神のラプソディ

【かみのらぷそでぃ】

ジャンル 神格継承SRPG
対応機種 Windows Vista~8.1
発売・開発元 エウシュリー
発売日 2015年4月24日
定価 9,400円(税別)
レーティング アダルトゲーム
配信 2018年2月2日/6,480円
判定 クソゲー
ポイント 色々なものが悪い方向に作用しあっている
各要素を単独で見た場合はむしろよく工夫されている
文字通りの作業ゲー

※正式タイトルは『神のラプソディ』ですが、「神」が機種依存文字のためページタイトルは「神」に置き換えています。



概要

エロゲーブランドでありながら、ゲーム部分に拘っていることで定評のあるエウシュリーの16作目。
本作はSRPGで、へクス型採用や育成要素をスキル取得制に近い独特なものにしたりと、これまで以上に意欲的な作品になっている。
間口が狭いと言われるSRPGで初心者でも入りやすいようなUI・仕組みにしたり、やり込み要素もあったりとかなりユーザーに気を遣って作られている。
…と、ここまでは良いのだが…それぞれの要素が悪い方向に作用しあってしまった結果、失敗作の面が強い作品になってしまっている。


あらすじ

ラウルバーシュ大陸の西方と中原の境目に広がるクヴァルナ大平原。
ここは神々の盟約により亜人間の領域として
数千年にも及ぶ平穏と文化を築いていた。

ある時、平原南東部を管理する神に近き者『神の戒土(かみのかいど)』は
絶大なる力と知識を継承する者の育成を宣言し、
近隣一帯に対して聖地『終の御祠(ついのごし)』の門戸を開いた。
後継者候補にはこれまで立ち入ることの認められなかった
封鎖領域の探索や神の戒土が持つ能力の継承などの特権が与えられ、
厳しい試練を乗り越えていくこととなる。

その呼びかけに種族や宗教の枠組みを超えた若者達が集結し、
若き人間族の研究者エルドも叡智と未知との遭遇を求めて故郷を後にした。
後継者はたった一人……。名誉、叡智、力、富、故郷の期待を胸に
熾烈な競争が始まろうとしている……。

(公式サイトより引用)


