Angel Egg

【えんじぇる えっぐ】

ジャンル 学園恋愛ADV
対応機種 Windows 98~XP
メディア CD-ROM
発売・開発元 You & I
発売日 2004年6月25日
定価 8,800円(税別)
ディスクレス起動 可能
レーティング アダルトゲーム
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 作画崩壊だらけのCG
不備だらけのシステム
理不尽な選択肢が多すぎる

申し訳ありませんがAngelEggには、CGモードが存在しておりません。



概要

  • 『You & I』から発売されたアダルトゲーム。
    • このメーカーは本作のみを発売して倒産した。
  • シナリオは『森野一角』、原画は『神無月ねむ』『EIJI』が担当。

シナリオ

主人公、『新井 淳行』学園2年生兼青春・恋愛小説家。

しかし小説家としての姿は明かされておらず、同級生の『崎山 唯』に片思い中で、彼女が所属している演劇部になかば幽霊部員としてごく普通の学園生活を過ごしていた。

一学期のとある日、後輩の『春日野 響』と演劇部上級生との学園祭の舞台についてのぶつかり合いから3年の部員たちが一斉に引退を表明。その為、同級生部員の『松井 由紀』がなんとかしようと主人公に脚本を依頼する。崎山 唯に、良いところを見せようとして、ついつい引き受けることに。

従姉妹であり、担当編集の『新井 紗菜恵』とその娘『新井 ちはる』との同居生活ドタバタ作家稼業と部活動を両立し、9月の学園祭での上演のピンチを無事乗り越えることが出来るだろうか‥‥。

(パッケージ裏から抜粋。一部改編)

特徴

  • 主人公は小説家だがそれを隠しており、知っているのは従姉妹だけという珍しい設定。
  • 小説家として編集者の従姉妹に頼まれる執筆をこなしながら、演劇を完成させるのが目標。

問題点

テンポがとても悪い

  • 7月31日から9月23日までの毎日が描写される。長すぎる上に使い回しのテキストも多い。
    • 淳行が小説を執筆するだけの描写で、一日が終わることも多々ある。
  • 数日に1回仕事の執筆をしなければならず、その際選択肢を『愛』『勇気』『忍耐』『努力』から1つ選ぶ必要がある。
    • だがこの選択肢はシナリオに影響しないのでテンポの阻害にしかなっていない。
    • 選択肢はどのルートでも10回も選ぶ必要がある。かなり煩わしい。
    • カットできないので周回時には適当に選ぶと良い。
  • 9月11日~9月19日は演劇の練習をするがこれもシナリオに影響しない
    • 9月20日に本番の劇を決定するが、ルートごとに答えが決まっており、それ以外の劇を選ぶと『まて、他の台本がいいような気がする。もう少し考えてみよう。』となり、正解以外を選べないので練習は無意味。
    • 『人魚姫』を毎日練習したのに、本番は『長靴を履いた猫』などといった具合。
    • なお、フラグを立てられていないと劇を決められず、帰り道に車に轢かれてバッドエンドになる。

難しすぎる

  • 空いた時間には行き先を選び場所に応じてイベントが起きる。朝夕で2回選ぶ日もあれば、選択肢を選ばない日もある。
    • 選択肢は『商店街』『ファミレス』などの7箇所から選ぶ。
    • ここでヒロインとの攻略フラグが立つが、どこに行けばどのヒロインに会えるかは選ぶまで分からない。ヒントすらないため、本作の難易度は不必要に高い。
    • そのため何日にどこに行けばヒロインに会えるのか記憶しなければならない。やり直し前提のバランスになっている。
    • ややこしいことに、「ヒロインが登場するが攻略に不要」なランダムイベントが発生することがある。それを必須フラグだと勘違いするとフラグが不足してバッドエンド。
    • どのルートでも攻略に不必要なものも含めて、60を超える選択肢を選ぶ必要がある。多すぎてテンポを悪くしている。
      • そもそも前述した執筆内容や劇の練習がエンディングに関係ないことを知らないと、どこでミスをしたかを知るのが困難。
      • 加えて挙動も怪しいため、バッドエンドになった場合フラグを立て損ねたのか、運が悪かったのかバグなのかが分からない。

齟齬だらけのシナリオ

  • 全ルート共通の問題点
    • 後述するシステムの問題で、どのルートでも会話の内容が合わないことが多々ある。詳しくは個別ルートを参照。
    • 行き当たりばったりなシナリオ。
      • ルートにもよるが、以下のように計画性が感じられない演劇になる。

