ネコジャラ物語

【ねこじゃらものがたり】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 ケムコ(コトブキシステム)
発売日 1990年12月14日
定価 3,460円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2012年7月25日/400円(税別)
判定 なし


概要

  • SELECTION 選ばれし者』のシステムを流用して制作された、同作の姉妹作。基本システムは同作ページを参照のこと。
    • なお、本記事では便宜上『SELECTION 選ばれし者』を「前作」と表記しているが、ストーリー上の続編ではなく繋がりは無い。
  • 基本システムは同じでもゲームバランスや演出、グラフィックのバリエーションなどは後発なだけあってブラッシュアップされている。
    • 人間の少年であった「マーク」が、ある事情で人間から猫の姿に変えられた上で猫の王国「キャットランド」に連れて来られ、王様「キング」の頼みをしぶしぶ聞いてキャットランド中を奔走する…という、コミカルな路線での王道ストーリー。
      • 本作も、前作に引き続き一人旅のRPG。ストーリーの大筋もある程度は『SELECTION 選ばれし者』に近いが、同作からは独立している。

特徴

  • 主人公・マークを含むキャットランド関係者は全員、若干擬人化された猫。
    • 登場する装備や道具は猫や猫科動物をイメージさせるものが多く分かりやすい。
      • 例えば、冒頭で提示されて以後の収集目標となる3つの装備品は「ヒョウのツメ」「ライオンのキバ」「トラのケガワ」。終始こういうノリである。
  • ザコ敵もボスキャラも、全種類が若干擬人化された動物や昆虫といったモチーフで統一されている。
    • 基本的にはコミカルな路線でありつつ、全体的にファンシーなキャラクターデザイン。そういったデザインや好きな人や、動物キャラが好きな低年齢層のプレイヤーにはたまらないのではないだろうか。
  • 前述した通り基本システムは前作同様だが、新システム「ネコポン」が目を引く。
    • 作中でも説明されるが「ネコポン」とは「猫特有のストレス」を表現したもので、「%」で表示・管理される。ネコポンは様々な行動で上下し、ネコポンのパーセンテージによって主人公・マークの性能が一時的に大きく変動する。
      • ネコポンは場合により戦闘の勝敗に直結するほどの大きな影響があるので、主人公のネコポンを管理することも本作の重要なポイントとなる。
  • コンティニュー形式は、バッテリーバックアップ方式に変更された。セーブデータは1つ。

