Bloodborne

【ぶらっどぼーん】

ジャンル アクションRPG

対応機種 プレイステーション4
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 SCEジャパンスタジオ
フロム・ソフトウェア
発売日 通常版: 2015年3月26日
DLC: 2015年11月24日
完全版: 2015年12月3日
廉価版: 2018年7月26日
定価 通常版 PKG: 6,900円
通常版 DL: 5,900円(全て税別)
DLC: 2,000円(税別)
完全版 PKG: 5,900円
通常版 DL: 4,900円(全て税別)
廉価版: 1,990円(税別)
プレイ人数 1人(オンライン1~5人)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 良作
ポイント ゲーム性はアクション寄りに
世界観はホラー寄りに
高い達成感は未だ健在
フロム・ソフトウェア共同開発作品
Demon's Souls / Bloodborne / Deracine
SIEワールドワイド・スタジオ作品



古都ヤーナム。
遥か東、人里離れた山間にある忘れられたこの街は、
呪われた街として知られ、古くから奇妙な風土病「獣の病」が蔓延っている。


「獣の病」の罹患者はその名の通り獣憑きとなり、人としての理性を失い、
夜な夜な「狩人」たちが、そうした、もはや人でない獣を狩っているのだという。


だが、呪われた街はまた古い医療の街でもある。
数多くの救われぬ病み人たちが、この怪しげな医療行為を求め、
長旅の末ヤーナムを訪れるのだ……。



概要

Demon's Souls』(以下『Demon's』)及びその後継作である『DARK SOULS』の流れを汲むアクションRPG。
フロム・ソフトウェアとSCEのタッグによる共同開発作品第2弾であり、『Demon's』の骨子を継承しつつも様々な試みが取り入れられている。
タイトルは「Blood (血)」と「bone (骨)」ではなく「Bloodborne (血液感染)」である。

本作のテーマは「死闘感」で、全体的にホラー要素・グロ要素が強く、ゲームプレイとしてはアクションの比重が高い。
19世紀ビクトリア時代をモチーフとした古都ヤーナムを訪れた主人公は、血の医療により獣を狩る「狩人」となり、ヤーナムの夜を駆けることとなる。
理性を失い獣となりゆく人々、終わりなき獣狩りの夜と狩人が見る夢の果てに辿り着くものとは…。


特徴

基本的なシステムは『DARK SOULS』シリーズに準ずるが、冒頭で少し触れたように今作には多くの新しい取り組みがなされている。

装備品

  • 仕掛け武器
    • 右手に装備する武器はこれに分類される。本作を象徴する装備。
    • 近接攻撃に使用する装備であることは今までと同じだが、この装備は「仕掛け」により全く違う性能を持った装備へと変形する。
    • 変形のバリエーションは多種多様。以下に一例を挙げる。
      • 刃の仕込まれた杖だが、ただ振るうだけでなく仕掛けを解放することで蛇腹状の鞭となる「仕込み杖」
      • 普段はリーチの長い槍として扱い、刃をスライドさせる事で薙刀状になると共に柄に仕込まれた散弾銃が使用可能になる「銃槍」
      • 片手で振るう直剣を巨大な石の鞘に納めることでハンマーになる「教会の石槌」
    • 変形はワンボタンで行われ、動作中に変形ボタンを押すことで攻撃しながらの変形も可能。モーションが非常に凝られた武器が多く、変形ギミックは一見の価値あり。
  • 銃器
    • 左手に装備される武器の多くは銃器となる。
    • こちらは基本的に遠距離攻撃用の武器であるが、近距離でも敵を怯ませる効果が大きい。また、多くの銃器による攻撃は体勢崩し判定を持つ(通称:銃パリィ)。
      • すなわち、敵が攻撃してくる瞬間に銃撃することで大きく怯ませ、後述の内臓攻撃につなげられる。ゲーム内ではこの特性が非常に重要となる。
    • 銃器に用いる弾丸「水銀弾」には狩人の血が用いられているという設定があり、使い手のステータス「血質」により攻撃力が上昇する。仕掛け武器だけでなく、こちらを主軸に据えた戦術も可能。
  • アイテム
    • 今作は「輸血液」によりHPを回復する。敵のドロップや購入で入手し、死亡後のリトライ時、もしくは狩人の夢に戻る毎に保管箱より上限まで補充される。
      • 輸血液は割合回復のためステータスが上がっても最後までお世話になることとなる。また、過去作のエスト瓶等と比べてかなり回復の隙が小さい。
    • 銃器を撃つのに必要な「水銀弾」も輸血液と同様に所持上限があり、同じ条件で補充される。また、後述の秘儀でも使用する。
    • 「秘儀」は過去作の魔法に相当し、使い手のステータス「神秘」により効果が上昇する。使用するごとに水銀弾を消費するが、使用しても無くならないアイテムとして表現されている。
  • カレル文字
    • 『DARK SOULS』シリーズにおける指輪に相当する。3つまで記憶することができ、最大HPやスタミナを高める、輸血液や水銀弾の所持数を増やす、ダメージカット率を上げるといった効果がある。

アクション

アクションの基本(攻撃、回避、ロックオン)もまた『SOULS』シリーズと同様であるが、以下の様な相違点がある。

  • 溜め攻撃
    • 強攻撃を最大まで溜めるとモーションが変化し、高火力の攻撃になる。
    • 敵の背後から当てることで大きく怯ませ、後述の内臓攻撃につなげられる。
  • リゲイン
    • 攻撃を受けても一定時間のうちに敵を右手武器で攻撃することにより、ダメージの一部(いわゆるヴァイタルソース)を回復することが出来るシステム。武器によって、一度の攻撃ごとに取り戻せる量が決まっている。
    • 開発元曰く「事後ガード」であり、本作のテーマである死闘感をより高める要素となっている。
      • ただし、返り血を浴びることで回復しているというわけではない。これは本作のHPが生命力ではなく“意志の力”というイメージとなっているためだ。
      • つまりHPが減ることは「心が折れる」こと、HPがゼロになることは「心が完全に折れきってしまった」ことを意味する。ダメージを受けた直後はまだ心が折れきっていないため、うまくやり返すことで心を奮起させることができる。それが一定時間経ってしまうと、諦めモードになってしまい、取り戻すことができないというコンセプトである。
    • 多少のダメージを想定しても問題なく敵に向かっていく事ができ、消極的な戦法を取るより有利に戦える場合がある。
  • ステップ
    • 相手をロックオンしている間は回避行動がローリングからステップに変わる。
    • ステップは無敵時間・移動距離がローリングから大きく向上する。ゲーム中では接近・離脱ともにステップを多用するのが基本となる。
    • 『SOULS』シリーズと比べ、本作のゲームスピードが比較的速くなっている要因の1つ。
  • 内臓攻撃
    • 銃パリィの成功時、または背後から溜め攻撃を当てた時、体勢を崩した敵に近づいて発動することができる強力な攻撃。敵の腹部や頭部に素手を突っ込み、内臓を引き抜く。
    • 旧シリーズの致命の一撃に相当するが、今作ではモーションが武器によらなくなった代わりに、とにかく派手で爽快。
    • さらに素手を突っ込むと同時にリゲインHPをすべて取り戻す。カレル文字の種類には「内臓攻撃のダメージを増加する」、「内臓攻撃によりHPを一定量回復する」といった効果のものがあり、まさに起死回生の一撃となりうる。

