The Witcher 3: Wild Hunt

【うぃっちゃーすりー わいるどはんと】

ジャンル アクションRPG




対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows
Nintendo Switch
発売元 日本 スパイク・チュンソフト
北米 Warner Bros. Interactive Entertainment
西欧/豪州/NZ/韓国 BANDAI NAMCO Entertainment
Windows(海外) CD Projekt Red
開発元 CD Projekt Red
発売日 通常版(PS4/One/Win)
海外 2015年5月19日
日本 2015年5月21日
GOTY(PS4/One/Win)
海外 2016年8月30日
日本 2016年9月1日
Complete Edition(Switch)
海外 2019年10月15日
日本 2019年10月17日
通常版(Switch)
日本 2021年1月28日
定価 パッケージ版 8,200円(税別)
ダウンロード版 7,380円(税別)
Steam配信版 6,080円(税8%込)
GOG.com配信版 $49.99*1
GOTY版 6,400円(税別)
Complete Edition 6,480円(税別)
Switch通常版 5,588円(税10%込)
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
備考 同一ハードでも通常版とGOTY版のトロフィー/実績は別
判定 良作
ポイント 全てのRPGを凌駕した傑作アクションRPG



全てのRPGを凌駕する



概要

ポーランドのファンタジー小説『Wiedźmin』を原作にしたRPG『The Witcher』シリーズ3部作の最終作にして、小説から続くゲラルトの最後の物語。

中世ヨーロッパ風のオーソドックスな剣と魔法の世界を舞台にしたゲームだが、重厚かつ濃密に構築された設定が特徴的。
プレイヤーが操る主人公「リヴィアのゲラルト」はこの世界において魔物退治の専門家とされる "ウィッチャー" の1人である。
広大な世界を魔物を狩りながら旅しつつ、自らの人生の目的を達成していく。

ストーリー、フィールド、キャラクターといった各要素の高い完成度が世界中のプレイヤーを魅了し、「The Game Awards」及び「Game Developers Choice Awards」にて2015年 Game of the Yearを受賞するなど、非常に高い評価を得た。


これまでのゲラルト

ウィッチャー

ウィッチャー達の間では死亡したと考えられていたリヴィアのゲラルトが、ワイルドハントと呼ばれる亡霊の軍勢に追われ、ウィッチャーの仲間たちの元に突然の帰還を果たした。
だが彼は、それまでの記憶をすべて失っていた。
ウィッチャーは政治的に中立の立場を取るのが常道だが、運命はゲラルトを犯罪者たちの構想や国家転覆計画、そして王たちの陰謀へと引き込んでいった。
ゲラルトは、北方諸国の一角をなすテメリア王国のフォルテスト王を暗殺から救う。
Win版のみの発売、日本語訳も有志によるMODのみ。


ウィッチャー2 王の暗殺者

フォルテスト王は別の暗殺者によって命を奪われ、その罪を着せられたゲラルトは逃亡を余儀なくされた。
テメリア国王暗殺の黒幕は、北方侵略を目論む南の大国ニルフガード帝国だった。
帝国は秘密裏に蛇流派のウィッチャーを雇い、北方諸国の王を次々と亡き者にしていたのである。
ゲラルトはついに記憶を取り戻し、王殺しの疑いも晴らして名誉を取り戻すことに成功する。
Win版の他に360でも発売され、公式でも日本語対応がされた。
『3』とは若干訳が異なり、吹き替えもされていない。


ウィッチャー3 ワイルドハント

北方諸国は政治的混乱と非人間族の反乱によって疲弊しきり、ニルフガード帝国の侵略に抵抗できる状態ではなくなっていた。
一方、ゲラルトが取り戻した記憶の中には、かつての恋人イェネファーのことも含まれていた。
政争からようやく解放された彼は、愛する者たちの捜索を始める。本作の物語はここから始まる。


特徴

ウィッチャーシリーズの世界

本シリーズの舞台となる世界を遠い昔に支配していたのはドワーフ等の非人間族であったが、23世紀前に別の異世界からやってきたエルフ達(アイン・シーデ)が世界各地の王国や文明の開祖となった。
15世紀前に「天体の合」と呼ばれる魔法の大変動により魔法や怪物、そして人間たちがもたらされた。
当初は "難民" でしかなかった人間だが、生き抜くために戦い続け、500年前から現在まではすでに "難民" ではなく "征服者" と言えるほどに勢力を増し、非人間族は差別と弾圧の対象となるようになった。
文明レベルは中世*2から近世ヨーロッパのごちゃまぜであるが、株取引が行われていることや、錬金術の発達、細菌や遺伝子の知識が人々にあることに加え、病気が細菌性であることも判明しているなど部分的には17-19世紀の水準にあるとみてよい。

ウィッチャーは人間たちが怪物や魔物の脅威に対抗するため、人間に魔法と人工的な変異を施して生み出された存在であり、超人的な能力や耐性を身に着けた怪物退治のスペシャリストである。2本の剣と猫のように変異した瞳が特徴。
ただしその生業や風貌から非人間族と同様の迫害を受けてきた存在であり、ゲーム内でもそのことを嫌というほど認識できる。

前2作で国家間の陰謀に巻き込まれたゲラルトだが、本作でもその情勢がゲラルトの冒険に及ぼす影響は大きい。
テメリアを滅ぼし勢いにのる南のニルフガード帝国と、北方を併呑し搦め手で対抗するレダニア王国の2大国の対立が主となる。
特にレダニア王国の推し進める魔女狩り政策は、ゲラルトの友人たちにとっても大きな脅威となっている。

「異世界」「天体の合」「非人間族」「魔法」「戦争」「宗教」「迫害」などが本作の背景を知る上での重要なキーワードとなる。

+ 主要な登場人物
  • リヴィアのゲラルト
    • 本作の主人公。100年近く生きるベテランウィッチャーで「白狼」「ブラビケンの殺し屋」等の異名を持つ。
    • 『1』『2』で失っていた記憶は取り戻しており、恋人のイェネファーと養女シリを探すことが彼の目的。
    • とにかく女好きで、恋人のイェネファーとトリス以外にもしょっちゅうちょっかいを出している。
      • ウィッチャーは肉体変異の影響で子供を作れないが、行為は行えるようである。
  • シリラ・フィオナ・エレン・リアノン
    • シリの愛称で呼ばれるゲラルトの養女。
    • 「古の血脈」と呼ばれる特殊な力を受け継いでおり、それをワイルド・ハントに狙われ、逃亡生活を送っている。
    • ニルフガード帝国のエムヒル皇帝の実の娘でもある。なぜ皇帝の娘がウィッチャーに育てられたかは原作にて語られている。
  • ヴェンガーバーグのイェネファー
    • ゲラルトの恋人であり、魔女。
    • 数年前にゲラルトと共に行方不明になっていたが、現在はニルフガード帝国のエムヒル皇帝と協力関係にある。
    • 彼女もシリを娘のようにかわいがっており、独自に行方を追っている。
    • 魔女も不老のため、100歳近い年齢。
  • トリス・メリゴールド
    • 『1』『2』に登場したヒロイン。
    • 現在はノヴィグラドに身を隠しながら迫害を受ける魔術師たちの逃亡を手伝ったりしている。
  • ヴェセミル
    • ゲラルトの師で老練なウィッチャー。ケィア・モルヘンより長生きと言われている。
  • ランバート
    • ゲラルトと同門の狼派ウィッチャー。
    • トゲのある物言いをするがゲラルトとは固い絆で結ばれている。
  • エスケル
    • ゲラルトと同門の狼派ウィッチャー。
    • ゲラルトとは同年代で幼少の頃から訓練を生き抜いた仲。
  • ダンディリオン
    • ゲラルトとは旧知の仲の吟遊詩人。本作の語り部でもある。
    • 恋多き男でゲラルトもびっくりの女性遍歴。
    • 原作原語版、及びドラマ版での名称はヤスキエル。原作の翻訳版ごとに名前が異なり、ダンディリオンは英語版に準ずる。
  • エムヒル・ヴァル・エムレイス
    • ニルフガード皇帝。テメリア王都だったヴィジマ城を占拠しており、北方諸国との戦争を指揮するためにそこに来ている。
    • 実娘であるシリに帝位を継がせるためにイェネファーとゲラルトにシリ捜索を命令する。
  • ラドヴィッド5世
    • 厳王を自称するレダニア国王。
    • 残虐で狡猾な性格で狂王が相応しいといわれているがニルフガードに抵抗できているのは彼の戦略に依るところが大きい。
  • 血まみれ男爵
    • 戦火で領主のいなくなったヴェレンのクロウパーチを占拠して領主を自称する。
    • シリの行方を追って彼の所に行き着き、情報を得るために男爵の依頼を受けることになる。
    • 本名はフィリップ・ストレンガー。血まみれ男爵の由来は、かつて染色工場を制圧した際に赤の染料が川に流れ出たのを敵兵を皆殺しにしたと勘違いした人々によるもの。
クエストの種類

多くのオープンワールドRPGと同様に、本作も様々なNPCからクエストを受注・達成することでストーリーを進めたり、装備やアイテムに必要な資金を稼いだりできる。
クエストはストーリーの流れに沿って自動的に進行していく「メインクエスト」と、自由に攻略できるサブクエスト類(サイドクエスト・依頼・トレジャーハンド)に大分できる。
メインクエストだけでも相当なボリュームでなおかつ筋の通った大河ドラマになっており、サブクエスト類を一切プレイしなくてもいわゆる「ごく普通のJRPG」のように楽しめるのが特徴。
本作ではクエスト達成による経験値が多く、怪物等の戦闘ではあまり経験値は得られない。
そのためクエストをクリアしていけばどんどんレベルアップしていく。
ただし、クエストに表示されているレベル以上だと得られる経験値は少なくなる。
レベルアップすれば装備できるスキル数が上がったり、より性能のいい武器・防具を装備したり入手できたりする。
クエストには以下の4種類があり、それぞれ特徴がある。

