ギャラクシアン3
【ぎゃらくしあんすりー】
ジャンル
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3Dシューティング ガンシューティング
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対応機種
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アーケード(大型施設) プレイステーション
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発売・開発元
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ナムコ
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稼働開始・発売日
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アトラクション版:1990年 アーケード版(GT-6):1993年 プレイステーション版:1996年
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判定
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なし
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ポイント
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ナムコの技術の粋を結集したゲームセンター向けアトラクション
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UGSFシリーズリンク
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概要
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かねてからアミューズメント施設と言う物に興味を抱いていたナムコが企画・製造した、空前絶後の超大型ゲーム。
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1990年4月に大阪府大阪市および守口市で開催された「国際花と緑の博覧会(花博)」にあわせて制作された。企画名は「プロジェクトドラグーン(PROJECT DAGOON)」。これはこのゲームのシナリオ(のうち第一章)の名称でもある。
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タイトルの「3」は正しくは、べき乗表記のように右上に小さく書かれ、『ギャラクシアン³』という形になる。(上に載せたPS版パッケージのタイトルロゴを参照)。
特徴
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それまでも大画面による映像アトラクションは世に多かったが、インタラクティブなゲームと呼べる物は存在しなかった。そこで「30人くらいが同時にプレイできるゲームを作ろう」という発想から作られたのが本作である。
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ムービーにポリゴンを重ねて表示し、プレイヤーの操作によってそれをリアルタイムで処理して破壊する表示をしている。
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最大プレイヤー人数28人。16基の三管式プロジェクターを用いて360度全周モニタースクリーンを実現。スクリーン32枚、構成基板数100枚程度。油圧機構により床全体が揺動する。その部品構成の中には『ウィニングラン』などで使われていたシステム21基板が17枚も使われている。
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プレイヤーたちは重戦闘艇「ドラグーン」のガンナーとなり、眼前に据え付けられた機関銃型のコントローラーを操作して敵を攻撃する。
機体の移動には干渉できず射撃のみを担当するため、実質的にはガンシューティングゲームの一種(レールシューター)であると言える。
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コントローラーには両手の指で押す2つ(GT-6は4つ)のトリガーボタンがあるが機能はすべて同じ。ひたすら撃ちまくるだけであり特殊武装などはない。押しっぱなしでも連射されるが手で連射したほうが速い。
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ドラグーンにはシールド耐久度が設定されており、尽きるとゲーム途中でもミッション失敗(ゲームオーバー)となってしまう。また最後のターゲットを時間内に破壊できなくてもミッション失敗となる。
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得点は表示されないが計測されており、ゲーム終了後にプレイヤーの成績ランクや得点順位が表彰される(GT-6は常に得点が表示される)。
機種
本作はアトラクション版こと28人版と16人版、アーケード版こと6人版、PS移植版が存在するが、移植版を除く全てが巨大である。
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28人版「GH-28」
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最大28人のプレイヤーが外向きに円形に並べられたシートに着席して、360度全周スクリーンに向かってプレイする。施設の床全体が油圧により激しく駆動する。揺動の最大上下幅は2メートル以上。
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1号機は1990年に「国際花と緑の博覧会」で展示され、1992年にナムコが経営していた東京都世田谷区の大型アミューズメント施設「ワンダーエッグ」に移設された(2000年に閉園のため廃棄)。
また2号機が1993年に横浜市の大型ゲームセンター「プラボ鶴見店」に設置された(1997年に改装のため廃棄)。
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16人版「GM-16」