        7月31日に学園祭で少人数で劇をすることが決定

        9月11日から19日まで練習

        本番3日前の9月20日に本番の劇を決定。人数が足りないので素人のちはるを入れる。

        本番1時間前に劇の内容を変更。

  • 漢字にすべきところがひらがなになっている場面や、誤字脱字・表記ゆれなどが多い(肝心な場面でも)。
  • 全てのキャラが「こんにちわ」と言う。当然ながら正しくは「こんにちは」である。
  • 病院には看護師の『愛子さん』がいるが、どのルートでも何の説明もなく登場して、淳行はいきなり『愛子さん』呼ばわりするため、プレイヤーが置いていかれてしまう。
  • 劇にはギャグがいくつも仕込まれているが、ことごとく滑っている。
  • 回想シーンでも基本的に色が変わったりしないため、急にキャラが現れたのと錯覚しやすい。
+ 個別ルートでの問題点
    • 離婚した父親が危篤なので死ぬ前に唯と和解させる、というシナリオ。
    • 父親は病院にいるため、淳行は病院に通うことになる。
    • だが、病院に通うとたまに『知り合いが誰もいない病院にいても、仕方ないか。』という汎用テキストが出てくるため気分を削がれる。
    • 『今日も色々あった。……。』『今日も色々あったなぁ。』『……本当に色々あった。』
      • 特に何もない日にこのテキストが出てくる。
    • 『急に、学園恋愛小説の直しもしたくなってきた。ちはるちゃんのあんな姿を見たからかな……』
      • ちはると汎用イベントで挨拶をしただけの日にこのテキストが出てくる。そもそも唯ルートでこのテキストが出てくること自体がおかしい。
      • なお、ちはるルートでも特に何もない日にこのテキストが出てくる。水着を見た日に入れるつもりが間違えたのだろう。
    • 終盤に唯を仲直りさせるために、劇を通じてメッセージを伝えるかどうかの選択をするが、『危険すぎる。やめよう』を選ぶと帰り道で車に轢かれてバッドエンドになる。
      • 何故か汎用バッドエンドとは車種が違う。
  • 由紀
    • 「小さい頃。二人で迷子になったときなんて言ってくれたか覚えてる?」

      由紀は僕が守ってやる!

      すいません。通してください!

      大丈夫さ。僕が一緒だろう!

  • 「犬を拾った季節はいつだっけ?」

    春、夏、秋、冬。

  • 回想もなにもなくこのような過去のことを聞かれるため、プレイヤーにとっては運ゲーでしかない。
  • 駅前で由紀が財布を拾い交番に届けたら淳行の物だった。というイベントがあるが、1日に2回このイベントが起きる。
  • フラグを立てるために病院に行くとテキストが噛み合わなくなる。
    • 『今日は疲れたから、まっすぐ家に帰るか』と言った直後に病院に行く。
    • 病院前で別れて帰るか→再び病院へ。
    • 家に遊びに行ったが由紀は体調が悪いようだ。母親に病院に送るように頼んで帰るか。→その日の夕方に病院に行くと母親と会い「お久しぶりね」と言われる。今日会ったばかりなのに。
  • 唯と同様に終盤に劇を通じてメッセージを伝えるかどうかの選択をするが、「しない」を選択するとやはり車に轢かれる。
    • この選択肢は淳行が家にいるときに出てくるが、「しない」を選ぶと、今日は寝るか→家に向かう道のりがきつい……→車に轢かれる。という展開になる。何処に外へ出る余地があったのか。
    • 「する」を選んだ場合も本番1時間前にセリフを変えるという、正気の沙汰ではないことになる。
  • 演劇は人魚姫で由紀とちはるは水着で演技をする。普通は学園祭で露出の高い衣装は許されない。
  • 由紀は瀕死状態で学園に通っており、回復のためには成功率10%の手術を受けなければならないが、受ける勇気が出ないという状況。
    • 淳行が受けるように説得するかどうかを決める選択肢があるが、してもしなくても手術を受けて成功する。何のための選択肢なのか。
    • ゲーム開始2日目の朝に、「ファミレスで響と出会うが、響は眼鏡をかけていたので気付かなかった」というイベントがあるが、響は眼鏡をかけていない。
    • この日を最後に眼鏡の設定は忘れ去られる。
    • 夕方にもう一度ファミレスに行くと「僕は今までこのファミレスに来たことはなかった」というテキストが出てくる。
    • 深夜に響が行方不明になって学園まで探しに行くイベントがあり、『当たり前のことだけど、学園は校門を閉ざしている』と淳行が言うが、背景のCGはどう見ても開いているため、シリアスなシーンが台無し。
    • 結局、裏口から学園に侵入して部室で泣いている響を慰めることになるが、学園のセキュリティが心配になる。
  • ちはる、紗菜恵
    • この2人は主人公と同居しており、基本的に自宅にいるので、変な表現になるが「自宅に通う」ことになる。
      • そのため、一人で家にいてもつまらないよな。→自宅へ行く。という不自然な展開になりがち。
      • だが自宅に常にいるとは限らず、一緒に家に帰ってきたのに何故かいない、ということも多々ある。
    • 紗菜恵ルートで、幼少期の思い出を思い出すシーンがあるがCGがない。他のキャラは全員あるので、入れ忘れたか納期に間に合わなかったと思われる。