問題点

  • 作業ゲー
    • 本作ではダメージ計算にランダム要素はなく、防御値やミスやクリティカルの類は無い。向き補正・一定回数ダメージを軽減するスキル・回避値を命中値で削らないとダメージを与えられないなどの要素はあるが、ダメージブレなどもない。徹底して計算・運要素を排除している。
      • 増援などの不明要素以外は最初から結果が分かっているため、コツを掴むと途端に作業感が非常に強くなって眠くなってくる。眠りたい時にやる分には良いかもしれない
      • これによる長所も後述しているが、多大な作業感によるマイナスイメージの方が強い。
    • アイテム取得&成長要素の一つに『クエスト』があるのだが、これは「マップクリア」・「特定の敵を倒せ」・「全ての宝箱を開けろ」など、よくある内容の中に「マップ内の全ての草を刈れ」「水ヘクスを全て凍らせろ」「特定エリアで特定キャラが敵を20体倒せ*1」といった、ただしく作業としか言えないものが多々混ざっている。
      • 計算・運要素の排除の作業感にこの作業が重なっている二重苦。クエストの一例から本作は草刈りゲー(壁破壊などのバリエーションもある)と呼ばれることも。
      • 更に嫌らしいことに、序盤のクエストなのに後半にならないとクリア出来ないものも多い。しかもクエストにはシナリオがあるわけでも*2、解説があるわけでもないので全く楽しくない。
      • 実はクエストはほとんど無視した方が難易度バランスが良いという、初心者救済の側面が強い要素なのだが、マニュアルに書かれていない以上、クリアしていないユーザーはそんなこと知る由もないので手あたり次第クリアして作業感を味わい、そして本編がヌルゲーになって更なる作業感を感じるユーザーが続出(これで三重苦)。初プレイでも縛りプレイした方が性に合っていたと気づく頃には手遅れな上に飽きている*3
      • もちろんクエストをやらないと成長効率が悪かったり、スキルがロクに手に入らなかったり、武器が強化されないので効率プレイややり込みプレイなら必須。また、後からまとめてやるのもそれはそれでかなりだるい。
      • 本作コンプリート時のプレイ時間の大半はこの『クエスト』もとい『作業』が占めているため、最初は楽しいと思っていた人達も中盤になる頃には次々にだれてしまった。
  • 二者択一*4のルート分岐に加えてグッドとノーマルエンドに分かれているが、ほとんど変化がない。
    • 選んだキャラと恋人になり、Hシーンや出番が増える*5のだがストーリーやEDの大筋にはほぼ差異がなく、周回を考慮したシステムになっている割には周回を楽しめない。
      • しかも中盤ぐらいにルート分岐が有り、戦闘カットが出来る訳でもないので全パターン見るのには骨がおれる。その頃には上記の件と本作の問題点から、ただ消化するだけでも苦痛。
      • グッドエンディングのフラグも最後に選択出来るわけでなく、途中で全回収したかどうかで決まるので両方見ようとして手遅れになるパターンも多い。
    • ちなみに恋人になる前からこれら全員と性交渉を持っており、恋人が出来たら選ばなかった相手とはしなくなるのだが、その他のキャラとは遠慮なくヤるので非常に違和感が強い。エロゲー主人公的に…というよりはエウシュリー作品の主人公は多数の女性と関係を築き上げるのがデフォなので、中途半端な誠実さは必要なかっただろう。
      • また、エルドが恋人以外の女性を抱く理由も、ほとんどが普通に女性から誘われているだけなのでよりエルドをフォローしがたい。エルドから誘う形が無いだけマシではあるが、貞操を守る気があるのかないのか…。
      • ちなみに神採りのウィルは似たような立場だが、そもそもが他のメインヒロインとは関係を持たないだけなので中途半端さはない。アテリアルの秀哉はエルド同様に批判が多いが、これは女性側が都合の良い女みたいなことを言うので、乗っからせてもらっただけなのと、一人と決めた後は例外的な状況を除いてそれを守るので一応中途半端ではない。
  • マウスにもタッチパネルにも配慮した作りになっているが、ヘクスへのワンクリックが移動も行動(この際の移動経路はクリック前のカーソルの動きに応じたものになる)も兼ねているせいで、スピーディーな操作性の一方で誤爆も多い。
    • 移動してからの行動選択が出来ないので、誤爆とは関係無しに面倒な場面もある。
    • 誤爆回避のために一手戻す機能があるが、ゲーム開始時にのみON/OFFを切り替えられるので融通が利かない。しかも機能封印の方を「マニア」と銘打っていて、SRPGに慣れていたら機能封印を推奨の様に書かれているが、誤爆が多かったり、戦闘中にセーブ出来なくなるので中断し辛かったりする上に、機能封印してもランダム要素が無いので誤爆しなければ特に影響はなく、ただ不便になるだけの微妙な選択肢となっている。
  • 操作キャラ毎にコストが設定されているが、必ずしも能力に対するコストが適切とは言えない。
