グランツーリスモ4

【ぐらんつーりすもふぉー】

ジャンル カーライフシミュレーター
対応機種 プレイステーション2
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 Polyphony Digital
発売日 2004年12月28日
価格 通常版 7,665円
特別版 Racing Pack
PS2本体同梱:24,990円
廉価版 PlayStation2 the Best
2006年7月6日/2,800円
判定 良作
ポイント 物理エンジン完全一新
実在のサーキット大量収録
シリーズ最難関ミッション
究極の24時間耐久レース
グランツーリスモシリーズ
SIEワールドワイド・スタジオ作品


概要

「ドライビングシミュレーター」というジャンルをコンシューマー機、ひいては日本ゲーム業界に定着させた『グランツーリスモ』のナンバリングタイトル4作目であり、PS2ソフトとしては2作目に当たる。
本作発売の約1年前には、本作の開発遅れのお詫び的な位置づけである体験版『グランツーリスモ4 "プロローグ"』が発売されている。
パッケージを飾っているのは「フォードGT LMレースカー SpecII」。


特徴・評価点

基本的な仕様

  • 自分の腕で運転するA-specモードと、プレイヤーが監督となりAIドライバーに指示を出してレースを行うB-specモードがある。
    • A-specとB-specはレース参加時に任意に選択することができる。ただしレース参加中は切り替えできない。
    • B-specモードは前作では導入を見送られていたが、今作で初めて導入された。
  • 車を写真として収める「フォトモード」が今作から搭載された。
  • インターフェースやSEなどが今作で大幅に変更されている。
    • 前作までは背景が暗めでストイックな雰囲気が漂っていたが、今作では明るい色とシンプルなモノクロを基調としたスタイリッシュなイメージになっている。
    • 特にラップ計測中のタイムが中央上部に表示されるなど、レース画面の構成は次作以降のベースとなっている。

B-specモードの登場

  • 今作から初めて収録された新要素。AI(人工知能)ドライバーを様々なレースに出場させて育てていくモードになっている。通称「Bスペ」。
    • レース中は画面上部にコマンドが表示され、プッシュ具合を表す「1(スローダウン)~5(ハードプッシュ)」の他、「オーバーテイク」「ピットイン」を選択して指示する。
    • AIのスキルは「マシンスキル」「コーススキル」「バトルスキル」に分かれており、いろいろな車やコースで出場させることで効率よく育てることができる。
    • レースイベントのクリアはA-specモードと共有されているため、耐久レースなど時間がかかったり面倒なレースはB-specにお任せするといった使い方もある。
      • レースの進行速度も最大3倍速まで設定することができ、レースを最大3分の1の時間で済ませることもできる。
      • またA-specでライセンスが必要なイベントでも、B-specではライセンス無しで出場させることができる。B-specのみでオールクリアすることも可能。

フォトモード

  • こちらも今作から導入されたモード。リプレイシアターでのリプレイ中に再生を停止したりコース上を歩き回るようにカメラを動かし自由なアングルや距離から車を撮影することができる。
    • 撮影した画像はUSBを介してパソコンに出力したり、プリンターで印刷することも可能となっており、クルマ好きには好評のシステムになっている。
    • 絞り調整やホワイトバランス、シャッター速度など細かい設定も可能。
  • グランツーリスモモードにも、専用マップに配置した自車を撮影する専用モードが追加。マップは世界各地が舞台となっており、旅行感覚で愛車を写真に収めるという楽しみが再現されている。

挙動・表現力の強化

  • GT3までのシミュレーションエンジンは初代作のものを改良し使いまわしていたが、本作でついにフルモデルチェンジ。
    • 車体の微妙な振動やタイヤの接地感など、現実のレースの再現性や臨場感がアップしている。
  • ギアを落とした際のアフターファイアも車種ごとに再現されている。
  • 車の挙動もリアルにより近づいたものとなっており、前作では同じ速度で曲がれたコーナーが曲がりきれないといったことも起こる。
    • どのくらい近づいたかというと当時行われていたルポカップ公式シミュレーターとして採用されたほど。そのバージョンはGT4プロローグよりもさらに先行して同カップ参加者に配布されていた。内容はコース1つ、車種1台、MT限定というものではあるが。
    • ちなみに、今作も正式にはドリフトは未実装*1。理由は「リアルな挙動が再現しきれていないから」。よりエンジンが洗練されたGT5では遂に正式にドリフトが挙動として導入された。
  • 外部要素だが、ハンドル回転角900度に対応した「GT Force Pro」に対応。フォースフィードバックのパワーも上げられ、これを使うことで更にリアルなシミュレーションを体験出来る。

