ドギューン!!

【どぎゅーん!!】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売元 タイトー
開発元 東亜プラン
稼動開始日 1992年11月17日
判定 なし
ポイント 東亜センス炸裂
井上淳哉のデビュー作
東亜プランSTGシリーズ


概要

  • 8方向レバー3ボタン使用の縦画面シューティング。
    • 2人同時プレー、途中参加可能。
    • 当作品は東亜プランで唯一3ボタン使用するゲームである。
  • ストーリーはエイリアンに捕らわれた仲間を救出及びオープニングデモ*1で敵に殺害されるカイルの仇打ちを果たすというもの。
  • 全10ステージ永久ループ。
    • …の筈なのだが、実際には5周目に突入するとバグでゲームが停止してしまう。

システム

  • ボタン1でショットボタン。一部の武器は押しっぱなしである程度連射してくれる。
  • ボタン2はスピードアップ&ボンバー。特定のアイテムを装着時に使用。
  • ボタン3は自機後方にキャプチャービームを発射。
    • 2人同時プレーの時にもう片方の自機にこのビームを当てる事で合体、メインショットが強化される。
    • また、インストにはないが一部の敵を同社の過去作『ゼロウィング』のプリソナービームのように吸い付けてバリア代わりにする事が可能。
      • 敵を吸い付けている間はスコアが自動で加算される。さらに吸い付けている敵は敵の攻撃に一回分だけ耐えてくれる盾となる。
      • ちなみに敵だけではなくアイテムカプセルも吸付け可能。
  • 道中のカプセルを破壊するとアイテムが出現。
    • メガショット(青): 正面方向にのみ発射されるショット。スピードアップ装着時はオプションから細いレーザーが出るようになる。スピードアップ装着時は割と万能に使える。
    • サイコビーム(紫): 大きく弧を描いて敵を追尾する長いビームを発射。威力は高いが連射出来ない為、小さい敵が大挙してくる場面では不利。追尾性能は地上物が優先される。
    • Vレーザー(緑): 自機先端からVの字の稲妻のようなレーザーを発射。押しっぱなしで発射される。威力が低い為堅い敵は苦手。
    • ホーミングファイヤー(橙): 屈折しながら敵を追尾する2本のビームを発射。ある程度連射が利くため使い易い。追尾性能は空中の敵が優先される。
    • スピードアップ: ボタン2を押している間高速で動けるようになり、さらに自機の左右にオプション(弾消し能力有り)が付く。
    • ボンバー: 1回きりの使い捨てボンバーを装着。威力はかなり高い。
    • 100000点ボーナス: 100000点加算される。
    • 1UP: 自機を1機追加。一度取るとそのゲーム中では二度と出現しない。
    • ロボット変形: 最終面にのみ出現するアイテム。取ると巨大なロボットに変形し、一定距離まで無敵状態で進める。
  • スピードアップとボンバーは排他使用でどちらか片方しか装備出来ない。また、スピードアップとボンバーはボタン3を押す事で後方に捨てる事が出来る。

評価点

  • 独創性の高さ。
    • 最終面では前述したロボット変形アイテムを取得し、敵のロボットと殴り合いと、今まで小さな自機で敵の攻撃をかいくぐってきたプレイヤーにとってはとても予想出来ない展開。
    • 無敵状態で敵ロボット軍団を一網打尽にする様はある意味このゲームを象徴する場面と言える。
    • タイトルにしても擬音をそのままゲームのタイトルにするというのはこの『ドギューン!!』くらいのものだろう。
  • 敵のバリエーションが豊富。
    • 1面から10面に至るまで雑魚、中ボスの使い回しが全くと言って良いほど存在しない。行く先々で全く違う敵が登場するので新鮮味がある。
      • さらに1面あたりの敵の種類もかなり多い。
  • 細部まで描き込まれたグラフィック。
    • 後期の東亜プランらしい硬派な色使いでありながらも細部まで描き込まれており、非常に美麗。
      • 地上敵を倒すと残骸から炎が燃え上がるのだが、時間が経つと炎の燃え上がりが弱くなっていくという凝った描写もある。この描写は、過去に同社が制作した「大旋風」にも見られる。
  • 東亜節全開のサウンド。
    • 『達人王』の基板から音源も新しくなった*2が、それらを駆使して奏でられる重厚なBGMはどれもカッコよく、ゲームを一層盛り上げてくれる。