その他

狩人の夢

  • いわゆる「拠点」に相当する場所。転送による各エリアとの往来、レベルアップ、武器強化などを行う。

血の遺志と啓蒙

  • 血の遺志は旧シリーズのソウルに相当する、経験値兼お金のようなもの。死亡するとその場に落としてしまうが、もう一度死亡する前に回収すれば全額戻ってくる。
    • 本作では周辺の敵に回収される可能性もある。ただし、そのまま持ち逃げされたり減額されることはなく、当該の個体(光る両目が特徴)を倒せば回収可能。
  • 啓蒙は本作を象徴する要素の1つ。狂人の頭蓋を砕いたり、新しいエリアやボスに遭遇することで増えていく。主な用途は協力者の召喚、特殊アイテムの購入など。
    • 言わば「常人には耐えられない神秘の智慧」を指しており、溜めこむと今まで見えなかったものが見えたりする反面、発狂耐性・獣性が低下するといったデメリットもある。

聖杯ダンジョン

  • 本編とは別に攻略できる、聖杯を捧げて儀式を行う事で生成される地下の巨大迷宮。
  • 聖杯には通常聖杯と汎聖杯の2種類がある。
    • 通常聖杯によって生成されるダンジョンは固定の構造となり、進めていくことでより高位の聖杯へ挑む手がかりや通常と異なる血晶石スロットを持った武器、本編では登場しないボスと戦うことが出来る。
    • 汎聖杯によって生成されるダンジョンは生成ごとに完全にランダムな構造となる。ここではダンジョン生成の際に「追加儀法」を行うことにより、最大HP減少や敵強化といったマイナス効果を背負う代わりに聖杯の攻略によって得られる報酬がより強力なものとなる。
    • 汎聖杯で生成されたダンジョンは「聖杯文字」で他プレイヤーとの共有もできる。

マルチプレイ

  • 協力プレイ
    • 啓蒙を消費して「狩人呼びの鐘」を鳴らすことにより、「共鳴する小さな鐘」を使用中の他のプレイヤーを協力者として召喚することができる。
    • 協力者側は最大HP減少等の制約があるものの、共にエリアを攻略しボスを撃破することで啓蒙を入手できる。
  • 敵対プレイ
    • 協力プレイ中はエリア内に「鐘を鳴らす女」が現れ、他のプレイヤーは「共鳴する不吉な鐘」を鳴らすことで協力プレイ中の世界に侵入し、プレイヤーと敵対して戦闘できる。
    • 必然的に侵入側は1対多数の戦いとなるが、一部エリアでは協力プレイ中でなくても「鐘を鳴らす女」が出現する。被侵入側はいずれも侵入される前に「鐘を鳴らす女」を倒すことで侵入を回避する事が可能。

武器強化

  • 武器強化には通常の強化と血晶強化がある。
    • 通常強化はこれまでの楔石のように、血石を消費することで右手及び左手武器の強化ができる。強化していくと、武器の血晶石スロットが開放されていく。
    • 血晶石スロットには複数の形状があり、それと一致する血晶石をはめ込んで強化することができる。その効果は「攻撃力を高める」「リゲイン量を高める」「HPが回復し続ける」など様々で、後から付け替えることも可能。
    • 血晶石は敵のドロップ等によって入手でき、効果にはある程度のランダム性がある。当然効果の高いものほど入手は難しい。聖杯ダンジョン攻略の主な報酬がこの血晶石である。

ステージ

  • 今作のステージは世界観や設定との絡みもあってか足場の悪い地形が少なく、落下死がほとんど発生しない
    • ゲーム中で辺境と呼ばれるステージ群は自然環境の中行動するため、比較的無理なく落下ポイントを作れそうなものだが、やはり直接死因になるようなものは皆無と言っていい。
      • 橋や階段、数少ない断崖絶壁にもご丁寧に「壁」が作られているなど、従来とはかなり趣の異なるステージ構造になっている。
    • 地形を気にすることなく自由に動けるわけだが、その反面純粋な敵の強さと配置でプレイヤーと勝負しているということであり、このことからも相当にアクション性に重きを置いていることがうかがえる。
      • ちなみに、過去作では足場の悪さも一種の障害として組み込まれ、敵と地形セットでの攻略が求められることが多々あった。ステージによっては敵に直接倒されるよりも落下死のほうが多いなどということも珍しくなかった。

評価点

世界観

  • 19世紀ビクトリア時代という時代設定の中で、恐ろしい獣達を導き手の言葉のままに狩り続ける本作はゴシックホラー的要素を前面に押し出しており、中世ダークファンタジー的要素の強かった過去作とはまた違った世界観が構築されている。
  • 今作は表現力の向上によりグロ要素も強い作風となっている。主人公は時には獣達の体液を撒き散らしながらヤーナムの夜を駆け、また時には未知の獣の前に力尽き再び狩人の夢を見ることとなる。
+ しかし……(ネタバレ注意)
  • 民家から語り掛ける謎の声により、主人公がその手に触れる「神秘」と呼ばれる存在。そしてついに辿り着いた「秘密」と呼ばれるもの、異形の蜘蛛と対峙し打ち倒した時、秘匿は破られ、赤い月が露わになる…。
    • 実は、今作の真のジャンルはコズミックホラー、より具体的に言えばクトゥルフ神話及びアーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』を題材としたものである。
  • 得体のしれない病に冒された世界、少しずつ散りばめられた宇宙的存在の示唆への違和感、そしてストーリー進行および主人公の啓蒙(言わばクトゥルフ神話技能)の上昇により突如姿を変える世界への言い様のない恐怖、それこそがこの世界観の肝といえる。
  • 主人公(狩人の夢に囚われた者)が死んでも蘇る理由は「先の出来事が悪夢であったかのように目覚めをやり直す」、言わば夢オチ扱いにするというもの。荒唐無稽に思えるが、これもきちんとストーリーに組み込まれている。

グラフィック

  • 前述の世界観を支えるのが、プラットフォームを次世代機へと移し大きく進化したそのグラフィックである。
  • 特筆すべきは今作のキーワードでもある「血」の表現。先述のド派手な内臓攻撃に始まり、殴ると流血、殴られても流血する。
    • これらの血液は地面や主人公の服にしっかり残り、戦闘終了時はいつも主人公は血塗れとなる。
    • 血が掛かる範囲も装備の形状に応じて精密に計算され、もし口元にマスクをしていれば逆パンダ日焼けの如くに目元だけ血が付く。
  • ハード性能の向上によって布の表現も進化している。鎧程度では獣の膂力に対してあまりに無力であるという設定のため狩人の装備はいずれも軽装である。
    • これらの服装は物理演算に従ってヒラヒラと動き、狩人のスタイリッシュさを引き立てる役目を担っている。
    • これは敵側にも適用されており、たとえば「血に渇いた獣」はステージ上を縦横無尽に動きながらめくれた背中の皮を布のように躍らせ、躍動感溢れる動きを見せてくれる。
      • これらは開発の掲げる「死闘感」の演出に大きく役立っていると言えるだろう。
  • ステージを構成するオブジェクトや背景等も大きく質感が向上しており、ストーリーの進行と共に変化するステージの雰囲気と相まって世界を堪能できる。

