禁忌のマグナ

【きんきのまぐな】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DSカード
ダウンロードソフト
発売・開発元 マーベラス
発売日 2014年10月2日
定価(税別) パッケージ 5,980円
ダウンロード 5,537円
改定後 2,500円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 クソゲー
ポイント 『ルーンファクトリー』スタッフが製作(嘘)
色々と手を出した結果、色々と悲惨に


概要

  • ルーンファクトリーシリーズ』(以下RF)を手がけたスタッフによる…と謳われた完全新作シミュレーションRPG。
    様々な精霊達と共に宿屋の経営やバトルをするのが目的とされている。
    • それまでシリーズを手がけてきたネバーランドカンパニーの倒産から数ヶ月、急遽発表された本作は、当時より「RFスタッフによる新作」であることが大々的にアピールされており、「宿屋でヒロインたちと共同生活」という設定とRF以上にギャルゲー然としたビジュアルで、「シリーズの遺伝子を受け継いでいる」というファンの声と、『3』・『4』がいずれも良作だったことで必然的に期待されていたが、同時に『1』・『2』がクソゲーだったために不安を覚える人もいた。
      • そして満を持して発売された本作は、残念ながら後者の想像通りの結果になってしまった。
      • ただ、スタッフロールによると実際はRFシリーズのスタッフはデザイナー以外ほとんど関わっていない模様。
  • 戦闘システムは、毎ターン溜まるAP(例えるなら『FF外伝』に近い)を用いて行動するマスのないフリーランSRPG。
    • APを消費することで「通常攻撃」「スキル」「ガード」「アイテムの使用」ができる。
      移動にはAPが必要なく、何もせずターンを終えることでAPを貯めることもできる。
    • 敵ユニットは指揮官(リーダー)+雑魚敵複数で配置されており、雑魚敵を倒しても指揮官が体力を削ることで召喚してくる。
      これを利用し、指揮官だけでなく雑魚敵もまとめて攻撃し、召喚による自傷で体力を削るという戦略もとれる。
    • 一度の攻撃で複数の敵を倒すと「コンボ」となり、10コンボを達成すると再行動ができる。
      雑魚敵は倒すと吹っ飛ばされ、吹っ飛んだ先にいる雑魚敵をドミノ倒しのように連鎖して倒していくのでコンボを稼ぎやすい。
    • 条件を満たしたキャラクターは、敵を倒すと「テンション」が貯まるようになり、そのテンションを消費して「奥義(マグナ)」を使用できる。

