このページでは、GBA『ザ・シムズ』と、その続編であるGBA・DS『ザ・アーブズ シムズ・イン・ザ・シティ』を取り扱う。(判定は共に「なし」)



ザ・シムズ (GBA)

【ざ しむず】

ジャンル シミュレーションアドベンチャー
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 Maxis, Griptonite Games
発売日 2004年1月22日
定価 4,800円(税5%込)
セーブデータ 3個(+ GCメモリに1個)
レーティング CERO:全年齢対象
判定 なし
ポイント PS2版/GC版とは内容が異なる
ぶっとんだシム達との奇妙な生活
シムシティシリーズ

概要

本作は2003年12月に欧米で発売されたGBA版『The Sims Bustin’ Out』の日本語ローカライズである。
同日発売されたPS2/GCの本作と同名の『ザ・シムズ』はそれぞれPS2/GC版の『The Sims Bustin’ Out』の日本語ローカライズであり、本作と内容が異なる。

本作は後述する「もくひょう」で何をするべきかをガチガチに指定されるが、PS2/GCの『ザ・シムズ』はフリープレイモードがあり自由にプレイできる。

本作タイトルは『ザ・シムズ』となっているがWin/Mac版『The Sims (邦題『シムピープル』)』ともシステムが全く異なる
『The Sims』は間接的に登場人物の生活に介入するゲームだったが、本作は3Dキャラクターを直接操作するAADVタイプのADVとなっている。

ストーリー

夏休みに「シムバレー」に住む叔父の家にやって来た主人公が、いろいろな仕事をすることで町に溶け込んでいく。

システム

  • ゲームはリアルタイムで進行する。
    • シムたちは時間帯によって居場所が移動する
      • 知り合いのシムに電話をかけて電話が繋がった場合、その時点の居場所を教えてくれる。
    • 時間帯によって出来ないことがある。
      • 研究所は午後20:00~午前08:00の夜間しか開いていない。なぜそんな時間帯なのか?
      • おじさんの家の芝刈りは近所迷惑になるので午前05:00~午後19:00までしか出来ない。午前05:00でも迷惑に見えるが…。
  • 欲求メーター
    • 『シムピープル』から存在するシステムで、『ザ・シムズ』シリーズの特徴でもあるが、「空腹」「衛生」「睡眠」「社交」「便意」「心地よさ」「楽しさ」「体力」「部屋」という、やや多すぎる欲求に対してそれぞれに棒グラフのメーターが存在し、時間経過で減少していく。
      欲求メーターが満たされていない場合には作業が失敗しやすくなるなどの弊害があるため、「空腹」であれば食事をとる、「便意」があればトイレを使用することで欲求メーターを回復する必要がある。
      • 「便意」の欲求メーターが0になってしまった場合は失禁してしまう。公共の場所で漏らしてしまうと即刑務所行きとなる。
    • ジムで体を鍛えると、欲求メーターの一部の項目が下がりにくくなる。
  • もくひょう
    • 本作品はADVであり、次に何をすべきかは事細かく「もくひょう」として示される。
      • なお、最終目標を達成してしまうとゲーム終了となり、あなたのシムバレーでの生活は終わってしまう。
  • しごと
    • いくつかの仕事のミニゲームが存在し、仕事で好成績を収めるとその仕事のレベルが上昇し、仕事の報酬が良くなる。
    • マップ上に落ちている空き瓶などを研究所に持って行くと買い取ってくれる。
  • 家具
    • 自分の部屋に家具を自由なレイアウトで置ける。家具は雑貨屋などで売買できる。家具はポケットに入れて持ち運べる
    • 自分の個人所有の家具のみ壊れることがある。おじさんの所有物やお店の備品は壊れないため技術スキルが低い間はそういったところの備品を使う手もあるが、壊れなければ修理する機会がないため技術スキルのレベルが低いままとなってしまう。
      • 他のシムと同居した場合、家具は自分所有のものを使うため、同居しているシムが使った後はプレーヤーがメンテナンスする必要がある。
        壊れた家具を直すのはもちろん、トイレやベッドの掃除などもしなければならない。

