JUMP SUPER STARS

【じゃんぷすーぱーすたーず】

ジャンル 格闘アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売元 任天堂
開発元 ガンバリオン
発売日 2005年8月8日
定価 4,800円(税込)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 90年代以降に偏った参戦作品
キャラゲー・お祭りゲーとしては十分良作
一本のゲームとしてはやや粗いか
少年ジャンプシリーズリンク


概要

週刊少年ジャンプの歴代27作品から多数のキャラが集合した対戦アクションゲーム。
ファミコンジャンプII 最強の7人』以来、14年ぶりのジャンプクロスオーバー作品として話題を呼んだ。

参戦作品一覧

+ ...

※バトルコマ(プレイアブルキャラ)が存在する場合、そのキャラ名も併記した。

アイシールド21
いちご100%
家庭教師ヒットマンREBORN! 沢田綱吉
銀魂 坂田銀時
こちら葛飾区亀有公園前派出所 両津勘吉
シャーマンキング 浅倉葉/恐山アンナ
ジョジョの奇妙な冒険 空条承太郎/DIO
スティール・ボール・ラン
SLAM DUNK
D.Gray-man アレン・ウォーカー
DEATH NOTE
テニスの王子様
Dr.スランプ 則巻アラレ/Dr.マシリト
DRAGON BALL 孫悟空/ベジータ/ピッコロ/孫悟飯/ゴテンクス
NARUTO -ナルト- うずまきナルト/うちはサスケ/春野サクラ/はたけカカシ
HUNTER×HUNTER ゴン=フリークス
ヒカルの碁
ピューと吹く! ジャガー ジャガージュン市
武装錬金 武藤カズキ
BLACK CAT イヴ
BLEACH 黒崎一護
ボボボーボ・ボーボボ ボボボーボ・ボーボボ/首領パッチ/田ボ*1
Mr.FULLSWING
遊☆戯☆王 武藤遊戯
幽☆遊☆白書 浦飯幽助
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 緋村剣心
ONE PIECE モンキー・D・ルフィ/ロロノア・ゾロ/ナミ/サンジ/ニコ・ロビン

システム概要

  • 最高4人のキャラクター達が入り乱れ、アイテムなどを駆使して相手を場外負けにするなど、基本的なシステムは『大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ』に準じているところがあるが、もちろん相違点は存在。
    • 相手を場外負けにする他、相手のJ魂(HP)を0にしても勝ちとなる。J魂はキャラクターごとに値が異なる。
    • 必殺魂を消費して強力な必殺技を放てる。必殺技は1キャラにつき2種類存在する。
  • 「マンガデッキ」システム
    • マンガのコマを模したパネルを4×5マスの下画面に当てはめ、自分なりのデッキを構成して戦うのが本作のキモ。
    • バトル中も下画面に表示され、タッチすることで効果を発揮する。
      • 1コマは「ヘルプコマ」。サブキャラが当てはまることが多い。タッチするとJ魂や状態異常回復などといった効果を得られる。
      • 2~3コマは「サポートコマ」。作中で活躍したキャラが主に当てはまる。タッチすると場に出て攻撃や回復などのサポートを行う。いわゆるアシストストライカー
      • 4~7コマは「バトルコマ」。バトルで実際に動かすプレイアブルキャラ。同じキャラクターでもコマの大きさによって能力や必殺技が異なる。
        今戦っているバトルコマをタッチすると「ドリームコンボ」が始動し、そこから他のバトルコマをタッチすると攻撃をつなげ、全員でやった後に最初にタッチしたキャラをタッチすると必殺技を放つ。また、そうでないバトルコマをタッチするとそのキャラに交代する。
      • サポート・バトルコマにはそれぞれ属性がついている。「力強いキャラの『力』」「クールキャラの『知』」「ギャグキャラの『笑』」の3つで、力→知→笑→力…と3すくみになっている。
      • また、バトルコマとサポートコマは入手しただけでは使用不可能。そのコマの顔部分が抜かれた「セリフコマ」に対応するヘルプコマを当てはめることで使用できる。
        そういったコマは原作漫画から切り取ったコマなのが特徴。真剣に戦うデッキではなく、デッキ内に漫画を作っても楽しめる。
    • 友情・努力・勝利コマによるスーパータッグ技
      • このコマをそれぞれ隣接するように配置し、矢印を各キャラのバトルコマに指すと、バトル中にタッチすることで各キャラの必殺技を出す事が出来る。
      • 一部キャラの組み合わせによっては、本作オリジナルの合体技を繰り出す。ナルト+孫悟空で「超・螺旋元気玉!!」など。

