NAtURAL DOCtRINE

【なちゅらる どくとりん】

ジャンル シミュレーションRPG



対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売元 角川ゲームス
開発元 KADOKAWA GAME STUDIO
発売日 2014年4月3日
価格 【PS4/PS3】7,538円
【PSV】6,458円
おもちだしパック:8,618円(全て税8%込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント プロデューサー「苦しみも含めての面白さ」
ゲーム性は雑で単調
キャラとストーリーも電波
最終盤まで誰か1人でも死ぬと即終了
まさにオークらしい展開である!



SRPGで紡ぐ、とある世界の童話_始まります。



概要

角川ゲームスが2013年に設立した社内開発スタジオである「KADOKAWA GAME STUDIO」の処女作*1
ディレクターは『エメラルドドラゴン』などのシナリオを担当し、近年では『ドラゴンボール』のデータカードダスのゲームデザインを務めた飯淳氏。
プロデューサー及び脚本は『艦隊これくしょん-艦これ-』のプロデューサー及び『劇場版艦これ』の脚本家でもある田中謙介氏。
キャラクターデザインはufotableが担当。エンディングテーマ曲にキング・クリムゾンの「The Court Of The Crimson King」が採用されている。
ファンタジー世界観によるシミュレーションRPGである。発売前から「高難易度」「苦しみも含めての面白さ」を売りにしていたゲームなのだが…。


あらすじ

護衛士・イフは、相棒のヴァシリーと共に、若い女性リーダー・アンカが率いる坑道開拓団を護衛し、亜人種の蠢く鉱山坑道を切り拓いていく。亜人種や多種族と戦い、その戦いから得られる貴重な資源で城塞都市を守る。そして、いつかはその功績で、上級市民になる・・・それが、この若者の夢。正しい未来だった。

しかし、その日は何かが違った。そして始まる淘汰。

全ての所属が巻き込まれていく、それは大いなる自然のドクトリン(原則)。イフを取り巻く世界は、その姿を大きく変えていく。


ゲームシステム

  • 難易度設定はイージー、ノーマル、ハードとあり、いつでもオプションから変更が可能。
    • ノーマルやハードを選ぶ事によって解放される要素や特典は一切存在しない。
  • 行動順は「イニシアチブ」と称され、自軍と敵軍で回しあう。このイニシアチブを敵から出来る限り奪いながら、こちらの強力なユニットに行動順を渡すことが戦術的に重要となる。
    • 味方同士でイニシアチブを繋げれば「連携」になる。また、行動済みユニットを連携に参加させることで追加行動が出来る。
  • 銃が特別強いシステム。遠距離攻撃可能、盾防御されない、銃以外から反撃を食らわない、攻撃範囲が広く連携に参加させやすい、攻撃力も高いと至れり尽くせり。
    • 銃は射線内に味方がいるとフレンドリーファイアが発生するデメリットがあるが、そこまで問題にもならない。ただし、後述するが敵はフレンドリーファイアを行わないため、敵の銃使いも優遇されている。
    • 近距離攻撃は弱い上に問題点(後述)も大きい。
  • 魔法や一部のスキルの使用にレアメタル「プルトン」が必要となる。
  • 終盤までは「味方が誰か1人でもHPが0になったらゲームオーバー」もしくは「その時点では敵対してるけど後で仲間に加わるキャラ」も殺すとゲームオーバーになる。
    • 「離脱した仲間の姉」「洗脳されてるらしい天才幼女」は殺さない理由がわからなくもないのだが、「当初は差別主義者にしか見えない幹部」も何故か倒してはいけない。
    • 最後の仲間が加わって実質ラストダンジョンへ突入する際になってようやく「キャラの死亡」とその際のイベントシーンが解禁される。またこの時のキャラ死亡セリフは生き残ったキャラが悲しみのセリフを残したりするなど異様に凝っている。
  • ステージをクリアするとランクが表示される。
    • が、このランクはエンディングで表示されるなどの評価がない上、高ランクを取っても特にメリットはないと、存在意義が謎。
    • 実質ただ移動するだけのマップにまでランクが存在しており、ますます存在意義が不明。