    • 一度に場に出せるキャラが限定されており、場に出すための神力を早急に溜めるには敵を倒していく必要があり、移動力が非常に重要。足が遅かったりコストが高すぎるキャラは出し辛い。
      • 戦闘開始時の神力は低いので、コストが高すぎるキャラはそもそも途中からしか出撃出来ない。
    • 他にも育ちやすいキャラと育ちにくいキャラとが分かれており、ここでも格差が大きい。バランス重視のキャラが最もスムーズに成長するので使いやすい。
    • 補足すると高コストほど能力が高い傾向にあるので、バランスを全く考えていないというわけではない。考慮しきれていないだけである。
  • 巨大ユニットというくくりがあり味方にもいるのだが、広くて平坦な場所でしか出撃も移動も出来ないので不遇。巨大ユニットを使うと楽な場面も用意されているが、極一部。
    • 味方の竜族も、人形態から竜形態への変身が可能なのがウリの一つなのだが…広くて平坦な場所でないと変身すらできないので、変身の出番はほぼない。
      • 変身には1Tかかる(二回行動をつけてても強制終了)上に、能力が高まる代わりにスキルの融通があまり利かなかったりと、どうにもパッとしない。ちなみに人形態は戦闘力それなりの中コスト飛行ユニットなのでこちらは使い勝手が良い。
    • 一応敵としては移動に困るという短所は変わらないものの、能力が高かったり、存在そのものが大きくて邪魔だったりと存在感はある。敵味方共に吹き飛ばしが効かないという特徴もある。
  • 技や魔法にも出撃コストとして使われる神力を消費するので使いにくい。
    • 基本的に速攻が有効なゲームで更にスキル枠を使わないと使用不可なので、バランス調整も兼ねているとは言え不自由な感じが強い。
    • このせいで魔法キャラは出撃コスト以上にコストが重たくなっている上、作中のメイン攻撃手段となる通常攻撃も弱いので二重に不遇。
    • 更に付け加えると、大技はコストも神力消費も効果に見合っているとは言い難く、小技安定というのも何だかしょぼい。
  • 技・魔法・障害物排除スキルなども同じ枠組みになっており、必然的に障害物排除が優先になる。そもそもコスト対効果の悪い技や魔法の優先順位は低い。
    • また、キャラ毎にスキル枠や習得スキルに幅があって個性が出ているのだが、そのせいで使えるキャラと使いにくいキャラの格差が生じている。
  • 設定上、隠しボスやラスボス含めて強いとされる敵も総じて弱い。
    • 原因は防御力がないシステムで、更にHP999でカンストなのに終盤では1回の攻撃で150~350程度のダメを与えることが可能(条件次第で更に増える)。通常プレイでも接敵してからは攻撃させずに撃破することも珍しくない。
      • 盾などでやたら硬い場合もあるが、敵のスキルも味方同様の枠組みの上に貫通などの対策スキルもあるので、良くも悪くも困らない。
    • 最終的には姫狩りや神採りとも大差ないが、あちらでは余程稼いでのヌルプレイか周回データでなければここまで圧倒することはなかった。
  • 一部のキャラの扱いと公式サイトの紹介が微妙
    • 黒幕然とした立ち回りだったのに、あまりにもみじめに退場したり、顔見せ程度しか出番がなく存在意義が分からないキャラなどがいる。おかしな話ではないが、そういう描写が終盤にたたみかけるようにあるので、パッとしない印象が強まっている。
    • 公式サイトで全員にユニットタイプなどの紹介があり、全キャラ戦闘することがあるような紹介がされているが、そんなことはない。
  • 予約注文者限定のアペンドディスクで同メーカー作品の幻燐の姫将軍シリーズにおける人気キャラの睡魔剣士カーリアンが登場し、二周目以降に条件を満たせば味方ユニットとして参戦してくれるようになるのだが…。
    • キャラ性能の二回行動・高回避という特徴はイメージ通りなのだが何故か移動力関連のパラメータが低い。高HPという長所もあるが、いくら前衛キャラとは言えあくまでも軽装備キャラなのでこちらもイメージにそぐわない。そしてこのゲームは機動力が重要なことも相まって多くのカーリアンのファンを落胆させた。
    • また、二周目前提というのも前述の問題により多くのユーザーにとって非常に辛い。
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  • ストーリー「熾烈な競争」(※熾烈ではありません)
    • エルド自身は人の良い努力家という設定でとにかく困っている人を助けようとする、好感の持てるキャラではあるが、本作は力や権力などの争奪戦の意味合いが強いので公式サイトの紹介(人との競争)と噛み合っていない。そもそもエルドは神の戒土になろうとする意欲も低い。
