このページではPC版『RPGツクールMV』と、その移植版であるSwitch/PS4版『RPGツクールMV Trinity』について記載する。
判定はPC版が 良作 、Switch/PS4版が クソゲー / 劣化ゲー



RPGツクールMV

【あーるぴーじーつくーる えむぶい】

ジャンル RPG制作ツール
対応機種 Windows 7~10 日本語版(32/64bit版OS両対応)
Mac OS X 10.10以降
Linux(Debian,SteamOS)(Ver.1.4.0以降)
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 パッケージ版【Win】:スパイク・チュンソフト
Steam:Degica
開発元 エンターブレイン(KADOKAWA)
発売日 2015年12月17日
定価 12,800円(パッケージ版/DL版・Steam版・税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
備考 Mac版はSteam専売
Steam版のタイトルはRPG Maker MVとなる
DL/Steam版は2017年1月18日より7,980円(税込)
ポイント シリーズ初のMac対応
スマホ、ブラウザゲームの出力が可能
投稿サイト「RPGアツマール」との連携
RGSSからJavaScriptに変化
優秀ではあるが前作以上に初心者には厳しめな一面も
ツクールシリーズ

概要

PC版『RPGツクール』の第8弾。前作『VX Ace』をベースとして機能強化が図られている。
本作の売りといっていいのが「スマホのゲームを作れる」というものであり、スマホ(Android/iOS)に対応したゲームデータや、ブラウザゲームとしてのデータ出力が可能である。
スマホゲームを作れるということでか、タッチ操作やポインティング操作に対応しており、キーボードやゲームパッドがなくても遊ぶことが出来るようになっている。
また、『XP』から継続している上級者向けのスクリプト機能は、『XP』から『VXAce』まで用いられていたRGSSからJavaScriptに変更されている。
これまでと異なり、バージョンアップによる機能強化や環境化以前も行われており、ツールとしては発売以後も進化を遂げている。

2016年11月30日をもってスパイク・チュンソフトが販売・サポートから撤退、パッケージ版の出荷が実質終了しているようである。


特徴

  • これまでPC版RPGツクールはWindows専用であったが、本作ではダウンロード版限定ではあるが、Mac版が登場した。
    • 更に2017年3月21日のアップデートでまさかのLinuxにも対応した。
      現状、次作の『MZ』がLinuxに対応していないため、Linuxに対応している唯一のRPGツクールとなっている。
      • ただし、2020年リリースのmacOS 11 BigSur以降は非対応となったため、現時点では事実上Windows+Linuxが対応といっていいだろう。
  • マルチプラットフォームの書き出しに対応した。
    • 従来のWindowsでの実行形式であるexe形式だけでなく、Mac、ブラウザゲーム、Android、iOS、Linuxの実行形式として出力が可能になった。
    • 特徴にも記載のとおり、他のプラットフォームでゲームを遊んでもらうことが可能となっている。
  • サイドビューとフロントビューの切り替えが可能になった。
    • これまでのPC版ツクールは『2003』を除きフロントビュー、『2003』はサイドビューであったが、いずれも切り替えはできなかった。
    • 本作ではデータベースからサイドビューとフロントビューの切り替えが可能であるため、好きな方を選ぶことができる。
    • ただし、サイドビューにしても『2003』のようなFFにおけるATB戦闘になるわけではなく、あくまでターン制の戦闘になる。
      • サイドビューによるATB戦闘は次作では可能となっているが、本作でもプラグインによる導入は可能であり、有志によるプラグインは作成されている。
  • ゲーム画面の解像度が上がった
    • VX』系列は544×416の解像度であったが、本作では816×624となり、縦横1.5倍で、正味2倍以上の解像度になった。
  • タッチ操作やマウス操作に対応した
    • キーボードやゲームパッドに加え、マウス操作やタッチ操作が可能となった。
      • インターフェースもマウス操作やタッチ操作を前提として設計されており、ショップのアイテムの購入数の増減や、メニューから戻るボタンなど直感的な操作が可能である。
      • 移動も、フィールド上をタッチすれば、その地点に自動的に移動しようとしてくれる。
        流石にデフォルトだと一直線でそこに向かおうとするため、障害物を避けて最短経路を取るなどということはしてくれないが。
  • イベント編集画面でイベントテストが行えるようになった。
    • 従来はイベントテストをするにしても、ゲームそのものをテストプレイして、当該イベントを発生させるしかできなかったが、本作ではイベント編集画面で簡単にその部分のテストが可能。
      • 範囲指定も可能であるため、例えば、戦闘終了時の演出を作る場合など戦闘終了後のイベントだけテストすることが可能である。
    • イベントテストが終わった後は、自動でエディタに戻ってくるというわけではないため、HPの変動などイベントの結果を確認することが出来るメリットもあるが、簡易なイベントの場合自動で終了しないのが面倒というデメリットもあり一長一短。
      • とはいえ、どちらにも善し悪しがあり、「確認できないと困る」というケースが想定されることを考えると自動終了しない方向に舵を取ったのは概ね正しい判断と言えよう。
  • 旧作のスクリプトはプラグインとして管理する形態に変化した。
    • RGSSからJSに変わったことで利用の可否やパラメータなどの管理がやりやすくなった。
    • 利用者はプラグインのファイルを所定のフォルダに入れた後は、エディタ側で利用の可否を設定したり、カスタマイズパラメータを設定したりするだけで利用ができるようになった。
      • RGSSの場合、導入中にいったん導入を取りやめようとすると当該スクリプトを削除するか、コメントアウトする必要があったため、エディタ側の操作一つで利用を切り替えられるのは初心者に優しい仕様である。
      • パラメータの設定も同様で、RGSSだと、スクリプトを自分で書き換える必要があり(普通はコメントで書き換え方を指定してくれているとはいえ)、下手すると編集してはいけない箇所を編集してスクリプトが壊れてしまう可能性もあった。
        カスタマイズパラメータの設定の場合、設定を誤ったとしてもプラグインそのものを書き換えているわけではないため、修正がしやすい。
    • 制作者の立場でいうならば、外部エディタでプラグインを編集してファイルとして作ることができるようになったため、作業そのものはやりやすい。
      • ただし、これは常日頃からプログラムを書く立場の人であれば、といったところ。そうでない場合はまず自分で使いやすいエディタを探す必要がある。
  • RTPが廃止された。
    • これまでの『2000』以降のPC版RPGツクールではゲームデータとは別に素材集としてRTP(ランタイムパッケージ)を事前にインストールしておく必要があったが、本作では廃止された。
      • RTPは標準の素材の詰め合わせであり、インストールしておくことでゲームデータに標準素材を含める必要がなくなり、容量削減に資するという仕様である。
        もっとも、自作素材を利用するのであればあまり関係ない話であり、プレイヤーとしてはゲームとは別にダウンロード&インストールの必要があり手間であったのも事実である。
      • ネット回線も光ファイバー通信が普及し、ゲームデータが仮にギガバイト相当になったとしてもそれ程ダウンロードに時間が掛からなくなったという時代の流れを踏まえた変更と言えるだろう。
  • アップデートによる機能の追加
    • 不要ファイルを削除する機能が追加された。
      • プロジェクトファイルを作成した際に旧作でいうRTPのファイルが全てプロジェクトファイルに保存されるため、そのままだと不要なファイルも全てゲームデータに含まれてしまう。
      • この機能ではゲーム内で使われているファイルを除いたファイルを自動で削除してくれるため、手動で削除したら実は使っている素材だった、という事故が起きずに済む。
        ただし、プラグイン内で参照しているファイルなどは使用判定されず削除されることがあるため注意。
  • ファンタジーサンプルデータの追加
    • ファンタジー作品向けのサンプルデータが追加され、ゲーム製作の参考にすることが出来るようになった。
  • チュートリアルモードの実装
    • エディタ画面のヘルプから実行でき、用意された項目を選ぶことでそれに沿った解説とイベント作成方法を学ぶことができる。
    • チュートリアル用のプロジェクトデータが作成されるほか、途中の項目から始めた場合にはそれまでのチュートリアルを踏まえたプロジェクトデータを作成してくれる。
  • プラグインパラメータのタイプが指定できるようになった
    • プラグインのパラメータとして真偽値、キャラクター名などを指定することができるようになり、利用者にかなり分かりやすいプラグインを作成可能となった。
  • チュートリアルモードの実装
    • ver1.4.0でチュートリアルモードが実装された。
    • これはエディタ画面のヘルプから実行できるモードで用意された項目を選ぶとそれに沿った解説とイベント作成で作り方を学ぶことができるようになっている。
      • チュートリアル用にプロジェクトが作成される上、途中の項目から始めてもそれまでのデータを含めたプロジェクトを作ってくれる。
  • 追加コンテンツとして連動ツールや素材集が販売された
    • 連動ツールとしてはマップタイル編集ツール「SAKAN」、ウィンドウスキン作成ツール「MADO」とイベント作成ツール「GENE」の3種類。
    • 素材集についてはコンセプトに沿ったRPG作成に利用できる素材が多数販売されている。
    • その他、2019年11月には販売4周年及び販売本数40万本記念として、データベースをCVS形式に相互変換出来るデータベースコンバータMVも無料で配信された。

