Divinity: Original Sin Enhanced Edition

【でぃう゛ぃにてぃ おりじなる しん えんはんすど えでぃしょん】

ジャンル RPG
対応機種 Windows XP SP3,higher以降
OS X
Linux
プレイステーション4
XboxOne
開発元
発売元【Win(海外)】
Larian Studios
発売元(家庭用) 【PS4/One (海外)】Focus Home Interactive
【PS4 (国内)】スパイク・チュンソフト
発売日 海外:2015年10月27日
国内:2016年4月14日
定価 7,500円(税別)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:Z(18才以上対象)
判定 スルメゲー


概要

傑作RPG『Ultima VII』『Diablo』『Baldur's Gate』の流れを汲んだエピックな作風のRPGにしてシリーズの祖、『Divine Divinity』。
ドラゴンへの変身とスタイリッシュな戦闘が売りの箱庭系アクションRPGとして生まれ変わった本編2作目『Divinity II: Ego Draconis』*1
そして、Kickstarter上で集めた資金を基に制作された本編3作目『Divinity: Original Sin』は、パーティメイク&ターンアクティブ制バトルの古典的RPGへと回帰。
2014年7月1日に海外で発売されると、150以上のメディアアワードを受賞するという高評価を得た。

本作はオリジナル版である『Divinity: Original Sin』に追加要素を加えた完全版であり、スパイク・チュンソフトによって日本語字幕対応がなされている。吹替は無し。
"ソース"と呼ばれる未知のエネルギーと、それを悪用する"ソーサラー"の排除を目的とする2人の"ソースハンター"の旅路を描く。

本稿の内容に関してもスパイク・チュンソフト販売のPS4専用ソフト『ディヴィニティ オリジナル・シン エンハンスド・エディション』を元に記述する。
なお、前々作や前作の知識が無くともプレイに支障は無い。


ストーリー

小さな罪はやがて大きく膨らみ――

2人のソースハンターが、とある殺人事件を解決するために港町サイシールを訪れた。殺人事件の被害者は町会議員。
これだけならソースハンターが関わる必要は無い。しかし依頼主は、犯人が"ソース"の力を使ったのではないかと疑っていた。

主人公たちは犯人探しに協力することを誓うが、この小さな港町は色々な問題を抱えていた。
街は死霊に囲まれ、オークに襲撃され、怪物の駆除へ向かった兵士は誰一人として帰ってこなかった。

主人公たちは、サイシール周辺で怪物退治や犯人探しを続けていくに連れて、事件の真相に強大な存在が絡んでいることに気付く。
幾重にも絡まる謎を紐解いていくと、驚くべき真実が待ち受けていた…


特徴

ファンタジーとしての作風

舞台は「リヴェロン」と呼ばれるファンタジー世界。プレイヤーはソースハンターの2人になり切って冒険する。
本シリーズのファンタジー要素には、『The Elder Scrollsシリーズ』や『Dragon Ageシリーズ』のような所謂「リアル系ファンタジー」要素だけでなく、
動物やモノが喋るディズニー映画のような演出や、プレイヤー自身に向けたメタ表現が登場する「コミック系ファンタジー」要素も含まれている。
人物の造形がリアル寄りな一方で、オークやアンデッドといった敵の造形はどちらかというとポップなデザインが多い。
パッケージ画像や公式サイトを軽く見た程度ではそういった作風が見えてこないため、純粋な「リアル系ファンタジー」を期待していると面食らうかもしれない。

自分に火が引火しても軽口を叩いたり、ただのロープをシステムのせいで超えられないことを嘆いたりと細部は笑える点も多いが、
メインストーリーに関わる展開はかなりシリアス。CERO:Zがついている通り「表現」自体も基本的に生々しいものが多く、
圧死した敵の死体や拷問・虐殺現場などはそれなりにグロテスク。直接的なものは無いが、軽い性表現やブラックジョークも含まれている。
色んな意味で酸いも甘いもひっくるめた作風は、本シリーズの特徴であり魅力でもあると言える。
ちなみにスパイク・チュンソフト公式サイトによると、ローカライズにあたって表現・内容に修正などは一切していないとのこと。


