機動戦士ガンダム EXTREME VS-FORCE

【きどうせんしがんだむ えくすとりーむ ばーさす ふぉーす】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
メディア PS Vitaカード/ダウンロードソフト
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 バンダイナムコスタジオ(VSTG PROJECT)
ランカース
発売日 2015年12月23日
定価 6,800円(税別)
プレイ人数 1人(アドホック時2人)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント VSシリーズを利用した一人向け最大7機のRTSアクション
フルプライスなのに機体数激減&モード実質1つの極薄ボリューム
アップデートでマシにはなったが不足感は解決せず
and more
ガンダムVS.シリーズリンク


概要

ガンダムVSシリーズにおけるEXTREME VSシリーズの流れをくむ作品。VSシリーズとしては初の家庭用オリジナルタイトルとなる。
従来のシリーズでは2VS2のチームバトルアクションだったが、今作はプレイヤーが小隊長となり、戦艦・MA含めた最大7体の機体を引き連れて戦う小隊戦を中心として進める「EXTREME-FORCEモード」がメインモードとなっている。
このモードは、過去のガンダムゲームでいえば『戦士達の軌跡』などのRTS要素とガンダム無双シリーズのエリア制圧による陣取り要素を混ぜ、それをEXVSシリーズのアクションで行うといったものである。
このため覚醒(EXバースト)が削除され、代わりに「フォースコマンド」という味方機を強化・回復したり敵に大ダメージを与える特殊アクションが登場している。

これによって1人用プレイに特化しつつ、従来のVSシリーズの楽しみ方もできると告知されていたが、
これまでのEXVSシリーズ家庭用版に搭載されていたインターネット対戦は廃止され、当初はアーケード版のブランチバトルやフリーバトルなどに相当するモードもなかったこともあり、実際のゲーム性は大きく異なる。

ストーリー

人類が衰退し、終焉へのカウントダウンが始まっている時代。
宇宙ステーション「アース0」においてこの状況を打破すべくある計画が進行していた。
過去の時代が収められたデータベースへとダイブしてデータを取得し、人類を進化させて復興する計画「FA計画(プロジェクト・フォース)」。
人工知能「アイレ」と「テレノ」によって進められていたその計画はダイブ用に構築された新たな人工知能の完成を以っていよいよ開始されようとしていた
プレイヤーは人工知能となり過去の時代、すなわち宇宙世紀における1年戦争から第3次ネオ・ジオン戦争までの時代にダイブし、人類進化に関わるデータを取得する役割を担うのである。


問題点

プレイアブル機体の大幅減少

  • 特典DLCのバルバトスとハイネデスティニーを加えても、わずか43機。
    • その後2016年3月9日のアップデートで6機体、同年6月1日に3機体追加され、現在は52機まで増えている。
    • EXVSシリーズは多数の作品の多様な機体が使えるのが売りで、同時に稼動していた『マキシブースト』にいたっては160機近い機体が使用可能であり、ギャップが問題視されている。
      • 携帯機移植のための減少も止むを得ないとはいえ、ほぼ同じ条件での移植作である『ガンダムVSガンダム NEXT PLUS』の66機と比べても圧倒的に少ない。加えてあちらは後述の武装削除もなく8体もの新規プレイアブル機体まで追加していたことを考えると、数字以上に差は大きいだろう。
    • コストごとの機体数の偏りもより酷くなっており、低コスト機に至ってはわずか5種しかいない。
  • 僚機や敵専用のNPC機体を含めればそれなりに機体数は存在するが、あくまでNPC用。プレイヤーは使えないので、単純にもどかしさだけが残る。
    • また、プル専用キュベレイMk-IIをはじめとした、マキシブーストではプレイアブルであった機体がNPC用に降格している例も多数見られる。
    • ディジェなど、プレイアブル化を求められていた機体もNPC機体として登場している。内容としては既存機体のコンパチであるが。
  • 作品ごとの機体数の偏りも凄まじい。
    • 『初代』、『Ζ』、『UC』はメインとなるぶん1作品あたり6機と豊富だが、『F91』や『V』等それ以外の年代、『W』や『X』等のアナザーガンダムは『SEED DESTINY』を除き1機だけ。そのためライバル不在の作品も大量に存在する。
      • 後のアップデートでアナザー系列の機体も増やされたが、『F91』『V』『SEED』『AGE』には追加はなかった。
    • 『ΖΖ』や『逆襲のシャア』はまだマシだが、それでも2~3機。そして『閃光のハサウェイ』『ASTRAY』『クロスボーン』など外伝の機体にいたっては全てリストラ。
      • 本シリーズオリジナル機体であるエクストリームガンダムも、アップデートでセシア機が追加されたのみ。ボス機体はもちろん、本編主人公であるはずのレオス機はいずれも未実装に終わっている。
    • なお、NPC機体についても同様にメインとなる『初代』『Ζ』『ΖΖ』『UC』だけが充実していて偏りが目立つ。これ以外では後述のタイアップによるものか『SEED』の機体がわずかに登場する程度。