評価点

スマホゲームやブラウザゲームが作れるようになった

  • 手軽にプレイしやすいスマホゲームやブラウザゲームとしてゲームが公開できるようになり、プレイしてもらいやすくなった。
    • 旧作ではPC限定かつ、RTPを含めてダウンロードする必要があったため、プレイしてもらうまでのハードルが高かった。
  • 発売当初は小画面でプレイしづらかったが、アップデートでスマホ向け特化のUIプラグインが公式配信され、小画面でのプレイもかなりやりやすくなった。
  • ただし、スマホゲームなども作れるようになったのは事実だが、簡単に作れるというわけではない。これは問題点で詳述する。

サイドビューバトルが簡単に作れるようになった

  • 『XP』~『VXAce』でもスクリプトを用意すればできないことはなかったが、データベースや素材がフロントビューを想定しているためサイドビューを作るハードルはかなり高かった。
    • 本作ではデータベースでサイドビューバトルに切り替えることが可能であり、もちろん、最低限の素材は同梱されているため、ハードルは従来のツールと比べ非常に低くなっている。
      • 『2003』のサイドビューのキャラクターグラフィックは口を開けっぱなしにしておりマヌケだと批判されていたが、この点も改善されている。

イベント作成がやりやすくなった

  • イベントを部分的にテストすることが出来るようになり、長いイベントを作成する際のテストプレイもかなりやりやすくなった。
    • 更にテストプレイ中にイベントの編集が可能であり、マップを切り替えればロードし直されるため、テストプレイ中にイベントを修正することも可能である。

前作の機能は「基本的に」全て踏襲している

  • データベースやイベントコマンドは、前作のものをほとんどそのまま採用している。
    • そのため、前作の制作講座がほぼ使いまわしできるので、初心者ツクラーには大変ありがたい。
  • 追加された機能もほぼないが、機能面において評価されている前作のそれを踏襲したことは好意的に見られている。
    • ただし、デグレードした仕様もある。これについては問題点で詳述する。

BGM・BGS関連

  • BGMで位相(「音楽が左右どちらのスピーカーから聞こえるか」の設定)を設定出来るようになった。
    • BGMを流す位置を変えたり、右でBGM、左でBGSを流すなど、うまく使えば演出強化に役立ってくれる。
  • BGMは本作でも高評価。もはやこの2Dスタイルに見合わないような壮大なBGMも収録されている。
    • また、Win版の中でも評価の高かった『2003』のBGMがアレンジを施されて一部を除いてリバイバル収録されている。好みの差はあるものの評価は概ね高い。

過去作からの改善点

  • キャラ生成ツールの性能向上
    • 前作にも存在したキャラ生成ツールも、選択の幅が増えパワーアップしている。
    • 特に、前作ではお世辞にも良好とはいえなかった顔グラフィック生成機能もパワーアップしており、前作よりなじみやすいキャラを作れる。
    • サイドビューのキャラも作れるため、サイドビューで戦闘を作りたいと考えているツクラーにとってもありがたい仕様。
      • さらに、倒れた状態などの特殊アクションも作れるので、手間の掛かる2D演出がより容易にできるようになった。
    • 発売当初は年齢の上の人物がやや造りづらかったが、アップデートで素材が増えたことで対応出来る幅が増えた。
  • 変数やスイッチの検索機能の復活
    • 『2003』で好評だった「変数やスイッチがどのイベントで使われているか」検索できる機能が復活した。
      • これによりいちいち「どのイベントでどの番号の変数やスイッチを使ったか」を探す手間が省けた為、ツクラーからは大いに歓迎されている。
  • サンプル素材の増加
    • RPG制作のためのサンプル素材も旧作より増加している。
      • ファンタジーだけではなく、SFや現代物の素材もPC版で初めて追加された*1
    • パッケージキャラクターも素材化している*2
    • 様々な企業のキャラクターとコラボした素材も配信(販売)されている。

データベースの機能が使いやすくなった

  • 旧作ではスクリプトで編集していたメッセージをデータベースで変更可能となった。
  • アイテムやスキル等の一部の項目の最大数が旧作の999から2000に倍増した。
  • 変数の設定可能な桁数が6桁から8桁に増加した。
  • 装備品の種類(例:身体・頭・腕)がデータベースで簡単に増減出来るようになった。
  • スキル等の設定でアイコン番号が表示されるようになった。
  • ウィンドウが大きくなり、設定しやすくなった。

賛否両論点

RGSSが廃止され、JSになった

  • 『XP』以降採用されていたスクリプト機能であるRGSSが廃止され、本作ではプラグインとしてJSが採用された。
    • ツクールのためにRubyを覚えたというツクラーにとっては改めて再度JSを修得しなければならずかなり負担になる。
      プログラミングそのものの知識で流用可能なものがないわけではないが、これまでのノウハウが使えないというのはシリーズものとしては大きな難点といえよう。
    • JSはインターネットサイトで常用される*3ため、汎用性自体は高く、修得した場合の使い道は多い言語だが、そもそもプログラミングを他にする予定がなければ関係のない話である。
  • JSのエディタは自前で用意する必要があるため、プログラムを普段から書いている人以外はまずどのエディタを使うかを考える必要がある。
    • 本作で特段のエディタは用意されておらず、公式でも特段のエディタを推奨しているわけではないため、まず自分にあったエディタを探さなければならない。
    • メモ帳でも作成出来るため、導入が面倒ならメモ帳を使うという手もなくはないが、当たり前だがプログラミングに特化していないのでプラグインを書く上ではかなり不便。
  • 『VXAce』までRGSSを利用していたツクラーにとってはJSへの変更はハードルが高いとはいえ、JSそのものの利用者は多く旧作までと同様多数のプラグインが生成されている。
    • 導入面でいえば、確実に旧作よりハードルが下がっているため、プラグインを導入したい初心者にとっては旧作より間違いなく扱いやすくなっている。

