セガラリーチャンピオンシップ

【せがらりーちゃんぴおんしっぷ】

ジャンル レース
対応機種 アーケード(MODEL2A)
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼動開始日 1995年
備考 SS移植版に関する記事はこちら
(良作判定)
判定 良作
セガラリーシリーズ


概要

セガAM分室及びAM3研が開発した3Dラリーレースゲーム。プロデューサーは後に『スペースチャンネル5』『Rez』等を手掛ける水口哲也氏。
欧州で絶大な人気を誇るWRC(世界ラリー選手権)を題材とし、基板には『デイトナUSA』で高い3D性能を披露した「MODEL2」が使用されている。

AM2研製作の『デイトナUSA』とは違ったリアルさとカジュアルさを両立させた各システムが高く評価され、同作と共に全世界で大ヒットした。


特徴

  • 本作の大きな特徴として、ラリーレースであるにもかかわらず他の車と併走して順位を競うシステムになっていることが挙げられる。
    • 追い抜き型のレースゲーム自体は別段珍しくもなんともないのだが、ポイントはラリーレースであえてこのシステムを取り入れたということにある。
      • 実際のラリーは、一般的には車を1台ずつ走行させタイムを競うという形式となっており、レースゲームで言えば「タイムアタック」に近い。
        自車だけが寂しくコースを走りタイムを測るという仕様になりがちなラリーゲームにおいて、あえてそのルールを無視し、本作におけるゲーム性確立に成功した。
  • 本作には「プラクティス」「チャンピオンシップ」の2つのモードがある。
    • 「プラクティス」は、コースを1つ選び自車とCOM車1台の2台で並んだ状態からスタートし、タイムを記録するモード。
      • このモードのCOM車はそこまで速くなく、事実上のタイムアタックモードにあたる。
    • 「チャンピオンシップ」は、3つのコースを順番に1周ずつ走りその間にCOM車を追い抜いて高順位を目指し、またその合計タイムを記録するモード。
      • プレイヤーは最後尾の15位*1からスタート。ゴール時の順位と残り時間が次のコースに引き継がれる。
      • 残り時間はチェックポイント通過やゴールで加算されていく。残り時間が0になるとその時点でゲームオーバー。
  • 車種は実在メーカーから許諾を受けて精巧に再現された2車種から選択する。ミッションはオートマティック・4速マニュアルミッションが選べる。
    • トヨタ・セリカ GT-FOUR 1994年型
      • 赤と緑の「カストロールカラー」を纏った、日本製のクーペ型ラリーカー。デルタよりも安定性は高いが僅かに曲がりにくい。
      • 本作の開発時はまだ実車のラリーカーはテスト参戦するに留まっていた為、デザインもテストカー仕様に準じている。
    • ランチア・デルタ HF インテグラーレ 1992年型
      • 青と赤の「マルティニカラー」を纏った、イタリア製のハッチバック型ラリーカー。セリカよりも僅かに旋回力が高いが安定性に欠ける。
      • アルコール広告規制が厳しくなかった時代である為、酒類製造会社のマルティニのロゴが規制無しで入っている*2
  • コースは4種類存在する。
    • DESERT(1コース目・プラクティス3周)
      • アフリカのサファリラリーをモデルとしたコース。全区間ダートで構成されているが急カーブは皆無で、最終コーナー以外はほぼアクセル全開で走れる。
        但し中盤のチェックポイント後のカーブ・上り坂からの連続ジャンプスポット・シケインは、見通しが悪い上に車の姿勢を乱しやすいので侮れない。
      • ゴール直前にはヘリコプターが後方から出現するが、速いタイムで周ると音だけ聞こえて姿が見えない為、速く走れたかどうかの一つの目安になっている。
    • FOREST(2コース目・プラクティス2周)
      • 山間の森林を舞台したコース。ターマックからスタートし、序盤のトンネルを抜けてからはダートに乗り、再びターマックに戻って1周となる。
      • コース序盤の微妙に波打っているカーブや、中盤から連続する直角コーナーをいかに直線的に抜けられるかがタイム短縮のカギ。
    • MOUNTAIN(3コース目・プラクティス2周)
      • 全区間ターマック(道路脇にダート有り)で構成された市街地コース。高低差があり、V字型コーナーを含む大角度カーブが点在する難コース。
      • 順位に関係なくゴールすればチャンピオンシップは完走となるが、2位以下だとここでゲーム終了。
    • LAKE SIDE(隠しコース・プラクティス2周)
      • チャンピオンシップでMOUNTAINを1位でゴールすると走行可能な湖畔コース。プラクティスでは隠しコマンドを入力しなければ選択不可。
      • 最後に相応しく、全区間ダートかつ道幅がかなり狭いブラインドコーナーが連続するという、1ミスも命取りな最難関コースになっている。
      • このコースはタイムスコア記録には影響しない。チャンピオンシップモードでは完走・未完走に関わらず、エンディングが見られる。