評価点

  • 成り上がれる
    • 学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

賛否両論点

  • シュール過ぎる
    • ルールがシュール過ぎる。
      • 家具はポケットに入れて持ち運べる。ドラえもんか!
      • ジムのエレベーターのドアは勝手に開閉しているので、乗る際はドアが開いている時に飛び込む必要がある。
      • 会話の選択肢がシムズの気分で変わる
        NPCと会話する場合、欲求メーターが満たされているとまともな選択肢が並ぶが、欲求メーターがあまり満たされていないと「よう、田舎もんのおっさん!」「3文字以上の単語を知っていますか?」などの口汚い言葉だけが並ぶ。
        もちろん、それらの悪口を選ぶとそのNPCとの友好度が下がる。
    • ぶっ壊れたキャラクターのNPCがいる。
      • 空き巣
        シムの中に空き巣がいる。誰なのかは公然の秘密となっている。
        プレーヤーが空き巣の被害に遭うことがあるので、空き巣シムが自宅の近くにいる時間帯には自宅にいる方がよい。
      • あばれにわとり
        あばれにわとりに親を殺されたという設定のNPCがいて、刑事はあばれにわとりの捜査をしている。
        ゲームを進めると実際にマップ上に出現して、ぶつかると気絶させられることがある。
+ ネタバレ注意!
  • おじさん
    そもそも主人公はおじさんから夏休みに遊びの来ないかという手紙をもらって出かけたのだが…。
    • 唐突に「お前専用のシャワーを買え」と言い出す。「おじさんのシャワーで十分です」と言い返すと「ここはホテルじゃないんだ!」とキレられる。
      遊びに来いって誘ったのはお前だろ…「おばさんがあなたを捨てて出ていった理由がわかった気がします」と言いたくなる。
  • 図書館司書
    • 「図書館をオープンして欲しければ料理の勉強をして」
      「料理と図書館にどういう関係があるのですか?」
      「私は去年料理の本を出したのだけれども1冊も売れなかったの」
      「説明になっていません!」
  • ストーリーがぶっ飛んでいる
    • 本作のストーリーは奇人の言動によって唐突にもくひょうが発生する(上記ネタバレ部分参照)ため、先が読めない展開となっている。

問題点

  • ヒントが少ない
    • 町の人はヒントになるような噂話的なことを言わないため、もくひょうを達成する方法に気づきにくい。
    • このため町中をいろいろと探索する必要があるが、仕事をしないと生計を立てられないことや、欲求メーターの縛りもあり、探索に充てられる時間は限られてくる。
      • しかし、クリアまでに制限時間があるわけでもないので、気長に探しても問題はない。
  • 恋愛感情はシミュレートされていない
    • 『シムピープル』ではシムズ同士が恋愛状態におちいるという『ガンパレード・マーチ』のような要素があったのだが、本作では実装されていない。
  • 家を持っているシムはプレーヤーとおじさんだけである
    • 自分以外のシムを自分の家に同居させることは出来るが、プレーヤーが他のシムの家に転がり込むことはできないのが残念である。

総評

GBAでここまできっちりとしたシミュレーションが作り込めるとは思わなかったと感じざるを得ない力作。
欲求メーターや金銭的な制約で話を進め難いが、本作はどちらかというとアメリカンなカントリーライフをエンジョイする生活シミュレーションにADVが付いているようなものだと考えてまったり楽しむものなのだろう。
無難な和製ADVに飽きたなら、本作でエキセントリックな住民とイカれた生活をしてみてはいかがだろうか。


ザ・アーブズ シムズ・イン・ザ・シティ(GBA / DS)

【ざ あーぶず しむず いん ざ してぃ】

ジャンル シミュレーションアドベンチャー

対応機種 ゲームボーイアドバンス/ニンテンドーDS
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 Maxis, Griptonite Games
発売日 2004年12月2日
定価 4,800円(税5%込)
セーブデータ 2個
レーティング CERO:全年齢対象
判定 なし
ポイント PS2版/GC版とは内容が異なる

概要(ザ・アーブズ)

前作のGBA版『ザ・シムズ』から1年未満でリリースされた続編。
今回は舞台を都会に移している。
システムは順当にパワーアップし、グラフィックも改善されている。

ストーリー(ザ・アーブズ)

シムバレーから大都会ミニオポリス上京してきた主人公は、やっとありついたビルの窓拭きの仕事をビルの新オーナーによってクビにされてしまう…

  • 主人公は前作の主人公とは別人。
  • 前作の登場人物のうち、"刑事"、"空き巣"、"中年ライダー"、"医師"、"ライフセーバー"、"大富豪の浪費娘"、"元船長のレストランオーナー"、"不動産王"が本作にも引き続き登場している。
    • 前作の"ピザ職人"は会話もないモブキャラになってしまっている。
    • 厳密には前作の"空き巣"と本作の"空き巣"は別人。