RTPが廃止された

  • RTPが廃止されたことで、プレイヤーにとってはRTPをインストールする手間が不要になったが、結果としてはゲームデータに素材を含める必要があるため、ゲームデータのサイズが肥大化することとなった。
    • RTPは複数個のゲームをダウンロードする場合において、データ量削減が出来るメリットがあったが、この結果として、複数個のゲームをダウンロードする場合に容量が大幅に増えていくこととなってしまった。
      • 特にその影響が顕著なのは、容量の制約が厳しいスマホで利用する場合であり、複数個のゲームを入れると結構な容量を食う場合もある。
  • 上述の通りプロジェクトデータを作成した際に素材データが全て作成されるため、不要な素材を削除しないでいると、結局RTPのデータが丸々ゲームデータに含めたことと同義である。
    不要な素材を削除するにしても、間違って素材を削除してしまうと不具合の原因になってしまうため確認はかなり手間。
    • この点についてはアップデートでファイルを削除する機能が追加されたためプラグインで素材を使っていない限りは解消されたといっていい。
  • る。
  • ゲームファイル作成の手間
    • 今作では作成する為のファイルとそれをベースに生成するゲームプレイ用のファイルの2種類がありプレイして貰うにはゲームファイルを作成する必要がある*4
    • その為に再調整版の配布がやや面倒になってしまっている。
      • これまでの場合は「以前のファイルを調整しそれをアップ」で済んでいたが今作の場合は「以前の "作成用ファイル" を修正」⇒ ⇒「作成用ファイルをベースに "プレイ用ファイル" に変換」⇒「プレイ用ファイルをアップ」と言う様にアップまでの過程が増えて若干面倒になっている。
      • また、万一作成用ファイルを紛失してしまった場合は以後、再修正や調整が不可能になると言う新たな問題が発生している。
  • グラフィック素材について
    • 音楽素材は前作『VX Ace』に引き続き、総じて高いクオリティーが確保されている。
      • しかしグラフィック素材の特に敵キャラ素材は、リアル路線から、『2000』や『XP』などを彷彿とさせるややデフォルメされた路線に変更されており好みが分かれる。
      • 前作と今作で同名の敵キャラ素材を見比べてみると、敵キャラによってはデザインが大幅に変わっているもの*5もあり、「ややコミカルチックになった今作よりも、前作のリアル路線の方がビジュアル的に良かった」として前作の素材を流用するユーザーも少なくない*6
      • 他にもゾンビがナイフとフォークを持っていたり、吸血鬼がワイングラスを持っている等、使いどころに悩むようなものも。
  • 特典素材(パッケージ版特典やパッケージキャラ素材など)はツクールをインストールした際のフォルダにさりげなく存在する。気付きづらいので注意が必要となっている。
    • 細かい話のようではあるが、初心者でもRPGを作れるというのがツクールのウリであることを考えればツクールのエディタから簡単に特典素材をインポート出来る方法を用意してくれても良かったようには思われる。
  • 前作同様値段が高い
    • 本作でも発売当初の『VX Ace』同様に価格は12,800円(税別)とCSソフト2、3本分の価格になっており、やや手を出しにくい印象はぬぐえない。
      • しかしながら、機能としては、前作同様に良好である上、様々な新要素、改良点があるものとなっており、また素材の数も豊富に用意されていることから、旧作と比べ理不尽に高いというわけではない。
    • 2017年3月現在、ダウンロード版については価格は7,980円*7となっており、以前よりは手が出しやすくなっている。
    • また、上述の通り、今作のダウンロード版は積極的に何度もセールを行っており、セール期間中なら比較的安く手に入れることができる。
      • むしろ2017年後半以降はセールがかなり高頻度で繰り返し行われているため、セール期間外に買うのは損である。