評価点

  • MODEL2基板が実現した美麗なポリゴングラフィック
    • 本作の前年に登場した『デイトナUSA』同様、本作でもその性能がいかんなく発揮されている。
      • ジャンプスポットが複数配置され、2Dレースゲームでは表現できない高低差も体感する事ができる。
      • ドリフト時にカウンターを当てた際の前輪の細かな動きもきっちりと表現されている。
    • またフレームレートも60fpsと滑らかな動きも実現しており、スピード感溢れるドライビングが堪能できる。
  • グラフィックと筐体と、サウンドが見事に織りなすオフロードのザラザラ感。
    • MODEL2の粗めのテクスチャにリアルな土の上を滑る音、それを巧く受け止めている筐体、計算されつくした車の挙動が独特のザラザラとした「土感覚」を産んでいる。
    • 車体のレース車のデコレーションテクスチャが粗めなのも、「汚れ」を演出しているかの様。
  • 感覚に訴えるリアルな挙動
    • ヒットした大きな要因として、車の挙動がドリフト中の「タイヤの側面で砂利を押し分ける」感覚も再現されているほど素晴らしい点が挙げられる。
    • 従来のラリーゲームはオンロードのレースゲームに「滑りやすい砂地」や「ジャンプ台」等を付加した程度に過ぎなかった。
      本ゲームの挙動は、他のラリーゲームとは一線を画すどころか、隔絶といえるほど画期的な変化である。
    • それがラリー独特の様々な路面・微妙な傾斜等を、余すことなく感じ取れる楽しさを提供し、「ラリーゲームは売れない」ジンクスを打破したのである。
  • 過度な現実離れを防ぎつつ適度であるデフォルメ
    • ラリーを題材としている本作のコースはダート地帯がコースの半分以上を占める。その中では大きくハンドルを切るだけでも簡単にドリフトが可能。
      • ただしドリフト中は減速する為、なるべくドリフトを使わないように走るとタイムが伸びる。ドリフトしすぎるとスピンするので多用は禁物。
    • また壁に突き刺さると自動的に急旋回して進行方向に向き直る仕様になっており、復帰も容易。
      • ただしコース上で壁にぶつからず反対方向にスピンすると逆走になり、上記の救済措置は無い。
    • またラリーは単独で走るのみだが、本ゲームではレース型式としてあり、他車との競争という要素も加えてある。
    • ウィンドウに泥水が付着して見づらくなったりもしないし、ぶつかったからといって壊れる事もない。
      リアルなシミュレーターにした場合にありがちな煩雑さ・単調さを省く事で、感覚に訴える挙動を邪魔する要素を除いてあるのも重要な点といえる。
  • 進行方向を指示するコ・ドライバー(同乗者)の存在による臨場感
    • 本シリーズ独特の要素。コースマップが表示されない代わりにコ・ドライバーが次のコーナーやジャンプスポットを教えてくれる。
      • これにより実際に自分がラリードライバーとして運転しているかのような感覚にさせてくれる。
      • 黄色コーナーマークでは「Easy left, maybe.(緩い左カーブ、たぶん)」と思わずツッコミたくなる指示を言うこともあるが、
        これも現実のラリーでコ・ドライバーがドライバーに指示する際によく用いるワードで、この様な描写もれっきとしたラリー要素の再現である。
      • なお車が壁にぶつかるとコ・ドライバーが「ワオ!」と叫ぶ。
    • コ・ドライバーの指示は英語だが、同時に画面上に矢印のマークが表示されるため、聞き取れなくても心配無用。
      マークの色は青色>黄色>赤色になるにつれ、コーナーの角度が厳しくなっていく。
      • コース予告マークは、後にAM5研の後継チームが開発した『頭文字D ARCADE STAGE 8』で約20年ぶりに復活した。
  • BGMも評価が高い。
    • 全体的にアップテンポのBGMはそれぞれのコースにマッチしており、ドライバーの気分を高めてくれる。
    • ちなみにAC版のBGMの殆どは光吉猛修氏が作曲。本作ではそんなに歌いません。
      • SS版ではエンディングがボーカル曲となったが、同氏による歌唱ではない。
  • チャンピオンシップの隠しコース「LAKE SIDE」も制限時間内に走りきると、エンディングで自分の走りを鑑賞することができる。
    • なお「LAKE SIDE」でタイムアップしてもエンディングは流れるが、誰も走っていないコースを延々と映すだけで自分の走りを見ることはできない。
    • プラクティスモードでも同様。