問題点(システム・ゲームバランス面)

  • 「理不尽」「調整不足」によって織りなされる高難易度
    • 本作は高難易度を売りにしているが、その実態はユーザーを苦しませる為の意地悪な仕様と調整不足によるものである。
    • 最終盤まで「誰か一人でも死ぬとゲームオーバー」というルールなので、できる限り耐久力が高いキャラ*2を前面に出して後方から銃撃することが最も有効な戦術となる。
      • 最も有効と言えば聞こえは良いが、これ以外の戦術は十中八九、数の暴力で味方ユニットが殺されて即ゲームオーバー。高難易度になればなるほどこの傾向は当然強くなる。
    • 優秀な銃使いの「タチアナ」や、最強の盾役の「鉄機アイゼン」と彼を操るゴーレムマスター「メル」が仲間に加わった後は楽になるが、同時に単調なゲーム性になる。
    • チュートリアルが用意されているが説明不足。行動が終わった仲間を連携に参加させて再行動させる重要な応用戦術など殆ど説明しない。
    • 射撃や一部魔法においては攻撃範囲に味方がいると巻き込んで誤射して同士討ちすることもあるが、敵は誤射による同士討ちを行わず的確に自軍のみにダメージを与えてくる味方にのみ不利な仕様。
    • 「連携」が非常に強いゲームだが、 圧倒的に敵の方が数が多いため理不尽に苦戦を強いられる。 こちらは3人連携もままならないのに敵は4人5人からの連携でこちらを一瞬で戦闘不能にして即ゲームオーバーに追い込まれてしまう事が多々ある。
      • この様なゲーム性なのに、ある序盤の時期に至っては自軍は3人で敵軍を捌かなければならない。加えて汎用キャラクターを仲間に加えるなどの対抗措置もない。
    • 序盤は戦力不足で苦しいが、戦力が揃ってきた中盤以降は単調なゲームバランス」の典型的なSRPGといえる。
  • 銃の強さの裏返しで、近接戦闘しか出来ないキャラはどうしても弱キャラ扱いとなる。ただ弱いだけなら現実でもそうと言えるし、他のSRPG・SLGでもよくあることなのだが、どうにもバランスの調整不足に思える。
    • 近接戦闘でマス内の敵を倒した場合、勝手に1マス前に進む。「数こそが力・敵大幅有利」のこのゲームの性質上、近接ユニットは後ろにいる敵から集中砲火を浴びて死んでしまいやすい。更に敵は終盤までこのデメリットがないので、実質近接封じとなっている。
  • 難易度設定があるものの、戦術的には変わり映えのしようがなく、難易度を上げると高難易度を楽しむというより理不尽さが目立つので、イージーでのプレイを推奨されがち。SRPGとしてどうなのか?と言わざるを得ない。
    • 全体的に作り込みが甘いので、難易度選択を付ける余裕があるのなら、少しでもバランス調整を行った方が良かったはず。
  • 前述の通り、途中まで味方・一部敵ユニットがやられると即ゲームオーバーと言うのは異常な設計である。
    • 他のSRPGでもよく見かける敗北条件だが、普通は極一部の登場人物やマップに限った話で、こんなストレスばかりが溜まる設計は尋常ではない。
    • 仮に死亡時の分岐を作る余裕が無かっただけなら、「負傷して撤退した」など倒しても死にはしない(ゲームオーバーにしない)という風に作れば良かっただけである。こうしたところで、本作においてはゲーム性がさほど変わるわけではない。
  • これらのようにユーザーを苦しませるための仕様が多いのだが…他の「高難度で苦しみも含めて面白いゲーム」にある「調整された難しさ」「何度もプレイすれば別の攻略法が見える」「苦しみからの解放」などの「面白さ」は本作では味わいづらく、「苦しみ」ばかり目立つ。
    • 更に言うと苦しませるだけでしかない要素やバランス調整の放棄など、苦しみの方向性も迷子になっている。
  • バグの存在
    • あるマップである味方キャラが最初に動ける状態だとフリーズする。
    • NPCを逃がすマップで全員生き残らせるとバグる。必ず誰か1人NPCを殺さなければならない。
    • とあるキャラがストーリー展開上で死ぬマップにおいて脱出前に敵を全滅させると「透明な何者か」が現れてイベントを無理やり進める。その後にフリーズする。
      • この3つに関しては「スタッフの想定外の事をやるとフリーズ」という共通点がある。再現性ばっちしで条件も試してみたくなるものばかりなので、デバッグがロクにされていないことが窺える。
    • 水たまりがあるステージで近接攻撃しようとするとターゲッティング出来ないことがある。
    • スイッチがあるマップでキャラがスイッチにはまって移動不可能になることがある。
  • 攻撃する時のテンポが悪い。
    • 特に剣などの近接戦闘などで顕著。これも銃ばかり使いたくなる原因の一つである。
  • UIが非常にごちゃごちゃしてわかりにくい。
    • 「新作SRPGを待ち望んでいた根っからのマニアや、システムが変態じみてるごちゃごちゃしていることで有名なスティングのSRPGが好きだった層ですら、本作のスクリーンショットを見ただけでスルーを決めた人が多い」と言えば分かりやすいだろう。
  • マルチプラットフォームだがグラフィックはPS3・PSVita相当でありPS4で遊ぶメリットがあまり感じられない。
  • 2周目でヒロイン(?)「ヴァシリー」の追加イベントが存在するが、追加要素はそれだけ。
    • それ以外ではレベルもアイテムも引き継ぎ不可能。好きなキャラで無双するといった楽しみはない。
    • 1周目で途中離脱するキャラは2周目でも同じタイミングで離脱するため、ゲームシステム的には1周目とほぼ一緒。
    • 3周目以降はそもそも存在しない。2周目をクリアしてもセーブデータを引き継ぐことは不可能。

