デルトラクエスト 七つの宝石

【でるとらくえすと ななつのほうせき】

ジャンル フルタッチアクションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 アウディオ
発売日 2007年9月20日
定価 5,040円(税5%込)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 1個
判定 なし
ポイント DSのフル活用、不親切でもあるシステム
芸術面では隠れた名作か


概要

世界中で人気の冒険ファンタジー小説『デルトラ・クエスト』が、フルタッチアクションRPGとしてニンテンドーDSで登場!
ゲームの操作はすべてタッチペン1本で行い、敵をタッチして攻撃、弾いてダッシュ攻撃など、爽快なアクションを直感的な操作で楽しむことが可能。
また、冒険、バトル、謎解き、収集要素と、RPGの王道たる要素を凝縮し、原作ファンはもちろん純粋なRPGファンにも楽しめる内容となっている。
謎解きや仕掛け、そして待ち受ける強大な敵の数々…。さまざまな障壁を突破し、主人公リーフと共にデルトラ王国の危機を救え!
(任天堂公式サイトのソフト紹介ページより引用)

エミリー・ロッダ作のファンタジー小説『デルトラ・クエスト』の第1シリーズ「沈黙の森」から「帰還」までの範囲を素材にゲーム化した作品。
同作はコミックボンボンで2005年から漫画版が連載され、それをアニメ化したテレビアニメ『デルトラクエスト』の放送中に本作は発売されたが、
キャラ絵といった世界観は漫画やアニメに基づいたものではなく本作用に一新されている。

なおシナリオアレンジと楽曲はそれぞれFFシリーズで有名な野島一成氏、崎元仁氏が担当している。


システム

一部ではボタンで操作もできるが、全編タッチペンによる操作を取り入れている。
プレイヤーはリーフ、バルダ、ジャスミンの3人のうち一人を選んで操作することになる。

シナリオ

  • ステージ選択とゲーム進行
    • 本編は序章から最終章までの9章構成。章のラスボスを倒せば次の章に進める仕組み。
    • 序章以外はクリア済みでも繰り返しプレイすることが可能で、章選択画面から攻略するステージを自由選択できる。ただしイベント等がカットされてしまう。
      • ゲームを一定まで進めると、素材の入手元となるステージ「グランドファーム」が解放される。
      • ラスボスを倒せばシナリオクリアとなり、隠しステージ「モキートの館」とチャレンジステージ「夢幻の塔」が解放される。
  • 体力とセーブについて
    • 体力はゼルダシリーズのようなハートマークの残機制をとる。敵の攻撃によって1~2個ハートが奪われ0になると(控えのキャラの安否と関係なしに)ゲームオーバーとなり、最後にセーブしたところからリスタートになる。
    • テントが章選択画面に1つ、各章に数か所配置されている。このテントに入っているときのみセーブと操作キャラの交代が可能。ピンチになったキャラを控えに持っていくことが出来るが、控えているキャラの体力は回復しない。
    • 調合や敵のドロップで入手できる食べ物や回復アイテムを使うことで回復できる。また攻略中の章をリタイヤするかクリアすることで全キャラが全快する。

アクション面

  • 移動と探索
    • DS下画面に映るマップをタッチペンで触れると、その位置にキャラクターが直線的に走ってくる。なぞるように動かすことでキャラを滑らかに移動できる。
    • 1章での作業はDSの下画面に繰り広げられる小区画を転々とエリアチェンジして探索を行うというもの。
    • マップに時折宝箱が置いてある。近くに来てタッチすることで中身を入手可能。
  • 敵とのエウンカウント
    • 小区画のエリアチェンジ中に敵モンスターと遭遇することがある。初遭遇の場合は、その敵を全滅させないと小区画から出られない。
    • またイベントで登場するもの以外の敵は一度小区画を出て入り直すと復活するが、2回目以降のエンカウントはスルー可能。
  • 戦闘
    • 操作キャラに隣接している敵をタッチすると持っている武器で切り付ける。連打することで連撃になる。
    • 敵もこちらに隣接をしている状態だと攻撃を仕掛けてくる。また一部の敵は離れたところから飛び道具攻撃してくる。
    • キャラをタッチペンで弾き出すようにスライドすることでダッシュ突撃ができる。またダッシュ直前にタッチペンでホールドすることで力をためられる。
    • 上画面は波型曲線のバイオリズムが表示されており、最高に達したときに敵を攻撃するかマイクに音を感知させることで、キャラ固有の必殺技を放つことが出来る。
      • 波型曲線の平均値は、敵に攻撃を当てると上昇、敵から攻撃を受けると低下する。武器が強化されていれば、レベルに応じて放てる必殺技が強力なものに。
    • 敵は倒すと、主人公たちを強化する装備用の素材をドロップするが経験値などはない。
    • 操作キャラの3人は体力と攻撃速度に差がある。バルダは体力と一撃の威力が高いが攻撃時の隙が大きく、ジャスミンはその逆の性能。リーフは2人の中間といった能力値。

