MALICIOUS

【まりしあす】

ジャンル 3Dアクション
対応機種 プレイステーション3
メディア ダウンロード専売ソフト
発売元・開発元 アルヴィオン
発売日 2010年10月27日
定価 800円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作

概要

サーカディア』や『プーペガールDS』『Fragment's Note』などを手掛けたアルヴィオンによるPS3のダウンロード専用の低価格ソフト。
3D空間を縦横無尽に駆けながら戦うという3Dアクションゲームで、同社作品では『チェインダイブ』に近いが、
本作にはトラップや地形を掻い潜って進むいわゆるアクションステージは無く、多数の雑魚敵を率いる大型ボスとの戦闘に特化したゲームである。

他メーカーのゲームの開発協力が多いアルヴィオンの実質的な代表作とも言える。

ストーリー

異界の魂であるプレイヤーは、世界を見守る存在「預言者」によって「討伐者」としてこの世界に呼び出された。
プレイヤーは人型の「魂の器」に宿り、災厄「マリシアス」の討伐を依頼される。
その為に、まずは「狂王」と呼ばれる女王とその臣下を倒し、自らの力を強化しなければならない。
「マリシアス」とは人の悪意が世に満ちるとき、生まれる怪物。そして狂王はかつての討伐者であった。
預言者に力を与えられた女王・アーシェレイラはマリシアス討伐後にその力の返還を拒んで我が物とし、
人ならざる身として世界に恐怖と憎悪を振りまき続ける狂王へと成り果てたと言う。
プレイヤーの使命は狂王とその臣下から力を取り戻し、やがて現れるマリシアスを倒す事である。

ゲームシステム・特徴

ゲームの流れ

  • 主人公の性別は男女の二種類から選択できる。どちらを選んでも性能差は無い。
    • 一度選んだらそのゲームプレイ中は変更不可。フリーモードでは開始の度に選択できる。
    • 詳しくは後述するが、主人公は異界の魂であるプレイヤーが宿る一種の人形であり、人の姿をしているがあくまで器として作られたものである。
      • しかしその根源はある二人の人間の魂の残滓であり、それが誰なのかはバックストーリーや作中のあるボスの反応などを見れば察せられるだろう*1
  • 拠点である「白の間」から任意のステージを選択し、世界の各所のボスを討伐していく。
    • ボスを倒すとステージクリアとなり、新たな能力を獲得できる。5体のボスを全て倒すとラスボスに挑めるようになる。
      ステージをクリアするにつれて他のステージの難易度が上がっていくので、各ステージを攻略する順番も重要となる。
    • いずれのステージも、その内容はボス戦のみ。道中を探索・進行したり仕掛けを解いたりといった要素はなく、いきなりボスとの戦闘に突入する。
    • 各ステージには30分の制限時間があるが、初見でも大体はそこまで掛からず決着が付く。ステージはラスボスを含めて6つ存在し、リトライを繰り返したとしても数時間でクリアできるボリュームで値段相応。
      • ボスの行動パターンや戦い方を熟知すれば1ステージ3分足らずでのクリアも可能。
    • 「狂王とその配下を倒してマリシアス討伐の力を得る」というストーリーを見ると、まずは狂王の配下を全滅させねばならいかのようにも思えるが、ラスボスであるマリシアス戦以外の順番は全て任意。
      • つまりゲームが始まって早々に配下を無視して狂王に挑む事すら可能。寧ろ、強敵である狂王を弱いうちに倒してしまったり、早い段階から狂王の能力を使えるようにするという戦略にも使える手である。
  • 各ステージではボス以外にも多数の雑魚敵も出現する。これらはボスを倒さない限りいくらでも湧き出てくる。
    • 雑魚の群れを片付けながら巨大ボスを相手に立ち回るという、ハンティングアクションに無双的な要素を少し加味したような戦闘となっている。