キャラクタービルドと育成

プレイヤーはまず、自身の分身となる主人公キャラクター2人を作成する。見た目のカスタマイズ要素は割とシンプル。
キャラクターの造形はいかにも洋ゲーといったものだが、キャラクターがアップになったりすることはほぼ無いのでそれほど気にはならないはず。
むしろ重要なのはキャラクターの性能で、「職業」「能力値」「スキル」「才能」の4系統が存在し、それぞれ多種多様なものが用意されている。
職業は成長過程でキャラクターの自由な育成を阻害することは無いので、例えば当初は戦士として作ったキャラを魔法使いに育て上げることも可能。
もちろん戦士&魔法使いのハイブリッドとして育てることも可能。あくまでプリセットとして用意されているだけで、「とりあえずやってみる」際の選択肢に過ぎない。

キャラクターは戦闘やクエスト完了時の経験値に基づいてレベルアップし、育成に必要なポイントが割り当てられる。
これをプレイヤーの好みで割り振って各キャラクターを育成する。育成は主人公2人だけでなく、仲間を含めて全員分することができる。
キャラクターのレベルアップにかかる時間は長め。最大レベルは25で、大抵はレベル20~22ほどでエンディングに到達する。

また、主人公2人のみ「性格」の要素が存在する。道中の様々な場所での選択肢や行動によって決定され、その内容によってスキルボーナスがつく。
例えば現実的な選択をしていれば製作スキルが上昇し、逆に空想的な選択をすれば幸運スキルが上昇する。
性格は最初のキャラクター作成時に固定することもできる。主人公2人の行動方針が対立すると、後述の説得ゲームが発生することがある。


基本的なゲームシステム

基本操作画面は『Diablo』と同じクォータービュー形式で、これは非戦闘時も戦闘時も同様。
戦闘用マップが別に用意されているタイプではなく、敵とエンカウントすると戦闘へシームレスに移行する。
パーティは当初は2人だが、仲間を加えれば最大4人で行動可能。主人公2人の両方が死亡するとゲームオーバーとなる。
4人を2:2、1:3に分けてそれぞれ操作することもでき、ダンジョンにおける謎解きでは主にこの分割行動が鍵となる。

下部に設置されたホットバーは任意のアイテム・スキル・特定の行動などを登録することができる。
特に戦闘時によく使うスキルや爆弾・特殊矢といったアイテムはこのホットバーに登録するのが基本となる。
スキルは戦闘時だけでなく、非戦闘時も使用することが出来る。道中の仕掛けや罠を解除したりするのに役立つ。

基本的に人々との会話でクエストが発生し、それをこなすのがゲームの大まかな流れとなる。
サイドクエストはやってもやらなくてもどちらでも良いが、メインクエストの道中に即して進行していくものが多く、
取り立ててこなそうと思わなくても自然に進むことが多い。ただし、あくまでメインクエストのみが本幹となるクエストラインであり、
メインストーリーそっちのけで浸れるような大型のサイドクエストは無い。プレイヤーの自由な設定でロールプレイにとことん浸るタイプのゲームでは無い。


戦闘システム

本作は固定エンカウント方式であり、敵との戦闘発生箇所と戦闘回数は限られている。ランダムエンカウントで経験値稼ぎといったことはできない*2
そのため、(特に序盤は)現在の自分のレベルに合った敵が配置されている場所から攻略していくのが基本的な戦略となる。
もちろん、腕試しをしたいなら敢えて高レベル地帯から攻略していっても良い。中盤に差し掛かるとほぼ自由に攻略ルートを採れるようになる。

戦闘は各自に定められたAP(アクティブポイント)を消費して行動するターン制バトル。戦闘中は通常攻撃・スキル使用・アイテム使用・移動などでAPを消費する。
ヘックスやスクエアといったグリッドを廃したフリー移動制で、評価点にて後述する環境連鎖要素が大きな特徴。


説得ゲーム

NPCとの会話や主人公2人の会話で意見が対立した際に、説得ゲームが発生することがある。内容は単純なジャンケンで、先に10ポイント分勝った方に軍配が上がる。
NPCに勝てば、新たなクエストクリア方法が開拓されたり戦闘を回避したりすることができる。
主人公2人の間で発生する説得ゲームは、1人プレイだとあまり意味は無いが、マルチプレイではお互いの意見を通すためのミニゲームとなる。
説得ゲームは一部のスキルの影響を受けるほか、その結果が主人公2人の性格を反映したりする。
最初のキャラクタービルドで性格を固定しておけば、その性格に則って主人公2人の会話が進むため、方針が重なるか対立するかは状況により変化する。



