しゃべる!DSお料理ナビ

【しゃべる でぃーえすおりょうりなび】

ジャンル 実践クッキングナビゲーション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売元 任天堂
開発元 インディーズゼロ
発売日 2006年7月20日
定価 3,800円
判定 良作
ポイント しゃべるレシピ本基礎編
DS料理ソフトの基本を確立
Touch! Generationsシリーズ

概要

ニンテンドーDS対応の実用ソフト。写真素材と解説文を主体とする料理レシピ集であり、主な特徴として音声ガイド機能が挙げられる。
音声入力にも対応していて、調理中手が離せない状態でもソフトを操作できる。
料理の初心者をメインユーザーとして想定していて、調理手順解説は徹底的に親切。手軽に入手できる素材を使った家庭で簡単に作れる料理の紹介を基本コンセプトとしている。

料理監修は辻学園・辻クッキング。収録レシピ数は200種類以上*1。 タイマーやメモ(音声読み上げ機能付き)といった便利ツールもいくつか収録されている。 ゲーム&ウオッチ『シェフ』も収録している。

機能・特徴

毎日お料理ナビ

  • 本作のメインの機能。全200+αメニューの作り方を音声付ガイドで説明してくれる。
  • 1.材料を見る
    • その料理を作るための材料と器具のリスト。
      • 一般の料理本と同様、合わせ調味料等はそれぞれ区切ってリストアップされている。
      • 調理器具にも、「必要」なものと「あるとよい」ものがある。大抵ボウルやザルが「あるとよい」ものにされている。
  • 2.手順を見る
    • 料理の作業手順のリスト。
      • ここで作業を確認して、特定の位置からスタートすることもできる。例えば、ある程度慣れたら切りものを飛ばして加熱調理からナビしてもらうこともできる。
  • 3.つくる
    • 料理の調理手順を写真と文章で説明してくれるモード。合成音声で文章の読み上げもしてくれる。
    • 上画面上部で写真と簡単な文章で作り方が表示され、下画面に操作ボタンが表示される。
      • 操作ボタンはタッチで操作する他、音声入力にも対応している。「オッケー!」と言えば次の手順へ、「もう一回!」と言えばもう一回読み上げてくれる。
      • 「くわしく」という機能があり、解説文中の「くし切り」「強火」といった用語、レシピでは省略されているひじきやシイタケの戻し方などの料理知識をすぐ確認できる。
      • キッチンタイマーも音声で一発起動できる。
  • レシピ検索
    • 食材やカロリー、調理時間、季節、費用などの条件で収録レシピを検索できる。
  • セットメニュー
    • 一汁一菜、二菜などの品数を指定すると、ランダムにレシピを当てはめて献立を作ってくれる。
  • お料理辞典
    • レシピ集に登場する基本的な調理技術、用語について検索できる。
      • 「お料理ナビ」の「くわしく」からはこのモードに飛ぶ。
      • 「みじん切り」「乱切り」などの用語から、「だしを取る」「かぼちゃの皮を剥く」といった食材別の下ごしらえまで多岐にわたる。
      • 玉ねぎのみじん切り、ゴボウのささがきなどややハイレベルな解説は動画も用いられる。
  • 伝言メモ
    • 簡単なメモ帳。お料理ナビで使われる合成音声を使って音声読み上げもできる。
  • 各種設定
    • BGM、表示設定、メニューダウンロードなど一般的なメニューの他、NG食材も設定できる。