アクション

  • 「死闘感」というテーマの通り、今作のゲームプレイには殺るか殺られるかのアクションの比重が非常に高い。その理由は下記のようにいくつか挙げられる。
    • 過去作と比べて盾が全編通して実用に堪える程ではないので、必然的に攻めに回りゲームスピードが速くなること。
    • ステップが強力なこと、回復が素早いこと、仕掛け武器によるアクションの豊富さにより過去作と比べてかなりプレイヤー有利なこと。
    • リゲインの存在や銃パリィの取りやすさ、そのリターンの大きさにより強引な攻めが通りやすいこと。
  • このため特にボスを突破できるか否かというのはプレイヤーの力量に大きく左右される。
    • しかし、上述のように過去作と比較してもアクション面で最もプレイヤー有利なゲームであるため、プレイヤーの成長が最も実感できる作りになっているとも言える。
    • もちろん、シリーズ通しての面白さの基本である「未知の領域の探索と、それを乗り越える達成感」は失われてはおらず、何も考えず敵の群れへと突っ込めば待っているのはただ死だけである。
      • 『Demon's』が「発見と達成の喜び」であるならば、このゲームは「挑戦と成長の喜び」であると言えるだろう。
  • 各仕掛け武器もバリエーション豊かに揃っている。全15種類というやや物足りなさを覚える数字ではあるが、その分各武器のバランスはかなり良く纏まっている。
    • 攻撃モーションの豊富さも魅力のひとつ。大半の武器に立ち弱一~四段、立ち強・溜め、ジャンプ、ダッシュ弱・強、ステップ(ローリング)、バックステップ弱・強、キャンセル変形の13パターンが存在。それが変形の有無で倍化するため、適当に振り回すだけでも楽しい。
    • 自身の思うままにキャラクターの方向性を定め、創り出した自分だけのキャラクターで豊富なアクションを楽しむ。これこそがアクションRPGの醍醐味と言えるだろう。

ハクスラ要素の強化

  • 聖杯ダンジョンを探索し、ボスを倒し、より上位の聖杯ダンジョンへと足を踏み入れる。その過程で血の遺志・強化素材・血晶石なども集まっていく。
    • 問題点に挙げられているとおり複数の欠点を持つが、シリーズの過去作にない「自動生成ダンジョンを探索しながら強くなっていく」というシステムは魅力的。
    • 後述の血晶石マラソンは相応の苦労を伴う反面、理想の血晶石を入手した際の喜びもひとしおである。

賛否両論点

ストーリー・世界観

  • 流血表現等はもちろん、虫や精神に訴えかけてくるような方向性のグロ要素もあるためそれらが苦手な人にはお勧めは出来ない。
  • 世界観は前述のように非常に奥深いものなのだが、フロム製ゲームの常としてアイテム説明文や道端に落ちている断片的なメモなどを読んで考察しなければとても全容を把握できない。
    • ある程度はメッセージ等を読んできているプレイヤーですら「なんかボス倒したら風景変わった」程度の認識しか持てなくても何の不思議もないほど今作のテキストは散漫なものであり、考察をするためには過去作以上にそれらを注意深く読む必要がある。
      • また各キャラの背景や顛末、物語の結末に関しても「多分こういうことなんだろう」というフワフワした推測と考察で留まってしまう。
      • 解釈の大半をプレイヤーに全て委ねているため、いつものフロムゲーに慣れているファンならともかく、ストーリーに明確な答えを求めるプレイヤーである程オチの不明瞭さにイライラしてしまうのは必至。
      • これから初めてプレイする人がいれば「フロムゲーとはこういう物である」と、納得のうえでプレイしてもらいたい。
+ ネタバレ注意
  • また、オチがクトゥルフであることも当然事前に公開はされておらず、日本では既にある程度知られているジャンルであることもあり、「ゴシックホラーを期待したらクトゥルフで逆にミステリー感が無くなった」等の意見も見られる。

過去作と比べての物足りなさ

  • 装備品の種類が少なめ。種類の少なさゆえのバランスの良さはあるとはいえ、本編のみではかなり少ない。
    • 右手武器が2通りの顔を持つとはいえ、装備品の総数は『SOULS』シリーズに遠く及ばず、ボスゆかりの武器なども少ない。また、左右に同じ武器を持つといった自由度もない。
    • 主人公のコンセプトが「狩人」であることから、鎧・盾といった重厚な防具は殆ど無い。
    • また、『SOULS』シリーズのガル・ヴィンランドや聖騎士リロイのような重装騎士も不在。ただし、本作独自の世界観を深めている面もあるため、一概に問題とは言えない。
  • 本編に限るとボスの数が少なめで、ボリューム不足を感じるという意見もある。
  • ダーク『SOULS』シリーズにあった誓約に当たるものは今作では3つのみ。マッチングの仕様がダークソウル系統と異なることもあり、違和感を覚えるプレイヤーも。
  • 周回プレイのメリットが乏しい。『SOULS』シリーズと違って周回プレイ限定の敵やアイテムが存在せず、キャラ性能を高める要素は後述の聖杯ダンジョンに集中している。
    • 本編のアイテムやNPCイベントは最短2周でコンプリートでき、それ以降は育成面でのメリットが殆ど無くなってしまう。
    • 従来の『SOULS』シリーズでは「武器の強化素材を短時間で稼ぐ」「ソウルを稼いでレベルを上げ続ける」「周回毎に強くなる敵と戦って切磋琢磨する」等のメリットがあるのだが、本作では聖杯ダンジョンという存在に半ば打ち消されている。
  • 本作の通常版には、フロム製ゲームのお約束であったムーンライトソードが登場しない。『SOULS』シリーズや『アーマード・コア』の皆勤賞たる月光を惜しむファンは多く、後述のDLCまで待たされることとなった。