評価点

プレイヤーの柔軟な発想を活かせるゲームデザイン

  • 目的を達成するための手段が幾つも用意されており、プレイヤーの発想をそのまま落とし込める。
    • 本作にはクエストマーカーが存在しない。よって、目的の達成のためにはクエストログに記録されるヒントや会話を元にプレイヤー自身で試行錯誤する必要がある。
    • 正解となる方法は無く、その選択肢は非常に幅広い。例えば鍵のかかった宝箱を開けるには、ピッキングしようが無理矢理壊そうが周囲のNPCを殺して鍵を奪おうが取りあえず持ち運ぼうがプレイヤーの自由。
    • 周囲の目があってピッキングしにくいなら、仲間の一人が話し掛けて視線を逸らせば良く、耐久値が高くて壊せないならその辺の油樽を用いて爆発炎上させたり、宝箱ごと地雷地帯に放り込めば良い。
  • こういった多様な方法で目的を達成できるゲームデザインは、戦闘における戦略・戦術の多様性にも直結している。
    • 例えば敵の数が多くて倒せないなら、全員に召喚魔法を覚えさせて逆に数で優位に立ったり、魅了して一時的に仲間にしたり、透明化して爆弾で奇襲したり、遠距離からこっそりテレポートで1人ずつ自陣に移動させてタコ殴りにしたり、戦闘に入ったらひたすら逃げて味方の兵士がいる場所に誘い出して助太刀してもらったり、取り敢えずルートを確保し後で改めて挑んだりと、様々な方法を試せる。
    • 今のパーティではどうしても勝てないと思うなら、さっさとその場からファストトラベルして拠点に帰り、装備を購入・強化したり、サイドクエストで経験値を稼いだりと戦略的な方針転換も柔軟に行える。
    • さらに後述の環境連鎖による戦術も絡めれば、一見自軍と同等かそれ以上に強大な相手でも工夫次第で十分倒せる。その時の爽快感・達成感は大きい。


環境連鎖の楽しさ

  • ただ単に通常攻撃を当てる退屈な戦闘ではなく、環境連鎖による大ダメージを狙う戦略性がある。
    • 多くの攻撃には属性が付与されており、それに応じた地形効果をフィールドに及ぼす。例えば火属性なら炎上し、水属性なら水浸しになったり凍結したりする。
    • これらの効果は他のゲームに比べて奥が深い。死んだ敵の血溜まりですら風属性の感電効果を及ぼす罠になり、燃え盛る炎と共に発生する黒煙は視界を遮るベールとなる。敵を水浸しにしたあとで凍結魔法を使えば効果が増大し、毒霧爆弾を投げ込んだ後に火矢を射れば引火して大爆発を起こす。
    • 属性耐性がはっきりした敵が多く、一見防御が固い敵でもこの環境連鎖を用いれば一網打尽に出来る。環境連鎖が狙い通りにいって強敵を打倒した時のカタルシスは中々のもの。
  • 予期せぬ環境連鎖も起こりやすく、画一的な戦闘になりにくい。
    • 固定エンカウント方式なので、大抵は戦闘の起こる地域に水樽やゲル樽といった環境連鎖の一因となるオブジェクトが設置されており、それらを利用できる。ただ、水樽がある場所で火炎地帯を作り出せば敵に消火のチャンスを与え、ゲル樽は延焼を招いて味方に被害を及ぼす危険もある。
    • 敵に追撃しようと思ったら自分の攻撃で巻き起こした黒煙で敵が狙えなかったり、安易に目についた魔法を撃ったら水蒸気に風属性が反応して味方が麻痺し一転ピンチになったり、といった展開も起こり得る。
    • 前述のように属性耐性がはっきりした敵が多いため、とどめを刺そうと思ったら相手の得意属性だったために回復されたりもする。
    • なかなか細部まで予期しにくい環境連鎖の複雑性は、戦闘に意外性やスリルをもたらしている。