CG

  • 原画は神無月ねむとEIJIの2人が担当しているが、後者が担当したと思われる原画は商業レベルに達していない。
    • メインキャラの紗菜恵の立ち絵が特に酷く、明らかに骨格がおかしい立ち絵をほぼ毎日見ることになる。
      • Hシーンでは手コキと挿入を差分で済ませるという前代未聞のCGが使われる。体位がおかしいというレベルではない。
    • 立ち絵は2人で担当したらしく、同じ学園の生徒なのに制服が別に見えるキャラがいる。
    • 一枚絵も別人のように見えるキャラが多い。
    • 表情差分が少なく、状況に合っていない表情になることが多い。
  • 背景もおかしなものが多い
    • 『とにかく、ハリウッド映画の主役たちが優雅に泳ぐプールみたいな豪華さだ』とあるが何の変哲もないプール。
    • ベッドの真上の棚に壺が置いてある由紀の部屋。
    • トマトの1/10程度の大きさのジャガイモなど。
  • パッケージ裏などに使われている唯が前屈みになっているCGは説明書、CD-ROMレーベル面、アイコン、OP、タイトル画面、環境設定、ロード/セーブ/終了確認画面でも使われている。
    • いくら何でも使い回しが過ぎる。

システム

  • CG閲覧、Hシーン回想、音楽試聴がない。
    • 2004年のエロゲーとして、あり得ない手抜き。
    • 一応擁護するとBGMに関してはすべてサントラで聞ける。
    • CG閲覧に関してはアップデートで対応予定だったが、配布されないまま倒産した。
  • エンディングとスタッフロールがない。
    • 各ルートが終わるとCGがセピア色になり、『(キャラ名) ハッピーエンド』などと表示されてタイトルに戻る。
    • こちらもエロゲーとしてあり得ない。
  • 日付が変わるときにしか日付を確認できない
    • セーブ画面でも確認できないので今日が何日か分からなくなりがち。
  • 問題だらけのセーブ/ロード
    • セーブは8箇所しかない
      • エンディングまで60を超える選択肢を選ぶのに明らかに足りていない。
    • セーブデータにはセーブした現実の時間が表示される。
      • ゲーム内の日時は表示されないため、汎用選択肢でセーブしてしまうと、再開時に状況がまったく分からなくなる。
      • そのため、セーブした時のゲーム内の日時はメモ帳などにメモをするか、セーブに頼らず一気にクリアするしかない。何のためのセーブなのか。
      • セーブ/ロード時に少し時間がかかる。キャンセルしても少し間がある。
      • セーブ/ロード画面を右クリックで閉じられない。
      • セーブ/ロード時に画面に縦線が入ることがある。
    • このシステムの悪さも難易度に拍車をかけている。
  • 主人公の名前を設定できるが全角4文字以下に限るので自由度が低い。
    • そのためヒロインが主人公の名前を呼ぶボイスが「君」、「先輩」などに置き換えられる。
      • 弊害として本人が目の前にいるのに「彼」呼ばわりするなど不自然な描写が多くなる。
      • 恋仲になるとお互いを下の名前で呼び合うため、ボイスがなくなる。
  • バックログは1ページ単位でしか見れず、短い。
    • 選択肢が出ているときにはバックログを閲覧できない。
    • 当然ながらボイスリピート機能もない。
  • 既読スキップはあるが、既に読んだ箇所でも時々止まるので役に立たない。
    • 多少読み飛ばしても問題ないため、強制スキップだけで充分である。
  • オートモードはない。
  • 環境設定はあるが画面サイズと音量設定しかない。
    • 音声の個別設定や文字速度の設定などはない。
  • セーブ/ロード時以外にSEはない。
  • 画面右下と左上にゲーム終了ボタンがあるが普通にウィンドウを閉じた方が早く終われるので不要。
    • Alt+F4を知らない人にとっては一応フルスクリーン時に役立つ。
  • 唯ルートの途中でテキスト欄にいきなりプログラムと思わしき文字列が出てくる。
    • 「goto*day916_yoru」と書いてあるので恐らく背景を夜のものに替えようとしたのだと思われる。
    • ハッピーエンドにたどり着くまでに必ず遭遇するイベントなのだが、ろくにデバッグすらしていないのではないか。
  • 8/13に修正パッチが配布されたが、日本語としておかしな部分がある。
    • 『この度は、「AngelEgg*1」ご購入頂きましてありがとうございます。』
    • 『※すでに表示されているのは、通常インストールされた場所を仮に指定しております※』
+ アップデート内容(※原文ママ)