前作からの改善点

  • 暴発すると即座に窮地に陥るほど扱いにくかった「オート」コマンドの削除。
    • 後述するが、本作は前作よりも火力がインフレ気味な傾向にある調整となっているため妥当な措置と思われる。
  • 前作の計算結果が不安定極まりないダメージ計算式が一新され、攻撃命中時のダメージ自体は概ね安定するようになった。
    • 敵味方ともにクリティカルヒットや攻撃回避の条件と確率が、前作と比較して大幅に緩和。ランダム要素は単純なダメージ数値ではなく一般的なRPGのようなこの要素に引き継がれ、直感的に分かりやすくなった。
  • 主人公が、特定条件下で敵の魔法や特技を確率で回避出来る要素の追加。
    • 前作の主人公は完全な無耐性扱いであり、敵が主人公に向かって魔法や特技を使用した瞬間命中が確定してしまっていた。しかし本作では、主人公のレベルが高くなると様々な魔法や特技を確率で回避出来るようになる。
      • 一部例外で最高レベルでも一切回避出来ないものもあるが、それは本当にごく一部。1対3の戦いも頻繁に発生する基本システムから考えれば、ゲーム性を高める追加要素と言える。
  • 魔法の体系が整理され、「使い物にならない」ような魔法が廃された。
    • その代わり、魔法ひとつひとつの使い分けが重要になっている。
      • ちなみに「魔法の反射」の概念も廃された為、敵に対して唱えた魔法は最悪でも「無効にされる」だけで済むようになっている。
  • 前作の「テレポット」(拠点への瞬間移動魔法)に相当する魔法「リーバル」の登録場所に、道具屋が追加された。
    • 前作以上にアイテム管理がシビアなゲームバランスとなったため、とてもありがたい。
  • 敵から得られる経験値とお金が概ね適切な設定になった。
    • ランダム要素が無くなり、同一種類の敵からは決まった値が得られる一般的な形式に。前作で特に問題であった経験値は、おそらく意図的に非効率的数値に設定された一部の敵を除き「強い敵ほど加速度的に高経験値」という納得いく設定に。
      • 具体的には、名前通り倒してもお金をほとんど落とさない「びんぼーキツネ」など。明らかに意図的な、そういった点以外はだいたい適切。
  • 序盤にボスキャラが配置されなくなった。
    • 他のRPGでは問題点になりそうだが、前作では序盤から既に無慈悲な強さのボスが配置されていた事を考えれば、もはや改善点と言って差し支えないだろう。
      • 「敵の出現域が変わると格段に強い敵が出るようになる」調整については前作と概ね同様なので、歯応えがなくなったわけではない。
  • 「無いと困る」ほど効果的なアイテムや装備は、隠されすぎなくなった。
    • クリアに必須でなくてもちゃんとヒントがあるか、ノーヒントでも他のヒントを得たついでに容易に見つけ出せるものが大半。
    • なお、本当に「無いと困る」ほどの大きな効果を持つものについてはシナリオ進行上必ず入手できるように改められた。
      • シナリオ進行上、必ず入手することとなる回数無制限の攻撃アイテム「ほのおのすず」(炎の鈴)は、ラストまで他の攻撃手段の使い分けを常に考えさせてくれる便利かつ絶妙な性能を持つため、良い意味で常にプレイヤーを悩ませてくれる。入手時に概要を説明してもらえる他、戦闘以外にも用途があるため存在と有用性に気付かない事はまず無いだろう。
    • 便利かつ強力なアイテムは万一見つけられなかったとしても、類似した性能の魔法もちゃんと用意されており一定レベル到達で習得する。これは救済措置のようなものであると思われ、該当アイテムの有無で難易度差が出すぎないようにはなっている。
  • 画面移動方向を指定する際の、斜め方向の削除。
    • 縦横4方向のみに変更されたが、それが気にならないようメイン画面の描写が工夫されている。つまり、単純に操作しやすくなった。
  • ボス戦BGMの追加や、効果音の大幅増加など。
    • 当時のRPGではよくある事ではあったが、前作の戦闘BGMは1曲だけだった。本作では前作とROM容量が同じでありながらボス戦BGMが1曲用意され、RPGらしさが増した。
      • 魔法やアイテムを使用した際の効果音も基本的には効果音再生時にBGMが一旦止まり、効果音再生終了後に頭からBGMを再生しなおすように変更された。これも他のRPGでは問題点になりうる点ではあるが、本作のBGMは前作同様に1ループが短い曲が多いため、飽きにくさと分かりやすさという意味ではプラスに働いている。

評価点

かわいらしい方向性で完成されたケムコ独自のセンス

  • ファンシーもしくはコミカルなキャラクターデザインで統一されたRPGとして、完成度が高い。
    • 独特なノリのテキストやネーミングセンスも相変わらずではあるが、かわいらしいキャラクターデザインとの相性は抜群。
  • タイトルに名前負けせず終始猫づくしであるため、猫好きは必見である。

前作からシステムを継承した上での全体的なブラッシュアップ

  • 特に目立つ点については、前述した通り。
    • 全体的に分かりやすく、ユーザーフレンドリーになった。前作の(意図的ともとれる)不条理さは廃されたと言って良い。
      • 「ヒント不足で難しい」という方向性の謎解きは無く、広大かつ無限ループがある地形には何かしらの順路のヒントが提示される点も親切さの表れであろうか。

良質なBGM

  • 容量が前作と同じ128KBであるため前作同様に1ループが短い曲が多いものの、やはり曲数が多く使いまわしも少ない。
    • 前述した通り、ボス戦BGMが1曲用意されたのも評価点。どのボスとの戦いにも相応しい緊迫感あるフレーズが連続する曲で、手に汗握る戦況を盛り上げる。