戦闘の絶妙なバランス

  • 戦闘難易度が絶妙で、歯ごたえがあるが理不尽ではない。
    • 固定エンカウント方式で獲得経験値が限られているため「レベル上げをして楽々勝利」という展開は望めない。
    • ただしそれは逆に言えば、レベル上げの手間や事前の知識が無くとも工夫次第で勝てることを意味する。もちろん難易度設定にもよるが…。
    • 決して理不尽な体力設定がされているわけでは無く、道中に落ちているアイテムや環境連鎖を有効に用いれば、苦戦しようが必ず勝てる。
    • 中には設定上絶対に勝てない敵も出現するが、それはそれでエンカウントしように様々な方法を採りながら切り抜ける別の楽しみがある。


キャラクター育成の楽しさ

  • 豊富な育成パラメータのおかげで、自分好みのキャラクターを育成できる。
    • 主人公達が最初に選んだ職業やスキルによって育成方針が縛られることは無い。仲間候補となるNPCも、初期に割り振られているスキルや才能以外は自由にカスタマイズ可能。
    • スキルと才能はまさに多種多様。特化キャラを作るか、万能キャラを作るか、探索用キャラを作るか、すべてプレイヤーの求める人材次第。
    • さすがに最高難易度ともなると、ある程度必須なスキルや職業も限られてくるが、それ以外なら大抵どんな組み合わせでもいける。
    • 当初はレベルアップしても育成に使えるポイントが少なくてガッカリするかもしれないが、中盤から獲得ポイントが増えていくので心配無用。
    • メインクエストを進めれば、進め方にもよるが中盤にポイントを全リセットして振り直すことも可能になる。


良ローカライズ

  • 会話や説明文の膨大なテキストは雰囲気を損なわないよう良訳されている。
    • 膨大なテキスト量があり、欧米風の皮肉交じりの言い回しがこれでもかというくらい頻出する本作であるが、本作の作風を損なわず良訳されている。
    • 1つ1つのアイテムに付属しているウィットに富んだ説明文も丁寧に訳されている。日本の有名漫画ネタを意識した遊び心溢れる訳もチラッと出てきたりする。
    • 吹替無しであるが、声優陣による軽快なテンポと大仰なアクセントが特徴の「喋り」は、意味が分からずとも聞いていてなかなか面白い。
    • ローカライズプロデューサーは、良ローカライズの光る『テラリア』『The Witcher 3』にも携わった本間覚氏。
    • 本作の独特な作風やゲームシステムを考慮してか、本間氏の解説を交えた一般プレイヤーによるプレイ動画を配信したりと良心的な宣伝活動が展開された。興味はあるが自分に合うか不安な人はそれらを見て確認すると良いだろう。


『Diablo』ライクのドロップアイテム

  • 敵のドロップアイテムは、『Diablo』と同様に、ベースとなるアイテムに形容詞がつくことでアイテムの性能が変わる「ランダムアイテム生成」を採用している。
    • 『Diablo』のようなハック&スラッシュとは異なるのでレアアイテムを求めて行脚する楽しみは無いものの、戦闘後の報酬確認や宝箱を開ける時の楽しみは大きい。
    • 中には装備することで特定のスキルを開放できるものもあり、パーティ全体の戦略や育成方針にも影響を及ぼすことがある。


冒険を快適にする様々な工夫

  • 「アクティブサーチ」が便利。
    • プレイヤーキャラを中心に円状に探索範囲を指定し、範囲内の全てのものを表示して、指定すれば自動でアクティベートしてくれる機能。
    • このおかげで探索がかなり楽。いちいち敵の落としたアイテムを1つずつ指定して拾い上げなくてよく、アイテムの拾い忘れや探索のし忘れも起こりにくい。
  • 「マジックポケット」が便利。
    • クエストアイテム・鍵系アイテム・一部の採取用アイテムなどを、4人の仲間内で共有して使えるシステム。
    • 例えば盛土を掘り起こすのに使うシャベルは、4人のうち1人が持っていれば、持っていないキャラで盛土をアクティベートした際も使える。
    • ポイントは別行動時でもこれが可能だということ。例えば、1人を先行させて事前に手に入れた鍵で扉を開錠したい場合に、事前に鍵を先行するキャラに持たせる必要は無い。
  • インベントリからアイテムを本拠地に直送できる機能が便利。
    • ゲームを進めると「ホームステッド」と呼ばれる本拠地が解放される。その後はアイテムをインベントリから直接ホームステッドの保管箱に送ることが出来る。
    • アイテム過多の場合や、保管しておきたいアイテムがある場合にいちいち保管場所に赴く必要が無く、非常に便利。
  • 取引周りの仕様が便利。
    • 作中に登場するほぼ全ての人物と取引が可能。アイテムの種類による売却制限は無く、金が足りなければ物々交換も可能。
    • 特に商人は元々の所持金が多く、売りたいのに商人の金が無い、ということが起こりにくい。商人の持ち金減額後の回復も早い。
  • 4人分のキャラクター管理を快適にする選択ホイールが便利。
    • 若干操作の慣れは必要だが、パーティ選択ホイールとパネル選択ホイールが快適に動くため、キャラクター管理がサクサク行いやすい。
    • メインインベントリから派生するサブインベントリ画面(製作用インベントリなど)でもキャラクター切り替えが出来たりと、柔軟に運用できる。
  • プレイヤーを意識したカメラ効果の工夫が感じられる。
    • クォータービュー形式が基本ではあるが、カメラの遠近や回り込みといった調整はグリグリ可能。
    • 建物や地形のせいでキャラクターが見えなくなる場所でもしっかり地形透過が適用されるため、カメラによる不便さを感じにくい。
    • 戦闘中に見にくくなった時は、クォータービュー形式から真上からの見下ろし形式の視点に変更可能。