問題点(シナリオ・キャラクター面)

  • キャラとストーリーが電波過ぎる
    • 世界観は非常に凝っているのだが、ストーリー展開は「電波」そのもの。
      • よくわからないままゴブリン・オーク・スケルトン・リザードマンと各方面に喧嘩を売って、よくわからないまま城塞都市フェスタから追い出され、よくわからないまま暴れだした害虫「グリオン」と戦うこととなる。
      • よくわからないままと書いたが、本当に伏線も説明も一切無いまま戦わされるので、プレイヤーは置いてきぼりになって当然である。『エルヴァンディアストーリー』などと同様、プレイヤーに理解させる気が一切無い。
    • ただ、世界観は練り込まれている。要するに見せ方、演出が最低レベルなのである。
      • 人類に有毒だが有用な鉱物「プルトン」をゴブリンやスケルトンの坑夫が掘っている。そのゴブリンを一方的に狩る人類。元は人間ではないかと匂わされる設定もあって他種族が可哀想に見えてくる。
      • 亜種族の設定がやたら凝っているゲームだが、仲間になるキャラ11人(死亡離脱キャラ含む)の内、人外なのはゴーレムの「鉄機アイゼン」と竜人の「ゴモリー」のみ。そのアイゼンはゴーレムマスター「メル」の操るゴーレムなので、実質人外で仲間に加わるのはゴモリーのみと言ってもよい。
      • 人間国家は城塞都市フェステのみ。他の村や町、他の人間国家同士の政治などは実質存在せず、世界が非常に狭く感じる。
      • 「当初は敵対していたが仲間に加わる」というSRPGでよくあるキャラである3人(メル・エルネスティーネ・インゴベルト)の加入イベントがどれもが超展開。詳しくはキャラクターの欄で。
  • 最後の仲間キャラが加入した後に、キャラの死亡が解禁される。それまでは「誰か一人が戦闘不能になったらゲームオーバー」だったが、ここからは「キャラが死んでもゲーム自体は続行する」事になる。
    • だが、死亡時の台詞を聞かなければわからない設定や人間関係が非常に多い。
    • 本編では殆ど絡まないメルとタチアナが裏では仲良しであったこと、インゴベルトとメルが実の父娘であったこと、タチアナが恋をしたかった、エルナとヴァシリーの実家がパン屋だったなど。
    • 中盤敵対していたインゴベルトだが、仲間の死亡には心底悲しんでいる姿も見られる。
    • なお、キャラ死亡が解禁された後は、ストーリー上のやり取りが一切なくなる。キャラの生死フラグ管理が面倒臭かったのだろうか。
    • この死亡セリフは「特定のキャラが生き残ってる場合」「最初に死んだ場合」「最後の一人になって死亡した場合」などバリエーションが豊富でスタッフも力を入れていることが分かる。
      • つまり最後の仲間加入後からはエンディングまで淡々と害虫駆除か、途中でキャラロストさせてイベントを見るかの異常な二択である*3
      • そもそも「連携の手数が大事」「仲間に加わるキャラは固定メンバーのみ」というキャラロストが非常に痛いゲーム設計なので、感情面を抜きに考えても噛み合っているとは言い難い構成である。製作スタッフは何を考えてこんな作りにしたのだろうか。
      • 死んだキャラの蘇生手段は存在しない。リセットしてやり直すしかない。
+ 本作のキャラクターについての詳細。ネタバレ注意
  • イフ(CV:井上剛)
    • 本作の主人公。
      • 近接格闘も銃も使えるが、このゲームでは銃が強いため普通にプレイしていればまず銃使いとして育てるであろう。他のキャラに比べてスキルポイントの伸びが良いため戦闘力は非常に優秀。