評価点

  • 徹底的な原作愛と再現力。
    • キャラゲーとして最も重要でありながら、しばしば蔑ろにされてしまうこのポイントをしっかりと抑えているという点で、本作はキャラゲーとして十分な評価に値すると言える。
    • モーションに関しては原作はもちろんアニメと比べても遜色なく、漫画読者・アニメ視聴者の双方を納得させる出来栄え。
      • 死ぬ気弾使用状態のツナ*2がガニ股気味にジャンプする姿など、スタッフが隅々まで原作を読みこんでいるというのが伝わってくる。
    • アニメで未だ登場していない技・未アニメ化作品の再現度についても十分なクオリティ。
      • 特に『Mr.FULLSWING』等、残念ながらアニメ化の望みが薄い作品のファンには、本作は非常に喜ばれている。
    • 残念ながら本作はボイスなしだが、それが逆に声優にこだわらずに参戦作品を選出する事を可能にし、登場作品の多様な幅を生んでいるとも言える。
  • 微に入り細を穿つ原作ネタ。
    • 代表的なものとして、浅倉葉の必殺技「阿弥陀流無無明亦無」を食らうと、画面がホワイトアウトして一定時間何も見えなくなる。これは原作でこの技を出した瞬間のコマが真っ白な背景に「阿弥陀流無無明亦無」という技名だけが馬鹿でかく描かれていたコマだったという事に由来しており、完璧な原作再現だと言える。
      • この技は真っ白なコマで出されている以上、読者にもどんな技だったのか全く分からなかったのだが、それをこういった形で解釈・昇華したのは素晴らしい。
    • このように本作には「分かる人を凄まじく選ぶ技・動き」が多数存在し、プレイヤーに「原作を読んでみたい」と思わせる魅力がある。
  • 夢のクロスオーバー「スーパータッグ技」。
    • 「スーパータッグ技」の概要は上記の通り。特定の二つの作品のコマを組み合わせることで、本作オリジナルの合体技を繰り出す。
    • しかしこのタッグ技が非常に作り込まれており、原作イメージを崩さず、且つどちらの作品の魅力も壊さずカッコいい、と素晴らしい仕上がりとなっている。
    • ラッシュキャラのルフィと承太郎の「ゴムゴムのオラオラ!!!」、霊+剣士の特徴を持つ葉と一護の「大後光月牙」、お金好きの両津とナミの「お金はワシ(私)の為にある!」等、別作品ながら似た技を持つキャラクター達がそれぞれの必殺技を合体させて放つ姿はまさに壮観。
    • また、ボーボボと遊戯の「澤井版オシリスの天空竜」など、こういったクロスオーバー作品でしか出来ないギャグも満載。
      • これは『ボーボボ』でボーボボのアフロから『遊戯王』の作者が描いた遊戯が飛び出すも、呼び出した《オシリスの天空竜》を描いたのは『ボーボボ』の作者で不格好だったというギャグが元ネタ。
  • 多様な参戦作品
    • 出演作品の年代は90年代~現行作品に偏ってはいるものの、バトル漫画やギャグ漫画はプレイアブル・恋愛漫画やスポーツ漫画はサポート参戦、と全体的なバランスは取れている。
    • 『ONE PIECE』『DRAGON BALL』『NARUTO』が圧倒的に優遇されているが、これは当時ジャンプの看板がこの3作品であったため。『DB』はすでに連載終了しているが、現在に至るまで「ジャンプ漫画」の体現者であり続けている。
    • 現在の視点から見ると『BLEACH』の扱いがやや悪いようにも思えるが、これは当時の連載が尸魂界編終了直前*3という微妙な時期だった為、原作の展開が不明瞭で参戦キャラを決めづらかったのだと推察される。
  • 登場ムービーがカッコいい。
    • 各プレイアブルキャラと初めて戦闘になるステージでは、その対戦相手の短い登場ムービーが流れる。
    • ムービーの内容は、原作のコマを一つずつリズミカルに見せるという、スライドショー方式。それだけかと思われるかもしれないが、各キャラの漫画内での見せ場を小気味よくバシバシと見せ、原作とキャラの魅力を存分に伝えてくれる。
      • ムービー内でのコマの選出も通好み。例えば承太郎の場合、定番のオラオラも押さえつつ、「正義」戦での「や~れやれだぜ」*4のシーンまで出してくる。武藤カズキの場合は、原作2巻で斗貴子を助ける為にサンライトハートで壁をぶち破り突撃するシーンや、「逝くのはお前一人だ!ヴィクター!」のシーン。黒崎一護の場合は「ただ俺の…魂にだ!」*5のシーンを出してくるなど、ムービー作成者からの原作愛が伝わってくる。
        + 登場ムービー参考動画
  • 自分のデッキと対戦できる点
    • 言ってみれば、カードゲームとアクションゲームが融合したといえる本作のようなゲームでは、好きなデッキを組むだけでなく、相手のデッキも選択肢があればあるほど良いといえる。そんな中、自分のデッキと対戦できるということは、メインで使うデッキが固まった後もいろんなデッキで遊ぶことができるということであり、また単純に楽しめる量が多いといえる。