過去最多の収録車種

  • 今作は約700以上の車種が収録され、前作の3倍以上となった。
    • グラフィックの向上も小さなものではなく、後に発売されるGT5のスタンダードカーにおいて、モデリングがGT3から流用されたものと今作から流用されたものでクオリティにそれなりの差が出ている。
    • チューニングカーの祭典「東京オートサロン」にて、会場の中から本作に登場させたい車の投票が行われていた。
      が、その投票1位がよりによって廃車*2だったために収録が出来ず、代わりにその後継車が収録される事となったというエピソードもある。
  • GTウイングがエアロパーツとして初登場。
    • GT2まではダウンフォースの調整はノーマルカーでは不能で、レーシングモディファイを施工する事で可能となるが、今作ではノーマルカーでもウイングを装備する事で可能となった。 また、市販車でもウイング装備が不可の車もある。スペシャルモデルはウイング変更が出来ない。
  • スーパーチャージャーがチューニングパーツとして購入可能。
    • 概念自体は初代からあったが地味ながら進歩である。NA車に装備可能*3
    • 高回転までブン回す国産や欧州域の車にはデメリットも大きいが、元々高回転域を必要としない大排気量のアメ車には相性が良い
    • ちなみにコレを装備するとNA車専用レース、ターボ車専用レースのいずれにも参加出来なくなる*4
  • 1886年に誕生した、世界初の「エンジンを動力とした車」とされる三輪車・四輪車までも収録。馬力はたったの1ps。(ちょっとした勾配ですら上りきれない性能だった)。
  • フォーミュラカーは前作が版権ギリギリの所を突いていたのが問題になったのか、架空の1車種のみの収録となった。
  • 前作で廃止されていた中古車販売が復活した。これにより前作の課題だった序盤の自由度がGT2の頃と同水準の高さに押し上げられた。
    • 中古車のラインナップはハチロクなどの定番モノからホンダS800などのレトロカー、更には787Bなどのプロトタイプカーまでと幅広い。
    • 売りに出される中古車は周期で決まっており、特に「787B」などのルマンカー4種の中古(すべて黒一色)はめったに出現しないレアものになっている。
    • 通常のショップには並ぶことのない、中古車販売限定の車種も多く存在する。例として、「レジェンドカー」と呼ばれるレトロカーの一部は、「旧車専門店」で購入する事でしか入手できない。
      • ちなみに一度中古車販売店で一度購入したクルマは"SOLD OUT"(売り切れ)となりラインナップが更新されない限り同じクルマを2台以上購入出来ない。(どうしてもと言うならトレードを利用してコピーする必要がある)
    • たまに走行距離10Kmの新古車が売られている。(勿論中古車と比べて高価) 残念ながら新古車はごく一部の車種にしかない。そのコンディションはほとんど新車である。

