パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~

【ぱろでぃうすだ しんわからおわらいへ】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 コナミ
稼動開始日 1990年4月25日
プレイ人数 1~2人(交代)
判定 ゲームバランスが不安定
バカゲー
ポイント パロディウスのAC初進出
以降のスタンダード
ランク上昇のインフレぶり
グラディウスシリーズ

概要

  • パロディウスシリーズ第2弾で記念すべきアーケード版第1作目の作品。だが本作はグラディウスシリーズからまだ独立しておらず、グラディウスシリーズの第5弾扱いだった。
  • 元々はMSXで発売された『パロディウス ~タコは地球を救う~』(以下初代)を大幅にグレードアップしたものである。そしてサブタイトルも『グラディウスIII -伝説から神話へ-』のパロディ。
    • なのだが、MSX自体の知名度の低さ*1、及び初代が他機種に移植されなかった*2事もあって、本作が元祖扱いされたり”パロディウス”と呼ばれたりすることも多い。
  • 本作のアーケード版は、コナミのゲームとしては非常に珍しい2周エンドである。2周目クリアのエンディング後、そのままゲームオーバーとなる。

ストーリー

西暦1990年、ソ連民主化の動向が注目されている頃、全世界の人々は夢を失いつつあった。
役人たちは私腹を肥やす事を至福とし、子ども達は親よりもパソコンを愛し、
女性社員はセクシャルハラスメントの恨み晴らすめェ!と立ち上がり、
若者は人類滅亡の危機を感じながらもゲームセンターに通っていた。
これら諸悪の根元は……? 語るもおぞましや、磔にされた謎の大ダコだったのだ!

その頃、宿敵バグとの死闘を終え、有給休暇をとり、
田舎でのんびりと百姓仕事に精を出すMr.パロディウスことタコの姿があった。
わが家の建て売りツボに帰り宇宙新聞を見た彼は、驚きのあまりマナ板から転げ落ちそうになった!

そこには今地球を賑わしている謎の大ダコの顔写真があった。
「とーちゃん!?」
何とそれは2年前から行方不明となっていた彼の父だったのだ!
そこへ新聞を見た旧知の友が駆けつけた。

ビックバイパー。第3次G大戦終結後、退役してたいやき屋を始める。58歳。
ツインビー。双子のかたわれ。可愛い顔してハデに敵をやっつける怖い奴。17歳。
ペン太郎。趣味はエアガンごっこ。ペンギンとペン子の間にできた子。9歳。

タコは事の真相を探るため、仲間と共に再び地球をめざして旅立った!

