このページではWin用18禁ゲーム『斬魔大聖デモンベイン』とそのPS2移植版である『機神咆吼デモンベイン』を紹介しています。


斬魔大聖デモンベイン

【ざんまたいせい でもんべいん】

ジャンル 荒唐無稽スーパーロボットADV

対応機種 Windows 98~XP
発売・開発元 ニトロプラス
発売日 初回限定版:2003年4月25日
通常版:2003年5月30日
定価 通常版:7,500円(税別)
レーティング アダルトゲーム
廉価版 DVD版:2005年8月26日/7,500円
Nitro The Best!:2009年11月27日/3,800円(全て税別)
配信 2009年11月27日/3,000円(税別)
判定 良作
ポイント ロボットモノと化したクトゥルフ神話
鋼屋ジン及びニトロの代表作
Nitro+作品リンク


概要

「荒唐無稽スーパーロボットADV」と銘打たれたロボットゲーで、ニトロらしい独特の世界観かつ重厚な作風とヒロイックファンタジー要素が織り交ぜられた熱く燃えるストーリーが特徴。
舞台や用語など、ありとあらゆる要素がクトゥルフ神話やクトゥルフ関連の書籍から引用されており、事実上作品自体がクトゥルフ神話の翻案、もしくは「ロボットモノに換骨奪胎されたクトゥルフ神話」とも呼べる。
ニトロ所属シナリオライターである鋼屋ジンの処女作及び氏と同社の代表作でもある事でも有名。

ストーリー

仕事もなく、常日頃シスター・ライカからの説教を受けていた三流探偵の大十字九郎はある日、覇道財閥の党首である覇道瑠璃からある仕事を引き受ける。その過程で九郎は悪の秘密結社・ブラックロッジに追われる謎の少女アル・アジフと出会い、共に追われる身となってしまう。
逃亡の果てに謎の巨大ロボット「デモンベイン」と巡り合い、パイロットとなった九郎たちとブラックロッジとの戦いが始まる。

登場人物

+ ...
  • 大十字九郎
    • 主人公で常に金欠の貧乏私立探偵。実はミスカトニック大学*1出身。
    • 正義感に篤く、困っている人は放っておけないお人好し。周りにボケ担当が多いため、ギャグパートではもっぱらツッコミ担当。
  • アル・アジフ
    • ヒロインその1。少女の姿をした魔導書「キタブ・アル・アジフ」の精霊。そこ、「ネクロノミコン」なんて二流魔導書と一緒にすると怒られるよ*2設定を考えるとアラブ系っぽいが、どう見ても白人系。
    • 本来はアイオーンと言う機械神を持っていたが、マスターテリオンに敗北した事で失っているおり、更にブラックロッジから追われている彼女と九郎が出会った事から物語が始まる。
  • 覇道瑠璃
    • ヒロインその2。覇道財閥の若き党首。亡き祖父から模造機械神デモンベインを託されている。
  • ウィンフィールド
    • 瑠璃に仕える執事。ボクシングを嗜んでおり、その戦闘力は生身でも魔術師と対等に渡り合える程。
  • ライカ・クルセイド
    • ヒロインその3。教会のシスターであり、3人の孤児たちと共に暮らしている。少々妄想癖が強い所も。
    • 九郎は物語開始前から食事を集りに行っているため、彼女には頭が上がらない。
  • マスターテリオン
    • 秘密結社ブラックロッジの大導師(グランドマスター)。生身でデモンベインと渡り合える驚異的な戦闘力を持つ。緑川光?何のことです??
  • エセルドレーダ
    • マスターテリオンのパートナーである少女で、魔導書「ナコト写本*3」の精霊。彼に対し狂信とも言えるほどの忠誠を誓っている。
  • ドクター・ウェスト
    • 本作のコメディリリーフでもあるマッドサイエンティスト。常時ハイテンションで意味不明な発言が多いが、その頭脳は本物。
  • エルザ
    • ドクター・ウェストに作られた少女型アンドロイド。語尾に「~ロボ」と付ける。
    • 九郎に一目惚れする(=愛を理解している)など、人間と変わらない精神構造を持つ。
  • ナイア
    • 古本屋の女主人。怪しげな雰囲気を持つ。クトゥルフ神話でナイアと言えば…。
  • メタトロン
    • アーカムシティで噂になっている謎のヒーロー。身体つきや声から女性の様子。
    • ブラックロッジの構成員であるサンダルフォンとは何かしらの因縁がある。

評価点

  • 王道を貫く、非常に熱く濃厚なストーリー。
    • ロボット同士のバトルから特撮のような変身ヒーロー、主人公の敗北からの成長、敵対していたライバルとの共闘と王道ヒーロー要素に溢れた燃えるシチュエーションが満載。
    • 各キャラ担当声優の演技も良く、ストーリーを盛り上げてくれる。
  • ニトロプラスらしい良い意味でエロゲ離れした良曲揃いのBGMと主題歌。
  • 徹底したクトゥルフ神話(アメリカ発祥のコズミックホラー作品群*4)関連ネタ。
    • 例えば人物名は全てクトゥルフ関連から採用されている。アル・アジフはクトゥルフ神話内に登場する魔術書の擬人化キャラ*5であり、主人公の九郎はイギリス製クトゥルフ系小説『タイタス・クロウ・サーガ』シリーズが元ネタ*6、ドクター・ウェストはクトゥルフ神話に登場する医者「ハーバート・ウェスト」から取られている。
      • なおタイタス・クロウも邪神相手に斬った張ったする冒険活劇であって、ホラー色は薄い(そもそも「サーガ」とは「英雄譚」という意味)。
    • デモンベインの武器、必殺技、その他地名などもクトゥルフ神話に因んだもの。このようにクトゥルフネタが至る所に敷き詰められており、関係が無いネタの方が少ないほど。
      • 元ネタのカバー範囲も非常に広く、全集の刊行されている古いメジャー作品以外にも『玩具修理者(日本製のクトゥルフホラー)』『ウルトラマンティガ(怪獣のモチーフにクトゥルフ怪物が多用されている)』など最近の和製クトゥルフも網羅している。