プレイヤーのアクション

オーラ

  • 敵を倒すとオーラという数値が貯まっていく。オーラを消費することで、戦闘を有利にする各種行動が行える。
    • 「雑魚敵を倒しまくってオーラを貯め、オーラを消費してボスと戦う」というのが基本的な戦い方になる。
    • その他にも雑魚、ボス関わらず敵の攻撃をタイミングよくガードするとジャストガードとなりオーラを獲得できる。
  • 魂の器のパーツ修復
    • 本作における主人公の肉体は「魂の器」と呼ばれる一種の人形のような物で、残り体力は肉体や衣服といった「パーツの破損具合」で表される。
      • 左腕 → 右脚 → 左脚 → 胴体の順に破損していく。胴体まで破損して更にダメージを受けると器そのものが崩壊しゲームオーバー。
    • オーラを消費してパーツを修復すると、破損して透明になっていた肉体が修復される。
      • 各パーツの破損までのダメージ猶予は破損するまでリセットされない。その為全てのパーツが無事の時に修復を行っても全く効果は無い。
      • そのステージ中は肉体は修復されても衣服は修復されないので、修復した箇所は肌が露出したままになる。
      • 破損した箇所が多い程修復に必要なオーラと時間が増える。
  • オーラアタックとチェイン
    • L1ボタンを押しながら攻撃すると、オーラを消費して通常よりも攻撃力が強化された「オーラアタック」が出せる。
    • オーラアタックで敵を倒すと、その付近の敵を巻き込んでダメージを与える「チェインリング」が発生する。
      • チェインリングに巻き込んで倒した敵からも新たなチェインリングが発生する。このように連鎖爆発で多くの敵をまとめて倒すと、オーラが大きく増加する。
      • 大きい敵程体力も多いがチェインリングも大きい為チェインを発生・持続させやすい。
  • オーラ開放
    • 任意のタイミングで「オーラ開放」状態になることができる。オーラ開放状態中は時間経過でオーラを消費し続ける代わりに、攻撃力と防御力が高まる。
      • オーラの開放段階は3段階あり、段階を上げるごとに能力が上昇するが、比例してオーラの消費も早まる。
      • 開放状態はオーラが尽きると解除される他、開放と同じく任意に解除できる。
    • ボスと戦う時はオーラ開放状態で戦うことが基本となる。開放状態でもオーラは貯められるのでオーラが尽きかけたら雑魚を倒しに行ったり、敵の攻撃を待つという選択肢もとれる。
      • 特にボスの攻撃はジャストガード時の獲得オーラが多いので、慣れれば最大開放でも全くオーラを切らさずに戦える。

灰の外套(マントアクション)

  • 主人公は身につけているマントを様々な形態に変化させて戦う。
    • 基本攻撃である「拳」・ホーミング弾を連射する「魔弾」・敵の攻撃を防ぐ「盾」など。
    • ステージをクリアすると「剣」「槍」などの新たな能力を獲得できる。翼で滑空したりもできるようになる。
    • 武器の形態は十字キーで切り替えられる。
    • □ボタンや△ボタンを特定の順番で連打すると、様々なコンボ攻撃が出せる。また特定のタイミングで十字キーを押すと、武器を切り替えながらのコンボも行える。ボタンの組み合わせによるコンボのバリエーションは多彩。
    • 操作方法に関しては白の間に滞在している預言者からほぼ全て教えてもらえる他、ステージに行かなくても白の間で多少練習できる。
  • 主人公は地上だけでなく空中での移動能力も高く、空中戦を繰り広げやすい。
    • 空中での多段ジャンプは最初から3段、最高で6段ジャンプまで可能。空中での高速移動や、壁走りも可能。空中技の滞空能力も高い。
  • カウンターアクション
    • ボスが特定の大技を放つ際、主人公が特定の能力を所持していて、かつ体力が満タンの状態であれば、画面に「△+○」のコマンド表示が出る。
      コマンド入力に成功すれば、派手な演出のアクションでボスにカウンター攻撃を決めることができ、ボスを弱体化させたり大きく怯ませることができる。
      基本的には演出に入る前の一度だけコマンド入力を求められるが、カウンター演出中にも入力が必要なボスもいる。

