GROOVE COASTER 2 HEAVENLY FESTIVAL

【ぐるーヴこーすたーつーへヴんりーふぇすてぃばる】

ジャンル 音楽体感アトラクションゲーム
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 2015年1月22日
判定 良作
スペースインベーダーシリーズ
タイトー音楽ゲームシリーズ


概要

タイトーの音楽ゲーム『GROOVE COASTER』稼働開始から約一年(Ver1.5アップデートである『~EX』稼働から8ヶ月)経ち、Ver2.00へのメジャーバージョンアップに伴ってのタイトルリニューアルが行われた。
Ver1.xxがiOS版から一貫して黒背景に青系統の色調をベースにしたサイバーな雰囲気だったのに対し、本版では白背景に緑・黄色の色調&幾何学花型を中心としたポップなモチーフへと大幅に方針を転換。同時に、システム面でも大きな追加と変更が行われた。

前作からの追加・変更点

  • ゲーム内通貨「GC(グルコ)」とショップ機能の導入
    • プレイ毎にもらえるグルコを用いて楽曲、アイテム、スキン、アバターを購入できるようになった。
      • ショップの解禁曲はミュージックパネルでの解禁曲とは別に用意されており、総じて一癖あるラインナップとなっている。今作ラスボス曲の一角「Got noir forever.」もショップ解禁楽曲の一つとなっている。
    • これまでレベルアップやプレイ毎にランダムで入手できていた各種アイテムは通常プレイでは一切手に入らなくなり、任意選択でグルコと引き換え購入するか、イベント報酬で手に入れるかのどちらかとなった。
    • ミュージックパネル解禁曲を全て解禁していた場合、そのプレイで手に入れたパネル一枚毎に20グルコが手に入るようになった。
    • スキン・アバターやアイテムにも新しい種類が追加されている。高額またはイベントの上位報酬だが、プレイヤーの操作に関係なくキー音とアドリブ音が再生される*1アイテム「PERFECT PLAYER」や同時押しターゲットを片押しターゲットに変更する「ONE HAND」、Ver2.0.4ではMISS10回で楽曲強制終了となってしまうがクリア時のボーナスグルコが増額される*2「BREAK」が追加されている。
  • 各種やりこみ要素の拡充
    • S、S+、S++、ノーミス、フルチェインを達成した譜面の数がリワード画面に表示され一目で確認できるようになった。
    • 楽曲ソート機能に平均スコア順が追加。スコアを詰め切れていない曲を選びやすくなっている。
    • 一つの楽曲において全難易度S評価(900,000点以上)達成時に取得可能な「Master/先生」称号、S++評価(990,000点以上)達成時に取得可能な「King/大王」称号、全譜面でPERFECT(理論値)達成時の「God/神」称号、累計プレイ数100回到達時の「I▽(ハート)」称号といったやりこみの指標となる楽曲別称号が、殆どの楽曲に対して追加された。
      • 基本的には楽曲名の一部と組み合わせた簡素なものだが、極稀に「地球割り先生」等の例外もある。尚、EXTRA譜面は楽曲別称号取得の対象外となっている。
      • 他にも『ダライアス』シリーズの楽曲は「Burst 」「Origin 」「GAIDEN 」「Genesis 」と、シルバーホークシリーズの名を冠した称号になっている。
  • 楽曲ジャンルの細分化
    • J-POPが「ポップス」「アニメ」に、GAMEが「ゲーム」「東方アレンジ」に分離。合計7ジャンルとなった。
  • 曲別ランキングの実装
    • マイページにおける追加機能として、各曲の譜面毎の順位を確認できるようになった。
  • 「本日のスタンプカード」
    • 日毎のプレイ回数に応じてアイテムやグルコ、ミュージックパネルなどが追加でもらえる。
    • 基本的に内容は一定期間毎に変更されており、特定の期間中はスタンプカードのマス目が全てミュージックパネル…といったケースもあった。
      • いわゆるログインボーナスに類するものだが、ほぼ共通して日毎の初回プレイだけは何も貰えない。
  • 既存ステージの判定調整
    • 前作で指摘されていた判定に関する問題については、アップデートを経る度徐々に解消されていった。
    • このバージョン間で行われた大きな変更点は、Ver2.05での「楽曲毎に設定されていた判定時間が最短でも一定範囲は確保されるようになる」ものであった。
  • もちろん前作までと同様に、早めのペースでの楽曲追加、多様なコンテンツとのイベントプレイが定期的に開催されている。

評価点

カスタマイズ要素の増加

  • 従来はイベントに積極的に参加しない場合、クリア曲数やプレイ回数などといったやりこみ部分を大まかに評価するものしか用意されていなかったカスタマイズ要素だが、本作から導入されたグルコとショップ機能によって大幅に強化された。
    • アバターやヒットエフェクトの解禁がある程度自由になった他、好きな曲の名前を使った称号を取得できるようになりカスタマイズの幅も広がっている。
  • 一方、イベント報酬の内容の濃さも大幅にパワーアップした。
    • イベントで得られる称号は他称号と比べて装飾が派手になっている。更に、ジャケットやコース演出に出てくるキャラの多くもアバターとして使用可能になった。