収録コース

  • コース数も前作から大幅に増加。新規コースの追加だけでなく、「ハイスピードリンク」など今作で復活したコースもある。
    • 特筆すべきは実在コースの大量収録である。実在コースはGT2では「ラグナセカ・レースウェイ」、GT3ではそれに加え「モンテカルロ市街地コース」が追加されたにとどまっていたが、今作では新たに8ロケーション・16コースの実在コースが追加された。
      • 複数のレイアウトが収録されている実在コースもある。特に逐次レイアウトの変更が行われていった「富士スピードウェイ」には80年代・90年代・F1コース・GTコースの4種類が収録されている。
        ちなみにF1コース、GTコースに関しては「取材時点で未完成*5」だったため、未完成部分は図面から直にモデリングしている。
        同様の理由で以降の取材が出来ないため、80s*6、90sについては今作が最後の収録になっている。
      • 「鈴鹿サーキット」「ニュルブルクリンク北コース」など知名度や人気の高い実在コースはしっかり再現されており、「現実の車で現実のコースを走る」というドライビングシミュレーターにおける醍醐味を格段に味わうことができるようになったのである。
        特にニュルの収録は世界中で話題となり、後に開発者の山内氏は2014年のニュル24時間レースにて「ニュルブルクリンクの世界的な知名度を向上させた」として功労者表彰をされている。
      • 実在コースを収録すると、現実で計測したタイムと比較されることによってその誤差が明白なものとなってしまう。今作でその実在コースが大量に収録されたということは、 物理演算能力の大幅な向上によりリアルと遜色のない挙動再現性が実現できたという、ポリフォニーデジタルの自信の表れ であろう。
        以前Optionで連載されていたコラムで取り上げられたが、「リアルとコンマ数秒しか変わらない物が作れた。GT3までのエンジンだともっと差が出るので実在のコースを入れたくなかったが、市場の要望で泣く泣く入れた」という内容が記載されていた。
    • スペシャルコンディションにも、スノーコースが今作から新登場。ウェットレースも健在だが対応コースは「筑波サーキット」のみである。
    • オリジナルコースに関しても、「エル・キャピタン」や「香港」、「オペラ・パリ」など今作限定登場となっているコースが少なくなく、次作以降での再録を望む声が多い。
    • ラリーでは前方でカメラを構えて写真を撮ろうとする観客まで表現されている。流石に轢こうとすると逃げる。

ライセンス

  • 前作で導入された「ラリーライセンス」が再び削除され、ラリー試験は「国内B級」「国内A級」「国際B級」「国際A級」「スーパーライセンス」の5つのライセンスに分散されて収録される形となった。
    • それぞれのライセンスに16個の試験があり、各ライセンスにひとつずつ「コーヒーブレイク」という項目が収録されている。
      • 「コーヒーブレイク」はライセンスの取得には影響しないオマケ的なミニゲームで、パイロンすり抜けや迷路コースなど内容が一味違ったものになっている。
  • ライセンス試験においてプレゼントカーを貰える条件は、前作までは「オールゴールド」のみだったが、今作は「オールシルバー」、「オールブロンズ」を達成してもそれぞれプレゼントカーがもらえるようになった。
    • ライセンスを取得するだけでも「オールブロンズ」条件達成で必ず1台はプレゼントカーが貰えることになる。もちろん全てゴールドを獲得すれば1つのライセンスにつき3台も貰えるという大盤振る舞いである。
      • ライセンスを取るだけでそれなりの性能を持った車を序盤から所有することができるようになり、序盤の資金繰りに一苦労だった前作から難易度が下がった。

レースイベント

  • 前作でもあった「ビギナー」「アマチュア」「プロフェッショナル」「耐久レース」「スペシャルコンディション」に加え、「日本車レース」「欧州車レース」「アメリカンレース」など車種限定のイベントも追加(実質復活)されている。
    • 「アマチュア」「プロフェッショナル」「耐久レース」のイベントは前の階級の制覇・A-Specでは上記ライセンスなど一定の条件を満たしていないとプレイできない。
    • 耐久レースイベントには時間耐久レースも登場した。
  • また各ブランドのディーラーで独自に開催のワンメイクレースイベントも復活。
    • これにより、以前では馬力が無くガレージの肥やしにならざるを得なかった多くの車にも光が当てられるようになった。
  • また今作の新要素として「ミッションレース」が追加された。大きく分けて4種類のシチュエーションがある。
    • 決められた区間内で前方の車をオーバーテイクする「The Pass」。
    • 3周以内で、最下位から逆転1位を目指す「ラスト3ラップバトル」。
    • テストコースを舞台に、スリップストリームを駆使してトップチェッカーを目指す「スリップストリームバトル」。
    • 同メーカーの新旧車が一堂に会し、先にスタートするライバルカーたちをたった1周で抜き去る「One Lap Magic」。

A-specポイントシステム

  • A-specポイントはレースごとに用意されており、ライバル車と自車の性能を比較して自車の性能が低いほど高いA-specポイントが得られる。
    • 同等の性能であれば100ポイントで、最大200ポイント獲得できる。A-specポイントはレースごとに計算され、ガレージで見ることができる。
    • 性能の基準は「馬力」「車重」「タイヤのグリップ性能」。サスペンションや駆動系統パーツは含まれないため、ドラテクだけでなくチューニングスキルも問われる。
    • なおA-specポイントに対するご褒美などは一切無く、プレイヤーの実力を試す指標として使用されるに止まっている。