+ クエストの種類
  • メインクエスト
    • 本作の本編にあたるクエスト。恋人である魔女イェネファーと養女シリを探してホワイト・オーチャード地方に行き着くところから始まる。
    • 全体がチュートリアルのようなホワイト・オーチャード編を終えて以降はいくつかのルートに分岐しつつ進んでいく。
  • サイドクエスト
    • 本編とはまるっきり関係のない独立したクエストから、メインクエスト本編に影響を及ぼすクエストまで多数。
    • ふらっと立ち寄った村で急に始まったり、メインクエストで会った人物に再び会いに行くと始まったりと発生条件が豊富。
    • 幅広く長大な展開が用意されているものも。
  • ウィッチャーへの依頼
    • 怪物調査と退治を依頼されるクエストであり、主に掲示板に張り出された依頼を見ることで開始される。
    • 周辺住民に聞き込みをしたり被害の現場や被害者の死体を調査したりと、最初のうちは「探偵色」が非常に強い。
    • 怪物の正体が分かるとそのまま戦闘に入ることもあるが、罠やエサでおびき出したり呪いを解いたりすることもできる。
    • 単に討伐するだけでなく、事情を鑑みてプレイヤーの選択で見逃せる場合もある。
    • 基本的な流れは掲示板で依頼を見る → 依頼人の話を聞く → 現場を探索し怪物の正体を見極める → 退治という流れだが、依頼を受ける前に怪物が巣食っている場所へ乗り込んで倒してしまうことも可能。その場合は退治後に依頼が出ていないか探すことになる。
  • トレジャークエスト
    • 隠された宝箱、もしくはウィッチャー専用装備を作るための設計図を捜すクエスト。
    • 前者は地図上の「隠された財宝」マーカーの地点で手紙などのクエストアイテムを読むと発生するミニクエスト。
    • 後者は主に店売りされている宝の地図を読むことで発生するクエストで、いくつかの箇所に隠された設計図を見つけるクエスト。
ウィッチャーの戦闘・戦術

ウィッチャーは怪物と有利に戦うために様々な手段を習得しており、プレイヤーもそれらを用いて怪物に挑むのが基本となる。
各怪物に有効な手段が定められており、評価点にて後述する「大事典」にて確認することができる。
戦闘で使用することになるアイテムは製法を見つけることで素材となるアイテムから制作するクラフトシステムによって入手する。

+ ウィッチャーの戦闘・戦術
  • 鋼の剣 / 銀の剣
    • ウィッチャーの特徴とも言える、背に掛けた二振りの長剣。戦闘の際は最終的にこれらの剣で叩き切るのが基本となる。
    • 鋼は主に対人用、銀は対怪物用となっており、戦闘の際は自動で適切な方を抜刀する。
    • 武器の中には最大3つの空きスロットが付属しているものも存在し、ルーン石と呼ばれるアイテムを嵌めることで様々な強化が可能。
  • 防具
    • 軽装、中装、重装の3種類があり、軽装は防御力が低い代わりに気力の回復が早く、重装はその逆となっている。
    • ウィッチャー各流派の装備も存在し、強力なアビリティを得ることができる。
    • 武器と同様に最大3つの空きスロットが付属しているものも存在し、特殊な刻印を施すことで様々な強化が可能。
    • ゲラルトの愛馬ローチにも鞍、鞍袋、討伐の証といった専用アイテムを装備させることができ、それぞれ所定の効果を得られる。
    • いわゆる魔法。ただし、ウィッチャーの用いる5種類の印は片手で扱う小規模なものであり、主に戦闘補助として用いる。
    • 印の使用には気力を消費し、回復するまでは再使用できない。
    • どれも一長一短があり、相対する敵によっても相性がある。戦闘中でも自由に換装できるため、適切な使い分けが重要。
    • 後述のスキルでパワーアップさせれば、通常とは違うモードを発動したり、主力級の絶大な効果を発揮したりする。
  • オイル
    • 剣に塗布するオイル。有効なオイルを選んで切りつけることで、追加ダメージを与えることができる。
    • 一度塗ったオイルは一定回数敵を切るまでは効果が尽きることは無いが、基本的に1本の剣に1種類しか塗れない。
  • 霊薬
    • 様々なバフ効果を与える薬。戦闘及び冒険においてゲラルトの行動を優位にする。
    • 「中毒度」という値が定められており、飲むごとに上昇し一定値以上になるとHPが減少してしまう。
  • 爆薬
    • 手投げ爆薬。爆薬の種類によって様々なデバフ効果を怪物に与えることができる。
    • 透過などの特殊能力を封じる他、対人集団戦でも要所で使えば絶大な効果を発揮する。
  • 錬金術
    • 前述のオイル、霊薬、爆薬を所定の材料を消費して作成する要素。
    • 材料だけでなく設計図が無ければ作れないが、より上質な設計図を手に入れればより効果の高いオイル、霊薬、爆薬を作成できる。
  • 錬金アイテムの有限性と無限性
    • オイル、霊薬、爆薬は一度作成すれば、戦闘において使い切ったとしても瞑想(待機)することで完全に回復する。
    • そのため長期的に見れば無限に使えるわけだが、戦闘時には使える回数が限られている上に「中毒度」の問題もある。
    • 乱用はできないが、それゆえに必要数を大量に持ち歩くといった面倒さも無い。
  • アドレナリン
    • 攻撃を当てたり、ダメージを受けると戦闘中に増加する。
    • スキルを得ることでアドレナリンを消費して強力な連続攻撃を繰り出したり、HPが0になったときに復活できるようになる。
    • アドレナリンは戦闘終了後に徐々に減っていく。
  • その他
    • 補助武器として石弓、斧、メイスなどが装備可能。
    • 他作品では猛威を奮いがちな遠距離武器であるが、本作は石弓のみであり攻撃力も抑えられている。従って近接戦闘がメインとなる。
ウィッチャーの感覚

ウィッチャーの超人的な感覚が可能にする特殊能力。
感覚を研ぎ澄ませることで特定の痕跡(音・におい・足跡・仕掛け・敵等)を捉えることができる。
ゲーム上は重要なアイテムや痕跡が色付きで表示され、視覚的な面で冒険をサポートしてくれる。
使用制限は無い上に用途が幅広く、本作を進める上で欠かせない要素となっている。

スキルと変異誘発剤

経験値を積んでレベルアップ→スキル習得という流れは珍しいものではないが、本作のスキル習得はやや特徴的。
スキルは「戦闘」「」「錬金」の3系統に分かれており、それらは習得しただけでなく装備しないと効果がない。
スキル装備枠はレベルアップとともに増えていくが、スキル装備枠とは別に変異誘発剤装備枠が存在する。
変異誘発剤は主に倒した怪物から手に入る特殊な薬剤であり、これにもスキルと同様に「」「」「」の3系統が存在する。
専用のスキル装備表において、同系統のスキルと変異誘発剤が同グループに属するよう適切に装備することで特定のボーナスが得られる。

変異誘発剤はそれ自体を錬金術によって強化することもでき、より高いボーナス効果が得られる。
また、変異誘発剤装備枠には倒した怪物から得られる「(怪物名)の変異誘発剤」を装備することができ、ボーナス効果に加えてさらに特殊な効果を得ることが可能。


大型アドオン

第1弾 Hearts of Stone~無情なる心~

2015/10/13配信。一部のフィールドマップが拡張され、大型メインクエストと幾つかのサイドクエストが追加。
さらに武器・防具の強化効果を拡張する「ルーン細工師」が登場。その他細かな追加要素多数。
メインクエストは意外な展開の連続。いつもの通り、怪物退治を請け負ったゲラルトだが船で難破したと思ったら次の展開では女性をナンパしているなど、ゲラルトの立場が二転三転する。
本編序盤に登場したある人物がキーマンとして登場。その他、登場人物に関しても過去作のプレイヤーも今作のプレイヤーも驚く人物たちが登場する。


第2弾 Blood and Wine~血塗られた美酒~

2016/5/31配信。発売から1年以上経ただけあって、ボリュームたっぷりの超大型アドオン。
フィールドマップがまるごと1つ追加。比較的暗い雰囲気だった本編フィールドと対照的に、「愛とワインの都」と呼ばれる明るく華やかな地を舞台としている。メインクエストを軸にサイドクエストは多数。
アンナ・ヘンリエッタ女公爵の呼び出しに応じて大陸南部のトゥサンへ訪れたゲラルト。未知の怪物による連続殺人事件の調査を依頼されることになる。
依頼を受けた見返りとしてゲラルトに競売にかけられた元貴族の屋敷と使用人が贈られる。屋敷は自宅として利用可能で改修や庭園に花を植えるなどできる。
自宅のベッドなどを利用するとボーナスが得られるなどの恩恵もある。
新たな敵も多数追加され、本編では用途の薄かったアイテムも日の目を見るようになった。
魅力的なキャラクター、スキル構成の拡張、自宅のカスタムなど追加要素は多種多様で豊富。
本編は2015年発売だが、このDLCのみでそれぞれ2016年 Game of the Yearに選出されるほどの出来。

  • 2点の大型DLCは推奨レベルが本編クリアの前後に設定されており、戦闘の歯ごたえも本編より高め。
    • 追加ストーリーやイベントは本編とはかなり毛色の異なる内容で構成されている。長大なメインシナリオを制覇し、大きな目標を失って喪失感に囚われたプレイヤーがもう一度新鮮な感覚で本作の面白さに浸っていけるように作られている。
      • クエストのパターンも目新しく、本編よりもさらに娯楽性が高まっていて、本編だけで終わってこちらをやらないと勿体無いと思えるほどの出来栄え。
  • その他にも小規模なDLCとして装備の設計図やクエスト、一部登場人物の衣装変更などが配信されている。
    • 『Game of the Year Edition』はこれらのDLCが最初からすべて収録されている。

評価点

緻密に表現された広大な世界

  • 本作の舞台となる世界はこの地を取り巻く文化・宗教・歴史・戦争・政策などを元に緻密に表現されている。
    • 地域によって起こるクエスト展開やイベントも独特であり、人々の暮らしや人間性にも地域差があることを感じ取ることが出来る。
    • 人々は皆生きるために物を売ったり、洗濯したり、狩りをしたり、酒場で酔っ払ったり、罵声を浴びせたり、派閥に属して横暴を働いていたりと様々な行動をしている。ゆえにクエストで彼らと関わるときの成り行きや反応にもリアリティがある。
      • 長いストーリーを通して開き直って堂々と差別する腐りきったレイシスト野郎や、下衆な暴漢の脅迫にも怯まず主義を貫いてマイノリティを保護する若者、裏社会の暴力的なボス、倒錯した変質者、親殺し、芸人一座、最低限の理性はあるが気の毒なほど頭の鈍いトロールなど様々な人物と出会っていくことになる。
    • NPCの住人たちは独り言や井戸端会議などで様々な内容のことを話しており、クエストや世界情勢に関することから興味本意に脚色された噂話の他、進行状況に応じてゲラルトが関わった事件が人々の噂となって反映されるなど、ワールドが有機的にデザインされている。
    • ゲーム内での経済も再現されており、物品の購入/売却時の価格は地域や商売人の専門分野毎に細かく違いがある。
    • こういった多くの人々と街が地域特色のある広大なマップとともに作り込まれているのは圧巻の一言。壮麗な山々や海に沈む夕日などの自然風景も非常に美しい。
  • 社会の明るい面も暗い面も焦点が当てられており、両者が同居したコントラストの強い世界はゲームに深みをもたらしている。
    • 大都市の中での地区ごとの貧富格差もはっきりと表現されている。
    • 何のイベントも機能もない庶民の家に入って暮らしぶりを眺めることも出来、オープンワールドにありがちな「ガワだけの箱庭」という印象はあまり感じない。
    • 大都市には普通の商店や鍛冶屋だけでなく娼館も存在し、プレイヤーも利用することが可能。男娼もいるがゲラルトは完全な異性愛者なので客になることはできない。
    • 戦場跡地に残された死体や罪人の処刑風景が生々しく表現されている。
    • 双方ともにローカライズにあたっての修正はあるものの、雰囲気を著しく破壊するほどでは無い。
  • クラフトの素材となる薬草、鉱物、怪物の部位などがMMORPGなどでよくあるように豊富な種類が存在し、それらを組み合わせる作業がファンタジーの雰囲気を引き立てている。