    • ストーリー面では非常に空気。中盤でフェステの敵幹部として敵対するインゴベルト・エルネスティーネ・メルがイフの師匠であるジークリンデばかり意識している事も大きい。
      • 後述のヴァシリーが食い殺された現場に居たにもかかわらず、終わった後に「俺があの場にいれば!」とか言い出す。
      • キャラ死亡が解禁された後の仲間が死亡したときの台詞では「こんな世界に守る価値なんてあるのか!?」「俺はあいつ(ヴァシリー)が死んだ後ひたすら戦い続けた」などと言い出す。
    • 1周目の後日談ではアンカとくっつくが、2周目でヴァシリーが唐突に復活する展開ではヴァシリーとくっつく。
  • ヴァシリー(CV:佐倉綾音)
    • イフのパートナーである女剣士。序盤でストーリー上の展開で雑に殺される。
      • 銃ゲーである本作では銃を使えない弱キャラだが、序盤の戦力不足の時はそれなりに役立つ。
      • 砕けた性格を通り越してヒステリー気味。イフにも八つ当たり気味、アンカには嫉妬丸出し、ネブラはヘタレとバカにするなど「ウザい」シーンばかりである。
    • イフに「あんたのせいだからね!」と逆切れしてる所で背後に現れたグリオンに捕食され、迫真の悲鳴をあげながら「ぶうぇ…」と最後の遺言を残す。
      • その後は姉のエルネスティーネ以外からほとんど話題にも上がらなくなる。
    • 2周目ではイベントが多少追加される。
      • 1周目で捕食されていたイベントが地味に変更され、生存を匂わせる演出になっている。
      • そして、ラスボスを倒すと彼女が吐き出されて復活、その後イフとくっつく。
      • なお、2周目でも彼女の強制離脱イベントは据え置きなのでゲームバランスはほとんど変わらない。
      • 一応、2周目で唐突に「無銘の指輪」なるアイテムを最初からなぜか装備しているが性能がいいわけではない。
      • ヴァシリー離脱後に形見として手に入る「ヴァシリーの指輪」は吹き飛び無効効果がつくがゲームバランスを大きく変えるものではない。
  • アンカ(CV:村井理沙子)
    • 坑道開拓旅団代表を務める女性。ヴァシリーが復活しない場合は後日談でイフとくっつくが伏線は特にない。
    • ストーリー在中期間が長く銃を使えるため役に立つ。銃使いの中では火力が低めだがバフスキルの「策」が強い。
    • パーティ屈指の常識人であり本作のパーティキャラでは突っ込みどころは少ない。
  • ジークリンデ(CV:川原慶久)
    • 「ジーク」という愛称で呼ばれるタンカー。イフとヴァシリーの剣の師匠であり賢者インゴベルトとは因縁(喧嘩した)がある。
      • 役割的には頼りになるタンカーのはずだが銃ゲーである本作では弱キャラ。重要な防御スキルである「盾防御」を持たない(イフはレベル1から持つ)ため盾役としても不十分。ダメージ量で経験値が増えるため火力の低い彼は育てにくい。育てれば強力なバフスキルも覚えるが、それ以上の最大の強みはイフにイニシアチプを渡すこと。
    • 弱いくせにストーリー的にはイフのお株を奪う扱い。特に城塞国家フェステの追っ手組であるインゴベルト・エルナ・メルがみんなジークばかり意識している。
      • 古竜プルトニールや伝家の宝刀クラマなど強力な武器を装備すれば強くなる。なお伝家の宝刀クラマは、後述のエルナを峰打ちで止める際に何の伏線もなく唐突に引き抜く。プレイした人の大多数が「最初から使えよ」と思ったであろう。