(サウンドトラックより引用*3

システム

基本操作

  • 1レバー3ボタン制、ボタンはそれぞれショット・ミサイル・パワーアップと、グラシリーズおなじみのUI。
    • 後述するベルパワーの一部も、ミサイルボタンで発動する。
    • 3ボタンでの操作が難しいという初心者プレイヤーのために、パワーカプセルを取ったら自動的にパワーアップする「オートモード」が搭載されている。この場合はショットとミサイルが兼用になり、ベルパワーの一部も兼用ボタンで発動する。
  • パロディウスシリーズ特有のシステムとして「ルーレットカプセル」がある。本作でも初代から引き継いで登場し、後の作品にも引き継がれていく。
    • 見た目は普通のパワーカプセルと一緒だが、取ると同時に高速でパワーアップゲージが回転し、パワーアップボタンを押した時に指していたマスのパワーアップを取得できる。目押しも一応可能。
    • またルーレットの目押しミスのペナルティ扱いとして「!?」というマスがあり、ここでパワーアップボタンを押してしまうと全ての装備が剥がされてしまう(初代の「何~やそれ!」に相当)。
  • ツインビーシリーズでおなじみの「ベルパワー」は、初代にもあったが、大幅な変更を加えて本作にも登場している。
    特定の敵を倒すとパワーカプセルの代わりにベルが出現。撃つとベルの色が変化し、取得時の色によって得点や様々な効果が得られる。
    ベルパワー使用時はバリアが使えない。装備してても消える。
    • [黄/スコアUP]:取り続ける度に500→1000→2500→5000→10000とスコアが増加。別色のベルを取った後でも増加度合いは維持されるが、取りこぼすと500に戻る。
    • [青/スーパーボム]:ミサイルボタンで発動させると超巨大な爆発が発生し、画面全体の敵を攻撃する。使用時、キャラクターが黒一色になっている間は地形も通過できる。撃たなければ最大3つまでストック可。
    • [白/メガホン]:自機の前にメガホンが付き、台詞で攻撃する。台詞は短いもの*4や長いもの*5まで様々。台詞は敵弾を消すことも可能。ただし、装着中はショットが撃てなくなる。
    • [緑/巨大化]:一定時間自機が巨大化。巨大化中は無敵で、地形も通過できる。ショットが撃てなくなるが体当たりで攻撃可能。但しカプセルは取れてもベルは取れない(攻撃と同様に弾いてしまう)。時間切れで元の大きさに戻るが、その際に縮んでいく間のみショットと無敵が併用出来る。
    • [赤/菊一文字]:初代の同名武器とは全く別の仕様になった。ミサイルボタンで発射すると一定距離まで進んだ上で停止し、上下に長いビームを展開する。このビームは敵を貫通し、敵弾も消してくれるうえ、ビームに重なれば敵や敵弾を受け付けない。
      • ベル1つで3発分の菊一文字がストックされ、1発ずつ発射できる。但し赤ベルを複数取っても最大ストックは3発まで。また青ベルのスーパーボムとは共用不可。

自機

本作の自機は4種類。火器だけでなく、オプションやバリアも機体ごとに仕様が違う。

+ 自機の詳細。クリックで開閉
  • ビックバイパー
    • グラシリーズおなじみの自機で、初代にも登場していた。本作での設定はたい焼き屋の親父。58歳。IまたはIIの1番装備がモチーフで、最もオーソドックス。