問題点

  • 難易度が高い。
    • 流石に本作の前に出た『達人王』程の難しさは無いが、後半面になると敵弾がかなり速くなり一般プレイヤーではまず避けられない。このゲームは東亜作品では珍しく時間経過で難易度が上昇する*3。ノーミスで進んだ場合4面から敵弾が高速で飛ぶようになる。
    • 一応ミスするとランクは下がり多少敵弾も遅くなるが、少し時間が経つとすぐに元の速さに戻ってしまう。
    • そしてこのゲームで難易度を落とす方法は「ミス」のみ。1UPやスコアエクステンド(デフォルト設定では20万点の1回のみ)に限りがあるにも拘らず、である。*4
      • 残機が増えにくく難易度が上がりやすいのもプレイヤーを選ぶ要因になってしまったように思える。
  • ボタン3のキャプチャービームがあまり生かしきれていない。
    • 2人プレーならともかく、1人プレーだと敵を吸い付けて気休めの点稼ぎをする、くらいしか使い道がない。おまけにこのゲームは後方から敵が攻めてくる場面はあまり無いので盾としても機能させにくい。
    • せめて『ゼロウィング』のように自機前方ならもっと生かせたシステムだったかもしれない。
  • 簡単に実行出来てしまう永久パターンがある。
    • 敵をキャプチャーしてボスの安地に入り込む事で永遠にスコアが入り続ける(このゲームはボスが自爆しない)。
      • この永久パターンのせいでハイスコア集計は早々に打ち切られてしまった。奇をてらって導入した(と思われる)要素が、永久パターンの原因になるというのはなんとも皮肉な話である。
  • 5周目のバグの存在。本作は5周目の1面に突入すると画面が乱れてゲームがストップしてしまう。

総評

本来『達人王』より先に稼働する筈がロケテスト・延期を繰り返した挙げ句あまりプレイヤーへの受けが芳しくなかったという不遇の作品。*5
一つのゲームに色々詰め込みすぎたせいで何がしたいのかよくわからないゲームになってしまったように見える。タイトル通り何でもありと言えばそれまでだが…。
しかし最終面での巨大ロボットへの変形や、擬音を使用したゲームタイトル等、他のゲームにはみられない強烈な個性を盛り込んだ東亜プランのチャレンジ精神は賞賛に値する。


余談

  • 現在は高田馬場にあるゲーセン、ミカドが新宿にあったころ、作曲者兼プログラマーの上村建也氏を招いてのトークショーが開かれ、その際に東亜プラン時代で最も思い入れのある作品として本作を挙げている*6
    また、「ドギューン!!」のタイトルを思いついたのも自分だと述べている。
  • 本作は後に東亜プランのスタッフが立ち上げた会社「CAVE」にて多くのキャラクターデザインを手掛けていたイラストレーター・漫画家の井上淳哉氏のデビュー作として知られている。
    • 本作で氏が担当した部分はOPデモで、デビュー早々後のCAVEシューにも通じる濃いメカニックをデカデカとOPに登場させたのは賞賛に値する。
    • ちなみに、本作のOPデモを手掛けた理由としては、氏曰く「新人研修の一環」との事。
  • 開発中のバージョンではボンバー装備状態だと1発分の被ダメージを防ぐ、所謂オートボムの効果があった。
  • 本作の5000点ボーナス及びエクステンド時の効果音はバラエティー番組『くりぃむクイズ ミラクル9』に使用されている。
  • 2022年に発売された「アストロシティミニ V」にて初の家庭用移植版がリリースされた。5周目のフリーズバグが修正されているが、永久パターンは修正されていない。
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  • タグ:
  • STG
  • 縦シューティング
  • 東亜プラン

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最終更新:2024年04月11日 18:51

*1 井上淳哉氏が東亜プラン入社後、最初に担当した仕事がこのパートだったという

*2 過去作で使われていたYM3812からYM2151(FM音源8ch)+M6295(ADPCM4ch)に変わっている

*3 いわゆる「タイマーランク」と呼ばれているのがこれ。

*4 裏技扱いだが、4面ボス撃破直後に出てくるカプセルは1UPアイテムで固定されている。その際、カプセルは破壊せずにキャプチャーし、そのままの状態で5面ボスを倒すと残機が2機増えるのでランク調整に利用する手段としても使う価値はあるが難易度が高いので上級者向けではある

*5 元々、1992年2月に開催されたAOUショーでも開発バージョンがプレイアブル展示されていた。だが、前述の理由で『達人王』→『フィグゼイト』の後に正式稼働となってしまった。

*6 また、クラリスディスクから発売されたカップリングサントラである「東亜プラン アーケード サウンド デジタルコレクション Vol.2」のインタビューの中で上村氏は「やっとPCMが使えるようになったとはいえ今度は逆に容量と音質の問題で苦労し、大容量のROMを使用していなかったのでビットレートは低くせざるを得なかった。でも、ドラムの音だけは綺麗に出したいと思って試行錯誤と苦労をした分、『ドギューン!!』は自分の中で一番好きなタイトル」という旨を述べている。