システム(ザ・アーブズ)

前作の「欲求メーター」「もくひょう」などの基本的なシステムはそのまま引き継がれている。
ただし、本作のほうが「欲求メーター」が下がりやすく感じる。

  • アーブ
    • 前作までは登場人物らは"シム"と呼ばれていたが、本作では"アーブ"と呼ばれている。
    • キャラメイク時に前作ではプレーヤーが直接パラメータを割り振っていたが、本作ではアンケートによってシステムがパラメータを設定し、同時に所属グループと習得可能な所有スキル(Xizzle)も決定する。
  • グループ
    • 一部のアーブはグループに帰属している。
      • グループには「ストリート系」「アート系」「オタク系」「リッチ系」がある。ゲーム開始時点ではそれぞれのグループにNPCは3~4人づつ所属している。
      • グループに無所属なアーブは結構いるが、主人公は無所属にはなれない。
    • グループミッション
      それぞれのグループにはグループのゴールというミッションがある。
      • グループのゴールは当該のグループのメンバーたちとの友好度を高めた後にそのグループの長に話しかければスタートする。
  • Xizzle(所有スキル)
    • パラメータ系のスキルとは別に、固有名の付いた特殊な効果があるスキルが存在する。
      • 例えば、「特定の欲求メーターの下がり方を30%抑える」、「家賃を-75%する」、「買い物価格が-20%になる」などの効果を持つスキルがある。
    • 「ビーズ」というアイテムを集めて某所に持って行くと、Xizzleを有効化してくれる。
      • ただし、最初のキャラメイク時において習得できる所有スキルが決まってしまうため、それらの中からしか選べない。キャラメイク時には要確認である。
  • 料理レシピ
    • 食材を拾うことがあり、それらを組み合わせて料理を作れるようになった。
    • 「ミキサー」「オーブン」などのレシピに必要とされる調理器具を所有している必要がある。
    • レシピは20種類ほどある。拾える食材の種類は8種類しかなく、フルーツに偏っており、デザートのようなものしか作れない。
      • レシピはアーブとの会話で話題「りようり」を選択するとそのアーブオススメのレシピを教えてくれる。
        しかし、システム的にレシピを記憶してくれるメモ機能はない。
      • 攻略サイトなどでレシピの情報を知っていて十分な料理スキルがあれば、アーブからレシピを聞いていなくても調理に成功する。

GBA版とDS版の差異(ザ・アーブズ)

  • DS版にはGBA版にはない「スペシャルミッション」がある。
    • ストーリーの中で並行して進行する。スペシャルミッションの最初のミッションは、普通のミッションの1つ目をクリアできていない状態でもオープンできる。
      逆に、スペシャルミッションの最後のミッションはストーリー終了後に解禁される。
  • DS版にはフリーズバグがある
    • また、グループミッションに必要な「ゴミ」が途中から発生しなくなるバグがある。デモ行進イベントまでに100個集めておかないといけない。
    • GBA版にも画面が乱れる程度のバグが報告されているが、進行できなくなるほどの深刻なバグは知られていない。

評価点(ザ・アーブズ)

  • 他のアーブから情報を聞けるようになった。
    • 前作ではあまりにも投げっぱなしだったが、本作では情報を知っているアーブに聞けば教えてくれるようになった。
  • ミニゲームだけを遊べる
    • ゲーム開始画面のメニューから、本編で解禁済のミニゲームを遊べるようになった。
      もちろん、ここで得た報酬はその場限りである。
    • 解禁されているミニゲームであれば、解禁されていない難易度をもプレイできるため、出世するべきかどうかの判断材料となる。
  • 終わらなくなった
    • 前作では最終もくひょうを達成するとゲームが終了したが、本作ではすべてのミッションを終了してもプレイの続行が可能となった。

賛否両論点(ザ・アーブズ)

  • おかしな登場人物がやはりいる
    • 空き巣
      • またもや空き巣が出る。今作では家をアップグレードして防犯サービスを付けるという対策が取れる。
        …のだが、「セキュリティのスイッチが切れていました」ということがある…
    • 幽霊
      • 友好度も上げられるが、出現する時間帯が短いのと、幽霊が好む話題が少ないため友好度が上げにくい。
    • 耳が遠い老人
      • 話題を聞き間違って受け取るため、どういう話題を振ったら良いのか試行錯誤が大変である。
  • しかし、前作のおじさんを越えるキャラはおらず、おかげでストーリーも前作ほど理不尽ではなくなった。