      • ミサイル:地面に着くと地形上をはって進む従来通りのミサイル。但しパロシリーズでは足が生えている。先祖返りして先に撃った分が画面から全部消えるまで次が出なくなった。
      • ダブル:正面と前斜め上に通常弾を発射。各方向単発だがシリーズの家庭用移植と同様の連射性が付いた。これについてはノーマルショットの発射方向が変わる装備に共通。
      • レーザー:耐久力の低い敵を貫通する強力なレーザー。上下の当たり判定がデカくなったのは先祖返りした点。
      • オプション:グラシリーズおなじみの仕様の追従式。4つまで装備可。
      • シールド:グラI・IIと同じ正面に付くバリア。地形で削れるのも同じ。
  • タコ(Mr.パロディウス)
    • 初代に引き続き本作でも主人公。ねじりはちまきをしている。グラIIの4番装備がモチーフ。上下前後をカバーできるバランスの良い機体だが、他に比べて攻撃力が若干劣り斜めが死角になってしまう。
      • 2ウェイミサイル:上下に放射線状にミサイルを投下する。
      • テイルガン:前後に通常弾を発射。各方向単発。
      • リップルレーザー:広がるリング状のレーザー。
      • オプション:ビックバイパーと同様。
      • O-TRAP:正面に蛸壺を装備。シールドよりは地形に当たりにくい。
  • ツインビー
    • ツインビーシリーズの主人公。17歳。初代から数えてこれだけが完全新規追加キャラクターとなる。何故か機体色がピンク色。 ウィンビーでしょコレ。 キャノピーも2つ。 やっぱウィンビーでsh 火力はかなり高いが、オプションの仕様上、敵の多いところでは絶えず動き回らないとショットをばら撒けない。
      • ロケットパンチ:正面に貫通力のある拳を2発同時に飛ばす。グラ2の「リフレックスリング」のように一定距離まで進むと戻ってくる(そちらよりも射程は長い)。但し耐久力の高い敵に当たると潰れて、戻らない。
      • テイルガン:タコと同様。
      • 3ウェイ:正面と斜め上下に通常弾を発射。各方向単発。
      • オプション:ツインビーシリーズの分身のように、レバーを入れることで間隔が広がり停止すると自機に重なるタイプ。原作と違い1つずつ付き、計3つまで装着可。
      • フォースフィールド:円形の全方位型バリア。判定はかなり大きい。
  • ペン太郎
    • けっきょく南極大冒険』のペンギン(ペン太)*6とペン子*7息子。9歳。初代には父が登場していたが、息子は本作が初登場となる。正面・地面共に火力は高めだが、ミサイルの性能がオプションの仕様に相殺されるなど、最も上級者向け。
      • ポットンミサイル:真下に発射され、地面に着くと地形上をはって進む貫通力のあるミサイル。『グラII』の3番装備の「フォトントゥーピドー」のパロディ。
      • ダブル:ビックバイパーと同様。
      • スプレッドガン:当たると大きく爆発するショットで、爆風にも攻撃判定がある。グラIIIの同名武器とは違い、むしろスプレッドボムをショットにしたようなものといえる。発射時にレバーを上下に入れることで少しだけ射角をコントロールできる。
      • オプション:ツインビーと同様。
      • バブル:大きな泡に包まれる全方位型バリア。