評価点

  • 解説が非常に丁寧
    • いわゆるレシピ本は、調理に最低限必要な基礎知識・調理技術とレシピ本体とはページが分断されている事が多く、料理初心者であるほど重要な手順を読み落としたり、うっかり忘れたりしてしまいやすい。
      本作では必要な解説はその都度参照されるうえ、詳細を知りたければ1クリック(または一声)でジャンプ可能。電子書籍の長所が活かされていると言える。
  • 音声操作が可能
    • キッチンというのは水や油が跳ね、手も汚れるため、ゲーム機を持ち込むには全く向いていない。
      その点、本作は音声読み上げ、音声操作が可能なため、ゲーム機を水場に置いたり、濡れた手で操作するリスクを負わずに使用できる。
      • 1作業ごとの指示をボイスで聞き、音声操作で送っていく、という本作の形式は電子料理本として完成度が高く、『かんたん! たのしい! お菓子ナビ』『美味しんぼ DSレシピ集』といった後発の料理ソフトも揃って パクって 踏襲している。
  • お料理辞典の詳細さ
    • 料理に慣れた者からすれば常識として見過ごしてしまうレベルのことまでしっかり解説されている。料理教室の経験が活きている。
      • 調理器具の説明では、揚げ鍋、落し蓋などを通常の鍋やアルミホイルで代用できることが明記されている。
      • 下ごしらえの仕方も、ほうれん草や春菊などの食材別茹で方から絹さやの筋を取るなどの特殊な食材まで網羅されている。
      • 「ひとつまみ」「なじませる」「しんなり」などの感覚的な用語も写真付きで解説してくれる。
  • 収録されているレシピは、本当に何の変哲もないごく普通の家庭料理である。
    • 豚のしょうが焼き、ハンバーグ、サバ味噌、揚げナス、だし巻、等々…和洋中の基本メニューに、少々のお菓子が含まれる。
    • 料理教室が監修を務めるだけあって、出汁の取り方や適切な下ごしらえといった基本をバッチリ守った作り方を解説してくれる。

問題点

  • 初心者向けを指向した内容にとはいえ、逆に言えば日常的に料理をする層にとっては目新しさのない内容である。
    • メニュー自体は200あるものの、基本的な技術・味付けのものが大半。料理に慣れた人がレパートリーを増やす役には立たないだろう。
    • パッケージや商品概要からある程度察知できるとはいえ、買ってガッカリしたという声はしばしば見られる。
      • 一通りの調理技術を身に着けており、単純にレシピ集が欲しい場合は、『健康応援レシピ1000 DS献立全集』の方が向くだろう。
  • 一部本格的すぎる作業も目に付く。
    • 和だしは全てだしを引くことが前提で、顆粒だしの類は登場しない。今どき自分でだしを引いているのは少数派だろう。初心者ならなおさらである。
      • 顆粒だしの使い方自体はお料理辞典で解説されているが、ナビのリンクからは飛べない。
      • さすがに中華だし(鶏ガラ)やブイヨン(コンソメ)は市販のものを使うレシピになっている。
    • 「さんまの塩焼き」は、一般的なグリルではなく、焼き網を使用して直火で焼くことが前提になっている。
    • 「水餃子」は市販の皮を使わず*2、皮を手作りすることになっている上、生地の伸ばし方は「手のひらで丸く伸ばせ」のみ。
    • 和風煮物の煮汁をめんつゆで作る、天ぷらの衣にマヨネーズを混ぜる等の既製品を活用する手法もほとんど見られない。
  • セットメニューの決め方
    • おそらく主菜・副菜カテゴリのレシピからランダムで選んでいるだけであり、食材や風味の大きく重なるものが提示されることがある。
      • 主菜・副菜がホワイトシチュー・ブロッコリーチーズ焼き、麻婆豆腐・あんかけ豆腐になってしまうなど。
    • また、副菜の選択肢が少なく、セットメニューに頼って献立を決めると登場する料理がかなり限られてくる。
      • おそらく料理を主菜・副菜に二重にカテゴライズできなかったのが原因。「おでん」「かに玉」「八宝菜」など、量次第で副菜や汁物にすることが可能なものまで全て主菜扱いしている。
  • 無駄なタッチペン要素
    • キーワード検索やメモ帳での入力時、普通のキーボードや50音パネルではなく、2枠の手書き入力を強いられる。
      • 読み取り精度自体はそこそこ良いものの、指では「ん」「え」などの一続きの線が書きにくく、ひらがな・カタカナしか使えないなど面倒が多い。

総評

これからまじめに料理を始めたい、または、料理が苦手で「何故自分の料理がおいしくならないのか」がわからない、そんな人にうってつけ。
スクールでの教習内容に近い本ソフトの料理解説は、やみくもに自主学習を繰り返すよりも上達への早道になりうる。
音声読み上げのみならず、ボイス操作が可能な点は、水気や汚れた手といったゲーム機にとって条件の悪いキッチンでの使用を見事に可能にしており、非常に実用的。
本当に基礎中の基礎しか載っていないのが難ではあるものの、家庭料理入門ガイドとしては大変出来が良い。