発見に満ちたフィールド

  • オープンワールドの大きな楽しみであるフィールドの探索は本作の売りの1つ。村や街から出ると広大な自然が広がっており、気の向くままに歩いてみることができる。
    • 森や平原は美しいだけでなく、獣や怪物や盗賊がうろついているため油断していると襲撃を受け、時々周囲の敵よりも遥かにレベルの高い強大な敵に出くわすこともある。
    • フィールド上には街道が引かれており、道なりに進めば馬の体力消費もなく比較的安全だが、道を外れて進んでみるとウィッチャーにとって目ぼしい発見があることも。
  • フィールド上には街道、町や村などの居住地の他に「探索ポイント」が膨大な数設置されている。
    • 探索ポイントの内容は盗賊の野営地であったり、怪物や盗賊に占拠された集落であったり、はたまた人知れず眠っている財宝であったり、怪物の根城であったりと様々。
    • 基本的に内容はゲラルトにとって危険だがメリットになるものであり、これらを全てチェックするだけでも一般的なリニア進行のRPGを2本ほど制覇できる程度の時間を要し、「フィールドのスカスカ感」とは無縁である。
      • それだけでなく、こうした探索ポイントには宝探しのクエストに関連したりそこに関わった人々の背景設定を持つものも豊富にあり、「ただそこにあるだけ」という味気なさとも無縁である。
  • 遺跡や廃墟、何かが残されていそうな難破船など好奇心をそそる物も多数存在する。
  • 自由探索中にゲラルトが仕事を請け負わない状態でクエストの討伐対象に指定された怪物に出会って倒してしまっても、後で依頼主のところに行けば報酬をもらうことができる。
  • 3Dオープンワールドであるため当然ながらフィールドはシームレスに繋がっているが、ゲラルトが訪れることのできるエリアは4つに分割されている。それぞれは地理的にも離れていてエリア間での移動はロード暗転を挟む非シームレスである。
+ 各フィールド
  • ホワイトオーチャード
    • 物語序盤にゲラルトとヴェセミルが訪れる、旧テメリア領の村。
    • チュートリアルも兼ねており、メインとなる舞台とは別マップになっている。
  • "主無き地" ヴェレン
    • 物語の序盤の舞台となる地。ニルフガードと北方諸国の戦争被害を直に受けた地。
    • 地域背景に即して陰鬱なクエストが多い。「森の貴婦人」と呼ばれる信仰が根付いており、ゲラルトは対峙することになる。
    • 下記「ノヴィグラド」とは物理的に接続しており、ゲーム中では別な地域として扱われるが移動する際は地続きで移動できる。
  • 世界最大の都市 ノヴィグラド
    • 非常に大きな港湾都市であり、様々な種族を含め多くの住人が暮らしている。初来訪時のインパクトは大きいはず。
    • 貴族間で豪勢なパーティーが催される一方で、市民間では宗教を後ろ盾に凄惨な政策が行われている。
  • 戦士の島 スケリッジ諸島
    • 物語の終盤の舞台となる地。大小の島々で構成され、名誉と勇気を第一とする屈強な部族が住む。
    • アルプス山脈を思わせる非常に美しい自然が表現されており、景色を見ながら散策するだけでも楽しい。
  • "ウィッチャーの居城" ケィア・モルヘン
    • ゲラルト達“狼流派”ウィッチャーの居城。1作目序盤の舞台にもなった場所である。
    • 険しい山々に囲まれた美しい土地。物語を進めることで訪れることができるようになる。
  • 美徳とワインの国 トゥサン
    • 大型拡張アドオン「Blood and Wine 血塗られた美酒」にて追加されるマップ。
    • 本編の舞台である北方とは異なり豊かな南の地であり、戦乱による荒廃とは無縁で、豊富な食料や荘厳な宮殿、ブドウ畑など富が強調された地域。
    • モチーフは主にフランス。地中海ヨーロッパの要素も含む。
  • マップ面積は約136平方kmであり、『Grand Theft Auto V』とほぼ同等。豊富なロケーションによって濃密に完成されたその世界は実際の面積以上に広く感じられ、更に上記のアドオンによってより広大に拡張される。
    • オープンワールドではなかったとは言え、前作のマップと比較するとそのスケールは35倍以上に及ぶ。


没入感が高くプレイヤー選択で変化する各クエスト

  • クエストはメイン・サイド共に非常に多彩で、その全てにプレイヤーによる選択肢が存在する。
    • メインクエストだけを進めたとしても充分すぎるほどのボリュームがある。
    • ほぼ全てのクエストでプレイヤーの選択が結末に影響を及ぼす。正義と悪のはっきりした選択肢は存在せず、何をもってそれを判断するかもプレイヤー次第。
    • 時には良かれと思って選んだ選択肢が悲惨な結果を生んだり、覚悟して選んだ厳しい選択肢がもう一方では判明しなかった意外な真実を暴いたりする。
    • 様々なクエストで選んだ選択肢の全体的な傾向が、プレイヤーの人間性として他のクエストでの展開を左右する場合もある。
    • 周回プレイで一度クリア済みのクエストを進める際も、前回と違った選択肢を取った際の進行が楽しみになるためダレにくい。
    • 一部選択肢には選択に時間制限のあるものも。会話イベントだからと油断していると選択の機会を逃してしまうことに。
    • エンディングはメインで取った選択肢やクリアしたサブクエストに影響され、3種類の結末とその他細かい分岐により36パターンに分かれる。
  • 選択肢云々を抜きにしてもクエストのシナリオ的な完成度は高いものが多い。
    • 1本の良質なサスペンス映画を感じさせるものから、魅力的な仲間たちとの共闘総力戦といったツボを押さえたものまで。
    • 「ウィッチャーへの依頼」を筆頭に、一見無関係に見える手がかりや真相から徐々に核心に迫っていくクエスト手法は、嫌でもプレイヤーを引き込んでいく。
    • シリーズ経験者でなければ馴染みの無い用語や登場人物の登場も絶妙にプレイヤーの没入感と興味を煽る。
  • 大型アドオン2種は内容・ボリューム共に充実にしていて非常に好評。
    • 特に、「無情なる心」のあるイベントは娯楽性が高まっていて演劇をプレイしている感覚になる。


緊張感のある戦闘と柔軟性の高いスキルビルド

  • 怪物との戦闘においてはいわゆるゴリ押しが効かず、緊張感のある戦闘を楽しめる。
    • どの敵でも剣コンボで一気に畳み掛けようとしてもバックステップなどで回避されたりガードされて簡単に反撃されてしまう上に、霊薬や回復アイテムの類もシステム上がぶ飲みができない。
    • ゆえにプレイヤーは相手の動きを観察して、こちらも回避するなりガードしてカウンターを取るなどといった戦術が必須となる。
    • さらに優位に立つ方法を探っていくと、プレイヤーは自然と相手の弱点となる印や爆薬を使用したりとウィッチャーらしい戦い方になっていく。
    • もちろん難易度が高いと感じたら、難易度設定を調整するなりレベルを上げて強い防具を身に着けるなりすればある程度のゴリ押しも可能。
  • スキルはプレイヤーの様々な戦い方に対応できる。
    • 戦闘に慣れていくとプレイヤーの好みによってその戦い方も変わってくる。本作のスキルは多種多様であるものの、基本的には必須となるようなスキルや超強力なスキルは存在しないため、バランス良く様々な組み合わせができる。
    • スキルビルド作業それ自体にもパズル的な面白さがあり、自分のゲラルトの力をより引き出すためにボーナスを狙って効果的なビルドを組み上げたり、全く違うプレイスタイルに挑戦するためまずは最善のスキルビルドを考えたりと楽しみは大きい。
+ 軽いネタバレあり
  • メインクエストを進めていくとゲラルト以外の人物を操作できるパートも何か所かあり、普段と違った戦闘を楽しめる。


魅力的なキャラクター達とそれを支える訳者・声優陣

  • 登場するキャラクターたちはどれも個性的かつ魅力的。人物の顔の造形はリアル過ぎず美形すぎず、大抵のプレイヤーが受け入れられるものになっている。
    • ゲラルトを手助けしてくれる者もそれぞれの考えがあって動いており、単純な敵味方では語られない。各人の立場はストーリーを通じて理解しやすい。
    • 友情・ロマンス・裏切り・共闘など関わり方は多岐にわたり、さらにそれが分岐するという充実ぶり。シリアスな展開が多いが、中にはユーモラスなものも。
    • ゲラルトと彼を取り巻くキャラクター間のやり取りもプレイヤーの選択次第。特に女性に対して好感の上がる対応を続ければムフフな展開も待っている。
    • 登場人物の中には旧作の登場人物も多いため最初はゲラルトとの関係が理解しにくいが、後述の大事典やストーリー中で補足がされる。
    • もちろん主人公であるゲラルトの魅力も大きい。彼の選択はプレイヤーに委ねられることが多いのだが、彼の行動は自身の思いや経験を口にしながらなされる。
    • プレイヤーの選択に応じ、自身の言葉で選択の根拠を吐露しながら冒険を進める様はプレイヤーの感情移入を誘う。
  • 柔軟な訳、声優陣の熱演など良質なローカライズも光る。
    • 基本的にゲラルトを主として登場人物のセリフは皮肉交じりに語られることが多いが、雰囲気を損なわず上手に訳されている。
    • ユーモアや洒落に関しても日本人でも理解できるように自然なアレンジを加えながら訳されており、そういった会話はなかなか面白い。
    • 海外作品は時にローカライズの際の誤訳が原作の魅力を削いでしまうことがあるが、本作はほとんど無い。
    • 声優陣の熱演は各キャラクターの魅力をより引き出している。吟遊詩人の美しい歌から子供や酔っぱらいのふざけた歌まで好演されている。
    • ローカライズされると発売日が大きく遅れることがほとんどだが、本作は海外版とほぼ間を置かずに発売されている。