特徴・評価点

  • 過去のグラディウスシリーズをモチーフに、あらゆる要素(時には他社作品さえも)を交えてパロディ化されたステージ。作りこまれたグラフィックと芸の細かさ。
+ 各ステージの詳細。クリックで開閉
  • 1面「アイランド・オブ・パイレーツ」:海賊の島のステージ。途中まではグラIの1面と同じ敵配置。中盤には猫戦艦「おまんにゃわアチャコ」が登場。
  • 2面「ピエロの涙も3度まで」:シリーズお馴染みのモアイステージをモチーフにしており、モアイが巨大なピエロに置き換わっているが、それ以上に有名なのは2面中ボス「ちちびんたリカ」と思われる。
    元ネタはグラIIの最終中ボス「クラブ」だが、「リオのカーニバルの踊り子風の女性が、がに股且つ正面向きのままクラブのようなモーションで歩く(しかも腰も振る)」という姿はかなりのインパクトがあった。
    ボスの「イーグル・ワシサブノスケ」はグラIIの1面のボス「フェニックス」によく似た動きと攻撃をする。中ボスとボスのBGMもグラIIのアレンジとなっている。
  • 3面「ラビリンス お菓子城の謎」:初代にもあったお菓子の城ステージだが、縦横無限スクロールの迷路となっており、つぶつぶを撃ち壊して進むなど、グラIの2面の要素も持ち合わせている。
  • 4面「嗚呼!日本旅情」:モアイと並んでシリーズの定番とも言える火山面を、日本風に塗り替えたステージ。富士山から火山岩の代わりにナスが飛んだり、関取がまわしを脱いでレーザーのように飛ばしたりする。中盤に出る巨大な桜の木「はしりやサクラ玉吉」は初見殺しポイント。
    ボス「ブタシオ」を倒すと、上にあったコナミロゴの看板が落ちて来る。当たり判定があるのでぶつかるとミスになり、ボスからやり直し。この看板は、以降のシリーズ『極パロ』『実況』でもデザインを変えつつ登場する。
  • 5面「宇宙戦艦モアイ」:『R-TYPE』から定番化した巨大戦艦+モアイという異色の組み合わせ。ここではミサイルやスーパーボム・菊一文字が背景の高速スクロールに流されて使い辛くなる。
  • 6面「軍艦マーチで今日もフィーバー!」:名前通りBGMが軍艦マーチの、パチンコをモチーフにしたシリーズ定番の高速通路ステージ。しかもステージ後半にはルーレットカプセル地獄がプレイヤーに待ち受ける。
  • 7面「ビューティフル・ギャルズ」:ピンクの雲海でグラIIIと同じ見た目の泡が大挙してくるステージ。泡は分裂しないが、泡に包まれたバニーガールが大量に登場して矢を連射してくる。本体が見えない内から撃って来るのは結構酷い。
  • 8面「もっとも北の国から'90」:一部斜めスクロールの氷の洞窟ステージで、後半は水の中に入ってボス戦終了までスピードが半減する。水中の打ち返しラッシュはスピードの半減と相まって本作の最大の難所になっている。
  • 9面「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」:初代にもあった墓場ステージ。ペンギン砲台のグラフィックが背景に合わせて血まみれの不気味な風貌に変化したり、中盤から雨が降り出すと自機も傘をさすなどの小ネタが目を引くが、後半ほど増える貫通力の高い骨の弾幕が地味に厄介。中ボスはグラIやグラIIIの中ボス「アイアンメイデン」が動きはそのままに唐傘お化けになって登場。名前も直球に「アイアンメイデンMk-III」。
  • 10面「タコの要塞」:最終面。仕掛けや敵配置、BGMに至るまでグラIのそれを模倣しつつ、終盤の電磁バリアが「シャワラン・ビューティー」というシャワー型になったり…など、作品のカラーに染まったデザインに置き換わっている。
    関係ないが、壁の中でペンギンの群れが手動で機械を動かす様子があったりする。
  • 本作の基板は拡大・縮小が可能なもので、スーパーボムの爆発やOP・EDデモの演出、8面ボス「プーヤン*8」にダメージを与える度にどんどん膨れ上がって大きくなる演出に取り入れられている。
  • クラシックやグラディウス他自社作品をアレンジした、質の高いBGM。これは初代から引き継がれた要素でもあったが、コナミならではの「サウンドへのこだわり」とAC基板の大容量をもって更に磨きがかかった。
  • 印象的なSE・ボイス。
    • クレジット音*9やルーレットカプセル取得時のSE、ちちびんたリカや7面のザコ及びボス「ハニーみかよ」が発するセクシーボイスは、恐らく多くの人がゲームの外(特にバラエティ番組など)で耳にしたことも多いと思われる。
    • リリースから30年以上が経った今 (2022年現在) でも、さまざまなテレビ番組でフリー素材のごとく本作の効果音が使われている。
    • 以降のコナミ作品のサントラに効果音が収録されなくなったのは、本作のサントラがあまりにもテレビ番組に使われてしまったためという噂がある。
    • 本作以前のコナミ作品のサントラCDにもSEトラックがあるものが存在したが、BGMをバックに収録されていたので簡単に使える代物ではなかった。SEのみのトラックを収録したのは本作CDが初。

問題点

最大の問題点は、外見やノリに反して難易度的にハードルが高いことにある。
その最たる原因が、グラディウスシリーズから継承されている、特定条件下における時間経過で難易度が上がる「タイマーランク」の効果が後の『バトルガレッガ』に匹敵するほどシビアなためである。
この傾向は『セクシーパロディウス』までのパロディウスシリーズの殆どで一貫して問題になっている。