  • ネブラ(CV:山下誠一郎)
    • 賢者を夢見る魔法使い。秘密を知る彼を匿ったことでイフ達はフェステから追われる身となる。ヘタレ気味な言動が目立ち、「~である」という口調を使う。
      • 貴重な魔法使いでありプルトンを使った魔術を用いる。プルトンも序盤はカツカツだが後半になるほど余り気味になる。睡眠魔法「ゆりかご」などの補助魔法も使える。しかしインゴベルトとの魔導士同士の決戦では魔法を使わず杖で殴り合う光景になることも少なくない。ストーリー後半で帽子を被ってドルイドにクラスチェンジする。
    • オークから理不尽な襲撃を受けた時、オークに約束を理不尽に反故にされたときで合計2度も「まさにオークらしい展開である!」と叫ぶ。
  • タチアナ(CV:洲崎綾)
    • ボーイッシュな戦争孤児。一人称は「僕」であり仲間には「~っち」をつける(例:「イフっち」「ネブラっち」など)
      • 銃の扱いに長けているキャラであり銃ゲーである本作ではイフと並ぶ火力を誇る。
    • オーク王アスランに育てられた「もののけ姫」であること、実の両親がスケルトンになってしまっていることなどキャラ掘り下げは多いのだが、どうにも唐突な展開に感じられる。
  • メル(CV:日高里菜)&鉄機アイゼン
    • 幼い少女だが天才ゴーレムマスター。他人やゴーレムの名前には「~たん」をつける(例:「インゴベルトたん」「ジークリンデたん」「シュタインたん」「アイゼンたん」など)
      • 加入時の超展開、鉄機アイゼンの性能など本作をあらゆる意味で象徴しているキャラ。
    • 当初はゴーレム「シュタイン」を操る。扶養者(実は父親)であるインゴベルトやヴァシリーの姉エルナと共にジーク一味を追う敵として登場。
      • 仲間になった後はゴーレム「鉄機アイゼン」を操る。メル自身は弱いが一応彼女も銃は装備可能なので援護に参加しやすい。また「鉄機アイゼン」を操ったり修理したり出来る。
      • この「鉄機アイゼン」が状態異常無効かつパーティ最大の耐久力を誇るため、アイゼンを盾にしながらイフやタチアナらが銃撃していく事となる。同時にアイゼンが加入して難易度は下がり単調なゲーム性になっていくが、アイゼンがいないと一瞬でキャラが殺されてゲームオーバーになりかねないため必然的に彼を盾にして進んでいく事となるであろう。
    • だが彼女が語り草になっているのは鉄機アイゼンに乗り換えてイフ達の仲間になる加入イベントであろう。以下、メルの加入イベントの詳細である。
      • イフ達が偶然見つけたゴーレム「アイゼン」に対しコケにするようなセリフを吐いた後にアイゼンとシュタインの「一騎討ち」をけしかける(なお実際の戦闘ではメルも含めた他のキャラも戦闘に参加するため一騎討ちにはならない)。
      • イフ達に助力するアイゼンによってシュタインが破壊された後、泣き喚いてから「この野郎、よくもやってくれたな!コロス……!」とイフ達に憎しみを一瞬向ける…のだが、即座に「え?どういうこと?」と言い出してシュタインを破壊したアイゼンを見て態度を一変。さっきまでアイゼンを散々コケにしてたのに「アイゼンたんを連れてきてくれてありがとですぅ」と言ってシュタインを破壊された憎しみなど忘れて仲間になる。
      • ちなみにメル&シュタイン戦と同時並行でメルが洗脳されてる事をネブラが看過しているのだが、その横でタチアナが「ネブラっち」と呼んでネブラが拒絶するみたいな茶番が行われていたりする。
