ナイトスラッシャーズ

【ないとすらっしゃーず】

ジャンル ベルトスクロールアクション
対応機種 アーケード
発売・開発元 データイースト
稼働開始日 1993年2月19日
判定 なし
ポイント スプラッターな『ファイナルファイト』
好物システム
過激描写も難易度もクライマックス級


概要

1993年にデータイーストが送り出したアーケードゲーム。
システム的には『ファイナルファイト』のフォロワー作品の一つではあるが、スプラッターな描写と好物システムが好評を博した。

ストーリー

ある日を境に世界にはモンスターが溢れ、軍は壊滅状態に陥り、街の住人達はその日その日の夜を恐怖に脅えながら暮らしていた…。
しかし、彼等には僅かな希望があった。
そう、闇夜を切り裂き、魑魅魍魎を粉砕する三人組のレジスタンスチーム『ナイトスラッシャーズ』である…!

システム

  • 概要で触れた通り『ファイナルファイト』タイプのベルトスクロールアクションゲームだが、本作独自の要素もある。
    • Aボタンで攻撃。連打すると連続技を繰り出す点は過去のベルトゲーと同じ。
      • Aボタンを押しっぱなしにすることで、キャラクターはオーラを纏い溜めに入る。溜め中も攻撃こそできないものの動くことは可能で、オーラの輪が完全に描かれてからボタンを離すと溜め攻撃が可能。溜め攻撃には地上版と空中版と掴んでからの投げ版があり、クリスにはさらに隠しタメ技がある。
      • ただし、溜め過ぎるとプレイヤーキャラは気絶してしまい、隙を晒してしまうので注意。
    • Bボタンでジャンプ。ジャンプ中、レバーを下に入れてAボタンで攻撃すると敵を地面に埋める事が出来、三発まで追撃を入れられる。
    • AB同時押しでメガクラッシュ、そしてCボタンで超メガクラッシュ(空中可)を出せる。
      • メガクラッシュは所謂緊急回避技。完全無敵になりながら全方位に向け攻撃を放つ。割合体力消費量が大きく、1割程度を消耗してしまうため乱用はできない。
      • 超メガクラッシュは使用した瞬間に時間が停止し、画面内全ての敵に対して高威力の攻撃を行う。地上技と空中技では演出が異なる*1。但しその分体力消費量も非常に大きく、約3分の1を消費する。また、体力が3分の1以下の場合は発動することができない(地上の場合ガードポーズを取る様になり、空中では何も技を出さなくなる)。
    • また、デコゲーらしくいくつか変わったシステムが導入されている。『好物システム』『クリティカルシステム』など(後述)。
  • ステージは病院、墓場、遺跡等、オカルトに関係しやすい場所が多い。

プレイヤーキャラ

  • ジェイク・ホワイト
    • 元々強力な念動力を持ちつつ、四肢をサイボーグ化した*2アメリカ人の青年。位置付けはパワータイプ。超自然系の敵(ゴーレム、狼男など)に強い。
      相手を掴んでレバー↓+ABで出す「ヘルサーファー」*3は彼の象徴ともいえる技。
      他の二人では蹴ったりして飛ばすしかない一部の障害物を、持って移動させて投げ付ける事ができる。
      好きな食べ物はハンバーガー、フライドチキン、バドワイザーで所謂「ジャンクフード系」。
      体力減少時に放てる必殺技・サドンインパクトは溜め無しで放てるが、コマンド入力受付が厳しく出しにくい。なお他の二人は溜めないと出せない。
    • 豪快な性格の持ち主で、台詞・ボイス共にデコキャラらしい熱さがたっぷり。使っていて実にニヤリとさせられるキャラである。
      • 例:ボスを倒して「We've destroyed them all!(てめえら、皆殺しだ!)」
  • クリストファー・スミス
    • ヨーロッパ出身で吸血鬼専門のヴァンパイアハンター。立ち位置はコンボ系寄りのバランスタイプ。ヴァンパイアハンターらしく、吸血鬼系の敵に強い。
      初心者向けの性能で、様々な国の格闘武技を使いこなす他、連続技のシメは十字架(海外版では水晶玉)でトドメを刺す。
      好きな食べ物は、甘い物とシチューで「菓子系」と「シチュー・スープ系」。
      因みに彼はケーキをつまみに酒が飲める程の大の甘党。
      体力減少時に放つ事の出来る必殺技・ソリッドスラッシュは相手に突進し、乱舞を叩き込み最後に投げでフィニッシュの魅せ技。ただし突進距離は短いため、狙うなら間合いが重要となる。
  • 趙紅華(チャオ・ホンファ)
    • 中国出身の退魔術師で、チームの紅一点。立ち位置はスピードタイプ。ゾンビ系の敵に強い。
      龍と鳳凰の加護を受けており、剣と加護によるパワーを駆使して戦う。妹が一人いる。普段は日本在住で、レンタルビデオ屋のバイトと中国拳法の道場指導者をかけ持ちして世を忍んでいる。
      好きな食べ物は、肉まん、ココナッツミルクで「果物系」と「中華料理系」となる。
      彼女が使える体力減少時の必殺技・鳳龍雷火弾は飛び道具系の技だが、隙が大きく使いづらい。