圧倒的なボリューム不足

  • 小隊戦ができるEXTREME-FORCEモードが売りであったのだが、当初はそもそもこれしかモードがなかった。
    • 従来の2ON2も出来ると告知されていたが、EXTREME-FORCEモードの一部にそれっぽいステージがあるのとアドホック通信を利用した対戦でできるだけで、特にそれ専用のモードがあるわけではない。
    • あまりに殺風景すぎるメインメニューがネタにされる程であった。
  • EXTREME-FORCEモード自体も、寄り道をしなければ10時間程度でエンディング、全機体を揃えても15時間足らずという貧相なボリューム。
    • 各ミッションは原作の戦闘シーンを再現した構成となっているものの、特にムービーや専用セリフなどが用意されているわけではなく、ただ敵と戦って撃破するだけである。
      • 原作再現されているのは主に宇宙世紀作品の『初代』から『UC』までだが、その内『ΖΖ』は参戦機体の都合からか、ダブリンの激闘とアクシズでの最終決戦が収録された程度とかなり偏っている。
      • 戦艦も登場するが、何故か『Ζ』『ΖΖ』の艦船は1隻も実装されていない。マップの背景にアウドムラなどが見える程度である。
  • 後にアップデートで従来のVSモードに相当するフリーバトル、ブランチバトルコースに相当するコースバトルが追加された。

操作系の変更に伴う武装削除

  • 従来のVSシリーズでは射撃・格闘・ジャンプ・サーチの4ボタンと射撃+格闘のサブ射撃、射撃+ジャンプの特殊射撃、格闘+ジャンプの特殊格闘があった。
    • しかし本作では、Rボタン+射撃or格闘の同時押しによる「特殊攻撃1」「特殊攻撃2」の2つのコマンドにサブ射撃・特殊射撃・特殊格闘が統合されたため、多くの機体で一部武装が削除されてしまっている。特にアシスト系の武装はほぼ全て消されており、アシスト機と協力して行う攻撃技も漏れなく削除された。
    • ただでさえ武装減少によって操作性に難が生じてしまっているが、デルタプラスやユニコーンガンダムのように立ち回りの要となるキャンセルルートに絡むアシスト武装がなくなってしまった機体はもはや元の機体とは別物になってしまっている。
      • アシスト以外だとズゴック乗り換えが消えたシャア専用ザクや、BWS形態を削除されたリ・ガズィなど、元のコンセプトそのものをひっくり返された機体もいるほど。
      • なお、アシスト系武装そのものはアッガイやガンダムDXなどに残されており、完全に削除されたわけではない。ジ・Oやフリーダムガンダムのように、弾数式からチャージショット(及びその逆)へのコマンド変更がなされたり、後述のデスティニーガンダムやジオングなど別のコマンドに統合された武装もあるため、いくらでもやりようはあったということでもある。
    • 加えて、どの武装が特殊攻撃の1と2どちらに割り当てられるかは機体によってまちまちで統一感がない。例えばバズーカ系のサブ射撃は概ね特殊攻撃1に収まっているが、全てのサブ射撃が特殊攻撃1に割り当てられている訳ではなく、特殊攻撃2に充てられた機体やそもそも削除されているケースがある。他にも換装コマンドが特殊攻撃1にある機体と特殊攻撃2にある機体で分散していたりと、従来のEXVSシリーズのプレイヤーほど直感的な操作ミスをしやすい仕様になっている。
      • また、アップデート前はキーコンフィグもなかったので、単純に操作がしにくいという問題も抱えていた。
    • 前述のように覚醒(EXバースト)も削除されているため、後述の特殊な効果や、ラストシューティングをはじめとした印象的な大技が丸々削除された機体も多い。
    • これに伴うバランス調整も雑で、共通してメイン射撃のリロード時間の短縮や射撃武装の誘導を強めるといった単純かつ画一的なものばかりで、削除した武装を新アクションで補うといった工夫はなされていない。上記のデルタプラスなど、根本的な見直しが必要と感じられる機体も少なくない。
      • Ζガンダムに至ってはダミーバルーンとビームコンフューズが削除され、加えて覚醒とアシスト削除によってハイパー化や弾数回復といった個性も消え去り、ほぼ死に枠となった変形武装まである上に派生を含めたコマンドの不統一まで見られる*1と、正に踏んだり蹴ったり。武装削除や仕様変更をするなら、それに代わるだけの適切な調整を施してほしいものである。

