桃太郎電鉄X~九州編もあるばい~
【ももたろうでんてつばってん きゅうしゅうへんもあるばい】
ジャンル
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ボードゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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ハドソン
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発売日
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2001年12月13日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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誰得・蛇足・理不尽と三拍子揃ったデボンドビス 一部物件駅のバランスブレイカー化を除けば良好 のちのちのシリーズに受け継がれたシステムも多数
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桃太郎シリーズリンク
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概要
ハドソンの人気ボードゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の通算第10作で、プレイステーション2版第1弾。
ハードに合わせてグラフィックが3D化され、その他、様々な新要素が追加された。
また初の試みとして特定地域限定マップを舞台にした特別編が収録されており、本作では九州を舞台にした「九州編」が収録されている。
基本的な概要、システムは『スーパー桃太郎電鉄II』と変わらないため省略する。
前作からの変更点
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グラフィックに関する変更点
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マップや列車、貧乏神などのキャラクターが3D化された。
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システムに関する変更点
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3月が通常のターン扱いとなった。決算は3月終了後に行われる。
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物件駅では一度に複数の物件を選択して買うことができるようになった。
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今作のみ、物件駅での増資は最大5段階まで出来るようになった。
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カードに関する変更点
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従来は5枚までしか持てなかった便利系カードが8枚持てるようになった。
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大半の攻撃系カードは、プレイヤーを直接指定出来るようになった。
全国編の特徴
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今作のみ持ち金を1ターンごとに奪っていく「古代怪獣デボンドビス」が登場する。
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『ドジラ』に代わる新怪獣『ドジラース』が登場。モモトラマンによる防衛が失敗するとターゲットにした地域一帯の複数の駅を一度に破壊する。
九州編の特徴
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広大なマップ。
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北端の対馬から南端の与那国島までは最短距離でも100マス以上ある。
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何が起こるかわからない「?駅」と、どこかの物件駅に飛んで行く「ぶっとび駅」が初登場。
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「鉄道省」が初登場
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鉄道経営すると、自分の管轄の路線が、自分の汽車の色と同じになる。以降、誰かがその路線を通る度に利益が出て、決算のときに収入になる。
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買うと、農林物件と同様、破産しても売ることはない。
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「おいどん」が初登場。
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目的地が鹿児島のときに限り、到着者に憑き、次の目的地に誰かが到着するまで続く。自分が次の目的地に到着しても終了する。
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お金がもらえたり、もう一度サイコロを振ったり、一気に目的地へ送還などありがたいキャラ。
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貧乏神と同様、すれ違うことで自分につく。
問題点
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新登場の妨害キャラ「デボンドビス」。これひとつでこのゲームの評価が大きく下がったといっても過言ではない。
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毎ターン全プレイヤーから所持金を奪っていくのだが、この時の演出が長すぎる上に飛ばせない。
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このデボンドビスのイベントが数ターンに渡って繰り返されるため非常にテンポが悪い。また、倒してもすぐに復活するので、鬱陶しいことこの上ない。
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デボンドビスを倒すには体力が0になるまで毎ターンサイコロを振り続ける必要がある。
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ところが、デボンドビスの体力はかなり多く、中々倒せない。素早く倒す手段はないので、完全に運任せである。
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無論、登場させないなどのオプション設定はできない。
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一応、最終年には登場しない仕様を利用して、毎年1年ずつゲーム時間を延長すれば登場させなくすることができる。しかし面倒であり、また忘れると3月にはエンディングへ……
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誰かがボンビラス星にいるときも登場しない。それを利用し、1プレイヤーを犠牲にし永遠にボンビラス星に閉じ込めるという方法がある。無論通常の貧乏神は登場しない、実質3人プレイになるというデメリットがあるが……
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冗長な5段階増資。