余談

  • 本作のガイドキャラは公式には「ピエール」もしくは単に「シェフ」なのだが、辻クッキング監修ということからネット界隈では「辻先生」の愛称で呼ばれることが多い。
    • のちにスマブラでスピリットとしても登場するなど、特に深い設定もない単なるガイド役の割には妙に扱いが良い。

しゃべる!DSお料理ナビ まるごと帝国ホテル ~最高峰の料理長が教える家庭料理~

【しゃべる でぃーえすおりょうりなび まるごとていこくほてる さいこうほうのりょうりちょうがおしえるかていりょうり】

発売・開発元 コーエー

メディア 1024MbitDSカード
発売日 2007年6月21日
定価 通常版:4,280円
本体ポーチ付き:5,280円
判定 なし
ポイント 実はこれも基礎
色々な事情でワゴン行き

概要(まるごと)

ニンテンドーDS対応の料理レシピ集。基本的な部分は前述の『DSお料理ナビ』と同じであり、音声ナビも同じ声を使用している。
料理監修は帝国ホテル総料理長及び、同ホテルに出店している「なだ万」「伊勢長」「吉兆」「鮨源」「北京」「讃アプローズ」などの老舗が名を連ねている。収録レシピ数は200種類以上。

特徴(まるごと)

  • 和洋中+デザートとまんべんなくレシピが載っている。
    • 純粋な洋食レシピの割合は、タイトルから連想されるほど多いわけではない。
  • 材料も調理手順も家庭料理の範囲内で収められている。
    • つまり、「各有名店自慢の料理の“家庭用アレンジ版”」とでもいうべき内容である。メニュー自体は煮込みやステーキなど豪華だが、毎日の食卓に馴染むご飯のお供としての主菜や、目立たないが組み合わせやすい副菜といった考え方にそったレシピ中心で構成されており、調理器具も特別なものはほとんど使用しない。
      • タマネギを使って柔らかく作るのが特徴の帝国ホテル名物「シャリアピンステーキ」も収録。比較的安価で硬めの牛肉でもOKであり、材料は近所で容易に揃えられる。
    • デザート類はさすがに耳慣れない材料が多いが、それでも少し大きめのスーパーに行けば十分入手可能。

評価点(まるごと)

  • 普通の家庭料理よりワンランク上の味になる、BGMのホテルっぽさも雰囲気が出ている。

問題点(まるごと)

  • 専門用語が多く、人数計量が不親切などインターフェース面でやや難がある。

総評(まるごと)

意外と実用性が高い事もあり、購入者の評価は悪くない。

しかし名のあるシェフがズラリと並んだパッケージ(初回版)や、「有名シェフが教える~」のような一般的な教則本によくあるタイトルよりもインパクトの強い「まるごと帝国ホテル」というフレーズから、上級者向けと思い込んで敬遠してしまった人も多かったようだ。

そのためか、結果として売り上げが伸び悩みワゴンに溢れたが、決して本ソフトの内容が悪いわけではない。
ホテルの著名な味を気軽に手作りして楽しみたい人であれば、手に取る価値は十分あるだろう。

余談

  • 収録店の一つに吉兆があるのだが、このソフトの発売数ヶ月後に船場吉兆(吉兆とは同グループだが別の店)がかなりのニュースにもなった不祥事を起こしてしまっている。
    • この2回目の不祥事の影響か、直後にかなりの家電量販店やソフト販売店で新品580円まで値下げしてしまった。
  • 『まるごと帝国ホテル』は和食人気のある海外では好評らしく、日本と違って売れ行きがいい。(全世界で約160万本の売り上げ)

その後の展開

  • 第1作発売後に『健康応援レシピ1000 DS献立全集』が本作と同じく任天堂から発売。公式HPにもある通り、料理慣れした人に向けたレシピ集となっている。
    • こちらもレシピ検索機能が充実しており、しっかり書籍との差別化が出来ている。
  • 『まるごと帝国ホテル』発売後、最終作となる『世界のごはん しゃべる!DSお料理ナビ』が発売されている。

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最終更新:2024年03月05日 12:29

*1 収録メニュー200。店頭のDSステーションで追加レシピをダウンロードできた。

*2 ただし一般の「餃子の皮」は焼き餃子用で薄く、茹でるとふやけて非常に破れやすくなってしまう(高級品であれば代用可能な場合もある)。「水餃子の皮」として厚めのものもあるので、極力そちらを使うのがよい。