。固められるだけで何もできないキャラクターもいるほど。
    • さらに追撃可能なコマンド投げも完備。追撃は1発でも攻撃を当てると相手がダウンしてしまうが、究極奥義*13なら問題なく全段ヒットする。
    • 本作の稼働後すぐにNEO-DIOが使えることが発覚してしまい、ゲームバランスを崩壊させる要因となる。
      • 使用禁止にしたゲームセンターも多かったが自重しないプレイヤーも多かったため、結果として本作の稼動期間=寿命を縮めることになってしまった。
    • CPUが使うラスボスとしてのNEO-DIOは、『2』の時のような極悪なアルゴリズムは無く、性能を持て余しているようで撃破は容易い。
  • 実はキャラクターの性能としてはNEO-DIOよりも「かませ犬」扱いのゼウスの方が有り得ない性能だったりする。
    • 必殺技のメガトンパンチを空中の相手にヒットさせるとそれだけで即死*14。判定も激強で飛び道具破壊まで可能なので、この技を振り回しているだけで大半のキャラは詰む*15
    • 他の必殺技・通常技も超判定&超攻撃力。ゼウスは家庭用のみで使用可能なのが救いであるが。
  • もう一人の隠しキャラクターの孫悟空は、性能的には尖った所は無い……どころか、通常投げに存在しているバグのせいで最弱候補。
  • またアッパー調整の弊害として、先述のNEO-DIO以外にもお手軽かつ実践的な永久連続技を持つキャラクターが存在してしまっている。
    • ハンゾウやキッド等はエキストラアタックが「これで永久してください」と言わんばかりの性能。
    • 一部キャラにダッシュ攻撃を使った永久が存在。リョウコのダッシュしゃがみ中P×α、ジャックのダッシュ弱K×αなどがある。*16
    • マッスルパワーの突進技、弱マッスルボンバーはヒット後に弱攻撃が繋がるのでこれも永久コンボが可能。マッスルはWH1でも同様の永久コンボが可能だったため、ある意味先祖返りである。
  • HEROゲージの仕様上の問題。
    • 前述のように1本しか溜められない上、対応した必殺技を出すと強制的にゲージを使用する強化版になってしまう。
    • このため、メイン必殺技が対応技になっているジャンヌやシュラ、マッドマンなどは究極奥義のためにゲージを温存しようとするとそれらの必殺技を封印せざるを得なくなってしまう。
    • また、折角の強化版必殺技も一概に役に立つものばかりではない。強化されるのは主に演出と判定、出掛りに無敵時間がつく点であり、ダメージ自体はなんと強化版の方が減らない技すらある。

総評

操作性の大幅変更や新要素の追加など、新しい『ワールドヒーローズ』を目指した作品であったと言える。
しかし隠しコマンドでボスキャラクターがそのままの極悪性能でアーケードで使えることが早々に発覚してしまったためバランスとモラルの崩壊を招き、結果として稼動期間は短命に終わってしまった。
それでも対戦格闘ツールとしての完成度は高く、シリーズの実質的な最終作としては相応しい出来に仕上がっている。


移植版

ネオジオROM版(ADK、1995年6月30日発売)

  • クレジット制限と難易度選択以外はMVS版と同等。ゼウスは使用不可能。

ネオジオCD版(ADK、1995年7月21日発売)

  • 容量の都合で一部の技のモーションやボイスが削除されているが、移植度は良好。
  • NEO-DIOと孫悟空が最初から使用可能で、ゼウスも対戦のみで隠しコマンドで使用可能。
  • チビキャラモードでも攻撃力の低下が無く、必殺技も使用できる。
  • EDのおまけでラスプーチンの孫娘「ラスプーチコ」が登場する4コマ漫画を見ることが出来る。
  • 初期プレス版にはCDモードをリョフでクリアというかなり限定された条件下ではあるがゲームが停止し再起動するバグある。
    • 雑誌などでバグの存在や修正版との交換も告知されずインターネットも普及してないころのためバグ自体周知されず、半ば黙殺されていたため修正版はほぼ出回らず現在はネオジオCDの中でも特に入手難度が高いソフトとなっている。

セガサターン版(SNK、1996年8月9日発売)