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実際にプレイしていると戦略性以上に作業感を感じてしまう。
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特にマップの広大な九州編では、全物件を5段階増資するのはもはや苦行の域である。
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一部物件駅がバランスブレイカー化する要因にもなっている。
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バランスブレイカーな物件駅の存在。
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全国編では京都駅が該当する。この駅の全物件を最大増資すると、収益額が300億円を超えてしまう。この駅さえ押さえてしまえば勝ちも同然である。
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九州編では太宰府駅が該当する。ゲームの序盤に独占できるにもかかわらず収益額が異様なまでに多いため、短期決戦であればこの物件駅を押さえるだけで勝ててしまう。
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CPUキャラの数が多い反面、特徴が丸被りのキャラが一部存在する。
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例で言うと「はらだし」と「きじた」。両方ともがむしゃらな性格をしていて、目的地のためなら赤マスにも平気で突っ込んでいく。
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一応「はらだし」が弱キャラ、「きじた」が強キャラという位置づけになっているが、実際の強さには大して差がない。
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九州編はマップの広さに対して移動手段が貧弱。
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特に九州本土から沖縄までに行くのが非常に大変。例えば与那国島駅から五島駅を目指す場合だと目的地まで
108マス
も離れてしまう。桃鉄シリーズでも屈指の遠さである。
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カード売り場で購入可能な進行形カードは急行カード、オレンジカード、特急カード、新幹線カード、ぶっとびカードの5種類。マップの広さを踏まえると貧弱なラインナップと言わざるを得ない。そのため上述の与那国島から五島駅を目指すような場合だと移動の過酷さがより顕著になる。
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鉄道を買ったときに有利になりすぎる。
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収入が多いうえに何があっても手放されることはない。それどころか台風等の被害もうけない。それにより逆転を難しくしている。
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ただそのこと(序盤に頑張った見返りとしての安定)を評価する意見もある。
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キングボンビーが弱すぎる。
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5段階増資や鉄道の購入などで資産を増やす要素が大幅に強化されたが、キングボンビーの悪行はほとんど強化されていないため、キングボンビーが相対的に弱体化した。
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序盤はまだしも、終盤では全員の資産が数千億になっているなんて事も珍しく無いのに100億や200億の金を捨てられた所で影響はほとんど無く、これではミニボンビーと大差が無い。そのためある程度差がついたら逆転するのが過去作よりも難しくなった。
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そもそもキングボンビーになる確率が2割ほどしかなく明らかに低い。
評価点
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レスポンスの向上。
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ハードの性能が上がったことで、ロード時間が全体的に短縮された。
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メッセージ送りの速度が向上し、テンポよくテキストを読み進められるようになった。
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物件駅では一度に複数の物件を選択して買えるようになった。
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ビジュアルの向上。
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マップや列車、貧乏神等が3D化され、画質も向上した。
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目的地到着時の演出、貧乏神の悪行時におけるアニメーションなど、演出が強化された。
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便利系カードの利便性、戦略性の向上。
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前述の通り、所持できる枚数が8枚に増加した上に、一部の攻撃系カードはプレイヤーを直接指定できるようになったためである。
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九州編のみに登場するおいどんの存在。
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貧乏神とは正反対の奪い合う楽しさがあり面白い。
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好評だったためか、次回作以降はレギュラー化した。
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九州編では、前述のデボンドビスやドジラースが登場しないため平和的かつテンポよくプレイできる。
総評
元々実験的要素の多いシリーズであるが、今作では新要素の失敗が大きく目立ってしまった。
事実デボンドビスや5段階増資は今作限りで廃止された。その一方でおいどんや鉄道省など次回作に導入された要素もある。
しかし、新要素の失敗があるとはいえ1人でも複数人でも楽しめる桃鉄の面白さは今作でも健在である。PS2初の桃鉄としてはまずまずの出来ではないだろうか。
余談
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PlayStation 2で発売された桃太郎電鉄シリーズの内、本作のみ廉価版の発売がない。
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2001年12月21日に、本作の公式ガイドブックがエンターブレインから発売されている。
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2001年12月末から、2002年の1月27日にかけて本作の公式大会が開催された。
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ちなみに優勝賞品として、
金の「キングボンビー」
に、賞金10万円が貰えたそう。
最終更新:2023年05月23日 12:09