問題点

シナリオ

商品説明には「精霊(ヒロイン)達と交流を深めながら、バトルと宿屋生活を満喫しよう!」とあるのだが……。

  • 全体的にテンポが悪い
    • 戦闘だけでなく会話など、とにかく様々な場所でテンポが悪く、物語がなかなか進まない。
      • 会話パートはスキップ機能が無く、キャラのリアクションも全体的にもっさりしている。
        また、会話をしつつリアクションを取る、ではなく、会話とリアクションが別個に行われるために尚更時間がかかる。
      • 後に配布されたパッチのメッセージスキップ機能により改善されてはいる。*1
  • 薄めのサブ要素
    • ヒロインである精霊達は7人いるが、いずれも会話のパターンが少なく愛着がわきにくい。
      • しかもほとんど自由会話ができず、大半は下記のイベントで済まされる。
    • 各ヒロイン毎に「ETRシステム」という、いわゆるデートイベントが存在し、達成することで「奥義(マグナ)」が開放されるのだが、実はメインイベントを進行させるために必須のイベントであり、しかもそのタイミング毎に選べるヒロインが固定されている。
      ヒロイン全員が揃っていない状態や、目当てのヒロインが候補にない場合でも達成しないといけない。
      • このデートイベントは各ヒロイン毎に3段階用意されているのだが、初めてデートイベントを行う相手だからといって1段階目のイベントが起こるというわけではない。
        例えば相手をヒロインAとBから選べる機会が3回あり、1・2回目はAを選んで3回目にBを選んだとする。この場合Bとのイベントは初めてのはずだが、まるで1・2回目もBを選んでいたように3段階目のイベントが進行していく。
        メインイベントの合間に発生する都合上仕方がないのだろうが……。
      • デートイベントなのに、なぜか必ずバトルが入るのも意味がわからない。
    • なぜかシャルだけ強制的に発生するETRイベントが一つ存在している。
      そのため他のヒロインを選びたい場合、シャルのETRイベントを避ける必要性が出てくる。
      なぜなら一番多くETRイベントを発生させたヒロインがメインヒロインに選ばれるからである。
      • ちなみに一周で攻略できるヒロインは一人だけである。周回を重ねるごとに攻略したヒロインには☆マークがセーブデータについていくので、全員攻略するには7周する必要がある。
      • なお全員攻略したからと言って、特に追加イベントなどは無い模様・・・
  • 宿屋経営の設定が死んでいる
    • 宿屋と聞けば、集客や改装など色々とゲームにできそうな要素があるはずだが、それらが一切無い
      単なる物語の拠点としての存在でしかなく、わざわざ宿屋にする必要性もあったとは言いがたい。
      • ちなみに、仲間になったヒロインは宿屋でメイドとして働くことになるのだが、そのヒロイン達で部屋が全て埋まってしまう。
        ヒロイン達は相部屋をしているのでゲームの画面外にも部屋があるとは考えづらく、もし客が来たとしても泊められる部屋が無い。
      • 一応「客のこない宿屋」という説明があるが、尚更宿屋である意味が感じられない。
  • ストーリーも唐突かつ説明不足
    • 世界設定や日常パートといったサブ要素も無いため、全く感情移入できない。
    • メインシナリオのテキストのみに登場し、本編には一切姿を現さないサブキャラクターも存在する。
      スタッフロールや一部のテキストで名前は表示されるものの、よほど注意深くプレイしなければ気づくのは困難なので、正体が分からず困惑したままプレイした人も少なくないと思われる。
    • 全体的にシナリオが暗い。