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シートが2席単位で電動駆動する。1991年より国内4カ所のアミューズメント施設やショッピングセンターなどに設置され、さらに台北(中華民国)でも確認されている。2003年に国内の全機が稼働終了。
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6人版「GT-6」
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後述の『スターブレード』リリース後に、『ギャラクシアン3 シアター6』としてゲームセンター向けに作り直したバージョン。通称「GT-6」「シアター6版」。1993年3月稼働開始。
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2つの出入口を備えた小部屋の壁一面がスクリーンとなっており、2基並べた120インチプロジェクターでヨコ約5メートル、タテ約2メートルの映像を投影。6人のプレイヤーが横一列に並んで座りプレイする。シートは駆動しない。
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ゲームセンターに設置されるゲーム筐体としては、当時としては史上最大のアーケードゲーム。一応は一般のゲームセンターにも設置可能なサイズであり、最盛期には国内各地にとどまらず海外にも設置された。
しかし約1,200万円という価格と、占有面積約5メートル四方・高さ約2.5メートルという巨大さ、極端なまでの重量のため、やはり導入できる店舗は限られていた。
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プレイ料金は店が独自に設定できたが1プレイ500円もしくは300円の場合が多かった(アトラクション扱いのマニュアルモードも可能)。2010年に国内の全機が営業稼働を終了。
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後の1994年に映像とゲームシナリオを続編に入れ替えた別バージョンも登場した(後述)。
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PS移植版
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GT-6をもとに、家庭用ゲーム機に移植したもの。GT-6の移植である「PROJECT DRAGOON」と、新作シナリオ「THE RISING OF GOURB」の2つからゲーム内容を選択できる。
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射撃性能を「NORMAL」「WIDE」「POWER」「RAPID」の4タイプから選ぶことができる。マルチタップ対応で最大4人同時プレイが可能(マルチタップなしでも2人同時プレイ可)。
アナログジョイスティック、マウス、ネジコンに対応。
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1996年4月26日発売。2014年2月12日よりゲームアーカイブスで配信。
バージョン・シナリオ
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『プロジェクトドラグーン(PROJECT DRAGOON)』(対応:全機種)
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基本的なシナリオ。重戦闘艇ドラグーンで地球破壊を狙う要塞兵器キャノンシードを破壊するというもの。
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PS版にもこちらが移植されている。
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アーケード(GT-6)版は同シリーズの『スターブレード』に続くナムコの3DCGガンシューティング第二弾にあたる。
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『アタック・オブ・ザ・ゾルギア(Attack of the ZOLGEAR)』(対応:GT-6、1994年稼働開始)
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GT-6向けに発売されたコンバージョン(換装)キットで、前述の『プロジェクトドラグーン』の続編シナリオにあたる。内容はドラグーンJ2で植民惑星エクシアに侵攻した巨大生物兵器ゾルギアを体内から破壊するというもの。
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途中二箇所でプレイヤー多数決によるルート分岐がある。
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こちらはPS版には移植されていない。
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ちなみにSYSTEM21基板で開発された最後のゲームとなった。
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『ライジング・オブ・ガーブ(THE RISING OF GOURB)』(対応:PS移植版)
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PS版で追加されたシナリオ。ドラグーンRで人類への復讐を開始した巨大移動要塞ガーブを破壊するというもの。
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シリーズでの時系列上では『プロジェクトドラグーン』と『アタック・オブ・ザ・ゾルギア』の間に起きた出来事となっている。
評価点
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ビデオゲームの歴史上、おそらく最大の筐体とスクリーン
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28人版と16人版は、360度全周スクリーンにより視界の全てがゲーム画面となる。これによる臨場感と没入感は筆舌に尽くしがたい。
