ザ・グレイトバトルV
【ざ ぐれいとばとる ふぁいぶ】
ジャンル
|
アクションゲーム
|
|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
12MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
バンプレスト
|
開発元
|
さんえる
|
発売日
|
1995年12月22日
|
価格
|
9,800円(税抜)
|
プレイ人数
|
1~2人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
4人のキャラを自由に使えないガッカリキャラゲー シューティングパートがいかんせん苦痛 BGM・世界観やストーリーの空気は良質 SFC最終作にして、ロア最後のグレイトバトル出演
|
コンパチヒーローシリーズリンク
|
概要
『ザ・グレイトバトルIV』の続編。前作同様横スクロールアクションゲームとなっている。
SF的な世界観だった前作から一転、西部劇的な世界観を主軸とした作品となっている。なお、SFCとしては本作が最終作となる。
バトルフォース・ニューコンパチネイションなどの単語は出てくるが、前作との繋がりは薄め。
本作でのプレイアブルキャラはシリーズオリジナル主人公である『ロア』に加え、『ゴッドガンダム(ゴッド)』、『仮面ライダーBLACK RX(RX)』『ウルトラマン(マン)』の4名。
キャラクターはそれぞれ西部劇風味にアレンジされており、西部劇ということもあってシューティング要素も取り入れられている。
ストーリー
「惑星ガルシア」から宇宙船が脱出した。保護した乗組員の話から、彼等の帰郷「惑星ガルシア」に、とてつもない危機が起こっていることが明らかとなった。
「惑星ガルシア」では、その星でしか取れない特殊な石「ガルバストーン」があり、その不思議な力を狙った他星の開拓者達が数多く襲来。強奪を繰り返す開拓者と住民との激しい争いに発展していたのだ。
そんな混乱に乗じて突如現れた謎の男、「ダダ」が「惑星ガルシア」を侵略。支配者となった彼は、逆らう者達を処刑してまわっていた。
事の次第を聞きつけたバトルフォースは、「戦士ロア」をガルシアに派遣、その星で活躍するヒーロー達と協力し、ダダの野望を打ち砕くために奔走する。
特徴
アクションパートとシューティングパート
-
横スクロールのアクションパートと、シューティングパートが存在する。
-
アクションパートはスタンダードなアクションゲームで、ジャンプ、アタック、チャージ攻撃、タックルを駆使して進めていく。
-
シューティングパートは画面奥に登場する敵を撃ち、緊急回避やジャンプで攻撃を避けながら戦う。
-
ステージ1はいきなりシューティングパートから始まる。
4人のプレイアブルキャラ
-
それぞれ性能は大きく異なり、出来ることもまるで違う。ロア以外のパートナーを最初に3名の中から選ぶが、途中でパートナーキャラがイベントで交代され、最終的には全員を一度は使用することになる。2Pプレイだと片方のキャラをおんぶすることが可能で、上のプレイヤーが攻撃に専念出来る。
-
戦士ロア
-
主人公であり、唯一最後まで離脱することがないキャラ。性格や口調は『IV』とほぼ同じで、礼儀正しく誠実。
アクションパートではブーメラン、シューティングパートではマシンガンを使う。
-
本作の大半を占めるアクションパートにおいては、通常攻撃が短射程かつ連射できないため扱いにくい。
チャージブーメランは上に乗ることができ、その間は上下キーで軌道が若干変わる。長射程だが直進開始は遅く、ブーメランごと敵にぶつかってしまう可能性もあり、攻撃としては頼りない。
-
シューティングパートではマシンガンの連射力で当てやすい反面、緊急回避の移動距離が最も短く、ジャンプ力も低めなのが欠点。
-
ゴッドガンダム(ゴッド)
-
流れ者。本作の主要キャラと尽く因縁がある。西部劇なのに「オレのこぶしにかけて、ダダをたおす!」と語る熱血漢。
アクションパートではゴッドフィンガー、シューティングパートではバズーカを使う。
-
ゴッドフィンガーは通常攻撃だと単発、地上(ニュートラル)チャージ攻撃だと無敵状態で2連打するのだが、どちらも射程が短すぎるため恐ろしく使いにくい。