ゲーム性そのものの劣化

  • 一応コースバトルやフリーモードなどで2VS2もできるが、EXVSシリーズの売りであったEXバーストもマキシブーストの目玉だったEXオーバードライブもなくなったため、純粋にゲーム性が薄れている。
    • 特にEXバーストによって、ゴッドガンダムの明鏡止水やガンダムエクシアのトランザムなどの特殊な効果を得る機体のほとんどが「耐久が一定以下に減少したときに自動で発動する仕様」に変更されたため、これらの機体は特に影響が大きい。
      • 一方でΖガンダムやΖΖガンダムの覚醒中スーパーアーマーなど、仕様変更すらされずに削除された要素もある。当然ハイパー化やサイコフレームの共振といった覚醒中の専用演出も、ほとんどが削除されている。
      • この変更でガンダムエクシアはトランザムが発動後永続するようになったが、アップデートで追加されたダブルオーガンダムのトランザムライザーは同じ条件ながら時間制限付きである。ゲームバランスや原作設定的にも時間制限がある方が正しい調整ではあるのだが、結果的にトランザムの仕様の不統一を招いてしまっている。
    • EXTREME-FORCEモードでもフォースコマンドは2ON2ステージでは使えないので、2ON2も純粋にやることが減ってしまった。
    • この他、一部機体にあった「復活」システムももれなく削除されている。こちらは耐久力を上げる形で調整されてはいるが。

そもそものコンセプトの不一致

  • VSシリーズはタッグ戦をしてこそという声も多く、一人用に特化したゲームとして作られた事に関しては残念な声が多い。
    • VSシリーズのロック送りは、次の機体へ順番に移っていく仕様であるため、結構不便な仕様である。
      • 従来の2VS2であれば「今見ている相手」と「切り替えて見る相手」の2機しかいない為、視点切り替えですぐ見る対象を選べるのでこのシステムで問題ない。だが、3機以上に増えると一回視点切り替えしても見れない相手が出てくる為、咄嗟に見たい相手に視点を移せない問題が出てくる。
      • 前作まででもCPU戦では3機以上出る事はあったのだが、その際の視点切り替えの面倒さは指摘されていた。本作は多人数が基本なだけあってその点の面倒さはかなり目立つ。
      • また、レーダーの表示範囲に対してロックオン距離もやや短く、正面に見える敵拠点や戦艦を狙おうとしたら後ろにいた敵機にロックが入る場面も少なくない。
      • 一応多数を相手にする事を考慮してか従来のロックボタンだけでなく右スティックでのロック切り替えにも対応している。左右での選択だけでなく上下での選択でボスや戦艦、拠点にすぐにロックを切り替える事は可能である。
      • ちなみにこの問題は後に3VS3を実装した『GUNDAM VERSUS』でも同様に問題視された。
    • 2VS2の物量だからこそ成立していたアシスト武装や低カット耐性の武装・コンボなども、碌に調整されないまま削除あるいはそのまま続投している。EXTREME-FORCEモードでは文字通りに弾幕が飛び交う場面も少なくないため、こうした状況を無視できる機体が極端に有利になってしまっている。
      • 分かりやすいのは百式で、元々の射撃の択が充実している上に、ボス機体を一瞬で削り取る散弾型の特殊攻撃1と設置によって乱戦でも撃てるゲロビの特殊攻撃2が優秀で、変形によって足回りも悪くないと隙がない。これでも復活やアシストなどはしっかり削除されているが。
      • 露骨に弱くなった機体としては、先に挙げたデルタプラスのようなアシスト武装が主軸になっていたもので、それ以外では格闘コンボによる覚醒ゲージ溜めのメリットが失われたジ・Oや、武装の取捨選択が悪く結果として手数が不足しがちなバンシィなどが挙げられる。
    • 一応、大量に登場する敵機に合わせ前述した射撃武装の誘導強化やリロード時間短縮、キャンセルルートの追加なども施されているものの、格闘機をはじめとしてこの調整による恩恵を大きく受けていない機体もいる。そしてほとんどの機体は武装削除による手数不足の悪影響の方が大きいため、やはりコンセプトの不一致感を補えているとは言いがたいだろう。

