Quantum Break
【くぉんたむ ぶれいく】
ジャンル
|
アクションアドベンチャー
|
|
対応機種
|
Xbox One Windows 10(64bit) Windows 7(64bit)~10(64bit) |
発売元
|
Microsoft Studios
|
開発元
|
Remedy Entertainment
|
発売日
|
【Oen/Win】2016年4月7日 【Steam】2016年9月30日
|
定価
|
【One】 パッケージ版:7,900円 ダウンロード版:7,400円 【Win】7,400円(全て税別) 【Steam】3,980円(税込)
|
レーティング
|
CERO:C(15才以上のみ対象) |
判定
|
良作
|
ポイント
|
素晴らしいドラマパート やや薄味なゲームパート ストーリーや演出の評価は高い
|
概要
良作ホラーアドベンチャー『ALAN WAKE』で脚光を浴びたRemedyが手掛けたTPS型アクションアドベンチャー。
今回のテーマは「時間」であり、時を操る能力を手に入れた主人公ジャック・ジョイスが世界の破滅を阻止せんとする戦いを描く。
「ゲームとドラマの融合」を謳っており、名優を多数起用したドラマパートでも話題となった。
ストーリー
ジャック・ジョイスは親友のポール・セリーンに招かれ、6年ぶりに故郷のリバーポート大学を訪れていた。
ポールはジャックの兄ウィリアムと共に"世界を一変させる"研究に従じており、ジャックに実験への協力を依頼する。
ところが実験は失敗し「時間の流れ」が断裂、同時にリバーポートを牛耳る企業モナーク・ソリューションズが大学を襲撃する。
ジャックは事故の影響で身に着けた特殊能力を用い、ウィリアムと共に時間の崩壊を食い止めるべく奔走するが……。
特徴
基本的なシステム
-
システムの基本はいわゆるTPS。
-
物陰に隠れながら、銃器や後述の特殊能力を用いて敵対する兵士を排除していくのがメインとなる。
-
主人公はジャックだが、部分的に他のキャラクターを操作する事になる(後述)。
時間を操る特殊能力
-
時間操作能力を駆使した戦闘スタイルが本作の大きな特徴。これらはクロノンソースと呼ばれるパワーを得ることでスキルアップが可能。
+
|
特殊能力
|
-
タイムヴィジョン
-
壁の向こうにいる敵やアイテムなどをレーダーのように透過クローズアップして、視覚的な戦闘補助を可能にする能力。
-
タイムストップ
-
敵の周囲の時間を遅くし、行動を封じることができる能力。
-
遠くの敵であっても狙いを定めて発動させることが可能。発動させた後に弾丸を大量に打ち込んでおけば、防御の高い敵でもすぐさま倒せる。
-
タイムドッジ
-
一定距離を高速移動して回避したり敵の不意を突いたりできる能力。
-
タイムドッジ後にはフォーカスタイムという短いスロータイムが発生するので、その間に敵を攻撃するスタイリッシュな戦闘が可能。
-
タイムシールド
-
自身の周囲に敵の攻撃を完全防御するシールドエリアを形成する能力。
-
追い詰められた際にダメージの回復としても使えるほか、敵の近くで形成すれば敵を吹き飛ばすこともできる。
-
タイムブラスト
-
力をチャージして、広範囲に衝撃を与える爆発を発生させる能力。
-
密集している敵や防御の高い敵に有効。時間操作能力の中では唯一直接的なダメージソースとなる能力でもある。
-
タイムラッシュ
-
周囲の時間を遅くしてその中を移動できる能力。タイムドッジとは異なり主人公自身の動きは通常速度であり、能力持続時間は長め。
-
タイムラッシュ中に敵に駆け寄れば、殴りつけてテイクダウンが可能。
|
-
時間操作能力を駆使した謎解きが登場する。
-
一部の場所の時間を巻き戻すことで、塞がれて進行不能な箇所を通ったり会話から情報を得たりすることが可能。
-
クレーンから落ちた木材を巻き戻してエレベータ代わりに使ったりと、謎解き・パズル的な要素になっている。
シナリオ展開
-
章構成になっており、各章の合間にシナリオの分岐パートと実写のドラマパートが挟まれる。
-
分岐箇所ではジャックではなく、あるキャラクターの視点に立って2つの未来から選択を行う。
-
このキャラはその能力によって、ある程度の未来を予見することができる。プレイヤーは、断片的に得られる未来の情報を基にどちらを選ぶのか決めることになる。
-
自分の好みの展開を選んでゲームを進めることが出来る上に、一度クリアすればどの章からでも再開できるため、分岐地点の章からやり直したりできる。
-
ドラマパートは主にジャック側ではなく、敵であるモナーク・ソリューションズ側からの出来事が描かれる。
-
各ドラマパートは30分近くあり、ボリュームはかなりある上にそのクオリティも非常に高い。
評価点
美麗なグラフィックと演出
-
今世代にもなると美麗なグラフィックというのはもはや当たり前とも言えるが、その中でも本作は1つ抜けている。
-
人物のグラフィックは実写とほぼ変わらないレベルである。動いてしまえばもちろん分かるのだが、画像を見比べても違和感なく見られる。実際に、動きの少ないオープニングで「いきなり実写パートが始まったと思ったらゲームだった」となったプレイヤーも多い。
-
「時間のひずみ」と呼ばれる時の流れがおかしくなった世界は、ただ単に物が静止しているだけでなく結晶の破片のちらつくような演出や、水の中を揺らいでいるような演出、短い巻き戻しと再生を繰り返しているような演出が混在している。これらの演出がアートのような世界を創りだしており、非常に評価が高い。
