銃騎士 Cutie☆Bullet

【じゅうきし きゅーてぃばれっと】

ジャンル 銃騎士ADV
対応機種 Windows XP~8
発売・開発元 エフォルダムソフト
発売日 2014年3月28日
価格 8,800円(税5%込9,240円)
レーティング アダルトゲーム
配信 2015年12月18日/3,024円
判定 クソゲー
ポイント 2014年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板次点
未完成商法どころか未完成品
ビミョーな出来のシナリオ
大炎上の結果、ブランド解散
絵フォルダ無
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ストーリー

銃士隊。 それは、王国の治安を守り維持する組織の総称。

俺、藤倉彩都は、白薔薇学園という銃士隊に所属する銃士だ。 役職は副長で、上司は妹(!)のみやび。

部下に兄弟はいないけど、家族みたいに団結して、王都ルーブルに潜む悪と戦っている。

忙しくも充実した毎日だったが、そんな生活は突如、終わりを告げてしまう。 白薔薇の解散が決まったのだ。

目を背けたい現実だが、これも定めと、俺たちは受け入れようとする。

しかしそれは、もう一つの銃士隊 “赤薔薇学園” の陰謀だった。

明かされる、赤薔薇学園隊長の計画。 それを阻止するためには、一芸に秀でた人材を仲間にする必要があった。

そうして集まったのは3人の少女。

現役最強の銃士にして超弩級の勘違いガール、三波真由。

完全無欠と思いきや、ちょっぴり抜けている王女様、怜奈・ド・メデシス。

空耳にしか聞こえない言語を操る異国人、サラ・ティファール。

彼女ら+みやびの4人と、一つ屋根の下、作戦を練っていく……つもりだったけど。

あの、なんでバニーガールになってんの? どうして人の布団に潜り込んでいるのかな、君は?

一人でお風呂に入れないって、だから俺が頭を洗うんですか? 起こしてくれるのはありがたいけど、上に乗らなくていいんだよ?

あまったるい毎日が続いてしまっている。

こんなんで、赤薔薇の陰謀は防げるのだろうか……。

(公式サイトより抜粋)


概要

あかべぇそふとつぅの傘下であったブランド、エフォルダムソフト*1が発売したアダルトゲーム。
ブランド前作『恋騎士Purely☆Kiss』はその美麗なCGから前評判は高かったが、発売後にはシナリオの駄目さから割とクソゲーとの評価が下されていた。
そして本作発表当初、シナリオライターが前作とは別人であったことから前作最大の問題点であったシナリオが改善されることを期待されていた。
だが、4ヶ月の発売延期(延期自体はよくあることだが)の末に登場した体験版のシナリオは恋騎士をも下回るレベルであったことから購入予定者の間には激震が走り、発売前から警戒して購入を見送る者も後を絶たなかった。
それでもなお購入する者は、シナリオを捨てて原画家の「画集として」買おう、という人が大半を占める状況だったが…
いざ発売されてみるとその中身は購入者の最低限の期待ですら遥かに下回る粗末な代物であった…。