多彩だがありきたりで無い怪物たち

  • 怪物の多くは日本人には馴染みの薄い名称・ビジュアルをしており、挑む際のワクワク感が大きい。
    • 怪物の正体を追って突き止めたとしても、聞き馴染みの無いモンスター名であることが多く、実際対峙してみないと恐ろしさは分からない。
    • 神話や伝説などをモチーフとした怪物も多いが、本作では一風変わった造形や設定であることがある。
    • 基本的に怪物の名に恥じぬ、「洋ゲー的」なおぞましいビジュアルをしており、それらが登場する際の演出にも見るべきところがある。
  • 怪物の種類は非常に多く、中にはゲラルトの手助けになるものも…。
    • 登場する怪物の種類は非常に多く、各怪物に対して有効な攻撃手段が定められている。ゆえに怪物に応じて様々な戦術を楽しめる。
    • 中には通常種の名前付き強化個体もおり、戦い慣れた怪物だと思って挑むと痛い目を見ることもある。
    • 怪物の中には人語を理解しゲラルトの冒険を助けてくれる、「魅力的なキャラクター」となる怪物も存在する。


膨大な情報量を整理できる大事典

  • 情報は提示するだけでなく理解してもらえなければ意味が無いが、本作は大事典なるデータ集がそれを支えている。
    • 登場する怪物とクエストに関連する人物が写真付きで紹介され、怪物の弱点や人物の来歴が詳しく述べられている。
    • 旧作で登場した人物の場合、旧作でのゲラルトとの関わりもこの事典で補足してくれる。しかも、クエスト展開によってこまめに更新されていく。
    • 吟遊詩人の語りという設定で解説がなされているため、単なる無機質なデータ群やヘルプ機能には無い魅力があり読む価値がある。


冒険を快適にする様々な工夫

  • 持ち運べるアイテムの重量制限が緩い。
    • 本作は他作品でも見かけるように各アイテムに重量が設定されており、プレイヤーの持ち運べる量は限られている。
    • しかし主な拾得物となる製作材料、錬金材料、クエストアイテムなどは一様に重量0であり、重量制限はかなり緩い。
    • 重量を圧迫するのは武器・防具類と一部の雑貨などであり、それを理解していれば重量制限に悩まされる心配は薄い。
    • 鞍袋を馬に装備すれば持ち運べる重量が増し、さらに快適になる。
  • 乗り物の機能が便利。
    • 愛馬は屋外であれば大抵の場所で馬を呼び寄せて利用できる。遠くに置いてきても自動で近くに沸いてくれる。
    • 馬に乗っている場合、街道沿いであれば自動的に道なりに移動してくれる。もちろん任意移動も可能。
    • 水上では小舟に乗れば専用の波止場にいつでもワールドマップからファストトラベル可能。
    • 馬も小舟も移動速度がなかなか早く、クエスト内のイベントでも演出として役立っている。
  • 敵レベルが表示される。
    • 敵は全てHPバーに付属してレベルが表示される。同種の敵でもレベルの高い個体は当然手ごわいので、用心しつつ戦える。
    • 敵のレベルとプレイヤーのレベルに応じて対処可能かどうかがアイコンで表示されるため、現段階で歯が立つ相手かどうかは一目で分かる。


総合的な演出面の新鮮さ・丁寧さ

  • 全般を通じて演出のセンスが素晴らしい。
    • 日本に馴染みの薄いという意味で独特なものが多い。戦闘BGMがボーカル付きの民族調であったり、特定のポイントで劇画背景にゲラルトの独白が入るなど。
    • まるで前例の無い演出だと言う訳ではないが、フィールドなどの鮮やかな色彩センス、かなり攻めた性描写、進行に合わせたロード時の吟遊詩人の語りなどその他の要素も総合していくと、今までに無いセンスを感じさせる作品だと言わざるを得ない。
    • 本作の開発を手掛けたCD PROJEKT REDはポーランドに拠点を置く会社。もしかしたらその文化・風土が関係しているのかもしれない。
  • 『ウィッチャー』は徹底的に大人向けのロールプレイングゲームを志向しているため性的・猟奇的な要素を躊躇していない。
    • 流血、頭部・胴体・手足の切断、損壊された死体、恋愛・売春を通じたセックスなどが視覚的かつ明示的に表現されており、大半は主人公=プレイヤー自身の行動によって引き起こすことが出来る。
    • 一方で、単なる猟奇趣味や卑猥なだけに陥らないように娯楽として一線は引いている。
    • 英語版では文章上でも女性や男児への強姦を示すものがあるが、日本語版では言葉遣いが露骨にならないような翻訳がされている。
  • システム的な要素にもそれなりの根拠が設定されている。
    • 例えば、プレイヤーがゲーム内の時間を進めるための「待機」は、ゲラルトにとっては「瞑想」であり時間の感じ方も早いという設定がある。
    • また、プレイヤーが状況を把握しやすくするためのゲラルトの独り言は、ゲラルトにとってはより集中するために必要な行為であるという設定がある。
    • 中にはゲーム的な制限を皮肉るクエストや、過去にプレイヤー間で話題になった金策方法をユーモラスなクエストに仕立てるといった粋なことも。
  • 必要ならプレイヤーに直接メッセージを挿入して注意を呼び掛けてくれる。
    • 例えば、メインクエストをそれ以上進めると一部のサイドクエストなどが失敗扱いになってしまう場合、一時停止してその旨を伝えてくれる。
    • 他にもプレイヤーへの感謝の意を伝えるメッセージが所々で挿入されたり、ファンサービス的な演出があったりと、開発の良心的な姿勢や作品への愛着が感じられる。
  • 前作『ウィッチャー2 王の暗殺者』で採った行動をシミュレートし、本作の内容に反映させることができる。オン/オフが可能。
    • 前作がマルチシナリオであることを考慮したシステムであり、前作の内容に沿った世界として話を展開させることができる。
    • 序盤にゲラルトが前作の出来事を説明する場面があり、そこで前作でプレイヤーが採った行動を選択肢から選ぶことで、以後の会話や登場人物に変化が生じる。
    • 前作の知識が皆無ならオフにすればシミュレートに関する会話自体がオミットされるが、本作から楽しむ上では問題は無い。
    • 前作の知識があるならば、未プレイだろうとシミュレートすることが可能。シミュレートオンかつ適した選択肢を選ばないと登場しない人物もいる。

迅速で丁寧なローカライズ

  • 本作のような「洋ゲー」が日本でも発売される場合、翻訳や吹き替えにかかる工数の影響で、通常1ヶ月程度の遅れが発生することが常識であった*3
    • しかし、本作は開発段階からローカライズ販売を手掛ける翻訳チームが合流することでほぼ同時に発売することに成功している。
    • しかも、洋ゲーにありがちな誤訳やイメージを損なう吹き替えもなく、世界観を損なうこともない。
      • 吹き替え声優については本作の開発メンバーが日本語版の声優、特にゲラルト役の山路和弘氏の演技を気に入っており、日本語でプレイするメンバーもいるとか。


カードゲーム「グウェント」

  • グウェントとは『ウィッチャー』の世界におけるカードゲーム。
    • 簡単なルールのミニゲームであり、特定の商人などに少量の金を賭けて勝負を挑むことができる。
    • 簡単に言えば交互にカードを提示して最終的に持ちポイントの高い方が勝者であり、ポイントの高いカードや特殊な能力を持ったカードがカギを握る。
    • 大元となるデッキは何種類かあり、それを元に自分好みのカードを加えてデッキを構成する。
    • カードの収集を目的としたサイドクエストもあるが、他のクエストでも取引が必要になった際に選択肢によっては勝負ができたりする。
    • それほど強くないカードは基本的に酒場の主人などが販売しており、レアカードは特定の人物に勝利するともらえる。
    • 市民もグウェントに興じている姿が窺えたり、大会が開かれたりと、『ウィッチャー』の世界における文化を表現する雰囲気アイテムとしてもよい味を出している。
  • 最初はデッキが弱い上にコツも掴めていないので苦戦するかもしれないが、ある程度要領を得ればサクサク勝っていける。
    • もし勝てないようならグウェントの難易度のみを調整できるオプションもあるため、それをいじるのも一考。
    • 勝つためにデッキ構成を考えたり各デッキに最適な戦術を考えたりと、試行錯誤する楽しさは大きい。

賛否両論点

ローカライズによる表現規制

  • CS版には洋ゲーでおなじみの規制が入っている。
    • どうしても規制が気になる人には、完全無規制なWin版の購入をオススメする。
    • CEROでは女性の乳房や乳首は禁止表現だが、海外のレーティング機関ではそうではないため本作の海外CS版は女性キャラの乳房は乳首を含めて描写している。
      • もちろん、日本語はテキストもボイスも入っていないため、相応の英語力が必要だが。
    • 人体欠損や性描写に関しては最大限頑張っていると言える。
      • 人体の切断面などはボカされているが不自然に感じるほどでは無く、死体の断面を今以上に鮮明に表現してほしいといった声は無い。子供の死体も普通に出てくる。
      • 下着着用ベッドシーンはかなり違和感があるが、日本の規制事情を鑑みたら、ある意味諦めに近い納得をしているプレイヤーが多い。まあ、仕方ない。
    • 女性の乳房の表現規制の影響を受けて一部衣装や演出の見てくれが悪い。
      • 胸が全開で無くとも、胸元が大きく開けている女性は皆一様に規制用の白い汎用ブラジャーが追加されている。胸元が開けたDLC衣装も魅力半減。
      • ブラジャーのテクスチャーは上半身丸ごと含めてのテクスチャーであり、しかも全女性で使い回している為に顔の肌色との相違が出てしまってるキャラもいる(※例・キーラ・メッツ)。
      • 胸が全開なら規制ありでも已む無しだが、胸元が開けているだけでここまでしなくても…とも感じる。
      • 一方、ゲーム開始早々に全裸のイェネファーの尻を拝むことができる。こちらの方がよほど問題視されそうなものなのだが…*4
      • なお、この件に関して本作のローカライズディレクター本間覚氏は、試行錯誤の末の苦肉の策であったことを公式インタビューで明かしている。