その他

  • バックストーリー
    • タイトル画面からいつでも読むことができる短編小説。本編の前日譚にあたる内容で、各ボスにまつわる過去や世界観を深く知ることができる。
  • 成績
    • ステージクリア時には、そのステージの「クリアタイム、敵撃破数、最大チェイン数、パーツ破損回数」といった記録とそれぞれのランク、およびそれらの記録を総合したランクも決定される。
      • 良い成績を出す為には「素早く」「できる限り多くの雑魚敵を」「できる限り連鎖で倒し」かつ「最小限のダメージで」クリアする必要がある。
    • さらにゲームクリア時には総合成績も表示される。
  • フリーモードとタイムアタック・スコアアタック
    • 本編クリア後に遊べるようになるモード。全てのステージを自由に何度でも遊べる。
      • ストーリーモードで手に入れた能力も全て使う事ができる。例えば「剣」の能力が手に入るボスを相手に「剣」で戦えるなど。
    • フリーモードでは、特定条件を満たすと各ステージのタイムアタックやスコアアタックも行える。
      • それぞれの記録はネットランキングにも対応している。
  • 初心者への配慮
    • 難易度はNORMALとEASYの2種類から選択できる。
    • ステージ中に体力が尽きた場合はその場で復活する(コンティニューする)こともできるが、1周あたりのコンティニュー可能な回数(要するに残機数)は限られている。前半で負け過ぎると後半が辛くなる。
      • しかしコンティニュー回数が尽きてゲームオーバーになる度に、次回以降のプレイにおけるコンティニュー回数を多く設定可能になっていく。
    • 『REBIRTH』以降はコンティニューするごとに基礎能力が上昇するコスチュームも用意されている。

評価点

  • 値段の割に遊び応え十分のアクションゲーム
    • プレイヤーのアクションの幅は広く、動作も軽快でスピーディに戦える。マントアクションや空中戦は独自性があり、各ステージも個性的で飽きさせない。
      • 特にジャンプの回数は特筆もの。最大で6回も連続でジャンプできるゲームは他には無い。
    • ボス戦オンリーという潔い内容で、レベル上げや金稼ぎなどの作業に長時間を費やすことも無いので、短時間で手軽に遊びやすい。
    • 攻略のためには純粋にプレイヤースキルが求められるので、プレイすればするほど上達を実感しやすい。
      • 最初のうちはなかなか思うように動かせなかったり、オーラ稼ぎにも苦労したりと上手くいかない事も多いが、繰り返しプレイすることで上達していく。初見では苦労してなんとか倒したボスを、上達によって軽くあしらえるようになった時は快感である。
      • 上述の通り、どうしてもクリア出来ない人への配慮も用意されているので、アクションが苦手な人でも頑張ればなんとかなる作りになっている。
    • 本編クリア後も、フリーモードでタイムアタックやスコアアタックをやり込める。本編も慣れれば短時間でクリアできるので、本編をやり直してより好成績を目指す楽しみ方もできる。
      • ステージ選択は各章とも最終ステージ以外は完全に任意である為、得られる能力と難易度上昇も加味し、自分の気に入った順番で攻略できる。
      • 慣れれば1周30分程度でクリアできるのでサクッとプレイ出来る*2
  • グラフィックは及第点。割と綺麗で全体的な雰囲気作りは良い。
    • 主人公のデザインは男女共に美麗かつ神秘的。特にパーツ破損による(女性主人公の)肌の露出は好評。3Dの顔の造形にはクセがあるが…。
  • 演出も爽快感や派手さを感じやすく作られている。
    • アクションに加え、状況に応じて集中線やひび割れなどの演出が入るので、激戦の衝撃がダイレクトにプレイヤーに伝わってくる作りとなっている。
    • カウンターアタックの演出は特に爽快で、「決まった!」とプレイヤーに高揚感を与えてくれる。この演出は移植版でも強化されて追加されていく。
      • 反対にボス側が使う拘束技も派手になっておき、戦いの激しさを表現する演出として機能している。
  • BGMも良質揃い。ステージ中のBGMは壮大感があり、ゲームを盛り上げてくれる。
  • 作り込まれたバックストーリー
    • 本編中はイベントらしいイベントはほとんど無いものの、バックストーリーはかなり詳細且つ生々しく描かれており、シンプルなゲーム性とは裏腹に作り込まれた世界観であることが判る。
    • 本編ではバックグラウンドが殆ど語られないボス達も実は非常に重い過去を背負っており、彼らがいかにしてこのような存在へと変貌したのか知ることで討伐に対する心構えも変化する。
      • 逆にこれらを知らず、ただの討伐対象として淡々と処理してしまうのもまた一つのスタイルである。
    • 本編をプレイするだけでは、世界を守ろうとする預言者に呼ばれたプレイヤーが悪の根を絶つという勧善懲悪もののようだが、バックストーリーでは預言者側も単純に善の存在とは言い切れない面を見え隠れさせ、後の展開の引き金ともなっていく。