キャラの強化

経験値によるパワーアップが無い代わりに以下の方法で強化できる。

  • リーフの鍛冶
    • ステージの各所に設けてある鍛冶台を使うことで、持っている武器の攻撃力を鍛えることが出来る。武器レベルに応じて出せる必殺技の選択肢も増えていく。
  • ジャスミンのまぜまぜ 部屋 (ルーム)
    • 敵のドロップや宝箱から入手する素材を調合し、新たな防具・アクセサリや消費アイテムを作成する。
  • 装備とアイテム
    • 防具となる装備品・アクセサリは1つでも入手してしまえば3人で共有可能。また探索中であれば好きな時に着せ替えできる。
      • 一度に装備できる防具は「鎧」系統と「アクセサリ」系統の2種。武器は固定。上述の鍛冶で威力の強化を図ることが出来る。また一定時間だけ追加効果をつけることも可能。
    • 手持ちの消費アイテムを最大5個まで持ち運ぶことが出来る。ザコ敵を倒すと確率で体力回復用のアイテムをドロップするほか、上述の「まぜまぜ部屋」で素材から合成することもできる。
    • 一部に持っているだけで効果を発揮するアイテムも存在する。
    • 攻略には全く関係のないアイテムだが、レアドロップアイテムとしてモンスターに関するトリビアカードがある。このカードを集めることでモンスター図鑑がどんどん埋まっていく。このアイテムは他プレイヤーとのワイヤレス通信で共有することも可能。
      • トリビアカードの説明文は地味に読みごたえがある。

その他

  • クリア後のやりこみ
    • 全100Fあるダンジョン「夢幻の塔」に挑戦できる。マップがランダムで変わり、登り階段を探して突破していく。途中セーブや自動回復ができないので、3人を上手に使い分ける技量を問われる。
    • 10Fごとにボスが登場する。20,40,60,80,99Fは本ダンジョンオリジナルのドラゴンと戦うことになり、100Fにたどり着くとゲームのBGMをいつでも聞けるようになる。

評価点

  • 爽快性を重視
    • 戦場をものすごい速さで駆け抜けることが出来る。あまりにも速いので違和感を覚える人も多いが、ゲーム攻略のテンポには大きく貢献している。
    • シナリオと演出は原作にあるどこか怖いが痛快な雰囲気の作出に成功しているだろう。
  • 謎解き要素
    • シナリオの節目に軽いパズルアクション要素が挿入されており、本編のマンネリズムを回避している。中には原作を彷彿とさせるものもある。
    • 惜しむらくはこのミニゲームの大半が2周目ではカットされてしまうこと。
  • 敵の挙動
    • 雑魚敵もワンパターンではなく、足の速さや攻撃力の高さ、遠距離攻撃の有無などのバリエーションが存在する。
      後ろから攻撃しないとダメージを与えられない、近づくまで姿を現さないなどの特殊な敵もいる。
    • ボス戦では画面を上下2つ使用され、幅広い視野をヒントに戦わなくてはならない。ボスは比較的奥の深い動きをするので、予備動作を見たり攻撃パターンを読んだりと良い意味でプレイヤーの戦略性も問われる。
  • BGM
    • その場の雰囲気に沿った様々な楽曲が用意されている。
    • 雄大な自然を闊歩あるいは疾走するような元気な曲や、不安を掻き立てるおどろおどろしい曲、他のゲームでは聴けない、おどけた曲調のものなどがあり印象深い。
  • グラフィック
    • キャラの立ち絵やボスのドットグラフィックは原作がもつハイ・ファンタジーの雰囲気を損なわない。
    • 実際、行動できる範囲は狭いのだが2画面使った綺麗なステージ背景が広がることもあり、世界の狭さを感じにくい。

