秘密結社Q
【ひみつけっしゃ きゅー】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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ライトスタッフ
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発売日
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1998年7月30日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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特撮ヒーローの悪の組織の幹部を体験できるゲーム
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概要
悪の組織『秘密結社Q』の一員となり、新東京市を侵略するシミュレーションゲーム。
ストーリー
仲間の裏切りにあい逃亡中のテロリスト西村京介はシャドーローズの勧誘により秘密結社Qに加わることにした。
西村京介は総統Qにレイジと命名され、秘密結社Qの幹部として新東京市の侵略計画を実現するため、現地での指揮に当たることとなった。
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最初の任務はお約束通り、幼稚園の送迎バスのバスジャック
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一見バカなノリの作戦と思いきや、良家の子女の誘拐により各方面に圧力をかけることが目的で、幼稚園自体はセキュリティーが高いので通園バスを襲う、と案外まともな意図が語られる。
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その直後に「この作戦はバスジャッカー電撃隊と名付けます」と、腰くだけのギャグ。
なんで「隊」になるんだよ。序盤はこのようなジェットコースター並みの、バカと真面目の落差に揺さぶられる。
+
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本作はマルチエンディング(ネタバレ注意)
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実は主人公がテロリストになった原因はある事件で家族を失って荒んだことによるもので、その事件には秘密結社Qが関わっていた。それを知った主人公の決断により3種類のストーリーに分かれる(マップは共用)。
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過去を捨ててQの幹部として生きていく。
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Qを裏切り、正義の味方と共にQ壊滅に乗り出す。
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懐疑的ながらもQの幹部を続ける。なおこのルートだと最後は「裏切らないように」と洗脳されてしまう所謂バッドエンド。
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システム
作戦ごとに特撮ヒーロー番組のような構成になっている。
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オープニング曲が流れる
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悪の組織なのにヒーロー物の曲調。
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映像にはご丁寧に『ウルトラQ』のオープニングのパロディのようなものも含んでいる。
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唄っているのは制作スタッフ。
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その回のタイトル
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作戦の導入部分の寸劇
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秘書シャドーローズによる作戦のブリーフィング
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作戦
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作戦は一般的な2Dのターン制SRPGのシステムに近い。
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作戦によっては総統Qから怪人が支給されることがある。もちろん戦闘員や機材も与えられる。
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しかし、作戦前に主人公や戦闘員の装備を整えることはできない。
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戦闘員の装備のばらつきはひどく、機関銃を持っている者からピコピコハンマー(ほとんど威力がないのに、使用すると後述の「ガッツ」を消費する)を持っている者までいる。
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拠点の防衛や奪取などの通常のSRPGに有りがちな勝利条件だけでなく、作戦によっては特殊な任務がある。
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例えば、1話目は移動する幼稚園のバスを襲うという任務がある。
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攻撃の技の中には「ガッツ」を消費するものがある。
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「ガッツ」の消費量は技によって異なる。威力のある技は、それ相応に「ガッツ」を消費する。
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この「ガッツ」の使い所が作戦の成否を分けるポイントであり、戦術性を増している。
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反撃専用の技がある。
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例えばトラックには「機銃掃射」しか技がないが、これは反撃専用である。このためトラックからは攻撃を仕掛けられないが、敵から攻撃を受けた場合には反撃出来る。
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怪人の中には、せっかくの必殺技が反撃専用という者もいる。
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敵は初期状態では「?」で表され、"位置"はわかるが実際に戦闘になるまで相手ユニットの種類やステータスは判らない(恐らくAI側は分かっている)。
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マスには地形効果が設定されている。
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防御や命中率のボーナスが付く。
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トラックなどの車両は舗装されているマスしか移動できない。
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ユニットの攻撃が成功すると経験値が得られ、経験値が貯まると作戦中にレベルアップする(トラックなどの無機物はレベルアップしない)。
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レベルアップするとステータスが向上する。
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このレベルアップによって次の作戦で有利になることはない。主人公も戦闘員や怪人もレベルは作戦ごとに既定の値に再設定される。