問題点(ザ・アーブズ)

  • 日常会話が抽象的な選択肢となった
    • イベントの会話の選択肢は一般的なADVのように会話の内容が表示されるが、日常会話はランダムに選ばれた抽象的な話題から選択することとなった。
      • 話題の中に「けんちく」があるのだが、元は「Build」だったらしく、ジムのオーナーが「けんちく」の話題に食いついてくる。
      • 元"空き巣"の「テレビは見るより運ぶほうが多かった。テレビを見ても金にならないだろ」等の語録は必見。
      • 日常会話から前作のようなパンチの効いた悪口がなくなってしまった。
        ただし、メニュー画面の人物紹介は相変わらず辛辣かつあけすけである。
    • 逆にイベントでの会話は前作より壊れていて「逮捕してくれてありがとうございます!」「(刑務所に)6ヶ月もいれるんですか!やったー!」というイカれた選択肢しか選べない場面がある。
  • 難易度の上昇
    • 欲求メーターの減少速度が早くなった
      • このことにより、最序盤はなかなかミッションが進められないことから、人によっては面白くなるまでが長い。
      • 対策として最序盤から体力スキルを上げることに専念する必要がある。
        しかし、スキルが上がった時の達成感は前作以上である。
      • 本シリーズは、この欲求メーターのバカバカしさを楽しめるかどうかが鍵である。
    • 前作のおじさんの家に相当する施設がなくなった
      • 前作のおじさんの家はストーリー上は追い出されても実質は使い放題で「部屋(心地よさ)」も回復してくれる優良施設だった。
      • 今作では隠し要素で隠れ家を持つことが出来るものの、「部屋(心地よさ)」は回復されない。
        前作では芸術作品を「鑑賞する」と「楽しさ」が回復したが、本作では「部屋(心地よさ)」が回復するものがある。
    • 図書館がなくなった
      • 前作では図書館で無料でスキルレベルを上げることが出来たが、本作には図書館がない。
      • 代替として大学があるが幾つか問題がある。
        1) 授業料がかかる
         前作の図書館の利用は無料だった。
        2) レベルを上げられるのは「料理」「創作」「論理」「技術」だけである。
         前作では「魅力」や「体力」まで図書館でスキルアップできたのだが。
        3) 時間割が決まっている。
         このため、受けたい授業の時間帯にしかスキルアップ出来ない。ちなみに毎日同じ時間割である(含む日曜日)。
        4) ミニゲームをクリアする必要がある。
  • 仕事(ミニゲーム)の報酬が不安定
    • 前作では各ミニゲームで出世すると確実に報酬が増えたが、本作のミニゲームでは出世による難易度と報酬の上がり具合の釣り合いが取れておらず、出世したことによって逆に収入が減るミニゲームがある。
      • スキルレベルを上げないことで出世を抑えることが出来るが、スキルレベルは欲求メーターの下がり方を抑えたりミッションのクリア条件になっていたりするため悩ましい。

総評(ザ・アーブズ)

細密なシミュレーションであるのにそれ自体がギャグのような作品。
前作は内容もシステムも奇ゲーレベルで万人にはお薦め出来ない作品だったが、本作はカドが取れて丸くなっている。
是非、この馬鹿げた世界を堪能してもらいたい。


余談(ザ・アーブズ)

  • 翌月発売された同名のPS2/GC版『ザ・アーブズ シムズ・イン・ザ・シティ』はPS2/GC版『ザ・シムズ』の続編であり、本作とはストーリーが異なる。
  • 本作に登場した「刑事(保安官に転職)」「元"空き巣"」「中年ライダー」「ジムのオーナー(元ライフセーバー)」らは、DS『ザ・シムズ2 はちゃめちゃホテルライフ』にも登場する。
  • 本作に登場した「占い師のロア(マンボ・ロア)」はPSP『ザ・シムズ2 Dr.ドミニクの陰謀』にマンボという表記で登場する。「新聞記者」もPSP『Dr.ドミニクの陰謀』に登場する。
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  • シムズ
  • 2004年
  • シムシティ
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最終更新:2021年02月23日 13:35