賛否両論点

  • 原作改変
    • ゲームの都合上、存在を省かれているキャラ、原作と異なる行動をしているキャラがいる。
      本ゲームは軽快なアクションとシナリオに重きを置いているので、ゲームのテンポを損なわないための良い改変とする見方もある(決して原作のテンポが悪いという意味ではないので注意)。
      またゲーム単体で見た時にそれなりに楽しめる展開も存在する。
      +
    • フェルディナンドのイカサマシーンカット
    • 魔女テーガンは登場するが嘆きの湖では彼女の子供と戦うだけで直接戦わない。魔物の洞窟ではじめて決闘することに
    • ネリダが全編にわたって登場しない。
    • ルーカスの兄、スカールが暴れるシーンカット。
    • ファーディープの謎解きもカット。ゲームでは謎解きの代わりに試練を課してくる。
      • 逆に明らかに設定が説明不足であり、原作未読だと混乱する場面も存在する。
        +
      • 章ラスボス全般の生い立ち
      • チュルナイからの脱出口のキノコ(原作ではカビ)とネズヌクが着ている服についての説明
      • + 後半の展開の改変
      • 後半の展開
        • デインとは結局戦って倒す展開になるものの、こちらの協力者だったという設定に改編。
        • ラスボスが影の大王ではなく、それを復活させようとするファローに変更。
          • 原作と反する展開ではあるものの、シナリオ自体の熱中度は高い。
    • 一方で、この小説の根幹となるジョーカーとアンナの正体関連は分かりにくい部分でもあるのだが、ゲームではしっかり再現されている。
  • 操作が単調になりやすい
    • ニンテンドーDSの機能をフルに使うという意欲が大いに認められるうえ、評価点ではアクションが軽快と述べたが、まだまだ発展途上な点も存在する。
      • ゲーム進行という目線からすれば主人公たちの足の速さは良い点でもあるのだが、やはり慣れない人にとっては違和感が強い。
      • 操作をタッチペンのみにした弊害で攻撃手段が少ない。基本的にこちらの攻撃手段は近接攻撃しかないので、ザコ敵の戦闘は(射程がやや長めの)ダッシュ突撃によるヒットアンドランのスタイルが基本。そうしないとダメージを受けてしまう。
      • 逆にバイオリズムによる必殺技は数少ない遠隔攻撃となる。敵が遠くにいても、マイクにタイミングよく音を感知させることでも発動できるため、ひたすら逃げ回って高威力の必殺技を撃ち続けることも不可能ではない。
        特に敵の攻撃が激しくなる隠しダンジョンではこのような行為に逃げがち。
  • 絵のタッチ
    • 漫画やアニメから『デルトラ・クエスト』に興味を持った層もいるなか、ゲームの絵はそちらとは異なる特有の癖があるので、受け入れられない人には受け入れられないかもしれない。
    • こちらはこちらでかなり繊細な美しさがあるのだが。

難点

システムが全体的に不親切、および調整ミスが見受けられる。

  • セーブデータが一つしかない
    • 過去にクリアした章に挑戦できはするものの、シナリオをもう一度楽しむことが出来ない。
    • 特に攻略に対して悪影響はないのだが、作中にこなしたミニゲームや特殊ダンジョンも二度とは入れずにカット。一通りマップに進むと唐突にボス戦が始まったりする。
    • また本ゲームシステムの鍛冶、ジャスミンのまぜまぜ部屋はやり直しが効きにくい事もあり相性が悪い。
      • 鍛冶での心残りがあったりシナリオを楽しみたい場合は、データを消してニューゲームするかもう一つソフトを買うかしなくてはならない。
  • ボス戦やミニゲームの難易度
    • 3章の中ボス「ジョーカー」はジャスミンが戦うことになる。この時のジャスミンは体力が低いのでゲームオーバーになりやすい。
    • ミニゲームは敵の攻撃に一度でもいいのであたってしまうと失敗というルールのものがあるので、ここでも詰まりやすい。
  • 3人のバランス
    • 3人は体力と攻撃力に関してはバルダ>リーフ>ジャスミン、攻撃の速度ではジャスミン>リーフ>バルダという性能差がつけられているが、前者はストーリー終盤になるとあまり意味が無くなってしまうので基本的な立ち回りはヒット&アウェイが得意なジャスミンがやや有利と思われる。
  • セーブポイントがやや少なめ
    • 本ゲームは独特な操作方法もあり、敵のボスの動きが機敏なため難易度が高いので、何度かゲームオーバーになる。
      • しかし一度見たムービーをスキップする機能が無いのでテンポが悪くなってしまう。
  • 所持アイテムを捨てたり使用順序を入れ替えるといったことが出来ない
    • 「どくのくすり」のような使用者にとってデメリットにしかならないアイテムも存在するが、捨てることはできず、アイテム所持欄から除外したいなら絶対に使うしかない
      • もっとも、一定時間歩行速度が遅くなるというペナルティなので、敵がいないところで使ってしまえば問題はない。
    • モンスターがドロップした回復アイテムは効果が薄い場合が殆どなので、シナリオを進めているのではければ入手したらその場で使用することをお勧めする。
  • 主人公たちのパラメータ強化について
    • ステージの各所に設置してある武器強化施設「鍛冶」が各所1度きりしか使えないので、進め方次第では武器を最強にできない事もありうる。
      • ジャスミンが未加入の時にも行える鍛冶ポイントがあるが、この時に武器強化を行ってしまうとジャスミンの攻撃力が後れを取ることに。
      • また持っている金属・鉱物素材を武器に合成できるのだが、その効果が一定時間で切れてしまい、肝心の隠しダンジョン「夢幻の塔」攻略時には効果を活かしづらい。
  • 上述のジャスミンのまぜまぜ部屋の仕様
    • 鍋に素材を投入し一定時間かき混ぜる(時計回りのみ対応)ことで素材を合成できる。
      このかき混ぜが足りないもしくは素材の組み合わせが不適切だと鍋にどんな素材を入れようが「炭」が完成し、逆に早すぎると素材が鍋から遠心力で吹っ飛んでしまう。この場合は「炭」の入手もできない。
    • レシピを入手することもできるが、レシピには載っていない素材の組み合わせもいくつか存在するが、間違えた素材の組み合わせを行うと上述の通り、問答無用で「炭」と化す。
    • 素材自体は無限回収できるものの、通常の攻略では間違いなくレア素材もあるので失敗すると後の難易度に影響することもありうる。
      + 有用な調合
    • 水晶(=虫の羽+はちみつ+青リンゴ)
    • 回復の薬(=緑のコケ+はちみつ)
    • 金の指輪(=金)
      • 敵を攻撃すると確率で体力を1つ回復する。
    • 良くも悪くも失敗して覚えろというスタンスなので、成功したときの喜びは確かに大きいが失敗のリスクも大きい。
  • TOMの店
    • 証を示す(「W」を上下逆にしたようなマークをタッチパネルに書く)と店の商品を割引で購入できるが、これを入店するたびに毎度やらなくてはならない。
    • 具体的な値段の変動を覚えていない限り、ずっと割引価格だと勘違いして損するケースもありうる。
  • グランドファームの使い方
    • ファームを経営するおじさんの作物を魔物から守るという話をつけた後、3回にわたって襲撃してくる魔物を退治すると彼から作物のおコボレをもらえる。
    • DS内蔵時計で1日が経つ(時計操作によるペナルティ無し)ごとにモンスターが襲撃してくるのだが、そういった説明が一切ないので放置して作物がやられてしまったプレイヤーが多いのではないだろうか。