難易度の高さ

  • 先述のように本作はプレイヤーにアクションゲームとしての技量を求めてくる部分が多いため、これまでの作品以上に難易度が高くなってしまっている。
    • ボス敵はもちろん雑魚敵においても火力が非常に高く、ほんの少しのミスが死に繋がる。
    • 代わりとして素早いステップによる回避や遠距離からの銃パリィ、リゲインによる回復などでプレイヤー側も強化されており、その点に慣れるかどうかが重要であるといえる。
      • 一旦慣れてしまえば、ギリギリの難易度が快感となり抜けられなくなるプレイヤーも多い。
      • 相手に気圧されて距離を取ろうとするとそのまま押し切られることが多いが、多少のダメージは気にせず常に側面などに回り込んで攻撃すればリゲインもあって攻防両立可能。
      • このことに気付ければ意外なほど難易度は下がるのだが、HPが少なくなれば下がって仕切り直したくなるのが人情である。
    • 最初のステージがいつも以上に難しいことも、この傾向に拍車をかけている。
      • このゲームをクリアするためのスパルタ教育基本が詰まっており、少し進むと通称「ヤーナムキャンプファイヤー」で数の暴力に晒される。そこを突破しても、1個目のショートカット開通を阻むように罹患者の獣が2体配置されている*1。おまけに2体のボスが両方とも手強いため、最初のステージで諦めてしまう新規プレイヤーが多い*2
      • 多くのプレイヤーが最初に対峙するであろうボス「聖職者の獣」を苦労して倒しても、新しいマップへの道が開けずにそこで本当に心が折れてしまう…というプレイヤーも少なくない。
      • 探索を進めなければレベルアップできない*3上に武器強化も難しく、ガチンコ勝負で挑む必要がある。途中で輸血液・血の遺志の両方が尽きた場合、初心者にとって詰み同然の状況になることも問題。
      • 啓蒙を消費してNPC・他プレイヤーに助けを求めることは可能だが、最初のステージでは啓蒙の入手方法が有限かつ非常に少ない。
      • 啓蒙を使い切る前に啓蒙取引で「共鳴する小さな鐘」を購入し、オンラインで自分が協力する側に回れば(理論上は)無制限に啓蒙を稼げる。しかし、購入前に啓蒙を使い切った場合、一人でボスを倒すしかなくなる。
      • 『SOULS』シリーズの協力プレイは「協力する側は血の遺志(ソウル)をロストしないため、安全にエリア攻略の練習ができる」という側面を持つ。仮に「共鳴する小さな鐘」が無償または血の遺志で購入できれば、本作の難易度評価も少し違っていたと思われる。
      • ついでにこの最初のステージはゲーム内でもトップクラスの広さを誇るマップであり、いくつもの分岐とショートカットが立体的かつ複雑に絡み合った構造となっているため、方向感覚に強いプレイヤーでないと非常に迷いやすい。
      • 理不尽ではなくきちんと突破できるようにはなっているものの、ここまで縛る必要があったのか*4
  • 本作では防具を強化できない(性能差が小さい)ため、一点特化によるダメージ軽減が難しい。
    • レベルアップにより防御力を上げることはできるが、それでも1周目後半や2周目以降において大ダメージを受けやすい。
    • ダメージを大幅に軽減したりHP0から復活する魔法も存在しないため、敵の攻撃は回避するしかない。主人公の回避性能が高いとはいえ、タイミングを誤るとカウンター判定でダメージが増すこともあるため、総じて厳しい。
    • しかし、防具の性能差が小さいということは、プレイヤーの好みの服装で遊びやすいということでもある。本作のプレイヤーには外見で防具を選んでいる人も多い。
    • また、ダメージカット率こそ大差ないが、状態異常耐性の差別化は十分にできており、使い分ける意味がないわけでもない。

初心者狩り対策

  • 「ソロプレイでは敵対プレイヤーに侵入されない(例外あり)」「レベル30未満のホストは敵対プレイヤーに侵入されない」という仕様があるため、序盤のステージで訳も分からず殺され煽られるケースは少ない。
    • レベル30以上の場合でも、「鐘を鳴らす女」を倒せば侵入されなくなる。
  • その反面、レベル以外の要素(武器強化やカレル文字)は考慮されておらず、中でも血晶石による火力差(後述)が深刻。
    • 初心者が準備万全の敵対プレイヤーと戦った場合、過去作以上に瞬殺されてしまう可能性が高い。

問題点

基本システム

  • フレームレートの低さ
    • フレームレートは基本30fpsで通常時でも高いとは言えない上、そこからさらに頻繁に低下する。
    • マルチプレイ時に雑魚敵の集団や巨大ボスと戦った場合、音が数秒飛んだり回避困難なレベルで描画がカクつくことさえある。一応、PS4 Proのブーストモードである程度補うことは可能。
    • ちなみにこの弊害か、敵の死体が壁にめり込みやすく、せっかくのドロップアイテムが取得できない事態も起こる。
  • ロードも長い。死んで覚えるゲームでこれは致命的といえる。これもProのブーストモードである程度改善される。
    • 一応、初期と比べればアップデートで大幅に改善されてはいる。
  • 巨大ボス戦などにおけるカメラの悪さ。カメラで殺しに来ることが多い。
    • 特にロックオンしている場合に顕著。カメラの大半がボスで埋まる状況が多発するのに加え、高速で移動するボスにカメラが引っ張られるのも状況把握を困難にする。
      • さらに一部ボスは毛がフサフサで輪郭が分かりづらく、この悪条件に拍車をかけている。
      • 例えばステージ「隠し街ヤハグル」における黒獣パール戦。このボスは攻撃や移動時に非常に暴れ回るため、ロックオン状態で懐に入ろうものならカメラが荒ぶり、まともにボスの動きを視認することさえほぼ不可能になる。
      • 最初のボス聖職者の獣でも同様なことが言えるが、ことこの黒獣パールに関してはカメラワークの劣悪さを指摘する声が非常に多い。
    • こういったボスはノーロックでプレイすることが推奨されるが、ゲームスピードが高速化している本作でカメラ操作と攻撃や回避を同時に行うのは容易ではない。
    • 高難易度ながらも理不尽さを感じさせないようなボスモーション、ボス戦の作り込みに定評があるフロムだが、カメラワークがプレーヤー自身ではどうしようもない要素である分、このカメラによる殺しは理不尽とも言え、ストレスがマッハで溜まっていくプレーヤーも多いことだろう。それだけに惜しむ声が非常に多いのだが。
    • 視界確保や、カメラが荒ぶらないために場所を調整しながら戦うという必要が一部ボスで生まれるのだが、戦闘以外のことに気を取られてしまうという点ではストレス要素となりうる。
  • ジャンプが暴発しやすい
    • コマンドが『ダッシュ中に×ボタン』で固定されており*5、ダッシュからの即ステップが不可能。平地でのジャンプ暴発は隙だらけになる。
  • 灯りの不便さ
    • チェックポイント兼ワープポイントたる「灯り」だが、アイテムの補充や保管庫への出し入れが出来ず、いちいち狩人の夢に戻らなければならない。アイテムを頻繁に使用するこのゲームではかなり鬱陶しい仕様である。
      • また、ワープも一度狩人の夢に戻らないと(=長いロードを挟まないと)できない。
      • さらに言うと、チェックポイントも「灯りを点ける」「狩人の夢を出入りする」以外では更新できない。
      • ちなみに、『DARK SOULS』シリーズでは同様の役割を持つ「篝火」でアイテムの管理が出来る上、休息コマンドで回復・雑魚敵の復活・チェックポイントの更新を一度にこなせる。
    • これ以外にも、『DARK SOULS』シリーズの指輪に相当する「カレル文字」の付け替えすらも狩人の夢で行うなど、不便な仕様が多い。
  • アイテム周りの仕様について
    • 輸血液と水銀弾は戦闘システムの根幹を成すアイテムだが、『DARK SOULS』シリーズのエスト瓶と違って有償。
    • ため込むには血の遺志を稼いで購入するか、ドロップしやすい雑魚敵を覚えて狩らなければならない。狩人の夢に戻るか転送アイテムを使うまでは雑魚敵が復活しない仕様も、面倒さに拍車をかけている。
      • この仕様がもっとも問題となるのは最序盤。ゲームに不慣れなうちから強力なボスを倒さねばならないが、輸血液や水銀弾を使い切った上で負けることも珍しくない。
      • 復活しても輸血液と水銀弾は使い切ったままで、血の遺志で購入しようにも高価であり、結局は稼ぐためのマラソンをしなければならない。
      • そして、やっとの思いで稼ぎ終えてボスと再戦した結果、また使い切って負けてしまう。このループに心が折れた狩人も少なくないだろう。
    • 輸血液と水銀弾は道中の雑魚敵がドロップしやすく、死亡時には保管箱から自動補充される。しかし、他のアイテムは自動補充されず、所持数が総じて少なく、使い切るとショートカットから外れてしまうなど非常に不便。
  • 特殊な輸血液を多用しにくい
    • NPCから貰える輸血液3種は強力だが、ヨセフカ以外の2種が選択式となっているうえ、同じ種類を複数持つことはできない。「いちいち貰い直す手間が必要」「ショートカットにセットしなければ咄嗟に使用できない」「使う度にショートカットから外れる」といった不便さに加え、ゲーム終盤で3種類とも補充不可になってしまう点も問題。
    • 後述のDLCで1種類追加されたものの、該当NPCのイベント完遂時に補充不可となってしまう。また、ヨセフカ以外の3種が選択式となるため、結局は合計2本しか持ち運べない。
  • アイテムのソート機能が使いにくい
    • 標準・所持数・血晶数・ランクという大雑把なソート順しかなく、好きな順に並べ替えることもできない。
    • 加えて、二つ名と強化段階が同じ武器は勝手に並び替わることがある。これらの仕様上、アイテム画面から秘儀を使用したり、複数の同名武器を咄嗟に付け替えるのが難しい。
  • 髪型と装束の首回りが干渉しやすい
    • 本作では髪型と装束の干渉対策が非常に甘く、ロングやテールなどの長い部分が装束の襟を貫通しやすい。
    • また、「騎士の一房」と「騎士装束」は同じシリーズでありながら、併用するとテール状の装飾具が襞襟を貫通する。