    • 一応「メルが操る本来のゴーレムはアイゼンの方」「シュタインはインゴベルトがメルを洗脳して手駒にするために作った装置」である設定もあるのだが、インゴベルトとメルは終盤の死亡会話や後日談からすると実の父娘であることが発覚する。しかもインゴベルトには娘への愛情がなかったわけではないらしいので何故インゴベルトが彼女を洗脳しなければならなかったのか謎が残る。
      • ちなみにキャラを誰も死なせず後日談を迎えると、メルが唐突にインゴベルトを「お父様」と呼ぶため最後までクリアした強者でも最後まで彼女に面食らう事になったかもしれない。
      • 後日談では彼女が生きてる場合は何故かメルの語り口で茶化されながらその後の生存者達の様子が語られる。
  • エルネスティーネ(CV:藤村歩)
    • 愛称は「エルナ」で、ヴァシリーの姉(緑髪になった2Pヴァシリー)。当初は「自分の反対を押し切ってヴァシリーを連れ出し見殺しにした」とイフとジークを恨む。正論である。
      • ジークにツンデレであり「そこをどけッ!」と言いながらあらぬ方向に走り出してステージクリア表記が出る。インゴベルトが出てきたときに「あ♡」とハートマークを付けたりする。唐突にジークが引き抜いた伝家の宝刀クラマで峰打ち*4の後に保護され、ジークに対して恋愛脳を発揮して仲間に加わる。
      • ジーク生存時に彼女が死亡すると「パン屋の娘」だった彼女をジークが野盗から救った馴れ初めが語られる。当然普通にプレイしていたらそんなことは知らないままであろう。
      • 性能はヴァシリーそのもの。だが戦力不足の序盤なら使いどころもあった妹に比べて、エルナが加入したころにはもう既に最強のタンカーであるアイゼンが居る。
  • ゴモリー(CV:井口裕香)
    • 謎めいた龍人族の妖艶な女性。様々な多種族が存在する本作では実質、唯一人類ではないプレイヤーキャラクター。
      • アイゼンに次ぐ耐久力を誇りサブ囮やアイゼン・メルが最終盤で仮に死亡した後の補欠としても使える。だが加入時期が遅すぎてどうにも使いにくさが目立つ。シナリオ上でも終盤のポッと出であるため印象が薄い。
      • 攻撃する前にランダム要素の「踊り」があるが、この効果の中には全ダメージが10倍になるという強力無比なものもある。SRPGであるにもかかわらず「運ゲー」要素とも取れる特殊能力であろう。
  • インゴベルト(CV:東地宏樹)
    • 城塞都市・フェステの元老院議員である魔法使い。中盤以降フェステをいつの間にか追い出されたジークリンデとの痴話喧嘩を繰り広げエルネスティーネやメルをけしかけてくるが、終盤唐突にフェステをグリオンが襲ったためジーク達と共にグリオンを駆除すべくいつの間にか仲間になる。
      • 敵対していた時期から彼を倒したらゲームオーバーになる。エルナのように殺さない理由も特にないのに何故?
      • 当初は差別主義者的な印象を与えてやや嫌味っぽい。だが仲間になる直前に部下の安否を気遣っていたりする。キャラ死亡時に送る台詞では東地氏の名演もあって心底悲しむ姿が見れる。「実はいい人」枠なのかもしれない。
      • ちなみに死亡時の台詞にはジークに対して「あなたが好きだった」と直球の台詞がある。やっぱ好きだったんですね。
    • ネブラに次いで仲間になる魔法系キャラだが、取得出来る魔法は攻撃に寄っているためネブラのようなサポートには向いていない。かといって火力も銃使いが習得する「魔力の弾丸」に劣る。