問題点

  • 動作が重い
    • 前作以前がスペックに比較して軽かったこともあるが、本作は過去作と比べてもそれなりに重たい。
      • 肝心のプレイ時も問題だが、作成時もフリーズや強制終了する事があり、こまめに保存しておかないと泣きを見る事も……
      • ゆっくり動かせば問題なくともただのメニュー開閉や少し負荷が高まるだけでかくついたりフレームスキップや短時間停止する作品も珍しくなく、負荷のかかるプラグインを追加していたり負荷のかかりやすい構造になっていると尚更厳しくなる。
    • また、バージョン1.3.0の更新の際に描画ライブラリがアップデートされた事でプログラムの必要スペックが変更されたため、(これまでの『MV』やアップデートも適用できていた)ロースペック寄りのパソコンではこのアップデートを適用できないという事態も。
      • アップしたが「家のパソコンじゃ動かない」「すぐフリーズする」と言う報告も多々あり、プレイする側も製作者側も負担がかかっている事態も珍しくない。
      • 現在のバージョン1.6.2では重さはある程度改善されているが、古いMV製のゲームを遊ぶときは上記のような状況が発生する可能性がある。
  • 実際には「簡単に」スマホゲームは作れない
    • 公式ウェブサイトにも書いてあることだが、本作の「スマホゲームを作れる」というのは、「スマホで実行できる形式のファイルを出力」することだけである。
      • 実際にAndroidやiOSでゲームを動かすためにはパッケージングの作業が必要であり、この作業は本作だけでは行えず、専用のソフトを使う必要がある。
      • 一応、マニュアルにパッケージングの方法や使うべきソフトの紹介は書かれてはいるが、初心者にとって容易とは言いがたい。
    • 必ずしも本作のせいというわけでもないが、バッテリーや容量の観点から、スマホにおいては長編ゲームは不向きである*8
  • JSのマニュアルが不親切
    • 本作のマニュアルの中においてJSの解説はほとんど用意されておらず、JSを知らないツクラーがマニュアルを見てJSを修得することは不可能といっていい。
      • 前作のマニュアルは、市販のハウツー本と比較しても遜色ない完成度であり、これだけでも十分にRubyを習得出来た。それだけに本作で解説が用意されていないのは非常に残念。
      • プラグインが上級者向けの機能であることは明記されているが、前作以前でも「RGSSは上級者向けの機能です」と書かれていたものの、解説はしっかりと用意されていたため、上級者向けの機能だから解説がない、というのは言い訳に過ぎない。
    • そもそも、本作のマニュアルではJSの記法についての解説は一切なし。あるのは、ゲーム内のライブラリの紹介のみであり、しかも英語オンリー。他のマニュアルの項目は日本語なのだが…。
      • 注意したいのはライブラリの解説ではなく紹介程度の記述しかなされていないという点。例を挙げるならスキル等の効果範囲を取得出来るscopeというプロパティは効果範囲に応じて0~11(例:0なら効果範囲なし、1なら敵単体)の数値を取る。前作のマニュアルではもちろん、効果範囲によってどの値を取るかがしっかりと記述されていたが、本作のマニュアルではあくまで「scope:効果範囲(数値型)」といった説明が(英語で)あるのみ。
    • なお、前作のマニュアルではライブラリについても、しっかりと取り得る値の説明などが書かれていた。
      • 幸いなのは、前作と本作で共通したプロパティやライブラリが多い点である。そのため、前作のマニュアルを見ることで本作のライブラリの仕様を理解しやすくなる。何故、本作を理解するために前作のマニュアルを見る必要があるのか、という疑問は浮かぶが。
    • 言語が変わったことは致し方ないとしても、旧作からのツクラーへのフォローが一切ないのは擁護しがたいし、本作から新たにツクールに触れたツクラーにとっても、JSの仕様理解は困難となっている。スマホゲームの生成の部分とも重なる話であるがマニュアルだけでなく、ネット上の情報等を調べながら理解する必要性に駆られることが多い。
    • また、プリセットのJSのプラグインにコメントがほとんどつけられておらず、前作にはあったそれぞれの関数(Rubyでいうメソッド)の機能説明のコメントさえないため、実際のプラグインを読み解きながら仕様を理解することも難しくなっている。
  • 不具合の情報の公開に消極的
    • 公式はTwitterを使って情報発信を行っているが、不具合情報等の発信がされることはほぼない。それどころか17年5月現在、ひたすら既存情報の再報告しかしないため、エラーなどの情報をいち早く掴むためにはユーザーの発信かアップデートを待つしかなくなっている。
    • 2016年3月のアップデートにおいては新機能の追加等を公式ウェブサイトで大々的に宣伝しているが、不具合修正の情報は一切書かれていない*9
      • 一応、公式にFAQがあり、そこに一部の回答は書かれているが、このFAQに回答が追加された場合でも公式のアナウンスはやっぱりない。
      • それより後のアップデートでは一応公式サイトの更新内容に不具合の更新も書かれている。
    • 体験版や、海外版が先行販売されたRPG Maker MVにおいて既知の不具合があったが、それに関する情報も結局書かれることはなかった。
      • 本作がゲーム制作のツールであることを考えると、不具合がある場合に、それを回避出来る方法が分からない(自分自身で不具合箇所が分からない)初心者のツクラーにとっては自分のミスなのかツールのミスかも分からない状況に陥りがちである。エラーメッセージも簡素な一文のみなことも拍車をかけている。
        VX、Aceではエラーが出た場合、エディタがそのエラー場所まで飛んでくれるがMVはjsファイルで管理しているため探すのが面倒。
      • 結果として、公式が対応する前に、有志の手で不具合を修正したプラグインが作られているが、それについても運営はノータッチ。
    • 唯一といってもいい公式にアナウンスされた不具合は「Steam版で購入した場合ユーザー登録できない不具合」くらいのものである。流石に規模が大きい(+ユーザーレベルでは対応出来ない)ため無視出来なかったものと見られる。
    • この他にもマニュアルにサンプルゲーム制作者の名前を明記し忘れるというミスをし、ユーザー登録特典である海外産プラグインの修正もアナウンスなどが全くなされておらず、公式の姿勢に懸念を抱くツクラーも。
      • この制作者の名前の遺漏の告知がされたのは1月上旬だが、その際に「(ゲーム内マニュアルについては)次回のアップデートで修正します」とされ、事実上の対応は発売よりおよそ3ヶ月後の3月アップデートであった。
      • 社内スタッフの名前ならばともかく、サンプルゲーム制作者の名前の遺漏の修正を告知後2ヶ月も放置したのは企業の対応としてはあまりにもおざなりといえる。
    • Ver.1.3.1のアップデートに関する情報は公式ウェブサイト(ツクールWeb)のトップページに記述されたが、その2日後に発表された「お詫びと訂正」は本作の製品ページまでいかないと確認出来ない。このお詫びと訂正にはダウンロードし直す必要があるファイルも含まれるが気付きにくい。
    • アップデートに関連する不始末は多く、Ver1.6.0では大元のファイルを大きく更新したせいでゲーム画面のフリーズやエディタ画面が編集は出来るが真っ白になってしまうなどのバグが多発した。さすがの開発も動かざるを得ない状況となり、MVの更新ファイルでは初となるVerを落とした1.5.2が配信された。
      • こちらも開発が動くより、ユーザー有志の非公式パッチの配布や海外フォーラムで対策を練り合うなど「ユーザーありき」の行動が目立った。もちろん、開発側も日本語フォーラムで進展報告するなど全く動かなかったわけではなかったが。
  • 公式プラグインの品質
    • 購入時点で特典として、50種類以上の公式プラグインが無料でダウンロードできるが、公式のプラグインのみを導入した状態でもデグレード*10が発生することがあり、品質が悪い。
      • さらに、プラグイン単体でも「メニューレイアウト変更のプラグインを導入すると、顔グラフィックと他メンバーのHP・MP表示が被って表示される」など、やっつけ仕事感が拭えない。
    • 収録されているプラグインは海外での有名サイトのものだけに、公式で配布されているものよりバージョンが上のものが多い。そのため、公式プラグインの修正を待つより、本家からダウンロードした方が早い始末…というかそちらの方法が推奨される始末。
    • 一応、しっかりとその旨は記載されてはいるが、公式プラグインといいながら「有用性が高い(と思われる)ユーザー作成のプラグインのセット」というのもどうかと思われるが。
  • 既存仕様の先祖返り
    • 1イベントあたり作成可能なイベントページ数が、前作以前の99ページから、20ページとほぼ1/5に減少している。
      • 大規模なゲームやイベント分岐の複雑なゲームだと、20ページを超えるケースもしばしばあるため、この仕様変更は痛い。
      • もっとも、マップ上におけるイベントの数は制限がないので、複数のイベントに分割することで対処できなくはない。劣化であることには変わりないが。
    • また、作成可能なマップサイズが、前作の500×500から、256×256とほぼ1/4に減少している。
      • フィールドマップは大抵のゲームで制作することから、このダウングレードは地味に痛い。大作を作る時には特に響く。
    • なお、イベントページ数上限99やマップサイズ上限500×500は両方『2000』からかなり長く続いてきた仕様である。スマホなどを考慮してこれらの制限を厳しくしたとは(『2000』当時のPCスペックや解像度と今のスマホのスペックや解像度を比較しても)考えにくい。
    • アニメーションの設定で、「2000」「2003」等では設定できていた、フレーム単位の色調変更ができず、全フレームで単一の色調しか使用できない。これにより「七色に光るアニメーション」等の設定が困難に。
  • デフォルト素材の大幅な削減、一部機能の仕様変更
    • 基本データ(作成データ生成直後)にあらかじめ入っている量がかなり少ない。
    • 今作からピックアップされたSF系等はまだしも、BGMやSE等の削減はいただけない。
      • 一応、外部データで多数用意されてはいるものの一々作品毎に取り込む必要があり不便である。
    • サンプルマップは継続しているが「サンプルマップの読み込み」という名称から「ロード」に変更されており、初見では判りにくく不親切である。
      • ただし、しっかりとSF系のマップも用意されておりマップ自体は使いやすい。
    • 外部から画像の取り込みをするにも背景の透明化*11が出来ない等、痒い所に手が届かないと言った面も。
  • キャラ生成ツールにミスがある
    • キャラ生成ツール自体は使い勝手がいいものの、一部のパーツに塗りミスなどのミスが存在する。
    • 特に致命的なのが無関係な線が入り込んでいるMaleのTV_Cloak2_p01と表示位置がずれているFemaleのTV_RearHair1_p20。
    • 公式が無料配布している「現代キャラクタージェネレーター素材セット」も男性用素材をベースの形状の違いを無視してそのまま女性用フォルダに突っ込んでいるため、ズレが生じている素材が複数存在している。
  • サンプルデータが不親切
    • ゲーム制作時に自動的に用意されるサンプルデータがかなり適当に作られており、なおかつ数が少ない。
    • 旧作ではある程度充実しており、初心者のツクラーにとっては設定方法等を学ぶ格好の材料だったが、本作ではその機能はないに等しい。
    • ほとんどが「取り敢えず必要最低限のデータだけは作りました」程度の出来であり、前作より導入された「特徴」の設定方法も分からずじまいである。
  • ver.1.3.0で同梱されたファンタジー向けのサンプルデータについて
    • データそのものは旧作のサンプルデータを比べても遜色ないレベルの出来。ただし、これまでの作品の焼き直し感が強い上、エネミーに関しては10数種しかいない等未だ不十分に思われる部分も。
      • 数が少ないだけならまだしも、バランスも悪く、エネミーの中で一番上にある最弱ポジションのスライムがやけに強かったり*12数値も適当感が垣間見える。
    • また、発売から半年以上経って、ようやく従来のサンプルデータに相当するデータを用意したことも批判されている。
    • これによってサンプルデータの問題は解消されたようにもみえるが、最大のネックは、このサンプルデータはあくまで追加データとして用意されたものであり、作品ごとに取り込みが必要という点である。
      • 新規作成した際のサンプルデータはバージョン1.3.0以後も以下に示すような適当なデータとなっている。
        参考までにデフォルトで用意されているサンプルデータと、前作のサンプルデータの比較を以下に示す。
+ サンプルデータ比較
  • アクター、職業についてはほんとに必要最低限しか作られていない。装備可能な武器や防具の違いによる職業差の表現は出来ているが、狙われやすさの違いやパラメータの違いは一切ない。
    • なお、説明文についてはこの項目に限らずいずれの項目についても一切書かれていない。
  • アイテムはHP回復、MP回復、状態異常回復、蘇生の4つが用意されているが、キーアイテムやドーピング(ステータスが増える)アイテムのサンプルはない。なお、前作ではドーピングやパラメータの増減のサンプルはあった。
  • 武器、防具は名称とアニメーションを変えただけの完全コピペ。また、名称が「剣」「斧」「盾」「帽子」と簡素過ぎる。ファンタジーデータ配布後はかなりマシになったとはいえあんまりである。
    • 前作では武器、防具がそれぞれ60種類という相当な数がサンプルとして存在した。ありきたりではあるが、説明文も武器、防具共にしっかりとつけられており、力の入れようが感じられた。
  • スキルも物理攻撃、魔法攻撃、回復でわずかに10個。前作から導入されたダメージ計算式の使い方がよく分からないだけでなく、ステート異常のかけ方も分かりづらい。
    • 前作では、スキルは120種類程度。ダメージ計算式の利用法やステートの活用法、エネミーの特技のようなものもあり、様々なスキルの作り方が学べる上に、サンプルだけでもオーソドックスなRPGが作れる程の充実したサンプルとなっていた。
  • エネミー4種類はHP以外完全コピペ。
    • 内訳は雑魚3体、ボス1体(と思われる)のみ。前作では数も豊富でしっかりとパラメータが付けられている上、弱点の属性等もつけられていた。
  • ステートはまだマシで、一応10種類用意されている。
  • 以上のように必要性に疑問を感じずにはいられない程度のサンプルデータとなってしまっており、これを見て設定方法を学ぶことはまず期待出来ない。結果として「無い方がマシ」と言われても仕方ない内容であり、「前作のサンプルデータを流用したほうがよかったのでは?」という指摘も出ている。
  • ダメージ計算式の自動生成が削除された
    • スキルの威力を決めるダメージ計算式の自動生成が削除され、不便になった。
    • サンプルデータを見れば、一応記述方法は分かるようになってはいるが、そもそも削除する必要性が感じられないので改悪であることには変わりない。
    • もちろん、この機能を使ったからといって「一発で良い塩梅の計算式が生成される」とは限らないが、以後の計算式の作り方について確実に1つの参考にはなる。
  • 敵キャラのレーティング減少
    • 敵キャラの行動の優先順位を決めるレーティングの上限が前作の10から9に減少している。
      • レーティングの差が2以上あるとレーティングの高い行動を取る仕様があるため、行動条件を詳細に設定したい場合にはレーティングの数が1減ったことは致命的である。
  • マルチコピー機能の削除
    • 前作『VX Ace』では指定した範囲のデータのIDをまとめてコピーすることができ、ゲームバランスを調整する過程で必要あるいは不必要なリソースを追加、削除する場合にマルチコピーは便利であった。
    • 代わりに名称やテキストからデータを検索する機能が搭載され、新しいデータを次々に追加して製作するには問題ないが、装備やスキルの種類ごとに整理しながら製作するのが難しくなっている。
    • Shiftキーを押しながら範囲を指定し「右クリック→コピー→貼り付け」をすればマルチコピーはできる。ただし前作と比べて分かり辛いのは否めない。
  • ゲームパッド環境が不親切
    • XInput対応になりXboxコントローラのボタン配置で操作説明が出来るようになったものの、その代わりに今まで使っていたDirectInputを廃止したのでパッドが使えないというケースが多々出た。さらにデフォルトではユーザー側がボタン設定することも出来なくなった。しかもツクール作品はパッドでプレイするユーザーが多いので…。
      • ちなみにXboxコントローラはFPSなどの分野では決して評判は悪くないのだが、アメリカ人向けの形状であることや方向キーは優先度が低く配置と操作感から使いにくいせいでツクールユーザー間でデフォルトとは言い難い。そのためこのコントローラのボタン表記で説明されても伝わりにくい。XInput共々Microsoftの都合によるものでツクールのせいではないのだが、説明表記面でも改善されたとは言い難い。
    • ver1.32からはDirectInputにも対応したが、それ以前にリリースしたゲームなどの非対応のゲームでは有志が作ったハックツールを導入するなりする必要がある。
  • 対応オーディオファイルの形式が極端に少ない
    • プラットフォーム拡大の影響か、『VX Ace』までオーディオファイルの主流であったmidi、MP3、wav形式が非対応となり、現状公式で対応しているのはm4aとoggのみ。
      • 特にツクール黎明期からBGMの主役の座にあったmidi、効果音を一手に担ってきたwavは今日に至るまでに膨大な量の素材が制作・配布されてきたため、それらがまるっと使えなくなった点は特に多数の素材を抱える古参ツクラーには痛手と言える。
      • 変換すればいいと言えばそれまでだが、別途ソフトウェアが必要である、m4aとoggの両方を用意しなければならない、とあまり割に合わない手間を要求される。
      • 一応、アップデートファイルの追加素材(公式サイトからDL可能)にかなりの量のBGMが入ってはいるため、代用はできない事もない。

