キャプテン★レインボー

【きゃぷてん れいんぼー】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 スキップ
発売日 2008年8月28日
定価 6,476円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 原作の面影がないキャラクター達
任天堂作品としては下ネタが多い



実はカッコいいヒーローのゲームではない!



概要

任天堂のマイナーキャラクターたちが住むミミン島を舞台とする裏スマブラ的アドベンチャーゲーム。
moon』で知られるデベロッパー「ラブデリック」にて、坂本龍一との共同プロジェクトである『L.O.L. ~LACK OF LOVE~』(DC)を手掛けたメンバーが独立後に設立し、『ギフトピア』や『ちびロボ!』を手掛けたことで知られるスキップによるアクションアドベンチャー。

いわゆる『ラブデリック系』と呼ばれる『ラブデリック』独特の作風を色濃く引き継いでおり、(マイナーだが)任天堂のキャラクターを使ったゲームながらも、非常に癖のあるゲーム内容が特徴となっている。

ストーリー

自由の国マメルカ出身のスーパーヒーロー・キャプテン☆レインボー。
彼が人気者だったのも今は昔。今ではすっかり落ち目のヒーローであった。
キャプテンレインボーの中の人である青年ニックは、再び人気者に返り咲くべく、
なんでも夢を叶えられるという伝説の島、ミミン島へとやってきた。
ところが、ひょんなことから自分が「他人の夢を叶えられる唯一の存在」になってしまい、
島の住人たちの願いを叶える羽目になってしまうのであった。
果たして彼は自分の夢を叶えられるのだろうか?


登場キャラクター

  • ニック(キャプテン☆レインボー)
    • 自由の国マメルカ出身のスーパーヒーロー…だったのは過去の話。いまでは視聴率の低迷や新手のヒーローの台頭によりすっかり落ちぶれてしまい、再び人気ヒーローに返り咲くべく、ミミン島にやってきた。
  • ミミン
    • ミミン島に住む精霊。島に伝わる願いを叶えるための儀式・流星夜に深い関わりを持つ。
  • シャドー
    • 影のような謎のモンスター。普段はおとなしいが流星夜の発生と共に活発化し、流星夜によって降り注いだスターを奪うため、儀式を妨害しようと追いかけてくる。

主な内容

キャプテン☆レインボーことニックを操作し住人の願いを叶えるために住人との親交を深め、願いを叶えるための儀式「流星夜」を起こすのが目的となる。
ゲームは住人の依頼をこなしていく「アドベンチャーパート」と願いを叶えるための儀式・流星夜をこなす「アクションパート」に分かれており、条件を満たすことで入れ替わりで行われていく、

アドベンチャーパート

  • 住人からの依頼をこなしつつ、流星夜発生に必要なアイテム「キラリン」を集めるパート。
    • キラリンは、落ちているものを拾う、点在するはにわや石を壊す、住人からの依頼をこなす等をすると手に入る。
    • 住人からの依頼内容は様々で、特定のアイテムを持ってくるものやミニゲームをこなすものなどがある。
      また、特定のイベントをこなすと、住人との間に「強い絆」が結ばれ、その住人はアクションパートにおいて協力を要請することと、祭壇で願いを叶えることが可能になる。
    • キラリンを20個集めると「流星夜」が発生、強制的にアクションパートに移行する。

アクションパート(流星夜)

  • アクションパートが始まると、願いを叶えるのに必要な「スター」が島のどこかに落下し、回収するとスターを天上界の祭壇まで運ぶこととなる。
  • アドベンチャーパートで強い絆を結んだ住人は、スターを持っている状態で話しかけるとスターを運ぶパートナーとなってくれ、その住人が祭壇において願いを叶える対象となる。
  • アクションパートは「一定時間経って流星夜が終了する」「スターを島に点在する「スターのゴミ箱」に破棄する」「祭壇で願いを叶える」のいずれかで終了し、キラリンの所持数が0となってアドベンチャーパートに戻る。
  • 流星夜の最中はバリアのようなものが島のあちこちに発生して行けない場所ができる他、普段はおとなしくしている敵キャラ「シャドー」達がスターを奪うべく行動を始める。
    • ニックがスターを持っている状態でタックルされると、スター所有を賭けた早押し対決のミニゲームとなる。 早押し対決に負ける、またスターを持っているパートナーがシャドーにタックルされるとスターを奪われてしまい、奪ったシャドーにタックルをかまして取り戻さなくてはいけない。
      取り戻せないままシャドーが特定の位置に着くと「暗黒のフォークダンス」が開始され、儀式を阻止してスターを取り戻さないとスターが消滅し、ゲームオーバーとなってしまう。