      • もっともこの点はエルドは元々後継者を目指していたわけではなく、神の戒土直々に見込まれたことに加え、後述する3人以外の候補者達もエルド同様に「あわよくば」程度の意欲か「関係ない」という立ち位置なので、エルドを注目していたり助けられた候補者が「協力」する流れそのものはおかしくないなど、エルドのせいというよりは作風の問題。
    • エルドは並々ならぬ努力でようやく人並み程度の実力と終始何度も描写されているのに、単独で大軍を打ち倒せる勇者といかにも正々堂々と切り結んで勝っているCG付きの描写があるなど、おかしな描写も目立つ。確かにシナリオ・ゲームシステムの描写通り仲間が囲んでボコボコにしているCGなど出されても反応に困るのだが…違和感が凄まじい。
      • ちなみにゲーム上のステータスなどはむしろバランスが良い部類で、ZOCも最も使いやすく、恵まれている。ここらは快適なゲームバランスの都合で仕方ないだろう。
    • 公式サイトでいかにも候補者達が蹴落としあうような宣伝が為されていたが、モブの候補者達がいつの間にか蹴落とされている程度の熾烈さしかない。
      • 他の観点から突っ込むと、作中何度も「どうせ後で蹴落とし合う」的なことを言われるが、仲間はほぼ全員が協力的なので何の苦労もなくエルドに譲ってくれる程度の熾烈さである。
  • ジャンル名「神格継承SRPG」(※継承しません)
    • これはエルドが後継者になる際に現神の戒土が敵側のせいで殺されてしまったからで、ジャンル詐欺にはなっているが展開的には理解出来る…神格継承に関してだけは。また、この際に力や英知こそ継承されなかったが意志は託しており、エルドも神の戒土として活動する意欲を見せている。…意欲があったはずだった。
      • 問題はグッドエンディングで、各種族が協力し合う土台が作られ始めたが、エルド自身は管理者の立場を早々にかなぐり捨てて恋人と旅に出てしまうことにある。確かにラスボスを倒したことで神の戒土の最大の使命は消失したが、新しい体制作り・荒廃したクヴァルナの復興・他国への牽制*6など、やるべきことは山積している。「神の戒土と呼ばれる存在は、豊穣の神の消滅と共に役目を終えた。」と地の文に書かれているが、真(最大)の役目を果たしただけであって、そんなわけがない。
      • ちなみにエルドは皆で協力しあうのが大切ということと、神の戒土一人に頼る体制はいけないという考えの持主なので、仮の後継者すら指名していない。いくら最大の功労者とは言え、事ある毎に協力と口が酸っぱくなる程言っておきながら、完全に人任せ
      • 更にグッドエンディングでの後継者候補の大半はそのまま荒廃したクヴァルナに留まって統治に協力するいじらしい姿勢を見せる。余計にエルドが酷く見える。カレマをリーダーとしたグラリッサ達の愉快過ぎる一団とツムギ達は旅立っているが、エルドと違って彼女達の目的と信念的にはそちらの方が自然。
    • ちなみにノーマルエンディングでは仲間がばらばらになるが協力関係は続いている。そして幾人かの仲間とヒロインと一緒にちゃんとエルドも管理者の役割を果たしているような光景が見られる。ただし、グッドエンディングとは違って問題をやむなく先延ばししているので、こちらこそがグッドエンディングに相応しいという訳でもない。
  • エルドは努力型のキャラ(※努力の過程はほぼカット)
    • 地の文では何事も努力で補っていると書かれているが、行き当たりばったりが多かったり単に助けてもらうことが多く、今一つパッとしない。黙々と読書をする様を見せられても仕方ないと言えば仕方ないのだが…。
    • また研究者(見習い)という設定でイベントで勉強をしていたり他者から教えを乞うシーンなどはあるが、彼自身が何の勉強や研究をしているのかは分からない。研究者というより中途半端な知識人という印象を受ける。
  • 流石エルド(※魅力を感じる様な場面の前から、人望がやたら厚い不思議な魅力の持主*7)
    • 本作の仲間の多くは競争相手な上に能力は候補者の中でも最低水準と常に言われている…のだが、何だかんだそこまで優れた何かをしたわけでもない序盤から仲間が「流石エルド」的なことを言いだし、途中からは何かやってもやらなくてもそれが常態化する。
      • 補足すると、人助けに励む描写や過程自体は神採りのウィルとほぼ同等。おかしくない描写も一応多い。
    • 夢見勝ちな上にエンディング前まではそれを貫き通そうとするガチの夢想家なので、勇者や図書室先輩などから異常者みたいな扱いを受けたりと作中でつっこまれる描写も一応ある。
  • ラスボスは作中世界の中でもトップクラスの、物理法則をも超えた再生能力を持った地方神(※言うほどの再生能力であるかは疑わしい)。
    • エルドの武器による一度限りの大技で消滅してしまう。伏線回収&少年漫画風な展開なのは問題無いが、ラスボスの設定を強く言い過ぎて設定通りの描写だったかは疑わしい。エルド達では荷が重たそうであることは確かだが、これなら神や神格者級の力の持主なら普通に倒せるだろう。