BGM

  • 本作に収録された曲は全て劇中BGMで、主題歌は1曲も収録されていない。
    • 主題歌を流せるのは『ガンダムVSガンダム』から続く伝統であり評価点であったため、それが一切ないというのは手抜きと言わざるを得ない。
    • せめて曲目が充実していれば一定の評価もできたのだが、1曲しか採用されていない作品も多く、いずれも原曲ではなく原曲風のアレンジ版を収録しているので質も量もイマイチという有様。
    • カスタムサントラは実装されているので原曲を持っている人は自分で設定すればいいのだが、EXTREME-FORCEモードの出撃準備メニューでしか変更できない。変更するにはそこまで行かなければならないうえ、曲を聞いて登録しないと変更そのものができない。
      • 同じくカスタムサントラが実装されているフルブでは最初からほぼ全ての曲が変更できるようになっていたので、何故こんな面倒な仕様にしたのか理解に苦しむ。

その他EXTREME-FORCEモードの問題点

  • 戦闘中に敵エースやボス機体が登場すると、カットインと共に一言セリフを喋るのだが、言い終わるまで画面が停止する上にこの演出は一切スキップできない。
    • 複数人のカットインが連続発生するミッションもあり、再挑戦したい時などは無駄に煩わしい。
  • 小隊戦時にリスポーン地点が選べない。
    • 小隊戦で撃墜された場合、一定時間後に占拠した拠点か戦艦から再出撃するが、プレイヤーはその場所は選べず自動で決定されてしまう。
    • これにより進軍ルートを変える為に前線から離れた場所に再出撃する、戦艦に向かってくる敵を戦艦から再出撃して迎え撃つ等の対応が出来ない。
  • 自由に小隊を組めるといわれていたが、実際は多くのステージで使用機体の強制がかかり、僚機含めて編成自由度の低いミッションも多い。
    • アップデートにより、プレイヤー機は一度クリアすれば任意の機体を遊べるようにはなった。とはいえ初回プレイはもちろん、クリア後も僚機を自由に選べないミッションはなかなか辛いところがある。
  • VSシリーズではお馴染みの僚機への集中・分散・回避などの命令変更が出来ない。
    • この点は後述のハロメダル獲得や、戦力ゲージが存在する2on2ミッションで致命的な問題となり、僚機が足手まといとなる場面がある。
      • 終盤では自機がコスト3000のフルアーマーユニコーン・僚機がコスト3000のバンシィ・ノルンで固定されるステージがあり、総コスト6000の為どちらか1機しか撃墜される事が許されないのに、命令不可の僚機が勝手に撃墜されてコストを浪費する事態すら起きてしまう。
    • なお、フリーバトル及びコースバトルモードでは従来通りの命令変更が可能。
  • 小隊戦における敵砲台と戦艦が鬱陶しい。
    • 共通して拠点には砲台が配置してあり、ミッションによっては敵戦艦も登場するが、いずれも攻撃が激しく対処が難しい。
      • 本作の仕様として射撃の誘導が強くなっているため、きちんと回避行動を挟む必要がある。また、ボス機体同様によろけや弾数といった概念もなく一定周期で撃ちまくってくるため、強力な射撃武装で素早く処理するのが最適となる。当然ながら格闘機は不利を強いられる。
    • 内部的には通常の機体同様に被ダメージに補正があるらしく、照射や散弾系の射撃武装でごっそりとHPを削れる場面もあれば、直撃させたのにほとんど減らない場面もある。乱戦では他の攻撃を確認し辛く、元よりよろけなどの表現もないので、プレイヤー目線だと唐突にダメージが通らなくなったように見えることもしばしば。
  • 一部ハロメダルの獲得難易度が高い。
    • ステージ中に特定条件を満たしてクリアすると得られる「ハロメダル」なるやり込み要素がミッション毎に3種用意されているが、一部はかなり厄介な条件が設定されている。
    • 特定機体でのクリアが2種類用意されているといった周回前提のものはともかく、味方機に一定数撃破させるものや、逆に味方機に一切撃破させず自機のみで目標を全滅させるものなどは非常に嫌らしい難易度となっている。
      • 上記のように命令変更ができないせいで僚機の攻撃を抑制できず、こういった条件があるミッションに限って僚機の変更ができないといった制限もあり、いくらプレイヤーが上手く立ち回っても結局は運に左右されがち。
      • また、終盤では「コスト2000以下の機体のみでクリア」という条件がやたらと出てくるため、高コスト機の使い手には少々面倒くさい部分も。最大6枠の編成枠でプレイアブルの低コスト機が5種しかいないのに「コスト1000以下の機体のみでクリア」という、単純に幅が狭いだけの条件もある。
    • ハロメダルを集めることで得られるメリットは「編成のコスト上限アップ」と「一部機体の獲得ミッションの解禁」で、どちらも一定数を集めるだけで済むのは救いか。ただし、全ハロメダル獲得を条件とするトロフィーも存在する。