  • 装備をどんどん強化していくとランクは更に跳ね上がる上、強化した装備はミスになるまで外せない。このため「オプションは最大でも3つまで」など、終盤まで徹底して装備を控えることが鉄則。
    • 特に「スピード」は装備するとランク上昇率がかなり加速される。従来のように2~3速で進むと、普通に弾を撃ってくる敵でも弾幕を張ったり一点めがけて連射する上、比較的序盤でも打ち返しが発生するほど相当辛くなる。
      • 「2面クリアまでは0~1速を遵守」「以降8面まで1速のままで進む(8面の水中ではスピードが1速下がるため、どうしても2速に上げる必要がある)」といったように、極力スピードUpを控えなければクリアは難しい。
      • ただ、有志の解析によりタイマーに影響するのは2速からで0速は維持しても意味がないことが判明している(参考リンク)。
    • 「シールド」も、装備している時間が長くなるほどランクの上昇が大きくなるため、なるべく装備しない様にしなければならない。特に全方位型は範囲がやたら大きいため、あくまで緊急回避用に装備し、すぐに使い切るようにするのがベストといえる。
    • ベルパワーも強力だが、ストック型のスーパーボムや菊一文字などは持ち続けるとシールド並にランクが急速に蓄積されていくため、計画的な消費が必要となる。
  • このあおりを受け、初心者向けであるはずのオートモードも、自動装備によりかえってランクが上昇して難しくなるという本末転倒な事になっている。
  • なお、ミスをすればランクが下がり、コンティニューすればランクは初期値*10にリセットされる。
    • 中盤で意識的に残機潰しを行うことも攻略法に繋がる。・・・が、本作は過去のグラディウスシリーズとは違って無限に残機を増やせない(デフォルト設定でエクステンドは2回限り)ため、残機潰しでのランク下げにも限度がある。
  • 一部箇所の復活バランスが悪い。特に3面ボスでは赤カプセルが1つも出ない為、保険が無い状態でミスるとどうしようもない。
    • ノーミス状態での、9ボス直前の唐傘の大群*11と分裂する骨の連携攻撃は、オプションの仕様上動き回りが必要なツインビー・ペン太郎にとって1周クリアの最大の壁と言われる。不覚にもミスしてしまった場合の復活は、保険カプセルを取りこぼしてしまったらミスして取り直し、ルーレットもあえて取り尚且つ完璧に目押ししなければならない*12
  • 以上のような仕様のため、1周ノーミスクリアはシリーズの中でもかなり難しいと言われている。ただしランク上昇を抑えることを知ってさえいれば、1周クリア自体はそう難しくはない。2周目は更にハードルが上がるので、活路を開くには装備調整や残機潰し、ベルパワーをフル活用しなければならない。
  • 2周目になると撃ち返し弾がくるのはシリーズ共通だが、本作では敵を撃破した直後にくる1発目の撃ち返し弾の他に、0.5~1秒程度の間を開けて2発目の撃ち返し弾がくる。これが「時間差撃ち返し弾」で、2周目の難易度を極端に高くしている要因の1つとなっている。
    • 時間差撃ち返し弾は本作がSTG界初とも言われる。
    • …が、一定以上のスピードとシールドを持った状態で進んでいる場合、問題のランク上昇速度によって1周目中盤の時点で撃ち返し弾、後半で時間差撃ち返し弾を見ることになる。
  • 明らかに「こいつを選べば楽勝」というキャラがいないのも辛いところ。一応最も楽な機体はツインビー(次点でタコ)と言われているが、癖のあるオプション・バリアの仕様などを把握して使いこなす必要があるため、意外とお手軽な強さというのは持ち合わせていない。
  • 先述のランク上昇を踏まえた上で、1周に付き全10面という長丁場を戦い抜かなければならないという厳しさも、問題と言えるかもしれない。
    • 直近の『ACグラIII』の3面・10面の冗長さを反省したのか、全体にかかる時間は一応そちらに比べて短いが…。

総評

MSXのみで発売され「知る人ぞ知るゲーム」という認識だったパロディウスが、アーケードに進出したことで、一般プレイヤーにその名が知られるようになったきっかけの一作。
それだけに、見た目の派手さに反して爪に火を灯すようなプレイを強いられ、折角のお笑い要素を楽しむ余裕をも奪うほどにランクシステムが足枷となったことは、流石に惜しまれる。
それでもヒットした作品であり、ビジュアル面やBGMはプレイヤーに強いインパクトを残し、多数機種への移植(下記参照)で幅広い層にアピールされ、以降の続編も本作を基準としたものとなるなど、本作の残した功績は間違いなく大きいと言える。


