スペクトラルフォース 愛しき邪悪

【すぺくとらるふぉーす いとしきじゃあく】

ジャンル SLG

対応機種 プレイステーション
発売・開発元 アイディアファクトリー
発売日 1999年8月26日
定価 5,800円(税別)
廉価版 IFコレクション
2001年2月2日/2,800円(税抜)
判定 なし
ポイント ネバーランド大戦完結編
明かされるネバーランドの真実
キャラの扱いについては賛否両論
ネバーランドシリーズリンク


概要

  • 前作『スペクトラルフォース2』から3年後を舞台に販売された戦略SLG。
    • ネバーランド大戦の開戦から3年経過しておりいくつかの勢力が滅亡していたり、新たにネバーランド大陸近隣の島国の参戦が行われた。
    • 登場キャラクターもかなり様変わりしており、前作とは雰囲気が異なっている。

ストーリー

魔道世紀1000年、終わりの見えないネバーランド大戦を憂う少年がいた。
自然神「ガジュウ」の力を宿している彼は自然を破壊するネバーランド大戦を終わらせるために、自らの力で戦争を終結させる道を選ぶ。
ネバーランド大陸の東方「ムロマチ国」の君主の座に就いた彼は大陸統一に向けて歩みだすのであった…。


前作からの主な変更点

  • 新たに6つの勢力が参戦
    • 前作で登場していた勢力のうち、騎士団ローザ・ゴブリン軍・レンジャーチーム・神聖王国軍・ミリア僧兵団・闇エルフ軍が他国に併合されている。
    • その替わりに、ホルノス政府軍・キース同盟軍・牙兵ドラコニアン・山影衆・メイマイ騎士団・救世ヒキュウ団が新たに参戦している。
  • 登場キャラクターの大幅追加と削除
    • 新たな主人公として自然神「ガジュウ」の力を宿したシンバや彼の親友ソルティなど多数のキャラクターが登場している。
    • 一方でフォース2の時点で登場していた武将が在野に下っていたり、ゲームからいなくなっている。
    • 君主そのものが交代している勢力も多い*1
  • システムの変更点
    • 合戦に勝利したときの「戦利品」を複数個入手するようになった。
      • 前作でも可能だった弱くてもお気に入りのキャラを鍛えるプレイがより行いやすくなった。
    • 自国勢力と同盟関係・属国関係にある勢力があると、合戦時にその国の武将が1人ランダムに増援として参戦してくれるようになった。
      • これによって遠方の国家と同盟を結んでおくことにもメリットが発生した。
      • 敵国も同様であるため、同盟国の多い国に仕掛ける際には注意が必要。
  • 全勢力にラスボス戦が追加されたが、ドラゴンが襲来するイベントは削除
    • 前作と同様に条件を満たすと大陸を統一したあとにラスボスの勢力が来襲し最終決戦になる。条件を満たしていない場合はバッドエンディングになる。
  • 戦闘システムのさらなる変更
    • 主に3種類(攻撃陣形・対魔陣形・必殺技)の陣形から1つを選ぶ形に変更された。
      • 攻撃陣形は文字通り攻撃力が上がるが、必殺技を受けたときの損害が2倍になる。
      • 対魔陣形は使用後に士気が少し下がり攻撃力も低下するが、必殺技を受けてもノーダメージで済む。
      • 他にも陣形はいくつかあるが*2、その多くは使用条件があるため使用する機会は限られる。
    • 必殺技に合体技が追加された
      • 自軍の戦闘メンバーの中で技ごとに指定された武将がいる場合に必殺技ゲージを最大まで溜めることで使用可能。
      • 対魔陣形で無効化されてしまうが、当たれば敵兵はほぼ文字通り全滅する威力である。

評価点

  • キャラ同士の会話シーンが多い
    • 合戦で対峙することで発生する。特に神や魔族のキャラの会話内容は世界観に深く関わっているものが多い。
  • ネバーランド大陸の外の世界について掘り下げられた。
    • ネバーランド大陸周辺の島国の存在や、遥か海の彼方の別の大陸「デュークランド」の設定も登場。
  • ネバーランドの歴史に関わる真実が続々と明かされた。
    • それに伴ってコリーア、ネクスト、ムゲンといったネバーランドを巡る神々との因縁も一応の幕引きを迎えた。

賛否両論点

  • 新主人公のシンバの持ち上げ描写の多さ
    • 従来キャラからそろって強豪キャラ扱いの上、完全にシンバの考え方を否定してくるキャラは極小数。
  • エンディングの後味の悪さ
    • 多くの勢力の真エンディングでバッドエンドかと思うような展開が待っている。
  • 異様なまでの反人類思想
    • 人間以外のあらゆる種族・神から人類は淘汰されるべきだという主張が繰り返される*3。一方で大戦に参加している人間以外の種族に対しての非難は極僅か。

問題点

  • キャラ同士の会話シーンの内容が薄いものが多い
    • 対峙しても勝手に片方が愚痴を言うだけだったり、「・・・」が多用されすぎている傾向がある。
  • ラスボス出現条件の達成が困難な勢力がある
    • 一番シンプルな条件はスタート時に所属している武将を全員残しておくことだが、勢力によっては在野状態の特定の武将を所属させておくことや、他国の君主を自軍に加えておく必要があるなど。
    • 武将の探索は初代と変わらずの運ゲーであるため、大陸統一を目前にして探索コマンドを何度も繰り返す必要があることもよくある。
    • ラスボス出現条件に関してはゲーム中ほとんどノーヒントであることも困難さを後押ししている。
  • セーブデータのロードが前作と同様にとても遅い
  • 前作であったドラゴンと戦うイベントがなくなったため、初代と同じように中盤以降は完全に作業ゲーに戻ってしまった。
  • 従来キャラの扱いがあまり良くない
    • 例えば大魔王を倒した勇者シフォンはあらゆる人物から大戦の元凶として叩かれ続けたり、魔王の娘ヒロはある出来事が原因で廃人化しているなど。(ただし元からラーデゥイが正義の為なら悪はいくらでも斬ってよいとか、スタリナがロシア語でスターリンの女性系だったり、勇者勢力ひいては人間の問題を問う勢力である。)
    • それ以外に、一部の武将のムービー付き固有技が丸ごと削除されて汎用技に置き換わっている点も扱いの悪さと解釈されることもある。

総評

PSでの『フォース』シリーズ完結編であり、作中の多くの因縁に一応の決着をつけたことは評価できる点である。
一方でゲーム中の描写・主張に対してはファンの間でも評価が分かれる結果になってしまった。

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最終更新:2023年09月21日 21:16

*1 実力で君主の地位を簒奪したり、元々の君主が別の目的のために自ら国を離れたりなど、理由はそれぞれ。

*2 特にメリットもデメリットもない「通常陣形」など。

*3 この時代のサブカルではこのような主張は珍しいものではない。