願いを叶える

  • スターを持って祭壇に到着すると、願いを叶えるイベントが発生し、ニックとパートナーどちらの願いを叶えるかという選択を迫られる(ニック1人で来た場合は、この場で自分の願いを叶えるかどうかになる)。
    • 自分(ニック)の願いを叶えると、ニックはヒーローに帰り咲いたことになり、ゲームは一応の終了を迎える。
    • 他人(パートナー)の願いを叶えると、その住人は島を去り、再びアドベンチャーパートに戻る。その場合、去った住人に関するミニゲームやイベントは一切起きなくなる。
    • なお、どの住人の願いを叶えるかは任意で選べるが、『新・鬼ヶ島』のひかりは今作のメインヒロイン的位置づけにあるため、物語の最後になるまで願いを叶えさせることができない。
    • 島の住人が3人となると最後のイベントが起きる。

変身

  • ニックはヒーロー「キャプテン☆レインボー」に変身する事ができ、ニックとレインボーでは行える動作が一部異なっている。
    • しかし変身中は画面上の「レインボー変身メーター」が減少していき、ゼロになるとニックは死亡してゲームオーバーとなってしまう。
      • メーターは、食べ物を食べる、ベッドで休むなどすることで回復できる。

賛否両論点

  • ゲームが進むにつれてシリアスの度合いを強めていくシナリオ。
    • 住人が減っていくごとに島に異変が起きてどんどん荒れ果てていき、ついには島が崩壊してしまう。
      • そして終盤に判明する流星夜の儀式にまつわるエピソードが非常にシリアスかつ重い。
        + ネタバレ
      • 「流星夜の儀式に必用なキラリンは、精霊ミミンの死によって生み出されるもの」
        「流星夜はもともと島に恵みをもたらすための儀式だったが、過去に1匹のあるミミンが流星夜の儀式を島に住む人間に教えたため、人間が欲望のまま流星夜を起こすようになってキラリンが枯渇し島が荒廃。あげく、キラリンを求める人間によってミミンの大虐殺が引きこされた」という真実が明らかになる。
        • 要は「みんなの願いの成就はミミンの死によって成り立つ=ミミンの死は人間の欲望が原因」という、なんとも重い設定である。
          ニック自身がこの事実を知ることになる一方、島の住人たちは全く知らない様子であるため、なんとも複雑な気持ちにさせられる。
        • キャプテンレインボーに変身中に必殺技を出せるのだが、技をミミンに当てると死んでキラリンに変化する
          • キラリンはそのまま入手数にカウントされるのだが、上述の設定を知った後だと非常に嫌な気分にさせられる。
            行動の自由度が高いとも受け取れるが、ヒーローでありながら罪もない生き物を能動的に殺すというのはさすがに酷い話である。
    • アクションパートで願いを叶える段階になると前述のように「自分の願いか、他人の願いか」という選択肢が突きつけられるのだが…。
      + ...
      • 自分の願いを叶えることを選んだ場合、バッドエンド扱いとなる。(スタッフロールが存在しない)
      • シナリオ自体が深く考えさせる様な構成にもかかわらずその仕様であるため、製作側が用意した答えを強制されているとも受け取れてしまう。
  • 非常に色濃い「黒い任天堂」要素
    • イビツなアイテム、生々しい効果音、下ネタ、エロティックな描写などの要素がテキスト・映像両面で非常に多く人を選ぶ。
      • このためレーティングは当時の任天堂作品としては珍しくCERO:B(12歳以上対象)となっている。
      • ちなみに任天堂名義の作品では初の「マリオキャラ(キャサリン)が登場する全年齢対象ではない作品」でもある*6*7。マリオシリーズ作品では『スーパーマリオ オデッセイ』で初めてCERO:A(全年齢対象)以外の判定が付与された。