アーケードモード

  • 簡単な設定で気軽にレースやタイムアタックが楽しめるモード。
    • 「周回数」「タイヤ磨耗の有無」「ライバルカーのレベル」などを設定することができる。この柔軟性は過去作と比べて高い。
    • 初期状態で選択できるコースは全体の半分程度しか開放されておらず、グランツーリスモモードの進行具合によって順次追加されていく。
    • またPS2同士をリンクケーブルで接続することによって、最大6人同時対戦が可能。マルチモニターでの大画面プレイもできる。

その他前作からの変更点・改善点

  • 前作のオイル交換に加え、「燃費」の概念が初登場。
    • そのためピットに入ったときは交換するタイヤの種類だけでなく、補充する燃料をどれくらいの量にして時間を節約するかなど戦略性が幅広くなり、より現実味のあるものになった。
    • 残り燃料が尽きると車が全く動かなくなるわけではないが、80km/hしか出せなくなってしまう。
    • これに合わせて、全車80Lの燃料タンクを装備しているという設定になった*7。燃費は、「馬力の大きい車の燃料消費量が多い」、「エンジンを高回転域で回しているほど燃料消費量が多くなる」という設定*8
  • シングルレースイベントでもイベントごとに取得実績をリセットすることができるようになり、再び優勝すればまたプレゼントカーを獲得することができる。
  • ディーラーとチューンショップは再び各メーカーに分散されて配置されるという仕様になった。
    • 今作は現在使用している車に応じたメーカー名が黄色く表示されるため、GT2以前よりはチューン先を見つけやすくなっている。
  • ピットで交換するタイヤの種類を変えることができるようになった。
    • もちろん持っていないタイヤに交換することはできない。
  • ピットクルーが描写されるようになった。
    • 前作まではピットで勝手にクルマがジャッキアップされ、いつのまにかタイヤが交換されているという怪奇現象にも近いシュールな画が展開されていたが、今作で改善された。
  • グランプリレース参加中でもガレージ利用・オイル交換のみならできるようになった。
  • 今作からオートセーブに対応しており、うっかりセーブし忘れたということが無くなった。
  • 後期型(50000番台以降の通常版と薄型の本体)PS2とD端子ケーブルと対応テレビがあれば、プログレッシブモードの「480p」ハイビジョンモードの「1080i」出力に対応。より高画質でプレイすることができる。
    • 「480p」は、解像度はそのままだが滑らかさが上がる。
    • 一方で「1080i」は単純なアップスケーリングながら縦横の解像度をHD相当に上げて出力する。
    • 特にコース外の草地などはノーマル設定時と比べて一目で分かるほどの美麗さ。
    • ただインターレース出力のままなので逆にジャギー(インタレ線)が目立ってしまうという弱点もある。

