Wii Music

【うぃーみゅーじっく】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 Wii
メディア 専用12ch光ディスク 1枚
発売・開発元 任天堂
発売日 2008年10月16日
定価 5,524円(税別)
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 賛否両論
ポイント Touch! Generations最大の問題作
確かにとっつきやすいがやりこみのハードルが高い
Touch! Generationsシリーズ


概要

『Touch! Generationsシリーズ』の一角である音楽ゲーム。「音ゲー」ではなく「音楽ゲー」である(後述)。
多彩な楽器を簡単な操作で演奏体験できるのが特徴。

特徴・評価点

  • 唯一無二の音楽ゲー?
    • いわゆる「画面を流れるマーカーに合わせて操作を行い、スコアを競う」という一般的な意味の「音ゲー」と本作は一線を画す存在である。なお、楽譜はあるが表示させないことも可能。さらに言えば、楽譜などは無視しても問題は全くない。
      • やるべきことはただ一つ。「楽曲と楽器を選び曲を演奏する」。これだけである。何が起ころうが、自分で中断しない限り演奏は最後まで続くし、最後までリモコン振りっぱなしだろうが、逆に一回もリモコンを使わなかろうが、無問題。
      • まず、スコア・クリアといった要素は本作には一切存在しない。一応点数はあるが、自己採点である。なお、ミニゲームではスコアが記録されるが、点数に関わらずプレイするだけで隠し要素は解禁されていく。
    • 演奏は用意された楽曲の各パートを担当することで行う。各パートの楽器はデフォルトで設定されているが、ある程度の幅で自由に変更可能。複数人プレイでの合奏も可能で、人間が担当しないパートはNPCが自動で演奏してくれる。
      • 操作方式はリモコンを振ったりボタンを押すだけ。徹底的に「楽器を演奏すること」にこだわっており、フィーリングで自由に演奏してしまってOK。後述するように音程は勝手に調整してくれるが、ビブラートを効かせたり、半音上げ下げするなど細かいテクニックを取り入れることも可能。
      • 演奏した曲は後述のクリップに保存される。このクリップ作成が本作の主目的になる。
  • 演奏の自由度の破格の高さ。
    • 楽器の演奏において最も高いハードルである「音程の調整」が本作では全く必要ない。音程はオートで調整されており適当に操作しても、ゲーム側が演奏中の楽曲に合わせて順当に調整してくれる。
      • このためどれだけ下手でも最悪でも「かろうじて曲名は分かる程度の雑音」には仕上がる仕様になっている。素人がやっても音楽にはなるというのは、地味に楽しい。
    • 操作で変化するのは主に音の大きさや長さなど。ギターの速弾きも可能である。
      • 「リモコンを適当に振るだけ」でもそれらしい音にはなるので、操作性のハードルは非常に低い。
      • ただ打楽器系やマラカス等の両手で演奏する楽器は終始休み無く譜面が続く曲が多く、リモコン単体では厳しいのでヌンチャク推奨。
    • アレンジは自由自在。センスさえあればロック調やジャズ調、レゲエ調にダンスミュージック調、和風、等多彩なアレンジを施した演奏が可能になる。
  • 演奏した曲は「クリップ」というPVのような映像にまとめられる。
    • 最大で100曲保存できる。さらにWi-Fiでフレンドに送ることも可能だった(現在はサービス終了)。
      • 簡素な物だが、アルバムパッケージも自分で作れる。演奏場所も複数から選択可能。
    • 演奏は最大6箇所のパートに分かれて行うのだが、「一箇所演奏した後パートを変えてもう一度演奏」を繰り返すことで、全てのパートを自分で演奏した曲にすることが可能。もちろんリモコンが人数分あれば最大4人でのセッションもできる。
      • 他人のクリップに合わせて演奏することも出来るので、フレンドと距離と時間を無視したセッションも可能である。
  • 収録楽器数の多さ。全66種類。
    • 鍵盤楽器だけでも定番のグランドピアノから電子ピアノ、トイピアノからチェンバロまで多彩。弦楽器はギター、ベース、三味線、シタール、ウクレレ、バンジョーと古今東西揃っている。中には「ファミコン」「イヌ」「ネコ」「瓦割り」なんて一風変わった音色*1もある。
      • 操作系統も基本はたった5種類と非常にシンプルで覚えやすい。
      • 各楽器には簡単な解説も付与されている。この文章もなかなか味があって面白い。

問題点

  • やりこむと見える底の浅さ。
    • 音楽を演奏するだけのゲームなのでやりこみ要素が殆ど無い。
    • 収録楽曲数が少なめ。曲のジャンルも半分以上がクラシック音楽や童謡、民謡であり、ポップス等のポピュラー音楽が薄い。一応プレイし続ければ『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオブラザーズ』のBGMも演奏可能になるが。
      • せっかくのWi-Fi対応を生かし、新楽曲配信に対応しても良かっただろう。
      • 何故か「四季-春-」と「ぶんぶんぶん」はミニゲーム専用になっている。特に「四季-春-」はクラシックの定番中の定番なので通常プレイでも選べるようしてほしかった所。
    • 操作系統が基本5種ということは、結局の所どれを演奏してもやることは大差ないということでもある。ドラム系はバランスWiiボードを用いた本格派操作も可能だが、それ以外の楽器はやることが単純すぎる。基本的にどの楽器も同じ振り方で演奏が出来る。
  • 演奏風景が寂しい。
    • どの演奏ステージも広い空間に数人のMiiが演奏している風景が写っているだけで非常に画面が寂しい。
      • ただ一部のステージでマリオやゼルダの伝説の曲を演奏すると、後ろのモニターに演奏したタイミングでキャラが流れる演出がある。
  • モチベーションが維持しにくい。
    • 一通り楽器を演奏してクリップをいくつか作ると、途端に目的意識が薄れてしまう。楽器解禁も割とあっさり終わり、ミニゲームも3種しかないので、そこから先はひたすらクリップ作成しか楽しむ要素はない。
      • センスさえあれば演奏の自由度の高さは非常に面白みがあるのだが、特に楽曲造りのセンスもない人にとってはかなり不毛に感じてしまうところである。
  • レッスンがくどい。
    • 応用レッスンを終わらせないと全ての楽器を選べないのだが、何度も同じ曲を演奏してセッションの体験を強制的にさせられる。地味に面倒である。
  • クリップで表示されるグループ名は強制的に「Miiの名前+フレンズ」や「Miiの名前+オールスターズ」などの中からランダム決定される。
    • 自分でグループ名を決定できないというのは演奏の自由度に対してやや愛着を感じにくいところである。

総評

非常に評価しにくいソフトの1つである。本作を一言で言うなら「色々な楽器の音が出る幼児向けのオモチャのスゴイ奴」だろうか。
センスさえあれば「音で遊ぶゲーム」としては最高峰とも言える自由度の高さ、選択肢の豊富さを誇る一作になりうる…のだが、特にそこまでのセンスも持ち合わせていない凡人にとっては目的意識もはっきりせず「なんかスゴイんだろうけど自分にはよくわからない」存在になりかねない。
ある意味『Touch! Generations』の本来の意義である「万人向け」の対局に位置する作品である。

余談

  • 社長が訊くWii Musicで当時の任天堂社長である岩田聡氏本人が「本作の評価は世間では二分されている」と話している。つまり本作は社長公認の賛否両論作とも言えるかもしれない。
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最終更新:2022年11月08日 22:49

*1 もっとも、実際の音楽においても、こうした音色が使用される事がある。