なぜスルメゲーなのか

序盤の街で、長めの探索パートを乗り切らなければならない

  • 序盤の街サイシールでの調査パートが長い。
    • 地理もうろ覚えな街をもっさり移動で駆け回りつつ、迂遠な言い回しの会話を逐一聞き、戦闘もほとんど無い長時間の謎解きや探索を乗り切る必要がある。
    • まず探索や会話を楽しむ余裕が持てないと辛い。序盤から難しめの謎解きや一撃死の罠もあるので、それを理解し受け入れられないとさらに辛い。
    • 街の探索を幾つかこなしてレベルアップしておかないと、城外に戦闘を求めて出掛けても初心者は返り討ちに合うかジリ貧になるのがオチ。
    • そもそも城外のどの方向から攻略するかについても、街での会話を通して適切なルートを採らないと厳しい。
    • 街自体はシンプルな作りだが、逆に言えば「ウロウロするだけで楽しい」という臨場感的な楽しみはやや薄く、クエスト進行上同じ箇所の往復も多い。
  • ただしこの序盤を乗り切れば、 本作の魅力を理解するチャンスがたくさん回ってくる。
    • ある程度レベルを上げて城外へ向かえば、適度な難易度の戦闘や謎解きが体験できる。その楽しさや達成感を味わえる。
    • ゲームが進むにつれて行動の選択肢が増え、プレイヤー自身の慣れも生じるため、わざわざ一ヶ所に留まって探索・謎解きに苦心する場面は無くなる。
    • 覚悟して臨むか、探索・会話好きなプレイヤーにとっては、街の調査パートも十分楽しめる。


もっさり移動に慣れなければならない

  • キャラクターの移動速度が遅めで、初見だと前述の街の探索パートも相俟って気怠く感じてしまう。
    • この移動速度は変えることはできない。スキルやアイテムで速くすることもできない。
  • ただしある程度進めれば分かるが、 無駄な広さの無いレベルデザインのおかげで最序盤を乗り切れば実はそれほど大きな問題点では無い。
    • むしろ、屋内外問わずどこからでも出来るファストトラベルと良心的に設置してある転移門のおかげで、下手なオープンワールドよりも長距離移動のダルさは少ない。
    • とはいえ、謎解きに詰まって同じ箇所を往復したりする際にはこの移動速度の遅さは切り離せない問題点として付きまとう。


初見殺しのオンパレードを受け入れなければならない

  • 初見殺しの敵・展開・罠が多く、1発ゲームオーバーになる場面が多い。
    • 選択肢を間違えたり、罠を起動させてしまったりすると1発ゲームオーバーになる場面が多い。終盤にはエンカウント=ゲームオーバーの敵も出現する。
  • ただしある程度進めれば分かるが、 ちゃんと初見殺しのオンパレードに配慮したゲーム環境が用意されている。
    • ゲームオーバーの可能性が高い箇所では、必ず事前にオートセーブが挿入される。
    • クイックセーブ機能は探索中・戦闘中・会話中問わずいつでもどこでも可能。ロード時間はそれなりだが、セーブ時の拘束時間は短い。
    • よって、ことあるごとにクイックセーブをしながら進行するのが本作を楽しむ上で重要になる。
  • 最初の主人公のキャラビルドはそれなりに重要だが、初見だと(当然だが)何も分からない。
    • 基本的に慣れればどんなプレイスタイルでも最高難易度でない限りはクリアできるのだが、やはり初心者からしたらある程度の指針は欲しいところ。
    • 敢えて言うなら、初見プレイは「捨てデータ」だと思って慣れ目的でプレイする方が精神的に楽ではある。