新キャラ育成

  • 上位強化素材のレア度
    • 「血石の塊」は武器を+7から+9まで強化するための必須素材だが、武器1つにつき16個も必要。
    • 道中に落ちている分だけで武器3つ分(48個以上)は集まるものの、それ以上は周回プレイか低確率ドロップのマラソンで長い時間をかけて集めるしかない。
    • 「血の岩」は武器を+10に強化するための必須素材だが、発売当初は1周につき1個しか入手できず、2つ以上の武器を+10にするためには周回プレイを繰り返す必要があった。
      • アップデートを重ねた現在は、血石の塊は「DLCエリアで複数拾う」「聖杯ダンジョンのボスドロップ」「啓蒙取引にて1個につき啓蒙20で購入」により入手しやすくなった。
      • 血の岩も「DLCエリアで1個拾う」「聖杯ダンジョンのボスレアドロップ」「啓蒙取引にて1個につき啓蒙60で購入」により追加入手できる。
  • 最高峰の血晶石を揃える手間
    • 「血晶石」とは武器にはめ込む強化アイテムであり、キャラ性能を大きく左右する要素。
    • グレードや付加された能力の種類によって性能に大きな差があり、キャラの能力を最大限に引き出すにはキャラの育成方針に合ったハイグレードの血晶石が不可欠である。
    • そして、そのような理想品を入手するには、ほぼ最高難易度の聖杯ダンジョンでランダムにドロップする「呪われた血晶石(デメリットと引き換えに効果が大幅に高まったもの)」を厳選するしかない(通称:血晶石マラソン)。
      • 血晶石をドロップするかも運次第、そして「欲しい種類の血晶石か→最高ランクか → (オプションが付く場合)有用な種類か→デメリットが弱い種類か」という具合。
      • 何十~何百、下手をすれば何千という過酷な反復作業であり、ボスと戦う際にセーブデータのバックアップが推奨される始末。育成方針によっては、発生確率およそ1%の形状変化を求められるケースも…。そこに上述の厳選を加えれば、試行回数は途方もないものとなる。
    • なお、育成方針の合わないキャラに素晴らしい血晶石が出たとしても、キャラ間での受け渡しは一切出来ないので諦めるしかない。
    • 聖杯ダンジョンのプレイ自体にも面倒な部分が多々あり(後述)、合わせて新キャラ育成の手間を莫大なものとしている。このため、新キャラを作る気が起きないというプレイヤーは少なくない。
      • もっとも、本編で入手可能な血晶石だけでも高周回の攻略は可能。あくまで敵を蹂躙する超火力を求めた場合や、対人において強力な血晶石を装備している他プレイヤーと渡り合う場合の話である。
  • 使い物にならない一部の血晶石
    • キャラクターの能力補正を加算するタイプは、該当の能力値にどれだけ振っていようと攻撃力を乗算するタイプの効果を下回る。
    • ダメージに直結しないタイプの大半*6についても、攻撃力を加算または特定の条件で乗算するタイプと入れ替えるほどのメリットがない*7
    • アップデートにより筋力・神秘補正を加算するタイプが救済されたものの、それ以外は実質的なハズレである。
    • 問題は聖杯ダンジョンにて有用な血晶石を落とす敵の一部が、ランダムでハズレを落とすこと。この仕様がキャラクター育成の手間に拍車をかけている。
  • 先述した「呪われた血晶石」のデメリットについても、明らかに当たり外れが激しい。
    • 武器の強化方針や運用方法によってある程度フォローできるタイプ*8はともかく、「全ての攻撃力を弱める」「HPが減り続ける」はどうあがいても無視できず、実質的なハズレとなっている。一方で「スタミナ消費が増える」は影響が非常に小さく、様々な武器に合う大当たりとされる。
    • このような格差があるにもかかわらず、全6種の出現率は均等という点も調整不足を感じさせる。
  • 「カレル文字」について
    • 「最大HPやスタミナを高める」「輸血液や水銀弾の携行可能数を増やす」「内臓攻撃を強化する」といった様々な効果を持ち、同時に3つまで記憶できる。
    • しかし、各効果の最上位版は聖杯ダンジョンに落ちているものばかり。先述の血晶石集めもそうだが、聖杯ダンジョンを探索する必要性が高すぎる。
  • 能力値の振り直しができない
    • 『SOULS』シリーズや本作では、武器ごとに必要能力値や能力補正値*9が異なるため、使用武器が変われば能力値の最適解も変わる*10。これ自体は武器の差別化に大きく貢献しており、何ら問題ない。
    • しかし、本作では『Demon's』『DARK SOULS II』『DARK SOULS III』と違い能力値の振り直し要素が存在せず、能力値傾向の合わない武器を使うには新キャラ作成が推奨される。その新キャラ作成も上述の通り手間が大きく、結果的に「色々な武器・秘儀があるのに、使うための準備が面倒すぎる」という事態に陥っている。