その他の問題点

  • 戦闘中に多数の機体を同時に処理するためか、アシストの削除をはじめとして単純に表現や仕様が劣化した部分もある。
    • 戦闘中のパイロットのカットインから口パクが省略された。また覚醒がなくなったため、覚醒カットインはフォースレベルアップ時に挿入される程度に留まっている。
      • またアシストと覚醒削除により、それに関連した勝利ポーズもまとめて省略されてしまっている。
    • マップ上の建造物は一切破壊不可能になり、一部のギミックも省略されて固定構造になった。単純に戦闘中の障害物が増えたのはもちろん、EXVSシリーズから流用されたマップでも新たに立ち回りを考える必要が出てきている。

賛否両論点

  • 本作独自のナビゲーター(ホロアクター)
    • EXAシリーズ*2のセシア・アウェアと同じような存在である女性キャラクターが2名登場する。EXAのキャラクターが好きなプレイヤーからはデザイン自体は「可愛い」と好評。
    • キャラクター性は人によってあざとく見える部分もあり、出しゃばっているように映るというプレイヤーも居る。とはいえ彼女たちにはストーリーテラーとしての役割もあるためそこは仕方ない。
    • デザイン・キャラクターともにそこそこ好評なのだが、ゲームクリア後は彼女たちの立ち絵が表示される機会がなくなってしまう難点がある。かろうじてナビゲーション用のフェイスグラフィックを確認できる程度。
      • EXTREME-FORCEモードの進行に応じて彼女達のボイスやBGMの変化などもあるが、これを元の仕様に戻したり、セーブデータを個別に保存しておくといったこともできない。終盤ではどちらか1人を選ぶ展開があり、選んだ相手によってストーリーも若干変化するのだが、両方の展開を確認したいプレイヤーにも不便な仕様となっている。
  • 機体仕様の不統一
    • フルアーマーΖΖガンダムやゴッドガンダムなど、フルブーストからマキシブーストでコストが変化した機体がほぼフルブースト仕様で参戦している。
      • マキシブーストON稼動直前のタイミングで発売したにもかかわらず前作仕様…というどっちつかずの状態で、特にマキシブーストの追加武装に慣れたプレイヤーからの不満が募った。
    • 一方、ガンダムAGE-1は換装システムがマキシブーストON仕様*3になっており、プレイ感覚を先行して体験できた。アシストのウルフやイワークがいないので完全とは言えないが、単純にやれることの減った機体が多い中で自由度が上がっているのは稀有である。
      • また、デスティニーガンダムは本作では珍しくEXバースト以外に削除された要素がなく、パルマ・フィオキーナによるつかみやブーメランはもちろん、2種類のCSや特殊移動もそのまま健在。つかみとブーメランを特殊攻撃2に統合することでコマンド数を補っているのだが、その工夫を他の機体にも適用してほしかったところ。
    • 更にはガンダムバルバトスのように、マキシブーストONとも全く別の機体と言っていいほどに武装配置が変わっている機体も居る。
      • 滑腔砲がメイン射撃ではなく特殊攻撃1に配置されて足が止まるようになっていたり、特殊移動が特殊攻撃1・2ではなくメイン射撃に配置されてブースト0でも使えたり、格闘の派生もコマンド配置が異なり種類も少ないなど、全体的に開発途中のプロトタイプ的な仕様なのが分かる。
    • 削除された要素と釣り合うかは別として、コマンド変更やキャンセルルートの追加で本作ならではの強みを得た機体もなくはない。