問題点

  • カメラワーク
    • 時としてカメラが主人公に寄りすぎてしまうことがある。
    • 周囲全方向から敵に狙われるゲームなので、左右や後方といった死角から攻撃を受けやすく、思わぬ攻撃を受けてプレイヤーのストレスが溜まる可能性もある。
    • とはいえターゲットの敵を注視し続ける機能はもちろんあり、オプションでカメラスピードを高速化することもできるので、「どれだけカメラ操作を活用できているか」「どれだけ安全な位置取りができているか」というプレイヤーの操作技術に依存するところも大きい。
  • カウンターを成功させにくすぎる。せっかくの派手な要素なのにレア技扱いなのは勿体無くもある。
    • 発動条件が分かりにくい。どのボスのどの攻撃に対してどの能力があればカウンターを決められるのか、といったヒントは一切無い。そのため、ボスを回る順番によっては全然カウンターが発動しない場合も。
    • カウンター可能な攻撃をボスが放ってくるかどうかは運次第。しかもボスによっては、一定条件を満たさないと該当の攻撃を使ってこなかったりもする。
  • コンボ中や被ダメージ中などの何らかの硬直中は武器切り替えの入力を受け付けてくれず、武器を切り替えたと思っても切り替わっていないことがある。
    • 武器の切り替わり演出もさり気なく、チラっと表示されるアイコンをちゃんと見ていないと切り替わったのか分かりにくい。
  • キャラクターの影の付け方にクセがあり、特に顔をアップで見るとややきついものがある。
    • ステージ中は近くで見る機会もあまり無いのだが、ステージ開始時や終了時のローディングでは毎回主人公の顔がアップになるので嫌でも目に付く。
  • コンボのバリエーションが難解で把握しにくい。標準でコンボルートの全容が確認できても良かったのではないか。
    • この点は下記の最新作「FALLEN」でコンボのチュートリアルが追加された事である程度解消されたが、多彩さと比較して人によって使うコンボが限られるという欠点はある。
  • 盾の能力が強化されると、盾が前面を完全に覆うようになるのだが、そのせいで前方の視界が若干悪くなってしまう面もある。
  • 流血描写こそ無いものの、ダメージにより主人公の腕や脚が欠損する様は見てて気分のいい物ではない。激しく動き回ってる内はあまり気にならないだろうが…。
  • リトライ機能が無い。
    • ボス戦を最初からやり直したい場合は白の間にわざわざ戻って再度ステージ選択とロードを挟まなければならない。コンティニューを消費したくない場合や、ゲームの性質上トライ&エラーでボスとの立ち回り覚えていく面もあるためあまりに不親切。
    • また、白の間に戻ると「敗走した」という扱いにされ、預言者に毎回「よもや敗北するとは…」と言われるのであまり気分の良いものではない。
  • ステージ選択時には、ステージ名は表示されてもボス名は表示されない。そのため、ゲームを始めたばかりでプレイヤーの知識が乏しい段階ではどこにどのボスがいるのか分からず混乱する。
  • 初期設定では回避行動とガードが同じボタンになっており、やや癖がある操作性となっている。
    • そのため、この操作に違和感を感じたら早いうちに設定を変える事が推奨されているほど。

MALICIOUS REBIRTH

【まりしあす りばーす】

対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売日 2012年11月22日
定価 1,500円(税込)
判定 良作
ポイント 後日談を収録したアッパー版
ボリュームがPS3版から倍増
PS3版の一部表現が削除