総評

スマホ対応したことや、タッチ操作の対応によって遊びやすさも向上、イベントのテストプレイの機能などによって作りやすさも向上している。
RubyからJSに変化したことは賛否両論ではあるが、JSの習得者の多さからか、プラグインも精力的に作成されており、自身で作成せずとも導入しやすい環境となっている。
RubyはよくわからないけどJSはわかり、尚且つゲームを作りたい、ユーザーであればまさにうってつけの作品である。

しかしながら、公式ヘルプの情報量が不充分なことや全体的に粗や仕事が雑な部分が散見されたり、動作が重すぎて作る側にもプレイする側にもそれなりのスペックを要求されることから、本作を酷評するプレイヤーも少なくない。
そのため、初心者や前作経験者が「スマホのゲームを作れる」、「プラグインを使えば何でも出来る」というキャッチコピーだけで手を出すにはハードルが非常に高く、前作以上に初心者にとって厳しいつくりになっている。
アップデートにより、使いやすさも向上しており、PC版RPGツクールの一つの完成形としては十分面目を保った一作といえる。
プラグイン以外のMV用素材の個人開発はかなり進んでおり、ツクールユーザーの『MV』移行はそれなりに進んでいる。
むしろ、『MZ』が本作と似通った仕様であることもあり、本作で留まっている者もいる状況である。