評価点

  • 好物システム
    • 本作では各プレイヤーキャラに設定されている好きな食べ物の系列をシステム面にも反映させており、回復アイテムの食べ物による体力回復量がキャラや食べ物の種類に応じて大幅に変化する。
      • 例えばケーキ(菓子系)を取った場合、大の甘党であるクリストファーの場合は大幅に回復するが、他の二人だと基準の回復量しか回復しない…といった具合。
      • どのキャラでも全回復の肉などではあまり関係無いが小・中回復量のアイテムには回復量+αの「個性」が出る様になっている。
  • クリティカルシステム
    • こちらが敵を攻撃した際、一定の確率で通常とは違うエフェクトになり、大幅に攻撃力が上昇する。
    • どんな敵に対してもクリティカルが出る可能性はあるが、ここでもキャラの設定が活かされており、キャラクターにとって得意な系列の敵を殴った場合有利になるようになっている。
      • 雑魚戦の場合、攻撃力自体は変わらないが、他のキャラが殴った時よりもクリティカルが出易い。
      • 画面下にゲージが表示されるボス敵の場合、攻撃力・クリティカル確率の両方に有利な補正がかかる。
    • 他にも、ダウンさせた敵が起き上がった際気絶状態になり、そこにさらなる追撃を決めることができたりする*4
      • 但しこちらも攻撃された際、気絶してしまうことがあるので注意が必要。レバーかボタンを入力すれば復帰することができる(何も入力しないと、ずうっと気絶したまま)。
    • ちなみに時折フィールドに落ちているアタッシュケースから「STINGER」と書かれたパネルが出てくるが、これを取ると取得直後の攻撃に限り、クリティカルヒットになる。
  • 敵やボーナスゲーム等が、これでもかとばかりに終始ホラー・スプラッター要素で塗り固められている。
    • 病院では次々と怪物を生み出す医者やフランケンシュタイン、墓場とその手前では悪魔がとりついた人形と持ち主の老人、ゴーレム、遺跡ではその番人等、終始人外の敵が襲い掛かって来る。
    • ボーナスゲームは、モグラ叩きならぬゾンビ叩きやゾンビボウリング等、此処でもホラー要素を詰め込んでいる。
  • 前半戦のボスとのやり取りは、主人公のキャラクター性が押し出されたデコゲーらしからぬ非常に格好良く粋なものとなっている。
    • 例:1面中ボスのマッドサイエンティスト:「君達 どんなふうに改造して欲しいか希望はあるかね? ゾンビがいいか?人造人間か?」に対して
      • クリス:「こちらからも聞いておこう どのように滅ぼしてほしいか リクエストはあるかね?」
      • ジェイク:「ないね!!俺がこれ以上ハンサムになったら 犯罪になっちまうぜ!」
      • 紅華:「ふーん… 自分の顔でも改造してたら?」
  • ハードロック調のBGMも格好良くゲームを盛り上げてくれる。
    • 参考に動画サイト等を探す場合は注意点が一つ。万が一その動画が実機ではなくエミュレータを使用したものだった場合、BGMがおかしくなったり、音楽だけ流れなかったりという不具合が発生している事がある。
      • エミュレータ自体がいわば「想定外の使用法」なので、この点についてはスタッフは何ら責任を負う必要は無いという点は強調しておく。
    • サントラCDはサイトロンレーベルから発売されていた(エレメカゲーム『フラワーバスターズ』とのカップリング収録)。古い作品なのでまず間違いなく廃盤。
  • 隠し必殺技が多く、魅せプレイをしようと思うと果てしなく奥深くなる。
    • 中には2人同時プレイや3人同時プレイでしか出す事のできないコンビ技(合体パイルドライバー)やスリープラトン技(合体パイルドライバーから紅華が追撃を行う物)などもある。