賛否両論点

  • 水増しとも捉えられかねない車種の増加。
    • 例えば今作の「スカイライン GT-R」は名のつく車だけでも20種類以上存在。
      形式違いのR32、R33、R34で各1台ならともかく、R32のノーマルカーだけでも「89(前期)、91(後期)、91N1、93Vスペック、93VスペックN1、94VスペックII」の6台が存在する*9。 勿論その手のマニア的には「テールランプの光り方が違う」「バンパーが違う」「ホイールとタイヤサイズが違う」など、細かい部分で違いがあるのだが、走らせればほぼ一緒なので、レースゲーム的には水増し感が強い。
    • 逆に1~2では存在した前期型が省略されて後期型のみになったスープラ(A80)などもあり、微妙な感覚がある。
  • 理想の技術をデータ化して生み出した空想の車「コンセプトカー」の大量収録。
    • パッケージの車「フォードGT LMレースカー SpecII」をはじめ、ポリフォニーデジタルが理想として作成した「架空の車」が今作には数多く収録されている。
      • ただし初代からポリフィニーがオリジナルで設計した仮想のレースカー*10は多数存在したし、「グランツーリスモコンセプト」にて実際のメーカーが作った市販予定の無い車も収録されていた。
        そのため「ゲームなのだから実現できないかもしれない空想の車を増やせ」vs「そんな車を入れるのであれば実在の車を増やせ」はちょっとした論争となった。ただし山内P側としてはGT5以降のレッドブルXシリーズやGT6のVision GranTurismo等を考えるに前者寄りのスタイルである。
      • 一応当時の技術で実現可能な車が殆どではあるが、中には「ナイキ One(2022)」のような人間と車が一体化したSFチックな車もある。
  • レーシングモディファイの廃止
    • レーシングモディファイは今作でも未実装。前作は元々「繋ぎ」として開発された為、という理由付けはあったが、今作に収録されなかった事で、事実上の廃止となった。
    • 実在のマシンをそっくりに模した見た目もさることながら、気に入った愛車の戦闘力を格段に向上させ、上位カテゴリーでも争えるスペックにできる、大きな魅力の一つだった為、ここが消えた事に対する落胆は決して小さいものではなかった。
    • 前述の通り、本作には「架空のレーシングカー」がこれまでに比べて大幅に増えた事もあり、それを歓迎しないプレイヤーからは"そんなモノ実装する暇があったらレーシングモディファイを復活させるなり往年のレーシングカーを収録しろ"との声も挙がっていた。
      ただしその手の車を収録しようとすると、車のリバリーや形状に関する権利問題も同時に発生してしまうために難しい点も考慮しなければならない。
  • 一部マシン(レースカー)の性能が実際の物とは異なる。
    • ギレ・ベルティゴは今作でも収録されているが、前作の420馬力ではなく倍以上の930馬力である。*11
      • 単純なスペック面ではプロトタイプレーシングカーに匹敵する程だが、肝心のダウンフォースがGTカーレベルなのでコーナーで勝負にならず対等に戦える相手がほとんどいない。
    • レースカーは更にチューニング可能なのにもかかわらず、ノーマルカーはウィングが装着出来るだけでタイヤサイズも変更不可。
      • 一部の車種(グループCカー)は予選仕様を再現した物なのだろうが、殆どのレースカーで更なるチューニングなど不可能な筈である。
    • プロトタイプのレースカー等も軒並み馬力が水増しされている。
      主にLMで活躍したプロトタイプレースカーは600~700PS程度の筈だが他のグループCカーとバトル出来る様大幅に出力が水増しされている。

問題点

  • レース画面になってからプレイヤーが操作可能になるまで時間を要する場面が急増。
    • 前作では耐久レースなどわずかな場面でしか採用されていなかったローリングスタート方式が今作からは主流になっている。
      • スタート地点のかなり前からレースが始まることもあり、スタート地点に達し操作可能になるまで最悪10秒以上待たされる。
    • またミッションレースのひとつ「One Lap Magic」では、1台目の車がスタートする時点からレースが始まるため、自車がスタートするまで最大2分以上も待たされる
      • しかもミッションをやり直すたびに待たされ、スキップもできない。そのためある攻略本では同じ車種・同じコースで事前に練習することが推奨されている。
      • ちなみに前述の120秒待たされるイベントのコースはよりによって全長20km超の「ニュルブルクリンク北コース」である。覚えるのも容易ではない170以上ものコーナーと幅が狭くうねりのある路面、自車がハイパワーなFR車であることが相まって、7分程度かかる1周をミスなく走りきること自体かなり難しい。もちろん大きなミスがあればその度120秒待たなければならない。
  • 今作から導入されたペナルティシステムが不評。
    • 今作では「スペシャルコンディション」「ミッションレース」で壁やCOM車に激突すると、5秒間強制的に50km/hまで減速させられるペナルティが課せられるようになった。
      • 場合によっては少し接触した程度でもペナルティになる可能性がある。またダートコースは道幅が狭くオーバーテイクが難しいため、フェアプレイを心がけている人であっても理不尽なペナルティが襲いかかることも日常茶飯事。
        プレイヤーから押した場合にはペナルティが取られるのに、COMに押された場合COM車にペナルティが入る事がないというのも理不尽な点に上げられている。
  • 各ライセンスにおける試験数が前作から大幅に増加したことにより、ライセンスの取得にかかる手間が増え面倒になった。
    • 前作が合計48だったのに対し、今作では合計80と、約倍の数になっている*12
      ただ、初代のように「ブロンズ取るだけでも他の作品のゴールドに近いテクニックが必要となる」とまでは行かないのが救い。
    • 内容も、序盤のライセンスで恒例の「直進と停車」が今作では使用車種違いで4つも収録されており、水増し感が拭えない。
    • その上、上級ライセンス程実戦では役に立たない物ばかりである。
  • 前作でも問題だったレースの周回数の多さは軽減され比較的少なくなっているが、一部のイベントはやはり周回数がかなり多い。
    • 「フォーミュラカップ」はむしろさらに長期化。レース数が15に増え、「鈴鹿を53周」「富士を67周」「モナコを78周」など全てのコースが実際のF1並の走行距離になっている。A-specモードでまともに走ろうとするとこれだけで1日が潰れる。
    • 「1000miles!」もかなりの長丁場。レース数こそ4つだが、「ニュルを25周」「モナコを99周」など1レースあたりならフォーミュラカップをも上回る周回数となっている。しかもエントリー条件は1970年までの市販ノーマル車であり、フォーミュラカーとは比較にならない時間を要する。
    • そして耐久レースにおいては、とうとうガチで24時間走り続ける「24時間耐久レース」が登場した。しかも3レースも*13
      • リアルと言えばリアルなのだが、今作にはまだ時間変更機能が搭載されていなかったために夜間コースが存在せず、まるで白夜のような状況の中レースが行われる。
      • 今作にはB-specの3倍速モードが存在する為何とかなりそうな気もするが、セーブ機能が存在しない上、ピットインする毎に1倍速に戻ってしまう為、定期的に3倍速に戻す操作も必要であり結局ゲーム画面から離れる事が出来ない。
  • シングルレースから「予選」が削除された。
    • 予選を行うかどうかはプレイヤーが任意で選択できるようになっていたため(選択しなければ最下位から本選がスタートする)、プレイヤーにとってはただのデメリットでしかない。
    • なお次作のGT5ではグランプリレースも含め予選が廃止されてしまった。
  • チューニングした車がアーケードモードで使用できなくなった。
    • つまりアーケードモードで選択できる車は全てレンタルカーということになる。
    • 自分好みのチューニングを施した車を持ち寄って対戦することもできなくなってしまっている。
      • ちなみにアーケードモードで使用可能な車を追加するにはグランツーリスモモードでトレード以外の方法で車を入手すると新たに登録される。勿論中古車でも例外ではない。