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レベルアップが引き継がれないことと、確実に補填されるため、戦闘員は作戦ごとに使い捨てで構わない。
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勝利条件に近づくと(トリガーは作戦ごとに違う)、正義のヒーロー「機動刑事ライオット」が現れ、主人公の邪魔をする。
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機動刑事ライオットとの戦闘は魔Q空間にて行われる。
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魔Q空間とはシャドーローズ曰く「科学的に説明できない異次元空間」。秘密結社Qが魔Q空間発生装置で発生させる。作戦マップより範囲の狭い別マップで、なぜか秘密結社Q側のステータスがUPする。
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しかし、いくらステータスがUPしても、通常の戦闘員の攻撃では機動刑事ライオットのHPにダメージ2を与えるのがやっとという圧倒的な戦力差。主人公はおろか、支給された怪人でさえ機動刑事ライオットとは対等に戦えない。
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魔Q空間にはHPが回復する"魔Q鉱石"のあるマスがあるが、そこでは正義側も回復できてしまう。
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場合によっては、主人公たちは決められたターン内に機動刑事ライオットに勝利する必要がある。
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正義のヒーローを退け、任務を完了できれば作戦終了。
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作戦後の寸劇
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次回予告
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エンディング曲
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もちろんエンディング曲は物悲しい曲調。
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「キャスティング 主人公 あなた」とクレジットされる。
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最後に「企画・製作 秘密結社Q」とクレジットされて終わる。
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CM
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秘密結社Qの製品のCM。ある意味『AZITO』を先取りしている。
バカな点
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特撮ヒーローの悪の組織側をプレイできること。
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各エピソードが特撮ヒーロー番組のパロディにまみれている。
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必要以上のギャグ要素
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味方のステータス画面に記載されている弱点が「納豆」「耳とうなじ」「家族に知られること」
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武器の説明においても「使いこなすには化物並みの腕力が必要」「ご購入の方には、今なら同じものをもう1本」とボケ散らかしている。
問題点
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グラフィックが今一つ。
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ムービーはそこそこなのだが。
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CGは商用レベルとは思えない出来栄え。
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原因が色使いなのか構図なのか判らないが、その場面で一番目立たせるべきものが目立たずに埋もれてしまっている。
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戦闘シーンが力不足
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戦闘の地点が道であろうがビルであろうが、地面のグラフィックが土の地面(いつもの採石場?魔Q空間?)である。
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なぜか3Dポリゴンなのだが、造形が残念。とくに主人公の顔。
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しかし、ポージングはかなり凝っていて、ドロップキックや殺陣なども違和感のない動きをする。ピコピコハンマーでさえ専用の動きが用意されている。力を入れるところが間違っている気がするが、それがこのゲームのバカゲーたるゆえんであろう。
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一部イベントも戦闘シーンと同じ3Dモデルを使って表現されているが、幼稚園の送迎バスなど、さらに酷い造形のものがある。それに反して動きは良く出来ているため余計に残念。
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自由度の低さ
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ピコピコハンマーなんかを装備している戦闘員や間接武器を持っていない戦闘員などがいるが、主人公を含めプレイヤーにはユニットの装備の変更ができない。
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このため、見かけが同じ戦闘員でも使い勝手が異なるが、そういうところも加味して戦術を練る楽しみ方もあるということだろうか。
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ユニットがレベルアップしても次の作戦には反映されない。
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常に同じゲームバランスを再現するためかもしれない。正義のヒーローの強さを印象づけるためだろうか。
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このゲームは主人公を育てるゲームではないのだろう。
評価点
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再プレイを考慮してか、結構スキップできる。
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オープニング曲、エンディング曲はもとより、作戦のブリーフィングなども選択肢でスキップできる。
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できれば戦闘シーンも一律スキップできる機能が欲しかった。
総評
特撮ヒーローの悪の組織側をプレイするという、意図して作られたバカゲー。序盤はとことんバカである。
しかし、戦闘部分に目を向けると、SRPGのようなフリをしながらキャラを育てられるわけでもなく、正義のヒーローが必殺技を駆使するのに対して戦闘員の装備はバットやピコピコハンマーという圧倒的な戦力差があったりする特殊なゲームバランスであり、その点では人を選ぶかもしれない。
余談
本作を作成したライトスタッフは本作及び『アルナムの翼 焼塵の空の彼方へ』を作成中に解散が決定していた。発売の翌年である1999年に解散し、本作が最後の作品となった。
最終更新:2022年09月02日 23:19