      • 例として、スーパーガンダムは元の格闘CSが射撃CSに移りチャージ時間も短縮されたことで照射ビームの使い勝手が向上しており、リ・ガズィもキャンセルルートが増えたことで新たに弾幕を張りながら降下するテクニックを得ている。
    • 機体ではなくパイロットの仕様だが、本作ではリ・ガズィのパイロットがチェーンからアムロに変更されている。ここは原作設定*4を考えると悪くない変更点ではあるのだが…。
      • 実際には、前述のように本シリーズにおける最大の強みであったBWS形態が削除され、アムロのボイスもνガンダム版からの使い回しでしかないため、ゲームの仕様としては色々と物足りず、雑さを感じるものとなっている。
  • 小隊戦のコンセプト
    • 上記のようにEXVSシリーズとしては調整不足であるが、小隊戦部分をRTSとして割り切る分には新鮮味がある。
      • RTSの操作は味方部隊の移動指示と、味方の回復や一時的な強化などを行う「フォースコマンド」の発動程度と、良くも悪くもシンプルにまとめられている。
      • ミッションによっては戦艦だけでなく、ボス機体との共闘もある。移動指示に制限はない*5ため、共に進軍するも良し、防衛戦力として拠点に置いていくのも良しと自由度はある。
    • 小隊戦では、敗北条件になければ自機や僚機はいくら撃破されても問題ない。ただし、再出撃まで一定時間待つ必要があるため、その間に敗北条件を満たしてしまうことも。
      • この仕様は基本的に敵機も同じであるため、ネームドキャラだろうと何度でも再出撃してくる。このせいでせっかく強敵を倒しているのに手応えを感じないという声もある。
    • お互いの拠点からは「ミニオン」と呼ばれるNPC機体が無限湧きし、近くの敵に対して自動で移動し射撃攻撃を仕掛けるようになっている。ただし常に棒立ちでやられモーションも存在しないなど、仕様はハリボテに近い。
      • ジムやボール、ストライクダガーなど棒立ちのまま浮遊する機体も多いが、中には「ド・ダイYS+ザク」といったサブフライトシステムに乗って登場する機体もいる。「ベースジャバー+ジェスタ」、「グゥル+ジン」などそれなりに個性的な組み合わせもあり、ハリボテなのがもったいないと思えることも。
  • BGM、一部UI
    • EXVSシリーズを銘打っているものの、BGMは従来の担当の制作ではなくUIの雰囲気もまるで違うなどシリーズのスタッフが手掛けたのか怪しい。
      • 今作のBGMに目立った悪い部分は無いが、従来のオリジナル曲の人気が高くここを気にする人は少なくない。
  • 急遽作られたようにも見えるアップデート
    • 無理に年末商戦に合わせた結果生まれてしまったと言われる本作だが、アップデートで追加されたフリーバトルとコースバトルモードは一応形にはなっているという程度で、本当に「今は無理だから後で追加する」意図で作られたとは思えない突貫ぶりである。
      • 一部BGMが過去作のPS3版からの流用なのも疑問を強めている。これは公式サイトの追加要素PVで使われているBGMも同じである。
    • 追加されたモードでも基本システムは変更が無く、EXバーストなども存在しない。使用できないフォースコマンドの枠に、EXバーストや削除した武装を入れることも出来たのでは、という指摘もある。
    • 中身としては既存機体を追加しただけであるが、複数機体を有料ではなく全て無料で実装した点は評価すべきところか。
      • 後の『GUNDAM VERSUS』では一部の既存機体も有料追加という真逆の形をとったため、相対的にマシと言えるだろう。