余談

  • 関連書籍について
    • 「ゼロから始めるフリゲ制作 RPGツクールで新世界の創造主になった件」(KADOKAWA/エンターブレイン、2016年3月14日発売)
      • 全96ページ。全体の丁度2/3の64ページがフルカラーで、残りはモノクロのB5判型。
      • 内容の約3/4は各クリエイターのインタビュー記事で、80ページ以降は『MV』の製品紹介が掲載されているが、詳細に機能を解説しているわけではなく「RPGツクールとは?」という極めて基礎的なところから話が始まるので、この部分に限れば購入検討者向けの内容と言える。
    • 既に『MV』を購入している人が参考にしながら制作をするノウハウ本の趣は薄く、JavaScriptの日本語マニュアルのような内容も無いので、中級者以上のツクラーは過度な期待は禁物。
    • 上記の内容かつ100ページに満たない分量で税込1,500円なので割高感は否めない。
  • コラボレーション
    • ツクールシリーズとしては珍しく、他ゲーム会社とのコラボレーションを積極的に行っている。
      • 『ダンガンロンパ』や『ニンジャスレイヤー』、『ドルアーガの塔』などのキャラクターチップ、顔グラフィックなどが無料で配信されている。
      • 二次創作を作れる作品は限られてはいるが堂々と作りやすくなった。
    • Steam版ではSteam配信作品とのコラボ素材も配信されており、こちらは一部有料となっている。
+ コラボ作品一覧
  • 公式作品の配信
    • 公式においても『盾の勇者の成り上がり』を原作とし、本ツールで制作されたRPG「The Rising of the Shield Hero : Relive The Animation」がSteamで配信されている。
    • 後に『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』を原作とする、「Slow living with Princess」も配信された。こちらも本ツールが起用され、2022年にアーリーアクセスという形で配信されており、2023年に正式版となった。
  • 自作ゲーム大賞
    • MV発売によりライトノベルやイラストの募集を行っている「えんため大賞」にて『自作ゲーム部門』が新たに設立された。
      • 対象になるのは本作を使ったオリジナルゲームとKADOKAWAが指定した作品*13の二次素材を使った二次創作部門がある。
      • オリジナルゲーム部門では賞を取ればメディア化も検討されている。
  • RPGアツマール外部リンク
    • 2016年11月24日より動画投稿サイトniconicoとのコラボで始まったサービス。
    • 『MV』で開発されたゲームを投稿できるサービス*14で、ブラウザゲーム方式でプレイできる。また、クリエイター推奨プログラムに対応しているため、投稿者は報奨金を受け取れる。
      • 最大の特徴はニコニコ動画のようにゲーム画面に対しユーザーのコメントが流れる点だろう。進行状況に応じてコメントが流れるため、擬似的なリアルタイムのような状況で他のユーザーと感想を共有できる。
    • サービス開始に合わせてMV側にもアップデートが行われ、ワンクリックで投稿できるようになっている。
    • 2021年2月4日にサービス名を「ゲームアツマール」に変更した。
      • 2023年6月28日をもってサービスを終了した 。終了にあたって作者本人なら投稿したゲームプロジェクトやコメントをDLして保存できる機能が提供されていた。
    • RPGやパズルなどのジャンルはもちろん、個人製作からメーカー(株式会社サクセス等)製、YoutuberやVtuberに関するもの、徳島県による防災を学べるゲームなど投稿されているゲームも投稿者も非常に多様で、中には昨今のスマホ無料アプリのように広告が出るものやソシャゲのようにログボやガチャ等の機能がある*15ゲームも存在した。
      • セーブ枠数がニコニコアカウント紐づけであり、全ゲームで共用であったので、上限に達すると消さなければならなかった(50ブロック、システムデータも加算)。増やすには、ニコニコのアカウントをプレミアム(月額課金、期間中のみ上限アップ)にしたり、時折開催された「ゲームをプレーしてレビューをしよう」といったイベントに参加する(永久に数ブロック追加)などが必要であった。
    • 本サービスからSteamなどに移植されてリリースされることもあり、実際に「ぶきあつめ」「フランの夢は睡深36,000歩」の二つはドワンゴ公式から配信されている。
  • 謎のゲーム素材
    • 『MV』にはパッケージキャラクターのキャラチップ素材のほかにもピクチャやバトラーの素材が同梱されている。
      • 該当フォルダには銃器や刀を持った現代風の女の子や戦国武将、SFメカにパイロットなどが一緒くたに入っている。
      • 絵柄の統一感の無さから訝しむ声多数。それもそのはず、絵師名などのクレジットがマニュアルに記載されていないのでどういった経緯でこれらの素材が同梱されたのかは全く分かっていない*16
      • グラフィックにまとまりはないものの、どれもゲーム映えするイラストで大・中・小の3サイズがそれぞれ収録されている。
    • 背景画像も収録されているが荒廃した学校、植物がまとわりつくビルなど用途が限られてしまっているのが難点。
      • 演出かミスかは不明だが一部ぼやけてしまっている画像もある。
    • 『MV』の海外コミュニティサイトでは「こんなイヤらしい画像を入れるとは何事だ(意訳)」と物議をかもした経緯がある。
  • 本作ではサイドビュー方式を選択することができるが、SFC時代の『FF』のようないわゆるATB方式ではなく、あくまでターン制となっている。
    • これはスクウェア・エニックスがATBに関する特許を取得しているため、と考えられている。
    • とは言えど、プラグインの機能があるため、やろうと思えばATBを再現することも可能、というよりも有志の手によって既にATB化のプラグインも作られているため、導入すればATBの実現はJSの知識がなくとも十分可能。
    • 次作においてタイムプログレス戦闘(TPB)として正式実装された。
  • 本作は既存のツール(『2000』など展開中の『ツクール』)の需要に区切りをつけることを目的にしていると目されていた。が、2020年6月11日にPC向けシリーズ最新作『RPGツクールMZ』が発表され2020年8月20日に発売された。
    • 詳細は同ページに記載のとおりだが、具体的な内容は本作をベースとしつつ追加要素を加えた形となっているため、メーカーとしても本作で概ね完成したものとみなしていると思われる。
      • ちなみに旧作ツクールに区切りをつけるという目的は達成され、先の『MZ』の発売に合わせてPC版のRPGツクールは、『VXAce』までのサポートを全て終了する旨が発表された。

RPGツクールMV Trinity

【あーるぴーじーつくーる えむぶい とりにてぃ】

ジャンル RPG制作ツール

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
発売元 角川ゲームス
開発元 エンターブレイン (KADOKAWA)
epics
発売日 2018年11月15日
定価 7,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
劣化ゲー
備考 無料のプレイ用ソフト「RPGツクールMVプレイヤー」あり
One版は2019年3月11日に発売中止
ポイント 2018年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
無数のバグ・フリーズ・ロード地獄でまともにプレイすらできない
XBOX版発売中止
制作ツールに見合わぬログインボーナスの存在
『MV』ベースが裏目に出てライト層に不向きなだけの劣化移植に
正しく10年に一度のクソゲーと化した最強のRPGツクーレナイ
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧

概要(Trinity)

『RPGツクールMV』をベースにPS4/Switch向けに移植した作品。据置機向けのRPGツクールは14年ぶりである。
One版は諸般の都合でお蔵入りとなってしまった。タイトルの「Trinity」は3機種のことを意味していたが、コンセプトから崩れてしまった。
据置機と携帯機においても、機種が代替わりするごとに売上は毎回落ちており決して評価されてるとは言えない。
発売直後のおびただしいバグの影響やログインボーナスなどの作り込み不足で評判や信頼を落としてしまった。
現在はPC版を超える数のアップデートによりかなりマシとなり、問題の大半は解消された。
キャラクタージェネレーター、声優ボイス、歌唱BGM、ツールのリアルタイム処理、各種新プラグインを盛り込んだ意欲作だったが、デバッグ修正を蔑ろにし納期ありきで強行発売してしまった。
以下は本作独自の問題点や評価点を記す。


問題点(Trinity)

