R-TYPE COMPLETE CD

【あーるたいぷ こんぷりーとしーでぃー】

ジャンル シューティング
対応機種 PCエンジン スーパーCD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 アイレム
発売日 1991年12月20日
定価 7,500円
判定 なし
ポイント 批判されがちなビジュアルとアレンジBGM
ゲーム自体はHuカード二作分のお得収録
R-TYPEシリーズ


概要

1988年にてアーケードからの移植として発売されたPCエンジンHuカードソフト『R-TYPE I』『R-TYPE II』(『II』はアーケード版の同タイトルとは無関係)。容量の都合でステージ二分割での販売を余儀なくされたものの、当時としてはその移植度の高さで同ハードのキラーソフトとして貢献する事となった。
本作はその二作をカップリングし、スーパーCD-ROM2の性能を活かした専用のビジュアルシーン、及び生音源によるアレンジBGMを追加収録したソフトである。
一人プレイ専用、アーケード版同様の全8ステージ構成、周回プレイは存在しない。


評価点

  • ゲーム自体はHuカード版の二作のほぼ忠実移植をカップリングしたお得版であり、プレイする分には特に不備はない。Huカード版が好評を得ていたソフトなので、それを引き継いだ本作ももちろん、シューティングとしての完成度は高い。
  • 難易度が三段階から選択可能となっている。これはHuカード版には存在しなかった要素である。
    • 因みに難易度によってエンディング内容も変わる。
  • ビジュアルシーンのストーリーに関する描写はなかなか力が入っている。原作では絶対に見られないオリジナルエピソードであり、(やや簡素にまとめられてはいるが)主要キャラの心理描写もちゃんと描かれている。
    • 本作の自機は「R-9」の試作機(複座型)であり、主人公である乗機パイロットはリョウ・ミナモトとリィザ・ステファニーの二人。機体の操縦に熟知した民間人の設定。
      • ステージ4クリア後に民間人である主人公達を戦地に送る事に罪悪感を覚えた局長が、二人を戦地から外すように指示するものの、正義感の強い二人は局長の命令を無視して最終決戦に臨む、というドラマティックな展開が待っている。
+ そして戦いの結末は…
  • 難易度イージーの場合だと『バイド中枢から脱出後、無事に友軍機と共に帰還』、ノーマルでは『友軍機から遅れて帰還』、そしてハードの場合だと『脱出に失敗したのか、主人公のヘルメットが残骸と共に漂う』と言うまさかのバッドエンドである。
    • スタッフロールの曲も悲しげな物となり、最後にはドブケラドプスのビジュアルと共に「I'LL BE BACK」の文字が出るなど、後味の悪い結末となっている。

問題点

  • 上記概要の通り、本作には専用のビジュアルシーンが、オープニングや偶数ステージクリア後、エンディングにて挿入される演出があるのだが、世界観と素材の相性の不一致が問題とされた。
    • 原作では語られなかった人類側のサイドストーリーがあるのだが、このキャラクターデザインがR-TYPEの世界観と合っていないとして批判された。言葉でいい表すならば「やけにデザインが濃い」というべきか。
    • また、神谷明氏などの有名声優陣を採用したキャラ達の会話のやり取りもあるのだが、これもやはり不評である。神谷氏の声質と本作の雰囲気が合っていないという意見も多かった。 
    • 何とドブケラドプスが“音声付きで”喋る。これもやはり不評。
    • 但し、主に批判材料なのは人類サイドのキャラデザインとキャスティングのボイスであり、メカニックデザインやストーリー描写に関してはさほど大きな批判ではない。
    • また、ビジュアルシーンはいつでもスキップ可能なので、無理に見る必要はない。見たい人だけが鑑賞すればいいという配慮はなされている。
  • 本作専用にアレンジされたBGMも批判傾向にある。主な要因としてはこれもまた、R-TYPEの無機質さとは不釣合いな程のオシャレで綺麗な曲調のアレンジ化であり、「こんなのR-TYPEの曲じゃない」という意見が多い。
    • 残念ながら本作には原作版のBGMは収録されておらず、必ずこのアレンジBGMでゲームをプレイしないといけない事がさらなる批判となっている。また、サウンドテストも残念ながら不可である。
    • PCエンジンにおいて、方向性が変わり果てたアレンジBGMによる批判は『スーパーダライアスII』と並び、本作が引き合いに出されやすい。
    • 但し、これもあくまで雰囲気とアレンジの不一致による批判が主であり、「一風変わったアレンジとしてこれであり」「R-TYPEとして聴かなければそこまで悪くない」という声も多い。この辺もスパダラIIと似たような意見であろう。
  • Huカード版と内容は一緒のはずなのに、チラツキやスプライト欠けが発生する。
    • 実はHuカード版がPCEの禁則事項*1を知らずに破って製作されたものだったため、CD-ROM2版では制限内に収まるように意図的に「劣化」させているためである。
  • 定価が7,500円と過去作のカップリングソフトとしては少し割高。Huカード版は各4,900円なので、それを二つ合わせた定価より2,300円程しか割引されていない計算となる。

総評

ゲーム自体は決して劣化移植ではなく、Huカード版ではできなかった全8ステージ分をほぼ完全移植した集大成ソフトといえる存在。しかし、やはりビジュアルやBGMの蛇足感に不満を持つ者は少なくない。
批判される部分はプレイヤーの好みが大半を占める問題なので、単純にマイナスとみなし劣化移植判定と断言することはできないが、純粋なる完全移植ともいいがたい結果となった。


その後の展開

  • 本作発売後、アイレムは同じくPCエンジンスーパーCD ROM2で、自社制作STG『イメージファイト』の続編『イメージファイト2』をリリースした。
    • こちらの方も例によってビジュアルシーンの追加やBGMのアレンジがなされている。
    • しかし、あくまで「Huカード版の移植」だった本作とは異なりあちら側は「続編」であるためか、今度は「続編なのに書き下ろし新曲が極端に少ない」という批判が噴出した模様。
+ タグ編集
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  • 1991年
  • PCE
  • STG
  • 横シューティング
  • アイレム

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最終更新:2022年03月15日 03:40

*1 横320ドットではスプライトを16個並べるとVRAMの限界を超えてしまうため、14個までしか並べてはならない。