深化したオリジナル楽曲

  • 前作ほどのペースではなくなったものの、追加されたオリジナル曲はいずれも特徴的。
    • HARDCORE TANO*CのメンバーであるMassive New Krewやaranによる重厚な楽曲から始まり、M.S.S Projectのキャッチーなインスト、また天下一音ゲ祭第二弾用として"BMS勢"のxiによるアートコア、終期では佐野電磁×加藤浩義*3のタッグによるEDMなど、書き下ろし楽曲の面子はなかなかに豪華。
    • 前作で楽曲を提供してくれたt+pazolite、Tatsh、IOSYSといった面々も、引き続き個性的な新曲を提供している。

曲解禁の大幅緩和

  • 楽曲解禁のハードルに関して、前作の時点で全音ゲー機種中でも比較的低め*4となっていた本シリーズだが、本作ではミュージックパネルは通常プレイ2枚・で3枚という設定が確立されている。終期はなんと1プレイ4~5枚という大盤振舞も披露した。
  • GCでの購入曲に関しては、パネル解禁曲より平均的に高難易度でマニアック向けという傾向が強い。
    • GCの収入は腕前に大きく依存しやすいものの、難化アイテムを使ってクリアした際のボーナスや、イベント報酬として手に入るGC倍増アイテムなどがあるのでそこまで素寒貧にはなり辛い。
  • 後期は人気のあるオリジナル曲や、隠しだった一部の東方アレンジ・ボーカロイド楽曲が無条件で開放された。
    • 実に40曲近くもの楽曲群が、カード未使用のプレイヤーや完全新規のプレイヤーでも選曲可能となった。
    • 尤もこの無条件開放が後のシリーズ作品において、ちょっとしたしこりを残してしまったとする意見も無い訳ではない。詳細は該当作品の頁を参照されたし。

譜面の演出性の強化

  • 当初から他の音ゲーとは一線を画した演出性の高さが評価されている本シリーズだが、開発側がiOS版からある程度の性能向上を見込んだためか、前作以上に直截的・具体的な表現をしているコースが増え始めた。
    • このVerの新曲として登場した、『ダライアスバースト』シリーズが誇る名曲「The world of spirit」もその一つ。アナザークロニクルのシルバーホーク4機種全てとボス戦艦達の多くがワイヤーフレーム姿ながら勢揃いし、演出面において好評を得た楽曲の一つとなった。
    • ラスト付近の自アバターのバーストビームからシルバーホークたちとのリンクバーストでハングリーグラトンズ(ピラニア型の敵戦艦)を撃墜するシーンはダライアスファンなら鳥肌モノ。別名シルバーホークごっこ。興奮してコンボを切らないように注意しよう。
  • 問題とされている譜面の視認性については、「極端にカメラが寄ったり回転する」といった手法を平均的には少なくしていっている。

判定調整によるプレイ感覚の向上

  • 目で頼れる部分がやや少ない本作では楽曲にノッて直感的に押せる事が前提である。そのため判定タイミングのズレや狭さは理不尽とされる事が多かったが、上述したアップデートによる「一定範囲の判定幅の確保」によって大きく緩和された。
    • 「仮にも一度世に出した譜面を変えるのはどうなのか」「それまでのプレイヤーの努力はどうなるのだ」という不満の声も無い訳ではないが、そのマイナスを補って尚余りあるほどに、正常な判定の下でプレイする楽しさや快適さというメリットは大きい。

賛否両論点

レベル制の廃止

  • プレイ回数とプレイ内容で経験値を得て、各種アバターやアイテムを解禁していくというレベル制は、本作から完全に廃止となった。
    • やりこみ指標のひとつでもあったが、名前や称号などと一緒に表示されていたため「累計投入クレジット数を晒されているようだ」と不満に思う声もあった。
    • なにかしらの腕前の指標が欲しいというプレイヤーがいる一方、例え隠せたとしても数値で測られるのは嫌*5というプレイヤーもおり、賛否両論の要素だった点は否めない。
  • Ver2.0になってから、アバター・スキンのショップが開設されるVer2.0.4まで実に4ヶ月の開きがあり、その間イベントのアバターと称号以外にカスタマイズ要素を増やす手段が無かった。Ver1.xxのプレイ回数が少なかった場合、この4ヶ月間は殆どカスタマイズの手段が存在していなかったというのはかなり手痛い。
  • 前作までが過剰供給だったと見る向きもあるが、アイテム自体も自由に選択できるとはいえ入手効率は大きく下がっている。
    • ログインボーナスの獲得に最低2プレイ必要という点に関しては言わずもがな。