賛否両論点

  • 難易度が高い。
    • 雑魚敵の攻撃が非常に強く、嫌らしいものが多い。雑魚に囲まれた時点で終了と言っても差し支えない程。
      • 二面の狼男ラッシュは、上手く乗り切らないと体力の大半を持っていかれてしまう。
    • 勿論中ボス・ボス格の敵もいきなりクライマックス、もとい序盤から強敵揃い。
      • 1面ボスのフランケンシュタインからして、喰らうと気絶してしまう効果が付いた攻撃と、プレイヤーのジャブハメを阻止する放電攻撃を完備。
      • 2面中ボスである老人の掴み攻撃のリーチが長く、人形との連携もあって非常に厄介。初心者は此処で躓きやすい。
    • 一人プレイでジェイクを使った場合、調整ミスとしか思えない仕様が発生するのもこれに拍車をかける(後述の問題点にて)。
  • 題材が題材なのでグロ・スプラッター・ゴアな描写が多く、その点の「気持ち悪さ」についてはどうしても人を選んでしまう。
    • グラフィックに気合が入っているとか、ホラーもので怖い・グロいとかは本来なら純粋に長所となるのだが、本作の場合ほとんどの雑魚ゾンビが臓物丸出しの腐乱死体。倒した時も気味の悪い音とともに内臓などを剥き出しにした肉塊になり、そのバリエーションも色々。余談にもある通り海外版では血色変更などのレーティング表現変更スイッチも有るのでもし移植・配信が可能になったとしてもCERO判定は日本ではZ(海外のM判定相当ゲーム扱い)になる可能性が高そうである。

問題点

  • 何故かジェイクの好物系列であるジャンクフード系の食べ物アイテムが一人プレイだとあまり配置されない。この為、一人プレイでジェイクを使う際には総体力回復量が明らかに少なく、如何にして体力を減らさず進めるかというテクニックが要求される。
    • とはいえ、一定のパターンさえ踏み外さなければ、1コインクリアも決して不可能ではない調整にはなっている。
      • 移植などの際にはバランス調整でアイテム配列テーブルなどを弄って置き換わる可能性も高いが。
  • 納期の問題があったのだろうか、後半戦になってくるとちょっと雑な展開が目立つようになる。
    • 後半面ではボス戦までの道中が極端に短いステージが登場したり、ステージ内のギミックが少なかったり使い回しも目立つなど、各ステージでは手を抜いていると思われる部分が見られている。
    • 最終ボスは、そのステージになって初めて存在が明かされる完全にぽっと出の存在。一応ハイスコアランキング画面の背景にそれっぽいキャラは描かれているが、それ以外前フリも伏線も一切無し。

総評

やたら過激なスプラッター描写に加え高難易度という点から、初見では中々近寄り難いものがあるのは否めない。
しかしながら「ヘンなゲームならまかせとけ!」のキャッチコピーに恥じない大味且つ強烈な個性と、
その見た目からは到底連想できないであろう、単なる『ファイナルファイト』のフォロワーに終わらせないしっかりした作りこみは、流石のデータイーストと言えるだろう。