その他細かい難点

  • 「終章:帰還 デルへ」で七種族が集まった小屋を探すミニゲームがあるのだが、そこにたどり着くヒントが難解。
    • 単に答えも固定されている2択クイズなのだが正解に至る理屈が不明。
  • ステージマップには足場の有無が存在し、足場を踏み外すと転落してダメージを受けてしまうのだが、このダメージを無効化するアイテムの入手方法が分かりにくい。
    • ルーカスの店で非常に限られた時期(ゲームのイベント1回限り)で購入するか、とある敵のドロップを待つかで入手できるが、殆ど情報が与えられないので、入手方法はおろか存在自体に気付かずプレイする事にもなりうる。
    • もっとも転落によるダメージは小さく、ゲーム攻略に大きな差しさわりがあるわけでもないが、隠しステージの「モキートの館」の終盤はこのアイテムの有無で難易度が激変する。
  • 活かしきれない通信機能
    • 本作には本ソフトを持つ人同士でワイヤレス通信し、メモ帳を介して攻略のヒントを教え合ったり敵のドロップアイテムであるコレクションカードを共有したりが可能だが、あまり広く出回った作品ではないのでこの機能が十分に生かせた例は少ないと思われる。
      • 特に前者は口頭で伝えるかネットで攻略法を調べた方が早い、という根本的な問題が存在する。

総評

DSならではの機能を存分にかつかなり自然に生かせているという特徴もあるが、肝心のアイテムやセーブシステムで粗が目立つ、アクションゲームとして単調などの点がなければ十分良作となりえたであろう惜しい作品である。
プレイのハードルがやや高い一方でそれに耐えることが出来れば、美しい絵と音楽、演出で描かれる世界観と原作の雰囲気を味わうことが出来るため、原作が好きもしくはデルトラ・クエストのシリーズのお話に興味がある人はプレイして損はないだろう。


余談

  • 小説では『デルトラ・クエスト』とタイトルに中黒がつくが、漫画・アニメ・本作いずれも中黒無しの『デルトラクエスト』とされている。
  • アニメの原作となった漫画版は末期のコミックボンボンで連載されていた。作者は『真島クンすっとばす!!』などで有名なにわのまこと氏。
    • 既にボンボンはこの頃には完全な落ち目となっていたが、本作とゲゲゲの鬼太郎(第5期)のヒットで多少は勢いを取り戻した。
    • しかしその甲斐もなく、2007年を最後にコミックボンボンは休刊となり、26年の歴史に事実上の幕を閉じている。尚、『デルトラ』はテレまんがヒーローズに移籍して最終回(第1シリーズのラスト)まで描かれている。
    • アニメも本作や漫画同様に第1シリーズ完結で終了する予定だったが、好評の為に放送期間が延長された。