レベル制限

  • 装備はいずれも一定レベルを超えないと装備ができず、対象レベルを過ぎると力不足を感じるようになる。
    • 新しい装備を手に入れた際にレベルを上げる楽しみがある反面、見た目が気に入っていてもずっと使い続けるのは難しい。
  • クエストもほぼ全てに推奨レベルが設定されている。序盤から高レベルのクエストに挑む腕試しプレイは可能だが、強敵になす術もなくやられるのがオチである。
    • より歯ごたえのある戦闘を望むなら推奨レベル未満でも挑戦すれば良いし、不安なら推奨レベル以上に鍛えてから臨むということもできる。
  • むしろ問題は推奨レベルが低いクエストに挑むときのこと。
    • 実はこのゲームでは、自分のレベルがクエストの推奨レベルよりも6以上高い場合、クエストクリアによる経験値が1/15~1/20程度まで大幅に減額されてしまう。半分とかならまだしも異様な減額率である。
      • これはメインクエストをちゃんと進めてストーリーを楽しんで欲しいという製作側の意図と思われ、要するに自由度重視でひたすらサイドクエストばかりやるようなプレイスタイルに一定の制限をかけていることになる。
      • しかし、この減額のことは序盤のチュートリアルでわかりやすく説明とかされない。ずっとメインクエストに集中していて、今日はサイドクエストでもやってみようかなとクリアしてみたら経験点が異様に低くてびっくりするというケースに遭遇しがち。
      • なお、すべてのクエストを踏破しようとした場合、クエストの数からしてどう工夫してもレベルが6以上高くなる状況に陥る。やりこみのモチベーションが下がる部分でもある。

クエスト

  • オープンワールドRPGあるあるだが、やはりこのゲームも「おつかい感」が強い。
  • 依頼された問題の情報を得るための見返りにその人物が抱える問題の解決を依頼され、そのための情報収集をする過程で情報の見返りにまた依頼を言い渡され…といったお使い連鎖がしょっちゅう起こる。
    • 怪物退治を専門とするために鍛え抜かれた身体能力を利用して護衛や暗殺、捜索を依頼する人々がおり、ウィッチャーたちも生活のためにそれらを引き受けるという世界観を反映しているのではあるが。
  • 選択肢に制限時間のあるものがある。
    • 会話が長いからと油断してコントローラーを放置していたりすると選択が間に合わなくて失敗することがある。
  • クエストをこなす順序によっては予告なくクエスト失敗扱いになるものがある。
  • ゲラルトの選択によって物語が分岐するクエストが多数あるがどっちを取っても救いようのない展開になる物もあり、展開次第では虚無的な心象をプレイヤーに与えるものもある。
    • 予想だにせぬ悲劇に発展することもあり、感情移入させた上でその相手を死なす羽目になる、それなりに友好的なムードになった人物のどちらかを殺さなくてはならなくなるなど悲惨な二択を迫られることもあり、精神的な意味でグロテスク。
  • エンディングに関する分岐の情報が少なく、分かりづらい。
    • エンディングの分岐に関わる時点でセーブを推奨する警告が出るが、エンディングまでかなり時間が空くのでバッドエンドになったときの徒労感は大きい。
    • ある人物の好感度がグッド/バッドの分岐に影響するが、日本的な感性で選択肢を選んでいるとバッドエンドになりやすい罠がある。

戦闘

  • アクション戦闘だが、本格的なアクションを期待すると拍子抜けする。
    • 攻防が楽しいといった作風のゲームではないため、『モンスターハンター』や無双シリーズ、『キングダム ハーツ』のような戦闘そのもののアクション的な面白さを過度に期待すると肩透かしになる。
    • 人型の怪物や人間の野党などはポンポン手や首を飛ばしたり真っ二つにできるが、バトルフローそのものは割と地味。

アイテムの種類

  • 非常に多くの種類の武器防具が登場するが、攻撃力、防御力といった数値を除けばほとんど特徴がない。
    • イベントをこなして珍しい武器を手に入れても、そのへんの店売り武器より弱かったりする。
    • 中盤あたりから作成可能になるウィッチャー装備は、他の装備より強力。つまりそれ以外の多くの武器防具は、ほぼ無用の存在となる。
    • ウィッチャー装備も一式装備することで効果発揮するのでコーディネートの自由さも低い。
  • 「がらくた」というカテゴリのアイテムがとても豊富に登場し、人々の生活感をディテールアップしているのだが、ウィッチャー生活では本当に何の役にも立たたない。
    • 分解しても大した代物にはならないのでクラフトにも関わりにくく、大半は入手して即売り払うしか無いフレーバー的な扱いをされている。
    • 無駄に重量をくったりインベントリを重くすることもしばしば。資金源と考えれば良いのだが活用法が他にもあれば…。

日本語でアクセス可能な事前資料の少なさ

  • このゲームは「小説の後日談のゲームシリーズの完結編」であり、ゲームのプレイヤーはゲラルトをはじめとした小説の登場人物の人となりを知っていることが暗黙の了解となっている。いわば「キャラゲー」としての側面がある。
    • だが、余談に記載の通り本作発売時点で原作小説はほとんど未翻訳。ゲームも前作まではWin/360でしか出ていないため、特に日本ではマイナーなタイトルでプレイしている人も少ないという状況であり、この作品を余すことなく楽しむための土台が日本語環境では弱い。
    • ゲーム中の人物事典などで多少補完されてはいるものの、わかりにくい点も多い。
      • 特にストーリー上での最重要人物であるシリに関する情報の補完がゲーム内では軽んじられているのが致命的*5。原作小説を見てればわかることだからということなのかも知れないが、小説を知らないプレイヤーからすれば素性のよくわからない女性をひたすら追いかけることになり、感情移入がしにくい。
    • サイドクエストや依頼、トレジャーハントを好きにこなしていくというオープンワールドならではの自由度を重視するプレイスタイルなら世界観の理解などははっきりいって必要ない。
    • メインクエストの壮大なストーリーについては「前作までのおはなし」を知っていることが前提で進んでいくが、過去にあったことを台詞に混ぜるなどしており、前作までを知らないプレイヤーに対する一定の配慮の意識はされている。
      • とはいえ、ウィッチャーとはいかなる存在なのかくらいはわかっていないとさすがにつらいので、日本語版の公式サイトに掲載されている「これまでのあらすじ」だけは一読しておこう。
    • ミニマップでは「次にあなたがやること」が親切丁寧に逐一提示されるため、キャラクターとか単語とかがさっぱりわからなくても、進行に迷うことなくエンディングまでいくことは可能。
      • エンディングまでいけば「ああ、この物語ってこういうことだったのかな」と逆算でなんとなく全体像がわかるようにはなっている。
      • 逆に言えば本作が『ウィッチャー』の世界への入門編になってこれからの楽しみが増えたという人も多いはず。

ダークファンタジー感の強調

  • 中世ヨーロッパ風の世界観で戦場の悲惨さが生々しく表現されている。放置され腐りかけた死体から、見せしめに吊るされた死体が街道の随所に並んでいる様は凄惨。
    • 村では家を追われ途方に暮れる人々の泣き声や、病気や怪我に苦しむ呻き声、咳や痰を吐き捨てる音がリアルに聞こえてくる。
    • 特に序盤のフィールドであるホワイト・オーチャードとヴェレンでは戦争による直接的な破壊や死傷だけでなく、徴兵、戦費のための重税、貧困、集落を離れれば野盗や山賊や狼が跋扈するなど中世や近世の暗い側面が強調されすぎている。
      • 木の根っ子しか食べるものが無く、教養とも無縁な階層の薄汚れた人々が疲弊した表情を何度も目にするはめになる。
      • そこに加えて悪意に満ちた架空の怪物が生活圏にまで侵食してきており、墓地には屍喰らいの魔物が集り、亡者は悪霊となって生者を苦しめ、人狼や吸血鬼やグリフィンなどの獰猛な怪物が人々を襲う。プレイヤーが最初に投げ出される世界としてはかなり強烈である。
      • BGMも陰鬱で沈鬱である。自然はとても美しいのだがかえってこれが不気味。
    • 逆に言えばこれらを乗り越えて穏やかで豊かな地域や華美な空間に入った時の印象もひときわ大きい。
    • 原作の小説は別段そこまでダークファンタジー感が強くないので、これはゲーム化にともない「過激にした方が受ける」というスタンスで作られたという見方は否定できない。

万能ミニマップありきのレベルデザイン

  • 目的地までのルートや探索すべき範囲、店などのアイコンが表示されている万能なミニマップが右上に表示されている。
    • オープンワールド系ゲームの中でも屈指の便利さで、「これからやるべきこと」が親切丁寧に逐一教えてくれるため、ぶっちゃけこのマップしか見てなくても「2DフィールドのRPG」としてプレイできるレベル。
      • 探偵になって操作するパートが結局赤く表示された部分を追いかけるだけになっているものが多い。
    • ただし、これは逆に言えばミニマップではない3Dフィールドだけみても位置関係がわかりにくいレベルデザインになっているということでもある。
    • 遠くの景色まで見通せるような高台は少なく、方角を把握できる尖塔のようなランドマークも皆無。原作小説ありきの世界観なので、ゲームの都合のために地形を変えるわけにいかなかったので仕方ないところだが…。
    • このため、移動中のほとんどを画面右上ばかり見ていることが多くなり、便利ではあるがせっかくのきれいな景色も記憶に残りづらく道も覚えにくい。
      • ミニマップの情報は設定で減らせることもできるが縛りプレイにしかならない。

問題点

メニュー画面を中心にUI全般の使い勝手がかなり悪い

  • 必要なアイテムを捜しにくい。
    • 手に入れたアイテムはほとんど系統分けされず表示される。1つのアイテム表示欄に武器・オイル・爆薬・材料などが詰め込まれている。
    • 敵によってオイル・爆薬・霊薬などを使い分けようとすると、いちいちこの雑多なアイテム欄を参照し、探し出さなくてはならず面倒。
    • また、オイル・爆薬・霊薬など同系統のアイテムは種類が多いがアイテム表示から一目で区別しにくく、いちいち選択して探さなければならない。
    • この面倒さはプレイスタイルにも影響を与えがち。オイル使用や霊薬交換などが煩わしくなり、通常の状態でゴリ押し戦法の方が気楽に行えてしまう。
  • 武器防具は店で制作するとき、足りない素材が店にあれば制作画面で購入できるが、錬金は制作画面で足りない素材を購入できずいちいち店舗の画面まで戻る必要があり面倒。
  • メニュー画面は全体的にカーソル移動の反応が悪く、所持アイテムが増えるとさらに重くなる。
    • インベントリを開くだけでもかなり待ち時間が発生するため、非常にテンポが悪い。
    • 重量が0だからといって各種材料を大量に溜め込んでいるとアイテムが表示されるまでにかなりの時間がかかる。
  • 特定の文書は読むことでクエストが発生したり進行したりするが、一度入手してメニュー画面から選択しないと読むことができない。
    • 「文書入手 → 読む」という行動の間に前述の煩雑で重いメニュー画面を毎回挟むのは、かなりイライラ。
  • 全体的に文字が小さめで読みにくい。
    • クエスト説明、大事典、本・メモ・日記といった大量の読み物が存在するが、どれも文字が小さくて読みにくい。
    • 入手した文書類は大雑把な2種類のカテゴリ分類のみが存在し、ソート機能や抽出機能がなく並び順も不明瞭でタイトルが一行ずつ一覧に並ぶため、後で読み返したくなったときに非常に面倒くさい。
      • また、どのクエストに関係しているかと言った標識もないので雑多に収集しているだけという感じが強い。
  • オプション項目に近年の作品では標準搭載されている明るさ調整の項目が存在しない。
    • 外は相応に明るいが、室内や洞窟内だと極端に画面が暗い。また、他の洋ゲーでもよくあることではあるのだがデフォルトの明るさそのものがかなり暗めである*6
    • 一応、明るくする手段として松明も存在するのだが、照らせる範囲も正直そこまで広くはない上、ゲーム中で水中探索する場面が多く、水中通路も存在するためそういった場面ではどうしようもない。
      • リアルと言えばリアルではあるのだが、ゲーム性を著しく低下させるものとなってしまっており、このためだけにわざわざモニターの画面の輝度調整をするというのも非常に手間であるし、限界がある。
補足:パッチによる大幅修正
  • バグなどの不確定要素を除けば本作最大の欠点とも言えたUI全般の使い勝手だが、現在では大型パッチにより劇的に改良されている。
    • メニュー画面はアイテム画面、スキルビルド画面、錬金術画面など全体的に改良。デザインや文字の大きさが改善され、非常に見易くなった。
    • アイテムは系統分けごとに専用のアイテム欄に分けて配置されるようになった。
    • 本やメモなどの文書を入手すると、入手した直後にワンボタンで読めるようになり、メニュー画面を介する必要は無くなった。
    • その他にもメニュー画面のアイテム解説、ワールドマップ、コクピット表示の一部などの視認性がかなり向上した。
    • 未だにオイル・爆薬・霊薬などの同系統のアイテムが一目で分かりにくい、アイテムが多くなるとメニュー画面が重くなるといった問題は残っているが、それでも発売当初と比べるとかなり使いやすくなった。