移植

移植の回数にはかなり恵まれている。全てコナミ自身より発売、且つ内製。FC・GBはサブタイトルを外して移植された。 しかし多くの作品で不具合や移植ミスなどに見舞われ、不具合を抜きにしてもゲームバランスはAC版よりも緩和されている傾向にあるため、"アーケード版の完全移植"は未だに1度もなされていない不運の作品でもある。

  • X68000版(1991年4月19日)
    • AC版とほぼ変わらない完璧な移植精度を見せた代物。但し使えるジョイスティックが2ボタン仕様なのでショットとミサイルは同ボタン。
    • OPでのタイトルロゴ回転をソフトウェアレベルで再現したり、X68k全機種での問題ない動作を実現している。*13
    • ベルパワーはジョイスティック使用時、ショットを押しながらパワーアップを押すと発動。
      一応キーボードではパワーアップ・ショット・ミサイルを別々に割り振れるので、こちらでならアーケード版同様の使い方も可能。
      • また、メガドラパッドと専用コネクタ(移植版チェルノブ同梱の物や相当物)を繋げて対応パッチを当てればキーボードでなくても3ボタン操作は出来る。
    • 現時点で唯一、細部のゲームバランスまでAC版に限りなく近いレベルを実現している移植であり、ほぼ完全移植と言って相違ない。操作周りがやや惜しいが…。
    • 当然ながら2017年現在ではX68000本体共々非常に入手が難しくなってしまっている。
  • PCエンジン版(1992年2月21日)
    • 容量の都合で5・8面が削除されたものの、グラフィック再現度に関してはかなり高い。
    • タイトルから選択できるおまけステージがある。
    • ベルパワーはショット2度押しで発動。元のショット自体がボタン押しっぱで連射可能な仕様だったりする。
  • スーパーファミコン版(1992年7月3日)
    • 当時の家庭用では最も移植度が高かった。PS/SS版に見られる一部演出の移植漏れもないが、省略された背景も多い。
    • AC版の難点だったインフレランク上昇がかなり緩和されており、初心者でも安心して遊べる様に調整された。
    • オリジナル面も追加されたが、内容はともかく元々長い本作をより冗長にしているように感じられる(AC版と同じ全10面に+1。それとは別にタイトルから選択出来るおまけステージもある。ここはプレイヤーにもよるが)。
    • ちなみに、表現規制の関係でちちびんたリカが腰を振らなくなったが、メガホン攻撃時に「腰振らせてよ!!」という規制を自虐ネタにした台詞がある。
  • 上記の他、オムニバス収録として下記のPS/SS版『極上パロディウスだ! DELUXE PACK』、PSP版『パロディウス PORTABLE』がある。

余談

  • 2000年にニューギンからパチンコ化されている。
    • 当時はまだKPE(コナミパーラーエンタテインメント)は存在していないが、コナミ自身も開発に関わっている。

極上パロディウスだ! DELUXE PACK

【ごくじょうぱろでぃうすだ でらっくすぱっく】

ジャンル シューティング(オムニバス)
対応機種 プレイステーション
セガサターン
発売・開発元 コナミ
発売日 【PS】1994年12月3日
【SS】1995年5月19日
定価 5,800円(税別)
廉価版 PlayStation the Best:1997年3月20日/2,800円
PS one Books:2003年11月20日/1,800円(共に税別)
判定 なし
デラックスパック(コナミ) シリーズ

収録作(DX)

  • 極上パロディウス ~過去の栄光を求めて~
    • 1994年リリース。パロシリーズ第3弾。対戦格闘ブームでシューティングが下火だった時期としては驚異的なヒットを飛ばした。パロディウスは本作をもって『パロディウスシリーズ』として独立することとなる。

概要(DX)

  • PS版はデラックスパックシリーズ初の発売ソフトであり、PS本体と同時販売のローンチソフトでもある。
  • また、ディスク媒体では初のパロディウスシリーズでもある。

評価点(DX)