しかし、地上(横入力)および空中チャージ攻撃だと、ゴッドフィンガーを連発しながら高速ダッシュする。動作中無敵、長距離を移動できる、いつでもジャンプキャンセルが可能(実質二段ジャンプ)など、突進力・空中制御ともに随一。
-
シューティングパートのバズーカは威力こそ高いが連射が利かないので当てづらく、歩行速度・ジャンプ力も最低。ただし、緊急回避の速度・移動距離が両立しているほか、相手によってはバズーカが有効なこともある。
-
彼を最初に選ぶと、パートナー順がゴッド→RX→マン→ゴッドになる。
-
仮面ライダーBLACK RX(RX)
-
開拓者の一人。明るく陽気な性格で、時にはいきり立つゴッドを宥めるなど兄貴分的なキャラ。
アクションパートでは鞭、シューティングパートでは二丁拳銃を使う。
-
鞭は8方向に打ち分けが可能で、チャージ攻撃もサマーソルトとライダーキックの二つを持つなど、移動面・攻撃面ともに優秀。
動作中無敵のライダーキックは移動にも使えるが、低い放物線を描きジャンプキャンセル不可なので、移動範囲はゴッドより狭い。
-
特殊能力として、金色のリングに鞭を引っ掛けて跳び上がるorぶら下がることが可能。
-
シューティングパートでは広めの当たり判定、高めの連射力・ジャンプ力、最高の歩行速度、最長距離の緊急回避を持つ万能型。
-
彼を最初に選ぶと、パートナー順がRX→マン→ゴッド→RXになる。
-
ウルトラマン(マン)
-
保安官。ロア以上に礼儀正しい正義の人。彼を最初のパートナーに選ぶと行儀の良いストーリー展開が見られる。
アクションパートでは光線技、シューティングパートではショットガンを使う。
-
長射程の飛び道具をアクションパートで多用できる唯一のキャラ。スラッシュ光線は斬撃のような弾を前方に飛ばし、チャージ攻撃のウルトラアタック光線は追尾弾を3発同時に放つ。後者は弾が消えるまで再チャージできないのが欠点。
-
特殊能力として、壁に張り付いたまま上下に移動することが可能。
-
シューティングパートのショットガンは連射が遅めなぶん、威力高めで当たり判定も大きい。また、最高のジャンプ力により1画面近くを移動できる。緊急回避の移動距離は短め。
-
彼を最初に選ぶと、パートナー順がマン→ゴッド→RX→マンになる。
-
その他の主なキャラ。
-
ドクターキサブロー:前作にも登場したバトルフォースの科学者。ロアとの会話シーンのみの出演。
-
ノーベルガンダム:本作のヒロイン。ステージ1でザク神父に処刑されかけているところをロア達に救われる。気の強い性格で、ゴッドとはよく口喧嘩になる。
-
モハル:ノーベルの友人の人間。牧場を経営している。ダダに騙されて開拓者を追い出すための作戦に利用される。
-
ダダ:本作の大ボス。惑星ガルシアを強引に支配下に置き、非道の限りを尽くしている悪党。シューティングパートで戦闘することになる。顔ごとに攻撃方法が異なる。本作最大の宿敵。
-
マスターガンダム:ゴッドとノーベルの幼馴染にして悪友。宇宙海賊や荒くれ者を集めて良からぬことを企んでいる。本作では師弟関係ではなく、対等な目線でゴッドと対峙する。一人称も「オレ」。
問題点
パートナーの任意交代ができない。
-
最初にロアのパートナーを選択するが、ゲームを進めていくと、やがてパートナーを強制変更させられてしまう。
-
選んだキャラによってステージ構成が若干異なり、戦うボスの順番も変わっていく。
-
それぞれに固有アクションや専用ギミックがあるにもかかわらず、シリーズの特徴であった交代システムはロア⇔パートナーのみに縮小。パートナーの不一致で取れないアイテムを見かけるたびに、もどかしい思いをさせられる。
-
あるボスは弱点が高所にあり、上方への攻撃手段が無いロア&ゴッドのコンビで戦う事になった場合が大変。左右から現れるザコを踏みつけて気絶させ、タックルで弾き飛ばして当てて行かなければならない。
-
ロアの戦闘面での不遇を踏まえると、2Pモードにおいて片方の使用キャラがロアに固定されることも問題点と言える。
シューティングパートがだるい
-
アクションパートとはまったく違う操作方法に加え、それぞれのキャラで武器の使いやすさが大きく異なる。