バグが多い

  • オープンワールド系ゲームのお約束とも言えるバグの多さだが、本作もその宿命からは逃れられなかった。
    • 代表的なものとしてはメインクエストに影響を及ぼす重要なサイドクエストが進行不能になる、強力な装備の設計図が入手できなくなる、ゲラルトが剣を持たずに振り回す動作をする、落下姿勢のまま地形にはまって進行不能になる、特定の選択肢を選ぶとクラッシュする、イベントでの場面転換後異常な場所に送られてしまうなど。
      • 細かなグラフィックやBGMのバグも多く、地上を歩くべき人間が宙に浮いていたり、グラフィック表示がずれて腕や頭が胴体から離れた位置で動いている、本来流れるべき音楽が流れない、効果音の無音化、終了すべき音楽がいつまでも止まらず切り替わらないなどはよく起きる。
    • 特定の条件下で確定発生するものは少ないが、だからこそ予防もできず厄介だと言える。
    • 開発は大量のバグ修正を加えたパッチを積極的に配信しており、それによって修正されたものも多いが、そのパッチによって新たな重大バグが発生したりとイタチごっこも目立つ。

序盤の難易度が高い

  • 慣れるまでは戦闘が難しく、アクションが苦手なプレイヤーにはハードルが高い。
    • 序盤のゲラルトはかなり弱く、装備も貧弱。おまけにこのゲームは戦闘で経験値が入らず、ザコモンスター相手のレベリングもできない。
    • それだけでなく、序盤は金もたまりにくい。戦えば戦うほど武器が消耗し、回復アイテムがなくなり、それを補充する資金もないので、最悪「詰み」もありうる。
    • 無駄な戦闘を避ける、クエストをこなしてレベルを上げる、の2点に気をつければ、徐々に装備も充実して楽になる。そこまでたどり着けるかどうか。
    • 戦闘の難易度設定は4段階から選べ、いつでも変更できる。ゲーマーを自称するような人でも最初のエリアであるホワイトオーチャードを抜けるまではゲームの難易度を下げることはそう恥ずかしいことではない。

衛兵が強すぎる

  • 他のオープンワールド系ゲーム同様、盗み等の犯罪行為を行うと衛兵に目をつけられ最悪襲いかかられてしまう。
    • だが衛兵のレベルは必ずゲラルトより遥か上になるよう設定されており、まともに戦っていてはまず勝ち目はない。さらに近くに別の衛兵がいた場合は、加勢し集団で襲ってくる。冗談抜きで本作最強の敵。
    • 町中であれば衛兵に対して攻撃をしないよう注意していればいいが、街道沿いで怪物と戦っているときに近くに巡回兵がいた場合は誤爆して襲いかかられる事も。
    • 負けた場合はゲームオーバーにはならないが所持金が没収されるペナルティを課せられる。

やりこみの面倒くささ

  • 特に問題になるのが、クリア後のレベリングの面倒くささ。
    • 2周目では引継ぎ時の1周目のレベルを参照して全体のレベルが決定され、3周目への引継ぎはないという性質上、一部の要素の解放のためには引継ぎ前に1周目でレベルを規定値まで上げないといけないのだが、既にクエストでの経験値獲得も望めない。
      • 結果、広大なフィールドに散在する雑魚を延々と狩り続けてレベルを上げる以外の方法が存在しない。
      • それも、一体当たり1-2程度の雑魚をチマチマ倒して8,000-10,000の経験値を稼がないといけなくなる。

移動性能にクセが大きい

  • 非戦闘時の移動について
    • 方向転換時の慣性動作が大きめで慣れないうちは戸惑う。一応オプションで「別モード」を選択すれば通常より慣性を抑えた移動方法を選べる。パッチが当たった現在ではこちらがデフォルトになっている。
    • 傾斜に弱く、歩いて登れそうな傾斜でも方向キーを入力しておかないと勝手に滑り降りてしまう。場所によっては普通の階段でも滑り降りてしまう場合もある。
    • ゆっくり歩きながら傾斜を進む場合、高低差を感知して勝手に前転してしまうことがある。狭い場所を慎重を期して歩いていたらゲラルトが突然豪快に前転する様は初見だと唖然とする。
    • 落下ダメージの基準がシビアで、建物の2階程度の高さから降りただけでも受け身を取らないと落下ダメージを食らうことがある。
      • ウィッチャーは身体的に強化されて超人的な能力を持っているという設定からするとかなり不自然である。
    • フィールドを自由に走り回っていたらちょっとした段差から飛び降りてゲームオーバーということもあり、しばしば唐突に死んでゲーム終了になる。
    • ちょっとした段差を超える際にワンボタンが必要だが、その判定が曖昧な箇所があり、ボタンを押しても反応してくれなくてイライラする場合がある。
    • ジャンプ動作がモッサリしており、波止場に止められた小舟に乗り込むといった小さな隙間を介する移動がしにくい。
    • 馬での移動において、なんでもない(ように見える)場所で急に馬がいなないて止まってしまったりする。
    • 小舟を使って移動することがあるが思ったように進めるにはかなり慣れが必要。小舟も脆く、浮いている怪物の死体やゴミにぶつかっただけで破損してしまう。
    • オープンワールドあるあるだが、水中から地上に上がる際に地上を掴む判定が曖昧なことに加え、現在地の水深や地形で自動的に水中歩きと泳ぎが切り替わるため、「上陸したいのに上陸できない」「どう見ても上がれそうなのに上がれない」ということが頻発し小さなフラストレーションを感じやすい。
    • 潜水の動作もかなり癖があるため水中の宝箱を開けるのにちょっと苦労することが多々ある。
  • 「敵との距離で戦闘時と非戦闘時の操作が自動的に判定されて切り替わる」というシステムに関する弊害
    • 戦闘時は回避行動が重要であるが、ちょっとした段差や木々に引っかかって回避できずにダメージを食らってしまうことがある。
      • 非戦闘時では「段差を登る」に設定されているボタンが戦闘時は「回避」操作になるため、ワンボタンで登れる小さな段差が戦闘時は移動を妨げる大きな障害となり得てしまう。
    • 同じく、「物を拾う」ボタンも「回避」になるため、アイテムが近くにあると勝手に拾って回避できないという問題は起きないものの、「拾いたいのに拾えない」ということになりがちである。
      • エネミーの尽きない一部のイベント戦ではドロップアイテムを見逃さなければならなくなる。

3D酔いを引き起こしやすい

  • 本作には3D酔いの原因となりやすい要因がかなり多い。
    ・コンシューマ機ではフレームレートが安定しにくく、時々重くなる時がある
    ・「ウィッチャーの感覚」の捜査ポイント、固定配置やドロップ品などのアイテムを探すために地面の近くでカメラを上下左右へ動かすことが頻繁にあり、壁や天井で視界が制限された空間でカメラを様々な方向へ動かす状況も多い
    ・移動に癖があり、意図したようにキャラが動かない/慣性がかかりがちで走りながら薬草を採取すると急停止のためにカメラが急な動きをする
    ・「ウィッチャーの感覚」を使用したり屋内に入ると視点が後方から肩越しに移動するので出入りやウィッチャーの感覚の使用が頻繁にあると視界の変化が大きい
    ・「ウィッチャーの感覚」を使うとカメラに魚眼レンズ状の特殊効果が入る
    • ゲームデザインとしてカメラ移動や視点変更を何度も行うようになっている上にエリアや視点移行の癖もあって、人によってはかなり画面に酔いやすい。

グウェントの問題点

  • カード収集に関連するクエストは不親切な仕様が多い。
    • カード収集を達成するために挑まなければいけない商人は広大なフィールドに数多く分散しているが、それらはクエストマーカーでは表示されない。
    • よって自分でしらみつぶしに勝負を挑むしかないため、例えば一度勝負を選んだが勝てずに後回しにした場合や気分で勝負を挑んだり挑まなかったりした場合に非常に面倒なことになる。これはカードを買う場合についても同様。
    • また、特定のクエスト中でしか勝負できないプレイヤーがおり、当然ながらそこで勝てないと特定のカードは手に入らない。注意メッセージなども無い。再入手のチャンスもない。
  • 各勢力デッキ間のバランスが良くない。
    • 具体的には相手にポイントを献じて2枚追加カードを引ける「諜報員」を多数用いることができる北方諸国及びニルフガードデッキが強い。
    • 諜報員を中心としたデッキ構成は対戦相手も(難易度を低くしても)積極的に用いてくるためかなり厄介。
    • 特に序盤にこの諜報員を中心としたデッキか、もしくは選別されたワイルドハントデッキを用いられるとなかなか勝てない。デッキを充実させて後から挑もうとすると、今度は前述の面倒な問題が発生する可能性があるわけで…。
    • この諜報員カードを相手に使われた際に便利なのが「自分の場に出てるカードを一枚回収できる」という効果の「おとり」カードなのだが、入手できる数がかなり少なく、1枚は最序盤のホワイトオーチャードで売っており、その商人は序盤のクエストをクリアするといなくなるので後からグウェントにはまっても手に入れるチャンスがなくなってしまう。
      • その他の勢力のデッキでも勝てないことは無いが、デッキを鍛えたとしても最初の10枚の手札に有用なカードが無いと勝敗に運の占める割合が強くなる。