問題点

  • パートボイス仕様。声優たちの熱演が評価されているため残念がる声が多い。
  • バックログ画面では背景が暗くならないため多少見づらい。

総評

ホラー要素の強いクトゥルフ神話を熱い要素に溢れたヒーローの物語として描くなど、大胆ながら熱く王道な作風が評価された作品。
人気は非常に高く派生作品や外伝小説、続編も多く発売された。

余談

  • 2006年にはWOWOWにて『機神咆吼デモンベイン』、つまり後述のPS2移植版(非18禁)を原作としてTVアニメ化されたが、出来は良くない。
    • 1クールしか無いためか至る所で説明不足かつ駆け足展開となっており、特にメタトロンとサンダルフォンが削除された事に対しては強く批判された。
    • この事から、ドラマCDや『ニトロ+ロワイアル ヒロインズデュエル』などで自虐ネタとして扱われてしまっている。
    • しかし、出来はどうあれTVアニメ版が存在することで後述の『スーパーロボット大戦UX』に参戦出来たため、皮肉にも結果オーライとなっている。
  • 2013年に発売された『スーパーロボット大戦UX』にTVアニメ版の名義で参戦した。
    • アニメ名義での参戦ではあるものの、アニメでは省かれた原作のエピソードや設定を匂わせたりするなど、そのこだわりはファンや原作者を唸らせた。
    • 本作は度々『スーパーロボット大戦シリーズ』への参戦を熱望されていたものの、(非18禁TVアニメ版があるとは言え)18禁作品ゆえに難しいのではないかという意見があった。しかし既に『冥王計画ゼオライマー』と『戦え!!イクサー1』(どちらも18禁漫画→非18禁OVA)が参戦している事を考えれば別に問題ないという意見もあり、結果的に後者が正しい事が証明された。数年後に『マブラヴ オルタネイティヴ』が『スーパーロボット大戦X-Ω』に参戦し後に続いた。後に本作もPS2版名義で『X-Ω』に参戦した。

機神咆吼デモンベイン

【きしんほうこう でもんべいん】

ジャンル 荒唐無稽スーパーロボットADV

対応機種 プレイステーション2
発売元 角川書店
開発元 デジターボ
発売日 2004年7月1日
定価 通常版:7,500円
DXパッケージ版:9,500円(全て税別)
廉価版 KADOKAWA The Best:2006年4月26日/3,800円(税別)
レーティング CERO:15歳以上対象(『KADOKAWA The Best』版)
判定 良作
ポイント 演出面を強化
スキップ機能は微妙に

概要(PS2)

  • 本作の実質的な全年齢対象版(ただし『KADOKAWA The Best』版およびPC移植版は15歳以上推奨)。移植に当たり、演出面が大幅に強化されている。
    • フルボイス化や各シーン・CGムービーの追加、テキスト・CGの加筆修正・変更など多岐に渡り事実上のアップグレード版と呼んでも差支えが無い。
    • オープニングアニメと主題歌も3種類が新録。どれも元エロゲとは思えない程に熱く燃える曲調であり、人気は高い。
  • ただし、システム面は悪化した。
    • スキップ機能は全スキップのみとなり、未読・既読判定スキップも無い。
    • 戦闘シーンなどでちょくちょく短めの3Dムービーが挟まるのだが、そのたびに気になるレベルの読み込みが入る。
    • セーブ数もPC版の50箇所以上から20箇所と減っている。
    • セーブ・ロードも長め。
  • OVAも同梱されている。ベスト版では読み込み速度の改善、バグの修正の他、テレビアニメ版のPVも収録されている。
  • 快適さを求めるならPC版、フルボイスでがっつり楽しむならPS2版およびPC移植版がオススメと呼べる。
  • 『斬魔大聖』発売から15周年の2018年4月25日にPS2からWinへの移植版が発表され、2019年4月26日に発売された。

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最終更新:2021年10月30日 22:07

*1 クトゥルフ神話によく登場する大学で、図書館には複数の魔導書(の写本)が収められている。

*2 一般的には英語版の題名であるネクロノミコンの名の方が有名だが、原典であるアラビア語版キタブ・アル・アジフに対し、ネクロノミコンはギリシャ語翻訳版以降の劣化コピー品に付けられた名前、というのが元ネタの時点からある設定。

*3 写本(劣化コピー品)を名乗っているが、原典は人外(神話生物)の言葉なので、写本と言っても一流魔導書。

*4 原作はラブクラフトだが、シェアワールド(要は他の作家も自由にクトゥルフ関連作品を書いても良いよと言う事)を認めていた為、感化された世界中の作家達によりクトゥルフ関連の作品が多数作られている。

*5 「最高位の魔導書は人の姿を取れる」という設定。人間の姿を取る魔導書は他にも存在するが、「最高位の魔導書」に限定されるため作中で登場するのはアル含めて3人だけ。外伝を含めるともう少し増える。

*6 タイタス→ダイ+(たす)→大十字。