余談

  • スプラッターな描写故か、それとも何らかの大人の事情があるのか、データイースト自身の手によってCS移植が為される事は無かった。
    • 一応、メガドライブ版を移植版として出す予定は有った様だが、早期に頓挫している。
    • 現在データイーストのゲームに関する権利は、その大半をジー・モードが所有しているが、やはり描写がネックとなっているのか本作はACアーカイブスでの配信もなされていない。
    • だが、AC版の発売から25年後の2018年11月に、北米地域で『Johnny Turbo's Arcade』シリーズの1つとして、Switch版のDL配信が開始*5。海外AC版のベタ移植で、設定も画面のアスペクト比と画質設定しか変更できない。そして、問題のグロ・スプラッターな描写についてもAC版そのままで変更もできない。ゲーム開始は「クレジットを手動で入れてからスタート」というACと同じ操作をする仕様になっている。尚、日本からの購入・日本のSwitch本体でプレイすることは可能だが、事前に北米アカウントの作成が必要。
    • また2021年6月24日にはSteamでZigguratがパブリッシャーとなり『Retro Classix:』シリーズのひとつとして海外版が単体で配信されている。ただしFPSが低下するなどプレイした人の移植度の評価は低い。
    • 家庭用とアーケードのゲームを、メーカーの垣根を越えて多数収録しているミニゲーム機「retro-bit GENERATIONS3」に本作が収録されている。こちらは国内版となっているので嬉しいところであるが、3人同時プレイが不可能。加えて本作は処理落ちが激しい状態で収録されてしまっており、まともにプレイするのが正直なところかなり厳しいという残念な移植となってしまっている。本作以外にもデコゲー好きならかなり興味を引くラインナップの作品が収録されているものになっているので非常に惜しい。一応全てがプレイ困難と言うわけでもなく、まともにプレイ出来る作品もあることはあるのだが、本作目当てで購入することはあまりオススメ出来るとは言い難い代物となってしまっている。
  • 海外版のみ、オペレーターコンフィグ画面で血の色や暴力的な描写の度合いを変えることができる。そういった描写に煩い団体への対策と思われる。
  • エンディングではジェイクの両腕が本編と異なる。よく見ると継ぎ目があるため、本編の戦闘用アームとは別の日常生活に合わせたものにしているようだ。
  • 内藤泰弘氏の漫画作品である「血界戦線」は、本作から影響を受けて描かれていると初めて掲載された際に行われたインタビューによって語られている。車で敵集団をなぎ倒しながらアジトに乗り込むところや、主役の一人が独自の格闘術の使い手である紳士といったところ等にその片鱗が見られる。
  • 2023年10月31日、本作のリメイクである『Night Slashers: Remake』のリリースが発表された。対応プラットフォームおよび発売時期は現時点では未定。
    • パブリッシャーのForever Entertainmentは2021年9の時点で、本作の権利を保有するジー・モードとライセンス契約を締結しリメイク版を開発すると報告していたが、この度ようやく正式発表と相成った。
    • リメイク版はドット絵からカートゥーン調のグラフィックに変更され、残虐表現もそのままに四人同時プレイが可能となる模様。それに際して新キャラが追加されるのではないかと思われるが、現状は不明。

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最終更新:2023年11月02日 00:30

*1 ジェイクの場合は敵に与える効果も異なり、空中技のほうは敵を地面に埋めるため、ちょっとだけお得。

*2 OPのキャラ紹介テキストでは「両腕を~」とあるがキャラグラフィックや実際のプレイ中グラフィックで両足の膝から下も機械義肢化しているのが判る

*3 敵をサーフボートに見立て、頭を下にして豪快に引き摺りながらサーフィンをする。

*4 オーラを溜めた投げ技を決めると、気絶状態を誘いやすい。

*5 開発はFlying Tiger Entertainment。もちろん現在の版権保有者であるジー・モードの許諾を得た上で出していることがクレジットにもある。