評価点

  • 発売当時アーケードで未参戦だった『Gのレコンギスタ』よりG-セルフ、『鉄血のオルフェンズ』よりガンダム・バルバトスが使用できる。
    • 本作を購入することで、アーケードのマキシブーストにてハイネ専用デスティニー、マキシブーストONにてマックナイフが先行解禁されていた。それ故に機体のおまけとも言われてしまったのだが。
    • また『Ζ』のサイコガンダムがボス機体として久々に復活しているほか、新規ボスとして『UC』からネオ・ジオングが参戦。劇中で印象的であった「サイコシャード」は「一定時間武装弾数強制0」という豪快な効果で再現されている。OVA版のラスボスという重要なポジションながら以降のシリーズ作品にも全く登場しておらず、対決できるのは本作のみと貴重。
    • EXTREME-FORCEモードの一部ミッションではカミーユ搭乗のガンダムMk-II(エゥーゴカラー)を操作できる。仕様としてはティターンズカラーのコンパチなのだが、EXVSシリーズではエマ機が定着していたので新鮮ではある。
  • まがりなりにも携帯機でVSシリーズが遊べる。
    • EXVSシリーズ以降は移植は家庭用機にシフトしたため、携帯機で遊べるVSシリーズは『NEXT PLUS』以来となる。
  • アップデートで追加されたフリーバトルでは、自操作こそ不可能なもののNPC機体との対戦も可能となっている。『ガンダムVSガンダム』以降の家庭用作品では現状唯一の仕様である*6
    • ザクやジムなどのモブ機体から、ディジェやヤクト・ドーガなどの準プレイアブル相当の機体も選択でき、さらには一部のボス機体さえも選択可能。自機以外の3名を全てボス機体にして、大混戦を楽しむこともできる。
      • ただし、上記のミニオン機体や戦艦は選択できない。加えてザクなどのNPC機体は攻撃アクションに乏しく、ボス機体はコストや機体レベルなどの細かい設定ができないため、対戦中の展開はやや大味になりがちではある。
  • EXTREME-FORCEモードの評価点
    • 本モードではポイント消費による機体の強化が可能で、前述した仕様などに悩まされる場面こそあれど、クリアするだけなら詰むことはほとんどない。
    • このモードのみカメラ視点が後方固定ではなく、フリー操作にも対応している。この辺りはVSシリーズというよりはガンダムバトルシリーズなどに近い作りとなっている。
      • これにより、格闘を振りながらフリー操作でカメラを回してモーションを眺めるといったこともできる。実戦での実用性はほとんど無いが。
    • 専用マップは原作再現のためにジャブローやダブリン、ラプラス跡地など多彩に用意され、なおかつ小隊戦を想定して広大に作られている。背景には作品に応じた戦艦の姿や機体の残骸などが描写してあるなど個々の作り込みも悪くなく、フリーバトルで眺めたりできないのが惜しいところか。
    • ストーリー自体は短いものの、ガンダムEXAの前日譚としては悪くない内容。EXAシリーズのファンならば目を通しておきたいところ。
      • 結末はEXAのストーリーを知る人なら大方予想はつくかもしれないが、若干後味が悪い部分がある。とはいえ、EXVS初期から存在する伏線をきちんと回収した点は評価できるだろう。
    • 戦況を知らせる戦艦キャラのボイスは新録。またアークエンジェルのみ、艦長のマリューだけでなくオペレーターのミリアリアも喋る。
      • ドレンにガルマやナナイなど、この手のゲームで注目されることのないキャラのボイスが収録されているのは貴重ではある。
      • 特定キャラ操作時には台詞の変化もある。数は少ないが、原作通りのコンビを組んだり、時代違いのアムロとブライトなどを組み合わせると確認できる。
  • 1人プレイに特化したことや発売時点の要素が乏しかったことの怪我の功名というべきか、シリーズの中でもトロフィーコンプは容易な部類。
    • 後に追加された機体やコースバトルなどは一切トロフィーに関わらないため、最終的にはEXTREME-FORCEモードの全ハロメダル獲得と初期実装機体のレベル上げが課題になる。