賛否両論点

  • 何人かのキャラの武器が、武器と楽器の双方の機能を持つ魔楽奏器という物に分類されている。
    • 普通の武器の使い手も楽器を持ち歩いていたり、魔楽奏器ではないが楽器としても扱える武器を持つキャラもいて、ちょくちょく仲間達は一緒に演奏している。
    • 音楽自体がテーマの一つとなっていることもあって、設定上や伏線の関係上別に悪くはないのだが、幼馴染ヒロインのそれが大斧+弦楽器と言う斬新すぎる組み合わせというツッコミどころが賛否両論点。
  • 候補者の中で一名、中ボス的な悪役がいて彩りがある。
    • しかし、純粋に強さを追い求めているだけと主張はしているが、ユーザーからはただ暴れているだけにしか見えないところが何とも中途半端。キャラとしては良いがやはり後継者争いという意味合いは薄く見えてしまう。

評価点

見どころはある。ただし、上述の問題点によって相殺、あるいは負の印象が強い要素が多い。

  • 運要素が無いので常に安定した用兵が可能であり、スピーディな進行が可能。
    • ダメージ予測などが見やすいGUIな上に、計算要素もほとんどないのでとにかく考えて止まる時間は少ない。
  • 最初は癖が少しあったりヘクス制による違いなどはあれど、総合的には過去作以上に分かりやすくて便利なUIになっている。
    • 前述の運要素がないことやダメージ予測が見やすいことも含めて、SRPG初心者でもかなりとっつきやすいと思われる。
  • 成長要素などは各キャラの個性を出しつつもある程度フォローが効く形になっており、自由度も高い。
    • 数多くのスキルをかなり自由に組み合わせられる。一度習得したものは付け外しも自由なので、多少画一的になりやすいが気軽に色々なキャラメイキングが可能。
      • 神採りよりも選択肢の幅が広がっており、支援攻撃などもかなり付けやすくなっている。
      • また多いスキルの表示を絞ったり、スキルの組み合わせを保存できたりと使いやすいUIになっている。
  • 経験値は特定の敵を倒したらそのユニットに入る他、クエスト報酬などはパーティに一括して入る形になっており、キャラのタイプに左右されずに簡単に育てられるように配慮されている。
  • マップは結構練られており、複雑過ぎず且つどう動くべきか悩ましいものが多い。
    • ただし、飛行キャラが便利過ぎるため「とりあえず飛行キャラを出しまくってしまえ」というプレイスタイルにもなりやすい。
    • クリア後(周回プレイ時)に挑戦可能なマップ群は難易度が高く、苛烈な攻撃をどうにかくぐりぬける楽しみがある。
      • 仕方ないところではあるが、遠距離攻撃や範囲攻撃などが多かったり仕掛け解除に時間がかかったりと、待ち時間が多く面倒という短所はある。
  • ヘクス制を採用しているSRPGで、特に斬新な取り組みでは無いが比較的珍しい*8
    • スクエア制の上位互換という訳でも無いが、より現実に近い形式であることや交通渋滞が起きづらかったりと、より戦術を楽しみやすいだろう。
  • 設定によっては直前の行動をキャンセルできるので、SRPGとして致命的な操作ミスを回避しやすい。
    • これは徹底的に運がからまないようにしているからこそ、搭載しても何も問題が無い機能と言えるだろう。
  • 競争相手にもかかわらず「流石エルド」的な表現が多いことさえ除けば、個性的なキャラが揃っている。
  • 消耗品などもあるが、戦闘終了後に使用回数が回復する。イージー仕様とも言えるが、着脱や購入の手間が省けて楽。
+ ネタバレ(クリックで開閉)
  • 確固たる意志で後継者になろうとするキャラが三人、ケツアゴの人馬(グ・ランディオ)・図書室先輩(シャルディオ)・勇者(ゼルガイン)がいて、これらは中々の好漢揃いでライバルとして申し分ない。
    • 人馬は空気を読まずどんどん仲間を作っていくエルドを危険視し、見定めるために序盤に仲間になる。後半で一時的に離脱して敵対するが、味方としては中コストの高移動力高探索キャラで便利。
      • 彼の意欲は思想より主に族長の立場によるもので、基本的にはエルドにとって良き兄貴分である。見た目は濃いし真剣時の表情は怖いが。
    • 図書室先輩は物凄い悪役風な人物で人を信用したりもせず、事ある毎に他者を「利用する」と言っているが、実は話が分かる…というよりむしろ闇夜の眷属(闇陣営)に属しているだけの善良な魔法使いであり、この世界のこの時代までの闇夜の眷属の作った国は歪んでいることに言及しつつ、自分なりの方法で光と闇の両陣営を融和させようとしている。
      • どうも人付き合いをろくに知らないらしく*9、エルドの仲間に「駒になれ」などと言って引き抜こうとする天然ぶりを発揮している。ある意味残念な子である。
      • 陰険そうに見えて真面目で、エルドの質問に律儀に答えたりする。仲間を引き抜こうとする一幕はあるが、無理強いはせず口では何だかんだ言いながらも卑劣な策なども講じない。それどころかエルドに遠回しに苦言を呈していることすらある。
      • 裏で支配するみたいな感じで言葉が悪過ぎるが、彼の信念を意訳すると「自分は悪目立ちするので、影で種族のわけ隔てなく平和のために皆を導く」という内容。
      • 他にも本作随一のネタキャラとしても重宝されており、 仲間 …駒を一人も集められなかったので仕方なく分身したり、アペンドで追加された温泉イベントで見事な裸体の立ち絵(筋肉と相思相愛になったとのこと)を見せつつ、しかもそれがきわど過ぎるアングルだったり、温泉に沈む時に影(謎の物質)で濁らせたり、と彼自身はあくまで真面目だがやりたい放題している。
    • 勇者は「犠牲者をなるべく減らすために自分だけで問題解決するぜ!」というノリで、実際に軍団を一人で殲滅したりするなど、言うだけの実力もある。エルドは彼の考えを徹底的に否定するのだが、勇者の方がまだ現実的な正論を言っているので、ユーザーによってはエルドとの温度差を感じるだろう。
      • 協力しあうことで、一人たりとも絶対に切り捨てないと言い張るエルドに対して、そんなことは実現不可能なので共倒れになるだろうと勇者が主張。これに対してとにかく諦められないと主張してお互い譲り会わずエルドが戦いに勝利…からのグッドエンディングによるつっこみどころが発生するわけである。
    • 能力と意欲両方に欠けるエルドが彼らを押しのけて後継者になるべき理由が弱い。仲間に慕われているのは確かに長所で志も立派なものだが、それだけでしかない。