概要(REBIRTH)

PS3版の内容に加えて、後日譚の新章を収録したボリュームアップ版。ボリュームはPS3版の2倍近くに増えている。価格も納得の1,500円。
PS3版の本編は「討伐編」と、新章は「再誕編」と称される。

ストーリー(REBIRTH)

異界の魂を器に宿した「討伐者」によって狂王とマリシアスは倒され、世界の危機は去った。
しかし狂王亡き後、疲弊した王国を巡って戦火は拡大し、世界は再び混迷の時代を迎えていた。
世を乱すは「鋼」「獣」「躯」「雙」の四人の王 *3
彼らの熾烈な戦いによって世界には悪意が満ちていき、マリシアスの再誕が迫っていた。
預言者達はこれに対抗するべく再び異界の魂を呼び寄せ、討伐者として四王の打倒を依頼する。

主な変更点・追加要素

  • 「討伐編」クリア後に遊べる後日譚「再誕編」の追加。
    • 「再誕編」では新たなステージや敵が登場。
    • 登場するボスはいずれも「討伐編」とは異なった性能を持ち、違う戦い方を求められる。PS3版をやり込んだ人でも新鮮なバトルを楽しめる。
      • 演出も強化。主人公のカウンターアクション然り、ボスの拘束技然り、より派手になっている。特に雙の王の拘束技はいろんな意味で一見の価値有り。
    • 主人公にも様々な新能力が追加された。「討伐編」と同様、ステージをクリアしていくことで新能力を獲得していく。
      • これらによって主人公の攻撃力や攻撃範囲や機動力が強化された分、PS3版よりも短時間でステージをクリアしやすくなった。
    • 「再誕編」用のバックストーリーも読むことができる。
      • 今作でもまたボス1体1体の背景が作り込まれている。ただ、前作の狂王達に比べると今回の四王は同情の余地の無い者が多く、寧ろ討伐へのモチベーションを高めるものになっている。
    • 「世に悪意を振りまくボスを倒し、最終的にマリシアスに挑む」という流れは「討伐編」と同じだが今回はマリシアスを倒しても終わらず、最後には意外な展開と共に真ラスボスが待ち受ける。
  • 主人公のコスチュームを変更できるようになった。コスチュームを変更すると攻撃力や防御力などの性能も変化する。
  • 「翼」の能力発動やダイブ(急降下)、ボスの要注意行動に対する注視機能といった操作は、ボタンではなくタッチ操作に変更された。
  • スペックの関係で女性主人公の乳揺れが削除された。
    • この件については公式ブログでスタッフが謝罪したほどである。

MALICIOUS FALLEN

【まりしあす ふぉーるん】

対応機種 プレイステーション4
発売日 2017年2月10日
定価 3,600円(税込)
判定 良作
ポイント 完結篇が追加された完全版

概要(FALLEN)

  • REBIRTHからおよそ4年3ヶ月、PS4のマシンスペックを存分に活かして「これまで我慢していたものをふんだんに盛り込んだ」(ディレクター談)完結編が登場。
    • 価格は『REBIRTH』のさらに倍以上である3,600円だが、それに見合ったボリュームアップがなされている。

ストーリー(FALLEN)

+ 追討編

四王は倒したものの、傷ついたマリシアスは狭間の領域に逃げ込んでいた。
それから数年。預言者達はマリシアスの逃げ込んだ領域の観測と調査を繰り返し、
狭間の領域に生じた亀裂の奥にマリシアスの根源となる極大のマリシアスが潜んでいることが判明する。
予言者達は討伐者を呼び出し、潜行数式陣によって境界の深潭に送り込んでマリシアスの根源を絶つことを画策。
しかし魂の器は二度の戦いで悪意に汚染されており、非常に不安定になっていた。
器の安定と強化を行ってから討伐に向かわせるか、力がこれ以上増大する前にマリシアスを倒すか、
預言者の間で意見が分かれるも、預言者の長であるモノスの「悪意の汚染を利用して迅速に討伐すべき」という主張が押し通される。
三度目覚めた討伐者は預言者達の協力の元、マリシアスの潜む深淵へと潜っていく。
しかし同時に、討伐者を目覚めて以来導いてきた預言者であるヘクサと、この計画を押し進めたモノスの間には亀裂が生じ始めていた。