バトル

  • 使い勝手が悪すぎるスキル
    • 毎ターン1ずつ溜まるAPを消費して行動するシステムで、ほとんどのスキルは使用にAPが2以上必要だがそれに見合う威力がない。消費2のスキルでも威力は消費1の通常攻撃と同等ぐらいのものが多い。
      • スキルは範囲が広めで「コンボ」が狙いやすくなるが、追加ターンでできることは通常攻撃くらいなのでコンボを狙う意義も薄い。
      • また、スキルのバランスや調整も杜撰。消費APが多いスキルが威力、範囲ともにそれより消費APが少ないスキルに劣っていたり、ダメージ&追加効果がある説明なのに、追加効果がほとんど発生しないスキルもあったりする。
        回復に関しても同様で、主人公固有の範囲回復スキルが消費2で3000回復(中盤までは全回復と同義。終盤でも体力の1/2を回復できる。)と破格の回復量を誇り、2ターンに1回全員ほぼ全回復というゴリ押しができてしまう。
      • 一部のスキルには通常攻撃より効率がいいものもあるので、増加AP量UPや消費AP量DOWN効果の装備が手に入るとある程度スキルメインの戦い方ができるようになる。
        ただし入手は中盤以降で、入手にはそれなりに手間がかかる。
    • 「テンション」を貯めて使える「奥義(マグナ)」も同様で、大仰な演出があるのだが威力はスキルと大して変わらず、通常攻撃2回分のダメージが出れば良い方である。
  • 扱い辛いコンボシステム
    • 概要に記した「コンボ」システムによって、雑魚敵を吹っ飛ばして再行動を狙おう……というのがウリなのだが、うまく機能しているとは言い難い。
      • まず、狙ってもほとんど繋がらない。倒した敵が見当違いの方向に飛んでいったり、当たっているように見えても当たっていないなどということはザラ。
        そもそも指揮官によって従えている雑魚敵の数がまちまちで10体以上を従えているものは少なく、コンボを狙うには複数の指揮官に囲まれる必要がある。
      • 再行動できたとしても増加するAPは1(増加AP量UPの装備を持っていても変わらず1)なので、再行動したところでできることが少ない。
      • 雑魚を倒してもお金こそ貰えるものの、経験値ゼロのため、無理に倒す必要は無い。
        「テンション」は貯まるが上記の通り「奥義」に旨味が少なく、せいぜい雑魚敵の召喚で指揮官を消耗させられる程度。
      • 経験値を持っているのは指揮官だけなので、下手にコンボを繋げて行動回数を増やそうと意識するよりも、総力で指揮官を潰す方が早く戦闘が終わる。むしろ雑魚は移動の邪魔になる上にチクチクと突いてくる邪魔な置物としか機能していない。
      • しかしそんな雑魚の弱さに反比例して、指揮官はかなり強め…どころか、体力や攻撃力がやたら高かったり雑魚を召喚しまくったりなど、どちらかというと面倒な相手。
    • この手のゲームのお約束として「属性」「必殺技」などといったものは一通り揃っているうえに、キャラクターごとに属性や状態異常に対する耐性が細かく設定されている。だがそれらが戦略に影響することはほとんどなく、戦闘の効率を考えると「雑魚は放置でひたすら指揮官を集中砲火」という「レベルを上げて物理で殴る」戦法が一番効率が良いという結論に落ち着く。
  • 司令官と雑魚を召喚するジェネレーターのHPが異様に高い
    • 雑魚は一発で死ぬのに対し、指揮官のHPは非常に高い(雑魚のHPは多くとも3桁止まりなのに、中盤以降の指揮官のHPは平気で数万あったりする)。そのため一回の戦闘も必然的に長引きがち。
    • ザコ敵を召喚する時にHPが一定量減るが、その量は申し訳程度。攻撃中に再召喚されるのは日常茶飯事。
    • 難易度を下げるとなんと敵HPが半分になる。だがそれでもまだ高く感じる。
  • 状態異常ゲー
    • 敵に投げることにより状態異常にさせるアイテムが存在するのだが、なんと雑魚敵はおろかラスボスにまで効いてしまう。しかも成功率は100%。
      そのため高い体力の敵は「衰弱(他のゲームでいう毒)状態」によるスリップダメージで削るという戦法がセオリーになってしまう。
      • ラスボスは味方キャラを一撃で倒す程度の大ダメージを与えてくる場合があるが、通常技扱いではないので状態異常の1つである「スキル封印」で封じられる。つまり衰弱+封印でラスボスを完封出来てしまうということ。
      • ただこの戦法を使わない場合、非常に高いHPと”すべてのダメージを無効化するバリア”を張られるため、非常に面倒くさいボスとなる。
    • 状態異常の種類もムダに多い。なんと13種類もある。
  • 出撃人数の問題
    • ヒロインの人数(7人)に対して出撃選択枠が少ない。「主人公(固定)と、ヒロイン3枠」となっている。
      • 設定上では主人公は非力で、指揮でヒロインたちをフォローする……筈だったのだが、「専用スキルが支援のみ」「通常攻撃の範囲が狭い」といった点を除けばステータスは平均的。汎用スキルは使えるので、最終的にブラックホールで敵を殲滅できるようにもなる。
      • とはいえ、回復・蘇生ができる貴重なキャラなので実際は後方支援に回る事も多い。
  • 移動の問題
    • 仲間をすり抜けることができない。このため狭い道で仲間が邪魔で進めないことも。
    • さらに敵が召喚する大量の雑魚に埋め尽くされ、身動きすら取れなくなる。

その他

  • 宿屋では温泉に入ることができ、温泉の素を使うことで特殊効果を得られるのだが、得た効果名だけが表示され具体的な内容は表示されない。
    これは同名のスキルがあり、それと同じ効果を得ているのだが、そのスキルを所持していなければ分かるはずもない。

評価点

  • フィールドで表示されるちびキャラは、見た目もモーションも可愛らしく作られている。
    • キャラデザも、このゲームだけで終わるには勿体ない位には良い。
  • 「コンボ」システムも、複数の雑魚敵を一掃することができれば爽快感があり気持ちいい。
  • 拠点から「フリーバトル」に向かうことができ、自由にレベル上げができる。各マップ毎に対象レベルも設定されており難易度の把握もしやすい。
    • 得た経験値やアイテムはそのままに途中で撤退することもできるので、高いレベルのマップで指揮官を1体だけ倒して撤退……といった手を使うこともできる。

総評

「RFシリーズのスタッフが製作!」と宣伝し、シリーズファンが楽しめるようなことを謳ってはいたものの、作り込みが甘くシリーズファンのほとんどは楽しめない出来となってしまった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2021年07月24日 21:45

*1 キャラアクションだけでなく会話もスキップしてしまうため、シナリオを読むためには結局テンポの悪い会話を見ることになるが…