オンライン

  • マッチング頻度の低さ
    • 兄弟分といえる『Demon's Souls』『DARK SOULS II』『DARK SOULS III』よりもマッチングしづらいという意見が多い。
      • ちなみに、『DARK SOULS』(1作目)はマッチングにサーバーを使っていないため、本作並みにマッチングしづらいのに加え、『SOULS』シリーズの「サイン」のような目に見える合図が存在しない。
    • 鐘を鳴らしているプレイヤーの幻影化や合言葉といったシステムは存在するものの、「今ここで鐘を鳴らすと、すぐに協力者が来てくれるかどうか」は運次第なのでもどかしい。
  • 協力者を任意で選ぶことができない
    • 『SOULS』シリーズでは協力者の書いたサインに触れることで、アカウント名や装備品を判別できる。しかし、本作では実際に協力者が来るまで何も分からない。
  • 味方との合流に手間取ることがある
    • マッチング成立前の各プレイヤーが鐘を鳴らしながら移動していた場合、マッチング成立時の位置が離れやすい。
    • こうなると協力者はホストを捜し回らなければならず、ホストが踏み込んでいない区画の敵を起動してしまうことも多い。
  • 対人戦が発生しにくい
    • ホスト側が「鐘を鳴らす女」を倒すと敵対プレイヤーに侵入されなくなるのだが、仮にホストが侵入者との戦闘を望んで「鐘を鳴らす女」を放置するスタイルだとしても、協力者がその意を汲めずに倒してしまい、対人戦が不可能になるケースもある。
    • なお、本作には『DARK SOULS』シリーズと違い闘技場的な要素や、決闘専用の召喚アイテム『赤いサインろう石』に相当するものがないため、意図的に決闘を行うことも非常に困難であり、対人戦の場は侵入に求めるしかない。このあたり、デザインがチグハグな感が否めない。
  • ゲーム終了で対人拒否
    • マルチプレイ中でも「ゲーム終了」(いわゆる「タイトルに戻る」)が選択できてしまう。当然、そのセッションは強制切断となる。いわば切断による侵入者との対戦拒否を公式が承認しているようなものであり、切断ペナルティも無し。
      • 『Demon's Souls』や『DARK SOULS』シリーズだと、マルチプレイ中にゲーム終了を選択できないようになっている。
  • マルチプレイ終了時にアイテムが自動補充されない
    • 連続でマルチプレイに参加したくても、安全性を考えると狩人の夢で輸血液や水銀弾を補充しなければならず、勢いを削がれてしまう。
  • 破綻した対人バランス
    • 聖杯ダンジョンの「3デブマラソン*11」などで得たハイグレードの血晶石を3つ装備すれば、攻撃力が装備前の約2倍に跳ね上がる。
    • 条件付きの血晶石は更に強力で、比較的扱いやすい3デブ産「重打(刺突)のみ攻撃力を高める」3つでも約2.3倍。仮に女幽霊産「瀕死のとき、物理を高める×2」の理想品3つなら約2.9倍に達する。
      • こうした高火力がぶつかり合うため、対人戦は即死ゲーの様相を見せている。
    • また、本作ではステップ攻撃全般が優秀。特に「ローゲリウスの車輪」「ゴースの寄生虫」の変形後ステップ攻撃は、速い発生・広い判定・高い威力の三拍子が揃った手の付けられない性能となっている。
  • マルチプレイの同期が不安定
    • クライアント側は銃パリィが成功しにくいだけでなく、敵味方の挙動がおかしくなったり*12、ドロップアイテム(輸血液・水銀弾)が遺体間を移動する事がある。

聖杯ダンジョンの作りの甘さ

聖杯ダンジョンはランダム生成される地下迷宮で、何度でも新鮮な体験をしつつダンジョンの奥に眠る宝を目指して冒険できる…と期待されていたのだが、いくつかの問題により足を引っ張る仕様となってしまった。