問題点

低年齢層を狙ったデザインの割に戦闘バランスが戦略的すぎる

  • 前作のような不条理なまでのランダム要素はなりを潜めたが、その代わり戦闘バランスが戦略的すぎる。レベルと通常攻撃に頼ったパワープレイが通用するのは序盤だけ。
    • かわいらしい雰囲気からはイメージし難いが、基本的に敵味方ともに一撃一撃が重い。平たく言えば、火力のインフレが起きている。
      • HPの数値設定が前作と似たような感覚であるにもかかわらず「通常ヒットが前作のクリティカルヒット以上のダメージである」事など日常茶飯事であり、その上で更にクリティカルヒットが飛び交う事もある。
    • また、敵味方ともに補助魔法や補助技がとてつもなく強力。いずれも効果が大きい上に一部の魔法を除き「耐性が無い」相手には必ず命中する高性能ぶりだが、明らかにその前提で戦闘バランスが調整されている。よほど主人公を強化しない限り、たった一手のロスが敗北に直結することも少なくない。
      • 敵の耐性の把握と、複数種と同時にエンカウントした際の優先度の把握が何よりも重要である。
  • HPとMPの回復手段に乏しい。
    • 前作では良くも悪くもリソースが潤沢なゲームバランスであったが、本作は回復手段全般にあまり余裕が無い。戦闘以外にアイテムや回復魔法の使用ペースなどの運用も常に意識しておく必要がある。
      • 特にMP回復アイテムは道端でアイテム探しをしない限り、効果の不安定な店売りアイテムの「Mのひょうたん」以外は入手できない。どれも、サクサクとプレイしたい場合は無いものとして扱いたくなる程に出現しないレアアイテム。
      • 「画面移動を行うとHPが1ずつ回復していく」装備品もあるが、前述の通り敵味方のダメージがインフレした本作のゲームバランスでアテにできる回復量ではなく、あくまでおまけ。
  • 歯応えはあるが、総じてRPGに不慣れな人にとって非常に難しい調整となっている。
    • 戦略的な方向性での戦闘バランスの完成度は高いが、ファンシーな見た目や雰囲気からは明らかに乖離した戦闘バランス。対象客層として低年齢層や女児を想定しているであろうデザインである点を考慮すれば、看過できない問題点。
      • 具体的には「最高レベルかつフル装備だろうと、通常攻撃連打ではラストダンジョンで1戦も持ちこたえられない場合もある」ようなゲームバランス。相手を見ての魔法や道具の使用は、必要不可欠。

一部のボスが勝てるかどうか運要素が強い

  • 真っ先に挙がるのは、終盤のボスのひとり「なんだコリー」。
    • 最強の単体攻撃魔法「デホミー」を使ってくるのだが、これは適正レベル程度で挑む場合HPを10割以上奪う特大の威力を持つ攻撃魔法である。
      • それでいて行動はランダムであるため、運要素が強すぎる。それでいて、出現場所がダンジョンの奥深くなので負ければ出現場所まで遠いスタート地点に再び戻されてしまう鬼畜ぶり。前作後半の鬼畜ボスがそのまま本作に出てきたような存在である。
      • 相当レベルを上げると最大HPがデホミーを喰らっても必ず耐えきれるだけの数値に達する他、デホミーをそれなりの確率で回避出来るようになる。運に恵まれずどうしても進めなくなったら、更なるレベル上げが必勝法となる。
  • 次に凶悪なのは、本作のラスボス。
    • ネタバレとなってしまうため詳細は省くが、当たれば一撃必殺の魔法「デソミー」を使ってくる反則ボス。なんだコリー同様、こちらも行動はランダム。
    • デソミーを確実に防ぐ方法は存在しないが、必中ではない。運が良ければ一回も使ってこない場合もあるし、全て回避できる場合もある。本当に運任せ。
      • ただし、ラスボスは「なんだコリー」とは違い再戦が非常に容易であり、その前提で調整された可能性がある。こちらもレベルを相当上げればデソミーは確率で回避可能である他、ラスボスがMP切れを起こせばその戦闘でデソミーは使えなくなる。

総評

とにかく、猫好きにはたまらないゲームである。
全体的に難度が高いものの、ゲームバランス面やユーザーフレンドリーさも前作以上によくまとまっている。
問題点になりうる戦略的要素の強い戦闘バランスも、それが肌に合うプレイヤーにとってはやりがいがある。
プレイする人によっては、傑作RPGになる可能性を秘めた一作かもしれない。

配信

  • 2010年には携帯電話(ガラケー)用アプリとしてカラーリメイクされている(参考)。
  • 2012年からはセレクションシリーズと同様、ゲームボーイ版が3DSのVCで配信されている。