評価点

  • クロスセーブに対応
    • 本作はPS4/PS3/PSVのマルチプラットフォームだが、ハードが変わってもセーブを共有することも可能。自宅ではPS4/PS3で進め、外ではPSVでプレイする事も出来る。
    • このことを意識して、PS4版パッケージ版にPSV版のダウンロードプロダクトコードを付属させた「おもちだしパック」も販売している。
  • キャラクターが全員フルボイス。
  • 弱いキャラでも連携に参加させて行動済みキャラの攻撃を復活させられるため、使い道が全くないわけではない。
    • NPCが有能。連携ゲーなので手数が増えることが大きい。
    • 裏を返すと、剣しか使えないジークよりも銃を使えるモブ兵士の方が有能という事なのだが。
  • こういった系統のゲームの例に違わずBGMは良い。『クライムクラッカーズ』シリーズや、『天誅』シリーズなどの作曲を手掛けた朝倉紀行氏*5の曲は重厚感がある。

総評

「高難易度」「苦しみを含めた面白さ」の売りの通り、本作の意地悪な仕様は「ある意味では」事前告知通りのゲーム内容とは言える。
しかし実のところは、数々の理不尽なだけの仕様・ストレスの溜まる作り・デバッグがまともになされていない・戦術性に乏しいゲーム設計等が目立つ。
その為、「全てのSRPGユーザーに送る」「苦しみを含めた "面白さ"」という事前告知に違えるゲーム内容としか言いようがない。

ゲームシステム・設計以上にシナリオの「怪作」っぷりも際立っている。
ヴァシリーの確定死亡、シュタインを打ち捨ててアイゼンに乗り換えるようにしか見えないメルの加入、そして異様に凝っている最終盤での「キャラ死亡時の台詞」など悪趣味っぷりが存分に発揮される。
にも拘らず、ストーリーはただ目の前の敵とよくわからないまま戦っていくだけのものになっている。

余りに人を選ぶため、発売後も殆ど話題にならずに空気化していったゲームであり、3プラットフォーム合計で5万本の売り上げにとどまっている。


余談

  • 本作はマルチプレイに対応しており、そちらでは本編では仲間にならなかったゴブリンやオーク、スケルトンやリザードマンなど他種族も使用出来る。
    • しかし2022年現在では一緒にプレイしてくれる人を探すことも難しい。
  • プログラマーの一人としてPCE版『イースI・II』などで有名な岩崎啓眞氏が関わっている。
  • 2014年に発売されたゲーム且つ発売元が存続しているにもかかわらず、一時期(2016年あたり)は公式サイトがドメイン切れで消失していた上に代替サイトすら用意されていなかった。
    • その後復活したのか、2022年現在は閲覧可能。
  • YouTubeやニコニコ動画にて「PS4クリエイターインタビュー」の動画にて本作のプロデューサーが本作への熱い思い入れを語っている。また「苦しみも含めての面白さ」についてもこのインタビューが初出。
    + すべてのPSユーザーのためのSRPGとはいったい?(動画紹介より)
  • なお1つ付け加えておくと「PS4クリエイターインタビュー」シリーズは本作に限らず、『サイコブレイク』の三上真司氏や『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』の小島秀夫氏など多数のゲームクリエイターを呼んでインタビュー動画を公開している。本作もその一環としてプロデューサーのインタビュー動画が公開されたのであろう。
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最終更新:2023年10月29日 09:55

*1 2011年から株式会社C2プレパラート設立の同時期から開発が行われていた。

*2 盾防御を持つ「イフ」や「ヴァシリー」に加え、耐久力が自軍で最硬かつ状態異常無効の「鉄機アイゼン」が挙げられる。

*3 補足すると、他ゲームでもキャラロスト時にちょっとした裏設定が判明する場合は多いのだが、普通はこんなに極端な構成ではない。しかもここを詳細に描写するためか、通常イベントが犠牲になっている感がある。

*4 傍から見ると頭から血を出して死にかけてるようにしか見えない。

*5 『SIREN』で多くのプレイヤーの度肝を抜いた「THE BUSTER」のボーカル「Alpha Eastman」の正体でもある。