甲子園V
【こうしえんふぁいぶ】
ジャンル
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スポーツ(野球)
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対応機種
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プレイステーション
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発売・開発元
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魔法
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発売日
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1997年5月16日
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定価
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5,800円(税別)
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配信
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ゲームアーカイブス:2011年3月25日/600円
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判定
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なし
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ポイント
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投球フォームのエディットが可能 打順が全てのゲームバランス
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甲子園(魔法株式会社)シリーズ 初代 / 2 / 3 / 4 / V / '98 / '99 / ポケット / 2000 / 2001 / 紺碧の空
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概要
高校野球を題材にした甲子園シリーズの第五弾。
それまではスーパーファミコンで展開していたが、本作からはプラットフォームをプレイステーションに移した。
グラフィックが3D化し、試合中に実況が加わるなどのパワーアップを遂げている。
1997年の甲子園をモチーフにしており、ムービーで当時の選抜の入場行進曲だったPUFFY「これが私の生きる道」が流れる。
特徴
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大会モード:全国の高校から1校を選択し、甲子園の春夏連覇を目指す事が目標
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登場校の名前はすべて実在する高校が元になっており、その数は4,000を超える。強豪校や自分の母校で地区予選を勝ち抜き、甲子園の連覇を目指す事が出来る。
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「LP学園」や「阪大桐蔭」と名前が反転しているが、今作ではセレクトボタンを押す事で再度反転し、実際の名前でプレイする事が可能。
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さすがに選手は架空のものだが、当時の甲子園出場校は選手のステータスが高めになる等の特徴が付けられている事もある。
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甲子園での春夏連覇を達成するとエンディングになるが、それ以降もプレイを続ける事は可能。
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夏の甲子園は6月から行われる予選に勝ち抜くことで、春の甲子園は秋の選抜で好成績を残す事で出場権利を得られる。
ゲームは4月から開始されるが、開始時は春の甲子園への出場権利を持っていないため、春夏連覇をするにはゲーム内の時間で最低一年はプレイしなければならない。
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トレーニング
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今作の特徴として、選手それぞれにランニングや、筋トレ(チューブ、ハンドクリップ…など)、細かくトレーニングを指示する事が出来るようになった。
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それぞれの選手にあったトレーニングを課す事で走力や打力といったパラメーターを伸ばすことが出来る。
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基本的に、大会に入るまではトレーニングや練習試合をしながら選手の能力を上げ、甲子園に向けての準備を進める事になる。
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疲れが溜まると故障してしまうので、休ませる事も大事である。
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エディット
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トレーニングの他に、「選手の背番号」「チームのユニフォーム」「選手の名前」「投手の投球フォーム」を自由に編集する事が出来る。
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名前はウグイス嬢に呼んで貰う際の名前のイントネーションも編集可能。ぎこちない発音だが、名前を変えたオリジナルの選手でもちゃんと呼んで貰える。
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「投手の投球フォーム」をエディット出来るようになった。フォームの編集作業は難しいが、変更する事で球速等が細かく変化する。
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「フォームの改造に失敗してピッチャーがダメになる」といったある意味リアルな現象に遭遇することも。
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試合操作はシンプルに
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ピッチングは十字キーでコースを決め(選んでいるコースは見えない)、各ボタンに割り当てられた球種を投げる方式。
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バッティングも、各ボタンに割り当てられた打法(バント、強打…など)に、ある程度の高さとタイミングを合わせる事で行う。
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守備はオートになり、外野、内野を含めて操作する事は一切出来ない、プレイヤーが行えるのは捕球後の各塁への送球ぐらい。
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甲子園記録
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桑田真澄や清原和博が残した実際の甲子園記録(勝利数、本塁打など)を閲覧する事が出来、好成績を残す事で塗り替える事も可能。
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もちろん、並大抵の成績ではまったく残らないので、記録の偉大さを体感すると同時に挑戦する楽しみがある。
評価点
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実際の高校でプレイが出来る
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それまでのシリーズとは違い、実際の高校名でプレイ出来るようになり、ユニフォームのデザインや名前を細かくエディットする事で、より強豪校や、自分の母校に近い状態で甲子園を目指すプレイが出来るようになった。
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弱小校は選手のパラメーターこそ貧弱なものの、大会で勝ち進めば来年度には優秀な能力を持った1年生が入り、少しずつ強豪校に近づく事が出来る。
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甲子園におけるウグイス嬢の選手名読み上げや実況、応援歌など甲子園の空気の演出は良く出来ている。
問題点
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野球ゲームとしての完成度は微妙
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試合はオート操作による部分が多い為、プレイヤーが介入出来る部分は非常に少ない。PS1でありながら出来る事はFCの『ベースボール』+αといった所。
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また、明らかにアウトのタイミングでセーフが取られる事もあり、疑惑の判定も多め。
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実は打順が全て
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選手が打つかどうかはステータスではなく打順に依存する所が大きい。実際に20打数0安打という悲惨な9番バッターでも、4番に据える事で20打数19安打5本塁打という主砲に早変わりする。
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ステータスの高い選手でも2番や下位打線に組み込まれると途端にポンコツになる。クリーンヒットを狙ってもボテボテのゴロになるので必然的にバントで送る事になる。
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打順による補正が強すぎる為、実は弱小校でも1年で春夏連覇を達成する事はそう難しくない。
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フォームエディットの自由度に問題あり
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エディットすると「サイドスロー」や「アンダースロー」になってしまう。変更してしまうと元のフォームに戻せない為、球速が落ちて使い物にならなくなる等の害が及ぶ事が多かった。
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本作のエディットが不評だったのか、次回作の『'98甲子園』ではフォームの固定化などは無くなり、自由度が飛躍的に高まった。
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一応、本作でも裏技を使うことで自由度を上げる事は可能。
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メインとなる大会モードでもトレーニングと練習試合ぐらいしかイベントはなく、全体的に薄い。
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練習試合
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練習試合は他校のグランドで行われるが、甲子園球場よりも遥かに広い為、ランニングホームランが頻発し(守備がオートなので、打たれるとひたすら捕球まで待つしかない)甲子園優勝校がその辺の高校に普通に負ける事もある。
総評
体裁こそ整っているが、野球ゲームとしての完成度は当時のレベルから見ても低く、高校野球ゲーと見ても凡作か、ややクソゲー寄りといえる。
本作以後のシリーズは、野球ゲームとしての完成度よりもエディットの方に力が入っており、校歌・校旗・自由すぎる投球フォームなど、他の野球ゲームとは一風変わった方向性へと進化していく。
余談
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本作のセガサターン版とも呼べる『激突甲子園』が存在する。
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内容は概ね同じだが、打順による厳しすぎる補正が無くなり、一応、完成度は高まった。
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試合前のローディング画面では何故か審判の音声がリズムよく連続で流れるという中毒性のある妙な物になっている。
アウッアウッアウアウッアウッ…プレボープレボープレボー…プレイボール…ホームランホームラン!
最終更新:2022年10月07日 00:20