  • 風景が単調
    • 構造は変わっても壁や通路の見た目が殆ど変わらないため、単調で飽きやすい。
    • 聖杯に潜る目的の変質武器や血晶石を入手するには高レベルの汎聖杯が必要なのだが、聖杯は低レベルのものから順に攻略しつつ途中に落ちている儀式素材も回収していかなければならず、非常に長い間単調なダンジョンを歩きまわることになる。後半に辿り着くまでは大した見返りもない。
    • 通常聖杯の構造は固定となっており、2キャラ目以降が作業と化しやすい。
    • ただでさえ単調になりがちな聖杯ダンジョンだが、それを助長するバグが存在する。端的に言えば「イズの汎聖杯ダンジョンは、レアアイテムを回収する度に自作時のランダム性が永続的に狭まる」というもので、オフラインプレイヤーが回避する方法は存在しない。
      • オンラインプレイヤーは各々の聖杯ダンジョンを共有できるため、バグ未発生のキャラを別途用意 → イズの汎聖杯ダンジョンを自作 → 聖杯文字をメモした上で共有可能にすれば、バグ発生済のキャラでも疑似的に回避可能。
  • マルチプレイとの不親和
    • 通常聖杯では「鐘を鳴らす女」が出現しないため、侵入が出来ない。
    • 汎聖杯で遊んでいるプレイヤーとマッチングするためには、お互いが聖杯文字を共有できる状況にあって同じダンジョンを共有しているか、簡易祭壇を用いて協力できる世界を検索する必要がある。
    • 以前は通常聖杯についても同様の制約があったが、アップデートにより公式タイプ*13が追加。これを選ぶことでマルチプレイしやすくなった。
  • 凶悪な敵の数々
    • 難易度の高さと理不尽さを区別できていないと思われるような敵が存在し、ストレスが溜まりやすい。以下に列挙する。
    • 赤蜘蛛:「鐘を鳴らす女」が定期的に召喚する雑魚敵で、軽いモーションに似合わない高火力を誇る。
      • 「鐘を鳴らす女」自体は大きく移動しないが蜘蛛の感知範囲が異常に広く、赤黒い物体がどこからともなく大量に押し寄せてくる。同じフロアにいるだけで感知されるため、バグを疑うユーザーもいるほど。
      • 「鐘を鳴らす女」1体につき赤蜘蛛を5体まで召喚することもあり、倒しても倒してもすぐ次がやってくる。
      • 一番地獄なのが、この鐘女が2体同時に出現しているケース。1体見つけて倒したとしても、もう1体を探し出して倒さなければ延々と蜘蛛に追いかけ回されるハメになり、初見では理不尽要素としてかなり悪名高い。
      • 灯りにいても地形次第で進軍してくるため、多くのプレイヤーにとってトラウマと呼ぶべき存在。
    • 炎の魔術師:通称「足長BBA」で、歩行型はサポートメインでそこまで凶悪ではないが、固定型は明らかに異常。
      • 固定型は移動しない代わりに炎魔法を連射してくるのだが、発射された弾が移動を開始する前だとなぜかダメージ判定が2、3回重なるため、ボスキャラも真っ青の激烈なダメージを受けてしまう。体力の9割程を余裕で持っていく。
      • 遠隔攻撃以外では交戦すること自体が自殺行為になるが、ここで述べた凶悪な敵と同時に湧くこともあって対処が難しく、非常に鬱陶しい。
      • 火力に関しては調整ミスではないか、と多くのプレーヤーから指摘されている程。
    • 番人の猟犬:「旧主の番人」に随伴する敵。本編の狂犬などに比べて二周りほど大きい。
      • 見た目通り高火力かつ怯みにくく、速い武器によるゴリ押しが通用しない。
      • 必ず2体出現する上にエリアを巡回しているタイプが多く、他の敵との戦闘に乱入されやすい点も厄介。
      • さらに、炎ブレスを吐いてくるなど、遠距離においても隙がない。
    • ヘムウィックの魔女:特定の追加儀法を行うことで出現する敵。こちらも「鐘を鳴らす女」と同じく雑魚敵の「狂気者」を呼ぶ召喚士タイプ。
      • 狂気者は感知範囲こそ狭いが火力は高く、さらに回避狩りのような攻撃手段まで持つ。そして「へムウィックの魔女」は狂気者が倒されると即座に再召喚する。
      • 加えて魔女は高確率で地形の死角に隠れた状態で現れたり、魔女を倒しても狂気者は死なないなど、理不尽な要素がこれでもかと詰め込まれたインチキっぷりを見せ付けてくる。
      • 本編のボスと違って啓蒙0でも平然と召喚してくるため、撃破するには敵中に突っ込むか、なんとかして狂気者を倒さず無力化するしか選択肢がない。
    • 死体の巨人:広い空間などに出現する大型の敵。ボスとしても出現する。
      • 見た目に違わぬ高い攻撃力と広い攻撃範囲に加え、出の早い攻撃・ディレイ・フェイントを使い分ける強敵。
      • 道中にいる個体はスルーすれば良いが、よりによって最初に訪れることになるであろうダンジョンの「トゥメル遺跡」の最初のボスとして固定出現。解放直後の序盤に挑む敵にしては少々理不尽が過ぎる。
      • また、大砲タイプが一定のHP以下で行う地面射撃は高火力・わかりにくいモーション・広い判定・早い発生・長い持続の5拍子揃った極悪極まりない攻撃となっており、こちらも理不尽なポイントとして知られている。
    • アメンドーズ
      • 本編でも登場するものとは別に冒涜聖杯のボスにて登場。本編版と区別して「冒涜アメンドーズ」と呼ばれることが多い。
      • 本編版はそこまで苦戦するようなボスではないという声が多いのだが、ことこの冒涜アメンドーズに関しては多くのプレイヤーにトラウマを植え付けた。
      • 冒涜聖杯の仕様により自身のHPが半分以下になるのだが、そうした仕様や攻撃範囲に加え、火力が非常に高く、大体は一発でも攻撃をもらえば瀕死か即終了である。
      • 段差の多い地形になっている関係上、ジャンプ攻撃をしっかりローリング等で回避したつもりでも段差による高低差で攻撃判定にわずかに引っかかってしまい、そのまま即死するというプレーヤーが続出した。
      • しかも、この攻撃は体力が残りわずかになった段階で多用してくるため、クリア目前にして全ての努力を水泡とされたプレーヤーも多いことであろう。
      • 一応ジャンプした時、股の方向に歩いていけば(ローリング等も不用)回避できる上、目の前に弱点である頭がくるので慣れたプレーヤーからは攻撃チャンスと見做されるのだが、本編版をローリング回避で対処していたプレーヤーからすれば少々理不尽ではある
  • 敵ステータスのインフレ
    • 後半になると報酬が大きくなるとともに敵のステータスが跳ね上がり、インフレゲーの様相を呈するようになる。
    • 特に効果の高い血晶石を狙うには追加儀法「呪い」(デメリットとしてプレイヤーの最大HP半分)が必須。
    • このせいでいくらかの敵の攻撃が即死技になり、一瞬判断を間違えただけでワンパンされてしまう。
    • この追加儀法は通常聖杯の攻略中にも一度は挑む必要があるため、多くのプレイヤーの心を折った。
  • 改造聖杯ダンジョンの問題
    • 汎聖杯を用いた聖杯ダンジョンは他プレイヤーとの共有が可能だが、その中にチートによって改造された聖杯が存在する。
    • 異様に稼ぎやすい構造になっていたり、通常聖杯ダンジョンでは戦えない敵が現れたりする等。
    • そういった中で最も凶悪なのが外に出るための灯りが存在せず一度入ってしまうと二度と出られない、つまり完全に詰んでしまうもの。
      • これに対する公式側の対処は一切なく、2021年現在かなりの数が跋扈しており迂闊に検索すると高確率で改造聖杯が引っかかる。
      • そのため、何も知らないプレイヤーが興味本位で検索すると高確率で詰みが待っている非常に危険なコンテンツと化してしまった。

総評

プラットフォームを次世代機へ移し、聖杯ダンジョンや大きくアクション寄りになった作風に様々な要素の見直しが図られた本作。
それら全ての要素が成功したとは言い難いが、それでもARPGの方向性の1つとして本作は『Demon's Souls』の幻影を引きずっていた節のある本シリーズに新たな可能性を提示させたものであることは間違いない。
ひとたび興味を持ったのであれば、本編の不足分を満足できるまで補っているDLC込みでプレイするのが望ましいだろう。
恐ろしい獣達への挑戦と全てを乗り越える成長、その経験の先にきっと、地に伏す偉大なる上位者の脳髄に触れ、取り出す歓びが待っている。


DLC 「The Old Hunters」

夢を失くし、血に酔った古狩人たちの悪夢。
終わらない狩りと、そして秘密を隠している―


概要(DLC)

発売より8ヶ月後に配信された追加コンテンツ。
古き狩人たちが囚われた悪夢の世界を舞台に、新たなステージ、新たなアイテム、新たな敵との出会いがプレイヤーを迎える。
同時に日本語音声オプションも追加される。


評価点(DLC)

より掘り下げられた世界観

  • 本DLCで追加された要素(アイテム・ステージ・人物や敵)はまたプレイヤーの想像をかき立てるが、多くが本編と違和感なく関連するものであり、『Bloodborne』というゲームの世界観を掘り下げるのに一役買っている。
    • DLCとしてはかなり充実したボリュームである。
    • 過去の狩人達の悪夢というだけあってどこか既視感のあるマップと、血の繋がりを感じさせるNPCたち。
    • 本編中のとある組織が隠した、知られてはならない「秘密」
    • 主人公の導き手でもある「最初の狩人」ゲールマンの弟子であったある古狩人との出会い。
  • 各ステージ(大きく分けて3つ)の雰囲気もまた本編同様言い様のない恐怖感を煽る構成であり、得体の知れないものへの恐怖、さらには深淵を覗いてしまった人間そのものの狂気がプレイヤーの正気へと訴えかけてくる。