-
ひずみ内での戦闘は敵の残像が残り、演出だけでなく戦闘面で役立つ点も。
"時間を操っている"感
-
時間操作能力を用いた戦闘スタイルは、まさに時間を操っている無敵感・爽快感がある。
-
攻撃面でも防御面でもいずれかの時間操作能力が有効に機能するため、困ったときの切り札として信頼できる。
-
防御の高い敵に時間を止めてこれでもかというくらい弾薬を打ち込むのは爽快感がある。
-
隠れる ⇒ 撃つの単純な戦術ではなく、時には能力を頼りに敵の中心に突っ込んでゴリ押す戦術も可能。
ボリューム大の素晴らしいドラマパート
-
ドラマパートのクオリティは手放しで称賛できるほどに優れている。
-
登場する役者陣は皆海外ドラマや映画での実績がある俳優たち。どの人物も味があり、素晴らしい演技でドラマパートを盛り立てている。
-
アクションシーンやカーチェイスなどのダイナミックな演出も十分に盛り込まれている。
-
敵の動向に焦点を当てているため、ゲームパートのジャック目線とは別の、もう1人の主人公目線でストーリーを楽しめる。
ストーリー
-
後述する問題点もあるものの、タイムトラベルものにありがちな矛盾などはなく、伏線はほぼ回収される。
-
エンディング後の展開に続編を意識していると思われがちであるが、ゲーム内の資料などからどうなるかの予想はつくようになっている。
-
シナリオの分岐はゲームの展開、またドラマパートにまで影響を及ぼしている。
-
サブキャラが別人になるといったものや、ドラマパートは同じようなシーンでもカメラアングルや演出が異なっているなど異様な作り込みを行っている。
問題点
薄いゲームパート
-
敵の種類、武器の種類、スキルなどが少なく、パターンになりやすい。
-
武器は拳銃、自動小銃、特殊武器と3種類持てるのだが、各カテゴリの中での違いが少ない。アサルトライフルもサブマシンガンも弾薬数の違いと微量な攻撃力の違いくらいしか無い。
-
スキルは強化しても時間が延びる、回数が増えるといった単純なパワーアップをするだけである。そもそも難易度自体が高いわけではないので、パワーアップしても実感できる歯ごたえが少ない。
-
時間操作能力を駆使した謎解きは工夫されたものも多いが、こちらも数が少ないのが残念。
-
ボス戦といえる戦闘がラスボス戦とその手前くらいしかない。ストーリー的には仕方がないのだが…。
一部難解なストーリー
-
よく練られたストーリーである一方、随所に資料が用意されていたり、展開分岐があることで2周クリア前提な部分も存在する。
-
ただぼーっとプレイしているだけ、資料をよく見ないといったプレイだと、結局なんだったのか分からないまま終わるといったことも起こり得る。
-
一部の伏線、というよりキャラの設定についての謎は残ってしまっている。
-
また、さらに問題なのはローカライズが中途半端な点。
-
訳はそれほどおかしくないが、字幕が文節ではなく単語内で区切られるなどの不親切さが見受けられる。
-
ゲームを進めることで解放されていく主要キャラクターの音声日記、ゲーム内のビデオ映像はそもそも未訳。人物の重要な背景を知ることのできる独白なのに…。
-
設定を英語に変えても字幕が表示されないため、もともと字幕が用意されていない部分は訳していないようである。
その他
-
ドラマパートは敵側の人物をメインに進んでいくため、結果的に主人公の魅力が薄れがちである。
-
ドラマにおけるジャックの出番は全体の数分程度で、彼を演じるショーン・アシュモアの演技を楽しみにしていると拍子抜けすることに。
総評
アクションゲームとしてはやや物足りない一方、ストーリー展開や演出が非常に優れており、
ハイクォリティなグラフィックによってゲームとドラマの距離が非常に近いものとなっている。
他の作品がまだ挑戦できていない、「ゲームとドラマの融合」の第一歩にふさわしいと言える作品に仕上がっている。
余談
-
当初One専売を公言していたが、発売直前になってWin版との同日発売を発表。
-
Win版は推奨スペックが非常に高いため、Oneを持っていないからと気軽に遊べるわけでは無い点に注意が必要である。
-
Win版については当初プレイ環境がDirectX12を標準としているWindows 10専用でかつWindowsストア限定配信という形でしか入手できなかったが、普及を見込んでか、2016年9月30日にDirectX11対応版という触れ込みでSteamでの配信が開始された。これによりWindows7~8.1までの環境でも推奨スペックを満たしていればプレイ可能となった。
-
海外ではSteam版配信と同日に各種特典が同梱されたパッケージ版である「Quantum Break: Timeless Collector's Edition」が発売されている。
-
One版では常時オンラインに接続できないユーザーの為にドラマパートのデータをインストール可能となっているが、その容量が75.61GBもある。
-
本編の容量が45.72GBなので合計すると121.33GBとなり、当時のコンシューマーゲームとしては破格の容量である。現在はもっと容量のあるゲームも増えてきている。
-
なお、Win版はストリーミング方式限定となっている。
最終更新:2022年11月06日 16:00