'98甲子園

【きゅうじゅうはちこうしえん】

ジャンル 高校野球シミュレーション
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 魔法
発売日 1998年6月18日
定価 5,800円(税別)
廉価版 Magical 1500:2000年12月7日/1,500円(税別)
判定 なし
ポイント 自由度が高い各種エディット要素
自由度が高過ぎる投球モーション


概要

魔法が製作していた『甲子園』シリーズの一作。
前作と違い、ユニフォーム、校名、校旗、校歌、投球モーション等がエディットができるなど、シリーズでも異色の作品。

内容

  • 「前作」と同様に4000を超える高校からプレイする高校を選択し、甲子園の連覇を目指すのが目的
    • 強豪校から無名の高校まで当時実在していた高校はほぼすべて登場している。前作同様、セレクトボタンを押す事で校名を実名にする事も可能。
    • 「前作」では主人公はいなかったが、本作では主人公にあたる球児を作成する形になった。主人公の入学式からゲームは開始する。
      • 明確な主人公が出来たおかげで前作に比べてストーリー性が大幅にアップ。
        最初の内は主人公は新入部員なので練習内容もキャプテンが決めてしまい、自由度が低いが様々なイベントが登場する。中にはキャプテンがトイレに行っている間にオーダー表を提出しろといったモノもあり、こっそり弄くっても怒られたりはしない。
  • 主人公は練習(ミニゲーム)や練習試合を繰り返してチームを強化し、甲子園への出場を目指す。
    • ミニゲームは『実況パワフルプロ野球』でいう「キャンプモード」のようなもので、投球、守備、走塁、打撃等を実際に選手一人一人を操作して実戦へ向けての練習を行う。
      • 一度終える事に「すごーい!」「ダメだわ…」と後述の幼馴染のマネージャーが評価してくれる。もちろん高評価になるほど伸びが良くなる。
  • ストーリーを進行する以外にも「校歌」「校旗」「(投球)モーション」といった「エディット」が出来る。
    • そして、このモードこそが本作をバカゲーにしたためている所以と言っても過言ではない。

おバカな要素

  • 特に話題となったのは投球モーションのエディット。変な意味で自由度が高く、突っ込みどころ満載。
    • 制限が「3秒以内」「体の一部(足でなくてもOK)が地面についている事」の2点だけ。腕の振り?関節の可動域?何それ?
    • そのため、以下のようなとんでもない投球モーションの数々が動画サイトにアップされている。
      • 「真後ろを向いた状態からいきなり投球する」
      • 春麗のスピニングバードキック→キャンセル投球という連続技を決める」
      • 「ひとしきりブレイクダンスを披露してから投球する」
      • 「もみじ饅頭→コマネチ→シェーと往年のギャグを披露して投球」
      • 「股間から投げる」
      • 駄々をこねる
      • 「直立不動のままマウンド上でプロペラのように回転してから逆回転する」
      • 「全身でのポーズをとり、手裏剣のごとく高速回転する
      • マウンド上で土下座をして、打者が油断をした隙に投球する
    • 念のため繰り返すが、これらは投手の投球モーションである。
+ 荒ぶる高校球児たち

ただし上の映像は、無関係な楽曲と本作の映像とをタイミングよく編集して作り上げた*1、いわゆる「MAD」であることに注意。
どうやらこの世界の高校野球には、「ボーク」というルールが存在していない模様である。

  • 校歌が作れる。一から自分で作曲するか、あらかじめ用意された何種類かの曲から1つを選び、自分で作詞するというもの。
    • この曲の中にゴアトランスがある。自由度は決して高くないのだが、曲のジャンルは自由過ぎである。
      • ちなみに面倒くさがって校歌を作らなかった場合、試合に勝った後の校歌斉唱シーンで感涙極まる選手達をバックに無言の校歌が流れるのでシュールな絵面になってしまう。
        思い切って変な歌詞を入れたら入れたでカラオケ調にテロップが流れてまたもやシュールな絵面になる。
  • 校旗も作れる。
    • 甲子園球場などで実際に一塁スタンドに表示される校旗もデザインする事が可能。
      • 上述の校歌と合わせて、野球ゲームをしていたらいつの間にか作詞やらドット打ちをしていたという妙な感覚を味わえる。それほどの自由度があるとも言えるが。
  • ヒロイン的ポジションとして幼馴染みのマネージャーがいるが、ローポリゴンで描かれていて笑ってしまうほど不細工。しかも球児達と違って表情の変化や口パク可能というおまけ付き。
  • 実況は古谷徹氏、解説には故・加藤精三氏が起用されている。言うまでもなくモチーフは『巨人の星』だろう。
    • 古谷氏は饒舌だが加藤氏はあまり喋らず、球児が情けないプレイをした時などに一喝して締める。やはりあの方のイメージが入っているのだろう。
  • ロード画面は実写の背景にファミコンのような8bit音楽が流れるシュールなもの。こんな所にもネタを忘れていない。