やり応えのある難易度とボス戦

  • 本編同様、本DLCもかなり難易度は高いが、その分より高い達成感が得られるように設計されている。お約束のトラップ要素も健在。
  • とりわけ「醜い獣ルドウィーク」「時計塔のマリア」「ゴースの遺子」の3体は、どれも強敵ながら、『Bloodborne』の妙を詰め込んだボスとして非常に人気が高い。
    • ルドウィーク戦は演出やBGMも相まって非常に盛り上がる。
    • ただし、後述のように調整不足ではないかと指摘されているようなボスが存在するのも確かである。

多くの追加アイテムで広がる遊び

  • 本編での右手装備15種左手装備11種に対し、それぞれ11種・5種が追加された。
    • 元々武器種が少ないことが不満としてよく挙げられていたため、この追加コンテンツで大幅ボリュームアップを果たした。
    • 追加武器も中々のバリエーションに富んでおり、本編中に存在する血質と技量のハイブリッド武器に対する血質と筋力のハイブリッド武器、純粋な神秘特化でしか活用できない武器(とも呼べないなにか)などもある。
  • また、フロム製ゲームのお約束であったムーンライトソードが、本DLCにて「月光の聖剣」として登場。変形すると大剣の刃が月光を纏い、水銀弾を消費する事で光波と強力な突きを放つ。
    • これもまた本編で存在が言及されていたキャラと密接に関わる形で登場する。そのあまりに「醜い獣」の演出は多くのプレイヤーを震撼させた。
  • これまでの魔法に相当する「秘儀」アイテムも2つ増加している。どちらも有用な秘儀であり、同時期の本編のアップデートによる一部秘儀の仕様変更と相まって神秘キャラの使い勝手は大きく向上した。

日本語音声の追加

  • 『SOULS』シリーズには無い独自要素で*14、人形役の早見沙織氏やゲールマン役の秋元羊介氏をはじめ、30名以上の豪華声優陣が参加。
    • 一度しか出てこない輸血の聖職者*15役の上田燿司氏に、戦闘前の祈りを捧げているシーンでしか声がない教区長エミーリア役の伊藤静氏といった出番の非常に少ないキャラもぬかりなく、フロムのこだわりがうかがえる。
  • 吹替対象はNPCと一部ボスのみだが、英語音声とは違った雰囲気を味わえる。
    • 中でも数多くのプレイヤーにトラウマを植え付けたガスコイン神父を演じた立木文彦氏や、豹変が凄まじい血族狩りアルフレートを演じた小西克幸氏は特に評価が高い。私はやったんだあーっ!
  • 尺の都合で短縮された音声が僅かに存在するものの、『SOULS』シリーズ独特の台詞回しが一切変わらない事も評価点。

問題点(DLC)

高周回における一部ボスの超性能

  • 初代教区長ローレンスが特に有名。カンスト周回(最高難易度)で挑もうものなら、協力者どころかホストすら即死圏内という超火力を発揮。また、作中最多のHPに磨きがかかるため、並の血晶石では長期戦を強いられる。
    • 前半戦は総じて広い攻撃範囲、出の早い奇襲技、最速ステップ逃げを狩る絶妙な連携が厄介。後半戦になると下半身を失い、溶岩を撒きつつ泳ぐようなモーションで暴れ回る。
    • その凶悪さは「DLCに備えてカンスト周回データを用意した*16結果、ローレンス戦で心を折られた」という体験談が複数聞かれるほど。
    • 『SOULS』シリーズのDLCボスは総じて手強いが、本作には「一度きりの復活」「惜別の涙」のような即死対策が存在しないので、流石にやりすぎ感がある。
    • 1周目では常識的な火力に収まっているため、周回補正の調整ミスを疑う声もある。一度でも倒して契約のカレル文字「獣の抱擁」を入手すれば、次周以降は無視できるのが幸いか。

総評(DLC)

新要素の数々はこれまでの世界観と違和感なく調和するものであり、むしろ本編で語られなかった要素を補完する役割も担っている。
追加アイテムの数々はプレイヤーのアクションにさらなる幅を持たせ、新たなステージで出会う未知の敵のとの死闘でより新鮮なプレイ体験を得られることだろう。
本編を楽しめたなら、ぜひとも挑戦して頂きたい追加コンテンツである。まだ本編を未プレイの方にはDLC同梱版も発売されている。
悪夢は巡り、そして終わらないものだ。いずれ自らの手で目覚めを迎えるものであっても、今はその悪夢を楽しんでみては如何であろうか。


余談

  • 本作のプロデューサーである山際眞晃氏だが2021年2月にSIEを退社した後、同年10月に『NINJA GAIDEN』シリーズや『DEAD OR ALIVE』シリーズで知られるコーエーテクモゲームスのTeam NINJAへ加わっている(参照)。

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最終更新:2023年12月02日 16:16

*1 片方だけ誘き出すのが難しい上、単体でもそこそこ強い。ただし、逃げたり地形に引っ掛けることは可能。

*2 2019年10月現在、1~2体目のボス撃破のトロフィー取得率が5割を切っている。

*3 いずれかのボスに遭遇するか、狂人の智慧を入手・使用することで解禁される。

*4 実際、開発者も難易度を上げすぎたと認めているそうな。

*5 兄弟分といえる『DARK SOULS II』『DARK SOULS III』ではL3ボタンに変更可能。

*6 メイン効果がリゲイン量、隙をつく攻撃力、武器耐久度、スタミナ消費に影響するタイプ。

*7 「スタミナ消費を抑える」以外はオプション効果としての需要がある。

*8 効果が対獣・眷属の攻撃力、武器耐久度に影響するタイプ。

*9 その能力値が高いほど攻撃力にボーナスが付くシステム。例えば「教会の石槌」なら筋力、「慈悲の刃」なら技術で強くなるといった具合。

*10 全能力値が十分高くなるまでレベルを上げるのは非常に手間が掛かるうえ、自分に近いレベル帯と優先的にマッチングするオンラインプレイの仕様上、忌避されることが多い。

*11 厳選作業の第一歩とされる行為。効果がが物理+27.2%、デメリットがスタミナ消費増加のものを目指す。

*12 内臓攻撃を始めとした様々なモーションがズレる、敵が怯むだけでダメージを受けない、怯むはずの敵が攻撃モーションを小刻みに繰り返すなど。

*13 追加技法「固有ダンジョン」をオンにしたもので、聖杯文字が8桁 → 4桁に短縮。それ以外の要素は通常と同じ。

*14 『Demon's Souls』については、リメイク版のみ日本語音声が収録されている。

*15 車椅子に乗った医者らしき老人。ゲーム開始直後の主人公に「ヤーナムの血の医療」を施す。

*16 最低でも6周目をクリアしたということ。クリアの度に敵が強くなるため、一定の知識・腕前・根気を持つ証になる。