賛否両論点

  • 全体的に参戦作品が90年代以降の作品に偏っている。
    • また、ストーリー前半の最後を飾るのが『DRAGON BALL』*6、ラスボスが『Dr.スランプ』のDr.マシリトで隠しボスが則巻アラレと、やはり鳥山明作品が全体的に優遇されている。『ファミコンジャンプ 英雄列伝』から変化ナシ。
    • 1980年代にも『北斗の拳』『聖闘士聖矢』『男塾』『キン肉マン』など時代を彩った名作が多数あるため、もう少しこちらにもリソースを割いてほしいところだった。上記4作品については次回作で念願の参戦を果たすことになる。
  • キャラ選出も疑問。
    • まず真っ先に気になるのは、『DRAGON BALL』のプレイアブルキャラ選出基準。悟空・ベジータ・ピッコロ・悟飯までは順当と言えるが、ゴテンクスまで参戦したことには疑問。
      • 確かにゴテンクスは原作終盤の強キャラと言えるのだが、他の参戦作品の枠を奪ってまで出るようなキャラクターではない。同じ出典にしてもフリーザなどもっと順当なキャラクターがいる。
    • 『BLACK CAT』からのプレイアブル参戦がヒロインのイヴのみというのも疑問。そもそも本作の主人公はトレイン=ハートネットで、あろうことか主人公なのにヒロインに枠を取られてしまったのだ。
      • バトル漫画な同作ではトレインもバトルを行うのでプレイアブルに向いていないということはない。イヴは高い人気を持つしバトルもするキャラだが、それにしても不自然*7
    • 全7部構成の『ジョジョ』のプレイアブルが第3部から2キャラのみで、サポートどころかヘルプコマまでも無いというのも寂しい。*8なぜか別枠扱いの第7部『スティール・ボール・ラン』*9を合わせても2部4キャラしかいない。