問題点

  • 疑問符が山積するストーリー。
    • だいたいのルートで話の流れが同じで、事件発生→ある人物を疑う→やはりその人物が裏で糸を引いていた! というゴルゴムの仕業未満のワンパターンな形になる。
      • 一応擁護しておくと三波ルートだけは若干違いがある。
    • 登場人物の一人であるサラは過去のトラウマから銃が撃てなくなっている、という設定なのだが共通ルートで普通に狙撃している。しかも普通に撃つ程度ならまだともかく早撃ちや跳弾などかなり高度なテクニックを用いている。
      • ただ、ルートによって設定が変わることはよくあることと言えなくもないが……サラにはもっと重大な問題点があるので詳しくは後述。
    • 細かいところだが、世界観設定で気になる点として「銃」についての設定が若干練りこみ不足。
      • 本作の世界観は各種テクノロジーのレベルは現代並だが銃の製造技術のみ未成熟となっており、主人公たちが使う銃は一般的な火薬式の銃器ではなく、使用者の「気」をこめて撃つというサイコガンのような物である。
      • そのわりには火薬を用いた爆弾などが普通に出てきて、話の途中からは火薬式の銃が出てきてしまう。テクノロジーが現代並であればとうの昔に火薬式の銃が開発できていたのでは?
    • 全体的にシナリオのぶつ切り感がひどく、個別ルートに分岐後はかなり短くEDに到達してしまう。
      • 4人ヒロインの個別ルートとは別にグランドルートもあり、話の全容はそちらで明らかにされるが、それも尺の短さゆえに感動する暇や余韻もないまま幕を閉じる。
      • さらにそのグランドルートにおけるエンディングは背景が暗転した真っ暗な状態のままでスタッフロールが流れていくという手抜きを疑わせるものであり、余韻も何もあったものでは無い。(一方で、通常の個別ルートの共通エンディングでは既存のCGが背景に写し出されていく。)
      • エロ方面に関してもヒロインといい雰囲気になっていざ一儀に、という場面で画像どころか文章も出ずにカットされ朝になる場面も。深夜アニメか。
  • 全体的にギャグが寒い。
    • しかも重要な場面であってもそういったギャグが空気を読まずに幾重にも渡って挟まれるため、プレイヤーがキャラクターへと感情移入をする隙も全く見当たらない。
    • 上記の黒幕が主人公たちと敵対する理由が「仕事を抜けて半額セール中のジムに行くのを主人公の父親に咎められた。なのでその息子と娘に復讐する」という理由。はっきり言って意味不明である
      • 付け加えると咎めた理由は「他の隊との合同訓練日なので今日ぐらいは勘弁してくれ」という至極当然のものであり、むしろ普段はジムに行くことを容認している。
    • 主人公の父親は亡くなっているのだが、死因が「病気が治って喜んでピーナッツクリームサンドイッチを食ったらアナフィラキシーショックで死んだ」という笑うに笑えない理由。
      • 主人公の父親が病で床に臥せっているという状況ならば、そのまま学園を子に託して亡くなる、という形にしてしまえば普通に感動的な話になっただけに何故こんな話にしてしまったのか理解に苦しむ。
    • 各ルートで起こる事件も四人中二人はまだまともだが、残り二人のルートでは「王国内の乳首が黒く塗りつぶされる事件」と「食べたら同性愛者になるハンバーガーがばら撒かれる事件」が起こる。
      • それってちょっと面白いかも? と思った方もいるかもしれないが、文章構成に難があるのでプレーヤーは笑いを通り越してもはやPCの前で苦笑いするしかない。
    • あるいは全編この調子ならシュールギャグ作品として成立したのかもしれないが、上記の事情を踏まえながら話自体はシリアスに進むので違和感が凄まじい。プレイヤーは茶番を見ているような気分にしかならない。
    • 昨今批判されがちな「寒いパロディ・時事ネタ」も完備している。
  • 設定レベルの問題点として、登場人物の一人であるサラはブルボン語が片言で、母国語のキサルピナ語を習得しているという設定なのだが……。
    • キサルピナ語はブルボン語では変なワードのように聞こえる空耳言語として有名、という変な設定で、例えば「こんばんは」がキサルピナ語では「はなげかーにばる」、「わたし」が「にーと」になるといった具合。
    • これがシリアスな場面でも使われるので全く物語に入り込めない。空耳もここに記述するのが憚られる低俗なワードに聞こえることが多く、極めて品がない。
      • この空耳を生かしたミスリード等があれば物語的に面白そうだが、そういうのは特にない
    • また、これが出てくる場面では一々翻訳を挟む必要があるので話のテンポが阻害される。
      • そして特定の単語だけならまだしも、会話文がそっくり別の会話文に聞こえるという場面がある。それはいくらなんでも文法的に無理があるだろう。
  • 最大の問題点はCGの枚数である。アダルトゲームはシナリオが若干ダメでも絵さえ一流なら許されるという風潮もあるが……。
    • SD画・差分無しで驚愕の 全35枚 。フルプライスでこれは殺人的な少なさ、としか言い様が無い。
    • 解説するとこの価格帯*2ならば会社によって異なるもののCGは70~80枚ぐらいはあって然るべきなので この価格帯の最低ラインの半分しかない と言ってよい。
      • 特に原画担当のイラストレーターがエフォルダムに関わる前からファンが多く、シナリオが体験版の時点で地雷丸出しでもその絵目的で買うユーザーが多かったこともあり、こちらの方が悪い意味で話題になった。
    • また、CGの割合の方にも問題がある。本作は抜きゲーではなくシナリオ重視(のはずの)ADVなので、日常パートや戦闘シーンのCGも自然と必要になってくるのだが、極端にHCGに割合が偏っている。
    • そのため戦闘シーンもほとんど立ち絵のみで進行するため盛り上がりに欠けており、絵の変わらない紙芝居とも揶揄される始末であった。
      • 後に4月4日に公開されたパッチでサブキャラの個別ルートと共にCGが2枚追加されたがまさに焼け石に水。しかも他CGと比べてクオリティが若干だが落ちているのでゴーストライター疑惑までも浮上した。
    • CGの少なさをごまかすためか、ヒロインと密着時専用のバストアップ絵があるのだが、これも差分が少なすぎてむしろ絵が貧相という印象に拍車をかけている。
      • 水着を着ている場面で水着用の差分がないため、なんと全裸のままテキストが進む