-
基本システムや1面序盤の風景は『WILD GUNS』に近いが、独自要素に乏しく単調。
-
移動しながらの射撃、敵弾相殺、ガード、二段ジャンプ、近接攻撃、画面全体攻撃(ボム)、特殊武器などが存在せず「立ち止まって銃を連射→敵弾を避ける→立ち止まって…」の繰り返しになる。
-
ボスは1面から固く攻撃も激しいので、回避メインの長期戦になりがち。
-
デビルガンダム戦は特に面倒。最低でも片腕を壊し、それから本体である頭部を狙うのだが、肝心の腕が非常に固い。しかも、片腕を残しておくと攻撃が苛烈になるため、結局は両腕を壊すのが無難。
-
1面でありながら敵数が多く時間制限もあるノーベル救出戦、車両を全て破壊されるとミスになる列車防衛戦など、プレイヤーの焦りを誘うステージもある。
-
ラスボス戦は苦痛の一言。まとまったダメージを与えるチャンスが少なく、「分身の突進とツララ落としの複合攻撃」が高頻度・回避困難・多段ヒットありで演出まで長いため、面白みに欠ける。
戦闘面での格差
-
アクションパートのロアはジャンプ力が低い、通常攻撃が短射程かつ連射不可、チャージ攻撃が発生・弾速ともに遅いなど、戦闘面で特に不遇。
-
チャージブーメランは二段ジャンプ代わりになるが、一手間かかるうえに通常攻撃と併用できず、戦闘には活かせない。
-
一応、ブーメランを乗り継げばゴッド以上の距離を飛べるが、開けた地形とそれなりの操作精度を要求される。
-
シューティングパートでは連射が利くことからゴッドよりは使いやすいものの、RX・マンに比べると地味な活躍になりがち。
-
ゴッドのゴッドフィンガーダッシュは動作中無敵、地上でも空中でも出せる、ジャンプキャンセルでフォローしやすい、進路上の敵や落とし穴を無視できる、突進してくるボス(グフやジェロニモン)に強いなど、非常に便利。
-
空中制御については、ある程度なら他キャラの固有アクションで代用可能。ただし、サマーソルトは二段ジャンプとしての高度が低く、ライダーキックはジャンプキャンセル不可なので「迂闊にぶっぱなして落とし穴へ直行」なんてこともあり得る。チャージブーメランと壁張り付きは戦闘に組み込みにくい。
-
一方、シューティングパートでは高威力だが連射できないバズーカとなる。当て続けられるなら強いが、回避メインのゲームバランスゆえにイマイチ使いにくい。
-
RXは8方向に打てる鞭が使いやすく、チャージ攻撃のライダーキックで飛距離を伸ばせる。ゴッド程の空中制御能力はないがアクションパートではとにかく使いやすい。
-
シューティングパートでも「連射系で横幅もある二丁拳銃」「これといった欠点のない機動力」により、ロアのお株を奪ってしまっている。
-
マンはアクションパートで飛び道具を多用でき、シューティングパートでも広範囲のショットガンが優秀。ただし、アクションパートでは壁張り付きの用途が少なく二段ジャンプもできないため、移動面での扱いづらさがある。
-
複数のステージを使いまわしている。
-
「ダダの隠しアジトを探し当てるため現場百遍」といったところなのだが、再訪時の変化が少なくバリエーションに欠ける。
-
イベントシーンの簡素化。
-
前作までにあった大判のイベント絵が激減、黒幕であるダダの最期が味気ない、選ばなかったパートナー2名が(ゴッド以外のルートではノーベルも)エンディングに登場しないなど。
-
ストーリー的にゴッドガンダムが優遇気味。
-
本作のヒロインであるノーベル、まともに会話がありライバルキャラでもあるマスターなどの因縁はゴッドに固まっている。よってゴッドを最初に選ばないとノーベルのヒロインらしさは薄れ、マスター撃破時の会話もなくなってしまう。
-
もっとも、他のキャラもそれぞれ良いシナリオは存在し、感動的な場面が用意されている。ただライバルやヒロインとの因縁がゴッドに比べると薄くなるため、やはり密度の差は否めない。
-
特にRXは他の二名と違い、モブキャラとの関係性はあるもののライバル的存在に欠ける。マンは本作の大ボスであるダダと浅からぬ因縁がある。
-
その他、細かい点。
-
アクションパートでは左右キーを離してから立ち止まるまでにラグがあるため、「位置を微調整する」「建物に入る」という基本動作が難しい。