  • 両機種共通
    • 32ビットマシンの性能を活かした高い移植度
      • 特にパロディウスだ!(以下『だ!』と表記)はこれまで色々なハードに移植され、その移植度はさまざまだったが、本作は当時話題だった32ビットマシンで出たことにより、それまでとは比較にならないほどAC版に近い再現になっている。
      • 極上パロディウス(以下『極上』と表記)も近い時期にSFC版が発売され、その移植度も十分高かったが本作はグラフィックはパッと見AC版そのまま、サウンドは全く一緒でしかも前作の『だ!』も収録され、値段も約半分なのでコストパフォーマンスも高い。
    • サウンドテストも搭載されており、両作品の非常にクオリティの高いBGMを堪能できる。
    • シリーズでおなじみのコナミコマンドも健在。ポーズ中にいつでも、しかも使用回数無限で自機のパワーアップが出来る。
  • PS版のみ
    • 『だ!』には隠し要素として、ステージ2の出だしで条件を満たせば隠しステージ(構成、BGMは『サンダークロス』ステージ4のパロディ)がプレイ出来る*14。パロディウスの雰囲気を損なわない内容に仕上がっていて双方のファンに好評。
    • 『だ!』『極上』どちらも1度クリアーしたステージをタイトル画面から自由に選んでプレイできる。
  • SS版のみ
    • 後発だからか、収録作はどちらもPS版よりも移植度は高め。PS版にあったステージ中のロードも、SS版では殆どない。
    • 一方でPS版の追加隠しステージは残念ながら収録されていないが、サウンドテストで曲のみ入っている。

問題点(DX)

  • 当時としては再現性の高い移植だったが、それでもAC版と比べるとまだまだ相違点が多い(特にPS版)。全部挙げると多すぎるので、代表的な物のみ紹介。
  • 両機種共通
    • 処理落ち関係
      • 両機種とも『だ!』は処理落ちが一切かからない。逆に『極上』は一部ステージで(特にPS版は3面と7面、SS版は2面)処理落ちが激しくなる。
    • スコアアップアイテムの黄色ベルは取り続けると最高1万点を獲得できるのだが、本作ではなんと数万点も加算されてしまう。
    • 『極上』のプレイヤーキャラ「こいつ(2P側では「あいつ」)」がパワーアップ時に出てくるこいつ語の音声と吹き出しがない。
  • PS版のみ
    • 1部ステージの2重スクロールが再現されていない。
    • ボス戦時、ボスの弱点個所の「SHOOT!」が表示されない。
    • 『極上』のラストステージ終盤に出てくるちちびんたリカが地形を破壊しても、グラフィックが全く変化しない。
    • 総合タイトル画面に戻るメニューやコマンドが用意されておらず、一度ゲームを選択して別の作品を遊びたい場合はPS本体のリセットボタンを押して新たに選びなおす必要がある。
    • ボス戦直前、ボスを倒した直後に画面が一時停止し、ロードが発生する。
    • 隠しステージのBGMも生演奏を用いた新規楽曲になっている為、AC特有のドラムが再現されておらず完全に浮いてしまっている。流石に後のPSP版の4面程では無いが……

賛否両論点(DX)

  • 両機種共通
    • 『だ!』の難易度が低下した
      • AC版は当記事にも書かれているようにリアルタイムでの難易度上昇が激しかったが、PS版とSS版はかなり抑えられている。
      • AC版はこの難易度システムが不評で、理解していないとクリアーが困難だったため新規ユーザーには好意的に受け入れられたが、AC版をやりこんだ者からは不満の声もある。
      • また難易度が違うということはAC版の練習には使えないということにもなる。AC同等の難易度に切り替えられるオプションなどがあればよかったのだが…。
    • テンポアップ演出の削除
      • 『だ!』『極上』共に一部のボス戦ではボスの体力が低下するとBGMの再生速度が上昇する演出が存在していたが、PS版とSS版ではBGMの仕様の関係で再現されていない。
  • PS版のみ
    • 完全無敵になれるコマンドがある*15
      • ゲーム中でも緑ベルをとると自機が巨大化し、地形やボスに触れてもやられない完全無敵になれる(ただし、制限時間が短い)が、このコマンドを入力すると制限時間なしで全くやられることがないため、誰にでもクリアーできる。
      • コナミコマンドを使っても先に進めないプレイヤーへの救済措置だったかもしれないが、これでクリアーしても全く面白くなく達成感もないため邪道だという意見も。使わなければよい話ではあるが。
  • SS版のみ
    • ミサイルとベルパワーを別ボタンに割り当てられない。
      • PS版では可能だった。AC版はミサイルとベルパワーとが共通のボタンだったが、ボタンが多い次世代機でベルパワーを維持しつつミサイルも使いたい要望はあったはず。