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GT-6も、ゲームセンターに設置されるゲームとしては史上最大(当時)のスクリーンサイズであり圧倒的な臨場感を味わえる。小部屋タイプで音や光が外部と隔離されていることも臨場感を高めており、音響効果も抜群である。
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当時の水準をはるかに超える迫力の映像
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大型施設ゲームにふさわしく、ゲーム基板も当時の水準を超える性能であり、美麗で迫力あるゲーム映像を実現している。
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敵機や背景の緻密さ・美しさだけでなく、ストーリーの流れやカメラワークも秀逸である。
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なお、花博で稼働した際はすべてのゲーム映像をリアルタイム表示していたが、ワンダーエッグに移設される際に、背景や大型敵はレーザーディスクにムービー収録、小型の敵機や敵弾などはリアルタイム表示で両者を重ねるという形に変更された。16人版やGT-6もこの形式である。
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係員による出撃前のブリーフィング
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花博やワンダーエッグでの稼働の際は、順番待ちで並んだり、施設内に入って着席するという流れを「戦闘準備」として演出しており、係員はUGSF軍の制服を着用、プレイヤーへの指示や安全注意も「出撃前の戦士に対する作戦説明」という体裁で行っていた。
これによりゲームが始まる前から気分を十分に盛り上げてくれ、順番待ちもさほど苦にならなかった。
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GT-6稼働時も、気の利いたゲームセンターでは店員が肉声で「ドラグーン発進!」などと号令をかけてくれた例もある。
問題点
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座った席によりスコアの取りやすさが大幅に左右される(28人版・16人版)
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28人版と16人版は、重戦闘艇ドラグーンの全方位に円周状に配置された銃座の一つに座って射撃するというゲーム内容である。したがってプレイヤーが見る映像も担当する射撃エリアも席によって全く異なっている。
座る席が違えば違う映像を味わえる点は長所と言えるのだが、スコアの取りやすさにも大きな差が生じており、平等なスコア争いが成立していない。
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大事な場面で高得点の敵が正面に位置するシート(28人版では26番前後のシート)が最も点を取りやすいとされ、この席を狙って入場並びを調節する客もいた。
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稼働後期は着席後にドラグーンの進行方向がランダム化されるようになり席順調整が無意味となった。
しかし、運のみでゲーム開始と同時に高スコアへの道が閉ざされるという仕様は、本作をゲームとしてやり込みたい層からは不評であった。
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ゲーム展開が毎回まったく同じ(GT-6)
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GT-6版は、スクリーンに映し出される映像や出現する敵の配置は毎回同じであり、それを記憶して照準をすばやく正確に合わせることがプレイヤーに要求される技量となる。
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大掛かりなゲームの割に奥の深さはさほどでもない。映像や雰囲気は最高なのだが、繰り返し遊んでいるとシンプルすぎるゲーム内容に飽きや物足りなさを感じやすい。
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続編『アタック・オブ・ザ・ゾルギア』ではステージ分岐が存在するものの、ステージ内の展開自体は毎回変わらない。
総評
350度回転の大型筐体が存在した『ギャラクシーフォース』もビックリの超大型アーケード筐体。と言うかアミューズメント施設。もはや大型筐体という言葉では表現しきれないほどの威圧感である。
現在、28人版は解体廃棄されて現存しておらず、16人版については現存が噂されているが稼働可能な状態ではないと思われる。この2機種に関しては二度とプレイすることは不可能であると思われる。
唯一稼働可能な6人版「GT-6」は日本に2台が確認されているものの、1台は個人所有なので所有者の友人のみがプレイ可能。
もう1台は有志団体が所有していて、一応一般人でもプレイ可能ではあるが、常時開店しているゲーセンに設置されているのでは無く、不定期でのイベント開催時のみプレイ可能となっている。
映像作品・映像アトラクション施設としては当時最高峰の物ではあるのだが、射撃ゲームの敵配置としてはさほど工夫が見られず、プレイヤー側が技巧を凝らす余地が少なめである。
また、28人版および16人版における、ランキング上位の取りやすさが運だけで左右される仕様にも否定的な声があった。
反復プレイで腕前を上達させていくビデオゲーム的な楽しさは、それほど重視されていなかったといわれても仕方のないところであろう。
しかし、レーザーディスクとポリゴンボードという当時取り得た最高峰の技術を結集して創り出されたSF映画のようなシーンが、多くの人を虜にしたのもまた事実である。
もう二度と実現はしないであろう、28人による同時プレイ、全天周スクリーン。アトラクションとしては間違いなく一つの名を残す作品だったと言っても過言ではあるまい。
残念ながら当時の空気はもはや動画の中にしか残されていない。唯一まだ現物の残るGT-6も、レーザーディスクプレイヤーやプロジェクターの故障などに見舞われつつも有志が手弁当とカンパで修理、あるいは代替機を開発(!)しながらかろうじて動かしている状態であり、いつ稼働不能になってしまうか予断を許さない状態にある。
もし、本機の一般公開に立ち会うことができたなら、是非、当時持ちうるありったけの技術を投入して描きだした「宇宙」を味わってほしい。
