マデリーン ~亡き王女のためのパヴァーヌ~

【までりーん なきおうじょのためのぱう゛ぁーぬ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 PC-8801、X1turbo
発売・開発元 シンキングラビット
発売日 1987年2月
定価 3,200円
配信 プロジェクトEGG:2002年3月24日/500円
判定 良作

概要

PCソフトの自動販売機『ソフトベンダーTAKERU』の第1弾ソフトとして発売されたソフト。
コマンド選択式が主流になる中、コマンド入力式のADVである。

ストーリー

1979年、私はルーマニアとハンガリーの国境沿いの小さな町で、その老人に出会った。 
小さな古道具屋の奥に座っていた彼は、石のように動かずにただただ時の過ぎるのを待っているようであった。 
古美術の買い付けをしている私は、その店に価値のあるものを見出せずに去ろうとして何気なく、反対側のカベを見た途端、思わずその場に立ち尽くしてしまった。 
そこに掲げられていた一枚の肖像画。
 
その絵の持つ本物の気品を感じ取り絵に近づいた時、初めて老人が口を開いた。 
「いい絵じゃろう。これに描かれている女性はご存知かな?古きモラビアの王、エスムラント二世の娘、マデリーン妃じゃよ。」
 
彼女の事なら知っていた。 
宗教改革のさなか、病床の実父を毒殺しようとして失敗し、城の搭に幽閉されて一生を終わったという歴代の悪女。 
だが、描かれている人物の印象は悪女というよりも気立ての優しい娘のようですらあった。 
「わしもはじめは信じられんかった・・・。あれは1906年だったか。この絵をパリで見つけたとき、その崇高さにわしはしばらく動けんかった・・・。」 
「有り金はたいてその絵を買ったわしは、じきに日ごと彼女の夢を見るようになっての。肖像画の女性に恋をしている事に気がついたのじゃ。」 
「そうなると、誰が書かれてるのか気になっての。マデリーン妃と解かった時は信じられなかった。彼女が悪女のはずがない。間違いがあるのならそれは歴史の方だ。」 
「わしはそう思って彼女の過去を探すたびに出たのじゃよ・・・。」
 
貴方は小道具屋の老人の記憶の糸をたぐり、400年前の事実を明らかにしなければならない。

評価点

  • 低価格ソフトながら十分なボリューム
    • ソフトベンダーTAKERUでの販売の為に非常に低価格のソフトだが、一般的なコマンド入力式ADV程度のボリュームはあり、内容的には低価格を思わせない。
  • それなりのやりこみ要素
    • 簡易的ながらEDは3種類(グッド、ノーマル、バッド)用意されていた。
      • グッドエンディング時にはパスワードが表示され、それをマニュアル付属の応募券に記載して送ると、記念にテレホンカードが貰えるキャンペーンも行われていた。
  • 薄いながらも良好なストーリー
    • 当時の王女の様子を告げる書類やEDくらいと、ストーリー要素は非常に少ないが、シナリオ自体は悪くない。
  • UIも良好。
    • 入力は日本語入力可、動詞と名詞どちらが先でもOK、ファンクションキーに良く使う単語がショートカット登録されている、等、コマンド入力式ADVに欲しい要素はしっかり搭載されている。

賛否両論点

  • 高難易度
    • ゲーム開始早々にループもある森の散策が必要で、いきなりここで詰まってしまった人もいた。
    • グッドエンドの為にはロクにヒントのない探索も必要で、暗闇の中落ちている「何か」を名称を指定して拾う必要もあった。
      • 他にも、あえて取ってはいけないアイテム、なぜそこで使う必要があるのかもロクにヒントのないアイテム等を的確に使う必要がある。
      • とはいえ、完全なノーヒントではない。暗闇の中に落ちているアイテムは二つあるが、クリアに必要な方は直後の場面で必要なアイテム名が表示されるし、もう一つも今までの情報を照らし合わせて必要なアイテム名を入力していけば入手は可能。
    • 取れる物を取っておけば、あとは失敗してデストラップにかかってもその時に何が原因かはある程度想像はつく。
      • ただ単にクリアを目指すだけなら、鬼畜な難易度という事はない。

問題点

  • 寂しい画面
    • 低価格ゆえか画面に表示されるCGは全体的にシンプルで、この辺も少々時代をさかのぼっていた。
  • プロローグがゲームに入っていない
    • 記事冒頭のストーリーはマニュアルに記載されており、ゲームはいきなり森の中から始まる。
      • その為、ゲーム内だけで見るとEDでいきなり現代に戻る為、少々状況がわかりづらい。
      • とはいえ、当時はマニュアルに数少ない攻略情報等が書かれていたりといった事もある為、マニュアルは読む人の方が多かった。

総評

発売時点で既に少々古臭いコマンド入力式のADVだが、数多くのADVの移植・制作をしてきたシンキングラビット製だけに出来は安定している。
あえてコマンド入力式ADVを求める人に向けてなのか難易度は高めだが、それ故に値段以上のやり応えのあるソフトに仕上がっていた。


余談

  • 元々は『亡き王女のためのパヴァーヌ』が正式なタイトルの予定だったが、ソフトベンダーTAKERUの商品表示名称の文字数に引っ掛かってしまった為に『マデリーン』を付ける事になった。
  • 現在はプロジェクトEGGでPC88版が配信されている。
  • 本作はSierra Entertainmentから1980年に発売されたADV『Wizard and the Princess(邦題:ウィザード&プリンセス)』の影響を強く受けており、同作のオマージュと思われるシーンが散りばめられている。
  • タイトルの元になった『亡き王女のためのパヴァーヌ』はモーリス・ラヴェルのピアノ曲。本作にも良く合う曲である。