設定・ストーリー

  • 善悪をはっきり定めない作劇を特徴としているが、ウィッチャーの中立設定も相まって相対主義に陥りかけている側面もなくはない。英語圏では『ウィッチャー』原作をネオリベラルで反政治的な文脈と関連付ける批評も存在する。
    • 実際ゲーム中でも「ウィッチャーの中立などはていのいい方便に過ぎない」とある人物が指摘するシーンがある。
      • 真の客観性や中立というポジションはかなり限定的・操作的な状況下でしか成立しえず、アリストテレスが言うように本性として社会的な生物である人間にとって、中立とは単なる第三極やいいとこ取りを欺瞞的に美称したものであるとも言えるのである。
      • もっとも、ゲラルトは上記の状況では相手に利用される可能性を危惧していたため筋が通ってはいるものの痛い所を突かれるというような流れになっている。
  • 「主要人物が揃って皆幸せになる」という結末は存在せず、ゲラルトの選択によって誰かを殺さないと先に進めない。最終的なカタルシスは少なめ。
  • 原作や前作・前前作に登場した人物であってもかなりあっけなく、あっさりと無情に死亡することがある。
    • 現実での生死は淡々と生起していくありふれた現象でしかないが、人間がストーリーを読みたがる心理としてそのような現実のカオスになんらかの意味を見出したいという動機があり、物語の作り手は現実の混沌を整理された秩序として構築し、一貫したテーマを構造から暗示的に読み取れるようにする。
      • 懐かしい登場人物が死ぬという展開はインパクトこそあるものの、示されるテーマが虚無や意味のない死であるというのはあまり気分が良くない。


その他

  • データロード時間は割と長めなので、ファストトラベルやトライ&エラーを繰り返す場合はかなりダルい。
  • 一部のメインクエストは別のサイドクエストと同場所同時並行で進むので非常にややこしい。
  • ファストトラベルは標識から標識にしか移動できない。近くに標識がないような場所にいるときは面倒。
    • 船に乗っている時だけは水面のどこにいても港へファストトラベルが可能。
  • アイテム取得の機会がとても多く、すぐに所持制限に達するが整理するための倉庫の設置場所が各エリアに一箇所しかなく、アクセスが不便である。
    • 特にヴェレンではFTポイントから離れて奥まったところにあるクロウパーチの邸宅に設置されているのでかなり行き来が面倒くさい。
  • オイルは会敵する度に適したものを選んで付与するのが理想だが、いちいちキャンプメニューを開く → 重いインベントリのページを繰って選択、使う…という手順を踏むためリアルタイム進行が犠牲になりやすく、テンポが悪い。印のようにクイックメニューから切り替えられると楽だったのだが。
  • スケリッジ諸島の海上の「密輸品」ポイントは取りに行くのが面倒な割に数が多い。無理して取る必要は無いのだが。
  • 洞窟やダンジョンはあくまでクエストの付属品となる小さめのものが多く、「自由気ままなダンジョン探索」を期待して購入すると本作を充分に楽しめないかもしれない。
    • 「財宝」マーカーを捜しての簡単な探索要素はあるが、洞窟系の場所はクエストを進める過程で訪れた方が楽しめるはず。
  • マップを歩いていて、NPCに当たると野次られたり、悲鳴を上げられたりする。
    • それで何かペナルティになるわけではないが、特に女性の悲鳴が大きく、耳障り。町中の人が多い場所を進むのが煩わしくなる。
    • ウィッチャーは差別対象であるため、目に付いただけで通行人から"freak!"とかなり侮蔑的に吐き捨てられやすく、普通に街を歩いているだけでも苛々させられることがある。
  • PS4版に限るが「×」ボタンが決定になっているため「◯」が決定になっている他のゲームやホーム画面から操作になれるまで戸惑うことに。
    • コンフィグで「◯」を決定に変更できるが調べるなどのコマンドが「×」のままなので却って煩わしくなる。
    • 実は「×」が決定なのは本作に限らず、海外ではPS系の決定ボタンは「×」が主流だったりする。
  • 海外のゲームだからこういうものが受け入れられる文化圏に合わせてこういった作りかと思いきや、やはり人の感じ方は共通点があるため、問題部分に対してはMODによって対応されていることが多い。
    • 特に、落下ダメージやレベリングの苦行、面倒くさすぎるオイル交換など基本システムを改善するパッチは人気が高い。Win版のユーザーは一考の余地があるだろう。

総評

本作は単一の要素が突出していたり、際立って革新的であるゲームではない。
しかし、ボリュームと密度と品質を非常に高いレベルで並立し、RPGの諸要素を昇華させ、オープンワールドゲームの次元を引き上げた作品と言って良い。
総合的にはシナリオ・キャラクター・演出・戦闘とほとんどの要素を高い完成度で実現した秀作と言える。
オープンワールド型RPGといえば自由度を売りにするものが多いが、この作品はそれ以上にストーリーを重視しており、少なくともメインクエストの進行だけなら普通のJRPGと変わらないプレイ感覚で楽しめるところは、ライトユーザーに対しても間口が広い。
使い勝手の悪いUIはやや難点といえるが、そこを中心にパッチによる改善が多くなされた現在では言わずもがな。ローカライズ担当企業との連携も抜群で、本作の有する非凡なセンスや新鮮さが存分に味わえる。
ありがちなファンタジー+オープンワールドだと侮ることなかれ、序盤の戦闘で早々に投げることなかれ。
怪物への対抗策を学び、自分の意志で選択し、腰を据えて進めるほどに『ウィッチャー』の世界に魅了されていくはず。
「この次にどんな展開が起こるか」が大きな魅力なので、ネット上の攻略情報などでのネタバレは控え、最大限に堪能したい。

本編シリーズは本作で一応の完結となっているが、既に新シリーズやリメイクが発表されているので、今後のCD Projekt Redの動きに注目したい。


Switch版

※本節は、特記がない限り2020年5月1日時点での最新版である「パッチ3.6」に基づいている。

2019年10月17日に『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』がSwitchにてパッケージ版とダウンロード版で発売された。
基本的な内容は『Game of the Year Edition』準拠にSwitch向けの調整を施したものであり、有料無料を問わず全てのDLCが適用済みである。
また、2021年1月28日にはダウンロード専売で無印版『ウィッチャー3 ワイルドハント』がリリースされた。
こちらはDLCが一切含まれていないもので仮に後から有料DLCが必要になった場合は追加購入で高くついてしまうがコンプリートエディションより価格や保存領域を節約できるので選択肢が追加されたと言える*7

  • 世界的な評価が高いことで注目度が高い作品だったが、PS4ですらやや動作がきつかったハイエンドのオープンワールド超大作が携帯機へ移植されるという事実そのものが発表されるとゲーム業界で大きな話題になった。
  • 最も処理負荷の高いグラフィック関連がどうなるかはゲーマーの最大の関心事であったが、蓋を開けてみるとPC版の全項目の最低設定がベースであることが判明した。
    どのような仕上がりになったかといえばPCゲームで画面品質を最低にしたようなものとしか表現しようがないが、PCゲーマーであると大体想像がつくであろう。
    • 携帯モードではHDに届かない解像度、低いフレームレート、削減されたフィールドオブジェクト、質感の低下したテクスチャ、ごく短い描画距離、最低限の影、別物になった光や暗闇の描写、植生のダウングレードなどかなり妥協した見栄えである。
      • …と、ここまで書くと残念な移植のように思えるが、この移植は充分な成功を収めた。
  • グラフィックをある程度妥協した結果、ゲームメディアやユーザーレビュー、ソーシャルメディアなどにおいて、ハンドヘルドコンソールとしては「驚くほどにプレイアブル」な移植と評価された。
    • 人口が多い場所だとかなり動作がカク付き、一部のカットシーンではかなり重さを感じるものの、依然として満足に動作が可能である。
    • 削減された描画物もゲームとして気にならないようにかなり取捨選択に気を使われており、スカスカとした物足りなさなどは一切感じない。
    • 特に水の表現は水しぶきが控えめなものの水面が波打つ様子や水の透過などかなり健闘している。アードの印を撃つと水面が衝撃波で振動する表現も据え置き。
    • キャラクターや怪物のモデリングそのものは据え置き版と同等であり、シーンによってはほかのコンソールとそこまで見劣りしない見え方の時もある。
  • 商品仕様は作中世界の紙製地図、ゲラルトのメダリオンを形どったステッカー、簡単な設定や人物紹介が記された冊子、開発チームによるメッセージがソフトとともに化粧箱に封入されている。
    • 良い作品を作るだけでなく、オマケでもファンの心を掴み、購入者を楽しませようとする姿勢が伝わってくる。時代の流れでゲームパッケージが簡素化する中、こうした作中設定を紙の同梱冊子で紹介する作品は極僅かである。
  • 膨大なボリュームの本編+全て合わせるとRPGの一本か二本に相当するボリュームのあるDLCが全て一枚のゲームカードへ奇跡的に収録されている。
    • ただし、デイワンパッチを適用すると3GBほどの追加ストレージ容量を消費する。
  • ゲームとしての志向は正反対と言えるほどながら、同じくSwitchでプレイでき、高い完成度を持つオープンワールドゲームとしてしばしば『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』との比較がなされている。Switchユーザーの中ではこの2作品が双璧として扱われることもある。

高評価を得たとはいえ、グラフィックが据え置き機と比べると非常にピンぼけしていることは問題視されていたが…。

  • 2020年2月に配布された「パッチ3.6」にて、画面表示設定の項目が増加し、シャープネスの調節や、アンチエイリアス、被写界深度、モーションブラーなどをプレイヤーが任意にカットできるようになったことで、画面のピンぼけ感が一気に解消し、鮮明なビジュアルでのプレイが可能となった。
    • 代償としてジャギーが目立つようになったが、画面鮮明化のメリットに比べると軽微である。
  • パッチ3.6では「Win(Steam/GOG)版とのセーブデータ共有」「2Dインターフェースの全面的なタッチパネル操作」が可能になっている。
    • 元々グラフィックの設定項目は改造した本体を使用することでモッダー界隈がWin版の機能をMODで再現し、デベロッパがプレイヤーの要望を受けて正式なゲーム内機能として追加したものである。改造でバッテリー消費や排熱などを度外視して本体の性能をフルに使えば60FPS化も可能であると判明している。
      • ゲームコミュニティを重視し、MODにも寛大な企業ならではの対応と言えるだろう。
  • 欠点として、不定期にゲームがクラッシュして終了する不具合がある。
    • かなりポーティングで無理をしたと思われるので仕方のない部分ではあるが、重要なポイントでは積極的にセーブすることが推奨される。
    • 本作はオートセーブ対応で、任意に設定できる定期的な自動セーブと、クエスト進行の度にチェックポイントの2種類でセーブされることもあり、クラッシュの被害は少ないが定期的にリセットするなどの対策を取るようにしたい。
  • 携帯モードでは小さな画面を凝視することや画質・フレームレートが低下したことも相まって3D酔いは更に好発しやすくなっている。
  • パッチ4.04において、Netflix版『ウィッチャー』にインスパイアされたアイテムや衣装などが追加された。
  • 「ウィッチャー2のセーブデータのシミュレーション」の意味がほとんど無くなってしまっている。
    • これはWin版における『2』のセーブデータを引き継ぐという設定項目で、『2』で選んだ選択肢によって『3』でのあるイベントでの会話が多少変わるというもの。
      • 当然ながらSwitchで『2』は発売されていないので、セーブデータをシミュレーションしたところでNPCから名前も聞いたことの無い人物の質問をされてしまい、プレイヤーには意味不明な状態になってしまう。