  • バグ・フリーズの多さとロード時間の長さ。
    • 具体的にどんなバグがあったかを本Wikiにおいて取り上げるとキリがないため、公式サイトのアップデート欄参照。一言で記すと初期はゲームをプレイすることも困難なほどバグ、フリーズ、データ破損だらけだった。
      • さらに追い打ちをかけるのがロード時間。最悪10秒かかることもあり、この点は前作となるPS2版の問題点はもちろん、オリジナル版の欠点をさらに悪い形で継承してしまっている。また、PS4版では制作容量が一定を超えると無限ロードに突入するという現象も。
      • フリーズやセーブデータ破損などにより長時間の苦労が水泡に帰す場合もあり、長時間のプレイを要するクソゲーにありがちな「賽の河原バグ」は本作にも存在していた。
      • 現在は、バグ・フリーズのほとんどが解消されている。ロードについても、PS5でプレイすれば気になるほどではない。
  • UIが最悪かつ家庭用版向けのコンバートとしては甘い
    • 元はPC操作(キーボード+マウス)を前提としたUIなため、コンシューマゲーム機(ゲームコントローラー)との相性が最悪なのだが、その点を考慮した変更がされているとは言い難い。特に見出しの多さと階層の深さは億劫な点としてあげられる。
      • 難解かつ不親切気味なシステムというと『RPGツクール5』があげられるが、単純な煩わしさではそれすら軽く上回る。
    • アイテム枠の追加やマップタイルの進行の可不可を一括で決められないなど、実際にプレイしたのか疑問に思うような不便な点も。
  • オリジナル作からの改悪点が目立つ
    • 先のUIの件やロードも含めて、PC版より劣化した機能が多く、中には家庭用向けに変えようとして失敗しているものが見られる。
    • コンシューマ版の過去作と違い、ダメージ計算式を設定できる。これだけ聞くと良好に思えるが、実は計算式として利用できるパターンが少なく*17、すぐにネタが切れてしまう。もう少し自由度があればよかったが…。
    • また、PC版ではプラグインに頼った構造をしていた部分が多く、それを用いることができない本作は痒い所に手が届かなくなる部分が非常に多くなってしまった。
  • ログインボーナスの存在
    • RPG制作ツールなのにもかかわらず、ログインボーナスによって素材を集める要素がある。全て集めるには最低180日も要し、しかも途中から一定期間数のログインを要するようになる。
      • 内容も別に特別感のないものが多く、むしろデフォルトで最初から入れろという基本的なラインナップばかり。イベントのアセットデータなどテクニック的なものを導入した方がよほどモチベが上がりそうなものである。
      • おまけにこの悪い意味で斬新なシステムにもかつては致命的なバグがあり、ログインボーナスを得ることで製作中のゲームデータが壊れるという事態も起こっていた。デバッグ不足にも程がある。
    • なおこのログインボーナス抜きでもゲーム製作に十分な素材は揃っている。つまり拡張的な要素ではあるのだが、だからこそいきなり創作に制約をかけるこの仕様に疑問が生まれるわけだが…。
  • CS機用に求められる需要を満たしていると言い難い。
    • これまでの家庭用ツクールは、良作・駄作を問わず「作品として完成させなくても、とりあえずいじって遊ぶだけでも楽しい」という要素も存在しており、だからこそ家庭用向けの緩さ(『5』を除く)があった。しかし本作はあくまでもガチで作る人向けの要素が強い。
    • これまでのシリーズは家庭用にプレイしやすいよう一から作られたものだからこそ、問題の大小はあれど一部の例外を除いて各種設定自体は単純かつわかりやすいもので、サンプルと比較参考にしやすいものが多かった。
      • 本作は全体的にPC版準拠の用語や仕様が多く、ある程度の知識がないとゲームを作るのに手を出すのも難しい。先のUI問題のせいで難解さも増しており、家庭用版の主な顧客であろうライト層に不向きなのが痛い。
      • PCを使えない若者が増えており*18、また決して全ての家庭にPCがあるわけではないなど、家庭用ハードの方が圧倒的にハードルが低いのは事実である。しかし公開の場も用意してあるとはいえ、PCと違い完成作品の配信サービスがいつ終了するともわからない以上、労力に対して得られるものは圧倒的に少ない*19
  • 『RPGツクールMVプレイヤー』にしか配信できない仕様
    • 本作で完成させたゲームは、別途無料でダウンロードできるプレイ用ソフトで起動させる仕様となっている。しかし多少の違いはあっても同じ『MV』でありながら、ソフト外のインターネット上において投稿できない制約が微妙すぎる。
      • と言ってもPS4版とSwitch版の間で作成ゲームデータは作成・公開ともに共有ができないため、この点はハードメーカーとの取り決めがあるのかもしれないが。
      • なお、発売される予定だったOne版はSwitch版と『MV』プレイヤーでプレイできるゲームが共有できる仕様になるはずだった。重ね重ね発売中止になったことは残念な結果である。
    • 家庭用独自のUIであれば、これまでの作品と同様にネット公開できなくても「コンシューマ独自のものだから」と割り切れたものの、こちらは『MV』であることが足を引っ張った形となった。
      • いずれこのプレーヤーのサービスも終了することは想像に難くないが、紛うことなき『MV』の劣化なのにいずれ消えることがわかりきった媒体でしか配信できないのは…。
  • 現在はDLCも発売されている。無料セットもあるが、有料コンテンツはやや高価で、最低は550円だが最大で1,430円もかかる*20

公式の対応(Trinity)

  • PC版に負けないアップデートへの熱意
    • 最初からやっておけと言わざるを得ない一方、バグをそのまま放置する作品もある中、発売からの2年間で大量のアップデートを行っている。
      • フリーズやデータ破損等論外とも言える問題についてはある程度改善されロードも部分的に緩和される等、普通に遊べるようにはなった一方で、UI等の機能面の改善・追加についてはほとんど手付かずのまま。
      • 何度もアップデートを重ねた結果、アプデのたびに新たなバグが発生することもある等、油断がならない部分も多い。
      • バグが出るという理由でチュートリアル要素をアップデートで廃止する等、やや自棄っぱちに感じるアプデ内容も存在した。
      • 問題がないわけではないが、パッチ由来のバグは放置したゲームと違ってできる限り対応しようとした姿勢は評価できると言えるだろう。
    • 不具合修正のアップデートは2019年の中頃にはほぼ終了し、後は軽微な不具合のサポートのみとなり、それも2020年1月からペースダウンし、8月を最後に残り2つの修正予定を残して事実上終了した。*21*22
      • 外注でアプデが少なかった『フェス』と違い自社開発だったからこそアプデ回数が増やせたとも言える。
    • 繰り返しになるが、発売前にやるべきデバッグを後からやっただけという点はどう足掻いても言い訳できないため、何故その熱意を発売前に発揮できなかったのか悔やまれるところ。それでも2年付き合い続けた根気は認めるべきであるが。

評価点(Trinity)

  • 『MV』由来の素材の多さ
    • BGMから立ち絵素材に至るまで、PC版の遺産とも言える素材が潤沢に用意されており、素材数だけなら家庭用版トップクラスと言っても過言ではない。キャラグラのモンタージュ式作成も可能なため、キャラフェイスに至っては絵柄の好みさえ度外視すれば無限大である。
      • 2019年末にはショップ機能が開放され、新たな素材を購入することも可能となった。
  • コンテストへの応募方法が「セーブ時にチェックを入れるだけ」と大分楽になった。
    • 一回しか開催されなかったとはいえ、ゲームの評判が最悪な中で中止にしなかったことは「図太い」と揶揄されることもあるが、むしろ真摯な対応と言うべきだろう。
  • 移植する意義は薄いと言ってもゼロではない
    • PS4版はさておき、Switchであれば外出時もいじることが可能であり、持ち運び制作も可能なら据え置きらしく家でガッツリいじることもできるため、便利かつとりあえず手軽に手を出しやすいと言う部分はある。
      • PC版でもノートPCを使えば可能とはいえ、やはり持ち運びしやすさの差から言ってSwitch版には勝てなかったのだが、GPD WINを筆頭とする、AYA NEO、SteamDeckなどのUMPCが復活し、値段が下がり、ゲーム開発に耐えられるスペックになってきたことからそのアドバンテージも薄れている。

総評(Trinity)

デバッグの大切さを知れる作品。
はっきりいって商品失格の烙印を押されて当然の代物であり、10年に一度のクソゲーと揶揄されるだけの要素を積み上げ過ぎてしまった。

家庭ゲーム機用『ツクール』は、他コンストラクション系ゲームの台頭などで近年推移として需要が落ちており、PC版が創作性の自由度の高さを活かし、販売的にもPC用と家庭用と主力が入れ替わる形となっていた。品質低下を移植が原因だとする向きもある。しかし、他ゲームでもPCメインで家庭用への移植は一般化しており、それを持って否定はできないのではないか。

現在は真剣に作ろうと思えば遊べる程度の改善は行われているものの、公式が修正期日を宣言した一部不具合を放置したままであり、慣れれば回避可能というだけで、本作での最初の悲劇よりゲーム制作の敷居が下がったものの、新規ユーザーにはまだ高いと言わざるを得ない。
バグやフリーズがないのは当たり前であることを考えても、一部不具合を放置したことで、クソゲーという評価は揺らいでいない。
次回作の家庭用タイトルで購入検討の機会があれば、近年のCSシリーズを踏まえ、人柱になる覚悟で挑んで貰いたい。 昨今、PCシリーズの移植というのは普遍であり、はじめて『ツクール』を買うのであれば、発売直後なら覚悟して買うか、少し世間の評判や動画実況などを参考に様子を見て、購入判断をされることが賢明ではないか。


余談(Trinity)