評価点

  • オープニングムービーはフルアニメーションであり、非常に力が入ったものとなっている。
    • 発売前のプロモーション映像から期待を寄せていた人も多かったであろうが、それとは裏腹に肝心の中身がごらんの有様であったことから、結果的にプロモーション詐欺となってしまっている。それ故に、一部では「スタッフはこの作業で力尽きたのではないか」とすら皮肉られてしまっている。
  • EDの主題歌とBGMも悪くない。また声優もエロゲー業界では著名な人物が多く配されている。
  • CGの枚数は前述の通り明らかに少ないが、絵自体の出来は前作に見劣りしない高いクオリティである。

総評

2014年3月末は増税の影響か、無理に発売を間に合わせようとしたが、結局完成が間に合わず延期した作品は多い。
本作もユーザーおよび次回作以降のことを真摯に考えるのであれば、如何様な事情があれど他社のようにきっちりと完成するまで世に出すのは見送るべきであっただろう。
もっともそうであったとしてもシナリオの方の修正はできなかったかもしれないが……。
以上のように「笑えないクソゲー」なので、ネタ目的でも買うのはオススメしない。



余談

  • 発売日と同日に追加ルートのパッチ配布「予告」をしたことから未完成のまま発売したのでは? と推測されていた。
    • 有志が内部データを調べたところ、未使用テキストやボイスが存在することが発覚。内部データではCG番号が歯抜けしており(前述のパッチのデータも例外でない)、そこから察するに本来は全73枚の予定だったことが窺える。
    • つまり、本来ならば値段相応の予定だったが未完成であることを承知しながら未完成のまま発売を強行したことが露呈した。
      • 参考として、前作の恋騎士が3.5GBであったのに対し、本作は1.8GBと約半分程度の容量(※画像の解像度などで大きく変わるが、本作についてはそのまま半減と見て良い)である。
  • 以上のことからネット上で大炎上し、発売から間もなくニコニコ生放送上で謝罪放送が数回行われたのだが、何故かエフォルダム側の担当者は一切登場せず、親会社のあかべぇ代表が会見を行った。その内容も購入者が納得がいくものとは言えず、結果として火に油を注ぐことになった。
    • ただし、別会社であるはずのAKABEiSOFT2の代表がエフォルダムの取締役であるということが後に登記簿の調査によって判明した。
      • さらに騒動の過程で新人とされた本作のシナリオライターに関するある疑惑や、エフォルダム・あかべぇに間するよからぬ噂なども次々と浮上したが、ゲームとは直接関係ない話となってしまうので割愛。詳しくは他サイトなどを参照して欲しい。
    • 結局発売元であるエフォルダムは本作発売から1ヶ月もたたないうちに解散となった
    • このCG枚数に関する一連の騒動によって、本作の後に発売を控えていたhibiki worksの『PRETTY×CATION』は発売直前に急遽CG枚数を公表することになり(参照)、その後もAKABEiSOFT2社内の各ブランドに影響が及び、後述の無料提供などスタッフも対応に追われた。
    • なお、上記でのニコ生やHP上の謝罪文にて半年後を予定として新たなパッチを配布すると発言したものの、後に1年後に配布と期間が延期され、さらに2015年に製作中止が発表された。また、本作の購入者を対象に新たな騎士物の新作を無料で提供するとの発言もあった(後述)。
  • 店舗によっては入荷数の倍以上の中古品が溢れたため早々に買い取り拒否になった店もあった。
    • しかし、あかべぇそふとすりぃが2015年2月に『聖騎士Melty☆Lovers』の無料提供を正式に発表し、その提供条件が『銃騎士Cutie☆Bullet』のゲームディスクの返送となったため、中古品の価格が一時的に高騰した。「新作ゲームの引換券となったことで価値が上がった」と考えると何とも皮肉な話である。
      • そして肝心の銃騎士をすでに売り払った人も多かったと思われるので、はたして誰のための補償であったのかは謎である…。
      • さらに発売日にソフトが届かないといったトラブルも…いい加減にしてほしい。
    • その後銃騎士補償プロジェクト継続が発表され、新たな新作騎士物の無料提供が発表された。前述の無料提供された聖騎士のパッケージに含まれるハガキを送ることで応募可能とのことだったが…肝心の銃騎士をすでに売り払った人m(ry
  • パッチの作成も並行して行われていたが(自称)、4月に断念した。
  • こんな出来だが外から見れば絵だけは美麗だったりするためか、14年3月期のセールスランキングではトップ3に入っている
    • 正しく商品の出来と売上に相関関係がない(特に初動売上)ということを証明してしまっている。
  • ネット上ではブランド名に引っ掛けて「絵フォルダ無」という俗称で呼ばれ、エロゲにおけるCG枚数を表す際には「1銃騎士=CG35枚」のように一種の指標として揶揄されるようになった。
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最終更新:2021年09月30日 17:32

*1 有限会社AKABEiSOFT2の社内カンパニー、株式会社エフォルダム。

*2 アダルトゲームは価格帯によってロー、ミドル、フルの三種に分けられ、価格帯によって相応のボリュームというものがある。