問題点

  • あまりにも著しいキャラ改変
    • ゲストキャラクターのほとんどが原作とかけ離れた姿や性格づけになっているため、原作ファンの評価は分かれている。
    • 特に酷いのは『メタボになったリトル・マック』や『とても放送できないような言葉を伏せ字で喋るキャサリン』、更には『ハナ垂れのアホのわがままっ子にされた挙げ句、宣伝動画で『ギフトピア』のマッポに「キャプテン☆レインボーは萌えキャラゲームではない」と言わしめたりと発売元の任天堂による自虐や開き直りとしかとれないリップ』。彼らに関しては原作レイプといわれても仕方が無い。
      • 一応、リップに限って言えば出典の『パネルでポン』のスタッフも本作開発に関わっているため、ある意味では公式公認とも言えなくもないのだが、原作を捻じ曲げたとしかとれないような改変だけに、それをファンが手放しに受け入れられるか否かはまた別の問題であろう。
  • 変身時はメーターの減少によるゲームオーバーという制約がつくため、まめにゲージを回復させなければならなくなり煩わしい。
  • 操作性にクセがあり、たまにアイテムが拾いにくいことがある。
  • アドベンチャーパートでやることが島の探索や住人との会話がメインであるためメリハリが少ない。
  • アクションパートではシャドーの追跡をかわすという要素があり、接触した際のミニゲーム対決等でメリハリを出しているものの、肝心のミニゲームの内容が鬼ごっこと早押し対決だけなので単調。
  • ミニゲームをいくつかプレイすることもできるが、そのミニゲームをするためには住人と話す必要がある。
    • その住人が願いを叶えて去っているとプレイすることはできない。また、イベントをクリアすると二度とできないミニゲームもあったりする。
  • 鷹丸に関連するミニゲームの難しさが異常。
    • その内容が画面に表示されたボタンをずっと押さなければならないというもの。
      • 説明を聞くだけだと簡単だと思われるが、WiiリモコンのAボタンと離れた位置の1ボタンや2ボタン、ヌンチャクのCボタンなども押し続ける必要があるためよほど器用でないとすべてのボタンを押し続けることは難しい。
      • 家族や友達と一緒にボタンを押したり、足の指も使ったりしないとクリアは無理だろう。セロテープで固定したほうが無難か。
    • 鷹丸との絆を深めるにはこのミニゲームを2回クリアする必要がある。

評価点

  • シリアスで重いが、シナリオ自体の評価は高い。特にラストの展開が切ないが心に来る。
    • ある行動をするかしないかによってエンディングが変わる。
  • 一応ヒーローを題材としているためテレビ番組のオマージュが多く、細かい演出が見ていて楽しい。
    • 主題歌付きのオープニングやエンディングにアイキャッチ風のセーブ画面、さらには『Wiiチャンネル』におけるタイトル画面はジャンクション…いわゆるこのあとすぐを再現しているといえよう。
      また、ナレーションの口調やリトル・マックの『あさっての情』など人気アニメのパロディネタも。
  • 住人の会話パターンは豊富で時間帯によって居る場所や行動が違っている。ミミン島も広く探索する楽しみもある。のんびりミミン島で暮らすプレイもできる。
    • というよりそういう趣向のゲームであり、パッケージに書いてある通りカッコいいヒーローのゲームではない!
  • 改変の激しいゲストキャラだが、もちろん原作を意識したファンサービスもそれなりに存在する。
    • 例えばデビルの家のカーペットには『デビルワールド』の主人公タマゴンが描かれている(これまた似てないが)他、モニタにはデビルと子分のメダマン達がFC版の姿で踊っている様子が映っている。
      リトル・マックに関しては減量が成功したあとにFC版パンチアウト風のミニゲームで遊べる。インターバルのセリフも原作のパロディーとなっており知っている人にはうれしい。FC版付録の辞書を持っている人は確かめてみよう。
  • BGMの評価が良い。
    • キャプテン☆レインボーのテーマソングである『飛ばせ!ヨーヨー!』は本作の主題歌と言えるだろう。
    • 任天堂マイナーキャラクターたちのテーマソングも用意されている。
      ギッチョマンは『いけ!宇宙刑事ギッチョマン』がそのまま流れ、更に条件を満たすと海外バージョンで聴ける。

総評

まさに裏スマブラという肩書きに恥じない一作ではあるが、俗に『ラブデリック系』と呼ばれる独特かつ癖のある作風を、マイナー揃いとはいえ任天堂キャラのオールスターゲームにまで持ち込んでしまった点が完全に仇となってしまった。
露骨な「黒い任天堂」要素、そして少なからぬ原作ファンの心情を逆撫でするかの如きキャラクター改変等、確かにこの有様では強烈な否定意見が噴出するのも致し方なしと言うほか無い。

とはいえ、最後までプレイしたユーザーからのシナリオの評価は極めて高く、単純に駄作と切り捨てるには勿体無いものがあるのもまた事実である。
現在でも少し探せばソフトを手軽に手に入れられる。『ラブデリック系』の作風が好みである、若しくは興味があるのであれば触ってみてもいいだろう。
ただし、その際は「カッコいいヒーローのゲームではない」事を肝に銘じた上で、ゲストキャラは独自設定による別キャラくらいに考えておいた方が無難かもしれない。 もっとも、最後までプレイしたユーザーにとってはこれも「カッコいいヒーローのゲーム」の1つの形かもしれない事も否定はできない。


