名探偵コナン 大英帝国の遺産
【めいたんていこなん だいえいていこくのいさん】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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バンダイ
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発売日
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2004年11月18日
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価格
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6,800円(税別)
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判定
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なし
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名探偵コナンゲームリンク
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概要
名探偵コナンのゲームシリーズでは初にして唯一のPS2作品。据置シリーズでは珍しくコナンを直接操作して捜査を行う探索型ADV。
グラフィックの向上に合わせて、コナン達が3Dで描かれているのが最大の特徴。
ストーリー
先月亡くなったノンフィクション作家・利根英二郎の息子・貴洋氏と航介氏に招待された小五郎は
コナン、蘭を連れて、この南海の小島にやってきた。
しかし、そこには利根英二郎の残した遺産をめぐる複雑な人間模様が渦巻いていた。
そんな折、何者かにより外部へと続く唯一の道である橋が爆破されてしまう。
完全に孤立化したコナンたち。そして次々と巻き起こる様々な事件と問題。
この完全な孤島で、真相は解明されるのか…
(公式サイトより)
特徴
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ビジュアルスクラッチシステム
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今作の推理で使用するシステム。容疑者たちの証言を聞いたり現場を調べることで「ピース」が手に入る。
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ストーリー進行に伴って提示される「キーリール」にピースを嵌めて「ビジュアルファイル」を作成する事で物語を進めていく。
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ビジュアルファイルには証言・アイテム・トリック・情報といった2~4つのピースを選んでいき、全て正解なら先へ進める。
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嵌めたピースが正解かどうかは作成時に○と×で成否が表示される。
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完成したビジュアルファイルを登場人物に見せることで新たな証言を引き出せることもある。
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そして、ある程度進むと、これまでに獲得したビジュアルファイルを組み合わせて犯人を推理する。これが「ビジュアルスクラッチ」と呼ばれる。
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今作ではマップ、キャラクターが全て3Dポリゴンで表現されている。
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一部アニメーションムービーもあるが、ほとんどの場面は3Dキャラたちで進む。
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特定の場面やミニゲームでおなじみである博士の発明品が使える。
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ミニゲームをクリアしたり、何気ない場所を調べるとキャラクター設定やBGMを閲覧できる「コナン手帳」が埋まっていく。
評価点
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シリーズの伝統で、キャラクターはフルボイス
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イベントシーン以外の何気ない台詞も全て声付きで喋ってくれるのでアニメを見ている感覚を楽しめる。声優陣も超豪華。
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例えば、扉を調べた際のコナンの独り言までフルボイス。ここまで細かく声が付くゲームは少ない。
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3Dグラフィックもなかなかのレベル
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コナンたちのビジュアルもほぼ違和感がなく、上手に立体化されている。
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舞台となる館の内装もよく作られており、「意図的に湖に水没しかけている」という特殊なデザインを活かして立体化されている。
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ストーリーも良好
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複雑に絡み合った人間関係、次々と巻き起こる事件の連続、二転三転する展開、そしてどんでん返し、となかなか良く出来た物語は好評。
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登場人物たちは一枚も二枚も裏のある人物ばかり。声優陣の熱演もあって、しっかりキャラが立っている。
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メインストーリー以外にもいくつかのサブイベントが存在しており、各キャラクターの掘り下げに貢献している。
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キャラが3Dになったおかげで演出面もパワーアップしており、終盤はまさに劇場版のような展開を楽しめる。
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事件のトリックもアニメ版のようにちゃんと映像で表現されるため、分かりやすい。
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コナン辞典の内容もなかなか豊富
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登場人物の紹介はメインキャラクターは2ページあり、1ページ目は3Dキャラと紹介文、2ページ目はアニメ用の設定画を見ることが出来る。
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アニメムービーも全て見返すことが可能。BGMもアニメムービー中に流れる曲を除いて全て視聴出来る。
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さらに『名探偵コナン (PS)』~『名探偵コナン トリックトリック vol.1』までの据置4作品のパッケージも収録されている。
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なぜか1作目のみベスト版のパッケージになっている。
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クリアデータをロードすると2周目がプレイ出来るが、2周目では一部のイベントをスキップ出来るため、取り忘れたコナン辞典やピース探しに集中できる。
問題点
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カメラワークやマップの関係で迷いやすい
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カメラは一箇所に固定されており、コナンを追いかけて回転するのみ。特定の場所まで行くと視点が切り替わる『バイオハザード コード:ベロニカ』のような形式になっている。
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問題はカメラの位置が悪く、一部階段などが見にくくなってしまっており操作にも難が生じている。
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マップも移動に応じて回転し、似たような作りの部屋も多いので迷いやすい。
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全体マップ画面から選択した場所へ直接移動できるが、移動できるのは誰かがいる部屋に限られるため、誰もいない場所へ行くためには徒歩しかなく不便。
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館が3階建てで外もあるためかなり広く、コナンが子供という事もあり足が遅いため、移動は非常に面倒。
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ロードが長い
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部屋に入るたびに長いロードが挟まるのでテンポが悪い。
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上記の直接移動の際も部屋の前の廊下に移動するため、無駄にロードが挟まってしまう。
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一部フラグの立て方が分かりにくい場面がある
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ネタバレ含む
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例えば第三章で、一階の水を抜くため、英二郎の部屋を探索して各国の時差に関するメモを発見するが、次に何をすべきかが分かりにくい。
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この場面は、特定の部屋に置かれている時計を調べ、全ての時計を調べ終わると新たなピースが手に入り、先へ進める。
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一応、それまでの調査から館の構造が世界地図に似せてある事、いくつかの部屋に時計が置かれていることは判明しているので、ちゃんと考えれば見当はつくのだが…。
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プレイヤーの介入できる余地が少ない
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基本的に各章で館内を探索し、ピースを集めていき、一定数集まったらビジュアルファイルを解くだけ。
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前述のようにビジュアルファイルに嵌めたピースの正解不正解が示されるので、適当にやっていても簡単に正解できてしまうため難易度は非常に低い。
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自分で犯人を指名したりすることは出来ず、コナンの推理を聴いていくだけなので推理ADVとしても微妙。
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登場する原作キャラが少ない
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登場するのはコナン、蘭、小五郎、平次、和葉のみ。
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原作でも話によっては登場人物が絞られる事もあるのでそういう話であるだけとも言えるが、やはりレギュラーキャラの多い作品だけに登場しないキャラが多いのは残念である。
総評
大英帝国の遺産を巡る壮大なストーリーが魅力的で、キャラゲーとしても上質な作品。
しかし、ロードをはじめとするシステム面の評価が厳しく、推理ADVとしても今一つな感なのは否めない。
総じてファンなら楽しめる出来に落ち着いている。ストーリーに魅力を感じるならプレイしてみてはいかがだろうか。
最終更新:2021年05月11日 12:36