  • 前述したように本作で完成させたゲームは『 RPGツクールMVプレイヤー 』に配信出来るのだが、この無料の『MVプレイヤー』も問題が多い。
    • 何故かダウンロードすればプレイをしなくとも評価できる完成ゲームのバグ修正や追加要素のパッチ更新しようと再投稿すると今までのダウンロード数や評価数がリセットされランキングもいちから非公開にしても検索できてしまう改変可にしてしまうと完全コピーゲームで別ユーザーが投稿できてしまい判別不可能制作中の作品と完成品が混在する評価が好き嫌いなのか完成度なのかのフィードバック基準が不明瞭プロ並みの公式サンプルゲームと初心者ユーザーの自作ゲームが同じ土俵で評価されてしまう等々、購買層を自ら減らしていくような出来の悪い物となっている。
  • シリーズの売上減少によりプロモーションも消極的だった。
    • 開発者インタビューは「ゲームマニアックス」というサイトで行われたのみ(サイト終了と同時に消失/アーカイブ)。
    • 宣伝番組は文化放送の超!A&G+で配信された「ツクラー‘sスタジオ」だけ(公開終了済み)。
      • 本作をプレイするコーナーもあったが録画番組なので編集されていてあまり参考にならなかった。
      • ちなみに『フェス』の時は公式配信番組や先行プレイ動画で実機プレイを見せていた。
  • PC版ツクール(『MV』『MZ』)用の素材集として本作の素材がsteam及びDEGICAツクールストアで販売されている。
    • MZ』のバンドル版では同梱素材集の1つとしてセット販売されている。
    • 本作の最大のセールスポイントのメインである声優ボイスは同梱されていない
  • Amazonでは発売直後は、パッケージ版の値段が暴落した。
    • ダウンロード版は長い事定価で販売されていたが、発売から1年半ほど経った頃から度々セールされるようになった。
    • 初回のセールは半額の4290円だったが、2回目からはおよそ2000円前後と、Amazon販売価格を意識したような値段になっている。
      • 発売から3年が経ち修正が一段落し最安値を脱し、パッケージ版の価格が値上がりしている。
  • KOTY絡みとして最終的に選外となった『RPGツクールDS』と比較される事がある。
    • RPGツクールDS』発売当時は3月でKOTY選評期間が長かった上に発売直後に開催されたコンテストが予想に反して好評だった事で最終的に選外になった経緯がある。
    • 対してこちらは、11月発売というKOTYの選評期間の短さに加え、パッチ修正に追われ、コンテストといった挽回の機会が与えられないまま年末を迎えてしまったためKOTYノミネートを免れる事はできなかったのではと思われる。
    • また、前作にあたるフェスなどの過去作とも優劣を比較されるが、相対的に見ると、近年CSツクールは発売されるごとにキレイに右肩下がりの販売になっており、どの作品がというより全体として、リピーターの満足度や新規ニーズ発掘に対応できていないのではないか。
  • 2023年3月末の3DS「ニンテンドーeショップ」終了に合わせて行われた、『RPGツクール フェス』のサーバー停止を報告したツイートには、「次回の家庭用RPG Makerにご期待くださいませ。」と、家庭用RPGツクールの新作を匂わせるような一文が添えられていた。
    • 次回作が、RPGMAKERとなったことで、RPGツクールとしては、1992年のはじめのツクールが世に出てから最後のツクールタイトルとなった。
    • 2023年10月19日にPC版MZをベースとした『RPG MAKER WITH』が発表。Switch版は2024年4月11日発売、PS4/PS5版は発売日未定、海外は2025年内発売予定。
  • 騒動の顛末、不具合修正完了間近の修正中断と同時期に、開発会社のトップが会社を離れ、実質的に引責の格好となった。販売元でも同シリーズを扱う部門は、親会社と分社化されツクールシリーズは子会社に引き継がれて、RPG MAKERへとして、尻尾切りのような状況でイメージ刷新を狙ったようだ。しかし、実態を見るに不具合の多さで売れなかったのではなく、新発売週から前作比減と購入されていない。RPGツクールMVTrinityは、結果として今まで蓄積された課題が大きく露見しただけで、根本的なところは解消できていないことを意味する。現状において、他エンタメが台頭する中、体験にかけたコストに対してリアクション品質が低くモチベーション対価に欠ける。わかりやすくいえば、ゲーム制作の簡易職業体験のような状態になっている。遊び手が評価するシステムもあるが、もっとこうしてほしい、ここ故障してますよ、満足させたものに対して報奨などの対価をもらえるといったゲーム性が確立できていない。達成感を高める構造に欠ける。また、そこに至る導線も貧弱で、エタる(ゲーム制作を途中で放棄)という造語が示す通り、小さなハードルを超えさせてという基本的なゲーム構造すらない。ゲーム業界では、レベルデザインとも言われるがそういったことを一切してこなかった経緯もある。 そういった事情もあり、同シリーズのコンシューマタイトルの販売は低調で右肩下がり、いつ完全終了してもおかしくはない状況となっている。
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最終更新:2024年04月11日 13:30

*1 『2000』はハンドブック素材、『VX』系は有料素材であり、公式でデフォルト搭載されたのは今回が初。

*2 今までのツクールではパッケージのキャラクター達が素材化するということはなく、今回が初。またキャラクターをイメージしたBGMも同梱されている。

*3 本Wikiにも、多数のJSプログラムが使われている。

*4 暗号化や圧縮処理等があるもののこれまでのツクールは作成ファイルとプレイ用のファイルという区別はなかった。もちろんプレイ用のデータをツクールで解析してギミックを模倣すると言った問題もあったが…。

*5 例えばベヒーモス。前作では湾曲した鋭い二本の角を持ち、大胆不敵な眼光で相手を睨み付ける「巨象」のような「如何にもベヒーモス」といったデザインだったが、今作のベヒーモスは背中にサボテンや砂漠岩を生やした「巨大なカバ」のようなデザイン……といった具合。

*6 前作と今作を両方所有していれば規約上問題は無い。ただし、デフォルトで前作VX Aceの1.5倍の高解像度となったため適宜リサイズする必要があるが。また、アクター素材の画風自体は、前作と大差は無いため、流用しても違和感は少ない。

*7 Steam版は2023年に価格改定されて8,700円に値上げ

*8 長時間稼働しているとブラウザがクラッシュするゲームもあり、短編ゲームが多く流通している。

*9 ダウンロード後のテキストファイルには書かれている。

*10 アップデートにより、今まで正常に動作していた箇所に影響が出てバグが発生すること。あるプラグインを入れると、戦闘シーンに突入するだけで変数未定義エラーにより強制終了する。

*11 画像をキャプチャした際に左クリックした色を透明化する機能、ツクール2000から搭載。

*12 搭載モンスターの中でHP以外は中級レベルの能力を持ち、スタン攻撃や連続攻撃も放ってくる。

*13 「ニンジャスレイヤー」、「闇の皇太子」、「クトゥルフTRPG」、「AKIBA's TRIP」、「バカとテストと召喚獣」の5作品。

*14 後に『MZ』『2000』『2003』作品の投稿にも対応。

*15 実際にニコニコポイントで課金できる

*16 ゴルフクラブを持ったキャラクターはエンターブレイン配信のアプリゲーム『らぶxたま ~桃色いんぱくとっ!~』から、銃器や刀を持ったキャラクターは『任侠プリンセス セーラー服と機関銃』からの流用。ただし、全イラストが流用されているわけではない模様。

*17 計算式の形および、式に使用できる項の数が固定されている。

*18 近年はスマホの性能向上が著しく、その結果「スマホだけで充分」と考える若者が急増している。

*19 実際『DS+』はWi-Fiコネクションのサービス終了後、元々少ない需要がさらに失せている。

*20 2021年4月の時点でDLCの合計金額は1万円を超えている。

*21 その後2021年1月に不具合修正アプデが一度だけあった。

*22 次作『RPG MAKER WITH』発表後に電撃オンラインで行われた開発者インタビューによれば、本作の課題・改善点が広範囲に及んでバージョンアップでは難しい状態となったため新作を開発する運びになったと語られた。