  • 移植はADK自身が手掛けている。
  • NCD版にあった付加要素は全て継承されている。
  • NCD版より更にボイス等が削除されているが、増設RAM無しにも拘らず読み込みはネオジオCDZより更に速い。
    • どんな魔法を使ったのか?と言われるほど同時期の他の格闘ゲームと比べてストレスなくゲームが進行する
  • 隠しカラーが2色もある上に、ゼウス含むボス勢が全てのモードで最初から使用可能となっている。
  • 登場キャラクターのデータベースが見られる。
  • コマンド判定が全体的にシビアで、溜め技が異様に出しにくい。
    • これはシビアというよりも↓←→や↓↑の様に、対となる方向を連続入力するコマンドの場合は一度はニュートラルを挟む必要があるため

プレイステーション2版『ワールドヒーローズゴージャス』(SNKプレイモア、2007年10月18日発売)

  • 初代から本作までのシリーズ4作を収録。
  • 「ネオジオオンラインコレクション」名義のため全てネオジオ版準拠の移植であり、ゼウスは使用不可。
  • アーケードアーカイブスにてSwitch版、PS4版、XboxOne版が配信されている。こちらはアーケード(MVS)版準拠。

余談

  • ADK倒産後、シリーズの版権はSNKプレイモア(2016年にSNKに改名)に引き継がれ、同社の『ネオジオバトルコロシアム』でハンゾウ、フウマ、マッドマン、NEO-DIOが登場している。
  • キャラ選択時に隠しコマンドを入力すると、キャラがラスプーチンのエキストラアタックを喰らった時のようなチビキャラになる。
    • このチビキャラ状態では攻撃力が低下し、必殺技も使えない。しかし勝利ボーナスの点数が大幅に上がるため、スコアラー向けのモードだといえる。
    • 家庭用ではチビキャラでも攻撃力が落ちずに必殺技も使えるため、バランスを崩してしまうのだが……。

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最終更新:2023年12月25日 19:15

*1 これに伴い、ハンゾウやフウマは技名も「ダブル烈光斬→大武流烈光斬」等変更されたものが多い。死に技で有名だった「忍者レッグラリアート」も「疾風燕落とし」に技名が変更された。

*2 モチーフは『西遊記』だが、ADKらしく『ドラゴンボール』の孫悟空の要素も入っていたりする。

*3 『2』のラスボスだったDIOがネオギガスを吸収してパワーアップした姿。

*4 ブロッケンの首伸ばし挑発は「地上でABC同時押し」なので厳密には違うが。

*5 前作までは「ドラゴンキック」という名称の対空必殺技。

*6 J・カーンはエキストラアタックでゲージを溜めることができる。

*7 NCD版やSS版では「飛び道具逸らし」に変更。

*8 ただし、隠しキャラクターのNEO-DIOはラスボス戦が同キャラクター対戦。孫悟空も条件を満たせば同キャラクター対戦となる。

*9 だからといってブロッケンが弱いというわけではない。操作は忙しいものの「機動力と手数と長いリーチ」を活かして攻めて押すことができるため、そういうプレイが好きな人にはたまらないキャラクターとなっている。

*10 特に究極奥義「秘密の花園」はあまりにもアブノーマルな技で話題になった。

*11 多くのキャラクターから地味なことをネタにされてしまっている。ちなみに究極奥義「ルンピニーダンス」も一部開発者に「シュラのくせに派手だ」というあんまりな理由で危うく地味にされる所だったという。

*12 本作稼働後まもなく登場した『ザ・キング・オブ・ファイターズ'95』でもラスボスがそのままの性能でアーケードで使用可能だったが、あちらは一応飛び道具の硬直が長くなったり無敵技の無敵時間が短くなったりとプレイヤーが使用することを前提とした調整を受けている。

*13 ガード不能の乱舞技。発生が遅いため見切られやすいが、起き上がりに重ねられると回避は困難。

*14 当たり方が浅いと即死しない事もあるが気絶するのでどの道助かる術は無い。

*15 ただし足元は弱いので間合い外からのスライディングやリーチのある足払いには負ける。

*16 ただしジャックのものは威力が低く、難易度も高め。