一部条件化で、シーンのループを行ってしまうものを解消

一部シナリオ上の整合性の調整

一部シナリオと音声の内容の相違を修正

演劇練習シーンでの、セリフとキャラクター表示の誤りを修正

メッセージウィンドウオーバーのエラーを修正

ラベルエラーを修正

その他各所を調整

  • 色々と書いてあるがほとんど修正できていない。問題点のほとんどはパッチ適用後も変わらず、どこが修正されたのか分からないレベル。
  • はっきり分かるのはパッチ適応前のセーブデータをロードできなくなることのみ。

評価点

  • 水準以上のレベルの部分もある。
    • オープニングやBGMは悪くない。エンディングはないので評価できない。
    • 声優の演技も概ね問題ない。
  • 神無月ねむが担当したと思われるCGは可愛い。
    • パッケージ絵は神無月ねむが担当しているので、パケ買いしてEIJIの立ち絵に嘆いた人も多かった模様。
  • セーブ/ロードする際だけ『チーン♪』と心地よいSEが流れる。

総評

珍しいテーマだが、異常に多い選択肢のせいで整合性が取れておらずシナリオはがたがた。
まともにHシーンにたどり着くことすら難しいうえ、たどりつけてもCGの質は低い。

余談

  • 4回も発売延期
    • 2003年11月28日発売予定→12月26日→2月27日→5月28日→6月25日。
    • 延期理由はクォリティアップ、動作を安定させるため、などといったものだがどちらも実現できていない。
  • 製作陣も本作の出来が悪いことは理解している。
    • 原画家はブログで、『2004年までのお仕事』に本作を記載していない。
    • シナリオ執筆協力者はブログで以下のように述べている。

      この仕事、受けなきゃよかった……。

      後悔しか存在しない作品。

      おそらく製作に関わった全員が同じ気持ちかと。

  • 実際のところ、シナリオの大本は悪くないだが、イベントの繋ぎ方などがおかしいため整合性を欠いている。
    • スクリプトの組み方が悪いので、ライター手伝いと原画(まともな方)が嘆くのは妥当と言える。
  • 本作に付属しているサウンドトラックはそれなりに楽しめる。
    • さらに隠しトラックとして声優の特別ボイスが収録されている。
  • ゲーマーズナビの紹介にて『移動は学園内マップ・街マップを利用して行動するMAP移動型のスタイルで、好感度によってヒロイン達の表情が変わっていくテキストウィンドウを採用。』と紹介されていたがどちらもゲーム内では採用されていない。
  • 2003年8月のコミケで本作の体験版を配布していた。
    • 2004年8月のコミケでは修正ファイルの配布とともに、2種類のテレカを販売していた。
  • ちはるの部屋にはブランド『みるくそふと』の『緋の月』のポスターが貼ってある。共通点は一部の声優など。
  • 普通のエロゲーを遊ぶ際に、あまり意識しないシステムの大切さに気付くことができる。失ってから初めて気づく大切さというものである。
    • 「既読スキップができる」「CGを後からまとめて見返せることができる」「ラストにはエンディングとスタッフロールが流れる」などといった、あって当然の機能がなくなると困るということを実感できる。
    • 本作を遊ぶと、いかに最近のエロゲーのUIが快適に遊べるように進化しているかがよく分かる。
  • 作画崩壊画像スレなどで本作のCGが時折見かけられる。
    • ただし画面左上のタイトル部分が入っていないCGのみのスクショ画像のため、本作のCGだと知らない人も多い模様。
  • 本作と似た名前の店などが多く『Angel Egg』で検索しても本作の情報を集めにくい。