問題点

  • チャンピオンシップの制限時間設定が厳しめ。
    • まず「MOUNTAIN」まで走りきれるかどうかが一つ目の関門。難易度ノーマルでは3分32秒で走り切らねばならない。迫り来るコーナーの数々に手こずるとあっけなくタイムアップ。
      • この設定では完璧に走っても20秒も残らない。「完走する」ことを目標としていたプレイヤーさえいた。
      • ゴール時の残り時間が次のコースの制限時間に加算される仕組みの為、途中のタイムロスがゲームの最後まで影響する仕組みになっており、時間の余裕の無さに拍車をかけている。
    • 最大の難関が隠しコースの「LAKE SIDE」。コース自体の難しさも相まってゴールまで間に合わないプレイヤーが続出した。
      • 「誰でも完走できる設定だとモチベーションが上がらない」「これくらい厳しい方がいい」という声もあるので、賛否両論といったところだろうか*3
    • 「LONGEST」で1コース5周の設定になった場合は完走しやすくなっている。99秒で制限時間がカンストしている様子を見ることができる。
      だが、敵車と敵車との間の距離がかなり離れている上、相当な実力がないとEXステージ進出すら絶望になっていく。「DESERT」では9位、「FOREST」では3位でゴールしないと絶望的。
    • ノーマルよりも初期制限時間が10秒延長されているイージーでも、チェックポイントでの可算タイムがノーマルより少ないという設定にされており、最終的に残るタイムは殆ど同じ。
    • PS2版では低難易度としてイージーよりもさらに10秒制限時間が延長された「ベリーイージー」が追加され、この問題が僅かに緩和されている。
  • どんなに強く壁に激突してもクラッシュしない。
    • この仕様を生かした壁ターンも研究され、きれいにドリフトしてクリアするよりも速く抜けることができてしまうコーナーが複数存在する。
      • 特に有名なのが「FOREST」の直角右コーナー。真っ直ぐ壁に激突してそのまま右に方向転換することで、ブレーキ無しでも曲がれてしまう。
        現実でこんな事をするのは命に関わるほど危険。ただこのコーナーはエンディング時のリプレイポイントのひとつにもなっており、ドリフトで上手く切り抜けた方が格好良く映る。
  • セガお得意の「VRボタン」が搭載されておらず、視点が2種類しかない。
    • 「コースだけ見える一人称視点」と「三人称の後方視点」のみ。1種類しかないよりはマシではあるが…。
    • DX筐体かTWIN筐体かによって(正確にはゲームの設定によって)後方視点で映るマシンの大きさが変わる。

総評

従来のレースゲームのように他車と併走するシステムを導入し、ラリーにゲームとしての面白さを取り入れた意欲作。従来の「ラリーゲームは売れない」というジンクスを打ち破った。
一方でドリフト時の挙動やコ・ドライバーの存在などラリー独特の要素はきちんと取り込まれており、ラリーレースゲームならではの世界観を良く表現しているといえる。
本作の人気・知名度は高く、同時期の『デイトナUSA』と共に語られる事が多い。その後も『セガラリー』シリーズはアーケード・コンシューマー向けに多くの続編を生み出す事となる。

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