問題点

  • 『ファミコンジャンプ』とは違って、シナリオ的なキャラの絡みが皆無。
    • 一応「Dr.マシリトの手によってジャンプワールドが征服されようとしているため、それを防ぐ」というストーリーは存在するのだが、基本的に各ステージを進むだけなので多少味気ない。
    • なお発売前後に出た増刊『ジャンプヒーローズ』やVジャンプなどで掲載された読み切り漫画では、キャラの絡みが描かれている。
  • キャラクターの性能バランスが悪い。
    • 特に壊れているのがサンジ4コマ。必殺技Bでなれるメロリンラブ状態は「デッキ内の女性の数に応じて攻撃力が増加する」という効果なため、デッキ内のコマを全て女性で埋めると、通常攻撃だけでとんでもない火力になってしまう。
    • 他にも攻撃の隙が少ないジャガー、飛び道具と回復技を併せ持つ一護6コマなども強力。
  • スーパータッグ技があまり使いものにならない。
    • 基本的に一部の組み合わせ以外、各キャラの必殺技を本当に出すだけ。上記のような格好良いオリジナル技は、決められた組み合わせと条件を満たした時のみ見られるものである。
    • 中には発動まで時間がかかるものもある。
    • そもそも見せ技としての側面が強い以上、実戦で使用出来るか否かというのは全く別の評価基準ではあるのだが…。
  • BGMの種類が少ない。
    • 戦闘ステージ曲が大体4~5パターン。それも『武装錬金』と『BLACK CAT』と『D.Gray-man』のステージが同じ曲だったりと、使い回しの基準も良く分からない。
    • 一応イメージを損なうような曲が当てられている訳ではないが、言い換えれば使い回しがある程度利いてしまう程に個性が無いのである。
  • ステージの差別化がされていない。
    • 全参戦作品分のステージが個別に用意されているが、特徴的なステージはごくわずかで、あとは背景の差異程度に留まっている。
    • 背景として選ばれているコマも微妙。例えば『BLEACH』のステージ「双極」の背景は一護が双極を破壊した時のコマなので、双極の磔架部分しか映っていない。
    • 他にも、武装錬金のステージ『LXE本部』やシャーマンキングのステージ『グレートスピリッツ』など、作品を象徴するステージとしては分からなくもないが、戦闘とは大して関係の無い舞台が選出されている作品もある。
  • セリフコマのはめ込みが面倒。
    • 入手したコマはセリフコマを嵌め込むことで漫画のコマとして完成するのだが、この作業が地味に面倒。
    • 知っている漫画やあからさまなものだと、どのキャラのセリフか一発でわかるが、当然知らない漫画だと難易度が跳ね上がる。
      • 前者に当たるもの例は「サイヤ人は戦闘種族だ!!!!」なんてもの。サイヤ人なんてワードが出るのは『DB』くらいだし、こんなことを言うのはベジータ以外に考えられない。
      • 後者は「助けに来たぜ」「よう」など。この2つは『BLEACH』の一護のセリフなのだが、言ってしまえばどんな漫画に出てきても違和感のない普遍的なセリフでわかりにくい。
    • もっとも、間違えることによるペナルティはないし、消去法でかたっぱしから埋めていけばなんとかなる。

総評

課題点は多いものの、キャラゲーとしての出来そのものは十分に良好。
隅から隅まで原作愛・ジャンプ愛に溢れており、本作をプレイした後は原作を読みかえしたい気持ちになることだろう。 また、発売から長い時がたった今、改めてプレイすると懐かしくもあるだろう。

本作の多くの不満要素は次回作で解消される事となる…が、同時に異なる課題も作ってしまうことに。

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最終更新:2023年11月29日 06:04

*1 ボーボボの7コマの必殺技時変身。

*2 本作発売当時の『REBORN!!』はバトル漫画でなくギャグ漫画路線だった。

*3 このシリーズは「護廷十三隊」との戦闘を描いているのだが、実は護廷十三隊も真の黒幕とその一派に攪乱されていただけであり、敵味方が頻繁に入れ替わる複雑な様相を呈していた。

*4 「正義」のスタンドの正体を「霧」だと見切り、相手を「星の白金」で吸い込むシーン。

*5 卍解の修行の最中「何故戦うのか」と理由を問われた一護は「誓ったんだよ…」と返す。「誰にだ」と問い返され「誰でもねえ…ただ俺の…魂にだ!」と叫ぶ名シーン。

*6 ステージ突入時の悟空とベジータの会話シーンまで用意されている。

*7 一応CEROの規定で銃が出るとAにならないので様子見をした可能性はある…が続編には普通に出ている(続編もA)。CEROが仕事しなかっただけか?仮にそうだとするとそもそもこのゲームは暴力でAにならないのではという話になるが…

*8 同様に『遊☆戯☆王』もプレイアブルキャラの遊戯だけである。一応モンスターのヘルプコマがあるが、漫画のコマを完成させるだけの存在であり何の効果も無い。

*9 連載開始当初『スティール・ボール・ラン』は『ジョジョ』とは別作品の扱いだった。本作発売の4ヶ月前に『ウルトラジャンプ』に移籍した際、明確に『ジョジョ』第7部と位置づけられた。