余談
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当初ギャラクシアンでも何でもなかったが、社長の「なんだか良くわからないからダメ。ギャラクシアンなら良いよ」という発言によってギャラクシアンシリーズの3作目になった。
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『ギャラガ』が「ギャラクシアン2」という扱い。『ギャラガ』の後継作である『ギャプラス』は当初ギャラクシアンシリーズの中には含まれなかった。
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アトラクション版しかなかった当時に本作のコンセプトとアイデアを引き継いで、ゲームセンターにも設置できる1人プレイ用のコクピット型ゲームとして、本作と同じシリーズ及び続編に属しながら新規に開発されたのが1991年に稼働開始した『スターブレード』である。
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このスターブレードでも本作同様にSYSTEM21基板を使用。またナムコ初の3DCGガンシューティングにもなった(第二及び第三作目が本作のGT-6版2種である。第四作目は1996年稼働開始の『タイムクライシス』。)。
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GT-6版において、『アタック・オブ・ザ・ゾルギア』発売後は殆どの店舗がそれに換装されたが、中には前作『プロジェクトドラグーン』をも残したかった店舗もあったようで、特殊な例としては「両シナリオの基板とレーザーディスクを筐体内に収めて、両者をいつでも切り替えできるスイッチを店舗側で独自に開発して設けて稼働させていた」店舗も存在していた。店舗側の粋な計らいと言える。
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GT-6に匹敵する大型アーケードゲームとして、同じナムコによる『リッジレーサー フルスケール』がある。
ゲーム内容は3画面版『リッジレーサー』とほぼ同じだが、大型プロジェクターを横に3画面分つないで視界ほぼ全てをカバー、さらに座席として実車のユーノス・ロードスターを1両まるごと使用した破格のゲームである。
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本作を凌駕する全体面積と体積のゲームは本作の時点で規格外であったこともあってか当然?しばらく登場しなかったが、約14年後の2007年、コナミのメダルゲームである『グランドクロス』シリーズが更新した。
こちらは2020年代に入っても新作(バージョン)が発売、稼働されているなどの人気と歴史を誇るが、やはり『ギャラクシアン3』(GT-6)をも上回る体積と面積故か、設置できる店は非常に限られている。
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似たようなコンセプトのゲームとしてはアークシステムワークスが2009年にリリースした『ドラゴンハンター』がある。
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GT-6同様の、小部屋タイプの筐体を使った5人同時プレイ可能の擬似3Dシューティングで、視界を覆い尽くす180度湾曲スクリーンが大きなウリ。ファンタジー世界でドラゴンを狩りまくる低年齢層向けの作品だったが、ギャラクシアン3と異なりステージ数も多い上にループ制の内容だった為かプレイ感はかなり酷であった。
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専有床面積とスクリーンサイズではGT-6を超えるほどの巨大さで、当然それに見合う高額商品でもあった為、出回りは非常に悪く、数年後には稼働報告例が途絶えてしまっている。
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『アタック・オブ・ザ・ゾルギア』に登場したゾルギアは後年、UGSFシリーズである『スターイクシオン(PS)』や『バウンティハウンズ(PSP)』にも登場している。
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更にゾルギアの劣化コピーとも言える物がお蔵入りとなった『NewSpaceOrder』で惑星攻撃用のユニットとして登場していた。
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花博においてナムコが出展したアトラクションは、ひとつは本作、そしてもうひとつが『ドルアーガの塔』である。簡単に言えば「ライド型アトラクションにガンシューティングゲームの要素を盛り込んだもの」である。花博終了後は本作と共にワンダーエッグへ移設され、そこでも大人気を集め、本作と双璧をなすワンダーエッグの目玉となった。
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28人版の全容を知りたくてYouTubeを探す場合は、“GALAXIAN3”“Project Dragoon”だけでなく“ナムコ ワンダーエッグ”“namco WONDER EGG”などの検索ワードも推奨。きっと紹介動画が見つかるだろう。
参考資料
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プレイ動画と資料写真
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28人版(花博)
並んでいる時のブリーフィングから着席・プレイ開始までの流れが記録されている貴重な映像。BGMが大幅に別物な点にも注目。
28人版(ワンダーエッグ)
こちらはプレイ終了から離席・退出の流れまでが記録されている。ワンダーエッグ内の雰囲気もわずかながら知ることが出来る。
GT-6 プロジェクトドラグーン(英語音声)
熟練ガンナーによる模範プレイ。日本語音声で見たい方はYouTubeにたくさん動画があるのでそちらを。
GT-6 アタック・オブ・ザ・ゾルギア
ナムコ公式(?)ワンダーエッグ紹介動画。
28人版の構造と巨大さがよくわかる場面あり。
資料写真(当時のパンフレットより)
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最終更新:2024年04月13日 11:01