総括すれば、Switch版は名実ともに持ち運べる『ウィッチャー3』となり得ている。
画質低下よりも携帯可能のメリットが上回るとしてプレイヤーに受け入れられ、ハードウェアの限界に挑戦してより多くの人が本作を楽しめるようにしたデベロッパの姿勢は賞賛されている。
もし、そこそこ以上の性能のPCや据置機を持っているのならば、そちらで遊ぶ方が本作をより深く味わえることは否定できない。
何をおいても手軽さや携帯性を重視する人、外出先では携帯機で家ではPCでといったスタイルを選びたい人や、様々な事情で据置機版は未プレイで選択肢がSwitchに限られるが本作に興味があるというようなプレイヤーの場合、本移植版は素晴らしい回答となるだろう。

+ Switch版とPS4版の比較映像

余談

  • Win版は自社のDL販売サイトである「GOG.com」でも配信されており、他のサイトとの差別化のため山盛りと言ってもいいくらいの豪華特典*8が通常購入時でもついてくる。
    • また、同サイトのポリシー*9に則り、GOG.com版だけはシリーズ全作品がDRMフリーで配信されていることも大きな特徴と言えよう。
  • 上記の通り、原作小説が存在するのだが現時点(ゲーム発売日である2015年5月時点)までで長編の第一巻「エルフの血脈」しか日本語に翻訳されていない。
    • 「エルフの血脈」の前にも幾つか短編集が出ており、原作を読むのは少々ハードルが高い。
    • 本作のヒットを受けて続編の翻訳プロジェクトが再始動。タイトルも『魔法戦士ゲラルト』から『ウィッチャー』へ変更された。
    • その後、2017年8月24日に長編二巻の「屈辱の刻」が日本でも無事刊行された。
    • 同時に一巻目の「エルフの血脈」も新装版として改版され、固有名詞翻訳がゲーム版にほぼ準拠、ラノベ調だった表紙イラストもゲーム版に近いものになっている。
    • 2019年7月には長編シリーズが無事翻訳完了、短編集の翻訳も販売され『ウィッチャー』の世界がより身近になった。
    • 2021年~2022年にかけて短編2冊の日本語版が発売。本作発売時点での全巻の翻訳が完了した。
  • 2019年12月にNetflixで原作を元にしたドラマが配信された。当時日本語化されていなかった短編小説のエピソードも含まれていた。
    • ただし、原作にはないドラマオリジナルの設定もあるので要注意。また、ドラマ版のイェネファーはゲーム版と比べるとかなり若く見える。
    • ドラマ配信の影響で2019年末になって本作の売上が急上昇。ローンチ時を越える勢いでプレイヤーが増加したとのこと。
      • ヨーロッパや北米などではNetflixの利用率がとても高く、2018〜2020年の現代文化の中で中心的なポジションを得るまでに急成長している。
      • 「Netflixで〇〇観た?」という会話が学友は元より同僚との挨拶代わりに交わされるレベルであり、世間話にキャッチアップするための共通言語のようになっているので、Amazonのサブスクリプションサービスが優勢な日本と比べると影響力がとても大きいのである。
    • ドラマ化に併せるように短編も日本語化され、イェネファーとの出会いや全ての始まりとなった「驚きの子」の経緯が日本語で読めるようになった。
  • 2019年6月5日に、『ウィッチャー』シリーズの設定資料本「ワールド・オブ・ウィッチャー」の日本語版が誠文堂新光社から発売された。
    • 小説やいままでのゲームの出来事や登場人物がわかりやすくまとめられているので、今からプレイするならまずはこれを購入することを勧める。感情移入度が大きく変わるだろう。
    • 異様に設定がややこしいシリが何者なのかを小説や今までのゲームに触れなくても綺麗に理解できるのは大きい。
    • この書籍は海外では本作と同時発売されたものである。つまり本作に関するネタバレはない。
  • 版権元のCD Projekt RedはMODに非常に寛大であり、本作のWin版におけるMODどころか、申請があればテクスチャや音楽を抜き出して別会社の作品である『Skyrim』へのMODとして配布することすらも許可している。
  • 本作のミニゲーム「グウェント」が独立したデジタルカードゲーム『グウェント ウィッチャーカードゲーム』が配信されている。
    • 基本ルールは本作と同様だが、対人戦が実装されたり、バランスを考慮してアップデートが入ったりしている。
      • 根幹ルールである「戦力値の合計が高い方が勝ち」「デッキは次ラウンドへ持ち越し」は本作同様だが、戦場は近接・間接の二列、カードから近接・間接・攻城のカテゴリーが廃止され任意の列に置ける、カード性能がTCG寄り、デッキが勢力別でないなど、大きく異なる部分もある。
    • 基本無料なので本作でグウェントにはまった人は是非遊んでみるといいだろう。
  • さらに上記の派生としてカードバトルRPG『奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ』が発売されている。
    • 主人公は原作の登場人物である、ライリアとリヴィアの女王メーヴ。原作長編の時代を舞台に、自国を追われた女王メーヴの奮戦が描かれる。
      • ゲラルトがメーヴと遭遇したシーンもメーヴ目線で描かれており、本作未登場のカヒルもボイス付きで登場する。
    • 見下ろし視点の2Dフィールドを侵攻し、特定の場所に行くと戦闘や会話イベントが起こるシステム。ランダムエンカウントは無く、戦闘は全てイベントバトル。
    • 戦闘は『ウィッチャーカードゲーム』がベース。カードは資金などのリソースを消費して生産し、イベントや設備の増築によって生産できるカードの種類が増えていく。
      • 通常のグウェントの他、1ラウンド決着のバトル、全てが特殊ルールのパズルバトルなど多様なシチュエーションでの戦いを迫られる。
      • グウェントで敵と戦うというよりは用兵をグェントで表現した感が強く、「攻撃カードを中心に敵を切り崩す」「城門カードを集中攻撃で破壊する」など戦闘シチュエーションに合わせた戦術とデッキ編成が必要となる。
    • 元々『ウィッチャーカードゲーム』のストーリーモードとして製作されてたこともあってか戦闘は序盤から中級者向けで総じて高い。救済策か全ての戦闘はスキップでき、ストーリーだけを楽しむこともできる。
    • 本作と同様に会話の選択がストーリーや仲間の好感度に影響し、EDや入手できるカードに影響を及ぼす。
  • 発売前の日本でのキャッチコピー「全てのRPGを凌駕する」に対し、日本のゲーマー達からはアレを彷彿とさせて警戒されたが、出来は確かに全てのRPGを凌駕するものだった。
  • モンスターハンター:ワールド』で2019年2月8日に行われたアップデートで本作とのコラボクエストの配信が行われた。
    • 操作キャラとしてゲラルト、敵モンスターとしてレーシェン及びエンシェントレーシェン、環境生物としてネッカーが実装された。
    • ウィッチャーは怪物退治の専門家であり、人々から依頼されてそれらを駆除するという設定が『モンハン』ととても似通っている。
  • Switchへの移植が発表されると、「Switcher」という言葉遊びが英語圏・日本語圏・ドイツ語圏など言語を問わず同時的に発生して広まり、Switch版の代名詞となっている。

その後の展開

  • 2020年9月4日にPS5/XSX版のリリースが発表、2022年12月14日に発売された。
    • PS4/One版のプレイヤーに対してはそれぞれの上位機種版へのアップグレードも提供されるが、日本のPS4版のみ法規制上有料となり、その売り上げは公益財団法人 日本障害者スポーツ協会への寄付金となる形となっている*10。なお、One版のアップグレードは無料となる。
      • ちなみに、このPS5日本語についてCD PROJEKT REDのジャパン・カントリー・マネージャーである本間覚氏は、「PS5版は日本固有の事情の影響で制作がとてつもなく困難だった」と自身のTwitterで吐露している(参照)。
  • 2022年9月に『ウィッチャー』シリーズの新たな3部作及びスピンオフ作品の制作が正式に発表された。
    • 加えて、同年10月にはシリーズ第1作のリメイクも発表された。
  • 2023年5月末にCD Projekt Redの会計年度第1四半期業績報告において、本作の売上げが全世界で5000万本を突破したことが明かされた。

タグ:

ARPG 最多GOTY
+ タグ編集
  • タグ:
  • ARPG
  • 最多GOTY

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月29日 01:18

*1 2016年8月30日よりGame of the Year Editionとして配信されている。

*2 単純に「中世ヨーロッパ」といっても、実際には1000年間の長さがある。

*3 『Skyrim』や『Fallout 4』など。ただし、2020年代には同時発売が増えてきている。

*4 ただし、男性キャラクターではあるものの『Ghost of Tsushima』や『龍が如く』シリーズでも全裸で尻を見せるシーンは存在している。

*5 顕著な例をあげると、人物事典に「シリは驚きの子だ」とか書かれるのだが、「驚きの子」が何なのかの説明が全くない。

*6 一般論として欧米と日本人の瞳の色が違い、光を取り込む量が大きく異なるために発生するものである。欧米人にとっては日本人向けの設定だと眩しすぎて白飛びし、逆にこのゲームのように欧米向け設定だと日本人にとっては暗すぎるのである。

*7 ただし、内部的には別ソフト扱いらしく、両方購入することは無意味だがそれが可能になっており、しかもその場合はセーブデータは別枠となる。

*8 サントラは言うに及ばず、PC用の壁紙、デジタルアートブック、コミック、ペーパートイ、作品のメイキング動画など。Game of the Year EditionになってからはDLC関連の特典が更に追加されている。

*9 GOG.comに於いては運営当初から「配信作品は全てDRMフリー」を謳っており、現在もその姿勢は崩していない。

*10 『サイバーパンク2077』はもともと上位機種版へのアップグレード込みで販売されたため国内でも無料であることも付記されている。