+ 終焉編

次々と現れる極大マリシアスを止める術は無く、マリシアスの根源を絶つ作戦は失敗に終わった。
そして魂の器も悪意の汚染が進み、マリシアスへの転化の危険性が高まった為に厳重な封印が施された。
預言者達は次の手として、宗教的指導者に啓示と力を与え、信仰心による人の世の平定を目指した。
しかし信仰は時と共に歪み、「断罪王」と「法王」という最悪の暴君を生む結果となった。
人の本質に絶望したモノスをはじめとする預言者達は、最後にして究極の手段として「理の改変」を実行に移す。
それは全ての人間の肉体を奪い、魂を強制的に昇華させ、自分達と同じ高位の存在に生まれ変わらせるものだった。
しかしそれは既に人の世ではないと考えるヘクサは、人が人である世界を守るべく預言者達と決別。
魂の器の封印を解き、討伐者を四度目覚めさせ、かつての同胞を討つ事を決意する。
倒すべき敵は二人の王、人の悪意を見境無く強制的に浄化する中央浄化器、そして人の世界を守る為に自ら世界を歪ませる四人の預言者。
悪意の汚染によって器に限界が迫る中、討伐者は最後の戦いに向かう。

主な変更点・追加要素

  • 新章「追討編」及び「終焉編」の追加。
    • 「追討編」「終焉編」共に「再誕編」クリア後にプレイ可能となる。もちろんバックストーリーも読める。
    • 「追討編」は他編とは大きくコンセプトが異なる高難度のモードとなっている。
      • 「境界の深潭」と呼ばれる空間の奥底に存在するというマリシアスの根源を討つべく、いわゆるゴンドラである「潜行数式陣」を無数に現れる敵から護りながら下へ下へと降りていくエンドユーザー向けモードである。
        「追討編」をクリアしなくとも「終焉編」のプレイは可能。
    • 「終焉編」は文字通り、『MALICIOUS』の完結編。世を乱す敵の討伐に終わらず、預言者や討伐者を巡る一連の物語にも決着を付ける集大成的な内容となっている。
      • ラスボス以外にも最初に挑むボスが固定であり、主人公の能力も「討伐編」初期段階まで弱体化した状態で戦う羽目になる*4。このボスを倒して全て能力を取り戻すと共に本番開始となる。
      • 後に回したボスほど強くなるのは従来通りだが、今回は倒したボスに応じて他のボスを弱体化させたり、主人公に有利な影響を及ぼす仕掛けが追加されている。
    • 章の追加に伴い主人公が獲得できる能力も追加。器への攻撃を防ぐ「壁」や敵を倒さずともオーラを多量に獲得できる「収斂」など。
    • 無論、バックストーリーも「追討編」「終焉編」共に収録。ボス側よりも予言者側を重点的に描いた物語の核心に迫るものであり、いよいよ結末に近付いている事を実感させる。
  • PS4へ移行したことによるグラフィックやモーションの大幅なリファイン・追加。
    • プレイヤーキャラは別人と言っていい程に整形。癖のあった造形は見事に改善され、美少年・美少女とすら言えるほどになっている。ステージを行き来する際のアップ演出も苦ではなくなった。
      • ある能力を使用した時のカラーリングも大きく変更された。
    • 「再誕編」のボス達へのマシンスペック増大の恩恵が大きく、挙動などの進化が著しい。
      • 特にあるボスは超強化とも言える程手が加えられている。
    • 『REBIRTH』で追加されたコスチュームはそのままに、『FALLEN』でもコスチュームが追加。当時は海外版限定だったコスチュームもDLCとして無料配信。
      • さらに、DLCとして各税込300円でコスチューム2種類が配信中。見た目が変わるだけで能力の変化は無いので、購入するか否かはご自身の判断で。
    • マシンスペック増大の恩恵により女性キャラの乳揺れが復活。
  • コンボや所持している能力の確認・実践を行えるチュートリアルエリアを追加。特に意味は無いが白の間でもオーラを開放できるようになった。