総評

鳴り物入りで発表された作品だが、いざ蓋をあけてみるとボリューム不足&PV詐欺と揶揄されることとなった未完成の作品という印象が強い。
低評価の理由は多種多様だが、その中でも従来のプレイヤーにとっては機体の操作練習にすらならず、一部のプレイヤーはお気に入りの機体すら使えないという二点は特に致命的たりうる欠点である。

昨今のネットワークの発達に伴いアップデートが容易になったのを逆手にとって、様々な要素を削除してでも年末商戦に合わせた発売を強行し、後に無償アップデートで削除してしまった分を補完しごまかす…という、所謂「未完成商法」を疑われてしまうのも仕方ない。
これを悲しい大人の事情と取るか、企業倫理の崩壊と取るかは個々人の判断にもよるだろうが。

幸か不幸か、Amazonでは発売1週間で定価の半額まで落ち込み、新品価格も大きく下落している。
早々に売られた中古品の価格も暴落しているので、EXTREME-FORCEモードやフリーバトルといった独自の長所を格安で楽しむために、本作を手にとってみるのもまた一興であろう。


余談

  • 本作の公式サイトで随時参戦機体が発表されていたが、「and more」と発表を引っ張る演出がなされていた。しかし出る機体の数が異常に少なく、結局少ないままにこの表記が消えたことから、本作ではこのフレーズがネタにされた。
    • 後の『GUNDAM VERSUS』においてもこの手法は使われており、悪夢の再来とも言われた(流石に本作よりはおおよそマシではあるが)。
  • 本作の目玉機体であるガンダム・バルバトスとハイネ専用デスティニーであるが、元々ゲーム初回版などに付属するプロダクトコードでの解禁となっており、現在はコードの期限自体が切れているため追加は不可能となっている。
    • プレイヤーが選択できないというだけでゲーム中の敵機としては普通に出てくるほか、『鉄血のオルフェンズ』はBGMも用意されている。
  • 初回生産分には2016年1月31日までの期間限定で「RG 1/144 デスティニーガンダム ハイネ・ヴェステンフルス カラーメッキVer.」プレゼントキャンペーン用シリアルコードが封入されていた。
    • 上記アーケード版の機体先行解禁シリアルコードと合わせて、本作が「約7,000円の抽選券のおまけ」扱いされることもあるとか…。
  • 主題歌はT.M.Revolutionが担当。
    • 『NEXT』のGACKT以来、久々にガンダムとの縁が深いアーティストの参戦となる。
    • ハイネ機の参戦や、上記プラモの応募券等もあり西川氏推しが大きい作品でもある。
      • ゲーム中でも主題歌をバックに戦闘することができ、EXTREME-FORCEモード終盤のミッションでもBGMとして多用されている。
  • 2016年9月28日の電撃オンラインにおけるインタビュー記事では本作は『EXTREME VS』シリーズとして扱われていなかった。
    • ただし10周年記念の公式放送ではこちらが入って前述の『GUNDAM VERSUS』が入っていなかったり*7、他媒体で『VERSUS』をシリーズ扱いする場合もあったりと、この点に関しては深く考えるだけ無駄かもしれない。
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最終更新:2023年12月21日 00:02

*1 前者は変形中のビームガンのことで、本作では派生入力でしか使えないのに無駄に武装枠だけが残されている。後者はコマンド変更のせいで、ハイパーメガランチャーを使った射撃と格闘派生のコマンドが分散してしまっている。

*2 EXVSシリーズと連動した物語を描く、『ガンダムエース』(角川書店)2011年7月号から2014年4月号まで連載されていた漫画

*3 AGE-1はマキシブーストでは換装ゲージを溜めなければノーマルからスパロー・タイタスに換装できず、しかも一方通行だった。今作及びマキシブーストONでは相互に自由な換装ができる。

*4 劇中での正パイロットはアムロと未参戦のケーラ。チェーンは本来パイロットではなく整備士で、とある事情から半壊状態で残っていたリ・ガズィで急遽出撃しただけである。

*5 ただし、戦艦のみマップによって移動ルートが制限されていることもある。

*6 一応、後の『GUNDAM VERSUS』にて、限定的ながらボス機体を操作するモードが実装されている。

*7 一応本作にも多少触れてはいるが僅か1分経たずで紹介を終え次の作品に触れている。