-
一瞬しゃがめば立ち止まるものの、横スクロールアクションの操作としては煩雑である。
-
過去作と違い、1機落とした際のペナルティが「武器レベルの初期化」「1Pモードではその場復活ができず、エリアorボス戦の最初に戻される」と重い。それでいて、落とし穴(しかも一段上の足場から見切れるような配置)が多い。
-
パスワード入力画面を抜けるには、正しく入力するか本体のリセットボタンを押すしかない。
評価点
-
前作であった「パワードのミクロ化方法がわからないと先に進めず詰む」というような複雑な操作方法を持つ特殊効果はなくなった。
-
グラフィック、サウンドなどの質がかなり高い。
-
当時としてはかなり頑張っている方であり、多くのシリーズを重ねてきたことでキャラクター・背景ともにそのドット絵のクオリティは最高潮までにあがっている。
-
次作の『VI』が安直なCGを利用して一気にクオリティダウンしたのを見れば、本作のクオリティは正にシリーズ最高レベルの一つと言って良い。
-
デビルガンダムのドット絵の描き込みは特に秀逸で、破壊されていく様が非常に細かく描かれている。
-
ちなみに、次作品を思わせるポリゴン風に描かれたボスもいる。
-
世界観にあったウエスタン風のBGMも高評価。特に1面のシューティングパートと、初代グレイトバトルのラストステージのBGMをアレンジしたホテル面などは評価が高い。
-
キャラデザのアレンジはなかなか秀逸。
-
前作ではSFに不釣合いなZOを上手く落としこんでいたが、本作もまた西部劇に不釣合いなゴッドを「西部の放浪者」という設定にすることで、原作ネタを拾いつつデザインされた。
-
RXは、後に偶然ではあるがオリジナルの演者である倉田てつを氏がウエスタンな雰囲気のステーキハウスのオーナーとなったため、今ではある意味それを彷彿とさせる格好となった。それを抜きにしてもまるで似合ってないということはない。
-
マンは、当時から何かとウルトラマンが様々な格好することがしばしばあったことから違和感が薄く、保安官という服装も似合っている。
-
2Dアクションゲームとしての完成度はそこまで低くはない。
-
キャラが自由に変えられない点は賛否が分かれるが、全体的に爽快感自体はある。
-
前作が銃火器メインだったのに対し、本作はマン以外が近接戦闘メインとなったことで、前作のアクションシューティングとは違った魅力がある。
-
一部の相手を踏むこともでき、スタンダードなアクションゲームの肝自体は備えていると言える。
-
シナリオ・世界観の雰囲気はよく出来ている。
-
あくまでこの当時のSFCゲームのキャラゲーとして見たうえで、内容のクオリティは高い方で、ウエスタンな空気はよく表現出来ている。
-
敵キャラもジェロニモンやサボテグロン、テキーラガンダムなど、西部劇っぽいデザインの物が多く選ばれており可愛らしい。
-
それぞれキャラごとにシナリオも異なるので、シナリオを重視するのであれば周回プレイの苦も軽減されることだろう。
総評
ゲーム的には明らかに他作品と比べるといくつもクオリティが劣る作品であるが、ただクソゲーと切り捨てるには惜しい部分もある。
ビジュアル・サウンド面はシリーズを重ねたことで大分成熟しており、雰囲気もコンパチヒーローシリーズらしさをしっかり出している。コンパチキャラゲーとしての出来は決して悪くはなく、ゲームも一部詰まりやすい場所を除けばプレイ出来ないほど悪いものではない。ただ、やはりキャラクターを強制的に入れ替えて進まなくてはいけないという要素は必要だったのかどうか非常に疑問な内容ではあった。
いろいろとシリーズ的には斬新な要素を取り入れた本作であるが、評価は他シリーズと比べても低く、シリーズ人気の凋落著しいものとなった。
ゲーム内容こそ今一つだが、次作品となる『ザ・グレイトバトルVI』は本作と違い評価できる部分も薄く、名実ともにクソゲーとなってしまったことを鑑みれば、本作はまだ楽しめるゲームにはなっている。『VI』の致命的なお粗末さを鑑みれば、少なくとも本作はクソゲー・ダメゲーと罵られるほど不出来なものではないと断言出来る。
余談
最終更新:2023年12月18日 18:54