総評

多少の問題点は抱えているが、カーライフシミュレーターとしてまた一歩リアルに近づき進化した『グランツーリスモ』の続編。
具体的にはグラフィック面が主な進化だった『3』に対して、今作は実在コースの大量追加、B-specモード・フォトモードの搭載などシステム・機能面で大きな進化を遂げたといえる。
今作も前作に引き続き世界で1000万本を超える売り上げを達成し、『グランツーリスモ』シリーズの相変わらずの根強い人気を見せつけた。


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最終更新:2023年04月01日 00:50

*1 グラベル/スノー路面や、舗装路でもサイドブレーキや極端なパワースライドで疑似的にそれっぽい事は可能

*2 ストリームZ初号機、レース中240km/hで横転してしまい修復不能なレベルで大破した。

*3 元からSCがついているフォードGTなどにはアップグレードパーツとしての購入も出来ない

*4 過給機付きだが過給方式が違うのが最たる理由。気になる方は"スーパーチャージャー"で検索。

*5 改修工事中

*6 90sからAコーナーとBコーナーのシケインをカットした物であり、1コーナー改修前の厳密な80sレイアウトではないのだが。

*7 一般的な乗用車のタンク容量が40L~、レーシングカーでは100Lを超える物もあるが。

*8 宝島社『グランツーリスモ4 The バイブル』より引用。

*9 これでも旧作から90NISMOが減っている。

*10 実は初代は実在っぽいレースカーしか入っていなかった、見た目は同じでもスペックが大幅に異なる。

*11 一応、大前提として初出のGT3は02年モデル、本作は'04年モデルになっている。本車はベルギー本国での完全受注生産の為か、スペックに関する情報が国内にはほとんど入っておらず、正式なスペックは不明。ただ、本車が参戦していたFIA GT選手権のレギュレーションから外れている事は間違いない。

*12 参考・「初代」30、「2」60、「3」48、「4」80、「5」50(ただし取らなくとも参戦可能)「6」25、「S」無し。

*13 「ニュル」と「サルト」の新旧コース。念の為に補足すると、どちらも実際に24時間耐久レースが行われている