総評

テストプレイで短所に気付けなかったのか、発売間際で手直しが効かなかったのかは不明だが、残念な作品になってしまったことは否めない。
アンケートでの批判も多かったようで、公式でもそれを認めるコメントを出している。
とは言え、不満点の多くはダメな部分の相乗効果による部分が大きく、バグも少なく、取り組みが全て悪かったというわけではない。
決してよくある手抜きによるクソゲーのような、タチの悪いゲームではなく、不運な作品だったと言えるだろう。
良い意味でも悪い意味でも見本となる部分が目立つので、SRPGマニアやSRPG制作者などは本作を分析してみるのも一興だろう。


余談

  • アダルトゲーム雑誌『BugBug 2015年8月号』に本作のアペンドディスクが付属している。
  • 次作の珊海王の円環では色々な主人公を用意した上で公式サイトの宣伝通りちゃんと争ったり、主人公によっては他主人公が仲間になったりならなかったり、ややマンネリ感があるものの各主人公・ルート毎に話を変えたりと、評価はともかく本作の批判を教訓にした内容になっている。
  • 定額でエロゲー遊び放題の「GAMES 遊び放題 プラス」に登録されている。

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最終更新:2021年12月16日 09:05

*1 しかも敵が極端に少ないマップ、攻撃は非常に不得手なキャラも問わず、全ての仲間キャラの分だけある。

*2 こんなクエスト内容でそんなものがあったらあったでよりテンポが悪くなって面倒だが。

*3 ちなみにゲーム中でもクエストを推奨する説明がなされている。また、SRPG初心者は元よりマニアでも初見からこんな縛りプレイすることは一般的ではないので、「クエストしなけりゃいいだけじゃん」と言われても後から話を聞いた上での結果論でしかない。

*4 シナリオの展開上は三者だが、一人には選択肢がない。

*5 代わりにもう一人は出番がほとんど無くなる。

*6 この国は土地が豊かな上に弾圧されがちな亜人が主体の国家。その上で近くに非常に好戦的な侵略国家が複数あり、神の戒土という抑止力がない状況では極めて危険な情勢。

*7 メインヒロイン達が序盤から付き従っている上に、どんどん仲間が増えるせいで注目されているという経緯はある。

*8 これはよく見るスクエア制の方がかなり単純で、作りやすいため。

*9 彼の種族は邪悪な種族として差別されていることに加え、同種族内でも異端であろう人物なので、そういう機会が無かったと想像できる。