評価点

  • バットにボールを当てるとリアルな金属音が流れる。
    • 実況パワフルプロ野球』や『プロ野球スピリッツ』のような合成音ではなく本当の金属音が流れる。この為テレビの音量を大きくしている場合は注意。
      • SE自体は前作からの流用であるがホームラン級の当たりが出た時は非常に大きい音がなる。
  • OPムービーは非常に出来が良く、当時のPSソフトの中でも抜きん出たクオリティである。
    • 実際のゲーム内容に反してムービー自体は正統派野球ゲーム的なもの。これでまさか上記のようなぶっ飛んだ要素を含んでいるとは誰が予測出来ようか。
  • 前作からの進歩
    • ゲーム的にも演出的にもかなり淡白だった前作からストーリー性や練習要素を加え、順当にボリュームアップしている。

問題点

  • エディットの操作性は悪い。
    • しかしそれを乗り越えると無限の馬鹿世界が待っているので、やるだけの価値はある。
  • あまりにも場違いなネタが多すぎる・許され過ぎている。
    • 最初からバカゲー要素が目当てであれば良いが、過去の甲子園シリーズ同様の真っ当な甲子園ゲームを期待した人は確実に面食らう。そのぐらいカオス。
      • もっとも、エディットに拘らなければ本作も前作までと同様にまっとうな甲子園ゲームになっている。馬鹿をつきつめるかつきつめないかでこのゲームの評価は変わる。
  • 音関連
    • BGM(応援)のクオリティが退化してしまった。前作では本物に近い音で試合を盛り上げていたが、本作のBGM(応援)はピコピコ音のようなあからさまにゲームっぽい音になってしまい重厚感が薄れてしまった。
    • 審判のコールも若々しい声から何故か、その辺のおじさんのような声になってしまい賛否が別れる。
    • また、外野指示や走塁指示などをする度に何故かバットの金属音がなる為、試合が非常にやかましい事になる。前作では普通の鳴り物のような音だったのだが…
  • バッティングの表示について
    • バッティングをする際、ミートカーソルやレーダーではなく、キャッチャーが丸ごと映るという珍しい形式を採用しており
      さらには常時映り続けるため、キャッチャーの背中がミートゾーンを埋めてしまい見辛くなっている。

総評

何を血迷ったか、前作までとは打って変わってぶっ飛んだ方向に振り切り、不可思議なおバカ野球ゲームへと変貌を遂げた、甲子園シリーズの異端児。
そのバカっぷりがあまりに凄まじい事と、それがビジュアル的に分かりやすい性質のものであるため、本作の紹介動画は各動画サイトで人気となり高い再生数を誇っている。
これらのぶっ飛び具合から「これは1998年ではなく2098年の甲子園だ」などと冗談めかして言われる事も。

エディットに手をつけず普通にプレイする分にはそこまで異質ではない真っ当な作品であり、当wikiでも規定に従ってバカゲー判定は付けていない。
しかしエディットに拘った瞬間、本作はその姿を変え、プレイヤーを笑い渦巻くシュール・バカ世界へと引きずり込んでくれるだろう。

余談

  • 次回作『'99甲子園』はキャラがデフォルメ化されたが、本作のようなぶっ飛んだ要素は薄く、真っ当な野球ゲームとなっている。
    • 前後作はどちらもゲームアーカイブスで配信中だが、残念ながら本作は未だ配信されていない。
  • スポーツ用品メーカーの「ミズノ」が本作のスポンサーになっており、ローディング画面などで宣伝が入る。
  • ここまで来ると、魔法というメーカー名もツッコミどころの1つのように感じてしまう。
    • 同社の手掛けた花火制作ソフト『花火』も、やはり過剰な自由度を誇る(花火パーツになどある時点でお察し)。もちろん、現実にあるような普通の花火も作れる。
    • 誤解の無いように言っておくと、同社は今でも健在であり、パチンコやソーシャルゲーム等をメインに据えて活動を続けている。