「慣れ」と「好み」に左右されやすいゲームシステム群

  • ターンアクティブ制バトル自体が割と頭を使うため、ダイナミックさや派手さを戦闘に(または洋ゲーに)求めているプレイヤーにとっては終始合わない可能性がある。
  • ホットバーやインベントリは、「シンプルでパッと見でも操作しやすい、だが一方で使い倒そうとすると不便さが目立つ」という良くも悪くも洋ゲーらしいもの。
  • レベルアップに割と時間がかかるので、長いスパンでみた育成が必要。育成像が実際に形になってくるのは中盤からになる。
  • 似たシステムの多い『Wasteland 2』と簡単に比較すると、本作の方が全体的にシンプルでとっつきやすい一方で、戦闘テンポや戦術要素の豊富さでは劣る。



問題点

全体進行がシンプルでダレやすい

  • ハマれば爆発的な面白さがある一方で、以下に挙げるような様々な理由によって少々ダレやすくもある。
    • 戦闘・会話・シナリオ展開などの演出は決して「ショボい」わけでは無いのだが、起伏が少なく慣れると作業感を煽る。
    • BGM自体は悪くないが、ゲームのボリュームに比して種類が少ない。例えば戦闘BGMは序盤の戦いでもボス戦でも共通かつ数種類しかない。前作のBGMが流れたりと、知識さえあれば「おっ」と思えるような箇所も幾つかあるが…。
    • 大量に発生する会話は、説明口調のセリフと欧米風の皮肉をたっぷり交えた迂遠な論調。内容自体はともかく、ダレやすいポイントの1つ。
    • 中盤以降は強力な上級スキルが手に入り、戦略・戦術はいい意味でも悪い意味でも型に嵌めて対応可能なので、プレイヤー自身で工夫しないと戦闘が単調になりがち。


パーティ行動に関する不便な仕様

  • 各自のインベントリは独立しているので、ある程度計画的にアイテムを割り振らないとすぐにゴチャゴチャする。面倒なアイテム管理が苦手なプレイヤーにとっては辛い。
  • 主人公2人以外の仲間は、NPCと会話ができない。話し掛けても主人公達に代われの一点張り。商人との交渉すら、一旦主人公のいずれかに切り替えて話掛ける必要がある。
  • 宝箱や木箱といったオブジェクトから回収したアイテムは仲間に送れるが、落ちているアイテムを直接取得する場合はなぜか送れない。
  • エンカウントしてパーティが自動で戦闘配置に付いた際、主人公以外に遠距離攻撃持ちがいると、壁の裏など先手を取りにくい位置に配置されてしまうことが多々ある。
  • 同行モードになっているのか単独行動モードになっているのかが若干分かりにくい。同行モードだと思い込んでメンバーを1人置いてきていた、ということが起こりやすい。


味方COMと敵COMの問題

  • 非戦闘時は自分の操作キャラクター以外は自動で追従するのだが、その挙動に若干問題がある。
    • 移動経路が炎上していたり毒に侵されていたりした場合、避けられない時を除けば自動で回避しつつ移動してくれるのだが、ダメージ範囲ギリギリを平気で通る。そのため、プレイヤーキャラの方向転換や地形効果の拡張といった急な変化があった場合に、咄嗟に対応できずダメージを受けがち。
    • また、プレイヤーが180°方向転換すると、わざわざプレイヤーの元の進行方向に回り込んでから追従する挙動を取る。そのため、プレイヤーキャラが進行方向の罠にギリギリ気付いて方向転換した場合に、味方COMがわざわざ罠方向に回り込んで罠が作動してしまうことがある。
  • 戦闘中に敵COMが長考したり、長考したまま進行しなくなったりすることがある。
    • 敵COMの長考時間は様々。短い時は30秒ほどで動き出すが、5分以上待機してようやく動き出したという報告もある。
    • どうやら炎上や煙といった環境効果が重複して移動範囲が限られてしまう時や、環境効果が切れる寸前に起こるらしく、環境連鎖が重要な本作では厄介な問題。