余談

  • あまりにも人の好みの分かれるゲームだったため、セールスは良くなく各店舗にも嫌われたのか発売してからすぐに新品ですら半額以下に落ち込み、場所によっては3桁の処分価格になっても売れ残っていたという。
  • 本作に登場したキャラクターが以降の作品でゲストとして登場したり、出典作品の続編が発売されるなど、再び日の目を見るサプライズが起きている。
    • 主人公キャプテン☆レインボーが『いろづきチンクルの恋のバルーントリップ』内のテレビに登場、主題歌も流れる。
    • キャサリンは本作の出演後、プレイヤーキャラとしては登場していないが『マリオ&ソニック AT バンクーバーオリンピック』にこっそり登場している。
    • リトル・マックが主人公である『パンチアウト!』の新作がWiiで登場した。
      • 今作のリトル・マックはWii版『PUNCH-OUT!!』の公式サイトや、ファミ通の完全クリアーガイドブックにも紹介されている。
    • 鷹丸が『戦国無双3』にて謎の村雨城モードというモードと共にゲスト参戦した。
      • 戦国無双に登場するほかの武将同様に声優がキャスティングされており、岡本寛志氏が演じている。
      • WiiU『Nintendo Land』でも『謎の村雨城』を題材としたミニゲーム「鷹丸の手裏剣道場」が収録されている。
    • トレイシーのデビュー作『ゼルダの伝説 夢をみる島』がSwitchでリメイクされ彼女も登場している(名前は原作標準のきまぐれトレーシー)。
    • GC版『ちびロボ!』が本作発売の後に『Wiiであそぶセレクション』のラインナップの1つとして移植され公式サイトではギッチョマン専用コーナーまで作られている。
      なおWiiリモコンとヌンチャクの組み合わせにのみ対応しており操作は本作と似ている。
      • ちびロボシリーズ第4作『実写でちびロボ!』で久々にギッチョマンが本編に登場、今作では新たに海外版・日本版をリミックスしたテーマソングが流れる。
    • 後に鷹丸はアシストフィギュアとして、リトル・マックはプレイヤーキャラとしてそれぞれ『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』への出演を果たした。
  • ファミコン兵士たちがバレーボールの世界大会で金メダルを目指している理由は、作中では本人たちもよく分からないらしい。
    • これはディスクシステムの『バレーボール』に登場する女性選手たちが登場するはずだったのだが、「ブルマの若い女性たちというのは絵としてまずい」のでファミコン兵士に差し替えられた名残である。
    • さらに誌面での開発者インタビューにおいて、没キャラとして「マッハライダー」「ダイアルヘックス*8」「『ゼルダの伝説』のフォールマスター」の三者が挙げられており、本作を内部解析すると各キャラのモデルやテクスチャ、モーションデータなどが残っている。
  • スキップ作品によく登場したタオはスキップの西 健一氏の愛犬をモデルとしており実在の犬であるが、本作の発売後に死去してしまった。
  • みんなのニンテンドーチャンネルで本作の紹介が2008年7月9日から発売直前の8月27日までチャンネル更新(8月13日以外の毎週水曜日)され登場キャラクターの紹介もあった。
    • ニック→キャサリン→リトル・マック→鷹丸→トレイシー→ファミコン兵士→リップ→マッポの順に続き内容は、ゲーム中の登場するキャラクター関連のイベントに関して次回紹介対象となるキャラが紹介し、しかしこのゲームは○○ゲームではないと忠告、次回のタイトルで締める形になっているが、最終回はナレーションがマッポの紹介を打ち切り改めて本作について解説するという内容であった。

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最終更新:2024年03月23日 15:46

*1 厳密な初登場は『夢工場ドキドキパニック』。

*2 原作では「気まぐれトレーシー」。

*3 厳密な初登場はラブデリックの『moon』。デザインは『ちびロボ!』に登場した時の姿に近い。

*4 原作ではマリオにそっくりだがマリオとは別人。

*5 最初は島におらず条件を満たすと登場する。

*6 任天堂以外の作品ではコナミの『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』(判定は15歳以上対象・マリオとヨッシーの人形が登場する)が先。

*7 バーチャルコンソールによるCEROレーティングが付けられた作品も入れると『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』(判定は12才以上対象・多数のマリオキャラが出演)が先。

*8 原作は六角形をモチーフにしたGBAパズルゲーム(開発は本作と同じスキップ)であり最早キャラクターと呼んでいいのか…