総評(DX)

収録作はどちらも当時としては高い移植度ではあるが、ハード初期というのもあってか後のデラパシリーズなどと比べると
様々な点で再現しきれていない部分や、システム面の粗さは否めない。
しかし家庭用ハードでAC版に最も近い形でプレイできるのは確か(後に発売されたPSP版は一部BGMが差し替えられるという残念な部分もあるため)である。
入手しやすいのはPS版だが、純粋に移植度を重視し、隠しステージにこだわらないのであればSS版でのプレイをお勧めする。


余談(DX)

  • 2006年6月前作同様にニューギンからパチンコ化された。
    • 実況のツインビーの台詞もオリジナルの八奈見乗児氏本人を起用している。
  • 2010年にはコナミ自身の関連会社KPE(コナミパーラーエンタテインメント)からパチスロが『極楽パロディウス』としてホール導入された。
    • パチスロではバニーガールのひかる・あかね姉妹が主役に据えられている。
    • 後にゲーム性やスペック違いの『極楽パロディウスA』も導入している。
+ タグ編集
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最終更新:2023年10月28日 20:48

*1 この点は『魔導物語』(及び『ぷよぷよ』)でも同様の事態が起きている。ただし、あくまでも家庭用ゲーム機と比べての話であり、ホビーパソコンとしては(安価な事もあって)当時はトップレベルの普及率を誇っていた(そもそもパソコンの普及率が家庭用ゲーム機と争える様になったのは「Windows95」発売以降である。逆に言うとMSXを始めたとした日本独自のパソコンはWin95(PC/AT互換機)に駆逐されてしまったのだが…)。

*2 1998年のPS用『コナミMSXコレクションvol.3』が初移植(正確にはエミュレートだが)であり、本作の移植版達よりずっと後の話である。

*3 FC版、SFC版も大筋は同じだが、冒頭の文章がFC版では「西暦1990年、20世紀もあとわずかと押し迫った頃~」、SFC版では「西暦1992年、世界の歴史が目まぐるしく変動し、21世紀まで残すところタコ八……いやあと8年というのに~」と文章が変更されている。

*4 「人生バラ色」「E=MC2!!」「チュッ♥」など。

*5 「新装開店出血大サービス」「お前はもう死んでいる」「この紋所が目に入らぬか」など。

*6 『夢大陸アドベンチャー』『夢ペンギン物語』などの主人公。

*7 『夢大陸アドベンチャー』『夢ペンギン物語』のヒロイン。

*8 コナミのゲームで同名の作品があるがそれとは全くの無関係。敢えて関係ありと結び付けられるとすれば超大昔のアニメ『ハゼドン』に出て来るフグ

*9 グラIIのそれとほぼ同一のもの。

*10 基板のディップスイッチで設定した難易度の固有値+ステージ毎の固有値

*11 グラIの4ボス直前に出現する「アイアンメイデン」のパロディ。

*12 一応安全地帯は存在するが位置合わせがややシビア。

*13 但し、10MHz機では一部処理落ちが目立つ箇所が見られたため、オーバークロック改造機やXVI以降でのプレイが推奨される場合もある

*14 ただし、ステージ2本編は飛ばされ、隠しをクリアーするとステージ3からになる。

*15 コマンドは△△××○□○□下左で、コナミコマンドを左右対称にしたものになっている。