地形・マップの問題

  • 地形により幾つかの問題が発生することがある。
    • 地形の傾斜が分かりにくい。特に敵に対してプレイヤー側が低地にいる場合に顕著で、移動して遠距離攻撃を当てようとしても傾斜に阻まれて「当てられそうで当てられない」という状況が起こりやすい。
    • 本作に周囲を明るく照らすアイテムや魔法などは存在しないが、暗い場所は割と多いため明るい部屋だと見にくい。
  • 全体マップ、ミニマップ共に不便さが目立つ。
    • 全体マップがコンパスに対して傾いており、会話で「まずは西門から行け」「北東を探せ」などと言われても直感的に分かりにくい。
    • 水彩で描かれてようなペットリとしたビジュアルのマップであり、転移門のマーカーや、通行可能エリアとそうでないエリアの切れ目が分かりにくい。
    • 条件を満たすと「シークレット」と呼ばれる隠し宝箱がマップ上にマーキングされるが、そのマーカーが非常に小さく色も茶色で見にくい。


クラフト(製作・鍛冶)に関する問題

  • 防具・武器の強化の際に、いちいちそれらを装備から外さなければならないので面倒。
  • 防具・武器を強化するとステータスや特殊効果はしっかり上乗せされるが、名称が変わらないので強化済みかどうか判断しにくい。
  • 製作時に消費されるものと未消費なものがある。例えば動物の皮とナイフで革の切れ端が生産できるが、ナイフは消費されないのだが、その辺の説明が無く紛らわしい。
  • 製作に必要なナイフなどはその他の「ナイフ系」のもので代用できたりするのだが、その基準が今一つ分かりにくい。
  • 同名のアイテムがあって製作時にややこしい。例えば火炎瓶の材料となる「空き瓶」には、製作に使用できる「空き瓶」とそうでない「空き瓶」が存在する。ビジュアルが違うので見分けるのは容易だが初見だと紛らわしい。


その他

  • 一部のNPCは何かとウロウロして話し掛けにくい。話し掛けようとして誤って傍のものを盗んでしまい、戦闘になってしまうこともある。
  • 戦闘中にキャラクターを移動させると走って指定箇所に行くが、ラスト数mはわざわざ歩く。意外とこれが戦闘テンポを削ぐ。召喚した蜘蛛やゾンビが顕著。
  • 直接会話以外のセリフは各人物の頭上に表示される。吹替無しの本作だと読まなくてはならないので、ウィンドウや建物に遮られて見逃してしまうことがある。
  • 鍵やクエストアイテムは使用後も無くなったり売ったりできずインベントリを汚す。プレイヤー自身で捨てたりホームステッドに送ったりする必要があり面倒。
  • 冷寒・スロウといった天候によるデバフ効果が消えなくなるバグがある。
  • 戦闘時にBGMが無くなってしまうことがある。バグなのか仕様なのかは不明。



総評

「海外で高評価」の一言に釣られて「パケ買い」をした結果、序盤で後悔したという声は多い。
ユーザーの快適性を最大限に重視した繊細な作りの作品を求めるプレイヤーにとっても、本作のシステムは今一つ受け入れ難いかもしれない。

ただ一方で、序盤で投げ出してしまうには余りにも惜しい魅力を内包していることもまた事実。
本作のゲームシステムに慣れれば…というより、本作の提示しているプレイスタイルに気付けば、試行錯誤のし甲斐が十二分にあるゲ―ムであることが理解できるはず。
クエストにおいても戦闘においても、プレイヤーの柔軟な発想や好みのキャラクタービルドを活かせる受け皿として十分なゲームデザインがなされており、
クエストマーカーを追うだけでは決して得られない達成感を体験できる。ある意味古き良き高難度JRPGに通じる部分があるかもしれない。


余談

  • 初代から開発を手掛けているLarian Studiosは、ベルギーに拠点を置く会社。
  • 本編のテイストを色濃く受け継いだ続編『Divinity: Original Sin II』が2017年9月に海外で正式リリース。
    • 今回もまたKickstarter上で資金集めを行い、目標額である50万ドルを1日で達成。最終的に4倍以上の資金を得た。
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