問題点

  • グラフィック関連は大幅に向上しているが、戦闘やシステムは旧作の問題点はほとんどがそのまま残っていると言っていい。

総評

大手メーカーや人気シリーズの新作と発売日が近かったり、ダウンロード専売という特性上店頭にパッケージが並ばず宣伝の手段に乏しかったりと影に隠れがちだが、完成度の高い良作。
同程度のクオリティを持ったゲームの中でもかなり安価な部類に入り、コストパフォーマンスは非常に優れている。
誇大に宣伝された高価な大作ゲームよりも、小ぢんまりとしたマイナーなゲームの方が面白いこともあるという好例である。
短時間で歯応えのある3Dアクションゲームがやりたいゲーマーにお勧め。
PS4を持っていればFALLEN、持っていなければREBIRTHという選択肢になるだろうが、何と言っても処理能力が段違いなので興味のある方はぜひFALLENをプレイして欲しい。


参考動画

+ PS3「マリシアス」公式ムービー第1弾

PS3「マリシアス」公式ムービー第1弾

+ PSV「MALICIOUS REBIRTH(マリシアス リバース)」公式トレーラー第1弾

PSV「MALICIOUS REBIRTH(マリシアス リバース)」公式トレーラー第1弾

+ PS4「MALICIOUS FALLEN(マリシアス フォールン)」公式トレーラー第1弾

PS4「MALICIOUS FALLEN(マリシアス フォールン)」公式トレーラー第1弾


余談

  • 公式ブログでは、スタッフ達のこだわりや遊び心が窺える。
    • また、シリアスなゲーム内容に反して公式サイトやブログにはやたらコミカルにデフォルメされたイラストが描かれており、LINEスタンプやPSアバターなどにすらも用いられている。
    • その最もたるものが、本作を学園モノとして盛大にパロったエイプリルフール企画「私立マリシアス学園」である(参照)*5
      • ネタの内容も然る事ながら、ページを見ただけでは本当にスマホアプリとして開発されていると信じてしまう凝りぶりである。しかも設定を見る限り、どうやらただの一発ネタではなく本編の世界とは異なった場所に存在する「異界」の出来事で微妙に本編とも繋がっているらしい…*6
  • ゲーム内に収録されているバックストーリー(短編小説)は、公式サイトでも全て読むことができる。
  • PS3用『MALICIOUS サウンドトラック』が、PSvita用『MALICIOUS REBIRTH ORIGINAL SOUNDTRACK-討伐編-』『MALICIOUS REBIRTH ORIGINAL SOUNDTRACK-再誕編-』がPlayStation Storeにてそれぞれ配信中。
    価格は各300円(税別)。『MALICIOUS サウンドトラック』と『MALICIOUS REBIRTH ORIGINAL SOUNDTRACK-討伐編-』は内容が同じ。
    • 「討伐編」「再誕編」も含め全ての楽曲を収録したPS4用『MALICIOUS FALLEN ORIGINAL SOUNDTRACK』も配信中。全31曲で税込1,000円。
  • 単なる偶然かは不明だが、「討伐編」の世界観設定などには『デモンズソウル』との少なくない類似点が見られる。
    +
    • 主人公は拠点の重要人物に召喚された霊的存在、世界がもうすぐ滅びようとしている、ステージ選択方式、ある理論を長年研究してきた重要人物達が拠点に居る、拠点の背景に何かの数式、かつて栄えた国の王が重要ボス、王に仕えた騎士達もボス… など。

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最終更新:2023年06月08日 00:12

*1 ただし、スタッフブログなどゲーム外では男女とも当然のように名出しで語られていたりするので、ネタバレを避けたい人は注意。

*2 スタッフは5分以内でクリア出来るらしい。

*3 雙の王は双子の姉妹なので正確には五人である。

*4 戦闘中、フィールド上にある封印を破壊する事で能力を開放可能。

*5 主人公が本来の名前で呼ばれている例の一つなので、まだ知りたくない人は注意。

*6 本編でも制服風のコスチューム「異界の学装」が存在しており、この企画内でのデザインにも利用されている。