問題点

追加曲のジャンルの偏り・シリーズ初の削除曲

  • AC版稼働開始から収録されていた「JUMPER」「アルクアラウンド」の2曲が削除された。
    • この2曲は本シリーズが世に出て以来初めての削除曲である。権利関係の都合上削除も止むを得ないとする意見は多いが、やはり悲しむ声も見られた。
  • アニメ・ポップスジャンルには、本バージョン開始の2015年1月22日以降から次回リニューアルまで1曲も追加されることはなかった。
    • この為、全体的に版権曲の収録はボーカロイド・ゲーム・東方アレンジジャンルへの偏りが著しい。
  • 版権管理などの複雑な事情が伴うためにハードルが高い上、開発側も削除曲はなるべく作りたくないとしており、実際本作より後のシリーズ作品においてもアニメ・ポップスジャンルの楽曲が充実しているとは評し難い状況が続いてしまっている。それでも、もう少し何とかならないのかという声は多い。

ショップ自体のとっつきにくさ

  • ショップ機能はインターネット上のマイページからしかアクセスできない。
    • セキュリティの都合上、本作以降マイページの利用にはNESiCA.netへの登録が必須となっている。しかしそれについてのチュートリアルや導線が殆ど整っておらず、導入がやや煩雑になっている。
  • ゲーム筐体上でGCを消費できず、楽曲購入すら行えないという点も問題視されている。

視認性の向上による既存曲と、新曲の難易度表記にできた乖離

  • 2の新曲における譜面の視認性は向上したが、それによって、旧曲の難易度表記に差が生まれてしまっている。
    • 本作から追加された低難度曲の「morning haze」、「待チ人ハ来ズ。」は激しいカメラ移動が少ないコースになっている。
      • SIMPLE/NORMAL譜面ではカメラ移動やコースの変則性をやや控えめにしたり、ノーツの色を種類ごとに固定するといった、初心者がとっつきやすくするための措置が行われるようになった。
    • 一方、旧曲の「ブリキノダンス」「ウサテイ2013」については楽曲BPMに比例してカメラ移動も激しく、飛来ノーツといった譜面自体の演出もいやらしいまま。
      • 上記の4曲はいずれもSIMPLE難易度はレベル2だが、実際にプレイするとそれこそ初見でも解るほどに大きな難易度差が存在している。
  • 曲によっては最低難度であるレベル1の譜面がレベル4の譜面より演出が激しく難しいなど、初見プレイヤーの混乱を招くような難易度表記が少なくない。
    • またVer2.xの間、レベル1楽曲は1つも追加されなかった。この点もレベル1譜面の問題を深刻なものとしている。
    • このことから、旧曲のSIMPLE/NORMAL譜面を中心に難易度の改正・演出やカメラワークの改善などを行ってほしいという意見もある。

チュートリアルが前作から変更されていない

  • 前作同様、AD-LIBについての説明は曲間のTIPSで仄めかされる程度になっている。
    • 一応の隠し要素ということにはなっているものの、存在を知らないままにプレイし続ける人も少なくない。

総評

前作の評価された部分をより強化し、問題とされていた部分も改善していった順当なバージョンアップといえる。
増えに増えた解禁要素も各種措置によって緩和を図っており、新規にも優しい構成を盤石のものとしている。


余談

  • iOS版の開発から本シリーズに携わり、ハード面でのサポートもしていたサウンドディレクターのCOSIOこと小塩広和氏が、本作や『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』などの制作を最後にタイトーを退社した。
    • フリーランスになってもタイトーとの関係が断たれる事は無いようで、(口約束ではあるものの)次バージョンに向けた新曲の依頼を行っていた。
      • 同時に、当時は伏せられていたシリーズのボス曲『Got』シリーズの作曲者であるE.G.G.の正体がCOSIO氏であった事も明かされた。
      • 尚、COSIO氏が退社しようが4月1日にはお約束の如く「怪談『カーナビ』」が降臨する為、やはり本シリーズとは切っても切れない存在となっている。おかしいなー、なんなんだろうなー。
    • 後任はZUNTATAの新メンバーMASAKIこと森正樹。完全な新人というわけではなく、以前からシリーズ外収録曲のキー音制作を主に携わっていたスタッフの昇格であった。
  • AC版開始以降、新曲の追加以外大きな動きのなかったiOSアプリの『グルーヴコースターゼロ』だったが、本作稼働中に『グルーヴコースター2 オリジナルスタイル』として大幅リニューアルを果たした。同時にAndroid版も配信開始されている。
    • 様々な仕様改善がなされた大型アップデートだが、特筆すべきは「EXTRA譜面を除くAC版の譜面が追加収録された」事だろう。これによりスマートデバイス上でも楽曲の大まかな練習ができるようになった他、何時でも何処でも手応えある譜面を楽しめるようになった。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 音ゲー
  • タイトー
  • スペースインベーダー

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最終更新:2022年11月28日 15:19

*1 曲によっては「AD-LIB」の音がキー音によって聞こえづらくなっているので「使えば必ず分かる」わけではないので注意

*2 購入することもできるが価格はボーナス値よりも高い。

*3 ノイジークローク所属。Dance Dance Revolutionシリーズでは「nc」「NRG factory」の名義で参加していた。

*4 初期Verの時点では解禁順がある程度強制されていたこともあったとはいえ、ミュージックパネル1枚で解禁できる楽曲の数自体はすでに多めに用意されていた。

*5 ちなみに"段位"に類するものも、グルコスACでは当初から曲目を問わない隠し称号として実装するという手段が取られた。